JP3692417B2 - 制震壁構造及び制震壁ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の揺れを抑える制震壁構造及び制震壁ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図30に示すように、梁34と柱36で構成された建物の架構40の空間部を、耐震壁50で閉塞し、地震力等により架構40の変形を拘束するようにしたものがある。この耐震壁50は力で地震力に抵抗しているため、耐震壁自体の耐力が重要になってくる。
【0003】
しかし、例えば、鉄筋コンクリートの耐震壁では、耐震力を大きくすることができるが、大きな外力が入力されると、脆性的な破壊を起こし易い。一方、既存建物の耐震改修には、社会的なニーズがあるが、従来の耐震壁は施工が大掛りになるため、耐震壁に替わって建物を地震等の外力から守る構造技術が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事実を考慮し、架構の空間部へ簡単に構築することができる制震壁構造及び制震壁ユニットを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、梁材と柱材で構成された架構の空間部に剛性或は準剛性を備えた制震部材が配置される。この制震部材と架構の間には、粘弾性或は弾塑性を備えた保持部材が介在され架構に対して制震部材が縁を切った状態で、相対移動可能に保持される。
【0006】
従って、架構に地震等の外力が作用して変形すると、架構と制震部材が相対変位する。このため、保持部材が変形して減衰力を発揮して、架構の振動エネルギーを吸収する。このように、本発明は、従来のように、耐震壁で架構の変形を抑えるという考えではなく、制震部材は、それ自体が大きく変形しない程度の強度を備えればよいので、準剛性部材でもよい。この結果、従来の耐震壁のように、制震部材が脆性的破壊を起こすことがない。
【0007】
また、保持部材としては、粘弾性或は弾塑性のどちらの機能を備えるものであても、充分な制震効果を期待することができる。
【0008】
また、制震部材を立面視にて矩形状とし、この制震部材の角部と梁材とを連結部材で連結している。この連結部材の連結位置は、連結部材の軸線が、制震部材の対角線と角度を持つように設定されている。
【0009】
このため、架構に地震等の外力が作用して変形すると、連結部材が制震部材に回転力を付与して、架構と制震部材との相対変位量を大きくする。これより、保持部材が大きく変形して大きな減衰力を発揮して、架構の振動エネルギーを吸収する。
【0010】
請求項2に記載の発明では、制震部材が矩形状の枠体とされ、この枠体の中に窓が配置されている。これにより、従来のように、架構で区画された空間部を耐震壁で閉塞する構造と比較すると、設計の自由度が大きくなり、居住性能も向上する。
【0011】
請求項3に記載の発明では、上下の梁材に接合される柱材の上下が軸力のみを伝えるピン支持構造とされている。従って、柱材は、基本的に曲げモーメントによる応力を考慮することなく、軸力のみを考慮して設計できるので、設計断面が小さくできコストを削減できる。このような設計思想は、柱材が倒壊しても、制震部材が梁材を支える、フェールセーフとして機能することから生まれる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、梁材と柱材で区画された空間部に配置される制震壁の端面には取付部材が対面して配置されている。取付部材と制震壁の端面との間には、粘弾性或は弾塑性を備えた減衰部材が介在しており、この減衰部材を変形させた状態で、取付部材が制震壁に拘束部材で拘束されている。
【0013】
そして、取付部材が拘束部材で拘束された状態で、制震壁を梁材と柱材で区画された空間部に設置する。ここで、拘束部材を解除すると、変形した減衰部材が弾性復元(完全に自由状態となるのでなく、まだ変形している)して取付部材を梁材及び柱材に圧着させる。これにより、制震壁は、減衰部材を介在した状態で、架構に対して縁を切られた状態で、相対移動可能に保持される。
【0014】
このため、梁材及び柱材に地震等の外力が作用して変形すると、梁材及び柱材と制震壁が相対変位する。このため、減衰部材が変形して減衰力を発揮して、梁材及び柱材の振動エネルギーが吸収される。
【0015】
請求項5に記載の発明では、制震壁の端面に収納部が凹設されており、減衰部材としてのゴム球が収納部に収納されている。このゴム球は、取付部材から突設された押圧部が収納部へ挿入されたとき、押圧部に押されて変形する。
【0016】
このように、ゴム球を潰して強制変位を与え、架構の振動エネルギーを吸収させ、建物の地震動等の外力に対する応答を低減させるものである。また、ゴム球は安価であるため、制震効果を発揮する減衰部材として手軽に採用することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、ゴム球の配置方法、配置個数、ゴム種類の変更或いはそれらの組み合せにより、ゴム球の弾性剛性を変えることで、制震壁の減衰力とストロークを調整することができる。
【0018】
例えば、収納部の底面と押圧部の先端面との間に2個のゴム球を積み重ねたとき、底面と先端面の間では直列となり、底面と先端面の面方向には並列となる。従って、直列方向には、ストロークが大きく減衰力も大きくなるが、並列方向には、ストロークが小さく剛性が大となる。
【0019】
また、収納部の底面に高減衰ゴム製のゴム球を2個、その2個の間に剛性の高い天然ゴム製のゴム球を1個置くような組み合わせをすることにより、限られた収納空間において減衰力を調整できる。
【0020】
請求項7に記載の発明では、減衰部材が円柱状のゴム体で構成され、ゴム体の上下面が制震壁の端面と取付部材に各々固定されている。本構成では、標準化された一般住宅のような場合、制震要素としての制震壁の重量と予想される架構の変位量から、適切な減衰力を発揮する単体のゴム体を造ることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、減衰部材が鉄板とゴム板を交互に積層した積層部材で構成され、積層部材の上下面が制震壁の端面と取付部材に各々固定されている。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1を参照しながら、本形態に係る制震壁ユニット10を説明していく。なお、本形態では、軸組み工法で建てられた住宅を想定して木材で制震壁ユニットを構成したが、鉄骨構造、RC構造の高層ビルの場合、それに適した強度と重量を備えた制震壁ユニットを鉄骨等で構成することが好ましい。
【0025】
制震壁ユニット10は、平板で作られた制震壁12を構成要素としている。この制震壁12は、せん断変形しないような面内剛性の高い壁であり、材質は問わないが、格子枠や積層パネルで構成するのが好ましい。なお、制震壁12は、曲げ変形しても構わない。
【0026】
制震壁12の四方には、角材で構成された取付部材14が配置されている。取付部材14と制震壁12とが対向する面には、取付部材14側に台形状の押圧部16が所定の間隔で突設され、制震壁12側には押圧部16が挿入可能に所定のクリアランスを持って台形状に凹設された収納部18が形成されている。
【0027】
このクリアランスは、図2に示すように、収納部18の開口幅L1が押圧部16の付け根幅L2より大とされ、また、収納部18の深さDが押圧部16の高さhより大とされる大きさである。一方、収納部18の底面と押圧部16の先端面の面積は略同一とされている。
【0028】
このため、取付部材14に対して、図9及び図10に示すように、制震壁12はテーパー18A側、すなわち、面内方向への回動が許容される。なお、面内方向と直交する方向への動きも許容されているが、クリアランスはほとんどなく、動きは小さいものとなっている。
【0029】
また、収納部18の底面18Bには、互いに隙間を置いて2個のゴム球20が、このゴム球20の間に正面視にて三角形となるように1個のゴム球22が積み重ねられている。ゴム球20、22の外径は、収納部18の底面18Bの幅と略同一であり、底面18Bの幅は、底面18Bの長さの約1/2となっている。従って、底面18Bに配置された2個のゴム球20は、積み重ねられたゴム球22に押し広げられ、隙間を空けた状態でテーパー面18Aで保持され潰れ過ぎない構成となっており、また、底面18Bの幅方向には変形しない。このため、制震壁12は主に底面18Bの長さ方向(X方向)に減衰力が発揮できる構成となっている。
【0030】
さらに、ゴム球20は高減衰ゴムで成形されており、軟らかくて変形のストロークが大きい。一方、ゴム球22は天然ゴムで成形されており、硬くて変形のストロークが小さい。すなわち、本形態では、ゴム球の材料となるゴムの種類を変えることで、弾性剛性及び減衰の大きさを調整することができる。
【0031】
また、集合体としてのゴム球20、22は、図9に示すように、底面18Bと平行な方向(X方向)には並列配置となり、底面18Bと直交する方向(Y方向)には直列配置となる。別の言い方をすれば、押圧部16がX方向に変位するときは、2個のうち1個のゴム球20と、積み重ねられたゴム球22が変形し、押圧部16がY方向に変位するときは、2個のゴム球20と、積み重ねられたゴム球22が、それぞれ変形することを表している。これによって、収納部18に収納されたゴム球を集合体として、変形のストロークの大きさを調整することができる。
【0032】
上記のように、本形態では、XY方向に対するゴム球の積み重ね方、ゴムの種類、ゴム球の個数、或いはこれらの組み合せによって、必要とされる減衰力と変形ストロークを得ることができる。
【0033】
一方、図1に示すように、制震壁12の周囲には係止孔24が穿設されている。同様に、取付部材14の上面にも係止孔26が穿設されている。これらの係止孔24、26には、ゴム球20、22を変形させ収納部18へ押し込む、押圧部16が跳ね返されないように、U字状のストッパー28の挿入部28Aが嵌め込まれる。
【0034】
すなわち、このストッパー28によって、ゴム球20、22を変形させた状態で、制震壁12と取付部材14とが一体となった制震壁ユニット10として取り扱うことができる。なお、ストッパー28には、ハンドル28Bが設けられており、ストッパー28を把持し易くなっている。そして、図6(B)に示すように、制震壁ユニット10を梁34と柱36とで構成された架構40の空間部に配置して、ストッパー28を取り外せば、ゴム球20、22の復元力によって、取付部材14が梁34と柱36に圧着され、制震壁12がゴム球20、22を介して、架構40と縁を切った状態で架構40に取付けられる。
【0035】
また、図3及び図4に示すように、制震壁12の角部は凹部12Aを持つように切り取られており、凹部12Aには、受けブロック30が固定されている。この受けブロック30には、制震壁12側に凹設する湾曲した面を持つ支承部30Aが形成されている。
【0036】
支承部30Aには、棒状の連結ピース32(木製)の端部に形成された球面部32Aが当接している。また、梁34と柱36の連結部の隅部にも受けブロック38が取付けられている。この受けブロック38には、支承部30Aと面するように、湾曲した面を持つ支承部38Aが形成されている。この支承部38Aには、連結ピース32の端部に形成された球面部32Bが当接している。
【0037】
すなわち、制震壁12は、連結ピース32によって四隅を、架構40の空間部に浮いた状態で支えられている。また、連結ピース32は、支承部と球面部の作用によって、当接部が回動可能となっており、図4に示すように、連結ピース32の軸線S1が制震壁12の対角線S2と角度を持つ角度に設定されている。
【0038】
このような構成により、図5に示すように、架構40が地震や強風等により矢印方向へ変位したとき(柱36を示す実線)、連結ピース32が制震壁12を斜めに突っ張り、反時計回りに回転させる。この連結ピース32の影響の大きさは、実線で示す制震壁12で示されており、二点鎖線で示す制震壁12は、連結ピース32の軸線と対角線を一致させたときの変位状態を示す。
【0039】
従って、連結ピース32の取付角度を工夫することで、架構40が変位したとき、制震壁12の変位量を増幅させることができる。これによって、ゴム球20、22が大きく変形して、大きな減衰力を発揮し、架構40の振動を低減する。
【0040】
なお、本形態では、架構40が木造であるため、連結ピース32を木製として、受けブロック30、38に圧着させることで、連結金具等を省略して錆で木材が黒くならないように配慮した。しかし、鉄骨構造の場合、制震壁が重いRC構造となるため、図17に示すように、圧縮引張部材としてスチール製のワイヤ70をピン72を介して連結して、制震壁74を吊下するようにしてもよく、また、図18に示すように、ワイヤ76を架構40と制震壁74との間へX字状に掛け渡して、制震壁74を吊下することもできる。これにより、下側のゴム球の潰れ過ぎを防止することができる。
【0041】
さらに、ワイヤにダンパー機能を持たせ、この部分に減衰機能を発揮させることも可能である。例えば、図19及び図20に示すように、スチールアーム78の端部と取付フランジ80との間に高減衰ゴム82を加硫接着して、スチールアーム78を高減衰ゴム82でサンドイッチ(積層構造)にしてもよい。
【0042】
これにより、制震壁として機能する窓枠84に取付フランジ80を固定し、他方の取付フランジ80を梁34に固定することで、架構40が変位したとき、高減衰ゴム82の捩り変形によって、架構40の振動エネルギーを吸収することができる。
【0043】
次に、本形態に係る制震壁ユニットの取付方法を説明する。
【0044】
図6(A)に示すように、先ず、梁34と柱36の連結部の隅部に受けブロック38を取付ける。次に、図6(B)に示すように、制震壁ユニット10を架構40の空間部に配置して、受けブロック32と受けブロック38の間に連結ピース32を取付ける。このとき、図4に示すように、連結ピース32の軸線S1が制震壁12の対角線S2と所定の角度を持つように調整する。
【0045】
ここで、ストッパー28を取り外すと、図6(C)に示すように、取付部材14が四方へ広がり、梁34及び柱34に圧着され、ゴム球20、22を介在して架構40に対して制震壁12が縁を切った状態で、図7に示すように、相対移動可能に保持される。
【0046】
このような状態、架構40に地震等の外力が作用して変形すると、図8に示すように、架構40と制震壁12が相対変位する。このため、ゴム球20、22が変形して減衰力を発揮して、架構40の振動エネルギーを吸収する。なお、収納部と押圧部によって封入されたゴム球20、22は封じられた水と同じように体積変化しないので、架構40の変形に確実に追従することができる。
【0047】
また、連結ピース32の取付角度を調整することで、架構40が変位したときの制震壁12の変位量を増幅させることができる。これによって、ゴム球20、22が大きく変形し、大きな減衰力を発揮して、架構40の振動エネルギーを吸収すると共に、揺れに対する建物の応答を低減させる。さらに、制震壁12の重量とゴム球20、22の弾性剛性及び減衰力の大きさを調整すれば、TMD(チューンドマスダンパー)として、制震効果を高めることができる。
【0048】
また、本形態のようにユニット形式として、架構と緊結しないようにすれば、既存建物の耐震改修が簡単にできる。
【0049】
さらに、ゴム球は定型の金型で比較的に安価に製造できる。このため、予め多数のゴム球を製造して、収納部の大きさを変え、ゴム球の配置方法、配置個数、ゴム種類の変更或いはそれらの組み合せにより、ゴム球の弾性剛性を変えることで、制震壁の減衰力とストロークを調整することができる。
【0050】
なお、本形態では、減衰部材としてゴム球を使用したが、板ばねを制震壁と架構との間に直接介在させて、架構に対して制震壁と縁を切った状態で、相対変位可能に保持するようにしてもよい。
【0051】
例えば、図21に示すような長柱状のワイヤダンパ86や、図22に示すような球状のワイヤダンパ88を(本出願人が発明した制震ダンパー:特開平11−81735号公報を参照)、制震壁と架構との間に配置してもよい。
【0052】
また、制震壁は耐力壁として機能させることもできるので、柱36の上下を軸力のみを伝えるピン支持構造として、基本的に曲げモーメントによる応力を考慮することなく、軸力のみを考慮した設計断面とすることができる。すなわち、柱36が倒壊しても、梁を支えるフェールセーフとして制震壁を機能させるのである。
【0053】
さらに、図11及び図12に示すように、制震壁に替えて、架構44の空間部に矩形枠状の剛性枠46を配置し、ゴム球20、22を介して架構44の振動エネルギーを吸収することも可能である。なお、この構成では、連結ピースが図示されていないが、連結ピースを設けることは無論可能である。このように、制震壁を枠形状とすることで、サッシュ等の窓を取付けることができるようになり、架構の空間部を閉塞する構造と比較すると、設計の自由度が大きくなり、居住性能も向上する。
【0054】
また、図13に示すように、架構44の空間部に2つの剛性枠48を配置して、左側の剛性枠48に押圧部50を右側の剛性枠48に押圧部50が入り込む収納部52を形成し、収納部52の中にゴム球20、22を配置することもできる。この構成では、図14に示すように、架構44が変位したとき、それぞれの剛性枠48の変位量が増幅されるので、ゴム球20、22が大きく変形して、架構44の揺れを減衰させる効果が大きくなる。
【0055】
なお、図15及び図16に示すように、ゴム球に替えて、円柱状のゴム体54を制震壁12と取付部材14との間に配置するようにしてもよい。このゴム体54の端面は、それぞれ制震壁12の端面と取付部材14に接着されている。このように単体のゴム体54とすることで、組み付けが容易になる。
【0056】
また、本構成では、標準化された一般住宅のような場合、制震要素としての制震壁の重量と予想される架構の変位量から、弾性剛性を設定することが好ましい。
【0057】
さらに、本形態では、ゴム球を2段重ねにして使用したが、1個のゴム球でも良いことは無論である。また、図23に示すように、3個のゴム球90を三角形状に並べ、樹脂材料で拘束してゴム体92とし(俗にいう今川焼きの相似形)、収納部18へ収納する構成でも構わない。これにより、ゴム球の取り扱いが容易となる。
【0058】
また、図24及び図25に示すように、制震壁12に凹部94を、取付部材14に凹部96をそれぞれ形成し、この凹部94と凹部96の間にスチール製の連結板98を配置して、高減衰ゴム100で凹部94、96を充填してもよい。これは所謂積層タイプを称するもので、高減衰ゴム100が捩り変形することで、架構40の振動エネルギーが吸収される。
【0059】
さらに、制震壁12に凹部(図示省略)を形成し、取付部材14に凹部と接触する突部を形成して、摩擦ダンパーとし架構の振動エネルギーを吸収することも可能である。
【0060】
また、図26に示すように、制震壁12に長状の収納部200を、取付部材14には収納部200へ挿入可能な長板状の押圧部202を形成して、ゴム球20、22を一列にして収納部200の底面へ配置してもよい。この構成では、制震壁12と取付部材14の加工が容易となり、また、減衰性能の異なるゴム球20、22の配列を変えることで、弾性剛性と減衰力の大きさを調整することができる。
【0061】
さらに、図15に示すゴム体54に替えて、図27に示すように、鉄板204とゴム板206を交互に積層した積層ゴム208を、制震壁12と取付部材14との間に配置してもよい。
【0062】
また、図21に示すワイヤダンパ86に替えて、図28に示すように、制震壁74と架構40との間に水平トグル210とコイルばね212を配置してもよい。この水平トグル212とは、本出願人が提案した振動制御機構に用いられるものであるが(特開平10−280726号参照)、簡単に言えば、制震壁74と架構40に連結されたアーム214の連結部にエネルギー吸収部材216を配置して(例えば摩擦板)、エネルギー吸収部材216の動きをトグル機構で増幅させて、振動エネルギーを吸収するものである。
【0063】
さらに、図29に示すように、制震壁12が上下に大きく変位する部分には、弾塑性ダンパー220を入れることにより、剛性を上げると共に弾塑性ダンパー220により振動エネルギーを吸収するようにしてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、架構の空間部を利用して建物を簡単に制震壁構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本形態に係る制震壁ユニットを示す分解斜視図である。
【図2】本形態に係る制震壁ユニットのゴム球の配置状態を示す斜視図である。
【図3】本形態に係る制震壁ユニットの連結ピースの配置状態を示す斜視図である。
【図4】本形態に係る制震壁ユニットの制震壁と連結ピースの関係を示す正面図である。
【図5】本形態に係る制震壁ユニットの制震壁と連結ピースの関係を示し、架構が変位した状態を正面図である。
【図6】本形態に係る制震壁ユニットの取付方法を示す正面図である。
【図7】本形態に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図8】本形態に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられ、架構が変位した状態を示す正面図である。
【図9】本形態に係る制震壁ユニットのゴム球の配置状態を示す断面図である。
【図10】本形態に係る制震壁ユニットのゴム球の配置状態を示し、架構が変位した状態を示す断面図である。
【図11】変形例に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図12】変形例に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられ、架構が変位した状態を示す正面図である。
【図13】他の変形例に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図14】他の変形例に係る制震壁ユニットが架構に取り付けられ、架構が変位した状態を示す正面図である。
【図15】本形態に係る制震壁ユニットのゴム体の配置状態を示す断面図である。
【図16】本形態に係る制震壁ユニットのゴム体の配置状態を示し、架構が変位した状態を示す断面図である。
【図17】本形態に係る制震壁ユニットの制震壁をワイヤで支持した形態を示す正面図である。
【図18】本形態に係る制震壁ユニットの制震壁をワイヤで支持した他の形態を示す正面図である。
【図19】本形態に係る制震壁ユニットの連結部材に減衰機能を持たせた形態を示す要部斜視図である。
【図20】本形態に係る制震壁ユニットの連結部材に減衰機能を持たせた形態を示す正面図である。
【図21】ダンパーの例を示す分解斜視図である。
【図22】ダンパーの例を示す斜視図である。
【図23】ゴム体の他の態様を示す要部断面図である。
【図24】ダンパーの他の例を示す要部断面図である。
【図25】ダンパーの他の例を示す要部断面斜視図である。
【図26】変形例に係る制震壁ユニットのゴム球の配置状態を示す斜視図である。
【図27】積層ゴムを取付けた例を示す正面図である。
【図28】水平トグルを取付けた例を示す正面図である。
【図29】制震壁の上下に弾塑性ダンパーを取付けた例を示す正面図である。
【図30】従来の耐震壁を示す正面図である。
【符号の説明】
12 制震壁(制震部材)
14 取付部材
16 押圧部
18 収納部
20 ゴム球(保持部材、減衰部材)
22 ゴム球(保持部材、減衰部材)
28 ストッパー(拘束部材)
32 連結ピース(連結部材)
40 架構
46 剛性枠(枠体)
48 剛性枠(枠体)
54 ゴム体

Claims (8)

  1. 梁材と柱材で構成された架構と、前記架構で区画された空間部に配置され剛性或は準剛性を備えた制震部材と、前記制震部材と前記架構の間に介在して、前記架構に対して制震部材を相対移動可能に保持すると共に粘弾性或は弾塑性を備えた保持部材と、を備え、
    前記制震部材を立面視にて矩形状とし、この制震部材の角部と前記梁材とを連結する連結部材の軸線が、制震部材の対角線と角度を持つように、連結部材の連結位置を設定し、前記架構が変形したとき前記制震部材に回転力を付与することを特徴とす制震壁構造。
  2. 前記制震部材を矩形状の枠体として、この枠体の中に窓を配置したことを特徴とする請求項1に記載の制震壁構造。
  3. 上下の梁材に接合される前記柱材の上下を軸力のみを伝えるピン支持構造としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制震壁構造。
  4. 梁材と柱材で区画された空間部に配置される制震壁と、前記制震壁の端面に対向して配置される取付部材と、前記取付部材と前記制震壁との間に介在し粘弾性或は弾塑性を備えた減衰部材と、前記減衰部材を変形させた状態で前記取付部材を前記制震壁に拘束する拘束部材と、を有することを特徴とする制震壁ユニット。
  5. 前記制震壁の端面に凹設された収納部と、前記収納部へ収納された前記減衰部材としてのゴム球と、前記取付部材から突設され、前記収納部へ挿入され前記ゴム球を変形させる押圧部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の制震壁ユニット。
  6. 前記ゴム球の配置方法、個数、ゴム種類の変更或いはそれらの組み合せにより、前記制震壁の減衰力とストロークを調整することを特徴とする請求項5に記載の制震壁ユニット。
  7. 前記減衰部材が円柱状のゴム体で構成され、ゴム体の上下面が前記制震壁の端面と取付部材に各々固定されたことを特徴とする請求項4に記載の制震壁ユニット。
  8. 前記減衰部材が鉄板とゴム板を交互に積層した積層部材で構成され、積層部材の上下面が前記制震壁の端面と取付部材に各々固定されたことを特徴とする請求項4に記載の制震壁ユニット。
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