JP3692985B2 - 車両用舵角比制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の操作による操舵角度に対するタイヤの実操舵角度の伝達比である舵角比を任意に変更可能な車両用舵角比制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、操舵角度に対する実操舵角度の伝達比である舵角比を制御する従来技術としては、例えば、特開平9−58507号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来出典での舵角比特性は、図10に示すように、低車速域では舵角比を大きく、車速が上昇するにつれて徐々に舵角比が小さくなる特性としている。この例では、舵角比特性は、車速が高車速域T1の範囲では車速に対してヨー角速度が一定となる舵角比とし、それよりも車速が低い低車速域T2の範囲では、車速に対してヨー角速度が一定となる舵角比よりも低い舵角比としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両用舵角比制御装置にあっては、低車速域では舵角比が高いため、ステアリング操作の取り回し性が向上するが、特に、車両挙動を習熟できていない初心者等にあっては、ステアリング操作の緊張度を増してしまう場合もあると考えられる。
【0005】
その理由を述べると、切り増し操作においては、自車挙動と走行位置をフィードバックして操作するため、舵角比が高くてもスムーズに操作できるが、切り戻し操作においては、通常の低い舵角比の車両のつもりで速い操作速度で戻すと、車両挙動が速すぎ、舵角中立位置付近でふらつき操作を起こし、操作の安定度が低下する可能性があると推測できる。
【0006】
本発明の目的は、低車速域において、違和感の無い自然な切り増し操作を確保しながら、切り戻し操作の安定性を向上させることができる車両用舵角比制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、操舵角度に対する実操舵角度の伝達比である舵角比を任意に変更可能な車両用舵角比制御装置において、車速が設定車速以下の低車速域のとき、切り増し操作時には比例的な舵角比特性により舵角比を演算し、切り戻し操作時には非線形的な舵角比特性により舵角比を演算する舵角比演算手段と、演算された舵角比となるように舵角比可変手段を駆動制御する舵角比駆動制御手段と、とを備えた手段とした。
ここで、操舵角度とは、運転者による操作角度をいい、実操舵角度とは操舵輪のタイヤ角度をいう。また、切り戻し操作とは、切り増し操作が行われた後、所定時間内に切り増し方向とは反対方向に戻し操作することをいう。
【0008】
【発明の効果】
本発明にあっては、舵角比を任意に制御する車両用舵角比制御装置において、低車速域のとき、切り増し操作時には比例的な舵角比特性により舵角比を演算し、切り戻し操作時には非線形的な舵角比特性により舵角比を演算するようにしたため、低車速域において、違和感の無い自然な切り増し操作を確保しながら、切り戻し操作の安定性を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における車両用舵角比制御装置を実現する実施の形態を、請求項1〜請求項7に対応する第1実施例に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の車両用舵角比制御装置を示す全体システムであり、図1において、1FL,1FRは前輪、2はステアリング機構、3はステアリングホイール、4はステアリングシャフト、5は運転席、6は舵角比可変手段、7は操舵角度検出手段、8は車速検出手段、9は舵角比制御手段である。
【0011】
前記前輪1FL,1FRは、一般的なラックアンドピニオン式のステアリング機構2により舵角が変更される。
【0012】
前記ステアリングホイール3及びステアリングシャフト4は、運転席5に座っている運転者により操作される。
【0013】
前記舵角比可変手段6は、ステアリングシャフト4とステアリング機構2との間の位置に配設され、これを駆動させると、ステアリング機構2を介して前輪1FL,1FRの舵角が変更される。この舵角比可変手段6は、舵角比制御手段9からの命令量に応じ、操舵角度θに対する実操舵角度θ’の伝達比である舵角比Gを任意に設定できるものである。
【0014】
舵角比を変化させる機構としては、大きく分けて以下の2つのタイプが考えられる。なお、舵角比可変機構のステアリングホイール3側を入力軸、前輪1FL,1FR側を出力軸とする。
1つめのタイプは、運転者の操作量に加えてアクチュエータにて切り足し、切り戻しができるもの。例えば、遊星ギヤを用いたタイプ。
2つめのタイプは、入力軸と出力軸は切り離されており、出力軸をアクチュエータのみで転舵するタイプ(一般的にバイワイヤ方式を呼ばれている)。
【0015】
本発明の舵角比可変手段6の機構は、1つめのタイプ、又は、2つめのタイプのどちらかとする。
【0016】
なお、本発明は、低車速域の高舵角比の領域において、切り戻し操作時の安定性を向上させることであるが、この目的を達成させるための方策として、操舵力の特性での対応も考えられる。例えば、操舵力の特性に粘性項を多めに入れることで、速い操舵速度を抑えることもできる。しかし、操舵力特性を細かく制御するためには、電動のパワーステアリング装置が必要であり(現在、最も一般的な油圧式のパワーステアリング装置では不可能)、製造コストがアップするという問題点がある。そのため、本発明では、パワーステアリング装置の特性は変化させず、舵角比のみを制御するものとする。
【0017】
前記操舵角度検出手段7は、運転者によるステアリングホイール3の操作角度である操舵角度θを検出する手段で、ステアリングシャフト4の回転角に応じてパルス信号を出力する舵角センサ等が用いられる。
【0018】
前記車速検出手段8は、自車両の車速Vを検出する手段で、変速機の出力軸部に設けられた車速センサや車輪に設けられた車輪速センサ等が用いられる。
【0019】
前記舵角比制御手段9は、操舵角度検出手段7からの操舵角度信号と、車速検出手段8からの車速信号を取り込み、舵角比可変手段6を制御アクチュエータとして舵角比の制御を行うマイクロコンピュータを主体とする電子制御ユニットである。この舵角比制御手段9において、車速Vに対する舵角比G(1/ギヤ比)の基本的な特性は、図2に示すように、設定車速VLまでは舵角比Gは一定であり、その後、車速Vが高くなるにつれて舵角比Gが徐々に低下する。その舵角比特性を、車速Vに依存するものとして、以下、GN(V)と記す。第1実施例では、舵角比Gが大きい設定車速VL以下の低車速域で、切り増し操作、切り戻し操作に応じて舵角比Gの可変制御を行う。その制御範囲は、図2中で塗り潰した範囲である。
【0020】
次に、作用を説明する。
【0021】
[舵角比制御処理]
図3は舵角比制御手段9で実行される舵角比制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この図3において、θの上にドット(点)が付されている記号は、操舵角度θの微分値である操舵角速度を表す。
【0022】
ステップ40では、舵角比勾配A、最大操舵角度θL、最大実舵角度θL'の値を初期化する。
【0023】
次のステップ41では、操舵角度θをθ=0に、実舵角度θ’をθ’=0に初期設定する。
【0024】
次のステップ42では、車速検出手段8からの信号による車速Vと操舵角度検出手段7からの信号による操舵角度θを読み込み、これを保存する。
【0025】
次のステップ43では、車速Vと図2に示す基本舵角比特性から、基本舵角比GN(V)を算出する。
【0026】
次のステップ44では、車速Vが設定車速VL以下か否かを判断し、NOの場合はステップ45へ進み、YESの場合はステップ46へ進む。
【0027】
ステップ45では、舵角比Gをステップ43で算出された基本舵角比GN(V)に設定する。
舵角比G=GN(V)
ステップ46では、切り増し操作時か否かを判断し、NOの場合はステップ47へ進み、YESの場合はステップ48へ進む(切り増し操作判断手段)。ここで、切り増し操作は、操舵角度θと操舵角度θの微分値を掛け合わせた値がゼロ以上であるか否かにより判断される。
【0028】
ステップ47では、舵角比Gを下記の式により算出する(舵角比演算手段)。
舵角比G=A・θ/2+θ’/θ
ステップ48では、操舵角速度(θの微分値)がゼロか否かを判断し、NOの場合はステップ49へ進み、YESの場合はステップ50へ進む。
【0029】
ステップ49では、舵角比Gを下記の式により算出する(舵角比演算手段)。
舵角比G=(θL'−θ’−(θL−θ)・GN(V)・2)/(θL−θ)+GN(V)
ステップ50では、操舵角速度(θの微分値)がゼロの場合の操舵角度をθaとする。
【0030】
ステップ51では、操舵角度θaでの操舵角速度を(θaの微分値)とし、操舵角度θb(=θa/2)での操舵角速度を(θbの微分値)とする。
【0031】
ステップ52では、操舵角速度の比率Kabを、Kab=(θaの微分値)/(θbの微分値)の式により算出する。なお、ステップ50,51,52は、運転熟練度検出手段に相当する。
【0032】
ステップ53では、算出された操舵角速度の比率Kabと、図9に示す戻し時舵角比勾配特性により、戻し時舵角比勾配Aを算出する。
【0033】
ステップ54では、ステップ45またはステップ47またはステップ49にて算出された舵角比Gとなるように、舵角比可変手段6を駆動する(舵角比駆動制御手段)。
【0034】
ステップ55では、次サンプルの計算のため、新たな実舵角度θ’を、下記に式により求める。
θ’=θ’+G・(θの微分値)・(計算周期)
ステップ56では、キーOFFか否かを判断し、NOの場合は、ステップ42へ戻り、YESの場合は舵角比制御処理を終了する。
【0035】
[舵角比制御作用]
まず、ステップ40及びステップ41にて初期化処理が行われた後、車速Vが設定車速VL以下の低車速域で走行している間は舵角比Gの補正モードに入る。すなわち、低車速域で切り増し操作も切り戻し操作も行われていないときには、図3のフローチャートにおいて、ステップ42→ステップ43→ステップ44→ステップ46→ステップ47→ステップ54→ステップ55→ステップ56の流れが繰り返され、ステップ47において、一定の舵角比Gを維持する舵角比制御が実行される。
【0036】
一方、低車速域で切り増し操作が行われると、図3のフローチャートにおいて、ステップ42→ステップ43→ステップ44→ステップ46→ステップ48→ステップ49→ステップ54→ステップ55→ステップ56の流れが繰り返され、ステップ49において、一次比例による舵角比特性に基づいて舵角比Gを制御する舵角比制御が実行される。
【0037】
さらに、低車速域で切り増し操作後、切り戻し操作が行われると、図3のフローチャートにおいて、ステップ42→ステップ43→ステップ44→ステップ46→ステップ48→ステップ50→ステップ51→ステップ52→ステップ53→ステップ49→ステップ54→ステップ55→ステップ56の流れが繰り返され、ステップ49において、二次曲線的な舵角比特性に基づいて舵角比Gを制御する舵角比制御が実行される。
【0038】
そして、切り増し切り戻し操作を行った後、再切り増し操作を行うと、図3のフローチャートにおいて、ステップ42→ステップ43→ステップ44→ステップ46→ステップ48→ステップ49→ステップ54→ステップ55→ステップ56の流れが繰り返され、ステップ49において、最初の切り増し操作時の特性に漸近してゆく舵角比特性に基づいて舵角比Gを制御する舵角比制御が実行される。
【0039】
また、車速Vが設定車速VLを超える高車速域での走行中は、図3のフローチャートにおいて、ステップ42→ステップ43→ステップ44→ステップ45→ステップ54→ステップ55→ステップ56の流れが繰り返され、ステップ45において、図2の基本舵角比特性に基づいて舵角比G(=GN(V))が得られる舵角比制御が実行される。
【0040】
[舵角比の可変制御の考え方]
舵角比Gの可変制御の考え方を説明すると、問題点としている切り戻し操作の速すぎ現象については、運転者の車両挙動の認知の遅れが原因と考えられる。これを対策する方法として、ここでは、切り戻し操作時に早めに車両挙動変化を起こして運転者が分かり易いようにし、これにより、舵角中立付近の操作をゆっくりした操作にさせることを狙いとする。具体的な特性としては、切り戻し操作時には、図4に示すように、操舵角度θ(ステアリングホイール3の回転角度を示す)に対する実舵角度θ’(前輪1FL,1FRのタイヤ角度を示す)の特性を二次曲線とするものである。ただし、切り増し操作時には、操作が自然な一次比例特性とする。
【0041】
この舵角特性とすることで、切り戻し操作時に最初の実舵角度変化、つまり、車両挙動変化が比較的急に起こり、中立付近なるに従って車両の挙動変化が遅くなる動きとなる。なお、車速VL以下における操舵角度の最大値θL、その時の実舵角度をθL'とする。この特性における操舵角度θと舵角比Gの関係を図5に示す。最初の切り増し操作時は、操舵角度θに対する舵角比Gは前述した基本舵角比GN(V)で一定であるが、切り戻し操作時には、最初に舵角比Gが大きくなり、操舵角度θが0になるまでは一定の勾配Aを持つ特性とする。その時の切片は、操舵角度θが0となる時に、実舵角度も0となる切片の値とする。この特性とすることで、図4の操舵角度θ〜実舵角度θ’の特性を実現することができる。
【0042】
ここまで述べた特性は、切り増し切り戻しの2方向操作で中立に戻る操作を想定して基本的な考え方を述べたが、実際の使用では再切り増しを行うケースもある。ここでは、再切り増し操作の場合、単純切り増し操作時の特性に漸近する特性とする。図6に切り増し操作、切り戻し操作後に、再切り増し操作をする場合の操舵角度θと実舵角度θ’の関係を示す。まず、切り増し操作の場合は比例的に増加し、その後、切り戻し操作では、前述のように、二次曲線的に減少し、再切り増し操作の場合、最初の切り増し操作時の特性に漸近してゆく。これを実現するための操舵角度θと舵角比Gの関係を図7に示す。再切り増し操作時は、操作の違和感が少ないように、次の条件を満たす特性としている。
1)操舵角度θに対する舵角比Gの特性は比例(直線)とする。
2)操舵角度が最大値θLの時、実舵角度は最大値θL'とする。
3)操舵角度が最大値θLの時、舵角比Gは基本舵角比GN(V)とする。なお、この場合の最初の切り増し操作、切り戻し操作のロジックは図5で説明した特性と同じである。
【0043】
今まで説明してきた切り増し操作(再切り増し操作を含む)、切り戻し操作(再切り戻し操作を含む)のロジックを式で表すと、以下のようになる。
切り増し操作時の舵角比G:(θ、θの微分値の符号が異なる場合)
G=(θL'−θ’−(θL−θ)・GN(V)・2)/(θL−θ)+GN(V)…(1)
切り戻し操作時の舵角比G:(θ、θの微分値の符号が同じ又はどちらかがゼロの場合)
G=A・θ/2+θ’/θ …(2)
ここで、実舵角度θ’は、以下の式で逐次計算するものとする。
θ’=(前サンプルのθ’)+G・(θの微分値)・(計算周期) …(3)
なお、今まで述べてきたロジックでは、切り戻し時の非線形度をあらわす操舵角度θに対する舵角比Gの勾配値Aは、固定値として説明してきたが、車両挙動を熟知している運転者にとっては非線形度は小さい方が望ましいと考えられる。そこで、運転熟練度に応じてこの勾配値Aの値を変化させることとする。運転熟練度が高い場合は非線形度を小さく、運転熟練度が低い場合は非線形度を大きくする。第1実施例では、運転熟練度の判定指標として、切り増し操作における途中からの切り足し操作の大きさで判定を行う。これは、車両挙動の把握ができていない運転者は、操作前半の予測操舵分が少なく、操作後半で修正操舵を多く行う傾向が推測できるためである。
【0044】
図8に操舵角度と操舵角速度のパターンを示す。まず、切り足し操作を行う場合、操舵角速度が大きくなるため、操舵角速度が最大となるa点を特定する。その場合の操舵角度をθaとして、その角度θaの半分の操舵角度θb(=θa/2)である点をb点とする。そのb点の操舵角速度(θbの微分値)を拾い、2点の操舵角速度の比率をKab(=(θaの微分値)/(θbの微分値))とする。この比率Kabの値が大きいほど熟練度が低い運転者と判定することとする。図9にこの比率Kabの値と戻し時舵角比勾配Aの関係を示す。比率Kabが大きいほど戻し時舵角比勾配Aの値も大きい値とするが、戻し時舵角比勾配Aには上限値と下限値を持つ特性とした。
【0045】
次に、効果を説明する。
【0046】
(1) 舵角比を任意に制御する車両用舵角比制御装置において、低車速域のとき、切り増し操作時には比例的な舵角比特性により舵角比Gを演算し、切り戻し操作時には非線形的な舵角比特性により舵角比Gを演算するようにしたため、低車速域において、違和感の無い自然な切り増し操作を確保しながら、切り戻し操作の安定性を向上させることができる。
【0047】
(2) 低車速域のとき、切り増し操作の場合には一次比例による舵角比特性により舵角比Gを演算し、その後の切り戻し操作では二次曲線による舵角比特性により舵角比Gを演算するようにしたため、低車速域において、違和感が無く自然な切り増し操作を確保しながら、舵角中立付近でふらつき操作とならない安定した切り戻し操作を達成することができる。
すなわち、図4に示すように、切り戻し操作では二次曲線による舵角比特性を用いたため、切り戻し操作の開始時に早めに車両挙動変化を起こして運転者が分かり易いようにし、これにより、舵角中立付近の操作がゆっくりした操作となる。
【0048】
(3) 低車速域のとき、切り増し切り戻し操作後、再切り増し操作を行う場合には、最初の切り増し操作での一次比例による舵角比特性に漸近してゆく特性により舵角比Gを演算するようにしたため、違和感無く応答良く実舵角度θ’に復帰する再切り増し操作を達成することができる。
すなわち、図6に示すように、再切り増しの舵角比特性の勾配は、最初の切り増し操作での舵角比特性の勾配よりも大きくなる。
【0049】
(4) 切り戻し操作時には、舵角比特性が所定の正勾配を持ち、かつ、操舵角度θがゼロの時に実操舵角度θ’がゼロとなる切片を持つようにしたため、図4に示す操舵角度〜実操作角度の特性、及び、図5に示す舵角比特性が実現され、低車速域において、舵角中立付近でふらつき操作とならない安定した切り戻し操作を達成することができる。
【0050】
(5) 切り増し操作時には、舵角比特性が一定勾配を持ち、かつ、操舵角度θが最大値θLの時に舵角比Gが所定値となる勾配と切片を持つようにしたため、図4に示す操舵角度〜実操作角度の特性、及び、図5に示す舵角比特性が実現され、低車速域において、違和感が無く自然な切り増し操作を確保することができる。
【0051】
(6) 運転熟練度検出手段として、2点の操舵角速度の比率Kabを算出するステップ52を設け、切り戻し操作時の非線形舵角比特性の非線形度を表す戻し時舵角比勾配Aを比率Kabにより変化させ、熟練度が低い運転者ほど戻し時舵角比勾配Aを大きな値にするようにしたため、熟練度が低い運転者の場合にはより安定感のある切り戻し操作ができ、熟練度が高い運転者の場合には違和感が抑えられた切り戻し操作ができるというように、運転熟練度にかかわらず最適な切り戻し操作感を達成することができる。
【0052】
(7) 運転熟練度検出手段は、切り増し操作時の2点の操舵角度θa,θbにおける操舵角速度の比率Kabが、切り増し操作における途中からの切り足し操作が大きいことを示す比率であるほど熟練度が低い運転者であると判定するようにしたため、簡単に、しかも、精度良く運転熟練度検出することができる。
すなわち、運転熟練度の判定指標として、切り増し操作における途中からの切り足し操作の大きさで判定を行うが、これは、車両挙動の把握ができていない運転者は、操作前半の予測操舵分が少なく、操作後半で修正操舵を多く行う傾向が推測できることによる。
【0053】
(他の実施例)
以上、本発明の車両用舵角比制御装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0054】
例えば、第1実施例では、切り戻し操作時には二次曲線による舵角比特性により舵角比を演算する例を示したが、非線形的な特性であれば、二次曲線以外の特性により舵角比を演算するようにしても良い。
【0055】
第1実施例では、ステアリング操作を監視することにより運転熟練度を検出する手段を設けた例を示したが、ステアリング操作とアクセル操作とブレーキ操作の一つ、または、組み合わせを監視することにより運転熟練度を検出ような手段としても良い。
【0056】
第1実施例では、運転熟練度に応じて自動的に切り戻し操作時の舵角比特性の非線形度を変更する例を示したが、例えば、舵角比特性の切り替えスイッチを設け、運転者による切り替え操作により、運転者の好み等に応じて切り戻し操作時の舵角比特性を変更するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用舵角比制御装置を示す全体構成図である。
【図2】第1実施例装置で用いられる基本舵角比特性図である。
【図3】第1実施例の舵角比制御手段で実行される舵角比制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】切り増し操作に続いて切り戻し操作を行った場合の操舵角度〜実操舵角度の関係特性図である。
【図5】切り増し操作に続いて切り戻し操作を行った場合の舵角比特性図である。
【図6】切り増し切り戻し操作の後、再切り増し操作を行った場合の操舵角度〜実操舵角度の関係特性図である。
【図7】切り増し切り戻し操作の後、再切り増し操作を行った場合の舵角比特性図である。
【図8】切り増し操作の途中で切り足し操作を行った場合の操舵角度特性図及び実操舵角度特性図である。
【図9】第1実施例装置で用いられる操舵角度の比率に対する戻し時舵角比勾配特性図である。
【図10】従来の車両用舵角比制御装置での車速に対する舵角比特性図である。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪
2 ステアリング機構
3 ステアリングホイール
4 ステアリングシャフト
5 運転席
6 舵角比可変手段
7 操舵角度検出手段
8 車速検出手段
9 舵角比制御手段

Claims (7)

  1. 操舵角度に対する実操舵角度の伝達比である舵角比を任意に変更可能な車両用舵角比制御装置において、
    外部からの制御指令により舵角比を可変に制御する舵角比可変手段と、
    操舵角度を検出する操舵角度検出手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    切り増し操作を判断する切り増し操作判断手段と、
    切り戻し操作を判断する切り戻し操作判断手段と、
    車速が設定車速以下の低車速域のとき、切り増し操作時には比例的な舵角比特性により舵角比を演算し、切り戻し操作時には非線形的な舵角比特性により舵角比を演算する舵角比演算手段と、
    演算された舵角比となるように前記舵角比可変手段を駆動制御する舵角比駆動制御手段と、
    とを備えたことを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用舵角比制御装置において、
    前記舵角比演算手段は、切り増し操作の場合には一次比例による舵角比特性により舵角比を演算し、その後の切り戻し操作では略二次曲線による舵角比特性により舵角比を演算することを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用舵角比制御装置において、
    前記舵角比演算手段は、切り増し切り戻し操作後、再切り増し操作を行う場合には、最初の切り増し操作での比例的な舵角比特性に漸近してゆく特性により舵角比を演算することを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  4. 請求項2に記載の車両用舵角比制御装置において、
    前記舵角比演算手段は、切り戻し操作時には、舵角比特性が所定の正勾配を持ち、かつ、操舵角度がゼロの時に実操舵角度がゼロとなる切片を持つことを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  5. 請求項2に記載の車両用舵角比制御装置において、
    前記舵角比演算手段は、切り増し操作時には、舵角比特性が一定または負の勾配を持ち、かつ、操舵角度が最大の時に舵角比が所定値となる勾配と切片を持つことを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の車両用舵角比制御装置において、
    運転熟練度を検出する運転熟練度検出手段を設け、
    前記舵角比演算手段は、切り戻し操作時の非線形舵角比特性の非線形度を運転熟練度により変化させ、熟練度が低い運転者ほど非線形度を大きくすることを特徴とする車両用舵角比制御装置。
  7. 請求項6に記載の車両用舵角比制御装置において、
    前記運転熟練度検出手段は、切り増し操作時の2点の操舵角度における操舵角速度の比率が、切り増し操作における途中からの切り足し操作が大きいことを示す比率であるほど熟練度が低い運転者であると判定することを特徴とする車両用舵角比制御装置。
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