JP3691997B2 - オゾン処理システム及び排オゾン吸い込み制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下水、産業排水をオゾン処理するオゾン処理システムに係り、特に、接触池が設置された建築物内でのオゾン漏洩が生じないようにするため、接触池の排オゾンを吸い込むファンを制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のオゾン処理システムは、オゾン発生器、接触池、前段池及び後段池等を備えて構成されている。かかるシステムには、オゾンと被処理水とを接触反応させる接触池が建築物内に配置され、該接触池の上部も屋内に位置するような階層構造を採用するものがある。
【0003】
このような構造を有するオゾン処理システムの下では、外気に開放されておらず人間が触れる虞れのある部位、例えば接触池の上部及び側部にオゾンが漏洩する場合が想定され得る。
【0004】
以下、かかる要因を説明する。すなわち、接触池からの排オゾン引き抜きに関しては、これを制御対象にしないのが一般である。これは、接触池内の水位はほぼ一定で安定したものと見なし、また接触池からの漏れは基本的に無いことを前提とされているためである。
【0005】
このため、従来から、排オゾンファンの吸い込み能力、接触池内が負圧に保てるものとして設計・運用することで漏洩への対処は十分と考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、洗浄時やポンプの台数変動による一時的な水位変動、ろ過池洗浄等の後続処理工程設備の保守、また建築工事の仕上げが不十分であったことから、接触池の土木構造の継ぎ目からの漏洩が発生したケースがある。
【0007】
このため、接触池内の内圧を負圧に維持するよう排オゾン吸い込みファンの回転数を制御する手法が取り入れられた。
【0008】
しかし、単純に圧力を測定して、このフィードバック制御を行うのでは、一時的な圧力変動への追従性が悪く、不安定な制御となりがちである。
【0009】
本発明の目的は、建築物内に接触池等を設置するシステムの場合にあって、接触池の水位変動によって排オゾンが接触池から漏洩しないようにしたオゾン処理システム及び排オゾン吸い込み制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係るオゾン処理システムは、引き込んだオゾンと被処理水とを接触させて当該被処理水をオゾン処理するものであって、排オゾンが上部に充満するため密閉性を有する接触池と、この接触池に流入させる処理水を貯める前段池と、前記接触池から流出する被処理水を貯める後段池と、前記接触池内の排オゾンを吸い込み且つ外部に排出するためのものであって排オゾン吸い込みファンを有する排オゾン吸い込み制御系と、前記接触池、前記前段池及び前記後段池夫々の水位、流入出量及び前記接触池の内圧を計測する計測手段と、この計測手段による計測値に基づき、少なくとも前記排オゾン吸い込み制御系の前記ファンを運転制御する制御手段とを具備するオゾン処理システムにおいて、
前記制御手段は、
前記接触池の水位変動分×接触池の面積に相当する分だけ前記ファンの吸い込み風量を変動させ、前記接触池の内圧変動を防ぐように前記ファンを制御する第1制御モードと、前記接触池の水位計測に基づく前記接触池内の排オゾン気相空間の容量変化と圧力変化とを算出し、該算出値に相当する分だけ前記ファンの吸い込み圧力を変動させて内圧変動を防ぐように前記ファンを制御する第2制御モードとを選択し、該選択した制御モードの制御を実行する手段を具備する。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明に係る排オゾン吸い込み制御方法は、引き込んだオゾンと被処理水とを接触させて当該被処理水をオゾン処理するものであって、排オゾンが上部に充満するため密閉性を有する接触池、この接触池に流入させる処理水を貯める前段池及び前記接触池から流出する被処理水を貯める後段池を備えたオゾン処理システムにおいて、
前記接触池における水位変動を前記前段池における水位及び流入水流量と前記後段池における水位及び流出水流量との変動から予測すると共に、該予測値に伴う前記接触池の内圧変動を吸収するように、前記接触池に付設された排オゾン吸い込みファンを制御することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るオゾン処理システム及び排オゾン吸い込み制御方法によれば、排オゾンを吸い込むためのファンを常時、過剰な吸い込み能力で運用する必要が無くなり、エネルギー効率の向上に貢献することができる。
【0013】
また、本発明によれば、処理場の運用状態によって、接触池からオゾン漏洩が生じる虞が無くなり、安全に保守管理、運用が行えるようになる。
【0014】
さらに、本発明によれば、オゾンを発生のための原料である吸い込み空気量の季節変動による、接触池への散気量の変動分を吸収することができる。
【0015】
また本発明によれば、急激な水位変動時、保守時の操作ミスによって生じる虞のある建築物、機器への悪影響を低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係るオゾン処理システム及び排オゾン吸い込み制御方法の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のオゾン処理システムを示しており、図示しない建築物内に、排オゾンが上部に充満するため密閉性を有し且つ引き込んだオゾンを散気管2を介して被処理水とを接触させて当該被処理水をオゾン処理する三段式接触池1及び図示しないオゾン発生器が設置されている。また、同建築物外には、接触池1に流入させる処理水を貯める前段池18と、接触池1から流出する被処理水を貯める後段池22が設置されている。
【0018】
接触池1内には排オゾン引き抜き管10の一端が導入され、他端は排オゾンガス排出装置11が接続され、該排オゾンガス排出装置11の排気側の配管15には排オゾン引き抜きファン12及びファン吸い込み空気調整弁13が接続され、接触池1内の排オゾンを引き抜くようにしている。
【0019】
前段池18には、水位計19及び水流量計(又はポンプ吐出量計)20が設けられ、接触池1の流入量6が測定され得る。
【0020】
接触池1には、内圧計8及び水位計9が設けられ、接触池1内の排オゾンガスの圧力及び被処理水の水位を計測している。
【0021】
後段池22には、水位計23が設けられ、また接触池1と後段池22との間に流量計21が設けられ、流出量7が規定される。
【0022】
排オゾンガス排出装置11の排気側の配管15には、ファン吸い込み空気風量計14、排風機吸い込み圧力計17、ファンバイパス配管24a、排オゾン引き抜きファンバイパス弁24が設けられている。また排オゾン引き抜きファン12は、インバータ16により駆動制御され得る。
【0023】
一方、図3に示すように、コントローラ100が設けられ、このコントローラ200によりオゾン発生器100は制御される。すなわち、コントローラ100内に設けられたプログラム等を操作者による選択操作又は自動選択により、第1制御モード200Aと第2制御モード200Bとを選択することができる。第1制御モード200Aは、接触池1の水位変動分×接触池1の面積に相当する分だけファン12の吸い込み風量を変動させて接触池1の内圧変動を防ぐように制御するものであり、第2制御モード200Bは、接触池1の水位計測に基づく接触池1内の排オゾン気相空間の容量変化と圧力変化とを算出し該算出値に相当する分だけファン12の吸い込み圧力を変動させて内圧変動を防ぐように制御するものである。この第1,第2制御モード200A,200Bの詳細は後述する。
【0024】
コントローラ100には、内圧計8、水位計9、排オゾンガス排出装置11、インバータ16、空気調節弁13、風量計14、圧力計17、水位計19、流量計20,21、水位計23、バイパス弁24が接続され、これらの計測手段からの計測値に基づきインバータ16の制御ひいてはファン12の回転数制御が行われる。
【0025】
ここで、接触池1に流入する被処理水量及び流出水量に対応する接触池の水位変動及びこれに対応した池内の上部の気相(排オゾン相)の内圧変動は、コントローラ200により随時監視されることになる。
【0026】
そして、該監視の下で、流量計14により確認される排オゾン引き抜き量、又は、圧力計17により確認される排オゾン吸い込み圧力を制御目標値とした排オゾン引き抜きファンの運転制御が行われる。
【0027】
すなわち、図2に示すように、接触池1(オゾン散気管2)に対して、池の深さ2をL、水位3をH、水位変動分4をdH、また池の面積をSとする。
【0028】
接触池1に流入する水量Q1が、dQ1だけ増加することにより、ある時間遅れ後の接触池水位の変動分はdQ1/Sとなる。
【0029】
また、接触池1から流出する水量Q2が、dQ2だけ増加することにより、dQ2/Sの接触池水位変動があったことが分かる。
【0030】
以上から、(dQ1−dQ2)/Sを、接触池1の水位変動分dHとして、接触池1の容積と流量に対応する滞留時間後の水位を予測することができる。
【0031】
さらに、前段池18、後段池22の水位がdH′だけ変動していれば、ある時間遅れ後のQ1又はQ2がこれに相当する変動を示すことなり、補正値として採用することで正確な予測ができる。
【0032】
排オゾン引き抜きファン12の制御目標値の典型例は、第1制御モード200Aに対応する負圧保持のための吸い込み風量制御と、第2制御モード200Bに対応する負圧保持のための吸い込み圧制御とである。
【0033】
(1)負圧保持のための吸い込み風量制御
水位がdHだけ急激に上昇することにより、接触池1内の気相は容積が圧縮され、内圧が上昇し、気相空間がS×dHだけ減少したことになる。これに相当する気体が接触池1から排出されれば、接触池1の内圧の上昇は発生しない。このため、現在の吸い込み風量に、S×dHを加えたものが新たな吸い込み風量となるように、排オゾン吸い込みファン12の運転制御を行う。この吸い込み風量は、水位変動が収まり、接触池1の内圧が負圧に保たれていれば、定格値に戻す。
【0034】
(2)負圧保持のための吸い込み圧制御
圧力変動分dpは、以下のようにに算出される。ここで、接触池1内の気相は気体温度一定とすれば、圧力×体積一定のためPV=P′V′となり、圧力変動分をdpとすると、以下となる。
【0035】
PS(L−H)=(P+dp)[S{L−(H+dH)}]
このとき、
dP=PdH/{L−(H+dH)}
が、接触池1の内圧力の変動となる。これを吸収するために、排オゾン吸い込みファン12の吸い込み圧をdP分増加させる運転制御を行う。この吸い込み圧は水位変動が収まり、接触池1の内圧が負圧に保たれていれば、定格値に戻す。
【0036】
また、急激な水位低下等、負圧を生じた場合には、ファン12を停止し、バイパス弁24を開くことで、外気を取り入れ、接触池1の内圧を回復させる。
【0037】
次に、上述した実施形態を更に具体的に説明する。すなわち、接触池1に散気筒2から散気したオゾン化空気が被処理水と反応して排オゾンとなり、排オゾン引き抜き管10を経て排オゾン処理装置11に導かれて、処理後のガスが15へ排気される。ここで、排オゾン引き抜きの動力が排オゾン吸い込みファン12であり、この吸い込み風量は吸い込み空気量調整弁13によって開度制御及び/又はインバータ16によるファンの回転数制御がなされる。
【0038】
ここで、予測制御パラメータの作成は次のようになされる。すなわち、接触池1への流入水量を流量計20と水位計19にて測定し、滞留時間分の遅れ時間後の接触池水位を推定して、水位変動分を算出する。また接触池1からの流出水量を流量計24と水位計22で測定し、変動分への補正を加える。これにより、予測制御パラメータが作成される。
【0039】
次に、第1,第2制御モード200A,200Bに対応する容量変化又は圧力変化に応動した吸い込みファン12の制御について説明する。先ず、第1制御モード200Aである容量変化に応動した吸い込みファン12の制御は、水位変動量に対応する気相部分の容量変化分の吸い込み風量変動が行えるように、ファン吐出流量計14の計測値から吸い込み空気量調整弁13の開度を制御するものとする。
【0040】
また、第2制御モード200Bである圧力変化に応動した吸い込みファン12の制御は、水位変動量に対応する気相部分の圧力変化分が、排オゾン吸い込みファン12の運転圧力に反映されるよう、ファン吸い込み圧力計17の計測値から吸い込み空気量調整弁13の開度を制御するものとする。
【0041】
さらに、フィードバック制御も行われる。すなわち、接触池水位計9と接触池内圧計8により接触池の状態を監視し、制御結果を確認し、空気量調整弁13の開度に微調整を加えるものとする。
【0042】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものはなく、例えば、制御対象を、吸い込み量調整弁13の開度に代えてインバータ16によるファンの回転数制御とすることができる。この場合、接触池1の内圧に大きな負圧が生じたときには、排オゾン引き抜きファン12を停止し、このバイパス弁24を開けることで、外気を取り込み圧力調整を行うものとする。
【0043】
本実施形態では、以上の制御を採用することにより、次のように作用する。すなわち、ファン12を常時、過剰な吸い込み能力で運用する必要が無くなり、エネルギー効率の向上に貢献することができる。
【0044】
また、処理場の運用状態によって、接触池1からオゾン漏洩が生じる虞が無くなり、安全に保守管理、運用が行えるようになる。
【0045】
さらに、オゾン化空気の原料空気として用いる吸い込み空気量の季節変動による、接触池1への散気量の変動分を吸収することができる。
【0046】
また、急激な水位変動時、保守時の操作ミスによって生じる虞のある建築物、機器への悪影響を低減することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、接触池における処理水位変動と内圧変動を監視制御することにより、接触池が設置された建築物からのオゾン漏洩が発生しない安全なオゾン処理を行うことができる。
【0048】
また本発明によれば、従来技術で行われているフィードバック制御ではなく、水処理プラントの一部として接触池を捉え直し、接触池前後の処理水流量及び前後の池水位の変動が接触池の水位及び内圧に与える影響を予測するようにしたので、制御の追従性と安定性を改善することができる。
【0049】
さらに本発明によれば、排オゾンファンを常時、過剰な吸い込み能力で運用する必要が無くなり、エネルギー効率の向上に貢献することができ、季節変動に応じた微調整の保守を行う必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオゾン処理システムの一実施形態の構成図。
【図2】接触池の水位変動を説明する図。
【図3】同実施形態における電気系統の接続を示す図。
【符号の説明】
1…接触池、2…散気管、3…接触池高L、4…水位H、5…水位変動分dH、6…接触池への流入水、7…オゾン処理された流出水、8…接触池内圧計、9…接触池水位計、10…排オゾン引き抜き管、11…排オゾンガス処理装置、12…排オゾン引き抜きファン、13…ファン吸い込み空気調節弁、14…ファン吸い込み空気風量計、15…大気放出又は換気ダクトへの排気、16…排風機用インバータ、17…排風機吸い込み圧力計、18…前段池、19…水位計、20…流量計又はポンプ吐出量、21…流量計、22…後段池、23…水位計、24…排オゾン引き抜きファンバイパス弁、100…オゾン発生器、200…コントローラ。
Claims (8)
- 引き込んだオゾンと被処理水とを接触させて当該被処理水をオゾン処理するものであって、排オゾンが上部に充満するため密閉性を有する接触池と、この接触池に流入させる処理水を貯める前段池と、前記接触池から流出する被処理水を貯める後段池と、前記接触池内の排オゾンを吸い込み且つ外部に排出するためのものであって排オゾン吸い込みファンを有する排オゾン吸い込み制御系と、前記接触池、前記前段池及び前記後段池夫々の水位、流入出量及び前記接触池の内圧を計測する計測手段と、この計測手段による計測値に基づき、少なくとも前記排オゾン吸い込み制御系の前記ファンを運転制御する制御手段とを具備するオゾン処理システムにおいて、
前記制御手段は、
前記接触池の水位変動分×接触池の面積に相当する分だけ前記ファンの吸い込み風量を変動させ、前記接触池の内圧変動を防ぐように前記ファンを制御する第1制御モードと、前記接触池の水位計測に基づく前記接触池内の排オゾン気相空間の容量変化と圧力変化とを算出し、該算出値に相当する分だけ前記ファンの吸い込み圧力を変動させて内圧変動を防ぐように前記ファンを制御する第2制御モードとを選択し、該選択した制御モードの制御を実行する手段を具備するオゾン処理システム。 - 前記制御手段は、オゾン発生器に吸い込まれる空気の温度の季節変動に応じたオゾン発生器のブロワ吐出風量の変動を抑制するように前記ファンの吸い込み弁開度を制御する手段を具備することを特徴とする請求項1記載のオゾン処理システム。
- 前記ファンに設置されるバイパスライン及び弁を備え、前記制御手段は、前記接触池内の急激な圧力上昇に対し該弁を開制御する手段を具備する請求項1又は2記載のオゾン処理システム。
- 引き込んだオゾンと被処理水とを接触させて当該被処理水をオゾン処理するものであって、排オゾンが上部に充満するため密閉性を有する接触池、この接触池に流入させる処理水を貯める前段池及び前記接触池から流出する被処理水を貯める後段池を備えたオゾン処理システムにおいて、
前記接触池における水位変動を前記前段池における水位及び流入水流量と前記後段池における水位及び流出水流量との変動から予測すると共に、該予測値に伴う前記接触池の内圧変動を吸収するように、前記接触池に付設された排オゾン吸い込みファンを制御することを特徴とするオゾン処理システムの排オゾン吸い込み制御方法。 - 前記接触池の水位変動分×接触池の面積に相当する分だけ前記ファンの吸い込み風量を変動させ、前記接触池の内圧変動を防ぐように前記ファンの吸い込み弁開度を制御することを特徴とする請求項4記載の排オゾン吸い込み制御方法。
- 前記接触池の水位計測に基づく前記接触池内の排オゾン気相空間の容量変化と圧力変化とを算出し、該算出値に相当する分だけ前記ファンの吸い込み圧力を変動させて内圧変動を防ぐように前記ファンの吸い込み弁開度を制御することを特徴とする請求項4記載の排オゾン吸い込み制御方法。
- オゾン発生器に吸い込まれる空気の温度の季節変動に応じたオゾン発生器のブロワ吐出風量の変動を抑制するように前記ファンの吸い込み弁開度を制御することを特徴とする請求項4記載の排オゾン吸い込み制御方法。
- 前記ファンの回転数をインバータ制御することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項記載の排オゾン吸い込み制御方法。
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