JP3689483B2 - 多重波長発振レーザ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
このレーザは 各波長を正確に制御しながら、多波長を同時に1つの素子で発振させるレーザ素子であって、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing 以下、WDMという。)通信分野で使用される、実験および評価用の光源である。主として分波器の評価など、波長ごとに異なる変調をかけることをしない光源としての実験や装置の性能評価などに用いられる。
また、物質の吸収線周波数に限定される周波数基準光を所望の周波数で得ることができる周波数間隔の可変な光周波数コム発生器としても用いられる。
【従来の技術】
【0002】
通信の大容量化に伴い、WDM通信が注目されてきており、この分野で使用できる任意の波長間隔で発振する多重波長発振レーザが求められている。WDM通信では波長間隔を狭くするほど通信容量は増えるが、分波が難しくなるため波長を用途別に最適化することが望ましい。
【0003】
これまでは、主として波長可変の単一波長発振レーザが研究されてきた。従来は波長ごとに異なる変調をかけることが常に必要と考えられ、一波長一素子が当然と思われていたためであり、波長を任意に設定できるレーザを複数個用いて波長多重光を得てきている。WDMでは波長帯域が広いほど大容量通信が可能になるため、様々な手法で波長可変幅の拡大が図られた。そのなかでも複数の波長を反射する反射器を2つ組合せて二つの反射器に共通する反射波長で発振させる方式のレーザは、二つの反射器の等価屈折率をそれぞれ一様に制御することでバーニア効果を利用した広帯域波長可変特性を実現した。
【0004】
このような複数の反射波長を有する反射器としては、サンプルドグレーティングと呼ばれるものがまず提案された(Vijaysekhar Jayaraman 他 IEEE Journal of Quantum Electronics Vol.29 No.6(1993年)P.1824)。半導体光導波路で用いられる反射器は通常、ある特定のピッチΛ0 で導波路内にコラゲーション状の波形の凹凸(以下、回折格子、またはグレーティングと呼ぶ)を設け、ピッチΛ0と導波路の等価屈折率neffとの積で決定される関係
【0005】
【数1】
Figure 0003689483
【0006】
で光の選択的な反射が生じる。ここではmは自然数であるが、簡単のためにm=1の場合について議論する。これに対しサンプルドグレーティングは、図1中の反射領域内に示すようにある周期ΛSを持って回折格子のある部分とない部分とを繰り返すものであり、回折格子の長さLB と平坦部の長さLF とはどの部分でも等しい。この構造では、上記波長λB を中心に波長間隔
【0007】
【数2】
Figure 0003689483
【0008】
で複数の反射波長が得られる。サンプルドグレーティングを用いた反射器の反射特性を図12に模式的に示す。縦軸は光強度であり、横軸は反射波長である。
【0009】
さらに、回折格子のピッチを連続的に変化させそれを周期ΛSで繰り返す超周期構造も提案されている(Yuichi Tohmori他 IEEE Journal of Quantum Electronics Vol.29 No.6 (1993 年)P.1817 )。
【0010】
単一波長の波長可変レーザに複数の反射波長を有する反射器を用いる場合、波長を変化させるために導波路に電流注入経路を設け、導波路内のキャリア密度の変化が誘き起こす屈折率変化(プラズマ効果)を利用するのが一般的である。また、導波路の近傍にヒータを形成し、屈折率の温度依存性を利用して波長を変化させることも行われている(森 他 信学技報 OPE94−112)。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、WDM通信分野で使用される分波器等の評価には、必ずしも波長別に異なる変調をかける必要がない。むしろ、単一波長発振レーザより中心波長と波長間隔とを正確に制御した多波長同時発振レーザの方がレーザ素子が1個で済むので有利である。
【0012】
しかしながら、これまで、単純なマルチモードで発振するレーザでなく中心波長と波長間隔とをナノメートル(10-9m)以下の精度で制御できる多重波長発振レーザは、実現されていなかった。一方、単一波長の波長可変レーザに使用されていた複数の反射波長を持つ反射器は、このような反射器を2つ組み合わせて波長可変動作を行っていたため、反射器全体にわたるキャリア注入や温度制御によってしか波長を変えることができず、多波長同時発振レーザに用いると中心反射波長λB と波長間隔△λが常に同時に変化してしまうという問題が生じていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために図1に示す多重波長発振レーザを開発した。すなわち、所望の中心波長と波長間隔で多重波長発振するレーザを得るために、電流注入手段5及び活性層21とを含む発光領域2と、2個以上の同じ回折格子とそれと交互に配置された複数の同じ平坦部とを有する導波路を含む反射領域3とを半導体基板1の上に形成した構造とした。すなわち反射領域3は、導波路32の内部に回折格子31と回折格子のない平坦部33と交互に配置されたサンプルドグレーティングの構造にする。なお、以下導波路とは、活性層を除いた部分として定義する。
【0014】
そして、本発明では反射領域3に、平坦部33の屈折率のみを制御する平坦部屈折率制御手段4を形成する。
この平坦部屈折率制御手段4によって平坦部33の長さを実効的に可変とし、式2のサンプリング周期ΛSが回折格子31のピッチΛ0 と無関係に制御可能となって波長間隔が制御される。
なお、平坦部の屈折率を変化させる平坦部屈折率制御手段4としては所望の部分にのみ電流を注入する電極であってもよいし、局所的に加熱するヒータなどであってもよい。
【0015】
さらに、本発明では中心波長も波長間隔と独立に制御することが可能であり、この場合には、反射領域3に、回折格子31のある部分の屈折率のみを平坦部33とは無関係に制御する回折格子屈折率制御手段8を備える(図1においては図示せず。)。
【0016】
なお、本発明の説明における平坦部33とは光の屈折率が実質的に一様であることをいい、導波路32の実効的屈折率分布が波形、すなわち周期的に変化する回折格子31の部分に対して、屈折率がほぼ一様と見なせる部分のことを指すのであり、機械的な意味で厳密に平坦であることは必ずしも必要ではない。
【0017】
【作用】
次に、図2と図3を用いて本発明の作用を説明する。図2は、図1の構造における素子のそれぞれの部分の長さを示した図であり、図2で数値と図面上の長さとは正確には一致していない。図3は、本素子の反射特性スペクトルを示した図である。2個以上の同じ回折格子31と、それと交互に配置された複数の同じ平坦部33とを有する反射領域3は、図3に示すような反射特性スペクトルを持つ。図3の縦軸は反射率、横軸は光の波長(単位はミクロン)である。計算に用いた結合係数κ、導波路損失α、サンプリング周期ΛS、回折格子の長さLB、反射領域3の長さL、導波路の等価屈折率neff、回折格子のピッチΛ0はそれぞれ、以下の値となる。結合係数κ=100cm-1、導波路損失α=5cm-1、サンプリング周期ΛS =50μm、回折格子の長さLB=5μm、反射領域3の長さL=500μm、導波路の等価屈折率neff=3.28、回折格子のピッチΛ0=236.3nmである。この場合、図3に示すように約7.3nm間隔で複数の波長が反射された。
【0018】
図3に反射特性スペクトルを示した構造は回折格子31が10回繰り返して形成されているものであるが、回折格子31の繰り返し回数が少ないと反射すべき波長とそうでない波長との反射率の差が小さくなり、十分な効果が得にくくなる。反射率は上に述べた結合係数κや導波路損失αなど多数の物理量に依存しているため、回折格子31の繰り返し回数の最小値も一概には決定できないが、以下にいくつかの計算例を挙げて説明する。また、反射領域3の長さLが短くなり反射率が低下すると、反射領域3の端面の影響が生じて反射特性スペクトルが劣化するが、以下の議論は反射領域3の端面の反射率を無視して計算した結果に基づく。
【0019】
図4は先に示したのと同じ数値を用い、反射領域3の長さLを200μmとし、回折格子31の繰り返し回数を4回とした場合の反射領域3の反射特性スペクトルを示した図である。他の値は図3に示した場合と同じである。図4からは反射すべき波長の反射率がそうでない波長の反射率に近づいて、波長選択性が劣化していることがわかる。
【0020】
図5は反射領域3の長さLを図3と同様に100μmとし、回折格子31の繰り返しを2回とした場合の反射領域3の反射特性スペクトルを示した図である。この場合も他の値は図3の場合と同様である。図5をみると本発明で想定している用途には使用できるとは言いがたくも見えるが、反射率の低下は回折格子31の結合係数κを大きくすることで一部補うことが可能である。
【0021】
図6は回折格子31の繰り返しが2回で、結合係数κを200cm-1にした場合の反射領域3の反射特性スペクトルを示した図である。反射領域3の長さLは図3と同様100μmである。図6を見ると反射率の向上が図れたことがわかる。ただし、各反射ピークの半値幅は図3のそれに比べて広くなっており、共振器長が長く縦モード間隔が狭い場合には各反射ピークの中で複数のモードが同時発振してしまう可能性が高く、使用には注意を要するが、この場合も本発明が想定している用途に使用できなくもない。
【0022】
図7は回折格子31の繰り返しが1回のみで、結合係数κを200cm-1にした場合の反射領域3の反射特性スペクトルを示した図である。また、反射領域3の長さLは50μmとした。図7からわかるように実際上の使用は困難である。
【0023】
以上は回折格子31の繰り返し回数と結合係数κを変化させた場合の作用の変化に関する例であるが、この他にも回折格子31の長さLB と平坦部の長さLF との比を変えれば各反射波長の反射率ピークの包絡線が変化する。すなわちサンプリング周期ΛS に占める回折格子31の長さLB の比率を大きくすれば、反射率の分布は中心波長の近傍に集中し、発振波長は中心波長近傍に限られる。
【0024】
このような特性を有する反射領域3に、回折格子31のない平坦部33のみの屈折率を制御する平坦部屈折率制御手段4を備えることで、中心波長とは無関係に波長間隔が制御可能な多重波長発振レーザが得られる。
【0025】
【実施例】
本発明を実施した素子の例を図1を用いて説明する。なお、詳しい作製手順は後述する。図1は本発明の素子を活性層21および導波路32の位置で割った断面図を表している。素子はp型InPからなる半導体基板1上にバンドギャップ波長1.55μmのInGaAsP活性層21と同1.3μmのInGaAsPからなるガイド層を同一平面上にバットジョイント形成する。そして、活性層とガイド層の上面にはn型InPからなるクラッド層7を成長させる。このクラッド層7は電流狭窄を行うとともに、光の横方向に対する閉じ込めのための埋込構造を備えている。図示しないが活性層21と、ガイド層からなる導波路32とは上下左右をInPからなるクラッドにより囲まれ、埋込型半導体レーザとなる。活性層21を有する領域を発光領域2とし、それと結合したガイド層からなる導波路32を有する領域を反射領域3とする。導波路32にはピッチ約240nmの回折格子31が長さ5μmにわたって形成され、これと長さ50μmの平坦部33とが交互に繰り返されてサンプルドグレーティングを形成する。反射領域3の長さLを500μmとした場合の反射率を図3に示す。この場合の反射波長間隔は約7nmである。平坦部屈折率制御手段4である電極が注入する電流によって引き起こされる電流注入部分の屈折率変化は約1%である。なお、この例では、中心波長を制御する手段である回折格子屈折率制御手段8は備わっていないが、半導体レーザでは通常ペルチェ効果等を利用したクーラ素子上のヒートシンクを介してマウントされることが多く、クーラ素子の制御温度を変えることで波長を全体的にシフトさせることは可能である。
【0026】
平坦部屈折率制御手段4による波長間隔の制御に加えて、それとは無関係に中心波長も制御する素子の例を図8及び図9に示す。図8は素子の斜視図である。また図9は活性層21および導波路32の位置で割った断面図を表している。図8及び図9に示す例では、回折格子31のある部分の導波路32にのみ電流を一様に注入する回折格子屈折率制御手段8である電極を形成する。回折格子31の実効的ピッチは屈折率によって決まるため、領域内の位置によって屈折率にばらつきがあると中心波長が制御できなくなるので、電流注入は一様になる必要がある。平坦部屈折率制御手段4である電極との分離抵抗は大きいほど良いので、エッチングやプロトン打ち込みなどによる高抵抗化が望ましい。エッチングによる分離抵抗の増大はエッチング深さを深くするほど効果があるが、導波路まで届いてしまうと共振器内に望ましくない反射を引き起こすので、クラッド層の厚さ及び導波路の光閉じ込め特性とを勘案して最適値を決定しなければならない。中心波長が可変となることで、クーラ素子に頼らなくても波長の絶対値を所望の値に制御することができる。すなわち、クーラ素子による波長制御の欠点であるクーラ素子の消費電力の増大や、半導体レーザの活性層21の温度上昇により素子特性が劣化したりするという問題は発生せず、積極的には中心波長を高速に変化させることができるという利点がある。クーラ素子による波長変化は通常1秒前後ろかかるのに対し、回折格子屈折率制御手段8にヒータを使用した場合で数ミリ秒程度、電流注入による場合には1マイクロ秒以下という高速応答が可能となる。
【0027】
上記の実施例はいずれも平坦部屈折率制御手段4および回折格子屈折率制御手段8として電流注入のための電極を設けたものであり、屈折率は導波路内のキャリア密度の変化によるプラズマ効果によって制御される。しかし導波路32の屈折率制御方法はこれに限らず、他にも逆方向電圧による電気光学効果や歪による音響光学効果、磁場によるファラデー効果、温度による熱膨張利用などがある。以上の方法の中でも特に屈折率が温度依存性を有することを利用した方法が最も大きな屈折率変化を期待できる。特に導波路32の近傍に加熱用ヒータを形成すれば、発光領域2への熱の流入を抑えながら効率よく反射領域3に備えられた導波路32の温度を制御することが可能である。
【0028】
ヒータによる屈折率制御を実施した例を図10及び図11に掲げる。図10は素子の斜視図である。また図11は活性層21および導波路32の位置で割った断面図を表している。この例では、導波路32を絶縁膜10を介してヒータ9により一様に加熱して回折格子31のある部分と平坦部33との屈折率を一様に制御し、これに加えて回折格子31のある部分の上部にのみに電極を設け、電流注入して屈折率変化を相殺するようになっている。温度が上がれば屈折率は大きくなるが、電流注入によってキャリア濃度が上がると屈折率は逆に小さくなるので、両者を組み合わせることで回折格子31の部分と平坦部33の部分との屈折率制御が個別に可変でき中心波長と波長間隔の独立制御が可能となる。
【0029】
この例以外にも、やはり反射領域3を一様に加熱し、平坦部33の上部にのみ電極を設け、電流を注入して波長間隔の制御を電流で行う方法ももちろん可能である。
【0030】
さらに平坦部33の長さがある程度長ければ、平坦部33のみを加熱することも可能である。
また、いずれの実施例においても、発光領域2と反射領域3の他に位相制御領域を設けることも考えられる。位相制御領域は通常平坦な屈折率分布を持つ導波路を有し、導波路の屈折率を変えることで実効的光学長を変化させ、所望の波長の光が共振条件を満足するように光の位相を制御する。本発明においても、反射波長と内部縦モードとの位相整合を図ることで、より安定な多重波長レーザ発振が得られる。
【0031】
実際の素子の作製方法を、図1の素子を例に説明する。
p型InPからなる半導体基板1上にバンドギャップ波長1.55μmのInGaAsPからなる活性層21を厚さ150nm成長させる。次いでSiO2 膜を発光領域2となる部分の上面にのみ形成し、露出した他の領域の活性層はエッチングによって除去する。その後レジストを塗布し、2光束干渉露光法によりレジストを240nmピッチの縞状に露光する。続けて回折格子を残す部分のみを覆うマスクを用いて露光し、現像する。この残留レジストをエッチングマスクとしてエッチングする事で、回折格子31のある部分とない平坦部33とが交互に連続するサンプルドグレーティングが形成される。
【0032】
次にバンドギャップ波長1.3μmのInGaAsPのガイド層を厚さ250nmで成長させ、活性層21とバットジョイント接合を形成する。
【0033】
この後で発光領域2に残ったSiO2膜を除去し、全面にn型InPを厚さ約2μm成長させる。
【0034】
次いで導波路32となる部分にストライプ状にSiO2膜を形成して、これをエッチングマスクにメサ状のエッチングを行う。
【0035】
メサ形成後、n型InPをメサ側面の活性層露出部に達するまで成長させ、続けてp型InPをメサ上部と平坦になるまで成長させる。その後、導波路ストライプ上に残っているSiO2膜を除去する。
【0036】
次いでAuを主体としGeをドープした金属電極を、発光領域2の上面及び反射領域3の上面に蒸着により形成する。発光領域2の上面に形成された電極は電流注入手段5となる。反射領域3の上の電極は、平坦部33の部分の導波路32の上部にのみ形成し、互いに等しい屈折率変化を得るような形状にする。例えば櫛形の状態に電極を配置した櫛型電極と呼ばれる形状がそれである。
図1に示す実施例では、平坦部33の屈折率のみを変化させる例で説明しており、平坦部屈折率制御手段4として電極を設けている。なお中心波長をも制御するために回折格子屈折率制御手段8も同時に設けた例が上述した図8及び図9に示した実施例である。この例では、回折格子屈折率制御手段8と平坦部屈折率制御手段4として櫛型電極が設けられている。この場合、各電極間はエッチングやプロトン打ち込みなどにより高抵抗化されていることが望まれる。
【0037】
半導体基板1側、すなわち、素子の底面側は厚さ100μm程度に研磨し、Auを主体としZnをドープした半導体基板側電極11を蒸着により形成する。
素子はへき開によりチップ化されるが、その端面をへき開した状態のままにしておく場合と、端面に誘電体多層膜による低反射コート、あるいは高反射コートを施す場合もある。反射領域3中の回折格子31の繰り返し回数が少ない場合は、発光領域2が存在しない側の端面、すなわち後端面による反射の影響が出やすいため、この端面を低反射コートした方がよい。また発光領域2側の端面(位相制御領域と反射領域3とが発光領域2を挟むような配置で位相制御領域を形成した場合には位相制御領域側の端面)を高反射コートし、光出力を反射領域3側の端面から得るようにすれば、より大きな光出力を得ることが出来る。
【0038】
反射領域3中の回折格子31の繰り返し回数を増やせばより選択性の良い反射器が得られることは明らかであるが、反射領域3の長さが長くなるため素子の収率を下げ、また導波路32に欠陥が発生する確率も高くなるため、歩留りが低下するという問題が生じる。従って、図4から図7で説明したように用途に合わせた最適化をすべきである。
【0039】
以上、p型InPの半導体基板1上にpn接合埋込構造で作製された電流注入による波長間隔制御を行う素子の例を述べたが、他の導伝性でも同様である。
【0040】
またInP/InGaAsPに限らず、GaAs系レーザでもよく、構造もFeドープなどの高抵抗埋込やポリイミド等の絶縁性の高分子樹脂を埋め込んだ構造、リッジ導波路構造などでも実施可能である。
【0041】
結晶成長方法は明記しなかったが、液相成長法でも気相成長法でも作製可能である。また、活性層21及び導波路32の構造も、クラッド層7と活性層21または導波路32の間に両者の中間の屈折率を持つ光閉じ込め層を形成してもよい。さらに、集積型素子への応用としては、方向性結合器型WDMカプラとモノリシックに結合させて、波長毎に異なるポートから出力させることも可能である。
【0042】
【発明の効果】
中心波長λB と波長間隔△λとがそれぞれ独立に可変である多重波長発振レーザが得られる。
【0043】
とくに、波長間隔が制御可能であるため、内部縦モードとの整合を図り、単一モード発振状態におちいることなく、多重発振状態を単一のデバイスで実現できるのが、この発明のレーザの特徴であり、したがって光通信関連の実験用の光源として光デバイスの性能試験もしくは評価用の光源として有用である。
【0044】
一方、素子が出射した光を外部でフィルタを用いて中心波長の光のみを取り出し、アセチレンガスやシアンガスなどの吸収線にロックして周波数基準としながら波長間隔を制御すれば、任意の波長の基準光を得ることができる。さらに、2本の吸収線によって波長をロックさせれば、極めて高い精度で波長間隔が制御できるようになり、WDM光源には最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の素子の活性層及び導波路部分における断面図である。
【図2】本発明の素子の活性層及び導波路部分における断面図である。
【図3】本発明の素子の作用を計算に基づき示す図である。
【図4】本発明の素子の作用を示す図である。
【図5】本発明の素子の作用を示す図である。
【図6】本発明の素子の作用を示す図である。
【図7】本発明の素子の作用を示す図である。
【図8】波長間隔の制御ともにそれと無関係に中心波長も制御する素子の斜視図である。
【図9】波長間隔の制御ともにそれと無関係に中心波長も制御する素子の図であって、活性層及び導波路部分における断面図である。
【図10】本発明の素子のヒータによる屈折率制御を実施した例を示す斜視図である。
【図11】本発明の素子のヒータによる屈折率制御を実施した例を示す図であって活性層及び導波路部分における断面図である。
【図12】サンプルドグレーティングを用いた反射器の反射特性を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 発光領域
3 反射領域
4 平坦部屈折率制御手段。
5 電流注入手段。
7 クラッド層。
8 回折格子屈折率制御手段。
9 ヒータ。
10 絶縁膜。
11 半導体基板側電極。
21 活性層。
31 回折格子。
32 導波路。
33 平坦部。

Claims (1)

  1. 半導体基板(1)上に形成された多重波長発振レーザであって、電流注入手段及び活性層とを含む発光領域(2)と2個以上の同じ回折格子とそれと交互に配置された複数の同じ平坦部とを有する導波路を含む反射領域(3)と前記回折格子の実効的光学長とは独立して、前記複数の平坦部の実効的光学長をそれぞれ一様に制御する平坦部屈折率制御手段(4)とを備えたことを特徴とする多重波長発振レーザ。
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