JP3687226B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載される自動変速機の制御装置、特に締結室と解放室とを有する摩擦要素が作動する所定の変速時における作動圧の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したもので、各摩擦要素の油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路が備えられるが、この種の自動変速機においては、例えば特開平7−119820号公報に開示されているように、上記摩擦要素として、油圧室に作動圧が供給されることによって締結される通常の摩擦要素に加えて、アクチュエータとしてサーボシリンダを用いたバンドブレーキ式の摩擦要素が備えられることがある。
【0003】
この摩擦要素のアクチュエータは、サーボシリンダ内にピストンによって仕切られた締結室と解放室とを設けて、該ピストンをスプリングにより解放方向に付勢した構成で、油圧制御回路から締結室のみに作動圧が供給されたときにブレーキを締結すると共に、両室とも作動圧が供給されていないとき、及び両室とも作動圧が供給されているときに該ブレーキを解放するようになっている。
【0004】
そして、例えばこの摩擦要素が2速と4速で締結される2−4ブレーキである場合、1速から2速への変速時には、締結室及び解放室の両室とも作動圧が供給されていない状態から締結室に作動圧が供給されることにより締結され、また、3速から4速または2速への変速時には、両室とも作動圧が供給されている状態から解放室の作動圧が排出されることにより締結されることになる。
【0005】
一方、この種の自動変速機においては、変速時に一つの摩擦要素を締結すると同時に他の摩擦要素を解放するように動作させることがあり、例えば、3−2変速時には、上記のように2−4ブレーキの解放室から作動圧を排出することにより該ブレーキを締結すると同時に、3速と4速で締結される3−4クラッチの締結室から作動圧を排出して該クラッチを解放することが行われる。また、3−4変速時には、同じく2−4ブレーキの解放室から作動圧を排出することにより該ブレーキを締結すると同時に、1速から3速で締結されるフォワードクラッチの締結室から作動圧を排出して該クラッチを解放することが行われる。
【0006】
そして、これらの場合、2−4ブレーキの解放室と3−4クラッチもしくはフォワードクラッチの締結室からの作動圧の排出とが同時に行われるので、これら両室を連通させて、例えばデューティソレノイドバルブ等の油圧制御弁により作動圧の排出を制御することがある。
【0007】
また、特にエンジン負荷の増大に伴うトルクディマンドの3−2変速時や、エンジン負荷が作用している状態でのマニュアル操作による3−2変速時等においては、変速動作中におけるタービン回転数の上昇が良好に行われるように、解放側の3−4クラッチの締結力を、タービン回転数の各瞬間毎の目標値に対する偏差に応じてフィードバック制御することが行われ、その場合に、このフィードバック制御を2−4ブレーキの締結室の作動圧の制御により行うことが考えられている。
【0008】
つまり、2−4ブレーキのアクチュエータにおいては締結室と解放室とがピストンを介して隣接しており、また、解放室は3−4クラッチの締結室に連通しているから、2−4ブレーキの締結室の作動圧を制御することにより解放動作中における3−4クラッチの締結圧(棚圧)を制御することができるのであり、そこで、この2−4ブレーキの締結室の作動圧を第1の油圧制御弁で、互いに連通した2−4ブレーキの解放室と3−4クラッチの締結室からの作動圧の排出流量を第2の油圧制御弁でそれぞれ制御することにより、上記のフィードバック制御を精度よく行うことが考えられているのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のトルクディマンド等の3−2変速は、運転者の加速要求に基づくものであるから、3−4クラッチの解放を促進して応答性を高めることが要求される一方、2−4ブレーキを緩やかに締結してショックの発生を抑制することが要求され、この相反する要求をいかに両立させるかが課題となる。
【0010】
また、エンジンブレーキを発生させるためのスロットル開度が全閉でのマニュアル操作による3−2変速(3−2マニュアルダウン変速)や、スロットル開度を全閉に操作することによる3−4変速(3−4バックアウト変速)等においては、3−4クラッチもしくはフォワードクラッチの解放動作によってではなく、2−4ブレーキの締結動作が中心となって変速動作が行われるから、変速を速やかに完了させるために、この2−4ブレーキの締結動作を促進することが要求されるが、この場合も、その締結動作の促進と締結ショックの抑制とを両立させることが課題となる。
【0011】
そこで、本発明は、上記の3−2変速時もしくは3−4変速時における2−4ブレーキのように、締結室と解放室の両方に作動圧が供給されている状態から解放室の作動圧を排出することにより締結される摩擦要素について、その締結動作を良好に行わせることにより、当該変速時の上記のような課題を解決することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。
【0013】
まず、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える摩擦要素として、ピストンによって仕切られた締結室及び解放室を有し、締結室のみに作動圧が供給されたときに締結され、締結室及び解放室に作動圧が供給されたときに解放される第1摩擦要素と、締結室に作動圧が供給されたときに締結される第2摩擦要素とが備えられ、かつ上記第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通可能とされた自動変速機において、上記第1摩擦要素の締結室と解放室及び第2摩擦要素の締結室に作動圧が供給されて、第1摩擦要素が解放され、かつ第2摩擦要素が締結された第1の変速段から、第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通した状態でこれら両室から作動圧が排出されて、第1摩擦要素が締結され、かつ第2摩擦要素が解放された第2の変速段に変速する際に、上記第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が、変速開始時から所定時間が経過するまでは所定時間が経過した後よりも大きくなるように、上記両室の作動圧を制御する作動圧制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明(以下、第2発明という)は、上記第1発明において、第1の摩擦要素の解放室に作動圧が供給されて変速段が第1の変速段に切り換えられた前回の変速時から、該第1の変速段から第2の変速段に切り換わる今回の変速時までの時間を計測する計時手段を設けると共に、作動圧制御手段により、今回の変速時における第1摩擦要素の締結室と解放室の変速開始時の差圧を上記計時手段で計測された時間に基づいて設定するように構成したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明(以下、第3発明という)は、同じく第1発明において、作動圧制御手段により、第1の変速段から第2の変速段への変速時における第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧を、締結室の作動圧を基準とし、この作動圧から所定値を減算した圧力を解放室の作動圧とすることにより設定するように構成したことを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項4に記載の発明(以下、第4発明という)は、同じく第1発明において、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、該検出手段によって所定値以下のエンジン負荷が検出されている状態での第1の変速段から第2の変速段への変速時に、エンジン負荷が上記所定値より大きいときに比べて、作動圧制御手段によって設定される第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が小さくなるように、締結室の作動圧を低くする作動圧補正手段とを設けたことを特徴とする。
【0017】
上記の各発明によれば、それぞれ次の作用が得られる。
【0018】
まず、第1発明によれば、第1摩擦要素の締結室と解放室及び第2摩擦要素の締結室に作動圧が供給されて、第1摩擦要素が解放され、かつ第2摩擦要素が締結された第1の変速段から、上記第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通した状態でこれら両室から作動圧を排出することにより、第1摩擦要素を締結し、かつ第2摩擦要素を解放して第2の変速段に変速する際に、その変速開始当初は、上記第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が大きくなるように制御されるので、第1摩擦要素の解放室及び第2摩擦要素の締結室からの作動圧の排出が促進され、それだけ変速動作が速やかに行われると共に、変速開始時から所定時間が経過した後は、上記差圧が小さくなるので、第1摩擦要素が締結される際に比較的小さな締結力で緩やかに締結されることになる。したがって、当該変速が応答性よく、かつ大きなショックを生じることなく、行われることになる。
【0019】
また、第2発明によれば、上記差圧の変速開始時の値が、第1の摩擦要素の解放室に作動圧が供給されて変速段が第1の変速段に切り換えられた前回の変速時から、今回の第2の変速段への変速時までの時間に基づいて設定されるので、例えば上記時間が短いときに長いときよりも変速開始時の差圧を小さく設定すれば、前回の変速動作における第1摩擦要素の解放動作が終了した直後、つまり解放室への作動圧の供給が完了しておらず、締結室と解放室とを仕切るピストンが解放側へ完全にストロークする前に、解放室の作動圧が再び排出されて今回の変速動作が開始されても、上記差圧が小さいから該第1摩擦要素が急激に締結されることがなく、このような場合における大きなショックの発生が防止されることになる。
【0020】
また、第3発明によれば、第1の変速段から第2の変速段への変速時における第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧を設定するに際し、締結室の作動圧を基準とし、この作動圧から所定値を減算した圧力が解放室の作動圧として設定されるので、例えば当該変速がトルクディマンド等のシフトダウン変速である場合において、タービン回転数の上昇を制御するために上記締結室の圧力をフィードバック制御する場合に、このフィードバック制御と上記差圧の制御とが締結室の作動圧と解放室の作動圧とに分担されることになり、一方の作動圧に対してフィードバック制御と差圧の制御とを行う場合より、これらの制御が容易に、かつ精度よく行われることになる。
【0021】
さらに、第4発明によれば、第1の変速段から第2の変速段への当該変速が、所定値以下の比較的小さなエンジン負荷が作用している状態でのマニュアル操作によるシフトダウン変速である場合に、作動圧制御手段によって設定される第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が小さくなるように、締結室の作動圧が低くされるので、全般的に作動圧が低い状態での第1摩擦要素の解放室及び第2摩擦要素の締結室からの作動圧の排出が促進されることになる。
【0022】
つまり、第1の変速段から第2の変速段への変速時における第1摩擦要素の締結動作は、締結室と解放室との差圧によるピストンの解放室側へのストロークによって行われるが、上記のように作動圧が全般的に低い低負荷状態にあっては、上記差圧によるピストンの解放室側へのストロークにより該解放室内の作動圧が押されて、ピストンストローク中、解放室側の作動圧がほとんど低下しない状態が生じる。そのため、この解放室に連通した3−4クラッチの締結室内の作動圧の低下も遅れて該3−4クラッチの解放動作が遅れ、ひいては低負荷領域でのマニュアル操作によるシフトダウン変速の応答性が悪化するという問題がある。
【0023】
そこで、上記第4発明は、このような場合に、締結室の作動圧を低くして、上記差圧が小さくなるように補正したのであり、これにより、ピストンの解放室側へのストロークが抑制されて、解放室側の作動圧の排出ないし第2摩擦要素の解放動作が促進されることになるのである。
【0024】
一方、本願の特許請求の範囲の請求項5に記載の発明(以下、第5発明という)は、変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える摩擦要素として、ピストンによって仕切られた締結室及び解放室を有し、締結室のみに作動圧が供給されたときに締結され、締結室及び解放室に作動圧が供給されたときに解放される摩擦要素が備えられた自動変速機において、上記摩擦要素の締結室と解放室に作動圧が供給されている第1の変速段から、解放室の作動圧が排出される第2の変速段への変速時に、締結室の作動圧を、変速初期における所定時間、変速動作中よりも高くなるように制御する作動圧制御手段を設けたことを特徴とする。
【0025】
そして、請求項6に記載の発明(以下、第6発明という)は、上記第5発明において、締結室の作動圧を変速動作中よりも高くする変速初期の所定時間を、その間における作動圧の値と、当該変速時における締結室の容積の増大量とに基づいて設定する所定時間設定手段を設けたことを特徴とする。
【0026】
この、第5、第6発明によれば、上記第1〜第4発明における第1摩擦要素と同様の締結室と解放室とを有する摩擦要素が備えられた構成において、この摩擦要素の締結室と解放室に作動圧が供給されている第1の変速段から、解放室の作動圧が排出される第2の変速段への変速時に、締結室の作動圧が、変速初期における所定時間、変速動作中よりも高くされるので、この間に該摩擦要素のピストンの締結方向へのストロークが促進されると共に、該摩擦要素の締結が、変速初期の作動圧よりも低い作動圧の下で緩やかに行われることになる。
【0027】
したがって、特にこの摩擦要素の締結動作が中心となって行われるマニュアルダウンやバックアウトの変速が、速やかに、かつ円滑に行われることになる。
【0028】
そして、第6発明によれば、締結室の作動圧を変速動作中よりも高くする変速初期の所定時間が、その間における作動圧の値と、当該変速時における締結室の容積の増大量とに基づいて設定されるので、上記所定時間を、ピストンが締結側へ所定量移動して当該摩擦要素が締結される直前までの時間に精度よく対応させることができ、したがって、ピストンのストローク時間を極力短縮しながら、締結時には低い作動圧で締結させることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
【0031】
この自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0032】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0033】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0034】
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,44とで構成されている。
【0035】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0036】
さらに、第1遊星歯車機構30のリングギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリングギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0037】
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置70を介して左右の車軸73,74に伝達されるようになっている。
【0038】
なお、上記の骨子図に示す自動変速機10の変速歯車機構の部分は、具体的には図2に示すように構成されているが、この図に示すように、変速機ケース11には後述する制御で用いられるタービン回転センサ305が取り付けられている。
【0039】
また、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0040】
【表1】
次に、図1、図2に示す各摩擦要素51〜55に設けられた油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路の構成を図3により説明する。
【0041】
なお、上記各摩擦要素のうち、バンドブレーキでなる2−4ブレーキ54は、作動圧が供給される作動室として締結室54aと解放室54bとを有し、締結室54aのみに作動圧が供給されているときに当該2−4ブレーキ54が締結され、解放室54bのみに作動圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動圧が供給されていないとき、及び両室54a,54bとも作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ54が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要素51〜53,55は作動室として締結室のみを有し、該締結室に作動圧が供給されているときに当該摩擦要素が締結される。
【0042】
図3に示すように、この油圧制御回路100には、主たる構成要素として、オイルポンプ12の吐出圧を調整して所定のライン圧を生成するレギュレータバルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動して各摩擦要素51〜55に通じる油路を切り換えるローリバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4シフトバルブ105及びロックアップコントロールバルブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させるための第1、第2ON−OFFソレノイドバルブ(以下、「第1、第2SV」と記す)111,112と、第1SV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノイドリレーバルブ(以下、「リレーバルブ」と記す)107と、各摩擦要素51〜55の作動室に供給される作動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デューティソレノイドバルブ(以下、「第1〜第3DSV」と記す)121,122,123等が備えられている。
【0043】
ここで、上記第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断されるので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出することがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減される。
【0044】
なお、第1、第2SV111,112はONのときに上、下流側の油路を連通させる。また、第1〜第3DSV121〜123はOFFのとき、即ちデューティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が100%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路をドレン状態とすると共に、その中間のデューティ率では、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューティ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになっている。
【0045】
上記レギュレータバルブ101によって生成されるライン圧は、メインライン200を介して上記マニュアルバルブ102に供給されると共に、ソレノイドレデューシングバルブ(以下、「レデューシングバルブ」と記す)108と3−4シフトバルブ105とに供給される。
【0046】
このレデューシングバルブ108に供給されたライン圧は、該バルブ108によって減圧されて一定圧とされた上で、ライン201,202を介して第1、第2SV111,112に供給される。
【0047】
そして、この一定圧は、第1SV111がONのときには、ライン203を介して上記リレーバルブ107に供給されると共に、該リレーバルブ107のスプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該バイパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。また、リレーバルブ107のスプールが左側に位置するときは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢する。
【0048】
また、第2SV112がONのときには、上記レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライン206を介してバイパスバルブ104に供給されると共に、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置するときは、さらにライン207を介してロックアップコントロールバルブ106の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該コントロールバルブ106のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ104のスプールが左側に位置するときは、ライン208を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0049】
さらに、レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバルブ101の制御ポート101aにも供給される。その場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられたリニアソレノイドバルブ131により例えばエンジンのスロットル開度等に応じて調整され、したがって、レギュレータバルブ101により、ライン圧がスロットル開度等に応じて調整されることになる。
【0050】
なお、上記3−4シフトバルブ105に導かれたメインライン200は、該バルブ105のスプールが右側に位置するときに、ライン210を介して第1アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141にライン圧を導入する。
【0051】
一方、上記メインライン200からマニュアルバルブ102に供給されたライン圧は、D,S,Lの各前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及び第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出力ライン213にそれぞれ導入される。
【0052】
そして、上記第1出力ライン211は第1DSV121に導かれて、該第1DSV121に制御元圧としてライン圧を供給する。この第1DSV121の下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置するときには、さらにライン(サーボアプライライン)215を介して2−4ブレーキ54の締結室54aに導かれる。また、上記ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置するときには、さらにライン(ローリバースブレーキライン)216を介してローリバースブレーキ55の締結室に導かれる。ここで、上記ライン214からはライン217が分岐されて、第2アキュムレータ142に導かれている。
【0053】
また、上記第2出力ライン212は、第2DSV122及び第3DSV123に導かれて、これらのDSV122,123に制御元圧としてライン圧をそれぞれ供給すると共に、3−4シフトバルブ105にも導かれている。
【0054】
この3−4シフトバルブ105に導かれたライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、ライン218を介してロックアップコントロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが左側に位置するときに、さらにライン(フォワードクラッチライン)219を介してフォワードクラッチ51の締結室に導かれる。
【0055】
ここで、上記フォワードクラッチライン219から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、前述のライン210を介して第1アキュムレータ141に通じると共に、該バルブ105のスプールが右側に位置するときには、ライン(サーボリリースライン)221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる。
【0056】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第2DSV122の下流側は、ライン222を介して上記リレーバルブ107の一端の制御ポートに導かれて該ポートにパイロット圧を供給することにより、該リレーバルブ107のスプールを左側に付勢する。また、上記ライン222から分岐されたライン223はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置するときに、さらにライン224に通じる。
【0057】
このライン224からは、オリフィス151を介してライン225が分岐されていると共に、この分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置するときに、前述のサーボリリースライン221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに導かれる。
【0058】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からは、さらにライン226が分岐されていると共に、このライン226はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、ライン(3−4クラッチライン)227を介して3−4クラッチ53の締結室に導かれる。
【0059】
さらに、上記ライン224は直接バイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左側に位置するときに、上記ライン226を介してライン225に通じる。つまり、ライン224とライン225とが上記オリフィス151をバイパスして通じることになる。
【0060】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第3DSV123の下流側は、ライン228を介してロックアップコントロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するときに、上記フォワードクラッチライン219に連通する。また、該ロックアップコントロールバルブ106のスプールが左側に位置するときには、ライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じる。
【0061】
さらに、マニュアルバルブ102からの第3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に導かれて、該バルブ103にライン圧を供給する。そして、該バルブ103のスプールが左側に位置するときに、ライン(リバースクラッチライン)230を介してリバースクラッチ52の締結室に導かれる。
【0062】
また、第3出力ライン213から分岐されたライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述のライン208を介してローリバースバルブ103の制御ポートにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0063】
以上の構成に加えて、この油圧制御回路100には、コンバータリリーフバルブ109が備えられている。このバルブ109は、レギュレータバルブ101からライン232を介して供給される作動圧を一定圧に調圧した上で、この一定圧をライン233を介してロックアップコントロールバルブ106に供給する。そして、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ106のスプールが右側に位置するときには、前述のライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに供給され、また、該バルブ106のスプールが左側に位置するときには、該一定圧はライン234を介してリヤ室26bに供給されるようになっている。
【0064】
このロックアップクラッチ26は、フロント室26aに上記一定圧が供給されたときに解放されると共に、上記ロックアップコントロールバルブ106のスプールが左側に位置して、第3DSV123で生成された作動圧がフロント室26aに供給されたときには、その作動圧に応じたスリップ状態に制御されるようになっている。
【0065】
また、上記マニュアルバルブ102からは、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に通じるライン235が導かれて、レギュレータバルブ101の減圧ポート101bに接続されており、上記の各レンジで該減圧ポート101bにライン圧が導入されることにより、これらのレンジで、他のレンジ、即ちRレンジよりもライン圧の調圧値が低くなるようになっている。
【0066】
ここで、上記2−4ブレーキ54の油圧アクチュエータの具体的構造を説明すると、図4に示すように、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と該ケース11に固着されたカバー部材54cとで構成されたサーボシリンダ54d内にピストン54eを嵌合し、その両側に前述の締結室54aと解放室54bとを形成した構成とされている。また、上記ピストン54eにはバンド締め付け用ステム54fが取り付けられていると共に、被制動部材(図示せず)に巻き掛けられたブレーキバンド54gの一端側に上記ステム54fが係合され、また、該バンド54gの他端側はケース11に設けられた固定用ステム54hに係合されており、さらに、上記解放室54b内にはピストン54eを締結室54a側、即ちブレーキバンド54gの緩め側に付勢するスプリング54iが収納されている。
【0067】
そして、上記油圧制御回路100を構成するコントロールバルブユニットから締結室54aと解放室54bとに作動圧が供給され、その供給状態に応じてブレーキバンド54gを締め付けもしくは緩めることにより、2−4ブレーキ54を締結もしくは解放するようになっていると共に、特に、この油圧アクチュエータにおいては、上記ピストン54eの締結室54a側および解放室54b側の受圧面積がほぼ等しくされ、したがって、例えば両室54a,54bに等しい圧力の作動圧を供給すると、これらの圧力は互いに打ち消し合い、スプリング54iの付勢力のみが解放方向に作用することになる。
【0068】
一方、当該自動変速機10には、図5に示すように、油圧制御回路100における上記第1、第2SV111,112、第1〜第3DSV121〜123及びリニアソレノイドバルブ131を制御するコントローラ300が備えられていると共に、このコントローラ300には、当該車両の車速を検出する車速センサ301、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ303、運転者によって選択されたシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置センサ304、トルクコンバータ20におけるタービン23の回転数を検出するタービン回転センサ305、作動油の温度を検出する油温センサ306等からの信号が入力され、これらのセンサ301〜306からの信号が示す当該車両ないしエンジンの運転状態等に応じて上記各ソレノイドバルブ111,112,121〜123,131の作動を制御するようになっている。なお、上記タービン回転センサ305については、図2にその取り付け状態が示されている。
【0069】
次に、この第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩擦要素51〜55の作動室に対する作動圧の給排状態の関係を変速段ごとに説明する。
【0070】
ここで、第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123の各変速段ごとの作動状態の組合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に示すように設定されている。
【0071】
この表2中、(○)は、第1、第2SV111,112についてはON、第1〜第3DSV121〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流側に供給する状態を示す。また、(×)は、第1、第2SV111,112についてはOFF、第1〜第3DSV121〜123についてはONであって、いずれも、上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた状態を示す。
【0072】
【表2】
まず、1速(Lレンジの1速を除く)においては、表2及び図6に示すように、第3DSV123のみが作動して、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介してロックアップコントロールバルブ106に供給される。そして、この時点では該ロックアップコントロールバルブ106のスプールが右側に位置することにより、上記作動圧は、さらにフォワードクラッチライン219を介してフォワードクラッチ51の締結室にフォワードクラッチ圧として供給され、これにより該フォワードクラッチ51が締結される。
【0073】
ここで、上記フォワードクラッチライン219から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ105及びライン210を介して第1アキュムレータ141に通じていることにより、上記フォワードクラッチ圧の供給が緩やかに行われる。
【0074】
次に、2速の状態では、表2及び図7に示すように、上記の1速の状態に加えて、第1DSV121も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン214を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では該ローリバースバルブ103のスプールが右側に位置することにより、さらにサーボリリースライン215に導入され、2−4ブレーキ54の締結室54aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、上記フォワードクラッチ51に加えて、2−4ブレーキ54が締結される。
【0075】
なお、上記ライン214はライン217を介して第2アキュムレータ142に通じているから、上記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ54の締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速への変速に際してローリバースバルブ103のスプールが左側に移動したときに、ローリバースブレーキライン216からローリバースブレーキ55の締結室にプリチャージされる。
【0076】
また、3速の状態では、表2及び図8に示すように、上記の2速の状態に加えて、さらに第2DSV122も作動し、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン222及びライン223を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では該バルブ103のスプールが右側に位置することにより、さらにライン224に導入される。
【0077】
そして、この作動圧は、ライン224からオリフィス151を介してライン225に導入されて、3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置することにより、さらにサーボリリースライン221を介して2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリース圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ54が解放される。
【0078】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からはライン226が分岐されており、上記作動圧は該ライン226によりバイパスバルブ104に導かれると共に、この時点では該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置することにより、さらに3−4クラッチライン227を介して3−4クラッチ53の締結室に3−4クラッチ圧として供給される。したがって、この3速では、フォワードクラッチ51と3−4クラッチ53とが締結される一方、2−4ブレーキ54は解放されることになる。
【0079】
なお、この3速の状態では、上記のように第2DSV122が作動圧を生成し、これがライン222を介してリレーバルブ107の制御ポート107aに供給されることにより、該リレーバルブ107のスプールが左側に移動する。
【0080】
さらに、4速の状態では、表2及び図9に示すように、3速の状態に対して、第3DSV123が作動圧の生成を停止する一方、第1SV111が作動する。
【0081】
この第1SV111の作動により、ライン201からの一定圧がライン203を介してリレーバルブ107に供給されることになるが、上記のように、このリレーバルブ107のスプールは3速時に左側に移動しているから、上記一定圧がライン205を介して3−4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給されることになり、該バルブ105のスプールをが右側に移動する。そのため、サーボリリースライン221がフォワードクラッチライン219から分岐されたライン220に接続され、2−4ブレーキ54の解放室54bとフォワードクラッチ51の締結室とが連通する。
【0082】
そして、上記のように第3DSV123が作動圧の生成を停止して、下流側をドレン状態とすることにより、上記2−4ブレーキ54の解放室54b内のサーボリリース圧とフォワードクラッチ51の締結室内のフォワードクラッチ圧とが、ロックアップコントロールバルブ106及びライン228を介して該第3DSV123でドレンされることになり、これにより、2−4ブレーキ54が再び締結されると共に、フォワードクラッチ51が解放される。
【0083】
一方、Lレンジの1速では、表2及び図10に示すように、第1、第2SV111,112及び第1、第3DSV121,123が作動し、この第3DSV123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1速と同様に、ライン228、ロックアップコントロールバルブ106及びフォワードクラッチライン219を介してフォワードクラッチ51の締結室にフォワードクラッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ51が締結される。また、このとき、ライン220、3−4シフトバルブ105及びライン210を介して第1アキュムレータ141に作動圧が導入されることにより、上記フォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われるようになっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
【0084】
また、第1SV111の作動により、ライン203、リレーバルブ107、ライン204を介してバイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロット圧が供給されて、該バルブ104のスプールを左側に移動させる。そして、これに伴って、第2SV112からの作動圧がライン206及び該バイパスバルブ104を介してライン208に導入され、さらにローリバースバルブ103の制御ポート103aに供給されて、該バルブ103のスプールを左側に移動させる。
【0085】
したがって、第1DSV121で生成された作動圧がライン214、ローリバースバルブ103及びローリバースブレーキライン216を介してローリバースブレーキ55の締結室にローリバースブレーキ圧として供給され、これにより、フォワードクラッチ51に加えてローリバースブレーキ55が締結されて、エンジンブレーキが作動する1速が得られる。
【0086】
さらに、Rレンジでは、表2及び図11に示すように、第1、第2SV111,112及び第1〜第3DSV121〜123が作動する。ただし、第2、第3DSV122,123については、第2出力ライン212からの元圧の供給が停止されているから作動圧を生成することはない。
【0087】
このRレンジでは、上記のように、第1、第2SV111,112が作動するから、前述のLレンジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ103のスプールも左側に移動する。そして、この状態で第1DSV121で作動圧が生成されることにより、これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレーキ55の締結室に供給される。
【0088】
一方、Rレンジでは、マニュアルバルブ102から第3出力ライン213にライン圧が導入され、このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動したローリバースバルブ103、及びリバースクラッチライン230を介してリバースクラッチ52の締結室にリバースクラッチ圧として供給される。したがって、上記リバースクラッチ52とローリバースブレーキ55とが締結されることになる。
【0089】
なお、上記第3出力ライン213には、Nレンジでもマニュアルバルブ102からライン圧が導入されるので、ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置するときは、Nレンジでリバースクラッチ52が締結される。
【0090】
次に、前述のコントローラ300による変速制御、特に2−4ブレーキ54の締結室54aと解放室54bの両方に作動圧が供給されている状態から解放室54bの作動圧が排出される3−2変速や、3−4変速について説明する。
【0091】
まず、3−2変速、特にエンジン負荷の増大に伴うトルクディマンドやエンジン負荷が作用している状態でのマニュアルダウンの3−2変速について説明する。
【0092】
このトルクディマンド等の3−2変速は、上記2−4ブレーキ54を締結すると同時に、3−4クラッチ53を解放することにより行われるが、図8に示すように、この制御は、油圧制御回路100において、第1SV111をOFFとして、3−4シフトバルブ105により、サーボリリースライン221と3−4クラッチライン227とを連通させると共に、この状態で、サーボアプライ圧を供給したまま、第2DSV122の制御により、サーボリリース圧と3−4クラッチ圧とを排出することにより行われる。
【0093】
このとき、タービン回転数の上昇を良好に行わせるためのフィードバック制御が行われるようになっている。この制御は、まず解放側摩擦要素である3−4クラッチ53の解放動作を先行させて、該クラッチ53をスリップさせることによりイナーシャフェーズを実現し、これにより、図12に示すように、タービン回転数Ntを上昇させると共に、これが予め算出された変速後のタービン回転数Nt0の近くまで上昇した時点で、締結側摩擦要素である2−4ブレーキ54の締結動作を行わせて、トルクフェーズを実現するように行われるが、その場合に、イナーシャフェーズ中におけるタービン回転数Ntを各制御サイクル毎の目標回転数Nti0に一致させるように、3−4クラッチ53の解放動作中の棚圧が制御されるのである。
【0094】
そして、この棚圧の制御が、第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御により行われるようになっている。
【0095】
つまり、図3等に示すように、サーボリリースライン221に通じるライン225と、3−4クラッチライン227に通じるライン226とは、第2DSV122から導かれたライン224から分岐されていると共に、その分岐部の上流側にはオリフィス151が設けられているから、作動油の排出中におけるサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧は、上記第2DSV122による制御によっては制御されず、サーボシリンダ54dにおいて上記解放室54bとピストン54eを介して仕切られた締結室54a内のサーボアプライ圧によって制御されるのである。
【0096】
そして、第2DSV122は、上記オリフィス151を介して3−4クラッチ53の油圧室と2−4ブレーキ54の解放室54bとから排出される作動油の流量を調整することにより、締結室54aと解放室54bの差圧を調整し、これにより、3−4クラッチ53の解放時のイナーシャフェーズにおける棚圧の保持時間を制御するようになっている。
【0097】
したがって、この3−2変速制御においては、第1DSV121によるサーボアプライ圧を介しての3−4クラッチ圧の棚圧の制御と、第2DSV122によるサーボアプライ圧とサーボリリース圧の差圧の制御とが行われることになり、次に、これらの制御の具体的動作を説明する。
【0098】
第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御動作は、図13にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS1,S2で、ベース油圧Pb及びフィードバック油圧Pfbを、後述するプログラムに従って算出すると共に、ステップS3でこれらを加算してサーボアプライ圧の基本算出油圧Psa0を求め、次いでステップS4で、低負荷フラグFxの値を判定する。このフラグFxは、後述するプログラムによって算出されるサーボリリース圧の算出油圧Psrが所定値αより小さくなる低負荷領域で1となり、通常の中、高負荷領域では0となる。
【0099】
そして、今回の変速が通常の中、高負荷領域での変速であるものとすると、Fx=0であるから、次にステップS5を実行して、上記基本算出油圧Psa0をサーボアプライ圧の算出油圧Psaとし、また、低負荷領域にあって、Fx=1の場合には、ステップS6で、上記基本算出油圧Psa0から所定値ΔPsaを減算した値をサーボアプライ圧の算出油圧Psaとする。そして、ステップS7で、この算出油圧Psaが下限値βより小さいか否かを判定し、小さいときは、ステップS8で、この下限値βを算出油圧Psaとする。
【0100】
次に、ステップS9で、変速指令の出力後、ライン圧の安定を待つための所定の遅延時間T1が経過したか否かを判定し、この遅延時間T1が経過したときは、さらにステップS10で、プリチャージフラグFpの値を判定する。このフラグFpは後述するプログラムによって値が設定されるもので、プリチャージ期間中はFp=1となる。そして、上記遅延時間T1が経過するまで、及び該時間T1が経過した後のプリチャージ期間中は、ステップS11で、第1DSV121のデューティ率を0%の状態に保持し、2−4ブレーキ54の締結室54aに作動油をプリチャージする。
【0101】
これにより、2−4ブレーキ54のサーボシリンダ54dにおけるピストン54eの締結方向のストロークが促進されることになる。
【0102】
その後、上記プリチャージ期間が経過すれば(Fp=0)、次にステップS12で、タービン回転数Ntが変速終了後の回転数Nt0より若干低い変速終了直前回転数Nt0′(図21参照)まで上昇したか否かを判定し、この回転数Nt0′に上昇するまでは、ステップS13で、上記のステップS5,S6,S8等で求めたサーボアプライ圧の算出油圧Psaに対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力し、サーボアプライ圧のフィードバック制御を行う。
【0103】
このサーボアプライ圧のフィードバック制御は、サーボリリース圧を介して3−4クラッチ53の解放動作中の棚圧を制御するもので、このフィードバック制御による3−4クラッチ圧の低下により、イナーシャフェーズが開始されて、タービン回転数Ntが上昇する。
【0104】
そして、タービン回転数Ntが上記変速終了直前回転数Nt0′まで上昇すれば、ステップS14で、その後、所定時間T2が経過したか否かを判定し、経過するまでは、ステップS15で、算出油圧Psaに所定値のフィードフォワード値Pffを加えて該算出油圧Psaを増大補正し、上記ステップS13で、この補正した算出油圧Psaに対応するデューティ率の信号を第1DSV121に出力する。そして、その後、上記所定時間T2が経過すれば、サーボアプライ圧のフィードバック制御を終了し、ステップS16,S17に従って、デューティ率を0%になるまで一定割合で減算しながら出力する(図21参照)。
【0105】
なお、上記ステップS1によるベース油圧Pbの計算は、図14に示すプログラムに従って次のように行われる。
【0106】
まず、ステップS21で、変速中の目標タービン回転変化率dNt0を算出し、次いでステップS22で、この目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧Piを図15に示すマップから読み取る。また、ステップS23で、変速時の目標タービントルクTt0に応じた油圧Ptを図16に示すマップから読み取り、ステップS24で、これらの油圧Pi,Ptを加算することにより、ベース油圧Pbを求める。その場合に、図15に示す油圧Piのマップでは、目標タービン回転変化率dNt0が大きいほど油圧Piを低くして、3−4クラッチ53の解放を促進するようになっている。また、図16に示す油圧Ptのマップでは、目標タービントルクTt0が大きいほど、これに応じて油圧Ptも高くするようになっている。
【0107】
また、図13のプログラムのステップS2によるフィードバック油圧Pfbの計算は、図17に示すプログラムに従って次のように行われる。
【0108】
まず、ステップS31で、変速指令の出力後、所定時間が経過したこと等の所定のフィードバック制御開始条件が成立したか否かを示すフィードバックフラグFfの値を判定し、Ff=0のとき、即ちフィードバック条件が成立するまでは、ステップS32で、フィードバック油圧Pfbを0とする。
【0109】
そして、上記条件が成立してフラグFfが1となれば、ステップS33で、現時点の目標タービン回転数Nti0を計算する。この計算は、変速前後の回転数の差と、摩擦要素の熱容量や受け持ちトルク等に依存する耐久性を考慮して予め設定されている最適変速時間とに基づいて行われ、各制御サイクル毎にそのサイクルでの目標タービン回転数Nti0が設定される(図12参照)。
【0110】
次に、ステップS34で、この目標タービン回転数Nti0に対する実タービン回転数Ntの偏差Dn(=Nt−Nti0)を求めると共に、ステップS35で、図18に示すマップから偏差Dnに応じたフィードバック油圧Pfbのマップ値Pmを読み取る。そして、ステップS36で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt′を超えたか否かを判定し、超えるまでは、ステップS37で、上記マップから読み取ったマップ値Pmをフィードバック油圧Pfbに設定する。
【0111】
その場合に、このマップにおいては、フィードバック油圧Pfb(マップ値Pm)は、偏差Dnが正のときには正の値に、偏差Dnが負のときには負の値とされていると共に、その大きさは、偏差Dnの絶対値が大きくなるほど大きくなるように設定されており、したがって、実タービン回転数Ntが目標タービン回転数Nti0よりも高いときには、サーボアプライ圧ないし3−4クラッチ圧が高くされて、3−4クラッチ53の解放が抑制され、逆に実タービン回転数Ntが目標タービン回転数Nti0よりも低いときには、サーボアプライ圧ないし3−4クラッチ圧が低くされて、3−4クラッチ53の解放が促進されることになる。
【0112】
一方、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt′を超えれば、上記ステップS36からステップS38を実行し、マップ値の前回値Pm′に対する今回値Pmの差分ΔPmを算出すると共に、ステップS39で、この差分ΔPmに所定値Gを掛けた値を今回のマップ値Pmに加算することによりフィードバック油圧Pfbを算出する。そして、ステップS40で、今回読み取ったマップ値Pmを前回値Pm′に置換し、次の演算に備える。これにより、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数まで上昇した時点で、サーボアプライ圧のフィードバック制御におけるゲインが大きくされることになる。
【0113】
以上の第1DSV121の制御により、低負荷フラグFxが0の中、高負荷領域においては、サーボアプライ圧は図21に示すように制御されることになる。なお、低負荷時の制御については後述する。
【0114】
一方、トルクディマンド等の3−2変速時における第2DSV122による3−4クラッチ圧及びサーボリリース圧の排出制御は、図19に示すプログラムに従って次のように行われる。
【0115】
まず、ステップS41で、サーボアプライ圧に対するサーボリリース圧の差圧ΔPの初期値ΔP0を図20に示すマップから読み取って、これを上記差圧ΔPにセットし、次いでステップS42で、サーボアプライ圧の算出油圧Psaから上記差圧ΔPを減算することにより、サーボリリース圧の算出油圧Psrを算出する。そして、ステップS43で、サーボリリース圧の算出油圧Psrが所定値αより小さいか否かを判定する。
【0116】
そして、まず算出油圧Psrが所定値α以上のとき、即ち中、高負荷領域の場合について説明すると、次にステップS44を実行して、第1DSV121の場合と同様に、所定の遅延時間T1の経過を待ち、この時間T1が経過するまでは、ステップS45でデューティ率を0%の状態に保持する。
【0117】
その後、遅延時間T2が経過すれば、ステップS46で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′まで上昇したか否かを判定し、この回転数Nt0′に上昇するまでの間、上記第1DSV121のフィードバック制御による3−4クラッチ53の棚圧制御と並行して、ステップS47で、上記の算出油圧Psrに対応するデューティ率の信号を第2DSV122に出力する。
【0118】
これにより、図21に示すように、上記遅延時間T1及びサーボアプライ圧のプリチャージ期間が経過したときに、まずサーボアプライ圧よりも所定の差圧ΔP(初期値ΔP0)だけ低いサーボリリース圧が得られることになる。
【0119】
次に、ステップS48で、上記差圧ΔPから所定値γを減算して、この差圧ΔPを減少させると共に、ステップS49で、この減少させた差圧ΔPが下限値δより小さくなったか否かを判定する。この下限値δは、図4に示す2−4ブレーキ54のサーボシリンダ54dにおけるスプリング54iの付勢力の油圧換算値であり、所定値γを繰り返し減算することにより、差圧ΔPがこの下限値δより下回ることになったときには、ステップS50でこの下限値δを差圧ΔPの値とする。これは、差圧ΔPが下限値δより小さくなると、サーボシリンダ54dにおけるピストン54eが締結方向にストロークしなくなるからである。
【0120】
そして、ステップS46でタービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′まで上昇したことが判定されるまで、上記ステップS42〜S44,S46〜S50を繰り返し実行すると共に、その後、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′まで上昇したことが判定されれば、ステップS51,S52に従って、デューティ率を100%まで一定割合で上昇させる。
【0121】
これにより、上記のようにサーボアプライ圧から所定の差圧ΔPだけ低いサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧の棚圧が得られると共に、変速終了直前に該サーボリリース圧及び3−4クラッチ圧が完全に排出され、3−4クラッチ53が解放され、かつ2−4ブレーキ54が締結されることになる。
【0122】
その場合に、上記のように、サーボアプライ圧とサーボリリース圧の差圧ΔPは、変速開始直後の比較的大きな初期値ΔP0から次第に減少されることにより、変速動作の開始直後においては、サーボシリンダ54dのピストン54eが締結方向に速やかにストロークすると共に、2−4ブレーキ54が締結される変速動作の後半では、上記差圧ΔPが小さくなっているので、該2−4ブレーキ54が緩やかに締結され、その結果、当該変速動作が速やかに、しかも大きなショックを生じることなく行われることになる。
【0123】
一方、所定値より小さなエンジン負荷が作用している状態でのマニュアル操作等による3−2変速時においては、作動圧が全般に低くなっていることにより、図19のフローチャートのステップS42で、サーボアプライ圧から差圧ΔPを減算することによりサーボリリース圧の算出油圧Psrを求めたときに、これが所定値αより小さくなることがある。このような低負荷領域での3−2マニュアルダウン変速においては、2−4ブレーキ54のサーボシリンダ54dにおいて、ピストン54eのストローク中、サーボリリース圧が低下しない状態が生じ、そのため、3−4クラッチ53の解放動作が遅れて、2速への変速がいつまでも完了しないという事態が生じる。
【0124】
そこで、このようにサーボリリース圧の算出油圧Psrが所定値αより小さくなる低負荷領域においては、図19のフローチャートのステップS43からステップS53を実行し、サーボリリース圧の算出油圧Psrが上記所定値αを下回る量に係数C1を掛けた値をサーボアプライ圧の減算補正量ΔPsaとすると共に、ステップS54で、低負荷フラグFxを1にセットし、さらにステップS55で、サーボリリース圧の算出油圧Psrを上記所定値αにセットする。
【0125】
そして、上記のようにして設定した低負荷フラグFxと、サーボアプライ圧の算出油圧の減算補正量ΔPsaとは、前述のように、図13にフローチャートを示すサーボアプライ圧の制御で用いられ、ステップS4で、Fx=1と判定されたときに、ステップS6でサーボアプライ圧の算出油圧Psaが上記補正量ΔPsaを減算することにより低減補正されることになる。
【0126】
これにより、図22に示すように、低負荷領域では、サーボリリース圧が所定の下限値αに設定されると共に、サーボアプライ圧の低減補正により差圧が小さな値ΔP′とされ、その結果、上記のようなピストン54eのストローク中、サーボリリース圧が低下しなくなるといった事態が防止されて、サーボリリース圧の排出ないし3−4クラッチ53の解放動作が良好に行われることになる。
【0127】
なお、サーボアプライ圧の算出油圧Psaは、上記の低減補正により下限値βより小さくなったときは、ステップS8でこの下限値βにセットされるので、サーボアプライ圧の低下により差圧ΔPが前述のスプリング54iの油圧換算値δよりも小さくなることが回避される。
【0128】
ところで、以上のような3−2変速の指令が2速や4速等から3速への変速指令に連続して出力され、3速への変速動作が完了していない状態で2速への変速動作が開始された場合、次のような問題の発生が考えられる。
【0129】
つまり、図23に示すように、3速への変速動作としてのサーボリリース圧の上昇が完全に終了してない状態で2速への変速指令が出力されると、このサーボリリース圧をサーボアプライ圧より所定の差圧ΔPだけ低い算出油圧Psrに制御しようとしても、実際の圧力はこの算出油圧Psrよりも低くなり、符号アで示すように、2速への変速動作の開始直後に、実際の差圧が著しく大きくなる。そのため、サーボシリンダ54dのピストン54eが急激に移動して、2−4ブレーキ54の締結ショックが発生するのである。
【0130】
そこで、この実施の形態では、図19のフローチャートのステップS41で、差圧ΔPを初期値ΔP0にセットする際に、図20のマップに示すように、前回の3速への変速指令の出力時からの経過時間が所定時間T3より短いときは、その時間が短いほど初期値ΔP0を小さくするようにしているのである。これにより、上記のように、変速動作の開始直後に実際の差圧が著しく大きくなることが防止され、3−2変速指令が3速への変速指令に連続して出力された場合でも、2−4ブレーキ54が良好に締結されることになる。
【0131】
なお、この制御を実行するために、3速への変速指令が出力されたときに、その出力時からの経過時間の計測を開始し、次に2速への変速指令が出力されるまでの時間を測定する制御が行われる。
【0132】
また、以上のように、3−2変速時に、サーボアプイライ圧の制御によりサーボリリース圧を介して間接的に3−4クラッチ53の解放時の棚圧を制御する場合、この3−4クラッチ53の解放に伴ってタービン回転数Ntを良好に変速後の回転数Nt0まで上昇させることができたとしても、その間に2−4ブレーキ54のピストン54eの締結方向へのストロークが完了するとは限らず、前述のように、変速開始当初の差圧ΔPを大きくして、ピストン54eのストロークを促進するようにしても、タービン回転数Ntが変速後の回転数Nt0まで上昇した時点で、残留ストロークが存在する場合がある。この場合、次のような不具合が発生することになる。
【0133】
つまり、図24に示すように、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′に達した時点でサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧を完全に排出させるように第2DSV122をデューティ率100%に制御すると共に(図19のステップS46,S51,S52)、それから所定時間T2が経過した時点でサーボアプライ圧を最大値まで上昇させるように第1DSV121をデューティ率0%に制御するのであるが、(図13のステップS14,S16,S17)上記変速終了直前回転数Nt0′に達した時点でピストンストロークが残留していると、3−4クラッチ53が解放される一方で、2−4ブレーキ54がいまだ締結されていない状態が生じ、このとき図24に符号イで示すようにタービン回転数Ntの吹き上りが発生するのである。
【0134】
これに対しては、図24に符号ウで示すように、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′に達した時点でサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧を排出させると同時に、サーボアプライ圧を最大値まで上昇させるように、第1、第2DSV121,122を制御することが考えられるが、この時点では、ピストン54eが締結方向へストローク中であるから、第2DSV122のデューティ率を100%に制御しても、符号エで示すように、サーボリリース圧及び3−4クラッチ圧が直ちに低下せず、そのため、3−4クラッチ53が完全に解放されていない状態で2−4ブレーキ54が締結されることになり、符号オで示すように、タービン回転Ntの落ち込みが発生するのである。
【0135】
そこで、この実施の形態では、前述のように、図13のフローチャートのステップS15で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′まで上昇した後、所定時間T2が経過するまでの間、サーボアプライ圧の算出油圧Psaにフィードフォワード制御としての所定値Pffを加算して、サーボアプライ圧を適度に昇圧させると共に、図17のフローチャートのステップS38〜S40で、フィードバック制御のゲインを大きくする制御を行っているのである(図21の符号カ参照)。これにより、3−4クラッチ53が解放されると同時に、2−4ブレーキ54の締結が促進されて、上記のような変速終了時におけるタービン回転数Ntの吹き上がりや落ち込みが防止されることになるのである。
【0136】
なお、以上の説明では、サーボアプライ圧とサーボリリース圧との差圧ΔPを無段階的に減少させるようにしたが、これを段階的に減少させるようにしてもよい。
【0137】
また、この差圧ΔPの制御をサーボリリース圧の制御によって行うようにしたから、3−4クラッチ圧の棚圧制御は第1DSV121により、サーボリリース圧及び3−4クラッチ圧の排出制御は第2DSV122によりそれぞれ行われることになり、両制御を同一のデューティソレノイドバルブで行う場合に比較して、これらの制御が精度よく行われることになる。
【0138】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。なお、この実施の形態の機械的構成及び油圧制御回路の構成等は前記実施の形態と同じである。
【0139】
この実施の形態は、エンジン負荷が全閉の状態でのマニュアル操作による3−2変速や、エンジン負荷を全閉にすることによるバックアウトの3−4変速等の、エンジン負荷が作用していない状態で2−4ブレーキ54が締結される変速に関するもので、この2−4ブレーキ54の締結を促進することを目的とするものであり、これを、3−2マニュアルダウン変速について説明する。
【0140】
この場合の3−2変速も、サーボアプライ圧及びサーボリリース圧が共に供給されている状態からサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧を排出することにより行われるが、このとき、第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御が図25にフローチャートを示すプログラムに従って行われる。
【0141】
まず、ステップS61で、サーボアプライ圧の算出油圧Psaが設定される。この算出油圧Psaの設定は、図26に示すように予め設定されたマップから読み取ることにより行われるが、このマップでは、車速が高いほど算出油圧Psaが高くなるように設定されている。これは、2−4ブレーキ54の締結を促進するためには、被制動部材(ブレーキドラム)の回転速度が高い高車速時ほど高い油圧が必要であるからである。
【0142】
次に、ステップS62で、変速指令の出力後、バックアップタイマの設定時間T4が経過したか否かを判定し、経過していないときには、さらにステップS63でプリチャージフラグFpの値を判定する。このフラグFpは、前述のように、別途設定されるプリチャージ期間中は1となり、この間、ステップS64で、第1DSV121のデューティ率を0%とし、2−4ブレーキ54の締結室54aに対する作動油のプリチャージを行う。
【0143】
そして、このプリチャージ期間が終了し(Fp=0)、或は上記のバックアップ時間T4が経過すれば、ステップS65で、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt0′まで上昇したか否かを判定し、この回転数に上昇するまでの間、ステップS66で算出油圧Psaに対応するデューティ率を第1DSV121に出力する。そして、その後、タービン回転数Ntが上記変速終了直前回転数Nt0′まで上昇した時点で、ステップS67,S68に従い、デューティ率を一定割合で0%まで減少させる。
【0144】
また、この第1DSV121によるサーボアプライ圧の制御と同時に、第2DSV122によるサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧の排出制御が図27にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、変速指令が出力されたときに、ステップS71,S72で、第2DSV122に出力するデューティ率を0%から100%まで一定の割合で増加させる。
【0145】
これにより、図28に示すように、サーボリリース圧が比較的速やかに排出されると共に、上記のように、サーボアプライ圧は、変速指令の出力後も、Fp=1の間、第1DSV121によるプリチャージ制御により、符号キで示すように最大値に保持されるので、サーボシリンダ54dにおいては、解放室54b側から作動圧が排出されると同時に、容積が増大する締結室54aには、高い圧力で作動油が補充されることになって、ピストン54eの締結方向のストロークが促進され、ひいては、2−4ブレーキ54の締結動作ないし当該変速動作が促進されることになる。
【0146】
その場合に、上記のプリチャージは、後述するプログラムにより、第1DSV121の元圧であるライン圧の値と、締結室54aの容積の増大分とに基づいて算出された期間行なわれるので、上記ピストン54eのストロークを極力促進しながら、2−4ブレーキ54の締結は、プリチャージが終了した後に緩やかに行なわれることになる。
【0147】
なお、バックアウトの3−4変速時にも、サーボアプライ圧に対する制御が同様に行われるが、この場合は、サーボリリース圧と共にフォワードクラッチ圧が排出されて、2−4ブレーキ54の締結と同時にフォワードクラッチ51が解放されることになる。
【0148】
ここで、第1の実施の形態に係る図13のフローチャートのステップS10、及び第2の実施の形態に係る図25のフローチャートのステップS63で判定されるプリチャージフラグFpの設定制御、即ちプリチャージ期間の設定制御について説明する。
【0149】
この制御は図29にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS81で、イニシャライズとしてトータル供給量Qtを0とし、次いで、ステップS82で、図30に示すように設定されたマップに基づいて、その時点のライン圧から当該デューティソレノイドバルブを全開(デューティ率0%)としたときの該バルブを通過するベース流量Qを求める。その場合に、上記マップには、ライン圧が高いほどベース流量Qが多くなるように設定されているが、これは、デューティソレノイドバルブが全開であっても、これを通過する作動油の流量Qはそのときのライン圧によって変化し、ライン圧が高いほど該流量Qも多くなるからである。
【0150】
次に、ステップS83で、図31に示すように設定されたマップから油温補正係数C2を読み取る。このマップでは、作動油の温度が低くなるに従って油温補正係数C2が1より小さくなるように設定されている。そして、ステップS84で、上記ベース流量Qに補正係数C2を掛けることにより流量の補正値Qx(=Q×C2)を求める。これにより、作動油の温度が低く、従って粘度が高いために、同じライン圧であってもバルブ通過流量が標準的な状態よりも減少する場合に、その実情に合せて算出される流量も減少され、常に実際の流量に適合したベース流量Q(補正流量Qx)が算出されることになる。
【0151】
さらに、ステップS85で、この補正流量Qxを累積加算し、制御開始時から現時点までのトータルの作動油の供給量Qtを算出すると共に、ステップS86で、このトータル供給量Qtが所定値C3を超えたか否かを判定し、この所定値C3を超えるまでは、ステップS87でプリチャージフラグFpを1にセットすると共に、所定値C3を超えた時点で、ステップS88で該フラグFpを0にセットする。
【0152】
その場合に、上記所定値C3は、作動油をプリチャージすべき油圧室の容積もしくはその増大量や、その油圧室に通じる油路の容積等に対応した値に設定されている。したがって、Qt>C3となった時点で上記油圧室等が作動油で充満されたことになり、この時点でプリチャージ制御を終了させるために上記フラグFpを0にするのである。
【0153】
そして、このようにして設定されたプリチャージフラグFpの値を用い、Fp=1の間、当該デューティソレノイドバルブのデューティ率が0%とされることにより、上記油圧室等に作動油が速やかに供給されることになる。
【0154】
【発明の効果】
以上のように、本願の第1〜第4発明によれば、ピストンによって仕切られた締結室と解放室とを有する例えば2−4ブレーキ等の第1の摩擦要素と、その解放室に連通可能な締結室を有する3−4クラッチ等の第2の摩擦要素とが備えられた自動変速機において、第1摩擦要素の締結室と解放室及び第2摩擦要素の締結室に作動圧が供給されて、第1摩擦要素が解放され、かつ第2摩擦要素が締結された第1の変速段から、上記第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通した状態でこれら両室から作動圧を排出して、第1摩擦要素を締結し、かつ第2摩擦要素を解放することにより第2の変速段に変速する際に、その変速開始当初は、上記第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が大きくなるように制御されるので、第1摩擦要素の解放室及び第2摩擦要素の締結室からの作動圧の排出が促進され、それだけ変速動作が速やかに行われると共に、変速開始時から所定時間が経過した後は、上記差圧が小さくなるので、第1摩擦要素が比較的小さな締結力で緩やかに締結されることになる。したがって、当該変速が応答性よく、かつ大きなショックを生じることなく、良好に行われることになる。
【0155】
また、第5、第6発明によれば、同じくピストンによって仕切られた締結室と解放室とを有する摩擦要素が備えられた自動変速機において、この摩擦要素の締結室と解放室に作動圧が供給されて、該摩擦要素が解放された第1の変速段から、該摩擦要素の解放室から作動圧が排出されて、該摩擦要素が締結される第2の変速段に変速する際、特にエンジン負荷が作用しない状態での変速の際に、上記締結室における作動圧を変速初期における所定時間の間、変速動作中よりも高くするようにしたから、この間に該摩擦要素のピストンの締結方向のストロークが促進されると共に、その締結は比較的低い作動圧のもとで緩やかに行われることになり、したがって、当該変速が応答性よく、かつ大きなショックを生じることなく、良好に行われることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の変速歯車機構部の構成を示す断面図である。
【図3】 油圧制御回路の回路図である。
【図4】 2−4ブレーキの油圧アクチュエータの構成を示す断面図である。
【図5】 同油圧制御回路における各ソレノイドバルブに対する制御システム図である。
【図6】 図3の油圧制御回路の1速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図7】 同じく2速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図8】 同じく3速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図9】 同じく4速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図10】 同じくLレンジ1速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図11】 同じく後退速の状態を示す要部拡大回路図である。
【図12】 ダウンシフト時におけるタービン回転数に対するフィードバック制御の説明図である。
【図13】 第1実施の形態に係る3−2変速時の第1DSVによる制御動作を示すフローチャートである。
【図14】 同制御におけるベース油圧の計算動作を示すフローチャートである。
【図15】 同計算動作で用いられる目標タービン回転変化率に応じた油圧のマップである。
【図16】 同じく目標タービントルクに応じた油圧のマップである。
【図17】 図13の制御におけるフィードバック油圧の計算動作を示すフローチャートである。
【図18】 同計算動作で用いられる通常のゲインのマップである。
【図19】 3−2変速時の第2DSVによる制御動作を示すフローチャートである。
【図20】 同制御で用いられる差圧の初期値のマップである。
【図21】 3−2変速時の各データの変化を示すタイムチャートである。
【図22】 低負荷領域での同変速時のデータの変化を示すタイムチャートである。
【図23】 変速指令が連続的に出力されたときの問題点を示すタイムチャートである。
【図24】 変速終了時の問題点を示すタイムチャートである。
【図25】 第2実施の形態に係る3−2変速時の第1DSVによる制御動作を示すフローチャートである。
【図26】 同制御動作で用いられるサーボアプライ圧の算出油圧のマップである。
【図27】 3−2変速時の第2DSVによる制御動作を示すフローチャートである
【図28】 3−2変速時の各データの変化を示すタイムチャートである。
【図29】 第1、第2実施の形態で行われるプリチャージ制御の動作を示すフローチャートである。
【図30】 同制御動作で用いられるベース流量のマップである。
【図31】 同じく油温補正計数のマップである。
【符号の説明】
10 自動変速機
30,40 変速歯車機構
51 第1摩擦要素(2−4ブレーキ)
53 第2摩擦要素(3−4クラッチ)
100 油圧制御回路
300 作動圧制御手段(コントローラ)
Claims (6)
- 変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える摩擦要素として、ピストンによって仕切られた締結室及び解放室を有し、締結室のみに作動圧が供給されたときに締結され、締結室及び解放室に作動圧が供給されたときに解放される第1摩擦要素と、締結室に作動圧が供給されたときに締結される第2摩擦要素とが備えられ、かつ上記第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通可能とされた自動変速機の制御装置であって、上記第1摩擦要素の締結室と解放室及び第2摩擦要素の締結室に作動圧が供給されて、第1摩擦要素が解放され、かつ第2摩擦要素が締結された第1の変速段から、第1摩擦要素の解放室と第2摩擦要素の締結室とが連通した状態でこれら両室から作動圧が排出されて、第1摩擦要素が締結され、かつ第2摩擦要素が解放された第2の変速段に変速する際に、上記第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が、変速開始時から所定時間が経過するまでは所定時間が経過した後よりも大きくなるように、上記両室の作動圧を制御する作動圧制御手段が設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 第1の摩擦要素の解放室に作動圧が供給されて変速段が第1の変速段に切り換えられた前回の変速時から、該第1の変速段から第2の変速段に切り換わる今回の変速時までの時間を計測する計時手段が設けられ、作動圧制御手段が、今回の変速時における第1摩擦要素の締結室と解放室の変速開始時の差圧を上記計時手段で計測された時間に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- 作動圧制御手段は、第1の変速段から第2の変速段への変速時における第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧を、締結室の作動圧を基準とし、この作動圧から所定値を減算した圧力を解放室の作動圧とすることにより設定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、該検出手段によって所定値以下のエンジン負荷が検出されている状態での第1の変速段から第2の変速段への変速時に、エンジン負荷が上記所定値より大きいときに比べて、作動圧制御手段によって設定される第1摩擦要素の締結室と解放室の差圧が小さくなるように、締結室の作動圧を低くする作動圧補正手段とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- 変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える摩擦要素として、ピストンによって仕切られた締結室及び解放室を有し、締結室のみに作動圧が供給されたときに締結され、締結室及び解放室に作動圧が供給されたときに解放される摩擦要素が備えられた自動変速機の制御装置であって、上記摩擦要素の締結室と解放室に作動圧が供給されている第1の変速段から、解放室の作動圧が排出された第2の変速段への変速時に、締結室の作動圧を、変速初期における所定時間、変速動作中よりも高くなるように制御する作動圧制御手段が設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 締結室の作動圧を変速動作中よりも高くする変速初期の所定時間を、その間における作動圧の値と、当該変速時における締結室の容積の増大量とに基づいて設定する所定時間設定手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の自動変速機の制御装置。
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