JP2008285902A - 制振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率良く振動のエネルギー吸収が可能で、建物の剛性を高める耐震機能を併せ持つ制振装置を提供する。
【解決手段】建物の軸組みフレームに取り付けられる制振装置20であって、上部取付金具を用いて軸組みフレームの上部仕口部に連結された一対構成のブレース9と、軸組みフレームの下部に設置された箱型状のケース1と、このケース1に設けた一対の軸2により隅部を回動可能に支持された一対構成の可動プレート8と、粘弾性材14とこの粘弾性材14を挟んだケース取付板13、プレート取付板12とを具備し、ケース1と可動プレート8との間に介在配置した粘弾性体4と、可動プレート8の他端側に配置した前記可動プレート8を介してブレース9に張力を作用する張力付与機構部17とを具備し、軸2とプレート取付板12の可動プレート8に対する取り付け位置との寸法を、軸2と前記隅部との寸法より大きく設定する制振機構部を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、制振装置に関し、詳しくは、例えば戸建て住宅に設置され、交通振動や地震等による振動を低減させる制振装置に関するものである。
例えば、戸建て住宅等に設置される制振装置については、エネルギー吸収部材として粘弾性体、オイルダンパ、金属系や摩擦を用いるものが提案されている。しかし、オイルダンパは高価で油漏れの恐れがあり、金属系や摩擦を用いた場合は微振動で効果が発揮できない。
粘弾性体をエネルギー吸収材として利用しているものに、例えば特許文献1に開示された木造家屋の耐震補強構造が知られている。この耐震補強構造は、柱と梁との間に変位板、粘弾性体を用いた粘弾性ダンパーを取り付けたものであり、仕口部に設置するもので相対変位が小さくエネルギー吸収効率が必ずしも十分でない。
特許文献2には、壁パネルの開口部に制振装置を取り付けた制振壁パネルが開示されている。この制振壁パネルは、振動による変形を振り子の回転運動に拡大して粘弾性体に伝達することによってエネルギー吸収効率を高めようとするものである。この制振パネルの場合、全体として剛性が必要なことから大形となり重くなり高価となる。また、既存の住宅への施工が難しい。
特許文献3に開示された制震工法がある。この場合、ブレースの変位を拡大して粘弾性体に伝達しエネルギー吸収効率を高めようとするものであるが、変位拡大機構が大形となり、部品点数も多くなり高価となる。また、開示例で変位拡大機構が揺動可能とした場合、粘弾性体は回転変形となるため変位した時の応力分布は均等にならないためエネルギー吸収効率が低くなる。
特開2000−160683号公報 特開2006−152788号公報 特開2006−152722号公報
本発明が解決しようとする課題は、交通振動などの微小振動から大地震まで効率良く振動のエネルギー吸収が可能で、しかも建物の剛性を高める耐震機能を併せ持つ制振装置が存在しない点である。
本発明は、建物の柱と梁とから構成される軸組みフレームに取り付けられる制振装置であって、上部取付金具を用いて他端側を軸組みフレームの上部仕口部に連結したブレースと、前記軸組みフレームの下部に設置され、前記ブレースの一端側の下部取付金具に連結され、振動に伴う前記ブレースの変位を変位拡大機構により拡大して粘弾性体を変形させこの粘弾性体のせん断変形により振動エネルギーを吸収するとともに、前記ブレースに張力を付与する張力付与機構部を備えた制振機構部と、を有することを最も主要な特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、制振機構部を軸組みフレームに配置し、上部仕口部にブレースを介して連結し、この制振機構部に設けた粘弾性体のせん断変形により、建物に加わる交通振動等の微振動や地震の振動を効果的に低減でき、また、張力付与機構部によってブレースに張力が常に働くことによりブレースが細くても座屈することなく、張力付与機構部により建物の剛性が高められ、更に設置が簡単で新築は勿論、既存の建物にも極めて適用が容易である安価、かつ、コンパクトな制振装置を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、張力付与機構部を、箱型状のケースと、このケースに設けた一対の軸により一端側の隅部を回動可能に支持されブレースからの外力作用方向に延在した一対構成の可動プレートと、粘弾性材とこの粘弾性材を挟んだケース取付板、プレート取付板とを具備し前記ケース底面又はケース蓋面と前記可動プレートとの間に介在配置した粘弾性体と、前記可動プレートの他端側に配置した前記一対構成の可動プレートに対してばねによる圧縮力を付与することで前記一対構成のブレースに張力を作用するように構成し、かつ、軸とプレート取付板の可動プレートに対する取り付け位置との寸法を、前記軸と前記隅部との寸法より大きく設定することで構成される変位拡大機構部とした制振機構部を備える構成で、粘弾性体の均一なせん断変形を発揮させつつ請求項1記載の発明と同様の効果を奏する制振装置を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な構成とし、かつ、ブレースにターンバックルを介在させるとともに、張力付与機構部として、可動プレートの他端側に取り付けたばね支持体に対して前記可動プレートのプレート面と同方向となるように、かつ、各々外方に突出するように貫通させた棒体と、この棒体の突出部分に嵌装した一対の可動プレートに対して圧縮力を付与する一対構成のばねとを備える構成の基に、請求項2記載の発明と同様の効果を奏する制振装置を提供することができる。
本発明は、交通振動などの微小振動から大地震まで効率良く振動のエネルギー吸収が可能で、しかも建物の剛性を高める耐震機能を併せ持つ制振装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を、建物の柱と梁とから構成される軸組みフレームに取り付けられる制振装置であって、上部取付金具を用いて他端側を軸組みフレームの上部仕口部に連結された一対構成のブレースと、前記軸組みフレームの下部に設置されたケース蓋を含む箱型状のケースと、このケースに設けた一対の軸により一端側の隅部を回動可能に支持されブレースからの外力作用方向に延在した一対構成の可動プレートと、粘弾性材とこの粘弾性材を挟んだケース取付板、プレート取付板とを具備し前記ケース底面又はケース蓋面と前記可動プレートとの間に介在配置した粘弾性体と、前記可動プレートの他端側に配置した前記一対構成の可動プレートに対してばねによる圧縮力を付与することで前記一対構成のブレースに張力を作用する張力付与機構部とを具備し、前記軸とプレート取付板の可動プレートに対する取り付け位置との寸法を、前記軸と前記隅部との寸法より大きく設定することで構成される変位拡大機構部とした制振機構部と、を有する構成により実現した。
以下に、本発明に係る制振装置の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る制振装置20を建物の柱22と梁23とから構成される軸組みフレーム21に設置した例を示すものである。
本実施例に係る制振装置20は、図1に示すように、建物の柱22と梁23とから構成される軸組みフレーム21内の下部に設置された制振機構部11と、軸組みフレーム21内において一端側が下部取付金具9aを用いて前記制振機構部11における一対構成の可動プレート8(詳細は後述する)の上部における後述する軸2の位置とは異なる箇所にピン9cを用いて連結され、他端側が上部取付金具9bを用いて上部仕口部24の2箇所に略V状を呈するように連結された一対構成で途中に各々ターンバックル10を介在させたブレース9とを有している。
前記制振機構部11は、四角箱形状のケース本体1a、ケース蓋1b及びケース本体1aの下部から突出した取付片1cを具備し全体として略四角箱形状に形成したケース1と、このケース1のケース本体1aの底板1dとケース蓋1bとの間に一定間隔をもって架設しナット2aを用いて固定した一対構成の軸2と、一対構成の軸2により各々その上隅部を回動可能に対称配置に軸支した略長方形状に形成した一対構成の可動プレート8と、前記可動プレート8の長さ方向中央位置においてこの可動プレート8とケース蓋1b間、前記可動プレート8と底板1d間に表裏配置で取り付けた片側2個、両側で合計4個の粘弾性体4と、前記一対の可動プレート8の下部において、これら一対の可動プレート8間に連結され、一対の可動プレート8に対して互いに接近する方向の圧縮力を付与し、前記ブレース9に張力を作用させる張力付与機構部17と、を有している。
前記ケース1は、軸組みフレーム21の下部の固定部材25に前記取付片1cを連結することで軸組みフレーム21に固定している。
前記粘弾性体4は、図2、図3、図4に示すように、長方形状のプレート取付板12と、同じく長方形状のケース取付板13とにより直方体状の例えば高減衰ゴム材等からなる粘弾性材14を各々の取付端が側方に突出するように挟み込むとともに、ケース取付板13の取付端側をピン5を用いて前記ケース蓋1b(又は底板1d)に固定し、また、プレート取付板12の取付端側をピン3を用いて前記可動プレート8の中央部に固定している。
前記可動プレート8における軸2と,下部取付金具9aの取り付け位置までの寸法よりも、前記軸2と、プレート取り付け板12のピン3までの寸法を大きく設定し、これにより変位拡大機構部を構成している。
前記張力付与機構部17は、図2に示すように、前記一対の可動プレート8の下端部に各々取り付けたばね支持体15に対して棒体7を前記可動プレート8のプレート面と同方向となるように、かつ、各々外方に突出するように貫通させるともに、棒体7の突出部分に一対のばね(圧縮コイルばね)6を嵌装し、更に各ばね6を止め金具16を用いて棒体7から離脱しないように止め付け、これにより、一対の可動プレート8に対して圧縮力を付与し、これら可動プレート8を介して前記一対のブレース9に張力を作用するように構成している。
前記ばね6は、図示のような圧縮コイルばねの他に、引張ばね、皿ばね等を採用することもできる。また、前記粘弾性体4は、上述したように可動プレート8の両側に取り付けても、可動プレート8の片側だけに取り付けても良い。
次に、上述した構成の本実施例に係る制振装置20による振動に対する制振動作について図5をも参照して説明する。
本実施例に係る制振装置20によれば、上述した構成から明らかなように、建物の柱22と梁23とから構成される軸組みフレーム21内の下部に設置された前記制振機構部11を途中にターンバックル10を介在させた略V状を呈する一対のブレース9を用いて上部仕口部24に連結しているので、前記軸組みフレーム21に対して交通振動又は地震振動等に伴う外力が作用したとき、効率良くその振動エネルギーを吸収することができる。
すなわち、図5に示すように、例えば前記一対のブレース9のうち一方のブレース9に矢印a方向、他方のブレース9に矢印b方向の外力が作用した場合、前記一対の可動プレート8は軸2を支軸として各々反時計方向に回動し、これにより、前記一対の粘弾性体4に可動プレート8の回動に伴うせん断力(矢印c方向)が作用して各粘弾性体4はせん断変形する。この状態を図5に示す。
このとき、前記可動プレート8における軸2と下部取付金具9aの取り付け位置までの寸法よりも、軸2とプレート取り付け板12のピン3までの寸法が大きいので、建物の変形(ブレース9の変位)が拡大されて粘弾性体4に伝達され、この粘弾性体4の均一なせん断変形により外力に対する振動エネルギー吸収が実行される。
このように、本実施例の制振装置20によれば、前記制振機構部11が変位拡大及び均一なせん断変形による振動エネルギー吸収機能を発揮するので、振動エネルギー吸収効率が高い制振装置20とすることができる。
更に、前記一対構成のブレース9に対して、前記張力付与機構部17が一対の可動プレート8を介して前記張力を作用させているために、制振装置20自体の座くつの心配がなく建物剛性を高めることができる。
本発明の制振装置は、木造住宅や軽量鉄骨住宅の新築工事における軸組みフレームへ組み込み、既存の建物の軸組みフレームの耐震補強用等として広範に適用可能である。
本発明の実施例に係る制振装置を建物に取り付けた例を示す概略正面図である。 本実施例に係る制振装置における制振機構部のケース蓋を除去した状態を示す概略正面図である。 図2のA−A線断面図である。 本実施例に係る制振装置における粘弾性体の正面と底面とを示す拡大説明図である。 本実施例に係る制振装置における制振機構部の可動プレートが変位した状態を示す概略説明図である。
符号の説明
1 ケース
1a ケース本体
1b ケース蓋
1c 取付片
1d 底板
2 軸
2a ナット
3 ピン
4 粘弾性体
5 ピン
6 ばね
7 棒体
8 可動プレート
9 ブレース
9a 下部取付金具
9b 上部取付金具
9c ピン
10 ターンバックル
11 制振機構部
12 プレート取付板
13 ケース取付板
14 粘弾性材
15 ばね支持体
16 止め金具
17 張力付与機構部
20 制振装置
21 軸組みフレーム
22 柱
23 梁
24 上部仕口部
25 固定部材
30 制振機構部

Claims (3)

  1. 建物の柱と梁とから構成される軸組みフレームに取り付けられる制振装置であって、
    上部取付金具を用いて他端側を軸組みフレームの上部仕口部に連結したブレースと、
    前記軸組みフレームの下部に設置され、前記ブレースの一端側の下部取付金具に連結されて、振動に伴う前記ブレースの変位を変位拡大機構により拡大して粘弾性体を変形させこの粘弾性体のせん断変形により振動エネルギーを吸収するとともに、前記ブレースに張力を付与する張力付与機構部を備えた制振機構部と、
    を有することを特徴とする制振装置。
  2. 建物の柱と梁とから構成される軸組みフレームに取り付けられる制振装置であって、
    上部取付金具を用いて他端側を軸組みフレームの上部仕口部に連結された一対構成のブレースと、
    前記軸組みフレームの下部に設置されたケース蓋を含む箱型状のケースと、このケースに設けた一対の軸により一端側の隅部を回動可能に支持されブレースからの外力作用方向に延在した一対構成の可動プレートと、粘弾性材とこの粘弾性材を挟んだケース取付板、プレート取付板とを具備し、前記ケース底面又はケース蓋面と前記可動プレートとの間に介在配置した粘弾性体と、
    前記可動プレートの他端側に配置した前記一対構成の可動プレートに対してばねによる圧縮力を付与することで前記一対構成のブレースに張力を作用する張力付与機構部とを具備し、前記軸とプレート取付板の可動プレートに対する取り付け位置との寸法を、前記軸と前記隅部との寸法より大きく設定することで構成される変位拡大機構部とした制振機構部と、
    を有することを特徴とする制振装置。
  3. 建物の柱と梁とから構成される軸組みフレームに取り付けられる制振装置であって、
    上部取付金具を用いて他端側を軸組みフレームの上部仕口部に連結されるとともに、途中にターンバックルを介在させた一対構成のブレースと、
    前記軸組みフレームの下部に設置されたケース蓋を含む箱型状のケースと、このケースに設けた一対の軸により一端側の隅部を回動可能に支持されブレースからの外力作用方向に延在した一対構成の可動プレートと、粘弾性材とこの粘弾性材を挟んだケース取付板、プレート取付板とを具備し、前記ケース底面又はケース蓋面と前記可動プレートとの間に介在配置した粘弾性体と、
    前記可動プレートの他端側に取り付けたばね支持体に対して前記可動プレートのプレート面と同方向となるように、かつ、各々外方に突出するように貫通させた棒体と、この棒体の突出部分に嵌装した一対の可動プレートに対して圧縮力を付与する一対構成のばねとを備え、前記前記一対構成の可動プレートに対して前記ばねによる圧縮力を付与することで前記一対構成のブレースに張力を作用する張力付与機構部とを具備し、前記軸とプレート取付板の可動プレートに対する取り付け位置との寸法を、前記軸と前記隅部との寸法より大きく設定することで構成される変位拡大機構部とした制振機構部と、
    を有することを特徴とする制振装置。
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