JP3690370B2 - 食品組成物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」を含有する食品組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
トウガラシ(Capsicum annuum L.)は、食品,香辛料及び医薬品原料として世界中で広く利用されている植物である。その主要な辛味の成分はカプサイシン((E)-N-[(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-methyl]-8-methyl-6-nonenamide)及びジヒドロカプサイシン、即ち、カプサイシンの6,7-ジヒドロ誘導体である。更に、辛味の成分として、少量ではあるが、ノルジヒドロカプサイシン(ジヒドロカプサイシンよりメチレン基が一つ少ない化合物)、ホモカプサイシン(カプサイシンよりメチレン基が一つ多い化合物)及びホモジヒドロカプサイシン(ジヒドロカプサイシンよりメチレン基が一つ多い化合物)等のカプサイシノイドと呼ばれる物質が12種類以上も含まれている。
【0003】
これまでに、カプサイシンが様々な生理活性、例えば、アドレナリンの分泌を促進して脂肪酸の酸化を増強することによって肥満抑制をもたらす等の作用を有していることが判っている(Buck, S.H.;Burks, T.F., Pharmacol. Rev., 1986, 38, 179-226, Suzuki, T.; Iwai, K., Chemistry and Pharmacology, 1984, Vol.23, 1984,Szolcsanyi,J.,Handbook of Experimental Pharmacology, Vol.60, 1982)。
しかしながら、カプサイシンは辛味及び侵襲性が強い為にその使用量等が制限され、食品添加物又は医薬品としての用途はかなり限られたものであった。又、食品素材であるトウガラシ自体も限られた食品にしか使用されてこなかった。
一方、辛味のないカプサイシノイドの幾つかにカプサイシンと同様に副腎からのカテコールアミン分泌を促す等の生理活性作用のあることが報告されている(Watanabe, T.; Kawada, T.; Kato, T.; Harada, T.; Iwai, K., Life Sci., 1994, 54, 369-374) 。これらカプサイシノイドは辛味がないために食品添加物又は医薬品として利用できる可能性がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
タイ国で入手した辛味固定品種である「CH−19」(京都府立大学・農学部・野菜園芸学研究室導入番号)から、京都大学の実験圃場で選抜固定したトウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」には、カプサイシノイドはほとんど含まれておらず、カプサイシノイド様物質が多量含有されていることが報告されている(Yazawa,S.; Suetome, N.; Okamoto, K.; Namiki, T., J. Japan Soc. Hort. Sci., 1989, 58, 601-607)。
本発明者等は、今回、この「CH−19甘」に含有されているカプサイシノイド様物質の構造解析を試み、これらの物質を初めて同定することに成功し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、一般式:
【0006】
【化1】
Figure 0003690370
【0007】
【化2】
Figure 0003690370
【0008】
のいずれかで示される、新規なカプサイシノイド様物質に係わる。
従来のカプサイシノイドにおいてはバニリルアルコールと分岐不飽和脂肪酸がアミド結合しているのに対して、本発明の化1で示された物質はバニリルアルコールと分岐不飽和脂肪酸がエステル結合している点に特徴がある。化2の物質は、化1の物質の脂肪酸部分が飽和したものである。これらの化学式中でnは3、4又は5が好ましく、例えば、nが4である物質の構造式は以下の化3及び化4で示される。
【0009】
【化3】
Figure 0003690370
【0010】
【化4】
Figure 0003690370
【0011】
本発明のカプサイシノイド様物質は、辛味がなく細胞毒性も実質的にない為に、エネルギー代謝の活性化及び免疫の賦活化等の各種生理活性作用を有する食品添加物又は医薬品成分として使用できる。
更に、持続的運動に於ける耐久性維持の為の食品添加物又は医薬品成分、及び非麻酔性の鎮痛薬としても利用できる可能性がある。
従って、本発明は、上記カプサイシノイド様物質を含有する食品組成物にも係わる。本発明の食品組成物とは、固形、液体、ゾル、ゲル、粉末及び顆粒等のあらゆる形態を採ることが可能であり、当該技術分野で公知の任意の製造方法によって製造することがでる。
食品組成物中に含まれる本発明のカプサイシノイド様物質の量は、配合目的、食品組成物の種類・形態・目的等に応じて当業者が適宜決めることが出来る。
例えば、カプサイシノイド様物質を少なくとも10−5重量%以上で含有するチョコレート等がある。
食品組成物中に含まれる本発明のカプサイシノイド様物質は必ずしも精製されたものである必要はない。例えば、トウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」自体(未処理物)、その乾燥物(粉砕物)、又は酢酸エチル、エタノールに代表されるアルコール類及び食品用乳化剤等の、当該技術分野に於いて天然物からの抽出に通常使用される各種溶媒による「CH−19甘」の抽出物として食品組成物に含有されていても良い。
【0012】
更に、本発明は、上記カプサイシノイド様物質を含有する医薬組成物にも係わる。本発明の医薬組成物は、当該技術分野で公知の任意の形態を採ることが出来、例えば、様々な塩及び緩衝剤によって緩衝化した溶液、懸濁液、乳濁液等の液体製剤とすることができる。
塩としては、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、リン酸塩及び硫酸塩とし得る。様々な緩衝剤、例えば、クエン酸、リン酸、HEPES、トリス等を生理学的に供され得る濃度で使用することが出来る。
本発明の医薬組成物は液体製剤の他にも、錠剤、粉末、ゾル、ゲル、顆粒、及びリポソームでの包摂等の剤型とすることが出来る。
各種製剤化の際には、当業者には公知の各種賦形剤又は添加剤等を薬学的に許容し得る量で使用し得る。
医薬組成物中に含まれる本発明のカプサイシノイド様物質の量は、他の成分の性状、使用目的、患者の年齢・体重、及び要求される効果等に応じて当業者が適宜決めることが出来る。
医薬組成物は、その形態及び製剤形態等に応じて、様々な投与経路、例えば、経口、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、及び鼻咽頭経由等で投与することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のカプサイシノイド様物質は、後述する実施例に示したように、トウガラシの無辛味品種である「CH−19甘」から分離・精製することにより製造される他、当業者であれば、本明細書に記載した構造式に基づいて公知の反応手法を用いて化学的に容易に合成することが出来る。例えば、化4で示される本発明の化合物は、8−メチルノナン酸(8−メチルペラルゴン酸)とバニリルアルコールを出発原料として使用して、周知のエステル化反応で化学的に容易に合成することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、実施例は何等本発明を限定するものではない。
【0014】
【実施例】
実施例1:本発明カプサイシノイド様物質の分離・精製
「CH−19甘」の新鮮な果実1.00kgを凍結乾燥し、種子及び萼を除去した後、ユニバーサルホモゲナイザー(日本精機製作所)を用いて各回1.8Lの酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル抽出物を減圧下で蒸留して酢酸エチルを留去し、オレオレジン(樹脂油剤)7.3gを得た。このオレオレジンをシリカゲル(Silica gel 60 Merck; 36 x 200 mm)上のクロマトグラフィにかけ、n−ヘキサン及び酢酸エチルで段階的に溶出させた。酢酸エチルで溶出した画分をシリカゲル(Wakosil 25C18 和光純薬;20 x 50 mm) 上の逆相クロマトグラフィにかけ、75%メタノールで溶出して化合物(3)4.5mgを得た。
一方、n−ヘキサン/酢酸エチル(80:20)で溶出した画分をシリカゲル(Wakosil 25C18 和光純薬;20 x 90 mm) 上の逆相クロマトグラフィにかけ、75%メタノールで溶出して化合物(1)を含有する混合物を得た。同様に、次の画分からは化合物(2)59.7mgが無色油として得られた。
化合物(1)を含有する混合物をシリカゲル(Wakosil 25C18 和光純薬;20 x 90 mm) 上の逆相クロマトグラフィにかけ、75%メタノール(0.05M AgNO含有)で溶出した。得られた溶出液をCHClで3回抽出し、CHCl3 画分を集めて無水NaSOを用いて脱水し、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて化合物(1)98.5mgを無色油として得た。
尚、以上の分離・精製操作に於いて、各画分中の化合物(1)及び化合物(2)は、薄層クロマトグラフィ上で展開溶媒としてトルエン:クロロホルム:アセトン(55:26:19 v/v)を使用し、0.1%2,6-ジクロロキノン-4- クロロイミド(85%メタノールに溶解)液を展開後の薄層プレートに噴霧し、アンモニア蒸気に曝して反応させた結果生じる青い発色で追跡し確認した。又、化合物(3)は展開溶媒としてトルエン:クロロホルム:アセトン(29:32:39 v/v)を使用した。
【0015】
実施例2:本発明カプサイシノイド様物質の構造決定
本発明化合物の分光学的解析に用いた機器は以下の通りであり、それぞれの操作マニュアルに従い、通常の操作を行った。
H−NMR(399.65 MHz, CDCl)及び13C−NMR(100.40 MHz, CDCl)スペクトル(内部標準:TMS):JEOLアルファ−400,IRスペクトル:日立270−50赤外分光光度計,UVスペクトル:Jasco UVIDEC 660分光光度計,HRMSスペクトル:JEOL JMS−700。
【0016】
化合物(1)の構造決定:
以上の測定手段により得られた化合物(1)のスペクトルデータは以下の通りである。
HRMS m/z (M
計算値(C1826):306.1831
測定値:306.1798
IRνmax (film)cm −1
3450,1740,1615,1610,1520,1470,1435,1275,1160,1120,1035,970,850,815,795,560。
UVmax (MeOH)nm
280(ε:2400),231(ε:6200)
H及び 13 C−NMRスペクトル
それぞれ、以下の表1及び表2に示した。
【0017】
上記のHRMSの結果から、化合物(1)の分子式はC1826であると決定した。
IRスペクトルでは、ヒドロキシによる吸収(3450cm−1)及びエステルカルボニルによる吸収(1740cm−1)が見られた。
H−NMRスペクトルでは3つの芳香族性プロトン(δ6.90d,6.86d,及び6.87d)が見られ、これら3つのカップリング定数及びそのパターンは典型的な1,2,4−置換フェニル基を示していた。このフェニル基により、13C−NMRスペクトルにおいて、δ146.5,145.8,128.0,122.0,114.3及び111.2のシグナルが見られた。
H−NMRスペクトルにおいて見られる、15.6Hzで互いにカップリングしている2つのオレフィン性メチンプロトン(δ5.37dd及び5.30dt)はトランス配置のエチレン部位の存在を示すものであった。又、メトキシ基(δ3.90s)及びイソプロピル基(δ0.95d,0.95d及び2.21oct)が観察された。
【0018】
表2のデータから明らかなように、化合物(1)の13C−NMRスペクトルはカプサイシン(純正品)にきわめて類似しており、唯一、メチレン炭素(C−7’)がカプサイシンではδ43.5であるのに対して、化合物(1)ではδ66.3である点が異なっていた。
H−NMRスペクトルについても両者は似ている。しかしながら、化合物(1)のメチレンプロトンの化学シフト値(δ5.03,s)が、カプサイシンの炭素(C−7’)のメチレンとは異なっていた。化合物(1)に於けるこれらメチレンのNMRシグナルは、エステル結合の酸素原子とフェニル基とに挟まれたメチレン基の存在を示している。従って、化合物(1)はカプサイシンのアミド部分の代わりにエステル部分を有していることが推定された。
又、アシル基に関するH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルは化合物(1)とカプサイシンとで非常によく一致していることから、化合物(1)はカプサイシンと同じアシル基、即ち、(E)-8-methyl-6-nonenoyl 基を有していることが推定された。
以上のデータから、本発明である化合物(1)の構造は、化3に示した4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル(E)-8−メチル−6−ノネノエートであると決定され、「カプシエート」と命名した。
【0019】
化合物(2)の構造決定:
上記の測定手段により得られた化合物(2)のスペクトルデータは以下の通りである。
HRMS m/z (
計算値(C1828):308.1987
測定値:308.2008
IRνmax (film)cm −1
3450,1740,1615,1610,1520,1470,1435,1275,1160,1120,1035,970,850,815,795,560。
UVmax (MeOH)nm
279(ε:3700),231(ε:8700)
H及び 13 C−NMRスペクトル
それぞれ、以下の表1及び表2に示した。
【0020】
上記のHRMSの結果から、化合物(2)の分子式はC1828であると決定した。
化合物(2)のIRスペクトルは化合物(1)のそれと一致していた。従って、化合物(2)の構造は化合物(1)の構造と類似していることが推定される。
更に、化合物(2)のH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルのデータも化合物(1)のものと類似していた。
しかしながら、化合物(1)で見られた2つのオレフィン性メチン炭素(C−6及びC−7)の代わりに、2つのアルカン性メチン炭素(δ27.2及び38.9)の存在が観察された。H−NMRスペクトルのデータにおいても、化合物(1)で観察されたようなオレフィン性プロトンのシグナルは認められなかった。
以上の結果から、本発明である化合物(2)の構造は、化4に示したような、化合物(1)の6,7−ジヒドロ誘導体、即ち、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル 8−メチルノナノエート、と推定された。
【0021】
化合物(2)の化学合成:
8−メチルノナン酸500mg(2.9mmol)及び塩化チオニル3.5g(29mmol)の混合物をCaClによる乾燥下、室温で一晩マグネティクスターラーを用いて攪拌した。その後、これを減圧下で蒸発させて茶色の油を得た。この油をバニリルアルコール893mg(5.8mmol)を含むピリジン溶液5mLに滴下した後、0℃で2時間マグネティクスターラーを用いて攪拌した。その後、これに水及び2N−HClを加えて酸性にし、得られた混合物を各回30mLの酢酸エチルで抽出した。これらの酢酸エチル画分を集め、水で洗浄し、無水NaSOを用いて脱水し、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて残査を得た。
この残査をシリカゲル(Silica gel 60 Merck; 36 x 60 mm) 上のクロマトグラフィにかけ、n−ヘキサン及び酢酸エチルで(90:10)で溶出させた画分から無色油2.329mg(収率:36.8%)を得た。
こうして合成した化合物のIRスペクトル、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルのデータは化合物(2)のものと完全に一致した。従って、化合物(2)は4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル 8−メチルノナノエートであることが確認され、「ジヒドロカプシエート」と命名した。
尚、化合物(3)は、上記各種スペクトルのデータを純正試薬のそれらと比較した結果、バニリルアルコールと同定された。
【0022】
【表1】
Figure 0003690370
【0023】
【表2】
Figure 0003690370
【0024】
実施例3:本発明カプサイシノイド様物質の免疫の賦活化作用
本発明カプサイシノイド様物質の免疫の賦活化作用を検討する為に、ハイブリドーマの抗体産生に与える影響を調べた。
実施例1で得られた本発明のカプサイシノイド様物質(20.5mg)に酢酸エチル66μlを添加し、1M溶液を調製した。次に、この溶液8μlをITES ERDF(インシュリン(5μg/ml)−トランスフェリン(35μg/ml)−エタノールアミン(20μM)−セレニウム(2.5nM)添加ERDF)無血清培地(40ml)に溶解し、200μM溶液を調製した。この溶液を使用して各種濃度のカプサイシノイド様物質を含む培地を調製し、以下のハイブリドーマの細胞培養を実施した。尚、比較として、カプサイシンを添加した培地も使用した。
【0025】
【表3】

ハイブリドーマ 抗体産生

H8 ヒトモノクローナル抗体 (IgM)
S97 ヒトモノクローナル抗体 (IgG)

【0026】
得られた結果を図1、図2、及び図3に示した。
これらの結果から、本発明のカプサイシノイド様物質(各図中、「CLS−B」と表記されている)は、カプサイシンに比べて、ハイブリドーマのIgM及びIgG抗体産生をより効果的に増強していることが判る。
更に、図3から明らかなように、本発明のカプサイシノイド様物質はカプサイシンに比べて細胞毒性が極めて低いと考えられる。
【0027】
実施例4:本発明カプサイシノイド様物質のエネルギー代謝の活性化作用
次に、本発明カプサイシノイド様物質のエネルギー代謝の活性化作用を検討した。
「CH−19甘」の乾燥粉砕物(約3g)を医療用ウエファースで包み、被験者に食べさせた。その結果を図4に示す。図4から明らかなように、皮膚の温度が摂取した約30分後に1.4℃上昇した。一方、内耳(鼓膜)の温度は摂取後約75分間で徐々に約0.3℃低下した。
尚、辛味の栽培変種植物である「鷹のツメ」とは異なり、この実験に於いて、被験者に「だるさ」は観察されなかった。これらの結果は、「CH−19甘」の乾燥粉砕物が、刺激を与えることなく、体温を上昇させる作用(エネルギー代謝の活性化作用)を有することを示している。
更に、実施例1で得られた本発明のカプサイシノイド様物質をマウスに投与して、エネルギー代謝の活性化作用を観察した。
得られた結果を図5に示す。この結果から、本発明のカプサイシノイド様物質を投与されたマウスの体温は、投与されなかったマウスに比べ、明らかに高いということが判った。
【0028】
実施例5:本発明カプサイシノイド様物質を含む食品組成
以下に、本発明のカプサイシノイド様物質を含む食品組成物を当業者に公知の方法によって製造した。尚、以下の実施例中の数値の単位は全て重量部である。
【0029】
【表4】
Figure 0003690370
【0030】
【表5】
スポーツ飲料
オレンジ濃縮果汁 0.200
砂糖 1.8
異性化糖(F−55) 5.5
クエン酸 0.14
食塩 0.08
クエン酸ナトリウム 0.07
塩化カリウム 0.04
第一リン酸カルシウム 0.013
グルタミン酸ナトリウム 0.004
塩化マグネシウム 0.003
アスコルビン酸 0.1
クラウデイー 0.1
乳化香料 0.01
エッセンス 0.2
カプサイシノイド様物質(*) 0.05
残部(水)
【0031】
尚、上記のスポーツ飲料で使用したカプサイシノイド様物質(*)は、「CH−19甘」の新鮮な果実1.00kgを凍結乾燥し、種子及び萼を除去した後、ユニバーサルホモゲナイザー(日本精機製作所)を用いて各回1.5Lのエチルアルコールで抽出し、得られた抽出物を減圧下で蒸発させて得られたオレオレジン(樹脂油剤)であり、本発明のカプサイシノイド様物質を約50ppm含有するものである。
【0032】
【表6】
ローヤルゼリー飲料
異性化糖(F−55) 12.0
精製蜂蜜 11.0
生ローヤルゼリー 4.5
ニンニクエキス 0.2
レイシエキス 0.3
クエン酸 0.1
ポリデキストロース 4.0
天然カフェイン 0.08
アスコルビン酸 0.5
ビタミンB1 塩酸 0.02
ビタミンB2 リン酸エステル 0.01
ビタミンB6 塩酸 0.03
ニコチン酸アミド 0.04
クラウデイー 0.1
エッセンス 0.4
カプサイシノイド様物質
(化3及び/又は化4の物質) 0.001
残部(水)
【0033】
【表7】
レトルト−パラチ入り小豆粥
玄米コシヒカリ 4.20
白米コシヒカリ 4.80
北海道産小豆 1.60
砂糖 0.50
食塩 0.10
「CH−19甘」の果実 2.0
残部(水)
【0034】
小豆を選別し、一夜、水に浸漬した後に計量した。「CH−19甘」の新鮮な果実を沸騰水に5分間浸漬しブランチング後、約5mmサイズに細切した。これらとその他の成分を300g入アルミニウムパウチ袋に総量300gとなるように充填した後、120℃で35分間レトルト処理した。
尚、このレトルト食品を用いて実施例4と同様の実験を行ったところ、体表面温度の上昇が観察され、「CH−19甘」そのものもエネルギー代謝の活性化作用を有することが確認された。
【0035】
【発明の効果】
エステル結合を有する新規なカプサイシノイド様物質が得られた。この物質は、従来知られているカプサイシンと異なり、辛味がなく、細胞毒性も実質的にない為、食品成分として広く使用することが出来る。
又、このカプサイシノイド様物質には、免疫の賦活化作用及びエネルギー代謝の活性化作用のあることが確認され、更に、抗疲労作用及び抗肥満作用等の各種生理活性化作用のあることも見出されつつあり、食品添加物及び医薬成分として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカプサイシノイド様物質(各図中、「CLS−B」と表記されている)及びプサイシンが、ハイブリドーマH8のIgM抗体産生に与える効果を示したものである。図中、■及び▲は、それぞれ100μM及び20μMのCLS−Bが添加された培地で培養したときの値を示す。又、□及び△は、それぞれ100μM及び20μMのカプサイシンが添加された培地で培養したときの値を示す。
【図2】本発明のカプサイシノイド様物質(各図中、「CLS−B」と表記されている)及びプサイシンが、ハイブリドーマS97のIgG抗体産生に与える効果を示したものである。図中、■及び▲は、それぞれ100μM及び20μMのCLS−Bが添加された培地で培養したときの値を示す。又、□及び△は、それぞれ100μM及び20μMのカプサイシンが添加された培地で培養したときの値を示す。
【図3】本発明のカプサイシノイド様物質(各図中、「CLS−B」と表記されている)及びプサイシンが、ハイブリドーマS97の生存率(Viability) に与える効果を示したものである。図中、■及び▲は、それぞれ100μM及び20μMのCLS−Bが添加された培地で培養したときの値を示す。又、□及び△は、それぞれ100μM及び20μMのカプサイシンが添加された培地で培養したときの値を示す。
【図4】「CH−19甘」の乾燥粉砕物の摂取による皮膚(skin)及び内耳(鼓膜)(eardrum) の温度変化を示す。縦軸は温度変化、横軸は摂取後の経過時間(分)を示す。
【図5】本発明のカプサイシノイド様物質を体重1kgに対して50mgの割合でマウスに投与して、体温の変化を調べた結果を示す。

Claims (11)

  1. 一般式:
    Figure 0003690370
    又は
    Figure 0003690370
    (式中、nが3,4又は5である)で示される、カプサイシノイド様物質を含有することを特徴とする、トウガラシ無辛味固定品種の食用乾燥(粉砕)物。
  2. 一般式:
    Figure 0003690370
    又は
    Figure 0003690370
    (式中、nが3,4又は5である)で示される、カプサイシノイド様物質を含有することを特徴とする、トウガラシ無辛味固定品種の溶媒による食用抽出物。
  3. 溶媒が、n−ヘキサン、酢酸エチル又はエタノールから選ばれる1種又は2種以上の混合物である、請求項2記載の食用抽出物。
  4. 請求項1記載の食用乾燥(粉砕)物、又は、請求項2若しくは3記載の食用抽出物からなる食品添加物。
  5. トウガラシ無辛味固定品種が「CH−19甘」である、請求項1〜4のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物。
  6. 免疫の賦活化及び/又はエネルギー代謝の活性化食品原料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物。
  7. 免疫の賦活化及び/又はエネルギー代謝の活性化のために用いる旨の表示を付した、請求項1〜5のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物を含有するチョコレート。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物を含有するスポーツ飲料。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項記載の食用乾燥(粉砕)物、食用抽出物、又は、食品添加物を含有するローヤルゼリー飲料。
  11. カプサイシノイド様物質が10−5重量%以上含有されている、請求項8〜10のいずれか一項に記載のチョコレート、スポーツ飲料又はローヤルゼリー飲料。
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