JP3691377B2 - パンツ型の使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用後に丸めて廃棄するための止着用テープを有するパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−253123号公報と特開平9−253124号公報とは、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、後胴周り域における裏面シートの外面におむつを丸めておくことが可能な止着用テープが取り付けられたパンツ型の使い捨ておむつを開示している。
【0003】
特開平9−253123号公報に開示のおむつでは、止着用テープが胴周り方向へ延びる一条のテープ片から形成され、テープ片の長手方向中央部がおむつに固着され、テープ片の左右各側部が左右各胴周り方向へ伸展可能に折り重ねられている。左右各側部には、折り重ねられた状態を保持するための粘着域が形成されている。
【0004】
特開平9−253124号公報に開示のおむつでは、止着用テープがおむつの胴周り方向へ互いに平行して延び、上下方向へ離間する2条の粘着テープから形成されている。
【0005】
それらおむつを廃棄するときでは、前胴周り域を内側にしておむつがその両側縁部各々からテープへ向かって胴周り方向へ丸められ、おむつに捲き付けられたテープが粘着剤を介して裏面シートの外面に止着される。それらおむつは、丸められたおむつの外周をテープで括ることにより、おむつの丸められた状態を保持することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
それら公報に開示のおむつは、おむつをその両側縁部の一方と他方とからテープへ向かって胴周り方向へ丸めなければならず、さらに、丸められたおむつの外周にテープを捲き付けなければならないので、丸める操作と丸められたおむつに対するテープの止着操作とに手間を要する。また、それらおむつの丸められた状態では、胴周り開口の縁部が露出したままないので、排泄物や臭気が胴周り開口から漏れてしまうことがある。
【0007】
本発明の課題は、丸める操作とテープの止着操作とに手間を要せず、胴周り開口や脚周り開口から排泄物や臭気が漏れることがないように丸めておくことができるパンツ型の使い捨ておむつを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための本発明は、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域の両側縁部が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されたおむつの外面に、該おむつを丸めておくことが可能な止着用テープが取り付けられ、丸められた前記おむつの外面に対する係着手段が、該おむつの外面と対向する前記テープの内面に形成されたパンツ型の使い捨ておむつを改良することにある。
【0009】
改良にかかる本発明の特徴は、前記テープが、前記前後胴周り域のいずれか一方の両側縁部に配置されて縦方向へ延び、前記胴周り開口の側に位置する上端部と、前記脚周り開口の側に位置する下端部とを有し、前記下端部が、前記脚周り開口の縁部近傍を胴周り方向へ延びる接合部を介して前記おむつに固着され、前記接合部が、前記両側縁部から胴周り方向内方へ向かって前記上端部の側へ傾斜していることにある。
【0010】
本発明の実施の態様の一例としては、前記テープの下端部が、該テープの上端部よりも前記胴周り方向内方に位置し、前記テープ各々が、前記下端部から前記上端部へ向かって次第に離間するように傾斜している。
【0011】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が、前記脚周り開口の縁部に伸長状態で取り付けられ、前記接合部が、前記脚周り用弾性部材の少なくとも一部に重なっている。
【0012】
本発明の実施の態様の一例としては、前記係着手段が、前記テープに塗布された粘着剤と前記テープに取り付けられたフック部材とのいずれかから形成され、前記テープの内面を剥離可能に仮着する剥離シートが、前記両側縁部における前記おむつの外面に取り付けられている。
【0013】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係るパンツ型の使い捨ておむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0014】
図1,2は、後胴周り域22の側から示す使い捨ておむつ1Aの部分破断斜視図と、図1のA−A線端面図とであり、図3は、図1のB−B線端面図である。図1では、一方の止着用テープ10を剥離シート12から剥離させた状態で示し、胴周り方向を矢印X、縦方向を矢印Y1、脚周り方向を矢印Y2で示す。なお、表裏面シート2,3や止着用テープ10、剥離シート12の内面とは、コア4に対向する面をいい、それらの外面とは、コア4に非対向の面をいう。
【0015】
おむつ1Aは、透液性表面シート2と、不透液性裏面シート3と、それらシート2,3の間に介在し、全体がティッシュペーパー(図示せず)に被覆、接合された吸液性コア4とを主要な構成部材とする。コア4は、ティッシュペーパーを介して表面シート2と裏面シート3との内面に接合されている。
【0016】
おむつ1Aは、互いに対向する前胴周り域20および後胴周り域22と、前後胴周り域20,22の間に位置する股下域21とを有する。おむつ1Aでは、前後胴周り域20,22の縦方向へ延びる両側縁部5a,5bが合掌状に重なり合った状態で固着され、胴周り開口6と一対の脚周り開口7とが画成されている。
【0017】
胴周り開口6の縁部6aには、胴周り方向へ伸縮する複数条の胴周り用弾性部材8が表面シート2と裏面シート3との間に介在し、それらシート2,3の内面に伸長状態で取り付けられている。脚周り開口7の縁部7aには、脚周り方向へ伸縮する複数条の脚周り用弾性部材9が表面シート2と裏面シート3との間に介在し、それらシート2,3の内面に伸長状態で取り付けられている。図1では、弾性部材8,9各々が収縮し、胴周り開口6の縁部6aと脚周り開口7の縁部7aとに沿って多数のギャザーが形成されている。
【0018】
後胴周り域22の両側縁部5bには、おむつ1Aを丸めておくことが可能な一対の止着用テープ10が取り付けられている。テープ10は、可撓性を有する非伸縮性のプラスチックシートから形成されている。テープ10は、裏面シート3の外面に配置され、両側縁部5bと並行して縦方向へ延びている。
【0019】
テープ10は、胴周り開口6の側に位置する上端部10aと、脚周り開口7の側に位置する下端部10bとを有する。テープ10では、下端部10bが胴周り方向へ延びる接合部11を介して裏面シート3の外面に固着されている。テープ10の内面には、粘着剤13が塗布されている。テープ10の上端部10aには、粘着剤13が塗布されていない摘み10cが形成されている。
【0020】
接合部11は、脚周り用弾性部材9に重なり、後胴周り域22の両側縁部5bから胴周り方向内方へ向かって上端部10aの側へ傾斜している。接合部11では、テープ10の内面が裏面シート3の外面に接着剤14を介して固着されている。接合部11は、胴周り用弾性部材9の全てに重なっているが、胴周り用弾性部材9のうちの少なくとも1本と重なっていればよい。
【0021】
テープ10と裏面シート3との間には、テープ10を剥離可能に仮着する剥離シート12が介在している。剥離シート12は、可撓性のプラスチックシートから形成され、その内面が裏面シート3の外面に接着剤14を介して固着されている。テープ10は、粘着剤13を介して剥離シート12の外面に仮着されている。接着剤14としては、ホットメルト型接着剤を使用することが好ましい。なお、裏面シート3に対するテープ10と剥離シート12との固着には、熱による溶着手段を利用することもできる。
【0022】
図4,5は、廃棄するために丸められた図1のおむつ1Aの斜視図である。それら図では、一方の止着テープ10を剥離シート12から剥がし、テープ10をめくった状態が仮想線で示されている。図4では、前胴周り域20を内側にしておむつ1Aが股下域21から胴周り開口6の縁部6aに向かって縦方向へ丸められている。図5では、前胴周り域20を内側にしておむつ1Aが胴周り開口6の縁部6aから股下域21に向かって縦方向へ丸められている。丸められたそれらおむつ1Aでは、テープ10が粘着剤13を介して裏面シート3の外面に止着されている。
【0023】
丸められたおむつ1Aにテープ10を止着するには、テープ10の摘み10cを指で摘持してテープ10を剥離シート12から剥がし、テープ10を矢印Z1で示す方向へめくり、矢印Z2の方向へ旋回させてテープ10を裏面シート3の外面に押し付ける。
【0024】
おむつ1Aでは、接合部11が傾斜して延びているので、テープ10を矢印Z1の方向へめくると、図4,5に仮想線で示すように、テープ10がそれら図の横方向へ向かって傾斜する。おむつ1Aでは、テープ10をめくった後に、テープ10の向きをかえることなく、それを矢印Z2の方向へ旋回させて裏面シート3の外面にテープ10を止着すればよいので、丸められたおむつ1Aに対するテープ10の止着操作が容易である。
【0025】
おむつ1Aでは、接合部11が脚周り用弾性部材9に重なっているので、テープ10をおむつ1Aから離間する方向へ引っ張ると、その張力が直接脚周り用弾性部材9に作用する。おむつ1Aでは、テープ10を矢印Z3で示す方向へ引っ張ることによって、収縮した脚周り用弾性部材9と脚周り開口7の縁部7aとを伸長させることができる。おむつ1Aでは、脚周り用弾性部材9と縁部7aとを矢印Z3の方向へ伸長させた状態でテープ10を裏面シート3の外面に止着すると、伸長した縁部7aによって脚周り開口7が閉じられる。
【0026】
おむつ1Aでは、テープ10各々によっておむつ1Aの丸められた状態が保持されるとともに、縁部7aによって脚周り開口7の閉じられた状態が保持される。おむつ1Aでは、脚周り開口7が口を開けることはなく、排泄物や臭気が脚周り開口7から漏れてしまうことがない。また、おむつ1Aを図5のように丸めた場合では、胴周り開口6の縁部6aが丸められたおむつ1Aの内部に納まり、胴周り開口6が露出することはないので、排泄物や臭気が胴周り開口6から漏れてしまうことがない。
【0027】
図6,7は、他の実施の形態を示すおむつ1Bの部分破断斜視図と、廃棄するために丸められた図6のおむつ1Bの斜視図とである。図6では、おむつ1Bを後胴周り域22の側から示すとともに、一方の止着用テープ10を剥離シート12から剥離させた状態で示す。図7では、一方の止着用テープ10を剥離シート12から剥がし、テープ10をめくった状態が仮想線で示されている。
【0028】
おむつ1Bの基本構成は、図1のそれと同一なので、その説明は省略する。図6のおむつ1Bが図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。おむつ1Bでは、テープ10の下端部10bが上端部10aよりも胴周り方向内方に位置し、テープ10各々が、下端部10bから上端部10aへ向かって次第に離間するように傾斜して延びている。
【0029】
おむつ1Bは、図7に示すように、前胴周り域20を内側にしておむつ1Bが股下域21から胴周り開口6の縁部6aに向かって縦方向へ丸められている。丸められたおむつ1Bでは、テープ10が粘着剤(図示せず)を介して裏面シート3の外面に止着されている。
【0030】
おむつ1Bでは、テープ10各々がその下端部10bから上端部10aへ向かって次第に離間するように傾斜して延びるとともに、接合部11が両側縁部5から胴周り方向内方へ向かって上端部10aの側へ傾斜して延びているので、テープ10を矢印Z1の方向へめくると、図7に仮想線で示すように、テープ10が図の横方向へ向かって延びる。おむつ1Bでは、テープ10をめくった後に、テープ10の向きをかえることなく、それを矢印Z2の方向へ旋回させて裏面シート3の外面にテープ10を止着すればよい。
【0031】
このおむつ1Bは、図1のそれと同様に、テープ10を矢印Z3で示す方向へ引っ張ることによって、収縮した脚周り用弾性部材9と脚周り開口7の縁部7aとを伸長させることができる。おむつ1Bでは、止着テープ10各々によって丸められた状態が保持されるとともに、矢印Z3の方向へ伸長した縁部7aによって脚周り開口7の閉じられた状態が保持される。
【0032】
このおむつ1Bを廃棄するときには、前胴周り域20を内側にしておむつ1Aを胴周り開口6の縁部6aから股下域21に向かって縦方向へ丸めることもできる。
【0033】
止着用テープ10としては、非伸縮性のプラスチックシートの他に、弾性的な伸縮性を有する合成ゴムや天然ゴム等のエラストマー、または、それらエラストマーを伸長状態で繊維不織布に固着したものを使用することもできる。
【0034】
裏面シート3が繊維不織布で形成されている場合は、テープ10の内面に粘着剤13を塗布することの他に、テープ10の内面にメカニカルファスナのうちのフック部材を取り付けることもできる。フック部材が不織布の構成繊維に引っ掛かることで、丸められたおむつ1A,1Bの裏面シート3の外面にテープ10が係着される。テープ10にフック部材を取り付けた場合では、剥離シート12として、ループ部材を使用することができる。ループ部材は、後胴周り域22の両側縁部5bにおける裏面シート3の外面に取り付ける。テープ10と剥離シート12とは、前胴周り域20の両側縁部5aにおける裏面シート3の外面に取り付けられていてもよい。
【0035】
表面シート2には、親水性繊維不織布や多数の開孔を有するプラスチックフィルムを使用することができる。裏面シート3には、疎水性繊維不織布や不透液性のプラスチックフィルム、または、疎水性繊維不織布とプラスチックフィルムとのラミネートシートを使用することができる。裏面シート3には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0036】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンボンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサドバイサイド型複合繊維を使用することができる。
【0037】
コア4は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。高吸収性ポリマーとしては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0038】
表裏面シート2,3の固着、コア4の接合、弾性部材8,9の取り付けには、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を使用することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係るパンツ型の使い捨ておむつでは、それを廃棄するときに、おむつを股下域から胴周り開口の縁部に向かって縦方向へ丸めるか、または、おむつを胴周り開口の縁部から股下域に向かって縦方向へ丸め、めくった止着用テープの向きをかえることなくそれを旋回させ、テープを丸められたおむつの外面に止着すればよい。ゆえに、このおむつは、従来技術のそれと比較して、おむつの丸める操作と丸められたおむつに対するテープの止着操作とが容易である。
【0040】
おむつは、テープによっておむつの丸められた状態が保持されるとともに、伸長した脚周り開口の縁部によって脚周り開口の閉じられた状態が保持されるので、脚周り開口が口を開けることはなく、排泄物や臭気が脚周り開口から漏れてしまうことがない。
【0041】
また、おむつを胴周り開口の縁部から股下域に向かって縦方向へ丸められた場合では、胴周り開口の縁部が丸められたおむつの内部に納まり、胴周り開口が露出することはないので、排泄物や臭気が胴周り開口から漏れてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】後胴周り域の側から示すパンツ型の使い捨ておむつの部分破断斜視図。
【図2】図1のA−A線端面図。
【図3】図1のB−B線端面図。
【図4】廃棄するために丸められた図1のおむつの斜視図。
【図5】廃棄するために丸められた図1のおむつの斜視図。
【図6】他の実施の形態を示すおむつの部分破断斜視図。
【図7】廃棄するために丸められた図6のおむつの斜視図。
【符号の説明】
1A,1B パンツ型の使い捨ておむつ
5a 両側縁部
5b 両側縁部
6 胴周り開口
6a 縁部
7 脚周り開口
7a 縁部
8 胴周り用弾性部材
10 止着用テープ
10a 上端部
10b 下端部
11 接合部
12 剥離シート
13 粘着剤(係着手段)
20 前胴周り域
21 股下域
22 後胴周り域
Claims (4)
- 互いに対向する前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域の両側縁部が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されたおむつの外面に、該おむつを丸めておくことが可能な止着用テープが取り付けられ、丸められた前記おむつの外面に対する係着手段が、該おむつの外面と対向する前記テープの内面に形成されたパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記テープが、前記前後胴周り域のいずれか一方の両側縁部に配置されて縦方向へ延び、前記胴周り開口の側に位置する上端部と、前記脚周り開口の側に位置する下端部とを有し、前記下端部が、前記脚周り開口の縁部近傍を胴周り方向へ延びる接合部を介して前記おむつに固着され、前記接合部が、前記両側縁部から胴周り方向内方へ向かって前記上端部の側へ傾斜していることを特徴とする前記おむつ。 - 前記テープの下端部が、該テープの上端部よりも前記胴周り方向内方に位置し、前記テープ各々が、前記下端部から前記上端部へ向かって次第に離間するように傾斜している請求項1記載のおむつ。
- 前記脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が、前記脚周り開口の縁部に伸長状態で取り付けられ、前記接合部が、前記脚周り用弾性部材の少なくとも一部に重なっている請求項1または請求項2に記載のおむつ。
- 前記係着手段が、前記テープに塗布された粘着剤と前記テープに取り付けられたフック部材とのいずれかから形成され、前記テープの内面を剥離可能に仮着する剥離シートが、前記両側縁部における前記おむつの外面に取り付けられている請求項1ないし請求項3いずれかに記載おむつ。
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