JP3690879B2 - 外装建材の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用の外壁材、及び屋根材などの外装建材の製法に関し、より具体的には、セメントと繊維材とを主材とする基材層と、前記基材層の上に施された顔料入り着色層と、外装建材の美観を向上させる目的で、前記着色層上、又は同層内に分散固定された化粧粒子とを備えた前記外装建材の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の外装建材の製法としては、セメントと繊維材とを主材とする基材を板状に成型し、養生硬化させた基材層の上に、顔料を含む塗料を施し、この塗布された塗料の上に、同塗料が乾燥しない間に化粧粒子を散布して、その後同塗料を乾燥硬化させて塗料の塗膜によって前記化粧粒子を固着させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の製法では、▲1▼顔料入り着色層が塗料からなるので、出来上がった外装建材が素材感に乏しいものになる、▲2▼化粧粒子はその下部付近を中心として塗装膜に付着しているだけで、化粧粒子の上面部と側面部とはいずれも大半が露出した状態なので、出来上がった外装建材としての外観が奥行き感の無いものになる、また、▲3▼化粧粒子が塗料の塗膜によってのみ固着されているために、外装建材の使用開始後、年月が経つと、一般的に樹脂塗膜は天然の紫外線などによって劣化して強度を失い、化粧粒子が脱落してしまう等の問題が見られた。
本発明の目的は、上に例示した従来構成の製法に見られる上記欠点に鑑み、▲1▼素材感に富んだ外装建材が得られ、▲2▼出来上がった外装建材に奥行き感を与えることができ、また、▲3▼外装建材の使用開始後、化粧粒子が比較的長期間脱落し難い外装建材の製法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段
【0006】
記目的を達成するために、本発明に係る外装建材の製法は、顔料を含む着色セメントスラリーに化粧粒子を混入させた固形分濃度が20〜40%の化粧粒子入り着色セメントスラリーを、セメントと繊維材とを主材とする未硬化の基材層の上に供給することによって、前記基材層の上に未硬化の着色セメント層を載置形成し、その後、前記基材層と前記着色セメント層とをプレス成形した後、養生硬化させることを特徴構成としている。
【0007】
〔発明の効果〕
上記の特徴構成のために、本発明に係る外装建材の製法では、[1]顔料入り着色層が、基材層の上に供給された顔料を含む固形分濃度が20〜40%の着色セメントスラリーによって形成される着色セメント層であるので、セメントの風合いによって素材感に富んだ外装建材が得られ、[2]着色セメントスラリーは、予め化粧粒子を混入された形で基材層上に供給されるので、化粧粒子は載置形成された着色セメント層内に確実に埋没しており、化粧粒子の側面部の着色セメント層内に深く埋没した部分と浅く埋没した部分とで外観に段階的な変化を生じるため、出来上がった外装建材に奥行き感を与えることができ、また更に、着色セメント層の表面からの距離が個々の化粧粒子によって種々互いに異なるので、着色セメント層自身に僅かでも透明性が有る場合には、着色セメント層の種々の深さに配置された各化粧粒子によって、出来上がった外装建材に更に高い奥行き感を与えることができ、また、[3]化粧粒子が、耐候性のある着色セメント層内に確実に捕獲されているので、外装建材の使用開始後、化粧粒子が比較的長期間脱落し難いという特有の効果が生じる。 さらに、セメントと繊維材とを主材とする未硬化の基材層の上に、顔料を含む着色セメントスラリーを供給することによって、基材層の上に未硬化の着色セメント層を載置形成し、載置形成された未硬化の着色セメント層上に化粧粒子を散布し、その後、少なくとも化粧粒子が着色セメント層によって捕獲されるように基材層と着色セメント層とをプレス成形する方法に比較して、外装建材の表面に沿った方向に関する化粧粒子の分散状態が、必要な不規則性を原則として保持しながらも、比較的均一性が得られやすいという特有の効果が得られる。
尚、前記プレス成型後、前記着色セメント層の上に塗装を施す工程を備えれば、例えば前記塗装としてアクリル樹脂をエマルジョンとした塗料を用いることによって、外装建材の表面の耐水性が高まる結果、耐凍害性が向上すると言う特有の効果が得られる。更に、前記塗装を、乾燥後透明性の得られるものとしておけば、着色セメント層、及び化粧粒子が透けて見えるために、外装建材の意匠性を高める効果を持たせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
ここでは、外装建材として外壁材を例に挙げ、本発明に係る外装建材の製法の実施形態について解説する。
図1は、外壁材114を、主にフローオン法を用いて製造するための設備の要部を示す。前記設備は、基材層用の第1スラリー100を供給する第1スラリー供給機構2、着色層用の第2スラリー200を供給する第2スラリー供給機構4、化粧粒子300を供給する化粧粒子供給機構6を備えている。第1スラリー供給機構2は、主に、スラリー容器としてのヘッドタンク10、流量計12、流量調整バルブ14、フローボックス16からなり、第2スラリー供給機構4は、主に、スラリー容器としてのヘッドタンク30、流量計32、流量調整バルブ34、フローボックス36からなる。また、化粧粒子供給機構6は、化粧粒子タンク40と、化粧粒子タンク40の下部に備えられた篩を通して下方に化粧粒子300を散布するための加振機構42からなり、加振機構42は、具体的には化粧粒子タンク40の外部に固着された小型の電動バイブレータで構成されている。
前記製造設備には他に、フェルト製の第1ベルトコンベア18、吸引脱水槽20と真空ポンプ22、加圧ロール24、第2ベルトコンベア28、切断機50、成型プレス60、及びオートクレーブ70等が含まれる。
第1スラリー100は、水系のスラリーであり、その固形分は、主に、骨材を構成する珪砂(36〜57重量%)と、水和反応を起こして化粧セメント板として必要な強度を発現するための粉末状セメント(36〜57重量%)と、強度発現を補足し、吸引脱水時の濾過機能を付与するためのパルプ繊維(5〜10重量%、これは繊維材の一例である)と、軽量化材(例えばパーライト、発泡樹脂等)とで構成されている。また、スラリー100の固形分濃度は20〜40%である。
第2スラリー200は、骨材を構成する珪砂(36〜57%)と、粉末状セメント(36〜57重量%)と、主に強度発現を補足するためのパルプ繊維(5〜10重量%)と、軽量化材(例えばパーライト、発泡樹脂等)と、顔料、及び水からなるスラリーであり、顔料としては、無機顔料と有機顔料のいずれでも良い。また、スラリー200の固形分濃度は約20〜40%である。また、セメントとしては、普通ポルトランドセメントでも、白色セメントでも良い。
化粧粒子300としては、砂、天然石やガラスを始めとする各種セラミック材料、金属、及び樹脂などの各粉粒体から適宜選択、或いはこれらを複数混合して用いることができる。
【0009】
(基材層形成工程)
混練機等を用いて別途用意されたスラリー100は、先ずヘッドタンク10内に装入される。ヘッドタンク10内のスラリー100は、流量計12と流量調整バルブ14とによる流量管理の下にフローボックス16中に供給される。フローボックス16は、スラリー100を受入れながら、同時に、その下部に設けられた横長矩形の出口から、スラリー100を一定量ずつ流し出す。このように流し出されたスラリー100は、所定速度で横方向(図1の右方)に移動しているフェルト製の第1ベルトコンベア18によって受けられるので、結果的に、第1ベルトコンベア18がフローボックス16の下部の出口からスラリー100を一定量ずつ引き出す形になり、引き出されたスラリー100は第1ベルトコンベア18上で連続板状のスラリー102となる。
次に、スラリー102は、第1ベルトコンベア18の中流域で第1ベルトコンベア18の裏側に配置された吸引脱水槽20(吸引脱水槽20には真空ポンプ22が連通している)による吸引効果と、加圧ロール24による絞り効果によって脱水されて成型に適する含水率に調整された連続板状の基材層104となる(図2−イを参照)。また、加圧ロール24は基材層104を所定の厚みに調整する機能をも備えている。
【0010】
(着色層形成工程)
基材層104は、未硬化のまま加圧ロール24の下を通過した後、更に右方に移動して第2スラリー供給機構4の下を通過するが、ここでは、流量計32と流量調整バルブ34の流量管理の下に、ヘッドタンク30内の第2スラリー200がフローボックス36の下端の開口部から所定量ずつ排出され、基材層104上に所定厚みの着色層202(着色セメント層の一例)が載置形成された板状体106が得られる(図2−ロを参照)。
【0011】
(化粧粒子散布工程)
着色層202の載置形成された基材層104、すなわち板状体106は、基材層104、並びに着色層202の双方が未硬化のまま、更に右方に移動して化粧粒子供給機構6の下を通過する。この時、化粧粒子タンク40内に貯蔵されている化粧粒子300が、加振機構42によって略一定量ずつ散布され、着色層202の表面付近に化粧粒子300を付着させた未硬化の板状体108が得られる(図2−ハを参照)。
【0012】
(成型工程)
次に、板状体108は、切断機50によって次々に切断されて、所定長さの板状体110(図2−ニを参照)とされた後、成型プレス60によって加圧成型されて、略最終製品状態に近い密度と形状を持った成型体112となる(図2−ホを参照)。
化粧粒子散布工程が終わった時点では、すなわち板状体110の状態では、単に着色層202の表面付近に付着していただけであった化粧粒子300は、この成型工程で、着色層202内に押し込まれて、着色層202によって捕獲された状態になる。第2スラリー200に含まれているパルプ繊維は、着色セメント層に上記プレス成型に起因する亀裂が発生することを抑制し、また外装建材として使用開始後の強度が向上する等の効果をもたらす。
【0013】
(養生硬化工程)
成型体112は、一次養生の後、上面に下塗り用のクリア塗料を塗布され、オートクレーブ70にて高温高圧蒸気養生を施されて硬化し、略最終製品として必要な強度を得る。上記のオートクレーブ70による養生を終えた成型体は、上面に更に上塗り用のクリア塗料を塗布され、乾燥されて最終製品114となる。
【0014】
〔別実施形態〕
図1、2に示された実施形態のように、形成された着色層の上に化粧粒子を散布するのではなく、図3に示すように、予め化粧粒子300を混入、分散させたスラリーを、着色層を形成するための第2スラリー230として調整し、これをセメントと繊維材とを主材とする未硬化の基材層の上に供給することによって、基材層104の上に未硬化の着色セメント層を載置形成し、その後、基材層と着色セメント層をプレス成形した後、養生硬化させても良い。
(設備)
図3に、上記の別実施形態による製法のために必要な設備の例を示すが、図1の設備との主な相違点は、化粧粒子供給機構6が見られない点である。
また、第1スラリー100の構成も、図1の解説の内容と同様で良い。第2スラリー230は、図1の第2スラリー200に化粧粒子300を分散させたもので良い。また、スラリー230の固形分濃度は約20〜40%である。
化粧粒子300としては、砂、天然石やガラスを始めとする各種セラミック材料、及び金属などの各粉粒体から適宜選択、或いはこれらを複数混合して用いることができる。
【0015】
(各工程)
基材層形成工程、及び着色層形成工程における操作内容は、着色層形成工程で用いる第2スラリー230中には化粧粒子300が混入、分散されている点を除いて、図1において解説した内容と同様であり、前記基材層形成工程によって、未硬化の連続板状基材層104が形成され(図4−イを参照)、前記着色層形成工程によって、未硬化で化粧粒子300を含む着色セメント層212が基材層104の上に載置形成された状態の板状体116が形成される(図4−ロを参照)。
成型工程では、板状体116が、切断機50によって次々に切断されて、所定長さの板状体118(図4−ハを参照)とされた後、成型プレス60によって加圧成型されて、略最終製品状態に近い密度と形状を持った成型体120となる(図4−ニを参照)。
養生硬化工程も、図1の実施形態の解説で記載された内容と同様に実施し、一次養生、下塗り用クリア塗料の塗布、オートクレーブ70による高温高圧蒸気養生、及び上塗り用クリア塗料の塗布の後、乾燥して最終製品122となる。
また、着色層212を形成するための第2スラリー230にも、パルプ繊維などの繊維を加えることによる効果についても、図1の実施形態と同様に有効である。
【0016】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外装建材の製法を示す概略図
【図2】図1の製法の各工程に対応する外壁材の状態を示す概略断面図
【図3】別の実施形態を示す概略図
【図4】図3の製法の各工程に対応する外壁材の状態を示す概略断面図
【符号の説明】
104 基材層
106 着色セメント層
200 着色セメントスラリー
300 化粧粒子

Claims (2)

  1. 顔料を含む着色セメントスラリーに化粧粒子(300)を混入させた固形分濃度が20〜40%の化粧粒子入り着色セメントスラリー(230)を、セメントと繊維材とを主材とする未硬化の基材層(104)の上に供給することによって、前記基材層の上に未硬化の着色セメント層(116)を載置形成し、その後、前記基材層と前記着色セメント層とをプレス成形した後、養生硬化させる外装建材の製法。
  2. 前記プレス成型後、前記着色セメント層の上に塗装を施す請求項1記載の外装建材の製法。
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