以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する波形に対するトレース線描画処理は、ワークステーションや様々な情報端末を含む医用画像処理装置、或いは、超音波画像診断装置、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)等を含む各種医用画像診断装置においても実行することができる。そこで、ここでは超音波画像診断装置を例に挙げて説明する。
[超音波画像診断装置の構成]
図1は、実施の形態における超音波画像診断装置1の全体構成を機能的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、超音波画像診断装置1は、患者に対して超音波の送受信(送受波)を行う超音波プローブ2と、当該超音波プローブ2が着脱可能に接続される装置本体3とを備えている。
超音波画像診断装置1は、患者内部の診断対象部位などを非侵襲に調べることができる医用画像診断装置の一例である。超音波画像診断装置1は、先端に振動子(圧電振動子)を備えた超音波プローブ2から患者の内部に向けて超音波を送信する。そして患者内部で音響インピーダンスの不整合によって生ずる反射波を超音波プローブ2の振動子で受信する。このようにして得られた受信信号に基づいて超音波画像を生成する。
超音波プローブ2は、各超音波振動子により患者内に超音波を送信してスキャン領域を走査し、患者からの反射波を反射信号として受信する。なお、このスキャンとしては、例えばBモードスキャンやドプラモードスキャンなど各種のスキャンがある。また、超音波プローブ2には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、診断部位に応じて任意に選択される。
なお、本発明の実施の形態においては、超音波画像診断装置1の構成に超音波プローブ2が含まれる構成を例に挙げて説明するが、以下の説明において超音波プローブ2は必須の構成要素ではない。従って、超音波画像診断装置1の構成には必ずしも超音波プローブ2が含まれなくても良い。
装置本体3は、送信部31と、受信部32と、信号処理部33と、画像処理部34と、ディスプレイ35と、入力部36とを備える。送信部31は、超音波プローブ2に対する駆動信号の送信を行う。受信部32は、超音波プローブ2からの反射信号の受信を行う。信号処理部33は、当該反射信号を処理する。画像処理部34は、超音波画像を生成する。ディスプレイ35は、生成された二次元、或いは、三次元の超音波画像を表示する。また、構造物の計測結果等も表示する。入力部36は、検査者により入力操作されることで入力される信号を受信する。
さらに、装置本体3は、図示しない他の機器との信号の送受信を制御する通信制御部37と、記憶部38と、各部を制御する制御部39とを備えている。またこれら各回路は互いにバスBに接続され、各種信号のやりとりが可能とされている。なお、これら各部の詳細な機能については、さらに以下に説明する。
送信部31は、制御部39による制御に基づき、超音波プローブ2に超音波を発生させるための駆動信号、すなわち各圧電振動子に印加する電気パルス信号(以下、「駆動パルス」という)を生成し、その駆動パルスを超音波プローブ2に送信する。送信部31は、図示しない、例えば、基準パルス発生回路、遅延制御回路、駆動パルス発生回路等の各回路を備えており、各回路が上述した機能を果たす。
また、受信部32は、超音波プローブ2からの受信信号である反射信号を受信し、その受信信号に対して整相加算を行い、その整相加算により取得した信号を信号処理部33に出力する。
信号処理部33は、受信部32から供給された超音波プローブ2からの受信信号を用いて各種のデータを生成し、画像処理部34や制御部39に出力する。信号処理部33は、いずれも図示しない、例えば、Bモード処理回路(或いは、Bcモード処理回路)やドプラモード処理回路、カラードプラモード処理回路などを有している。Bモード処理回路は、受信信号の振幅情報の映像化を行い、Bモード信号を基にしたデータを生成する。ドプラモード処理回路は、受信信号からドプラ偏移周波数成分を取り出し、さらに、FFT(Fast Fourier Transform)処理などを施し、血流情報のドプラ信号のデータを生成する。カラードプラモード処理回路は、受信信号に基づいて血流情報の映像化を行い、カラードプラモード信号を基にしたデータを生成する。
画像処理部34は、信号処理部33から供給されたデータに基づいてスキャン領域に関する二次元や三次元の超音波画像を生成する。例えば、画像処理部34は、供給されたデータからスキャン領域に関するボリュームデータを生成する。そしてその生成したボリュームデータからMPR処理(多断面再構成法)により二次元の超音波画像のデータやボリュームレンダリング処理により三次元の超音波画像のデータを生成する。画像処理部34は、生成した二次元や三次元の超音波画像をディスプレイ35に出力する。なお、超音波画像としては、例えば、Bモード画像やドプラモード画像、カラードプラモード画像、Mモード画像などがある。
ディスプレイ35は、画像処理部34により生成された超音波画像、検査処理に利用する検査プロトコル、或いは、操作画面(例えば、ユーザから各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface))などの各種画像を制御部39の制御に従って表示する。また、構造物の大きさを自動計測した結果を分かりやすく表示させることができる。このディスプレイ35としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。
入力部36は、例えば、トレース線描画処理、画像表示、画像の切り替え、モード指定や各種設定などのユーザによる様々な入力操作を受け付ける。この入力部36としては、例えば、GUI、或いは、ボタン、キーボード、トラックボール、ダイアルやディスプレイ35に表示されるタッチパネル等の入力デバイスを用いることが可能である。また、その他、入力部36として、マウスや上下左右の方向キーを用いることも可能である。医療従事者による入力部36の操作によって、ディスプレイ35上のポインティングデバイスが移動する。
なお、本発明の実施の形態においては、図1に示すように、ディスプレイ35、入力部36を超音波画像診断装置1の1つの構成要素として記載しているが、このような構成に限られない。例えば、ディスプレイ35を超音波画像診断装置1の構成要素ではなく、超音波画像診断装置1とは別体に構成することも可能である。また、入力部36を当該別体のディスプレイを用いたタッチパネルとすることも可能である。
通信制御部37は、図示しない通信ネットワークに互いに接続される、例えば、図示しない医用画像診断装置(モダリティ)、サーバ装置や医用画像処理装置等と超音波画像診断装置1とを接続させる役割を担っている。通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。
また、この通信制御部37及び通信ネットワークを介して他の機器とやり取りされる情報や医用画像に関する規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。また、通信ネットワーク等との接続に当たっては、有線、無線を問わない。
記憶部38は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、制御部39で実行されるプログラムやデータ、生成された画像データ等が記憶されている。また、例えば、超音波画像診断装置1に心電図等の生体信号計測装置が接続されている場合には、当該生体信号計測装置から送信されてくる信号を記憶するようにしても良い。
なお、本発明の実施の形態においては、超音波画像診断装置1内に記憶部38が設けられている場合を前提に以下、説明する。但し、超音波画像診断装置1と無線、有線を問わず接続される、サーバ装置やハードディスクドライブ等の外部記憶媒体を記憶部として利用することとしても良い。
またここでは、各種プログラム、データや生体信号計測装置から送信されてくる信号等は全て記憶部38内に記憶されていることを前提としている。但し、記憶部38を複数設けて、各種プログラム、データや生体信号計測装置から送信されてくる信号等をそれぞれ別に記憶させることも可能である。
制御部39は、超音波画像診断装置1の各部を統括的に制御する。制御部39は、例えば、検査者からの入力部36を介しての操作指示を入力信号として受け付け、所望の操作が行われるよう、各部を制御する。
また、医療従事者が波形に対するトレース線描画処理を行う際に、波形、仮想トレース線や時相を表す線(以下、このような線を便宜上「時相線」と表す)をディスプレイ35に表示させ、医療従事者によるトレース線描画処理を支援する。具体的には、医療従事者による入力部36を介しての操作指示を受けて、トレース線を描画する。或いは、仮想トレース線の修正指示を受けて、新たなパラメータに基づく新たな仮想トレース線を描画し、ディスプレイ35に表示させる。
制御部39は、移動量判定部391と、区間・パラメータ記憶部392と、トレース線計算部393と、表示オブジェクト制御部394とを備える。移動量判定部391は、医療従事者が、入力部36を操作した際のポインティングデバイスの移動量を判定する。区間・パラメータ記憶部392は、判定されたポインティングデバイスの移動量に対応するパラメータを記憶し、当該移動量に対応するパラメータをトレース線計算部393、或いは、表示オブジェクト制御部394に送信する。
トレース線計算部393は、区間・パラメータ記憶部392から送信されたパラメータを用いて、ディスプレイ35上に表示されている波形に対するトレース線の位置を計算し、算出する。また、表示オブジェクト制御部394は、ポインティングデバイスの移動をディスプレイ35に表示させ、或いは、トレース線計算部393によって算出されたトレース線の位置に基づいて、ディスプレイ35にトレース線を描画する。
次に、これら制御部39を構成する各部のうち、特に移動量判定部391、区間・パラメータ記憶部392、及び、トレース線計算部393のそれぞれの機能について、以下、さらに詳細に説明する。
移動量判定部391は、医療従事者が入力部36を用いてディスプレイ35に表示される、例えば、カーソルといった、ポインティングデバイスを移動させた場合の移動量を判定する。判定する移動量は、ディスプレイ35上の上下左右全ての移動に関してである。また特に、トレース線描画処理においてポインティングデバイスが時間を表す横軸(以下、この軸を「時間軸」と表す。)方向に移動した場合の移動量、及び、ポインティングデバイスが時間軸に直交する方向(以下、このような方向を適宜「直交方向」と表す。)に移動した場合の移動量を判定する。
本発明の実施の形態において、ポインティングデバイスが時間軸方向に移動する場合には、トレース線描画処理における時相線を時間軸に沿って移動させる処理が行われる。一方、ポインティングデバイスが直交方向に移動する場合には、トレース線描画処理におけるトレース線の生成に用いられるパラメータの変更の有無の判定及び適切なパラメータの選択処理が実行される。
さらに移動量判定部391は、ポインティングデバイスの移動量だけではなく、その移動方向も判定する。移動方向としては、医療従事者がディスプレイ35に表示された波形に対するトレース線の描画処理を実行する場合の、時間軸方向の移動と直交方向の移動の両者の移動を判定する。
なお、移動方向を判定する場合、移動量判定部391は、医療従事者の入力部36の操作におけるポインティングデバイスの時間軸方向、或いは、直交方向への移動に際しての若干の傾きについては許容するよう設定されている。
すなわち、医療従事者が時間軸方向にポインティングデバイスを移動させる操作を行う場合、例えば、時間軸に沿って平行にポインティングデバイスを移動させることができず、若干の傾きをもってポインティングデバイスが移動する場合も考えられる。このような場合に、当該傾きがあることをもってポインティングデバイスが時間軸方向に移動していないと判定するのは妥当ではない。
従って、医療従事者が入力部36を介してディスプレイ35上でポインティングデバイスを移動させる場合における傾きについては、その傾きが所定の閾値内であれば、移動量判定部391は、ポインティングデバイスが、例えば、時間軸方向、或いは、直交方向に移動したものとして判定を行う。
ここで、所定の閾値については、任意に設定可能である。すなわち、ポインティングデバイスの斜め方向の検知を除外するように検知範囲を設けることが可能である。例えば、時間軸方向にポインティングデバイスが移動する場合、時間軸方向に対し上下に±10°、直交方向にポインティングデバイスが移動する場合、直交方向に対し左右に±10°の検知範囲を設けるといったことができる。
また、移動量判定部391は、判定された移動方向及び移動量の情報を基に、ディスプレイ35に表示されるカーソルをどのくらい移動させるか、制御指示を作成し、表示オブジェクト制御部394に指示する。
表示オブジェクト制御部394に対する制御指示を作成するに当たっては、ポインティングデバイスの移動量をそのまま反映させるだけではなく、例えば、入力部36の感度を考慮することも可能である。ポインティングデバイスの移動量に対してあまりに感度良くカーソルを移動させると、医療従事者における操作が難しくなるからである。
従って、このような場合には、ポインティングデバイスの移動始めの部分についてある範囲で不感部分を設定しておき、当該不感部分を超えたらポインティングデバイスを移動させるよう制御することもできる。不感部分の範囲は任意に設定可能である。
移動量判定部391による制御指示は、区間・パラメータ記憶部392にも送信される。区間・パラメータ記憶部392は、移動量判定部391によって算出されたポインティングデバイスの移動方向及び移動量と、パラメータとを対応付けて記憶する。
図2は、実施の形態において、区間・パラメータ記憶部392に記憶されている情報の一例を示す説明図であり、ポインティングデバイスが直交方向に移動した場合における、その移動量とパラメータとの対応関係を示すテーブルが示されている。具体的には、移動方向と移動量、及びそれぞれに対応するパラメータとして、計11のパラメータが設定されている。
図2に示されているテーブルでは、最も左側の欄に「上」、「下」の表示がされている。これは、ポインティングデバイスが直交方向に移動した場合に、例えばプラス、マイナスで表すことのできる直交方向のいずれの方向に移動したのかを示す表示である。ここでは、便宜上ディスプレイ35における上下方向を基に、「上」と「下」と表示している。
また、テーブルの最も上の欄には、ポインティングデバイスの移動量が示されている。ここで「Y」とはポインティングデバイスの直交方向における移動量を示している。また、当該符号Yを不等号で挟んで示されている値は、ポインティングデバイスの移動量を示している。すなわち、例えば、「0.6≦Y≦1.0」と示されているのは、ポインティングデバイスの直交方向の移動量Yが「0.6cm」から「1.0cm」までの間であることを示している。
なお、ここではポインティングデバイスの直交方向の移動量を長さ(cm)で表したが、移動量は、例えば、ピクセル数で表されていても良い。つまり、閾値として利用することができるのであれば、どのような値を用いて設定することも可能である。
そして、移動量に対応付けられたパラメータがそれぞれ設定されている。例えばポインティングデバイスが直交方向上向きに移動している場合であって、上述した移動量が「0.6≦Y≦1.0」である場合には、「P1」というパラメータが設定されている。従って、ポインティングデバイスが直交方向上向きに「0.6≦Y≦1.0」の範囲で移動した場合には、トレース線の計算を行う際に用いるパラメータをこれまでのパラメータに代えて、「P1」というパラメータを採用する。
一方、ポインティングデバイスが直交方向上向き、或いは、下向きのいずれに移動している場合であっても、移動量が「0≦Y≦0.5」の場合にはパラメータは「P0」と設定されている。当該「P0」は、これまで採用されているパラメータを維持することを示している。これは、ポインティングデバイスの操作感度を考慮して設定されているものであり、上述した不感部分に該当する。医療従事者がポインティングデバイスを直交方向に少し移動させただけではトレース線描画処理においてこれまで採用されているパラメータをそのまま採用するとしたものである。
区間・パラメータ記憶部392は、移動量判定部391から制御指示に基づいて、図2に示すテーブルに従って、パラメータを選択する。例えば、制御指示として、ポインティングデバイスが時間軸方向にのみ移動した場合のように、時間軸方向の移動量のみの情報が指示された場合には、パラメータの変更はないと判定して、パラメータ「P0」を選択肢、表示オブジェクト制御部394にその旨指示する。
なお、ここで「時間軸方向の移動量のみの情報」といった場合、時間軸方向に沿ってポインティングデバイスが移動しており、直交方向への移動方向に関する情報がない場合のみならず、時間軸方向の移動における傾きが上述した所定閾値内であるとの情報である場合も含む。
一方、区間・パラメータ記憶部392は、移動量判定部391から制御指示の中に移動方向に関する情報として直交方向への移動の情報が含まれている場合にも当該直交方向への移動量に対応したパラメータを選択する。
例えば、直交方向下向きに、「1.6≦Y≦2.0」の範囲で移動した場合には、パラメータとして「P8」が選択される。一方、ポインティングデバイスが直交方向に「0≦Y≦0.5」の範囲で移動した場合には、パラメータとして「P0」が選択される。このパラメータ「P0」が選択されることによって、パラメータの変更を伴わず、これまでのパラメータが維持される。
さらに区間・パラメータ記憶部392では、図2で示すテーブルの他、区間とパラメータの変化についても記憶する。これらの変化が記憶されていることによって、例えば、1つの時相において適用された複数のパラメータを、他の時相に容易に適用させることができる。
なおこれまで説明してきたように、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量とパラメータとの対応については、本発明の実施の形態においては、区間・パラメータ記憶部392に記憶させている。但し、区間・パラメータ記憶部392ではなく、上述した記憶部38に記憶させることとしても良い。
区間・パラメータ記憶部392によって、パラメータが選択されると、選択されたパラメータに関する情報が、表示オブジェクト制御部394のみならず、トレース線計算部393に送信される。
トレース線計算部393は、区間・パラメータ記憶部392において選択されたパラメータを用いて、トレース線の位置を算出する。トレース線の位置が算出されることで、表示オブジェクト制御部394を介して波形に対するトレース線が描画されることになる。また、トレース線描画処理が開始される際に、得られた波形に対して、自動的に仮想トレース線を表示させる処理も実行する。
トレース線計算部393の具体的な処理について、以下、図3ないし図8の説明図を用いて説明する。また、適宜移動量判定部391及び表示オブジェクト制御部394の処理も合わせて説明する。
図3ないし図8は、実施の形態において、波形に対するトレース線描画処理の流れを説明するために用いる画面例である。これらの画面例においては、ドプラ波形が白く表されており、時間軸として実線が図面において左右方向に示されている。
超音波プローブ2を介して血流速度が測定され、ドプラ波形が取得されてディスプレイ35に表示された状態からトレース線描画処理が開始される。図3は、このような状態を示す画面例である。
トレース線計算部393は、この状態における波形に対して、まず、仮想トレース線を自動的に描画する。ここで仮想トレース線とは、時相線が設定されていない状態で波形に対して描画されるトレース線のことである。この時点では、医療従事者によって1つの時相の始端となる位置が決定されておらず時相線が表示されていない。図3においては、時間軸の上方に仮想トレース線が破線で示されている。なお、仮想トレース線の描画に当たっては、事前に設定されているパラメータが選択される。
図4には、まず、仮想トレース線が引かれた状態で、1つの時相の始端となる位置が決定され、線が設定された状態が示されている。この時相の始端となる線が図面において最も左側に上下方向に示されている実線で表されている。この時相の始端となる位置が決定されることで、医療従事者はこの位置から時相線を時間軸方向に移動させて、例えば1心拍分の時相を確定させる。すなわち、医療従事者が時相の始端となる位置と終端となる位置とを確定させることによって、この間に含まれる時相における波形のトレース線を描画するというトレース線描画処理が実行される。
なお、時相の始端となる位置が決定され、線が配置されると、当該線よりも前の時相を示す仮想トレース線を表示させないことも可能である。図4では、最も左側に示されている実線よりも前の時相における仮想トレース線は表示されていない。
さらに、当該実線から時間軸方向に矢印が示されている。これは、医療従事者によって、時相の始端となる線から時相の終端に向けて時相線を時間軸方向に移動させている状態を示している。当該矢印の向き(時間軸方向)に移動している時相線は、ここでは、二点鎖線で示されている。
すなわち、医療従事者は、ポインティングデバイスを用いて当該二点鎖線で示される時相線を時間軸方向に沿って移動させる。医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させると、移動量判定部391が移動方向と移動量とを判定し、区間・パラメータ記憶部392に制御指示を送信する。
図4に示す画面例の場合、医療従事者は、時相線を時間軸方向に沿って移動させているだけである。従って、区間・パラメータ記憶部392では、制御指示内に移動方向に関する情報は含まれていないと判定し、パラメータの変更を要する新たなパラメータの選択は行わず、パラメータ「P0」を選択する。そしてその情報をトレース線計算部393に送信する。
トレース線計算部393では、区間・パラメータ記憶部392から受信したパラメータを用いてトレース線の位置を計算する。ここでは、用いるパラメータに変更はないため、ディスプレイ35上では、仮想トレース線をなぞるようにトレース線の位置が算出され、表示オブジェクト制御部394によって表示される。
例えば、医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させる後を追いかけるようにトレース線が実線でディスプレイ35に表示される。図4においては、時相の始端となる線と時相線との間において、例えば図3において示されているように、これまで破線で示されていた仮想トレース線が実線のトレース線として表示されている。
一方、時相線が移動していない時間軸方向における仮想トレース線については、最初に設定された通り破線で示された状態のままである。
そして、例えば、図4の状態で、医療従事者が仮想トレース線で示されている波形のトレース線を修正したいと判断すると、医療従事者は修正したい波形の位置でポインティングデバイスを時間軸方向に移動させることを止めて、時間軸方向に直交する方向にポインティングデバイスを移動させる。
図5はこの状態を示している。図5において、医療従事者が移動させている時相線の横に、下向きの大きな矢印が示されている。これは、医療従事者が入力部36を操作してポインティングデバイスを下向きに移動させた状態を示している。すなわち、医療従事者は、この位置、或いは、少し時間軸方向で先の位置において、仮想トレース線の位置をこれまでよりも若干下に下げる修正を行いたい、と考えたと捉えることができる。
医療従事者がこのような操作を実行すると、移動量判定部391は、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量を判定する。ここでは、ポインティングデバイスが直交方向下向きに所定量移動されたことが判定され、制御指示が区間・パラメータ記憶部392に対して送信される。
区間・パラメータ記憶部392では、受信した制御指示に基づいて、パラメータの選択を行う。ここでは、例えば、制御指示内に医療従事者がポインティングデバイスを直交方向下向きに、0.7cm移動させた情報が含まれているとする。この場合、区間・パラメータ記憶部392は、図2に示すテーブルに従って、「P6」のパラメータを選択する。
区間・パラメータ記憶部392は選択したパラメータ「P6」の情報をトレース線計算部393へ送信し、トレース線計算部393では受信したパラメータ「P6」を用いてトレース線の位置を計算する。
トレース線計算部393によって計算されたトレース線の位置は表示オブジェクト制御部394へと送信され、表示オブジェクト制御部394がディスプレイ35に表示させる。つまり、医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させて、仮想トレース線の位置を一部修正したい場所にてその移動を止め、直交方向にポインティングデバイスを移動させることによって、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量に対応したパラメータが選択され、当該選択されたパラメータによって新たな仮想トレース線が表示される。
図5では、トレース線計算部393によって計算されたトレース線の位置が一点鎖線で示されている。そして、医療従事者がポインティングデバイスを直交方向下向きに移動させたことから、新たな仮想トレース線もこれまで表示されていた仮想トレース線に比べて下側に表示される。また、当該新たな仮想トレース線は、時相線から時間軸方向の範囲全てに対して設定される。
なお、図5においては、一点鎖線で示される新たな仮想トレース線の他、これまで表示されていた破線で示されるトレース線も併せてディスプレイ35上に表示されている。但し、新たな仮想トレース線が描画された場合には、表示オブジェクト制御部394においてそれまで表示されていた仮想トレース線を表示させない、という制御を行っても良い。
また、当該新たな仮想トレース線は、パラメータが変更された位置における時相線から時間軸方向の範囲全てに対して設定される。
その後、改めて医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させる。図6では、新たに選択されたパラメータによってその位置が計算されて表示された仮想トレース線が新たな時相線の移動とともに実線への変化した状態が示されている。
図6においては、都合上、元々のパラメータを用いて描画されたトレース線と、新たなパラメータを用いて描画されたトレース線とは、いずれも白色の実線で示されている。しかしながら、このような表示態様ではなく、例えば、表示オブジェクト制御部394は、トレース線を描画する際に用いられるパラメータが変更された場合には、その変更を表すために、異なるパラメータを用いて描画されたトレース線ごとに色を変えて表示させることも可能である。
次に、例えば、図6の状態で、医療従事者が再度仮想トレース線で示されている波形のトレース線を修正したいと判断すると、医療従事者はポインティングデバイスを時間軸方向に移動させることを止めて、時間軸方向に直交する方向に移動させる。
図7はこの状態を示している。図7において、医療従事者が移動させている時相線の横に、上向きの大きな矢印が示されている。これは、医療従事者が入力部36を操作してポインティングデバイスを直行方向上向きに移動させた状態を示している。
医療従事者がこのような操作を実行すると、移動量判定部391は、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量を判定する。ここでは、ポインティングデバイスが直交方向上向きに所定量移動されたことが判定され、制御指示が区間・パラメータ記憶部392に対して送信される。
区間・パラメータ記憶部392では、受信した制御指示に基づいて、パラメータの選択を行う。ここでは、例えば、制御指示内に医療従事者がポインティングデバイスを直交方向上向きに、0.7cm移動させた情報が含まれているとする。この場合、区間・パラメータ記憶部392は、図2に示すテーブルに従って、「P1」のパラメータを選択する。
区間・パラメータ記憶部392は選択したパラメータ「P1」の情報をトレース線計算部393へ送信し、トレース線計算部393では受信したパラメータ「P1」を用いてトレース線の位置を計算する。
トレース線計算部393によって計算されたトレース線の位置は表示オブジェクト制御部394へと送信され、表示オブジェクト制御部394がディスプレイ35に表示させる。
図8では、トレース線計算部393によって計算されたトレース線の位置が破線で示されている。ここでは、医療従事者がポインティングデバイスを、直行方向下向きと同じ移動量だけ直交方向上向きに移動させたことから、偶然にも図4に示されている、最初の仮想トレース線と同じ位置にパラメータ「P1」を用いて算出されたトレース線の位置が表示されている。また、当該新たな仮想トレース線は、時相線から時間軸方向の範囲全てに対して設定されるのは上述した通りである。
つまり、図5に示すように、ポインティングデバイスが直交方向に第1の移動(ここでは下向きの移動)を行った際に、区間・パラメータ記憶部392は、直交方向における移動量に対応付けられたパラメータ(P6)を選択し、図7に示すように、ポインティングデバイスが改めて時間軸方向の移動した後、直交方向に第2の移動(ここでは上向きの移動)を行った場合には、トレース線計算部393は、第1の移動と第2の移動との間の区間において、選択されたパラメータ(P6)を用いてトレース線の位置を算出することになる。
その後、改めて医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させる。図8では、新たに選択されたパラメータによってその位置が計算されて表示された仮想トレース線が二点鎖線で示されている新たな時相線の移動とともに実線への変化した状態が示されている。
従って、区間・パラメータ記憶部392は、ポインティングデバイスが直交方向に第2の移動(ここでは上向きの移動)を行った際には、新たに第2の移動における移動量に対応付けられた新たなパラメータ(P1)を選択し、トレース線計算部393は、その後のポインティングデバイスの時間軸方向の移動に際しては、時間軸方向の移動に従って新たなパラメータ(P1)を用いてトレース線の位置を算出する。
但し、このように新たなパラメータP1を用いて新たなトレース線が描画されると、パラメータP1を用いた場合とパラメータP6を用いた場合とでは、それぞれのパラメータに基づく仮想トレース線の間は不連続となる場合がある。
すなわち、図6や図8に示されているように、ポインティングデバイスが直交方向に移動した時相において、上述した例では、パラメータP6を用いたトレース線が終わりパラメータP1を用いたトレース線の描画が新たに始められる。従って、当該時相においてトレース線の断絶、不連続が生ずることになる。
そこでトレース線計算部393は、複数の区間において複数の前記パラメータが用いられたことによって描画されたトレース線に不連続な状態が生じた場合には、前記パラメータの変更により生ずる前記トレース線の不連続性を補間し、不連続が生じたトレース線を接続することで前記トレース線の連続性を維持する処理を行う。
なお補間処理は、このような不連続性が生じた際に、トレース線計算部393によって自動的に行われる。また、補間処理の方法としては、不連続な状態が生じた時相において元々のパラメータにおいて描画されたトレース線の終端を新たなパラメータにおいて描画されるトレース線の始端に合わせて接続するように、元々のパラメータにおいて描画されたトレース線を調整する方法が挙げられる。
逆に、不連続な状態が生じた時相において新たなパラメータにおいて描画されるトレース線の始端を元々のパラメータにおいて描画されたトレース線の終端に合わせて接続する方法も採用しうる。このようにトレース線の不連続性を補間する方法はいくつか考えられるが、いずれの方法を採用しても良い。
また、当該トレース線の不連続性を保管する処理は、時相が区切られて、パラメータが変更される度に実行されても、或いは、全てのトレース線描画処理が終了した時点で実行されるように設定されていても良い。
なお、医療従事者は、トレース線描画処理を終了させる場合には、例えば、1つの時相の終端となる位置が決定する処理を実行する。この処理は、例えば、トラックボール等の入力部36を用いる場合は、時相の終端を設定する特定の入力部36を用いても良い。この信号が入力部36から制御部39に送信されることによって、トレース線の描画は完了し、医療従事者が時間軸方向に特定したある幅をもって示される時相におけるトレース線が確定する。
この場合に、もし医療従事者が設定した時相の終端が、1心拍に満たない場合には、例えば、1心拍と把握できる残りの区間については、トレース線の描画において最後に用いられたパラメータを用いてトレース線を描画することとしても良い。
或いは、1心拍分を示す時相において描画されたトレース線を、他の時相におけるトレース線として採用することも可能である。この場合には、医療従事者によって、入力部36を介してその旨の信号が制御部39に送信され、トレース線計算部393によって最後に用いられたパラメータを用いて他の時相におけるトレース線の位置が計算され、表示オブジェクト制御部394によってトレース線が描画される。
このような処理が行われることによって、複数の時相に対するトレース線の描画処理が簡便、かつ、確実に行われることになり、医療従事者の処理負担の軽減、及び、処理時間の短縮を図ることができる。
さらに、これまでは、医療従事者が時相線を時間軸方向に移動させる場合における、トレース線描画処理について説明してきた。
これに対して、医療従事者は時相線を時間軸方向とは逆方向(反時間軸方向)に移動させることも可能である。この場合には、時相線が位置する時間軸におけるパラメータを用いたトレース線の描画が行われることになる。従って例えば、実線で示されるトレース線が破線で示される仮想トレース線へと置き換わるように表示されることになる。
従って、医療従事者はポインティングデバイスを反時間軸方向に移動させることによって、これまで描画されたトレース線を消去することができる。そして、例えば、修正したい位置まで戻って、改めてトレース線描画処理を進めることができる。
以上では、超音波画像診断装置1の全体構成について説明した。図1には示されていないが、例えば、当該超音波画像診断装置1には、心電計といった、生体信号計測装置が接続されていても良い。超音波画像診断装置1は、当該生体信号計測装置が取得した心拍に関する情報を受信する。
なお、ここでは例えば、移動量判定部391と、区間・パラメータ記憶部392と、トレース線計算部393と、表示オブジェクト制御部394とを備えていることを前提に説明を行ってきた。すなわち、制御部39が所定のメモリや記憶部38等に記憶される、例えば、トレース線設定プログラムといったプログラムをプロセッサに実行させることを前提にしている。
ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、例えば記憶部38に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記憶部は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、図1における信号処理部33が行う機能に対応するプログラムを記憶するものであっても、さらには図1に示す記憶部38の構成を採用しても構わない。記憶部の構成には、例えば、半導体や磁気ディスクといった一般的なRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置が適用される。
また、上述した制御部39が備えている移動量判定部391と、区間・パラメータ記憶部392と、トレース線計算部393と、表示オブジェクト制御部394の各機能を、制御部39を制御回路として構成し、それぞれ移動量判定機能、区間・パラメータ記憶機能、トレース線計算機能、表示オブジェクト制御機能として、制御回路39が実行することとしても良い。
さらに、移動量判定部391と、区間・パラメータ記憶部392と、トレース線計算部393と、表示オブジェクト制御部394の各機能を、制御部39を制御回路として構成し、それぞれを個別に移動量判定回路、区間・パラメータ記憶回路、トレース線計算回路、表示オブジェクト制御回路として構成することも可能である。
また、装置本体3が備える、送信部31と、受信部32と、信号処理部33と、画像処理部34と、入力部36と、通信制御部37と、記憶部38をそれぞれ、送信回路31と、受信回路32と、信号処理回路33と、画像処理回路34と、入力回路36と、通信制御回路37と、記憶回路38として構成しても良い。
[動作]
次に、トレース線描画処理の流れについて、図9ないし図11を用いて説明する。図9ないし図11は、実施の形態において、波形に対するトレース線描画処理の流れを示すフローチャートである。
医療療従事者は、超音波画像診断装置1を用いて、血流速度の測定を行い、その測定結果を取得する(ST1)。そして、取得された測定結果を基に、表示オブジェクト制御部394が波形をディスプレイ35に表示させる(ST2)。表示された波形に対して、トレース線計算部393は、まず自動的に仮想トレース線の位置を計算し、表示させる(ST3)。この状態が図3に示されている。
制御部39は、医療従事者が入力部36を操作することによって送信された、時相設定開始信号を受信する(ST4)。ここで時相設定開始信号とは、例えば、図4に示すように、医療従事者によって時相の始端となる位置が決定され、線が配置されたことを示す信号である。
この状態から、医療従事者は図4に二点鎖線で示される時相線を矢印で示す時間軸方向に移動させる。移動量判定部391は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動量を判定する(ST5)。区間・パラメータ記憶部392では、直交方向への移動がない場合のパラメータを選択、すなわち、ここでは仮想トレース線が描画された際のパラメータを維持する判定が行われ、トレース線計算部393に制御指示がされる。
トレース線計算部393は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動に合わせてトレース線の位置を計算し、表示オブジェクト制御部394に計算結果を送信する。ここでは、破線で示されていた仮想トレース線が実線に変化するようにトレース線が描画されることになる(ST6)。
区間・パラメータ記憶部392では、ポインティングデバイスが直交方向に移動したか否かを判定する(ST7)。そして移動量判定部391からの制御指示において、ポインティングデバイスが直交方向に移動したと判定された情報を含む制御指示が送信されてくるまで、これら一連の処理が続けられる(ST7のNO)。
移動量判定部391から、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量に関する制御指示が送信されてきた場合には(ST7のYES)、区間・パラメータ記憶部392では、ポインティングデバイスの直交方向の移動量を判定する(ST8)。この判定は、例えば、図2に示すテーブルを用いて行われる。
区間・パラメータ記憶部392は、直交方向への移動量に対応したパラメータを選択し(ST9)、トレース線計算部393に対して選択したパラメータを送信する。トレース線計算部393では、送信されたパラメータを用いてトレース線の位置を計算する(ST10)。
計算結果は、トレース線計算部393から表示オブジェクト制御部394へ送信される。表示オブジェクト制御部394では、図5に示すように、新たに計算されたトレース線の位置に基づいて新たな仮想トレース線をディスプレイ35に表示させる(ST11)。
移動量判定部391は、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させたか否かを判定する(図6参照)。すなわち、移動量判定部391は、ポインティングデバイスが時間軸方向に移動したか否か、その移動量を判定する(図10のST12)。
移動量が判定できない場合には(ST12のNO)、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させるまでポインティングデバイスを移動させない。一方、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させた場合には(ST12のYES)、移動量判定部391は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動量を判定する(ST13)。
区間・パラメータ記憶部392では、直交方向への移動がない場合のパラメータを選択、すなわち、ここでは仮想トレース線が描画された際のパラメータを維持する判定が行われ、トレース線計算部393に制御指示がされる。
トレース線計算部393は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動に合わせてトレース線の位置を計算し、表示オブジェクト制御部394に計算結果を送信する。ここでは、例えば、図6に示すように、破線で示されていた仮想トレース線が実線に変化するようにトレース線が描画されることになる(ST14)。
区間・パラメータ記憶部392では、ポインティングデバイスが直交方向に移動したか否かを判定する(ST15)。そして移動量判定部391からの制御指示において、ポインティングデバイスが直交方向に移動したと判定された情報を含む制御指示が送信されてくるまで、これら一連の処理が続けられる(ST15のNO)。
移動量判定部391から、ポインティングデバイスの移動方向及び移動量に関する制御指示が送信されてきた場合には(ST15のYES)、区間・パラメータ記憶部392では、ポインティングデバイスの直交方向の移動量を判定する(ST16)。
区間・パラメータ記憶部392は、直交方向への移動量に対応したパラメータを選択し(ST17)、トレース線計算部393に対して選択したパラメータを送信する。トレース線計算部393では、送信されたパラメータを用いてトレース線の位置を計算する(ST18)。
計算結果は、トレース線計算部393から表示オブジェクト制御部394へ送信される。表示オブジェクト制御部394では、図7に示すように、新たに計算されたトレース線の位置に基づいて新たな仮想トレース線をディスプレイ35に表示させる(ST19)。
移動量判定部391は、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させたか否かを判定する(図8参照)。すなわち、移動量判定部391は、ポインティングデバイスが時間軸方向に移動したか否か、その移動量を判定する(図11のST20)。
移動量が判定できない場合には(ST20のNO)、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させるまでポインティングデバイスを移動させない。一方、医療従事者が新たな時相線を時間軸方向に移動させた場合には(ST20のYES)、トレース線の接続処理(補間処理)を行う(ST21)。
移動量判定部391は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動量を判定し(ST22)、トレース線計算部393は、ポインティングデバイスの時間軸方向への移動に合わせてトレース線の位置を計算し、表示オブジェクト制御部394に計算結果を送信する。これによって、破線で示されていた仮想トレース線が実線に変化するようにトレース線が描画される(ST23)(図8参照)。
そして、さらに、制御部39は、医療従事者からの時相の設定を終了する信号を受信したか否かを判断する(ST24)。もし信号を受信しない場合には(ST24のNO)、ステップST22に戻って、引き続き、移動量判定部391は、ポインティングデバイスの時間軸方向の移動量を判定し、移動量に応じてトレース線計算部393によってトレース線の位置が算出され、表示オブジェクト制御部394によってトレース線が描画される。
なお、ここでは、ステップST22に戻る場合について説明したが、例えば、図10に示すステップST13に戻ることとしても良い。
一方、医療従事者からの時相の設定を終了する信号を受信した場合には(ST24のYES)、設定された時相線までのトレース線を確定したものとして、表示オブジェクト制御部394がディスプレイ35に表示させて(ST25)、トレース線の描画処理は終了する。
以上説明した少なくとも1つの実施の形態によれば、波形のトレース線描画処理において、簡便な操作性を維持しつつ、医療従事者が望む場所のみの修正を可能とするべく、波形の複数時相ごとにパラメータを設定可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。