JP3689174B2 - 劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法 - Google Patents

劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法に関するもので、より詳細には極めて大きな劈開性を有し、顔料及び充填剤等として有用な劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非晶質シリカは、塗料、樹脂成形品、紙、化粧料等の各種の分野において、充填剤として広く使用されている。非晶質シリカには、その製法によって、湿式法非晶質シリカと、乾式法非晶質シリカとに大別され、前者の湿式法非晶質シリカは一般に不定形の粒子形状のものが多い。
【0003】
非晶質シリカの定形粒子を製造することも既に知られており、この定形粒子の一般的な製造法は、定形の結晶性ケイ酸塩粒子を合成し、この結晶性ケイ酸塩粒子を、その形を破壊させることなく、酸処理することから成っている。
【0004】
特開昭55−85414号公報には、雲母形状を有する無定形含水シリカが記載されており、特公昭61−29887号公報には、上記無定形含水シリカは、SiO2 含有量が58%以上の結晶性ケイ酸カルシウムアルカリ水和物を鉱酸と接触させることにより得られることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に層状ケイ酸と呼ばれる非晶質シリカは、多数知られており、それらは粘土鉱物を酸処理することにより得られるものであり、この非晶質シリカには粘土鉱物中のシリカ四面体層が当然含有されているが、シリカ四面体層同士が強固に結合していて、層として独立した挙動を示すものは皆無である。
【0006】
非晶質シリカ中に含まれる層状シリカが劈開性を示し、樹脂媒質或いは被覆媒質中で薄い形で分布させることができれば、被覆力、密着性、保護効果、バリアー性等の点でも、また非晶質シリカの添加量を節約する上でも顕著な利点が奏されることが期待される。
【0007】
従って、本発明の目的は、極めて大きな劈開性を有し、顔料及び充填剤等として有用な劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、樹脂媒質或いは被覆媒質中で薄い形で分布させることができ、被覆力、密着性、保護効果、バリアー性等に優れ、しかも少ない添加量乃至使用量で満足すべき充填効果を得ることができる劈開性非晶質シリカ粒子及びその製法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子から成り且つ式(1)
Figure 0003689174
式中、d1 は前記積層体粒子の厚みであり、d2 はこの積層体粒子を構成する非晶質シリカ薄層の厚みである、
で定義される劈開性(C)が2以上であることを特徴とする劈開性非晶質シリカ粒子が提供される。
【0009】
本発明によればまた、バーミキュライトを膨積処理し、得られた膨積処理物を金属成分の含有量が5重量%以下になるまで酸処理し、酸処理に続いて、ろ過、水洗及び乾燥を行うことを特徴とする劈開性非晶質シリカ粒子の製法が提供される。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明者らは、バーミキュライトを膨積処理し、得られた膨積処理物を金属成分の含有量が5重量%以下になるまで酸処理すると、劈開性の極めて大きい非晶質シリカ粒子が得られることを見いだした。
【0011】
本発明の非晶質シリカ粒子は、非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子から成っている。図1は本発明の非晶質シリカ粒子の一例の面に対して垂直方向に見た粒子構造を示す光学顕微鏡写真であり、図2はこの粒子の断面の電子顕微鏡写真である。
【0012】
これらの写真によると、本発明の非晶質シリカ粒子においては、非晶質シリカ薄層同士が小さい間隙をおいた状態で多数積層されていると共に、面方向に延びており、これが非晶質シリカ薄層の劈開性を付与していることがわかる。
【0013】
本発明の劈開性非晶質シリカ粒子における劈開性(C)は前記式(1)で評価することができる。この劈開性の測定は、非晶質シリカ粒子の断面の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真から非晶質シリカ薄層及び積層体の厚みを測定して、d2 及びd1 を求める。劈開性(C)の評価は、ばらつきを避けるため、無作為に抽出した10個のサンプルについて行い、その平均値を求めるのがよい。
【0014】
このようにして求めた、劈開性(C)は2以上、特に5以上と大きく、本発明の非晶質シリカ粒子は、樹脂媒質や被覆用媒質中で、極めて大面積にしかも層状に分散、分布できることを示している。
【0015】
劈開性非晶質シリカ粒子は、一次粒子は扁平な層状であるとしても、二次粒子(積層体粒子)の状態では、不定形である。二次粒子の粒子サイズは、粉砕の程度によっても大きく変動し、一概に規定できないが、一般に面方向の寸法が0.01乃至10mm、特に0.1乃至1mm程度であることが取り扱いの点で有利である。また、厚み方向の寸法も解砕の程度によって相違するが、0.0001乃至5mm、特に0.04乃至0.3mm程度である。
【0016】
この積層体粒子における非晶質シリカ薄層の厚みは非常に薄く、一般に0.001乃至2μm、特に0.01乃至1μmの範囲にある。また、非晶質シリカ薄層における面方向寸法/厚さ方向寸法で定義されるアスペクト比が 25以上、特に50乃至500と異常に大きい値を示す。
【0017】
本発明の劈開性非晶質シリカ粒子のハンター白色度は、用いる原料によっても相違するが、一般に85%以上、特に90%以上であって、白色度に優れているばかりではなく、図1の写真からも明らかなとおり、真珠状光沢を有している。この真珠状光沢は、積層された非晶質シリカ薄層の多重反射によるものと思われる。
【0018】
また、この劈開性非晶質シリカ粒子は50乃至150mL/100gの吸油量と、200乃至600m2 /gのBET比表面積とを有する。更に嵩密度は、一般に0.2乃至0.3g/cm3 の範囲にある。これらの値が比較的小さい値にある理由は、非晶質シリカのSi−O−Siの結合が面方向には殆ど切断されていなく、面方向構造が維持されていることに原因があると認められる。嵩密度が比較的大きいという性質は、輸送や貯蔵に有利であるばかりではなく、樹脂や被覆材への配合も容易であって、作業性に優れていることを示している。
【0019】
バーミキュライト(vermiculite )は、雲母群鉱物によく似たフィロケイ酸塩であり、ひる石とも呼ばれている。この鉱物をある温度以上に急熱すると、面指数(001)の面に垂直な方向(C軸方向)に著しく延びるのが名前の由来である。
【0020】
本発明では、バーミキュライトを先ず膨積処理し、得られた膨積処理物を金属成分の含有量が5重量%以下になるまで酸処理することが、劈開性の大きい非晶質シリカ粒子を得るために重要である。
【0021】
バーミキュライトとしては、3八面体型と2八面体型の2種類があり、何れの原料も使用できるが、劈開性の点では、3八面体型バーミキュライトが好適である。
【0022】
バーミキュライトの膨積処理はそれ自体公知の手段、例えば化学的膨積手段或いは熱的膨積手段等によって行うことができる。バーミキュライトに過酸化水素及び酸を添加することにより行うのが好ましい。また、バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトを600乃至1000℃の温度に加熱することにより行うこともできる。
【0023】
バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトの元の体積の5乃至50倍、特に10乃至20倍となるように行うのがよい。
【0024】
本発明では、このバーミキュライトの膨積処理物を酸処理することにより、バーミキュライト中の金属成分、例えばマグネシウム分、鉄分、アルミニウム分等が除去され、劈開性の大きい非晶質シリカ層を含む粒子が生成するわけである。
【0025】
得られる劈開性非晶質シリカ粒子における非晶質シリカ薄層の積層構造は、膨積処理手段によってある程度変化する。図1及び図2のものは化学的膨積手段によるものであるが、図3は熱的膨積手段による非晶質シリカ粒子の一例の面に対して垂直方向に見た粒子構造を示す光学顕微鏡写真であり、図4はこの粒子の断面の電子顕微鏡写真である。図3及び図4から、熱的膨積手段によるものでは、非晶質シリカ薄層の厚みがやや大きくなっていることが了解されよう。
【0026】
[バーミキュライト]
原料として使用するバーミキュライトには、3八面体型のものと、2八面体型のものとがあり、前者のものは、基本的に下記式(2)
{E0.60.8 ・4〜5H2 O}(Mg,Fe3+,Fe2+,Al)3
・[Si,Al]4 10(OH)2 ‥(2)
で示される化学構造及び後者のものは、基本的に下記式(3)
{E0.60.8 ・nH2 O}(Al,Fe,Mg)2 [Si,Al]4
・O10(OH)2 ‥(3)
の化学構造を有している。上記式中、Eは層間イオンであって、主としてアルミより成る。
【0027】
バーミキュライトの化学的組成は、産地等によっても勿論相違するが、代表的な組成を示すと次の通りである。
SiO2 35〜45重量%、
Al2 3 10〜20重量%、
MgO 7〜30重量%、
Fe2 3 5〜22重量%、
CaO 0〜 3重量%、
Na2 O 0〜 1重量%、
2 O 0〜10重量%、
TiO2 0〜 4重量%、
灼熱減量 3〜25重量%。
【0028】
[膨積処理]
バーミキュライトの膨積処理はそれ自体公知のものであり、公知の手段で行うことができるが、化学的膨積手段が好適である。一般に、バーミキュライトに過酸化水素及び酸を添加することにより行うのが好ましい。この場合、膨積作用の主体となるのは、過酸化水素であるが、酸の使用は膨積作用を促進する作用を行う。
【0029】
過酸化水素水としては、H2 2 の濃度が10乃至65重量%、特に30乃至40重量%にあるものが適当である。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が使用され、酸の濃度は20乃至98重量%の範囲にあるものが適当である。過酸化水素水と酸とは、1:100乃至200:100の重量比で混合して使用するのが望ましく、バーミキュライト原料100重量部に対して、過酸化水素水と酸とを、合計で、10乃至100重量部で添加、混合するのが望ましい。添加混合は、室温で十分である。
【0030】
バーミキュライトと過酸化水素水及び酸とを混合すると、発熱すると同時に、全体が膨張する。バーミキュライトの膨積処理は、バーミキュライトの元の体積の5乃至50倍、特に10乃至20倍となるように行うのがよいが、化学的膨積処理では、膨張の程度が一般に大きいという特徴がある。上記の膨張に要する時間は、一般に3乃至90分間程度である。
【0031】
また、本発明では、バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトを600乃至1000℃の温度に加熱することにより行うこともできる。加熱は、固定床式、移動床式、或いは流動床式の加熱炉を用いて行うことができ、加熱時間は0.5乃至10分間程度あるのがよい。
【0032】
[酸処理]
本発明では、上記のようにして得られたバーミキュライトの膨積処理物を、酸処理することにより、バーミキュライト中の金属成分、例えばマグネシウム分、鉄分、アルミニウム分等の大部分を除去し、劈開性の大きい非晶質シリカ層を含む粒子を生成させる。
【0033】
酸処理に使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が使用され、酸の量はバーミキュライト中の金属成分に対して過剰な量である。一般に酸水溶液とバーミキュライトとを接触させて処理を行うのが好ましく、この処理の前後を通して、バーミキュライトの膨積処理物が粒状に保たれるので、酸処理の作業性は良好である。酸水溶液の酸濃度は、一般に5乃至98重量%程度が適当であり、酸処理温度は、10乃至100℃程度が適当である。
【0034】
好適な酸処理方法として、バーミキュライトの膨積処理物を酸処理装置に充填し、上記濃度及び上記温度の酸水溶液を循環することにより、酸処理を円滑に行うことができる。一般に処理物中の金属成分の含有量が、5%以下、特に2%以下となれば、酸処理が完結したと見ることができ、酸処理時間は、一般に3乃至12時間程度である。
【0035】
酸処理により得られる非晶質シリカは、これを水洗し、乾燥し、必要により焼成して製品とする。
【0036】
[製品及び用途]
本発明による劈開性非晶質シリカ積層体粒子は、前述した劈開性、更には白色度、吸油量、比表面積、アスペクト比等を有するものであればよく、得られたままの粒子で使用することもでき、また、軽度の粉砕による粒子サイズの調節や解砕による劈開性の調節を行って、各種の用途に供することもできる。
【0037】
得られた劈開性非晶質シリカ積層体粒子は、そのまま塗料、インク或いは樹脂に対する配合剤として使用し得るほか、他の無機或いは有機の表面改質剤で処理して配合剤とすることができる。これらの助剤は、劈開性非晶質シリカ積層体粒子当たり0.5乃至10重量%、特に1乃至5重量%の量で用いるのがよい。
【0038】
無機系助剤としては、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、亜鉛華、酸化鉄、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子等を挙げることができ、これらの助剤をブレンド乃至マブシして使用することもできる。
【0039】
また、有機の表面改質剤としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、脂肪酸のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワックス類、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石油樹脂等)等のコーテイング剤で表面処理して、配合剤としての各種用途に使用することができる。
【0040】
更に、本発明による劈開性非晶質シリカ積層体粒子は、非晶質シリカ薄層がシラノール基を有するため、これを利用した各種の改質処理が可能である。例えば後述する例に示すとおり、各種の直接染料で染色可能であり、各種色調の雲母光沢充填剤(パールエッセンス)として有用である。
【0041】
本発明の劈開性非晶質シリカ積層体粒子は、任意の塗料、インク或いは成形用樹脂乃至エラストマー等に、充填剤、真珠光沢付与剤、層状補強剤、絶縁性向上剤、防錆性向上剤、レオロジー改質剤等として配合可能である。配合量は、用途によっても相違するが、一般に樹脂固形分100重量部当たり、0.1乃至50重量部の量である。更に、本発明の劈開性非晶質シリカ積層体粒子はメィクアップ化粧料等の填剤として、また製紙用填料として有用である。
【0042】
この劈開性非晶質シリカ積層体粒子を塗料或いは樹脂等に配合し、分散或いは混練等を行うと、この際粒子にかかる剪断力により、非晶質シリカ薄層への劈開が生じて、層状での分散が生じると共に、塗装時或いは成形時の流動配向により層状に配向して、諸物性の点で望ましい層状の配向分布構造が得られる。
【0043】
塗料としては、熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或は熱可塑性樹脂塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用される。インクとしても同様の樹脂からなるものが使用される。
【0044】
成形用の熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂を挙げることができる。勿論、生分解性樹脂を用いることにより、環境に優しい樹脂成形品を提供することもできる。
【0045】
成形用のエラストマー重合体としては、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、軟質塩化ビニル樹脂等をもちいることができる。表面硬度を調節するために、発泡体(スポンジ)を使用したり、可塑剤或いは軟化剤を配合することができる。
【0046】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。特記しない限り%及び部は重量基準である。なお、劈開性非晶質シリカ粒子等の物性及び評価方法は以下の通りである。
【0047】
(1)見掛密度
JIS K−6220.6.8に準拠して測定した。
【0048】
(2)吸油量
JIS K−5101.19に準拠して測定した。
【0049】
(3)シリカ粒子の厚み
走査型電子顕微鏡(日立製S−570)で得られた写真像から、代表的な粒子を選んで、スケールを用いて粒子像の厚みを測定した。
【0050】
(4)金属成分の含有量
JIS M−8855に準拠してAl2 3、Fe2 3 、CaO、MgO、 Na2 OおよびK2 Oの含有量を測定し、これらの合計を金属成分の含有量とした。
【0051】
(実施例1)
南ア産バーミキュライトを原料に用いて、本発明による劈開性非晶質シリカ粒子を調製する方法について以下に説明する。原料100gに35%過酸化水素水21gと硫酸10gを加え、室温下に放置すると徐々に発熱を伴って全体が膨潤する。この膨積終了後、水17kgと98%硫酸330gを加え、110℃で7時間加熱した。次いで、ろ過、水洗、乾燥して本発明による非晶質シリカ粒子を得た。得られたシリカの屈折率は1.44で、嵩密度は0.23g/cm3 で、吸油価は110ml/100gで、ハンタ−白色度は92%であった。
【0052】
(実施例2)
ジンバブエ産バーミキュライトを原料に用いて実施例1と同様にし膨積処理を行なった。次いでこの処理物に、水250gと98%硫酸300gを加え、110℃で3時間加熱した後、ろ過、水洗、乾燥して本発明による非晶質シリカ粒子を得た。得られたシリカの嵩密度は0.25g/cm3 で、吸油価は100ml/100gで、金属成分の含有量は、0.5%で、ハンタ−白色度は89%であった。またこのシリカの薄層体の厚みは0.2〜0.7μm、積層体の厚みは40〜60μmの範囲にあった。
【0053】
(実施例3)
実施例1において、硫酸の代わりに60%硝酸20g用いた以外は実施例1と同様にして膨積処理を行ない、次いで水12kgと60%硝酸1150gを加え、110℃で7時間加熱した。その後、ろ過、水洗、乾燥して本発明による非晶質シリカ粒子を得た。得られたシリカの比表面積は480m2 /gと大きな値を示した。また嵩密度は0.26g/cm3 で、吸油価は90ml/100gで、金属成分の含有量は0.6%であった。
【0054】
(実施例4)
ジンバブエ産バーミキュライト100gに35%過酸化水素水21gと36%塩酸21gを加え、室温下に同様にして膨積処理を行ない、次いで水700gと36%塩酸300gを加え、110℃で3時間加熱した後、ろ過、水洗、乾燥して、本発明による非晶質シリカ粒子を得た。金属成分の含有量は、1.3%であった。
【0055】
得られた非晶質シリカ45gに水165gを加え、ナイロン製の粒径3〜4mmのビ−ズ67gと共にガラス容器に入れ、ペイントシェーカで2時間振とうした。得られた懸濁液中のシリカ粒子は325meshの篩いを全通し、薄層の厚みは0.2μmであった。
【0056】
(実施例5)
本実施例では、800℃で焼成した南ア産バーミキュライトの100gに、水17kgと硫酸330gを加え、110℃で7時間加熱した。次いで、水洗、乾燥し、本発明による非晶質シリカ粒子を得た。尚、得られたシリカの嵩密度は0.21g/cm3 で、吸油価は130ml/100gで、薄層体の厚みは1〜2μmで、積層体の厚みは0.1〜0.3μmであった。
【0057】
(比較例1)
バーミキュライトの代わりに金雲母及び白雲母を用いて、本発明と同様の処理を行なった。水200gに金雲母及び白雲母をそれぞれ10g、35%過酸化水素水60gと硫酸55gを加え、120℃で16時間処理した後、ろ過、水洗、乾燥した。得られた処理物のX線回折ではそれぞれ金雲母及び白雲母のままであつた。
【0058】
(比較例2)
水200gに酸性白土10g、35%過酸化水素水60gと硫酸55gを加え、120℃で16時間処理した。ろ過、水洗、乾燥して得られた生成物はX線回折では非晶質物質で、電子顕微鏡写真像からは、その粒子構造に別段、膨積現象は観察されなかった。
【0059】
(実施例6)
実施例1の水洗処理後に得られた生成物を水に分散させ、コロイドミルで微粉砕し325meshの篩い全通の粒度にそろえた。次いで鱗片状のシリカ微粒子からなる濾過ケーキを関西ペイント製水性アクリルニスに0.5%添加し、ディスパーミルを用いて1000〜3000rpmの条件で分散させたペ−ストを、ガラス板に100μmフィルムアプリケータで塗布して乾燥させた。得られた塗膜は、真珠光沢を示した。
【0060】
(実施例7)
実施例4で得られた生成物を水に分散させ、コロイドミルで微粉砕し325meshの篩い全通の粒度にそろえた。次いで濾過して得られた鱗片状のシリカ微粒子からケーキを関西ペイント製アクリルラッカーブラックに0.5%添加し、ディスパーミルを用いて1000〜3000rpmで分散し、ガラス板に100μmフィルムアプリケータで塗布して乾燥させた。得られた塗膜は、鱗片状のシリカが配向してしていることが黙視観察された。
【0061】
(参考例1)
実施例3で得られた生成物を水に分散し、懸濁液を得た。直接染料の一種であるコンゴーレッド50mgを加えたところ、紫色に着色し、水洗を繰り返しても色落ちは見られなかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、バーミキュライトを膨積処理及び酸処理に付することにより、極めて大きな劈開性を有し、顔料及び充填剤等として有用な劈開性非晶質シリカ粒子を製造することが可能となった。この非晶質シリカ粒子は、樹脂媒質或いは被覆媒質中で薄い形で分布させることができ、被覆力、密着性、保護効果、バリアー性等に優れ、しかも少ない添加量乃至使用量で満足すべき充填効果を得ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非晶質シリカ粒子の一例の面に対して垂直方向に見た粒子構造を示す光学顕微鏡写真である。
【図2】図1の粒子の断面の電子顕微鏡写真である。
【図3】熱的膨積手段による非晶質シリカ粒子の一例の面に対して垂直方向に見た粒子構造を示す光学顕微鏡写真である。
【図4】図3の粒子の断面の電子顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. 非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子から成り且つ式(1)
    C=d/d …(1)
    式中、dは前記積層体粒子の厚みであり、dはこの積層体粒子を構成する非晶質
    シリカ薄層の厚みである、
    で定義される劈開性(C)が2以上であることを特徴とする劈開性非晶質シリカ粒子。
  2. 85%以上のハンター白色度と真珠状光沢を有する不定形粒子であることを特徴とする請求項1記載の劈開性非晶質シリカ粒子。
  3. 50乃至150mL/100gの吸油量と、200乃至600m/gのBET比表面積と、0.2乃至0.3g/cmの嵩密度を有することを特徴とする請求項1または2記載の劈開性非晶質シリカ粒子。
  4. 非晶質シリカ薄層の厚みが0.001乃至2μmであり、面方向寸法/厚さ方向寸法で定義されるアスペクト比が25以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の劈開性非晶質シリカ粒子。
  5. バーミキュライトを膨積処理し、得られた膨積処理物を金属成分の含有量が5重量%以下になるまで酸処理し、酸処理に続いて、ろ過、水洗及び乾燥を行うことを特徴とする劈開性非晶質シリカ粒子の製法。
  6. バーミキュライトが3八面体型バーミキュライトである請求項5記載の製法。
  7. バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトに過酸化水素及び酸を添加することにより行う請求項5または6記載の製法。
  8. バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトを600乃至1000℃の温度に加熱することにより行う請求項5または6記載の製法。
  9. バーミキュライトの膨積処理を、バーミキュライトの元の体積の10乃至30倍となるように行う請求項5乃至8の何れかに記載の製法。
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