JP3690418B1 - アクリルエマルジョン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】重金属を用いることなく、耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性に優れた床磨き剤として好適なアクリルエマルジョン組成物を提供する。
【解決手段】酸価が30〜180mgKOH/gであるとともにガラス転移点(Tg)が−30〜70℃であるアクリル共重合体と、20℃における水溶解度が1質量%未満であるマグネシウム化合物と、を含み、マグネシウム化合物の含有量が、アクリル共重合体の酸価の0.02〜1当量であるアクリルエマルジョン組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明はアクリルエマルジョン組成物に関し、更に詳しくは、床磨き剤用、及び家具、車両等の艶出し剤用の組成物として好適なアクリルエマルジョン組成物に関する。
ホテル、デパート等で用いられる床材には美麗な外観が要求されるため、各種の床磨き剤(艶出し剤)が従来使用されている。一方、これらの床材は靴(特に、婦人用のハイヒール)等による過酷な接触を繰り返し受けるため、優れた美観性のみならず、例えば耐ブラックヒールマーク(BHM)性をはじめとする高度の耐久性をも要求される。これらの要求を満たすべく、銅や鉄等の重金属のスルホン酸塩構造を有するエチレン系不飽和カルボン酸共重合体を用いた水性被覆組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。但し、環境に対する負荷を軽減する等の目的から、重金属類、特に亜鉛を用いない艶出し剤等の開発が近年求められている。
重金属類を使用しないものとしては、架橋性不飽和単量体を用いた、耐煮沸性に優れた艶出し剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、近年、床磨き剤はより高いレベルの耐久性を有するものであることが要求されており、特許文献2において開示された艶出し剤(床磨き剤)であってもこのような要求を十分に満足できるものとはいえなかった。また、再塗装に先立つアルカリによる剥離性も十分とはいえないため、更なる改良を図る必要性がある。
一方、優れた耐久性、光沢性、及び密着性等を備えたものとして、所定の(メタ)アクリレート単量体とエチレン性不飽和カルボン酸とを含む単量体成分を乳化重合してなる水性共重合体ラテックスが開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、ガラス転移点(Tg)が22℃より高い所定の酸性単量体の共重合体と、遷移金属化合物とを反応させて得られる生成物を含む床磨き剤等に使用される組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、近年はコンクリート、石材、木材等の各種基材への密着性及び重ね塗り性を改善することが要求されており、前記特許文献3、4において開示された水性共重合体ラテックスや床磨き剤用の組成物を用いた床磨き剤はこれらの要求を必ずしも十分に満足するものであるとはいえなかった。
特表平8−501577号公報 特公平1−59310号公報 特開平4−311712号公報 特開平2−219863号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、重金属を用いることなく、耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性に優れた床磨き剤として好適なアクリルエマルジョン組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、その酸価が所定の範囲内であるアクリル共重合体と、水溶解度が比較的低い難溶性のマグネシウム化合物とを含むエマルジョン組成物によって、上記の課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すアクリルエマルジョン組成物が提供される。
[1]酸価が30〜180mgKOH/gであるとともにガラス転移点(Tg)が−30〜70℃であるアクリル共重合体と、20℃における水溶解度が1質量%未満であるマグネシウム化合物と、を含み、前記マグネシウム化合物の含有量が、前記アクリル共重合体の酸価の0.02〜1当量であるアクリルエマルジョン組成物。
]前記マグネシウム化合物が、Mg(OH)2、MgO、MgCO3、及び3MgCO3・Mg(OH)2・3H2Oからなる群より選択される少なくとも1種である前記[1]に記載のアクリルエマルジョン組成物。
]pHが4〜9である前記[1]又は[2]に記載のアクリルエマルジョン組成物。
]床磨き剤として用いられる前記[1]〜[]のいずれかに記載のアクリルエマルジョン組成物。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、酸価が30〜180mgKOH/gであるとともにガラス転移点(Tg)が−30〜70℃であるアクリル共重合体と、20℃における水溶解度が1質量%未満であるマグネシウム化合物とを含み、マグネシウム化合物の含有量が、アクリル共重合体の酸価の0.02〜1当量であるものであるため、重金属を用いることなく、耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性に優れた床磨き剤として好適なものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、酸価が30〜180mgKOH/gであるとともにガラス転移点(Tg)が−30〜70℃であるアクリル共重合体と、20℃の純水に対する水溶解度が1質量%未満であるマグネシウム化合物とを含み、マグネシウム化合物の含有量が、アクリル共重合体の酸価の0.02〜1当量である。以下、その詳細について説明する。
(1)アクリル共重合体(共重合体(A))
本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物に含まれるアクリル共重合体(以下、単に「共重合体(A)」ともいう)としては、エチレン系不飽和カルボン酸単量体及び/又はその塩(以下、単に「(a)成分」ともいう)、エチレン系不飽和スルホン酸単量体及び/又はその塩(以下、単に「(b)成分」ともいう)、並びに(a)及び(b)成分とは異なるエチレン系不飽和単量体(以下、単に「(c)成分」ともいう)からなる群より選択される2種以上の単量体を共重合させてなる共重合体を挙げることができる。
(a)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]等のハーフエステル類等を挙げることができる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、エチレン系不飽和カルボン酸単量体の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体の塩は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、(a)成分としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、若しくはフタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、又はこれらの2種以上の混合物が好ましい。
共重合体(A)における(a)成分の含有率は、5〜50質量%であることが好ましく、7〜45質量%であることが更に好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。共重合体(A)における(a)成分の含有率が5質量%未満であると、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐久性、剥離性が低下する傾向にあり、50質量%超であると、塗工性が低下する傾向にある。
(b)成分としては、例えば、イソプレンスルホン酸、スチレン−3−スルホン酸、スチレン−4−スルホン酸、α−メチルスチレン−3−スルホン酸、α−メチルスチレン−4−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や、アリルアルキルスルホン酸類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルの硫酸塩類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルの硫酸塩類等を挙げることができる。これらのエチレン系不飽和スルホン酸単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、エチレン系不飽和スルホン酸単量体の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらのエチレン系不飽和スルホン酸単量体の塩は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、(b)成分としては、イソプレンスルホン酸ナトリウム及び/又はスチレン−4−スルホン酸ナトリウムが好ましい。
共重合体(A)における(b)成分の含有率は、0〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることが更に好ましく、0.2〜5質量%であることが特に好ましい。共重合体(A)における(b)成分の使用は、エマルジョンの安定性、及び床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐BHM性に効果があり、20質量%超であると、塗膜の耐水性が低下する傾向にある。
(c)成分としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類、フッ素含有(メタ)アクリレート類、アミノ基含有(メタ)アクリレート類、芳香族ビニル化合物、不飽和アミド化合物、シアン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ビニルエステル類、不飽和エポキシ化合物、カルボニル基含有不飽和化合物等を挙げることができる。
前記アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記フッ素含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、8,8,8,7,7−ペンタフルオロ−n−オクチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記アミノ基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(n−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記の(メタ)アクリレート類以外の(メタ)アクリレート類として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(アルキルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸のモノ(エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート)/2−ヒドロキシエチル混合エステル等を挙げることができる。
一方、前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン等を挙げることができる。
前記不飽和アミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−アミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−メチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
前記シアン化ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。また、前記ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げることができ、前記ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステル等を挙げることができる。
前記不飽和エポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、前記カルボニル基含有不飽和化合物としては、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、2−アセトキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性アセトキシ(メタ)アクリレート、プラクセルATFA1(商品名(ダイセル化学工業社製))、プラクセルATFA2(商品名(ダイセル化学工業社製))、プラクセルATFM1(商品名(ダイセル化学工業社製))、プラクセルATFM2(商品名(ダイセル化学工業社製))等を挙げることができる。
上述してきたこれらの(c)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、(c)成分としては、アルキル(メタ)アクリレート類、芳香族ビニル化合物、カルボニル基含有不飽和化合物が好ましく、特に、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ジアセトンアクリルアミドが好ましい。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含まれる共重合体(A)の酸価は、30〜180mgKOH/gであり、40〜170mgKOH/gであることが好ましく、50〜160mgKOH/gであることが更に好ましい。共重合体(A)の酸価が30mgKOH/g未満であると、塗膜の耐BHM性が低下する傾向にある。一方、共重合体(A)の酸価が180mgKOH/g超であると、塗膜のレベリング性が低下する傾向にある。
共重合体(A)のガラス転移点(Tg)は、−30〜70℃であ、−20〜60℃であることが好ましく、−10〜60℃であることが更に好ましい。共重合体(A)のTgが−30℃未満であると、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐BHM性や耐汚れ性が低下する。一方、70℃超であると、重ね塗り性や塗膜の密着性が低下する。
共重合体(A)は、その示差熱量曲線の転移領域内に存在するTgが1点のみであっても2点以上であってもよい。また、示差熱量曲線の転移領域内に2点以上のTgが存在する場合、最も高いTg(℃)と最も低いTg(℃)との差ΔTg(℃)が5℃以上であることが好ましい。更に、共重合体(A)の構造を、低いTgが存在する共重合体成分と高いTgが存在する共重合体成分とが、同一粒子内に併存する異相構造とすると、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐久性をより向上させることが可能となるために好ましい。
共重合体(A)の平均粒子径は、0.02〜0.5μmであることが好ましく、0.03〜0.3μmであることが更に好ましく、0.05〜0.2μmであることが特に好ましい。共重合体(A)の平均粒子径が0.02μm未満であると、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜のレベリング性が低下する傾向にあり、0.5μm超であると、形成される塗膜の光沢が低下するおそれがある。
(2)マグネシウム化合物
本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物に含まれるマグネシウム化合物の20℃における水溶解度(以下、単に「水溶解度」ともいう)は、1質量%未満であり、0.7質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることが更に好ましい。マグネシウム化合物の水溶解度が1質量%以上であると、塗膜の耐久性や重ね塗り性が低下する傾向にある。なお、本発明においてはマグネシウム化合物の水溶解度の下限値については特に限定されないが、実質的な入手可能性等の観点からは10-5質量%以上であればよい。
また、本実施形態のアクリルエマルジョン組成物中のマグネシウム化合物の含有量は、共重合体(A)の酸価の0.02〜1当量であり、0.03〜0.7当量であることが好ましく、0.05〜0.5当量であることが更に好ましい。マグネシウム化合物の含有量が、共重合体(A)の酸価の0.02当量未満であると、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐久性が不十分となる傾向にあり、1当量超であると、塗工性が低下する傾向にある。
なお、本明細書にいう「マグネシウム化合物の含有量が、アクリル共重合体(共重合体(A)の酸価の0.02〜1当量である」とは、例えば、共重合体(A)の酸価が56mgKOH/g、マグネシウム化合物がMg(OH)2(分子量=58)である場合を想定すると、この共重合体(A)の1gに対して、Mg(OH)20.58〜29mg含有することをいう。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含まれるマグネシウム化合物の好適な具体例としては、Mg(OH)2、MgO、MgCO3、若しくは3MgCO3・Mg(OH)2・3H2Oの単一物、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせた混合物を挙げることができる。
本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物は、そのpHが4〜9の範囲内であることが好ましく、5〜9の範囲内であることが更に好ましく、6〜8の範囲内であることが特に好ましい。pHが4未満であると、塗膜の耐BHM性が低下する傾向にある。一方、pHが9超であると、エマルジョンの安定性が低下する傾向にある。
次に、本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物の製造例について説明する。本実施形態のアクリルエマルジョン組成物を製造する方法については特に制限はないが、先ず通常の乳化重合法により共重合体(A)のエマルジョン(共重合体エマルジョン)を調製し、次いでこの共重合体エマルジョンにマグネシウム化合物を添加する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
共重合体エマルジョンは、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分のうちの少なくとも2種以上の単量体を、乳化剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中、必要に応じて還元剤、連鎖移動剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加して重合することにより調製することができる。
なお、(a)成分として、モノカルボン酸の無水物(例えば、(メタ)アクリル酸無水物等)、又はジカルボン酸の無水物(例えば、無水マレイン酸等)を用いる場合、これら無水物は乳化重合時の水性媒体中においてカルボン酸となるものである。従って、これら無水物をエチレン系不飽和カルボン酸単量体成分として乳化重合時に使用することもできる。
乳化重合に際して単量体を仕込む方法としては、公知の方法、例えば、全単量体を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応を開始させた後、残部を連続的に若しくは分割して仕込む方法、又は単量体を連続的に若しくは分割して仕込む方法等を採用することができる。
(b)成分のうち、例えば、スチレン−3−スルホン酸ナトリウム、スチレン−4−スルホン酸塩、α−メチルスチレン−3−スルホン酸塩、α−メチルスチレン−4−スルホン酸塩、アリルアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルの硫酸塩類、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルの硫酸塩類等は、反応性乳化剤として作用するものである。従って、これらの単量体又はその塩を(b)成分として使用する場合には、別途の乳化剤は必ずしも用いなくともよい。但し、所望により別途の乳化剤を更に添加してもよい。好ましい別途の乳化剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び水溶性高分子等を挙げることができる。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルサルフェートナトリウム塩等の高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステル塩等を挙げることができる。より具体的には、高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの陰イオン性界面活性剤は、それぞれ単独で若しくは2種以上を混合して使用することができ、又は後述する非イオン性界面活性剤や水溶性高分子の1種以上と併用することもできる。なお、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩等が特に好ましい。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等を挙げることができる。これらの非イオン性界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が特に好ましい。
また、前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタインが好ましい。一方、前記陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライド等が好ましい。
前記水溶性高分子としては、例えば、部分けん化又は完全けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、水溶性(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、水溶性(メタ)アクリルアミド共重合体等を挙げることができる。これらの水溶性高分子は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、水溶性高分子としては、部分けん化ポリビニルアルコール、水溶性(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体塩等が特に好ましい。
乳化重合に際し、乳化剤は、例えば、一括添加、分割添加、連続添加、又はこれらを組み合わせた方法によって重合系に添加することができる。乳化剤の添加量(使用量)は、全単量体100質量部に対し0.05質量部(反応性乳化剤として作用する(b)成分を含む)以上であることが好ましい。但し、反応性乳化剤として作用する(b)成分が存在しない場合においては、乳化剤の添加量(使用量)は、全単量体100質量部に対し5質量部以下であることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、水溶性又は油溶性の重合開始剤を挙げることができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素等を挙げることができる。これらの水溶性重合開始剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、水溶性重合開始剤は、必要に応じて、1種以上の還元剤、例えば、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸やその塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄等と組み合わせて用いることができる。
また、前記油溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げることができる。これらの油溶性重合開始剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、油溶性重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等が特に好ましい。乳化重合に際し、油溶性重合開始剤は単量体又は溶剤に溶解して用いることができる。
乳化重合に際し、重合開始剤は、例えば、一括添加、分割添加、連続添加、又はこれらを組み合わせた方法によって重合系に添加することができる。重合開始剤の添加量(使用量)は、全単量体100質量部に対し0.03〜3質量部であることが好ましく、0.1〜1重量部であることが更に好ましい。
連鎖移動剤としては、ハロゲン化炭化水素類(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ブロモホルム等)、メルカプタン類(例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、チオグリコール酸アルキル等)、キサントゲン類(例えば、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等)、テルペン類(例えば、ジペンテン、ターピノーレン等)、1,1−ジフェニルエチレン、不飽和環状炭化水素類(例えば、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等)、不飽和ヘテロ環状化合物(例えば、キサンテン、2,5−ジヒドロフラン等)や、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。なお、前記α−メチルスチレンダイマーは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(I)、2,4−ジフェニル−4−メチル−ペンテン(II)、及び1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン(III)の少なくとも1種からなるものが好ましく、(I)/{(II)+(III)}=40〜100/0〜60(質量比)であるものが更に好ましい。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
乳化重合に際し、連鎖移動剤は、例えば、一括添加、分割添加、連続添加、又はこれらを組み合わせた方法によって重合系に添加することができる。連鎖移動剤の添加量(使用量)は、全単量体100質量部に対し5質量部以下であることが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム等を挙げることができる。これらのpH調整剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。pH調整剤の使用量は、全単量体100質量部に対し1質量部以下であることが好ましい。
キレート化剤としては、例えば、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等を挙げることができる。これらのキレート化剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。キレート化剤の使用量は、全単量体100質量部に対し1質量部以下であることが好ましい。
なお、乳化重合に際し、作業性、防災安全性、環境安全性、及び製造安全性を損なわない範囲内の量で、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤の使用量は、全単量体100質量部に対し5質量部以下であることが好ましい。溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トリクロロトリフルオロエタン、ジメチルスルホキサイド、トルエン、ジ−n−ブチルフタレート、トリ(2−n−ブトキシエチル)ホスフェート、メチルピロリドン、酢酸エチル、アルコール類、セロソルブ類、カルビトール類等を挙げることができる。なお、これらの溶剤の2種以上を混合して使用することもできる。
乳化重合に際しての重合温度は、通常、30〜100℃であることが好ましく、40〜95℃であることが更に好ましい。また、重合時間は、通常、1〜30時間であることが好ましく、2〜20時間であることが更に好ましい。乳化重合における最終的な重合転化率は、通常、90〜100質量%とすることが好ましく、95〜100質量%とすることが更に好ましい。
次いで、調製した共重合体エマルジョンにマグネシウムを添加及び混合撹拌することにより、本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物を得ることができる。マグネシウム化合物は、粉末のまま添加しても、水分散体(スラリー体)として添加してもよい。マグネシウム化合物を粉末として添加する場合における粉末の平均粒子径は、0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることが更に好ましい。また、マグネシウム化合物を水分散体として添加する場合は、適当な分散剤や乳化剤を加えてもよい。
共重合体エマルジョンとマグネシウム化合物との混合撹拌は、共重合体(A)のTgを超える温度で行うことが好ましく、共重合体(A)のTgより5〜80℃高い温度で行うことが更に好ましく、共重合体(A)のTgより10〜70℃高い温度で行うことが特に好ましい。このことにより、共重合体(A)とマグネシウム化合物とを含むアクリルエマルジョン組成物を速やかに調製することができる。なお、温度が高過ぎると、共重合体エマルジョンが不安定となり凝固物が生成する場合がある。撹拌時間は、通常、30分〜5時間であることが好ましく、1〜4時間程度であることが更に好ましい。共重合体(A)とマグネシウム化合物との混合撹拌は、回分式、半連続式、又は連続式の何れの方式で行ってもよい。
また、共重合体(A)とマグネシウム化合物との混合撹拌に際し、マグネシウム化合物の添加前、添加と同時、又は添加後に、更にpH調整剤としてアンモニア(水)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、エタノールアミン、アルキルアミノエタノール、カルボジイミド若しくはその誘導体、ポリカルボジイミド樹脂、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、又はヒドラジド樹脂等の成分を添加してもよい。これらの成分の添加量は、マグネシウム化合物100質量部に対し、通常、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることが更に好ましい。
本発明の実施形態であるアクリルエマルジョン組成物には、床磨き剤として好適に使用すべく、共重合体(A)及びマグネシウム化合物以外の成分として、共重合体(A)以外の樹脂若しくはゴムエマルジョン、アルカリ可溶性樹脂、ワックスエマルジョン、造膜助剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、レベリング剤、防腐剤、充填剤等を更に添加することができる。
前記樹脂又はゴムエマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、スチレン−アクリロニトリル共重合体エマルジョン、ポリスチレンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)エマルジョン、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)エマルジョン等を挙げることができる。これらのエマルジョンは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記樹脂又はゴムエマルジョンのなかでもアクリル樹脂エマルジョンが好ましい。また、アクリル樹脂エマルジョンのなかでも、アクリル樹脂のTgが−30〜+70℃であるアクリル樹脂エマルジョンが好ましく、−25〜+40℃であるアクリル樹脂エマルジョンが更に好ましく、−20〜+20℃であるアクリル樹脂エマルジョンが特に好ましい。このようなアクリル樹脂エマルジョンを添加することにより、造膜助剤や可塑剤の使用量を減ずる、又はこれらの使用を止めることもできる。
一方、アクリル樹脂のTgが20〜100℃、好ましくは30〜80℃であるアクリル樹脂エマルジョンを添加することにより、床磨き剤として用いた場合に形成される塗膜の耐汚染性を著しく高めることが可能となる。なお、2種以上のアクリル樹脂エマルジョンを添加する場合、並びにアクリル樹脂エマルジョンと、このアクリル樹脂エマルジョン以外の樹脂エマルジョン及び/又はゴムエマルジョンとを添加する場合においては、これらのエマルジョンの混合物中の樹脂又はゴム成分の平均Tgが−30〜+70℃となるように調整することが好ましく、−20〜+50℃となるように調整することが更に好ましく、−10〜+40℃となるように調整することが特に好ましい。
前記アクリル樹脂エマルジョンとしては、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択されるの少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートを含む共重合体のエマルジョンであることが好ましい。また、アクリル樹脂エマルジョンは、上記のアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を、10〜90質量%含む共重合体のエマルジョンであることが好ましく、15〜85質量%含む共重合体のエマルジョンであることが更に好ましく、20〜80質量%含む共重合体のエマルジョンであることが特に好ましい。
共重合体(A)と樹脂又はゴムエマルジョンとの比率は、固形分の質量換算で、100/0〜10/90であることが好ましく、100/0〜15/85であることが更に好ましく、100/0〜20/80であることが特に好ましく、100/0〜30/70であることが最も好ましい。この比率が10/90未満であると、床磨き剤として用いる場合の重ね塗り性や、形成される塗膜の密着性が低下する傾向がある。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/α,β−不飽和カルボン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/α,β−不飽和カルボン酸/スチレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、シェラック、ロジン変性マレイン酸樹脂等を挙げることができる。これらのアルカリ可溶性樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらのアルカリ可溶性樹脂を添加することにより、床磨き剤用の組成物として用いた場合に形成される塗膜のレベリング性及びアルカリによる剥離性を更に向上させることができる。アルカリ可溶性樹脂の添加量は、共重合体(A)100質量部に対し、通常、50質量部以下であることが好ましく、5〜40質量部であることが更に好ましく、10〜30質量部であることが特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の添加量が50質量部を超えると、形成される塗膜の耐久性が低下する傾向にある。
前記ワックスエマルジョンとしては、例えば、ポリエチレン系エマルジョン等を挙げることができる。ワックスエマルジョンの添加量は、固形分換算で、共重合体(A)100質量部に対し、40質量部以下であることが好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましく、10〜30質量部であることが特に好ましい。ワックスエマルジョンの添加量が40質量部を超えると、形成される塗膜の光沢が低下して外観が損なわれる傾向にある。
前記造膜助剤としては、例えば、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコール又はそのエーテル類、3−メトキシ−1−ブタノールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、前記可塑剤としては、例えば、トリ−n−ブトキシホスフェート、トリ(2−n−ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、多価アルコール類、沸点260℃以上のポリアルキレングリコールアルキルエーテル、イソホロン、ベンジル・n−ブチルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジメチルフタレートや、テキサノールCS−12(商品名(チッソ社製))等を挙げることができる。
これらの造膜助剤や可塑剤は、それぞれ単独で又はそれぞれ2種以上を混合して使用することができ、また造膜助剤と可塑剤とを併用することもできる。造膜助剤と可塑剤との合計添加量は、共重合体(A)100質量部に対し、通常、60質量部以下であることが好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましく、10〜40質量部であることが特に好ましい。造膜助剤と可塑剤との合計添加量が60質量部を超えると、形成される塗膜の耐久性が低下する傾向にある。なお、本実施形態のアクリルエマルジョン組成物は、低沸点の造膜助剤を減量することができ、又は添加する必要がないため、TVOCを低減することができる。
前記湿潤剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸カリウム塩、シリコン系湿潤剤、アセチレン系湿潤剤等を挙げることができる。また、前記分散剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。なお、前記レベリング剤としては、例えば、ロジン酸エステル等を挙げることができる。前記防腐剤としては、例えば、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソアゾリン−3−オンと5−クロル−2−メチル−4−イソアゾリン−3−オンとの混合物等を挙げることができる。また、前記充填剤としては、例えば、コロイダルシリカ、マイカ、りん片状充填剤等を挙げることができる。
なお、本実施形態のアクリルエマルジョン組成物には、共重合体(A)及びマグネシウム化合物以外の成分として、更に、消泡剤を添加することもできる。また(c)成分としてアクロレイン、ジアセトンアクリルアミド等のカルボニル基含有不飽和化合物を用いた共重合体(A)に対しては、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物を添加してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、床材、家具、車両等の艶出し剤として有用である。本発明のアクリルエマルジョン組成物を床磨き剤として用いる場合、布拭き、ブラシがけ、ハケスプレー等の通常の方法により塗布した後、風乾又は加熱乾燥することにより、強固な塗膜を形成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器(容量:3L)に、イオン交換水100質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3質量部、及び過硫酸アンモニウム0.1質量部を仕込み、反応容器内部の空気を窒素置換した後、内容物を撹拌しつつ温度を65℃に調整した。その後、この反応容器に、イオン交換水50質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1質量部、過硫酸アンモニウム0.1質量部、並びに単量体としてブチルアクリレート34.8質量部、メチルメタクリレート50質量部、及びメタクリル酸15.2質量部を混合撹拌して別途調製したエマルジョンを3時間かけて滴下した。なお、滴下中は窒素を導入し、温度を80℃に保持した。滴下終了後、更に85℃で2時間撹拌し、次いで25℃に冷却して共重合体エマルジョンを得た。このときの重合転化率は98%以上であり、重合中凝固物の発生は殆どみられなかった。なお、得られた共重合体エマルジョンに含まれる共重合体のTg(℃)及び酸価(mgKOH/g)を表1に示す。
得られた共重合体エマルジョンを50℃に保って撹拌しつつ、アクリル共重合体の酸価の0.2当量に相当するMg(OH)2を徐々に添加した。添加完了後、約2時間撹拌してアクリルエマルジョン組成物を調製した。なお、Mg(OH)2の20℃における水溶解度は、0.0009質量%である。
(床磨き剤の調製)
調製したアクリルエマルジョン組成物に、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びトリ(2−n−ブトキシエチル)ホスフェートを4:1(質量比)の割合で混合して、最低造膜温度(MFT)を5℃以下に調整した。次いで、固形分が19質量%となるようにイオン交換水を加えて所定の組成物を調製した。
調製した前記組成物80質量部、ワックスエマルジョン(商品名:HYTEC E−4000(東邦化学社製)、固形分19質量%)15質量部、アルカリ可溶性樹脂水溶液(ロジンエステル樹脂の水溶液(商品名:LR400(荒川化学社製)、固形分15質量%、pH8.6))5質量部、及びフッ素系界面活性剤(C617SO2N(C25)CH2COOK)の水溶液(固形分1質量%)0.5質量部を混合することにより、床磨き剤(実施例1)を調製した。
(実施例2〜8、比較例1〜9)
表1に示す単量体及び金属化合物を、それぞれ表1に示す質量部及び当量で用いた(但し、比較例9については金属化合物を用いていない)こと以外は、前述の実施例1の場合と同様の操作により、床磨き剤(実施例2〜8、比較例1〜9)を調製した。なお、MgCO3、MgO、Mg(CH3COO)2の20℃における水溶解度は、それぞれ0.01質量%以下、0.4質量%以下、56.7質量%である。また、比較例8のアクリルエマルジョン組成物を調製するに際して用いたZn錯塩は、酸化亜鉛14質量部、炭酸アンモニウム12質量部、アミノ酢酸20質量部、及び25体積%アンモニア水30質量部を、全体が100質量部となるように水に溶解することにより調製した。
調製した各床磨き剤について耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、各評価の実施方法を以下に示す。
[耐ブラックヒールマーク(BHM)性]:試料(床磨き剤)を、塗布量が10g/m2となるようにホモジニアスタイル上に塗布し、次いで乾燥する操作を3回繰り返して、評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルを、人通りの多い場所(通行量=50〜100人/日)に10日間設置して、ブラックヒールマーク(BHM)の付着程度を目視にて観察し、下記の基準で5段階に評価した。なお、耐BHM性は、光沢維持率とともに形成された塗膜の耐久性を評価する指標となる。
5:BHMの付着が殆ど認められない。
4:BHMの付着が少ない。
3:BHMの付着がやや多い。
2:BHMの付着が多い。
1:BHMの付着が非常に多い。
[重ね塗り性]:試料(床磨き剤)を、塗布量が10g/m2となるようにホモジニアスタイル上に塗布し、次いで乾燥する操作を5回繰り返して、評価用サンプルを作製した。この評価用サンプル表面の艶引け状態を目視にて観察し、下記の基準で2段階に評価した。
○:艶引けなし。
×:艶引けあり。
[光沢保持性]:前述の「耐ブラックヒールマーク(BHM)性」の評価の場合と同様の操作によって評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルについて、作製直後の60°反射率(初期光沢)、及び2週間放置後の60°反射率(放置後光沢)を測定し、下記計算式を用いて光沢維持率(%)を算出した。なお、60°反射率は、村上式光沢計(商品名)を使用して測定した。
光沢維持率(%)=(放置後光沢×100)/(初期光沢)
[密着性]:前述の「耐ブラックヒールマーク(BHM)性」の評価の場合と同様の操作によって評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルについて、透明粘着テープ(幅18mm(日東電工社製))を用いた剥離試験を行い、評価用サンプルの側に剥離せずに残った塗膜の面積割合(%)により下記の基準で5段階に評価した。
5:90〜100%
4:70〜89%
3:50〜69%
2:30〜49%
1:0〜29%
Figure 0003690418
表1に示すように、実施例1〜8の床磨き剤は、比較例1〜7、及び9の床磨き剤に比して優れた耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性を示すものであることが明らかである。
なお、比較例8の床磨き剤については、実施例と同等の特性を示すことが明らかである。しかしながら、比較例8の床磨き剤は重金属である亜鉛(Zn)が含まれているものであり、このような重金属を含むことのない実施例1〜8の床磨き剤は、環境に対する負荷軽減を図りつつも優れた特性を示すものであることが明らかである。
本発明アクリルエマルジョン組成物は、耐BHM性、重ね塗り性、光沢保持性、及び密着性に優れた床磨き剤用の組成物として好適である。

Claims (4)

  1. 酸価が30〜180mgKOH/gであるとともにガラス転移点(Tg)が−30〜70℃であるアクリル共重合体と、20℃における水溶解度が1質量%未満であるマグネシウム化合物と、を含み、
    前記マグネシウム化合物の含有量が、前記アクリル共重合体の酸価の0.02〜1当量であるアクリルエマルジョン組成物。
  2. 前記マグネシウム化合物が、Mg(OH) 2 、MgO、MgCO 3 、及び3MgCO 3 ・Mg(OH) 2 ・3H 2 Oからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のアクリルエマルジョン組成物。
  3. pHが4〜9である請求項1又は2に記載のアクリルエマルジョン組成物。
  4. 床磨き剤として用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリルエマルジョン組成物。
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