JP3689874B2 - ロータリーダンパー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、主として、自動車の内装品、特に、小物入れなどの蓋体に装着するロータリーダンパー及びその取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、ロータリーダンパーとしては、例えば、実開昭62−81739号公報に所載のように、トーションバーを使用したものが知られている。上述の公報に所載のロータリーダンパーは、ピアノ鍵盤の蓋などに用いられるものなので、空間的制約がなく、その構造も、軸方向に長い構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このロータリーダンパーの構造を、そのまま自動車の内装品に採用するのは、車載スペースが大幅に制約される関係で、不可能である。特に、蓋付きの小物入れに採用する場合には、通し軸を採用せず、蓋体の枢軸部に対応して、容器の側壁面に装備する形となるので、できるだけ、軸方向の長さを短くした構造を採用しなければならない。
【0004】
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的とするところは、軸方向にコンパクトな構成になっていて、自動車の内装品に採用しやすいロータリーダンパー及びその取付構造を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、枢軸部を中心に回動して、開閉動作する蓋体の、上記枢軸部に取り付けて蓋体のダンパー機能を発揮するロータリーダンパーにおいて、枢軸部に嵌合して取り付けられるカップ状の固定部材と、これに対して回転自在に嵌合する可動部材と、可動部材における固定部材への嵌合端とこの嵌合端に対向した上記固定部材の内端との間に充填された粘性グリースと、上記可動部材と上記固定部材とに両端を係止させた状態で固定部材内に収納され、上記蓋体を開く方向に付勢し、且つ固定部材に対して可動部材を嵌合方向に押し付けるコイル状捩りばねとを具備している。
【0006】
この場合、上記捩りばねは、上記固定部材に対して上記可動部材を嵌合する方向に弾持するスラストばねを兼ねるか、あるいは、上記捩りばねとは別に、上記固定部材に対して上記可動部材を嵌合する方向に弾持するスラストばねを装備しており、上記固定部材および可動部材を互いにテーパー嵌合するように構成することが好ましい。また、固定部材の内端と可動部材の嵌合端との間にグリス溜まり部が形成されているとよい。さらに、可動部材と固定部材はスナップ・フィットして嵌合する構成がよい。
【0007】
【作用】
本発明は、枢軸部を中心に回動して、開閉動作する蓋体の、上記枢軸部に取り付けて蓋体のダンパー機能を発揮するロータリーダンパーにおいて、枢軸部に嵌合して取り付けられるカップ状の固定部材と、これに対して回転自在に嵌合する可動部材と、可動部材における固定部材への嵌合端とこの嵌合端と対向した上記固定部材の内端との間に充填された粘性グリースと、上記可動部材と上記固定部材とに両端を係止させた状態で固定部材内に収納され、上記蓋体を開く方向に付勢し、且つ固定部材に対して可動部材を嵌合方向に押し付けるコイル状捩りばねとを具備している。
【0008】
従って、蓋体が開いた状態から閉じた状態に移行する時、捩りばねは蓄勢され、蓋体のロックを解除すると、捩りばねにより蓋体は開くが、グリースの粘性抵抗によりダンパー機能が働き、蓋体は緩やかに開放する。
この時、捩りばねは、固定部材に対して可動部材を押し付けるように作用するため、両者間の間隙が一定に保たれ、グリスの粘性トルクが安定する。
【0009】
この時、固定部材の内端と可動部材の嵌合端との間にグリス溜まり部が形成されていると、グリス補給によって耐久回数による開スピードの変化も小さく押さえられる。
【0010】
また、可動部材と固定部材がスナップ・フィットして嵌合する構成であると、組立てが容易となる。
【0011】
さらに、上記可動部材と蓋体の嵌合部には、上記ロータリーダンパーを蓋体の嵌合部に嵌合して取付ける際、互に合致して係合できる係合部材と被係合部が設けられ、ロータリーダンパーは捩りばねにイニシャルトルクをかけて係合部材が被係合部に嵌合するようにして蓋体に設けられた嵌合部に嵌合して取付けるようにすると、取付けが極めて容易となる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら具体的に説明する。本発明に係わるロータリーダンパーは、図面に示すように、基本的には、枢軸部(装置匡体1に対する開閉動作する蓋体2の回転中心)を中心に蓋体2を回動するように、枢軸部に取り付けて、蓋体2を開くときにダンパー機能を発揮するものである。
尚、本例では蓋体2が開くときダンパー機能を発揮する場合について説明するが、これは蓋体2が閉じるとき、あるいは開閉の両方にダンパー機能を発揮してもよい。
【0013】
このロータリーダンパーは、枢軸部に対応して内部にボス部3Aを突出しているカップ状の固定部材3と、これに対して回転自在に嵌合すると共にその嵌合方向Xに対して蓋体2にスナップ・フィットする可動部材4と、可動部材4の嵌合端4F(図1参照)の内側の係合部4Aと固定部材3のボス部3Aの先端の係合部3B(この実施例では、板状のばね止め輪で構成される)とに両端を係止させた状態で、固定部材3内に収納されたコイル状捩りばね5とを具備しており、固定部材3と可動部材4との間に粘性グリース(図示せず)を装填している。
【0014】
可動部材4の手元側には、環状のフランジ部4Bが形成してあり、このフランジ部4Bには4個の突起6が外周部に突出しており、これに対応して、固定部材3の周囲に位置して、蓋体2には、4個の嵌合溝部7を形成した環状の嵌合部2Aが形成され、ここにフランジ部4Bが嵌合している。また、ボス部3Aには、蓋体2側で嵌合する非円形の嵌合孔3Cが形成されている。
そして、ロータリーダンパーの取付けは、図2に示すように非円形の嵌合孔3Cを、蓋体2の枢軸部に嵌合させた状態で可動部材4を回転させ捩りばね5に蓋体2が開く方向にイニシャルトルクをかけ、可動部材4のフランジ部4Bに形成した突起6と蓋体2の嵌合溝部7とが一致したところで、蓋体2の嵌合部2Aに嵌合して取付ける。すると可動部材4の突起6が嵌合部2Aの嵌合溝部7に嵌入して取付けられるので捩りばね5によるイニシャルトルクが蓋体2に開く方向に付勢されて取付けられることになる。
この可動部材4の突起6と、蓋体2の嵌合溝部7との構成は、この組合せだけに限定されるものではなく、従来公知の手段を採用し得る。例えば、突部と凹部、突部と穴等の組合せである。
【0015】
なお、この実施例では、捩りばね5は、固定部材3に対して可動部材4を嵌合する方向に弾持するスラストばねを兼ねており、また、固定部材3および可動部材4を互いにテーパー嵌合するように、両者は、その互いに嵌合する内周側および外周側にテーパーを形成している。更に、この実施例では、固定部材の内端と可動部材の嵌合端との間にグリス溜まり部4Cが形成され、ここに、上述のようにグリースが充填されている。
【0016】
このような構成では、装置匡体1に対する蓋体2のロック(図示せず)を解除すると、予め、蓋体2が開く方向にイニシャルトルクが掛けられていた捩りばね5が働いて、蓋体2が閉じた状態(図3参照)から開いた状態(図4参照)に移行する。この際、グリースによるダンパー機能が働き、蓋体2の開放を緩やかにする。また、蓋体2が開いた状態(図3参照)から閉じた状態(図4参照)に移行する時、捩りばね5が蓄勢される。この蓋体2の開閉時に、捩りばね5は、固定部材3に対して可動部材4を、嵌合方向Xに向けて押し付けるように作用するため両者の間隙が一定に保たれ、グリスの粘性トルクが安定する。
【0017】
なお、図5に示すように、上述の捩りばね5とは別に、固定部材3に対して可動部材4を嵌合する方向に弾持するスラストばね5’(この実施例では、圧縮コイルばね)を装備しており、固定部材3および可動部材4を互いにテーパー嵌合するように構成してある。
この実施例によれば、捩りばね5が蓋体2を開放する方向に付勢し、スラストばね5’が固定部材3に対して可動部材4を嵌合方向に押し付けて両者の間隙を一定に保ち、グリスの粘性トルクを安定させるように作用する。
【0018】
また、上記のように固定部材3および可動部材4を互いにテーパー嵌合するようにすると、捩りばね5あるいはスラストばね5’の押圧作用により両者が密着して嵌合するように作用するので好ましい。
【0019】
また、要すれば、図6に示す実施例のように、可動部材4の先端に環状のテーパーカム8を形成し、これに対向する環状のテーパーカム片9をボス部3Aに回転自在でかつ軸方向に摺動自在に嵌合しており、このテーパーカム片9とばね止め輪10(係合部3Bに相当)との間に圧縮コイルばね11を介装して、圧縮コイルばねの蓄勢力で、蓋体2を開放する方向に可動部材4を回動付勢するようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上詳述したように、枢軸部を中心に回動して、開閉動作する蓋体の、上記枢軸部に取り付けて、蓋体のダンパー機能を発揮するロータリーダンパーにおいて、枢軸部に対応して内部にボス部を突出しているカップ状の固定部材と、これに対して回転自在に嵌合する可動部材と、上記可動部材の嵌合端内側の係合部と上記固定部材のボス部先端の係合部とに両端を係止させた状態で、固定部材内に収納されたコイル状捩りばねとを具備し、上記固定部材と可動部材との間に粘性グリースを装填している。
【0021】
従って、蓋体が開いた状態から閉じた状態に移行する時、捩りばねは蓄勢され、蓋体のロックを解除すると、捩りばねにより蓋体は開くが、グリースの粘性抵抗によりダンパー機能が働き、蓋体は緩やかに開放する。
この時、捩りばねは、固定部材に対して可動部材を押し付けるように作用するため、両者間の間隙が一定に保たれ、グリスの粘性トルクが安定する。
【0022】
また、この時、固定部材の内端と可動部材の嵌合端との間にグリス溜まり部が形成されていると、グリス補給によって耐久回数による開スピードの変化も小さく押さえられる。
さらに、可動部材が蓋体にスナップ・フィットする構成であるから取付けが容易である。
【0023】
しかも、軸方向にコンパクトな構成であるから、スペースの制約が多い自動車の内装品、特に、扉付きの小物入れのように、側壁に枢軸部を備えるような構成の内装品に採用し易すく、より汎用性が高められる。
また、本発明のロータリーダンパーの取付けは、捩りばねにイニシャルトルクをかけて係合部材が被係合部に係合するようにして、蓋体に設けられた嵌合部に嵌合するだけでよいので、取付けも極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施例の縦断側面図、正面図、背面図である。
【図2】同じく、自動車内装品としての装置匡体に装備した状態の分解斜視図である。
【図3】同じく、動作説明のための側面図である。
【図4】同じく、動作説明のための側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す縦断側面図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 装置匡体
2 蓋体
2A 嵌合部
3 固定部材
3A ボス部
3B 係合部
3C 嵌合孔
4 可動部材
4A 係合部
4B フランジ部
4C グリース溜まり部
5 捩りばね
5’ スラストばね
6 突起
7 嵌合溝部
8 テーパーカム
9 テーパーカム片
10 ばね止め輪
11 圧縮コイルばね
Claims (7)
- 枢軸部を中心に回動して、開閉動作する蓋体の、上記枢軸部に取り付けて蓋体のダンパー機能を発揮するロータリーダンパーにおいて、枢軸部に嵌合して取り付けられるカップ状の固定部材と、これに対して回転自在に嵌合する可動部材と、可動部材における固定部材への嵌合端とこの嵌合端に対向した上記固定部材の内端との間に充填された粘性グリースと、上記可動部材と上記固定部材とに両端を係止させた状態で固定部材内に収納され、上記蓋体を開く方向に付勢し、且つ固定部材に対して可動部材を嵌合方向に押し付けるコイル状捩りばねとを具備していることを特徴とするロータリーダンパー。
- 枢軸部を中心に回動して、開閉動作する蓋体の、上記枢軸部に取り付けて蓋体のダンパー機能を発揮するロータリーダンパーにおいて、枢軸部に嵌合して取り付けられるカップ状の固定部材と、これに対して回転自在に嵌合する可動部材と、可動部材における固定部材への嵌合端とこの嵌合端に対向した上記固定部材の内端との間に充填された粘性グリースと、上記可動部材と上記固定部材とに両端を係止させた状態で固定部材内に収納され、上記蓋体を開く方向に付勢するコイル状捩りばねと、上記固定部材内に収納され、固定部材に対して可動部材を嵌合方向に押し付けるスラストばねとを具備していることを特徴とするロータリーダンパー。
- 上記コイル状捩りばねは、上記可動部材の嵌合端内側の係合部と上記固定部材のボス部先端の係合部とに両端が係止されていることを特徴とする請求項1または2記載のロータリーダンパー。
- 上記固定部材および可動部材を互いにテーパー嵌合するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリーダンパー。
- 上記捩りばねの代わりに、スラストばねを装備すると共に、固定部材と可動部材とに、互いに対向する環状のテーパーカムを設けて、上記スラストばねの蓄勢力で上記固定部材に対する可動部材の回動力を与えるように構成した請求項1に記載のロータリダンパー。
- 固定部材の内端と可動部材の嵌合端との間にグリス溜まり部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロータリーダンパー。
- 上記可動部材は、固定部材に回動自在に嵌合すると共に、スナップ・フィットさせる構成であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロータリーダンパー。
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