JP3689448B2 - 画像読取装置及び光源ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、画像を読み取り電気信号に変換する画像読取装置及び前記画像読取装置に用いられる光源ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像読取装置として、原稿の同じ位置で3種類の分光特性を有する光を照射し、そのときのイメージセンサの出力信号によって原稿のカラー信号を得る光源切換型カラーイメージセンサが知られている。図19〜22は、このような画像読取装置の一例であり、赤,緑,青(以下、それぞれR,G,Bと略す)3色のLEDと短焦点結像素子アレイ及び複数のラインセンサを一直線上に並べたセンサアレイから構成されている。
【0003】
図19〜22において、主要部分の構成は、フレーム200の上面に原稿面に接する透明ガラス板201を取り付け、上記フレーム200内に設けられたLED基板210上に実装されたLEDアレイ211の出射光212が上記透明ガラス板201の上面に接する原稿面で反射され、原稿の読み取り面からの反射光213を通す光学系209と、その光学系209に対応してセンサ基板19上に設けられたセンサアレイ1をフレーム200内に備えている。
【0004】
LEDアレイ211は、図21に示すようにLED基板210上で各々RGB3色の発光をするLEDチップ211R,211G,211Bが一組となって一直線上に交互に並んでおり、RGBの各色毎に独立に点灯、消灯ができるようになっている。そして、上記光学系には例えば商品名「セルホックレンズアレイ」(日本板硝子株式会社製)で代表される上記の短焦点結像素子アレイが採用されている。
【0005】
また、センサアレイ1は、図22に示すように複数のラインセンサ2−1,2−2,・・・,2−15を上記センサ基板19に一直線上に並べたもので、保護膜206で覆われている。密着型マルチチップイメージセンサでは原則的に原稿からの反射光を等倍でセンサアレイ上に結像させて読み取るので、センサアレイ1の長さは読み取る原稿幅だけ必要になる。
【0006】
したがって読み取ろうとする原稿のサイズによって、必要なセンサアレイ1の長さは変化し、センサアレイ1を構成するラインセンサの個数も変化する。例えばA3サイズの原稿を読み取ろうとする場合は、ラインセンサ一個の長さを20mmとすれば、15個のラインセンサでセンサアレイを構成すればよい。
【0007】
また、上記センサ基板19は、フレーム200に係合した底板205に支えられ、フレキ基板208を介して基板203に接続している。基板203上には電源、制御信号などの入出力用のコネクタ202が設けられ、ねじ207によってフレーム200に取りつけられている。
【0008】
このような構成のイメージセンサによるカラー原稿の読み取りは、まずラインセンサの感度むらや光源の照射光のむらによって生じるシェーディングを補正するためのデータの取り込みから始まる。シェーディング補正用のデータの取り込みは、LEDチップ211R,211G,211Bをそれぞれ一つずつ順次発光して原稿読取装置内に設けられた白基準板を読み取り、このときのイメージセンサの出力信号をそれぞれメモリに一時保存しておく。
【0009】
そして、RGB光源を個別に発光し、メモリに保存されているシェーディング補正信号を用いて、この後にカラー原稿画像を読んだときにシェーディング補正を行う。また、同時にLED211Rが発光したときのセンサ出力信号r1,LED211Gが発光したときのセンサ出力信号g1,LED221Bが発光したときのセンサ出力信号b1が、再び白基準板を読んだときにR信号r,G信号g,B信号bがr=g=bとなって得られるようにゲイン調整される。
【0010】
実際の原稿読み取りは、光源切換型カラーイメージセンサの場合、前記したように読み取ろうとする原稿上の一点で、RGB3つの信号を得るためにRGBの光を個別に原稿に対して照射する必要がある。このための方法としては、RGBのうち1色のLEDを点灯した状態でイメージセンサを原稿全体に副走査し、点灯させるLEDの種類を換えて3回繰り返すことで原稿を読み取るいわゆる面順次方式や、読み取ろうとする原稿の1ライン毎にRGB3色のLEDを順次点灯しながらイメージセンサを原稿全体に副走査させて原稿を読み取るいわゆる線順次方式がある。このどちらの方法によっても原稿面全域のRGB信号が得られ、これを使ってカラー画像を再生できる。
【0011】
ここで光源切換型カラーイメージセンサにおける理想的なRGB光源の分光特性について説明する。例としてG光源について考える。図23に示すような3種類の異なる分光特性を持つG光源による原稿画像の読み取る場合について説明する。ここで光源G6は、光源G7に比べて480〜500nm及び570〜590nmの波長領域の光が欠落している。
【0012】
このため、光源G6により図24に示すような500nm前後の波長領域においてのみ分光反射特性が異なる色a,bを読み取った場合に、その分光特性の差を読み取ることができず、どちらもほぼ同じG信号が得られることになる。
【0013】
更にこの光源G6で欠落している波長領域のうちで、G光源よりも波長の短いB光源においても光のない波長領域が存在するとその部分での違いはB信号にも現れず、色a,bの色弁別はできない。したがってカラー原稿に含まれる様々な色について色弁別を高めるためには、RGB光源の分光特性は可視光領域全てをカバーする必要がある。
【0014】
次に光源G7,G8をG光源として使用した場合の色再現の違いを説明する。光源G7,G8の出射光はどちらも同じ波長領域をカバーしており、各波長領域のエネルギー分布のみが異なっている。このような光源G7,G8を使用した光源切換型カラーイメージセンサの色空間を図25に示す。
【0015】
図23はCIE−xy色度図と呼ばれるもので、同図において周囲を囲む実線はスペクトル軌跡及び赤紫線であり、この実線で囲まれた領域に全ての色が含まれている。その内側の三角形はカラーイメージセンサの色空間である。光源G7,G8により原稿を照射したときのイメージセンサの出力GOUT は次式によって与えられる。
【0016】
GOUT= ∫G7(λ)(orG8(λ))S(λ)dλ
ただし G7(λ):LEDG7の分光放射特性
G8(λ):LEDG8の分光放射特性
S(λ):ラインセンサの分光感度特性
色再現は、原稿の詳細な分光反射特性を測定して行うわけではなく、このようにして得られたRGB信号によってのみ行われる。図25によれば、光源G7を使ったカラーイメージセンサの方がG8に比べてより広い色空間を持っていることがわかる。したがって光源切換型カラーイメージセンサにおけるG光源の分光特性としては光源G8よりG7のほうが望ましい。
【0017】
このように光源切換型カラーイメージセンサにおける理想的なRGB光源の分光特性は色空間ができるだけ広くとれ、かつRGB光源で全ての波長領域をカバーできるものである。また、LED光源は、管状の光源等に比較して小型で応答性がよく信頼性も高い等利点が多く、上記した光源切換型カラーイメージセンサに適している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記した従来の光源切換型カラーイメージセンサのRGB出力信号を使った色再現にはいくつかの問題点があった。図26は、従来の光源切換型カラーイメージセンサの色空間の一例であり、これをみると自然界に存在する様々な色に対してイメージセンサの色空間がかなり狭くなっていることがわかる。これはこの場合GのLEDの分光特性が長波長側に寄り過ぎていることと、照射光量の極端に少ない波長領域ができてしまうことによるものである。そこで、このような問題を解消した理想的な色再現を行うために満足できる分光特性をもつ3色のLEDも存在するが、そのようなものをそろえようとすると非常に高価であり、装置の製造コストが高くなってしまう。
【0019】
これに対して、一般に表示装置等に使われる表示用のLEDは大量に生産されるため安価になる傾向にあるため、このような表示用のLEDをイメージセンサの光源に用いれば、大幅なコストダウンが可能である。
【0020】
しかしながら表示用のLEDとしては、半値幅が小さい急峻な分光特性をもっているのに対し、光源切換型カラーイメージセンサの光源としては、前記したようにRGB3つのLEDで可視光領域全域をカバーする必要があるため、表示用のLEDをイメージセンサの光源に用いようとする場合、半値幅が小さ過ぎて照射光量の極端に少ない波長領域が生じたり、色空間が狭いため色再現できない色が多くなる等の問題点があった。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の画像読取装置では、第1の色の照射光を得るための第1の色の分光特性の第1の発光素子、第2の色の照射光を得るための第2の色の分光特性の第2の発光素子、第3の色の照射光を得るための第3の色の分光特性の第3の発光素子及び第3の色の分光特性の第4の発光素子とを有する光源と、前記光源により照射された被写体からの光を電気信号に変換する光電変換手段とを備え、前記第3の発光素子のピーク波長は、前記第4の発光素子のピーク波長よりも短波長側であり、30nm以内の波長差であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項7に記載の光源ユニットでは、第1の色の照射光を得るための第1の色の分光特性の第1の発光素子、第2の色の照射光を得るための第2の色の分光特性の第2の発光素子、第3の色の照射光を得るための第3の色の分光特性の第3の発光素子及び第3の色の分光特性の第4の発光素子とを有する光源と、前記光源により照射された被写体からの光を電気信号に変換する光電変換手段とを備え、前記第3の発光素子のピーク波長は、前記第4の発光素子のピーク波長よりも短波長側であり、30nm以内の波長差であることを特徴とする。
【0023】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【0024】
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例の画像読取装置の構成ブロック図である。図1において、画像読取部31により原稿画像が読み取られ、信号処理部32に進んで所定の信号処理が行われる。さらに制御手段である制御部33により装置全体の制御が行われている。次に図2は、本実施例の光源切換型マルチチップカラーイメージセンサの構成断面図であり、図2において、基本的な構成は従来例で説明した図20と同じであるため、同じ構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、1は、光電変換手段であるセンサアレイであり、20は、後述するLED基板である。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施例の光源切換型マルチチップカラーイメージセンサに用いられる光源ユニットとしてのLED基板220の構成図である。LED基板220上には、R,G1,G2,Bの4種類の分光特性を有する発光素子であるLEDチップ221R,221G1,221G2,221Bを一組として発光手段を構成し、そのグループが一直線上に並べられて光源であるLEDアレイ221を形成しており、Gの照射光を作るためにG1,G2の2種類のLEDチップが用意されている点以外は、前記従来例と本質的に変わりない。本実施例では、このようなLED基板220を図20に示されるイメージセンサにLED基板210の代わりに組み込むことにより構成する。
【0026】
LEDアレイ221を構成しているLEDチップ221R,221G1,221G2,221Bの分光特性は、図4に示すようになっており、LEDチップ221G2の分光特性は、前記従来例におけるLEDチップ211Gの分光特性と同一である。またLEDチップ221R,221Bも前記従来例のLEDチップ211R,211Bの分光特性と同一である。本実施例の特徴である新たに加わったLEDチップ221G1の分光特性は、LEDチップ221G2の分光特性を短波長側ずらし、そのずれは30nm以内になるような分布になっている。
【0027】
ここでLEDの発光層に使われる材料と分光特性について説明する。近年カラー用の光源としてB及びGのLEDの高輝度化の研究開発が急速に発展し、従来に比べて10〜100倍も明るいLEDが入手可能になってきた。LEDの高輝度化のためには直接遷移型のエネルギーバンド構造をもつ半導体結晶を発光材料とするのがエネルギー変換効率の面から有利であり、このような直接遷移型の材料のバンドギャップEgと発光波長λの関係は、次式のような関係にある。
【0028】
λ〔nm〕=1.24*10/Eg〔eV〕
このようなバンドギャップEgと発光波長λの関係を図5のグラフに示す。図5のグラフ上に青(B),青緑(BG),緑(G),黄緑(YG)4色を発光するのに必要なバンドギャップEgが示されている。このようなバンドギャップEgをもつ具体的な材料としては、GaN(3.4eV),ZnSe(2.6eV),GaP(2.26eV)等がある。特にGaNは、InN(2.0eV),AlN(6.3eV)との混晶を作ることにより、2.0〜6.3eVまで対応でき様々な波長の発光が可能なことが報告されている。また、LEDの分光分布の半値幅は、発光層に使われる材料の純度に依存している。
【0029】
前記したように表示装置等に用いられるRGBのLEDは、その色空間が広く取れることが重要であることから、一般にその分光特性は急峻な半値幅の狭い分布となっている。一方、光源切換型カラーイメージセンサの原稿照明に使う光源としては、色空間が広くとれることのほかに、RGB光源によってすべての可視光領域をカバーすることも必要である。
【0030】
そこで、本実施例では、表示装置用の急峻な分光特性をもつ安価なLEDを複数組み合わせて使用することにより、RGB光源によって全ての可視光領域をカバーするようにした。従来例で示した光源切換型カラーイメージセンサでは、G領域の光が不足しているため、LED221G2と同程度の半値幅の分光特性をもち、発光波長領域が30nmだけ短波長側にずれているLED221G1をLED基板1上に設け、LED221G2と同時に点灯し、このときのイメージセンサの出力をG信号とする。
【0031】
このようなカラーイメージセンサの色空間は、次のような手順で求められる。色空間を決定するRGB3つのxy座標は、例えばGの場合、まずGの三刺激値Xg,Yg,Zgを次式のように計算する。
【0032】
Xg=K∫(G1(λ)+G2(λ))S(λ)x(λ)dλ
Yg=K∫(G1(λ)+G2(λ))S(λ)y(λ)dλ
Zg=K∫(G1(λ)+G2(λ))S(λ)z(λ)dλ
K=100/∫D65(λ)y(λ)dλ
G1(λ):LEDチップG1の分光放射特性
G2(λ):LEDチップG2の分光放射特性
S(λ) :ラインセンサの分光感度特性
D65(λ):標準D65光源の分光放射特性
x,y,z (λ):XYZ表色系の等色関数
ここでラインセンサの分光感度特性S(λ)は、図6に示されるような特性である。また、LEDの分光放射特性の項をRのLEDや、BのLEDの分光特性に置き換えて計算すればRの三刺激値Xr,Yr,Zr,Bの三刺激値Xr,Yr,Zrも同様に求めることができる。
【0033】
GのCIE−xy座標は、三刺激値Xg,Yg,Zgより
xg=Xg/(Xg+Yg+Zg)
yg=Yg/(Xg+Yg+Zg)
となる。Rのxy座標(xr,yr)、Bのxy座標(xb,yb)も同様して求めることができる。
【0034】
このような計算により求まったRGBの色度座標により本実施例のイメージセンサの色空間、すなわちこのイメージセンサを使って読み取り、色再現可能な色の分布する範囲を図7に示す。なお一点鎖線で示される三角形は、図26に示した従来のイメージセンサのものである。図7よりイメージセンサの色再現可能領域が従来例に比べて広がりバランスのよい形になっていることがわかる。
【0035】
また、図4と図8を見比べて明らかなように可視光領域において光量が極端に落ちる領域がなくなるので、従来例に比べて色弁別性の優れたイメージセンサになる。
【0036】
このように半値幅の小さい分光特性をもつLEDを複数個同時に点灯して使用することにより、光量の極端に少ない波長領域がない良好な色特性をもつ光源切換型イメージセンサが実現できる。さらに半値幅の小さい分光特性をもつLEDを使った場合、ラインセンサ単体の分光感度のうちわずかな領域しか出力に寄与しないため、ラインセンサの出力は小さくなってしまうが、本実施例の場合には、出力に寄与するラインセンサ単体の分好感度の領域が広がるため、大きな出力が得やすくなる利点も出てくる。
【0037】
なお、本実施例では、RGB光源のうちG光源における例を示したが、RB両光源においても同様のことができるのは言うまでもない。また、マルチチップ密着イメージセンサを例に示したが、本発明はこれに限定されるものではない。これらは、後述の第2または第3の実施例についても同様である。
【0038】
(第2の実施例)
図9は、本発明の第2の実施例における光源切換型密着型マルチチップカラーイメージセンサに用いられる光源ユニットとしてのLED基板230である。なお、画像読取装置の構成は、前記した図1と同様であるためここでは省略する。図9において、LED基板230上には、5種類の分光特性をもつ発光素子であるLEDチップ231R,231G3,231G4,231G5,231Bを一組として発光手段を構成し、このような発光手段が一直線上に並べられて光源であるLEDアレイ231を形成している。
【0039】
図9において、Gの照射光を作るためにLEDチップがG3,G4,G5の3種類用意され、LEDチップG3の個数がG4,G5の2倍になっている点以外は前記従来例と同じ構成である。LEDチップ231R,231Bの分光特性は、前記従来例におけるLEDチップ211R,211Bの分光特性と同一である。
【0040】
また、LEDチップ231G3,G4,G5の分光特性は、図10に示すようにG3とG4、あるいはG4とG5のピークレベルは、それぞれ僅かにずれており、その差は30nm以内になるようになっている。本実施例では、このようなLED基板230を図2に示したイメージセンサにLED基板220の代わりに組み込む。
【0041】
このような構成の光源切換型カラーイメージセンサで実際に行う原稿読み取りは、第1の実施例と同様であり、RGBの光源を原稿の同位置でそれぞれ個別に照射し、そのときのイメージセンサの出力によってRGB信号を得るものである。ここでR,Bに関しては、第1の実施例と同様にLEDチップ231R,231Bを点灯すればよい。
【0042】
G信号に関しては、LEDチップ231G3,G4,G5を同時に点灯することによってGの照射光を得ているが、ここでは合成された照射光の分光特性のバランスを考え、LEDチップ231G3のみの個数を他のLEDチップの2倍にし、より理想的な分光特性を実現しようとしている。このようにLEDチップ231G4,G5を1個ずつとLEDチップ231G3を2個使って合成されたG光源のトータルの分光特性は図11のようになる。
【0043】
上記構成のカラーイメージセンサの色空間を第1の実施例と同様の手順で求める。まずGの三刺激値Xg,Yg,Zgが次式により計算される。
【0044】
Xg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)+G5(λ))S(λ)x(λ)dλ
Yg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)+G5(λ))S(λ)y(λ)dλ
Zg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)+G5(λ))S(λ)z(λ)dλ
K=100/∫D65(λ)y(λ)dλ
G3(λ) :LEDチップG3の分光放射特性
G4(λ) :LEDチップG4の分光放射特性
G5(λ) :LEDチップG5の分光放射特性
Rの三刺激値Xr,Yr,Zrや、Bの三刺激値Xb,Yb,Zbも同様に求まり、更にそれぞれのCIE−xy座標も同様の手順で求まる。
【0045】
このような計算により求まったRGBの色度座標により本実施例のイメージセンサの色空間を図12に実線の三角形で示す。なお、一点鎖線で示される三角形は、図26に示した従来のイメージセンサのものである。
【0046】
図12より本実施例のイメージセンサの色空間が、従来のイメージセンサと比べて大きくバランスのよい形になっており、カラー特性の優れたイメージセンサになっていることがわかる。
【0047】
実際のカラー画像読取装置では、信号処理回路の都合上、RGBの光源を個別に白基準に照射した時に得られるイメージセンサの出力レベルが、RGB間である程度揃っていることが望ましいので、相対的に低い出力しか得られない色のLEDチップ数は多くする必要があるが、本実施例のように同時に照射したときの総合的な分光特性を考慮して種類と数量を決定すればカラーイメージセンサの色再現性を向上させながら、出力レベルも変えることができる。
【0048】
(第3の実施例)
図13は、本発明の第3の実施例における光源切換型密着型カラーイメージセンサの断面を示した図であり、同図において、250はフレーム、260は透光性部材の側面から光を発する光源、262は光源260からの出射光、263は原稿面からの反射光である。本実施例においても画像読取装置の構成は前記した図1と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
光源260の断面図及び側面図は、図14のようになっており、同図において、3は遮光性部材、4は光を透光性部材3に入射するための入射面、5は透光性部材3の一部に表面を光拡散反射性の塗料を塗布する等の手段により形成され、その反射光により原稿を照射する領域、10は透光性部材3の長手方向の両端の側面に置かれ、入射面4から入射する光を発する光源ユニットであるLED基板10である。
【0050】
LED基板10内には、発光素子であるLEDチップ9R,9G3,9G4,9G5,9Bを一組とする発光手段が図15に示すように配置されており、実際にこのLED基板10を透光性部材3の両端の入射面4に取りつけたときの透光性部材3とLED9R,9G3,9G4,9G5,9Bの位置関係は、図16のようになっている。ここでLED9G3,G4,G5の分光特性は、第2の実施例において示した図10と同様であるため、ここでは省略する。
【0051】
LED9R,9G3,9G4,9G5,9Bから発せられた光束は、透光性部材3内部を反射を繰り返しながら伝搬し、伝搬途中で領域5に入射した光束が、領域5で拡散反射され、射出部を通って原稿面に照射される。LED9R,9G3,9G4,9G5,9Bから発せられた光束は、領域5へ直接入射する光量が十分少なくなるようになっており、領域5に入射する光束は、透光性部材3の内部で反射された間接光になるため、透光性部材3の長手方向での原稿面上の照度の均一性はよい。
【0052】
また、本実施例のように透光性部材の両端から光を入射し、透光性部材の側面から光を放射する場合、各光源の位置により原稿照明光への寄与は、異なってくる。本実施例においても、G光源として第2の実施例と同様にLED9G3,9G4,9G5を同時に点灯して使用するが、この点を考慮して各LED9G3,9G4,9G5単体の分光特性に各々重みづけをして求めた総合的なG光源の分光特性を図17に示す。第2の実施例に置ける図11と比べると全体の分布が短波長側にシフトしていることがわかる。
【0053】
本実施例のカラーイメージセンサの色空間を第2の実施例と同様の手順で求める。まず、Gの三刺激値Xg,Yg,Zgは、前述したLED9G3,9G4,9G5間の重みづけを考慮し、次式により計算される。
【0054】
Xg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)*0.7+G5(λ)*0.25)S(λ)x(λ)dλ
Yg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)*0.7+G5(λ)*0.25)S(λ)y(λ)dλ
Zg=K∫(G3(λ)*2+G4(λ)*0.7+G5(λ)*0/25)S(λ)z(λ)dλ
K=100/∫D65(λ)y(λ) dλ
G3(λ) :LEDチップG3の分光放射特性
G4(λ) :LEDチップG4の分光放射特性
G5(λ) :LEDチップG5の分光放射特性
Rの三刺激値Xr,Yr,Zrや、Bの三刺激値Xb,Yb,Zbも同様に求まり、更にそれぞれのCIE−xy座標も同様の手順で求まる。このような計算により求まったRGBの色度座標により本実施例のイメージセンサの色空間を図18に実線の三角形で示す。
【0055】
なお、一点鎖線で示される三角形は、図26に示した従来のイメージセンサのものであり、点線で示される三角形は、図12に示した第2の実施例のイメージセンサのものである。図18より本実施例のイメージセンサの色空間が、従来例及び第2の実施例のイメージセンサと比べて大きくバランスのよい形になっており、カラー特性の優れたイメージセンサになってることがわかる。
【0056】
このようにG信号を得るために点灯する複数のLEDの種類と個数及び配置を変化させることにより、分光特性の異なる複数のLEDの放射光の混合比を変えることができ、所望の分光特性をもつG光源をつくることができた。本実施例のような光源は、前記したように照射光の均一性もよく実際のカラー画像読取装置での信号処理も簡易化できるので、低コストのカラーイメージセンサとして最適である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低コストで高品位な画像の読み取りを行うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1乃至第3の実施例の画像読取装置の構成ブロック図である。
【図2】第1及び第2の実施例のマルチチップカラーイメージセンサの断面図である。
【図3】第1の実施例のLED基板上の構成図である。
【図4】第1の実施例のLEDの分光放射特性を示す図である。
【図5】LEDの発光層材料となる半導体結晶のバンドギャップエネルギーと発光波長の関係を示す図である。
【図6】第1の実施例のラインセンサ単体の分光感度特性を示す図である。
【図7】第1の実施例のマルチチップカラーイメージセンサの色空間を示す図である。
【図8】第1の実施例のRGB光源の分光放射特性を示す図である。
【図9】第2の実施例のLED基板上の構成図である。
【図10】第2の実施例のLEDの分光放射特性を示す図である。
【図11】第2の実施例のRGB光源の分光放射特性を示す図である。
【図12】第2の実施例のマルチチップカラーイメージセンサの色空間を示す図である。
【図13】第3の実施例のマルチチップカラーイメージセンサの断面図である。
【図14】第3の実施例の光源の構成図である。
【図15】第3の実施例の光源の内部構成図である。
【図16】第3の実施例の光源の内部構成図である。
【図17】第3の実施例のRGB光源の分光放射特性を示す図である。
【図18】第3の実施例のマルチチップカラーイメージセンサの色空間を示す図である。
【図19】マルチチップカラーイメージセンサの外形図である。
【図20】マルチチップカラーイメージセンサの断面図である。
【図21】従来のLED基板上の構成図である。
【図22】マルチチップカラーイメージセンサのセンサ基板の構成図である。
【図23】G光源の分光反射特性を示す図である。
【図24】2種類の色の分光反射率を示す図である。
【図25】3種類のG光源を使用したカラーイメージセンサの色空間を示す図である。
【図26】従来のマルチチップカラーイメージセンサの色空間を示す図である。
【符号の説明】
1 センサアレイ
211,221,231 LEDアレイ
10,210,220,230 LED基板

Claims (12)

  1. 第1の色の照射光を得るための第1の色の分光特性の第1の発光素子、第2の色の照射光を得るための第2の色の分光特性の第2の発光素子、第3の色の照射光を得るための第3の色の分光特性の第3の発光素子及び第3の色の分光特性の第4の発光素子とを有する光源と、
    前記光源により照射された被写体からの光を電気信号に変換する光電変換手段とを備え、
    前記第3の発光素子のピーク波長は、前記第4の発光素子のピーク波長よりも短波長側であり、30nm以内の波長差であることを特徴とする画像読取装置。
  2. 請求項1において、前記第3の発光素子と前記第4の発光素子とを同時に点灯するように制御する制御手段を備えることを特徴とする画像読取装置。
  3. 請求項1又は2において、所望の分光特性を有する光で前記被写体を照射するために前記第3の発光素子と第4の発光素子との配置を変化させることを特徴とする画像読取装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、前記発光素子は、基板上に配置されることを特徴とする画像読取装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、前記光源は、透光性部材の側面に配置された前記発光素子から発せられ前記透光性部材の内部を内部反射を繰り返しながら伝搬し、前記透光性部材に設けられた拡散反射領域により拡散反射されることで前記透光性部材の射出部を通って前記原稿を照射するように構成されることを特徴とする画像読取装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、前記第1乃至第4の発光素子はLEDであることを特徴とする画像読取装置。
  7. 被写体からの光を電気信号に変換する光電変換手段を有する画像読取装置に使用可能な光源ユニットであって、
    第1の色の照射光を得るための第1の色の分光特性の第1の発光素子、第2の色の照射光を得るための第2の色の分光特性の第2の発光素子、第3の色の照射光を得るための第3の色の分光特性の第3の発光素子及び第3の色の分光特性の第4の発光素子とを有する光源と、
    前記第3の発光素子のピーク波長は、前記第4の発光素子のピーク波長よりも短波長側であり、30nm以内の波長差であることを特徴とする光源ユニット。
  8. 請求項7において、前記第3の発光素子と前記第4の発光素子とを同時に点灯するように制御する制御手段を備えることを特徴とする光源ユニット
  9. 請求項7又は8において、所望の分光特性を有する光で前記被写体を照射するために前記第3の発光素子と第4の発光素子との配置を変化させることを特徴とする光源ユニット
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項において、前記発光素子は、基板上に配置されることを特徴とする光源ユニット
  11. 請求項7乃至10のいずれか1項において、前記光源は、透光性部材の側面に配置された前記発光素子から発せられ前記透光性部材の内部を内部反射を繰り返しながら伝搬し、前記透光性部材に設けられた拡散反射領域により拡散反射されることで前記透光性部材の射出部を通って前記原稿を照射するように構成されることを特徴とする光源ユニット
  12. 請求項7乃至11のいずれか1項において、前記第1乃至第4の発光素子はLEDであることを特徴とする光源ユニット
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