JP2004316462A - 遠心圧縮機の容量制御方法及び装置 - Google Patents

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公博 澤
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Abstract

【課題】遠心圧縮機の省エネルギー運転を行うと共に、0〜100%の容量制御を行い容量変動が小流量から大流量まで幅広く変動する場合に適する遠心圧縮機の容量制御方法及び装置を提供する。
【解決手段】設定流量がサージング限界流量より大きいときは、吸込気体流量を遠心圧縮機の吸込側に設けられた吸込弁により絞って供給気体流量を制御し、前記設定流量がサージング限界流量以下のときは、遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は遠心圧縮機の吸込側に戻すことにより供給気体流量を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心圧縮機の容量制御方法および装置に係るものであり、特に、容量変動が小流量から大流量まで幅広く変動する場合に適する遠心圧縮機の容量制御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遠心圧縮機の容量制御手段としては、羽根車(インペラ)入口部の吸入制御弁による容量制御や、インペラ出口後の通路であるディフューザの形状あるいは可動ディフューザによりディフューザ幅を変えることなどの容量制御が一般的であった。図3は、上記2つの容量制御のうち吸入制御弁による容量制御を説明するものであり、遠心圧縮機21の吸入側に接続された吸入配管22に設けられた吸入制御弁23は、吐吐出側に接続された出配管24内の圧力を検出する圧力検出器25からの圧力信号に基づき圧力指示調節計26からの信号によりコントロールされるようにしてある(例えば、特許文献1参照)。そして、このような容量制御によれば、遠心圧縮機を駆動する電動機の動力を節約する省エネルギー運転とすることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−259299号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4は、一般的な遠心圧縮機の性能曲線を示すものであり、横軸に気体流量をとり、縦軸に遠心圧縮機の吐出圧力をとったものである。この図に示すように、吸入制御弁の制御により吸入制御弁を絞っていき気体流量が減少してくると、点線で示すようなサージング領域に入る。ここで、サージングとは、遠心圧縮機その他の圧縮機において圧縮機と配管とを含めた系が一種の自励振動を起こし、特有の定まった周期で吐出圧力及びガス量が変動する現象をいい、この範囲、すなわちサージング限界流量以下で圧縮機を運転すると振動や風の息つきが起きるので、ダクトの変形、圧力脈動などで正常な運転ができなくなる。そこで、このサージングの発生を未然に防止するため、圧縮機のオンロード(負荷)運転とアンロード(無負荷)運転とを利用した負荷−無負荷制御を行うことになるが、この負荷−無負荷制御とすると、圧力変動幅が生じ、これを小さく抑えようとすると後流側の配管ボリュームを大きくしなければならず、また、配管ボリュームが少ない場合には非常に大きなレシーバタンクを設置する必要があるなど、コストや機器の配置の上で不利益が大きい。
【0005】
一方、圧縮機とは独立したシステムで、需要側の必要ガス量に応じて余分なガスを放風弁により放出する手段が一般的に採用されている。しかし、このような手段では、圧縮機は常に100%の動力で運転されることとなり、圧縮機の省エネルギー運転という観点からは好ましいものとはいえない。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、遠心圧縮機の省エネルギー運転を行うと共に、0〜100%の容量制御を行い容量変動が小流量から大流量まで幅広く変動する場合に適する遠心圧縮機の容量制御方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧縮気体を所定の設定流量で需要側に供給する遠心圧縮機の容量制御方法であって、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量より大きいときは、吸込気体流量を遠心圧縮機の吸込側に設けられた吸込弁により絞って供給気体流量を制御し、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量以下のときは、前記遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻すことにより前記遠心圧縮機の吐出気体流量をサージング限界流量以上に保持して供給気体流量を制御する、ことを特徴とする遠心圧縮機の容量制御方法が提供される。
【0008】
また本発明によれば、圧縮気体を所定の設定流量で需要側に供給する遠心圧縮機の容量制御装置であって、遠心圧縮機の吸込側に設けられ吸込気体流量を絞る吸込弁と、該吸込弁の開度を制御する吸込弁制御手段と、前記遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻す放風手段とを備え、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量より大きいときは、前記吸込弁の開度を制御することにより供給気体流量を制御し、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量以下のときは、前記放風手段により前記遠心圧縮機の吐出気体流量をサージング限界流量以上に保持して供給気体流量を制御する、ことを特徴とする遠心圧縮機の容量制御装置が提供される。
【0009】
本発明のこのような遠心圧縮機の制御方法および装置によれば、設定風量が遠心圧縮機のサージング限界風量より大きいときは、吸込弁を絞ることにより供給気体流量を減少させるとともに遠心圧縮機を駆動する電動機の動力を節減でき、設定風量がサージング限界風量以下のときは、遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は遠心圧縮機の吸込側に戻すのことにより、需要側の必要風量に応じて0〜100%の範囲で小流量から大流量まで幅広い容量制御を行うことができる。
【0010】
また、前記本発明の遠心圧縮機の容量制御方法において、前記設定流量がサージング限界以下のときの供給気体流量の制御を、前記遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値をサージングが発生しない値に保持するように前記遠心圧縮機の吐出気体を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻すことにより行う、ことが好ましい。このような制御によれば、遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値を保持することにより遠心圧縮機の気体流量の減少を防止するので、サージングの発生を有効に防止するとともに、放風弁により的確に供給気体流量を制御することができる。
【0011】
また、前記本発明の遠心圧縮機の容量制御装置において、前記吸込弁制御手段は、前記遠心圧縮機の吐出側に設けられ前期遠心圧縮機の吐出側の圧力を検出する圧力検出器と、該圧力検出器からの信号を受けて前記吸込弁の開度を制御する吸込弁制御器とを備え、前記放風手段は、前記遠心圧縮機の吐出側下流に設けられた放風弁と、前記遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値を検出する電流検出器と、該電流検出器からの信号を受けて前記放風弁の開度を制御する放風弁制御器とを備え、前記設定流量がサージング限界以下のときは、前記放風弁制御器により、前記電動機の電流値をサージングが発生しない値に保持するように前記放風弁の開度を制御することにより供給気体流量を制御する、ことが好ましい。このような構成を採用すれば、遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値を保持することにより遠心圧縮機の気体流量の減少を防止するので、サージングの発生を有効に防止するとともに、放風弁により的確に供給気体流量を制御することができる
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明に係る遠心圧縮機の容量制御方法および装置を説明するものであり、本発明に係る遠心圧縮機の系統概略図である。図1において、1は遠心圧縮機、2は遠心圧縮機を駆動する電動機、3は遠心圧縮機1の吸込側に位置し吸込気体流量を絞る吸込弁、4は遠心圧縮機の吐出側の配管である。5は吐出側の配管4の下流で分岐した配管、6は配管5に設けた放風弁で、遠心圧縮機の吐出気体を外部に放出するための弁、7は遠心圧縮機の吐出側の圧力を検出する圧力検出器、8は圧力検出器7からの信号を受けて吸込弁開度信号を出力し吸込弁3の開度を制御する吸込弁制御器、9は電動機2の電流値を検出する電流検出器、10は電流検出器9の電流値に応じて放風弁6の開度を制御する放風弁制御器である。なお、放風弁6により放出される気体を、遠心圧縮機1の吸込側に戻して使用する循環系統としても良い。
【0014】
図2は、本発明に係る遠心圧縮機の性能曲線である。図2では、横軸に風量、縦軸に吐出圧力および遠心圧縮機1の消費動力すなわち軸動力をとり、風量に応じた制御領域を示している。圧力Paは需要側における通常運転時の必要圧力を示す。また、Qaは需要側の通常運転時の必要風量である。前記圧力Pa、風量Qaの点Aを通る遠心圧縮機の性能曲線をaに示す。上述したように、一般に遠心圧縮機は、風量を絞るとサージング現象を引き起こすが、破線はそのサージラインを示す。Sは圧力Paにおけるサージ点である。また、前記サージ点Sより僅かに余裕をもつ圧力Pa、風量Qbの点Bを通る遠心圧縮機1の性能曲線をbに示す。
【0015】
本実施形態では、需要側の必要風量(流量)に応じて以下のような容量制御を行う。まず、需要側の必要流量がAB間にある場合、すなわちサージング限界流量以上の場合は、遠心圧縮機1の吐出側の圧力を圧力検出器7により検出して、この検出値に基づいて吸込弁制御器8からの信号により吸込弁3の絞込みを制御することにより圧力一定制御を行うとともに所定の設定流量に制御する。このとき、気体流量の減少に応じて電動機2の動力を低減させ省エネルギー化を図ることができる。例えば、図2に示すように風量がQaからQbに変移すると動力はWaからWbに変移する。
【0016】
一方、需要側の必要風量がB点より少ないとき、すなわちサージング流量限界以下(例えばC点)にある場合は、吸込弁3を更に絞り込むことによる流量制御を行うことはできない。そこで、放風弁6の開度を制御することにより必要風量を超える余分な気体を系外に排出することにより、需要側の必要風量に適合するように調整する。このとき、放風弁6の制御は、電動機2の電流値に基づいて行う。すなわち、一般に遠心圧縮機の風量と電動機の電流値は比例する関係にあることを利用し、サージ点S付近の風量Qbに対応する電動機2の電流値を電流検出器9により検出すると、この信号を受けた放風弁制御器10は、電動機2の電流値がこの電流値よりも下がらないように放風弁6に開動作を与えて風量を制御するようにする。このときの動力はWb以下となることはないが、放風弁6により供給気体流量を0〜100%の範囲で制御することが可能となる。
【0017】
このように、サージング限界流量までは、遠心圧縮機1の吐出側の圧力を検出し、この検出値に基づいて吸込気体流量を遠心圧縮機の吸込側に設けられた吸込弁3により絞っていくことで、吐出流量を減少させるとともに電動機2の軸動力を節減でき、サージング限界流量以下の流量では、前記遠心圧縮機1の電動機2の電流値を検出し、この検出値に基づいて前記遠心圧縮機1の吐出気体を放風する放風弁6を制御して余分な気体を排出するので、需要側の必要風量に応じて0〜100%の範囲で容量制御を行うことができる。また、放風弁制御の指令入力値として遠心圧縮機の電動機の電流値を使用するので、系統ラインに別途流量計を設ける必要がなく設備コストを抑えることができる。さらに、遠心圧縮機内のその他の安全装置(例えば、サージコントロール、過負荷防止)についても、基本的には遠心圧縮機の電流値に基づいているケースが殆どであるので、それらの制御とも合致するものである。
【0018】
また、仮に、吐出気体流量がサージング限界流量以下となり遠心圧縮機が無負荷運転状態に入った場合に安全に通常運転状態に戻す手段として、遠心圧縮機の無負荷運転状態を検知したら遠心圧縮機が負荷運転に復帰し安定した運転状態になるまで放風弁6を強制的に開放するという制御を行うこともできる。
【0019】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る遠心圧縮機の容量制御方法は、遠心圧縮機の省エネルギー運転を行うと共に、0〜100%の容量制御を行うことができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遠心圧縮機の容量制御装置の系統概略図である。
【図2】本発明に係る遠心圧縮機の性能曲線。
【図3】従来の遠心圧縮機の容量制御手段を示す図である。
【図4】遠心圧縮機の性能曲線である。
【符号の説明】
1 遠心圧縮機
2 電動機
3 吸込弁
4 配管
6 放風弁
7 圧力検出器
8 吸込弁制御器
9 電流検出器
10 放風弁制御器
21 遠心圧縮機
22 吸入配管
23 吸入制御弁
24 吐出配管
25 圧力検出器
26 圧力指示調節計

Claims (4)

  1. 圧縮気体を所定の設定流量で需要側に供給する遠心圧縮機の容量制御方法であって、
    前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量より大きいときは、吸込気体流量を遠心圧縮機の吸込側に設けられた吸込弁により絞って供給気体流量を制御し、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量以下のときは、前記遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻すことにより前記遠心圧縮機の吐出気体流量をサージング限界流量以上に保持して供給気体流量を制御する、ことを特徴とする遠心圧縮機の容量制御方法。
  2. 前記設定流量がサージング限界以下のときの供給気体流量の制御を、前記遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値をサージングが発生しない値に保持するように前記遠心圧縮機の吐出気体を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻すことにより行う、ことを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機の容量制御方法。
  3. 圧縮気体を所定の設定流量で需要側に供給する遠心圧縮機の容量制御装置であって、
    遠心圧縮機の吸込側に設けられ吸込気体流量を絞る吸込弁と、
    該吸込弁の開度を制御する吸込弁制御手段と、
    前記遠心圧縮機の吐出気体の一部を外部に放出し又は前記遠心圧縮機の吸込側に戻す放風手段とを備え、
    前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量より大きいときは、前記吸込弁の開度を制御することにより供給気体流量を制御し、前記設定流量が遠心圧縮機のサージング限界流量以下のときは、前記放風手段により前記遠心圧縮機の吐出気体流量をサージング限界流量以上に保持して供給気体流量を制御する、ことを特徴とする遠心圧縮機の容量制御装置。
  4. 前記吸込弁制御手段は、前記遠心圧縮機の吐出側に設けられ前記遠心圧縮機の吐出側の圧力を検出する圧力検出器と、該圧力検出器からの信号を受けて前記吸込弁の開度を制御する吸込弁制御器とを備え、
    前記放風手段は、前記遠心圧縮機の吐出側下流に設けられた放風弁と、前記遠心圧縮機を駆動する電動機の電流値を検出する電流検出器と、該電流検出器からの信号を受けて前記放風弁の開度を制御する放風弁制御器とを備え、
    前記設定流量がサージング限界流量以下のときは、前記放風弁制御器により、前記電動機の電流値をサージングが発生しない値に保持するように前記放風弁の開度を制御することにより供給気体流量を制御する、ことを特徴とする請求項3記載の遠心圧縮機の容量制御装置。
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