JP3687129B2 - 圧縮機における冷媒流入防止構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、圧縮機の運転停止時における圧縮機内の液冷媒溜まりを防止するための圧縮機における冷媒流入防止構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機を用いた空調装置では、圧縮機外部の外部冷媒回路上の熱交換器である凝縮器、蒸発器に比べると、圧縮機は温まり難く、冷め易いという特性がある。このような特性のために圧縮機の運転停止中では外部冷媒回路中の冷媒が圧縮機内へ流入し易い。圧縮機の運転停止中に外部冷媒回路から圧縮機内へ流入した冷媒は圧縮機内で液化し、圧縮機内には液冷媒が溜まる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような液冷媒の溜まり状態では冷媒と共に流動する潤滑油が希釈されると共に、圧縮機内の潤滑必要部位が液冷媒によって洗われる。そのため、長時間の圧縮機運転停止後に圧縮機を起動すると、潤滑必要部位が摩耗、焼き付きを起こすおそれがある。
【0004】
特開平3−37378号公報に開示されるようなクラッチレス圧縮機では冷房不要時の吐出容量の多少及び外部冷媒回路上の蒸発器におけるフロスト発生が問題になる。冷房不要の場合あるいはフロスト発生のおそれがある場合には外部冷媒回路上の冷媒循環を止めればよい。特開平3−37378号公報の圧縮機では外部冷媒回路から吸入室への冷媒ガス流入を止めることによって外部冷媒回路上の冷媒循環停止を達成している。この従来の圧縮機では、冷媒循環停止時には外部冷媒回路から圧縮機の冷媒の入口を介した冷媒流入が阻止されるが、外部冷媒回路から圧縮機の冷媒の出口を介した冷媒流入を阻止することはできない。そのため、斜板、シュー等を内包するクランク室内に液冷媒が貯留し、この従来の圧縮機においても圧縮機の起動時に摩耗、焼き付きを起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、圧縮機の起動時の時における圧縮機内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明では、冷媒が圧縮機内の潤滑必要部位を経由するように循環する循環通路の潤滑必要部位から見た上流側及び下流側に流路開閉手段を設け、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした。
【0007】
請求項2の発明では、シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、ピストンの往復直線運動により冷媒が吸入室からシリンダボアへ吸入されるとともに、シリンダボアから吐出室へ吐出され、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、前記吐出室の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を前記吸入室に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機を対象とし、前記吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路及び圧縮機における冷媒の入口から前記吸入室までを連通する通路に前記流路開閉手段を設けた可変容量型圧縮機を構成し、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした。請求項3の発明では、シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、圧力供給通路を介して吐出圧領域の圧力をクランク室に供給すると共に、放圧通路を介してクランク室の圧力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機を対象とし、斜板の最小傾角を規定する最小傾角規定手段と、前記斜板の傾動に基づいて外部冷媒回路から前記吸入圧領域へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換え移動される遮断体と、前記圧力供給通路上に介在された流路開閉手段とを備えたクラッチレス可変容量型圧縮機を構成し、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした。
【0008】
請求項4の発明では、回転軸に沿って遮断体を移動すると共に、外部冷媒回路から吸入圧領域へ冷媒ガスを導入する吸入通路を遮断体によって開閉し、前記吸入通路を前記回転軸の延長線上に形成した。
【0009】
請求項5の発明では、斜板傾角強制減少指令信号の発信に応答して前記圧力供給通路を開く斜板傾角変更用の開閉弁を前記圧力供給通路上に介在し、前記開閉弁とクランク室との間の圧力供給通路上に前記流路開閉手段を介在した。
【0010】
請求項6の発明では、圧縮機の回転軸が駆動源に常時作動連結されているクラッチレス圧縮機を対象とした。請求項7の発明では、吐出圧領域と吸入圧領域との圧力差が設定値を下回った際に圧力供給通路を閉鎖する差圧弁を流路開閉手段として用いた。請求項8の発明では、シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、ピストンの往復直線運動により冷媒が吸入室からシリンダボアへ吸入されるとともに、シリンダボアから吐出室へ吐出され、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、前記吐出室の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を前記吸入室に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機を対象とし、斜板の最小傾角を規定する最小傾角規定手段と、前記斜板の傾動に基づいて前記吸入室から前記クランク室へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換え移動される遮断体とを備え、前記吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路に流路開閉手段を設けた可変容量型圧縮機を構成し、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした。
【0011】
【作用】
請求項1の発明では、圧縮機が運転停止状態にあるときには、流路開閉手段が閉じ、外部冷媒回路から圧縮機内の潤滑必要部位に冷媒を経由させる循環通路が潤滑必要部位から見た上流側及び下流側で遮断される。この遮断により外部冷媒回路中の冷媒が圧縮機内の潤滑必要部位に冷媒を通す流路を経由して圧縮機内へ流入することはない。従って、圧縮機内の潤滑必要部位が液冷媒によって洗われることはなく、潤滑油が希釈されることもない。
【0012】
請求項2の発明では、吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路及び圧縮機における冷媒の入口から前記吸入室までを連通する通路に流路開閉手段を設けており、圧縮機の運転停止中に外部冷媒回路中の冷媒が圧縮機内へ流入することはない。請求項3の発明では、斜板の傾角が最小傾角になったときに遮断体が閉位置に配置され、外部冷媒回路における冷媒循環が阻止される。この冷媒循環阻止により外部冷媒回路中の冷媒が圧縮機内の吸入圧領域へ流入することはない。斜板の傾動に連動する遮断体は一方の流路開閉手段を構成する。圧縮機の運転が停止すると、圧力供給通路上の流路開閉手段が閉じ、圧力供給通路が遮断される。この遮断により吐出圧領域からクランク室への冷媒流入が阻止される。従って、圧縮機の運転停止中には外部冷媒回路中の冷媒は圧縮機の出口から吐出圧領域まで流入するが、外部冷媒回路中の冷媒が潤滑必要部位のあるクランク室まで流入することはない。
【0013】
請求項4の発明では、遮断体が斜板の傾動に連動して回転軸に沿って移動する。回転軸に沿って移動する遮断体はこの移動経路の延長線上の吸入通路を開閉する。
【0014】
請求項5の発明では、斜板傾角強制減少指令信号の発信に応答して斜板傾角変更用の開閉弁が開き、吐出圧領域の冷媒がクランク室へ供給される。この冷媒供給によりクランク室内の圧力が上昇し、斜板傾角が減少する。圧縮機の運転停止に伴って開閉弁が開くが、圧力供給通路上の流路開閉手段が閉じ、外部冷媒回路中の冷媒がクランク室へ流入することはない。
【0015】
請求項7の発明では、圧縮機が運転停止状態になると、吐出圧領域と吸入圧領域との圧力差が設定値を下回る。そのため、差圧弁が圧力供給通路を閉じ、外部冷媒回路中の冷媒がクランク室へ流入することはない。
【0016】
【実施例】
以下、クラッチレス可変容量型圧縮機に本発明を具体化した第1実施例を図1〜図7に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すようにシリンダブロック1の前端にはフロントハウジング2が接合されている。シリンダブロック1の後端にはリヤハウジング3がバルブプレート4、弁形成プレート41,42及びリテーナ形成プレート5を介して接合固定されている。クランク室2-1を形成するフロントハウジング2とシリンダブロック1との間には回転軸6が回転可能に架設支持されている。回転軸6の前端はクランク室2-1から外部へ突出しており、この突出端部にはプーリ7が止着されている。プーリ7はベルト8を介して車両エンジン(図示略)に作動連結されている。プーリ7はアンギュラベアリング9を介してフロントハウジング2に支持されている。フロントハウジング2はプーリ7に作用するスラスト方向の荷重及びラジアル方向の荷重の両方をアンギュラベアリング9を介して受け止める。
【0018】
回転軸6の前端部とフロントハウジング2との間にはリップシール10が介在されている。リップシール10はクランク室2-1内の圧力洩れを防止する。
回転軸6には回転支持体11が止着されていると共に、斜板15が回転軸6の軸線方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。図2に示すように斜板15には連結片16,17が止着されている。連結片16,17には一対のガイドピン18,19が止着されている。ガイドピン18,19の先端部にはガイド球18-1,19-1が形成されている。回転支持体11には支持アーム11-1が突設されており、支持アーム11-1には一対のガイド孔11-2,11-3が形成されている。ガイド球18-1,19-1はガイド孔11-2,11-3にスライド可能に嵌入されている。支持アーム11-1と一対のガイドピン18,19との連係により斜板15が回転軸6の軸線方向へ傾動可能かつ回転軸6と一体的に回転可能である。斜板15の傾動は、ガイド孔11-2,11-3とガイド球18-1,19-1とのスライドガイド関係、回転軸6のスライド支持作用により案内される。斜板15の半径中心部がシリンダブロック1側へ移動すると、斜板15の傾角が減少する。
【0019】
回転支持体11と斜板15との間には傾角減少ばね12が介在されている。傾角減少ばね12は斜板15の傾角を減少する方向へ斜板15を付勢する。
図1及び図4〜図6に示すようにシリンダブロック1の中心部には収容孔13が回転軸6の軸線L方向に貫設されている。収容孔13内には筒状の遮断体21がスライド可能に収容されている。遮断体21は大径部21-1と小径部21-2とからなり、大径部21-1と小径部21-2との段差と収容孔13の端面との間には吸入通路開放ばね24が介在されている。吸入通路開放ばね24は遮断体21を斜板15側へ付勢している。
【0020】
遮断体21の筒内には回転軸6の後端部が挿入されている。大径部21-1の内周面にはラジアルベアリング25が嵌入支持されている。ラジアルベアリング25はコロ25-1と外輪25-2とからなる。外輪25-2は大径部21-1の内周面に止着されており、コロ25-1は回転軸6に対してスライド可能である。ラジアルベアリング25は大径部21-1の内周面に取りつけられたサークリップ14によって遮断体21の筒内からの抜けを阻止されている。回転軸6の後端部はラジアルベアリング25及び遮断体21を介して収容孔13の周面で支持される。
【0021】
リヤハウジング3の中心部には吸入通路26が形成されている。吸入通路26は遮断体21の移動経路となる回転軸6の延長線上にある。吸入通路26は収容孔13に連通しており、収容孔13側の吸入通路26の開口の周囲には位置決め面27が形成されている。位置決め面27は弁形成プレート41上である。遮断体21の小径部21-2の先端面は位置決め面27に当接可能である。小径部21-2の先端面が位置決め面27に当接することにより遮断体21が斜板15から離間する方向への移動を規制される。
【0022】
斜板15と遮断体21との間の回転軸6上にはスラストベアリング28が回転軸6上をスライド可能に支持されている。スラストベアリング28は吸入通路開放ばね24のばね力によって常に斜板15と遮断体21の大径部21-1の端面との間に挟み込まれている。
【0023】
斜板15が遮断体21側へ移動するに伴い、斜板15の傾動がスラストベアリング28を介して遮断体21に伝達する。この傾動伝達により遮断体21が吸入通路開放ばね24のばね力に抗して位置決め面27側へ移動し、遮断体21が位置決め面27に当接する。斜板15の回転はスラストベアリング28の存在によって遮断体21への伝達を阻止される。遮断体21が回転すれば圧縮機における負荷トルクが増える。特に、遮断体21が位置決め面27に当接している状態では負荷トルクが大きい。スラストベアリング28はこのような負荷トルクの増大を防止する。
【0024】
シリンダブロック1に貫設されたシリンダボア1-1内には片頭ピストン22が収容されている。斜板15の回転運動はシュー23を介して片頭ピストン22の前後往復揺動に変換され、片頭ピストン22がシリンダボア1-1内を前後動する。
【0025】
図1及び図3に示すようにリヤハウジング3内には吸入室3-1及び吐出室3-2が区画形成されている。バルブプレート4上には吸入ポート4-1及び吐出ポート4-2が形成されている。弁形成プレート41上には吸入弁41-1が形成されており、弁形成プレート42上には吐出弁42-1が形成されている。吸入室3-1内の冷媒ガスは片頭ピストン22の復動動作により吸入ポート4-1から吸入弁41-1を押し退けてシリンダボア1-1内へ流入する。シリンダボア1-1内へ流入した冷媒ガスは片頭ピストン22の往動動作により吐出ポート4-2から吐出弁42-1を押し退けて吐出室3-2へ吐出される。吐出弁42-1はリテーナ形成プレート5上のリテーナ5-1に当接して開度規制される。
【0026】
回転支持体11とフロントハウジング2との間にはスラストベアリング29が介在されている。スラストベアリング29はシリンダボア1-1から片頭ピストン22、シュー23、斜板15、連結片16,17及びガイドピン18,19を介して回転支持体11に作用する圧縮反力を受け止める。
【0027】
吸入室3-1は通口4-3を介して収容孔13に連通している。遮断体21が位置決め面27に当接すると、通口4-3は吸入通路26から遮断される。
回転軸6内には通路30が形成されている。通路30の入口30-1はリップシール10付近でクランク室2-1に開口しており、通路30の出口30-2は遮断体21の筒内に開口している。図1及び図4〜図6に示すように遮断体21の周面には放圧通口21-3が貫設されている。放圧通口21-3は遮断体21の筒内と収容孔13とを連通している。
【0028】
図1に示すように吐出室3-2とクランク室2-1とは圧力供給通路31で接続されている。圧力供給通路31上には電磁開閉弁32が介在されている。電磁開閉弁32のソレノイド33の励磁により弁体34が弁孔32-1を閉鎖する。ソレノイド33が消磁すれば弁体34が弁孔32-1を開く。即ち、電磁開閉弁32は吐出室3-2とクランク室2-1とを接続する圧力供給通路31を開閉する。
【0029】
吸入室3-1へ冷媒ガスを導入する入口となる吸入通路26と、吐出室3-2から冷媒ガスを排出する出口1-2とは外部冷媒回路35で接続されている。外部冷媒回路35上には凝縮器36、膨張弁37及び蒸発器38が介在されている。膨張弁37は蒸発器38の出口側のガス温度の変動に応じて冷媒流量を制御する温度式自動膨張弁である。蒸発器38の近傍には温度センサ39が設置されている。温度センサ39は蒸発器38における温度を検出し、この検出温度情報が制御コンピュータCに送られる。
【0030】
電磁開閉弁32のソレノイド33は制御コンピュータCの励消磁制御を受ける。制御コンピュータCは温度センサ39から得られる検出温度情報に基づいてソレノイド33を励消磁制御する。制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ40のON状態のもとに検出温度が設定温度以下になるとソレノイド33の消磁を指令する。この設定温度以下の温度は蒸発器38においてフロストが発生しそうな状況を反映する。又、制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ40のOFFによってソレノイド33を消磁する。
【0031】
電磁開閉弁32とクランク室2-1との間の圧力供給通路31上にはスプール弁20が介在されている。スプール弁20を収容する室はスプール弁20によって流路室43と背圧室44とに区画されており、背圧室44には圧縮ばね45が収容されている。流路室43は圧力供給通路31上にあり、圧縮ばね45は圧力供給通路31を遮断する方向へスプール弁20を付勢する。背圧室44は背圧通路46を介してクランク室2-1に連通している。背圧室44内はクランク室2-1内の圧力と同一圧であり、背圧室44側からスプール弁20に作用する圧力と圧縮ばね45のばね力との総和が流路室43側の圧力に対抗する。スプール弁20、流路室43、背圧室44及び圧縮ばね45は差圧式の流路開閉手段を構成する。
【0032】
図1及び図4の状態ではソレノイド33は励磁状態にあり、圧力供給通路31は閉じられている。従って、吐出室3-2からクランク室2-1への高圧冷媒ガスの供給は行われない。この状態ではクランク室2-1内の冷媒ガスが通路30及び放圧通口21-3を介して吸入室3-1に流出するばかりであり、クランク室2-1内の圧力は吸入室3-1内の低圧力、即ち吸入圧に近づいていく。そのため、斜板15は傾角増大方向へ付勢される。斜板15の最大傾角は回転支持体11の傾角規制突部11-4と斜板15との当接によって規制される。斜板15の傾角は最大傾角に保持され、吐出容量は最大となる。クランク室2-1内の冷媒ガスはリップシール10付近の入口30-1を経由するため、この冷媒ガスと共に流動する潤滑油がリップシール10と回転軸6との間の潤滑及びシールを高める。
【0033】
冷房負荷が小さくなった状態で斜板15が最大傾角を維持して吐出作用が行われると、蒸発器38における温度がフロスト発生をもたらす温度に近づくように低下してゆく。温度センサ39は蒸発器38における検出温度情報を制御コンピュータCに送っており、検出温度が設定温度以下になると制御コンピュータCはソレノイド33の消磁を指令する。ソレノイド33が消磁されると圧力供給通路31が開き、吐出室3-2とクランク室2-1とが連通する。従って、吐出室3-2内の高圧冷媒ガスが圧力供給通路31を介してクランク室2-1へ供給され、クランク室2-1内の圧力が高くなる。クランク室2-1内の圧力上昇により斜板15の傾角が最小傾角へ移行する。又、空調装置作動スイッチ40のOFF信号に基づいて制御コンピュータCがソレノイド33を消磁し、この消磁により斜板15が最小傾角へ移行する。即ち、前記設定温度以下の検出温度情報、空調装置作動スイッチ40のOFF信号は斜板傾角強制減少指令信号となる。
【0034】
斜板15の傾角が最小傾角になると、遮断体21が位置決め面27に当接する。遮断体21が位置決め面27に当接したときには吸入通路26が遮断される。斜板15の傾動に連動する遮断体21は吸入通路26の通過断面積を徐々に減らしてゆく。この緩慢な通過断面積変化による絞り作用が吸入通路26から吸入室3-1への冷媒ガス流入量を徐々に減少させる。そのため、吸入室3-1からシリンダボア1-1内へ吸入される冷媒ガス量も徐々に減少してゆき、吐出容量が徐々に減少してゆく。従って、吐出圧が徐々に減少してゆき、圧縮機における負荷トルクが短時間で大きく変動することはない。その結果、最大吐出容量から最小吐出容量に到る間のクラッチレス圧縮機における負荷トルクの変動が緩慢になり、負荷トルクの変動による衝撃が緩和される。
【0035】
図5に示すように遮断体21が位置決め面27に当接すると、吸入通路26における通過断面積が零となり、外部冷媒回路35から吸入室3-1への冷媒ガス流入が阻止される。従って、斜板15の最小傾角は、遮断体21と位置決め面27との当接によって規制される。位置決め面27、遮断体21及びスラストベアリング28が最小傾角規定手段を構成する。
【0036】
斜板15の最小傾角は0°よりも僅かに大きい。この最小傾角状態は遮断体21が吸入通路26と収容孔13との連通を遮断する閉位置に配置されたときにもたらされる。遮断体21は前記閉位置とこの位置から離間した開位置とへ斜板15に連動して切り換え配置される。
【0037】
斜板15の最小傾角は0°ではないため、斜板傾角が最小の状態においてもシリンダボア1-1から吐出室3-2への吐出は行われている。シリンダボア1-1から吐出室3-2へ吐出された冷媒ガスは圧力供給通路31を通ってクランク室2-1へ流入する。クランク室2-1内の冷媒ガスは通路30及び放圧通口21-3という放圧通路を通って吸入室3-1へ流入し、吸入室3-1内の冷媒ガスはシリンダボア1-1内へ吸入されて吐出室3-2へ吐出される。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出圧領域である吐出室3-2、圧力供給通路31、クランク室2-1、通路30、放圧通口21-3、吸入圧領域である収容孔、吸入圧領域である吸入室3-1、シリンダボア1-1を経由する循環通路が圧縮機内にできている。そして、吐出室3-2、クランク室2-1及び吸入室3-1の間では圧力差が生じている。従って、冷媒ガスが前記循環通路を循環し、冷媒ガスと共に流動する潤滑油が圧縮機内を潤滑する。
【0038】
図5の状態から冷房負荷が増大した場合、この冷房負荷の増大が蒸発器38における温度上昇として表れ、蒸発器38における検出温度が前記設定温度を越える。制御コンピュータCはこの検出温度変移に基づいてソレノイド33の励磁を指令する。ソレノイド33の励磁により圧力供給通路31が閉じ、クランク室2-1の圧力が通路30及び放圧通口21-3を介した放圧に基づいて減圧してゆく。この減圧により吸入通路開放ばね24が図5の縮小状態から伸長する。従って、遮断体21が位置決め面27から離間し、斜板15の傾角が図5の最小傾角状態から増大する。遮断体21の離間に伴い、吸入通路26における通過断面積が緩慢に増大してゆき、吸入通路26から吸入室3-1への冷媒ガス流入量は徐々に増えていく。従って、吸入室3-1からシリンダボア1-1内へ吸入される冷媒ガス量も徐々に増大してゆき、吐出容量が徐々に増大してゆく。そのため、吐出圧が徐々に増大してゆき、圧縮機における負荷トルクが短時間で大きく変動することはない。その結果、最小吐出容量から最大吐出容量に到る間のクラッチレス圧縮機における負荷トルクの変動が緩慢になり、負荷トルクの変動による衝撃が緩和される。
【0039】
車両エンジンが停止すれば圧縮機の運転も停止、即ち斜板15の回転も停止し、電磁開閉弁32が消磁される。電磁開閉弁32の消磁により斜板15の傾角は最小傾角となる。圧縮機の運転停止状態が続けば圧縮機内の圧力が均一化するが、斜板15の傾角は傾角減少ばね12のばね力によって小さい傾角に保持される。従って、車両エンジンの起動によって圧縮機の運転が開始されると、斜板15は負荷トルクの最も少ない最小傾角状態から回転開始し、圧縮機の起動時のショックも殆どない。
【0040】
電磁開閉弁32が消磁状態にあっても斜板15が最小傾角で回転するため、圧縮機内では冷媒ガスが前記した循環通路を循環し、吐出室3-2の圧力はクランク室2-1の圧力よりも大きい。このような圧力状態では流路室43側からスプール弁20に作用する圧力Pdと背圧室44側からスプール弁20に作用する圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)が圧縮ばね45のばね力を上回るようにしてある。従って、斜板15が最小傾角で回転しているときにはスプール弁20が圧力供給通路31を開き、吐出室3-2内の冷媒ガスが圧力供給通路31を介してクランク室2-1へ流入する。
【0041】
圧縮機の運転が停止すると、前記循環通路における冷媒循環がなくなり、圧縮機内の圧力が均一化する。そして、冷媒ガスが液化してゆく。そのため、流路室43内の圧力Pdと背圧室44内の圧力Pcとの間で差が無くなり、図6に示すようにスプール弁20が圧縮ばね45のばね力によって圧力供給通路31を閉じる位置へ配置される。従って、圧縮機の運転停止状態では圧力供給通路31が遮断され、吐出室3-2内の冷媒がクランク室2-1へ流入することはない。外部冷媒回路35内の冷媒が圧縮機の運転停止に伴って出口1-2から吐出室3-2へ流入するが、外部冷媒回路35内の冷媒がクランク室2-1へ流入することはない。又、遮断体21が吸入通路26を閉じているため、外部冷媒回路35内の冷媒が吸入通路26を経由してクランク室2-1内へ流入することはない。
【0042】
斜板15とシュー23との摺接部位、スラストベアリング28,29、ラジアルベアリング25、リップシール12といった潤滑必要部位がクランク室2-1内にある。車両エンジンが作動している限りは回転軸6が回転し続けるクラッチレス圧縮機では、これら潤滑必要部位の潤滑が極めて重要である。圧縮機の運転が停止している間にクランク室2-1内に液冷媒が溜まってしまうと、クランク室2-1内の潤滑必要部位が液冷媒によって洗われ、圧縮機の起動に伴って摩耗、焼き付きを生じるおそれがある。
【0043】
本実施例では、圧縮機の運転停止中には圧縮機の冷媒入口となる吸入通路26が遮断体21によって閉じられ、さらに圧力供給通路31がスプール弁20によって閉じられる。従って、圧縮機の運転停止中に外部冷媒回路35内の冷媒がクランク室2-1内へ流入することはなく、クランク室2-1内に液冷媒が溜まることはない。
【0044】
図7(a)のグラフにおける曲線D0 は吸入通路26における温度変化を表す。曲線D1 は凝縮器36における温度変化を表し、曲線D2 は蒸発器36における温度変化を表す。図7(b)の曲線Ecはスプール弁20がないクラッチレス圧縮機のクランク室2-1における液冷媒量を表す。曲線E0 はスプール弁20がないクラッチレス圧縮機の吸入室3-1及び吐出室3-2における液冷媒量を表す。曲線Fcはスプール弁20があるクラッチレス圧縮機のクランク室2-1における液冷媒量を表す。曲線F0 はスプール弁20があるクラッチレス圧縮機の吸入室3-1及び吐出3-2における液冷媒量を表す。圧縮機の温度変化に応じて圧縮機内の液冷媒の量が変化するが、スプール弁20のある本実施例の圧縮機における液冷媒量がスプール弁20のない圧縮機に比して平均的に少ないことは図7から明らかである。特に、潤滑必要部位のあるクランク室2-1内の液冷媒量の違いは顕著であり、本実施例の圧縮機ではクランク室2-1内の潤滑必要部位の摩耗防止、焼き付き防止が確実である。
【0045】
本実施例では、外部冷媒回路35から吸入圧領域となる吸入室3-1へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換えられる遮断体21を斜板15の傾動に連動させて外部冷媒回路35における冷媒循環阻止を行なっている。このような冷媒循環阻止構成の採用により斜板15の最大傾角と最小傾角との間の切換における負荷トルク変動の抑制効果が非常に高くなる。圧力供給通路31の開閉は冷房負荷の増減状況によっては頻繁に繰り返されることになるが、本実施例の冷媒循環阻止構成のトルク変動抑制効果の高さ故にON−OFFショックがない。
【0046】
回転軸6の延長線上に形成された吸入通路26の出口は回転軸6に沿って移動する遮断体21によって遮断されるが、この遮断のための押し付け力は斜板15の傾角を減少する方向へ付勢する力から得られる。このような遮断構成は位置決め面27と遮断体21との間のシールを確実にし、圧縮機の運転停止中における外部冷媒回路35から吸入通路26を介した冷媒流入が確実に阻止される。
【0047】
次に、図8の実施例を説明する。第1実施例と同じ構成の部材には同一符号が付してある。この実施例では圧力供給通路31上に介在された電磁開閉弁47内にスプール弁48が組み込まれている。スプール弁48は圧縮ばね49によって弁座50側へ付勢されている。圧縮ばね49の収容室51側からスプール弁48に作用する圧力Pcと圧縮ばね49のばね力とは弁体34の収容室52側からスプール弁48に作用する圧力Pdに対抗する。この実施例では圧縮機が運転しているときには差圧(Pd−Pc)が圧縮ばね49のばね力を上回るようにしてある。そして、圧縮機の運転が停止しているときにはスプール弁48が圧縮ばね49のばね力によって弁座50に当接し、圧力供給通路31が遮断される。スプール弁48、圧縮ばね49及び弁座50からなる流路開閉手段を電磁開閉弁47内に組み込んだ構成は、流路開閉手段の収容スペースのコンパクト化をもたらす。
【0048】
次に、図9の実施例を説明する。第1実施例と同じ構成の部材には同一符号が付してある。この実施例ではリヤハウジング3に容量制御弁53が取りつけられている。クランク室2-1内の圧力は容量制御弁53により制御される。容量制御弁53を構成するバルブハウジング54には吐出圧導入ポート54-1、吸入圧導入ポート54-2、放圧ポート54-3が設けられている。吐出圧導入ポート54-1は通路55を介して吐出室3-2に連通している。吸入圧導入ポート54-2は吸入圧導入通路56を介して吸入通路26に連通しており、放圧ポート54-3は通路57を介してクランク室2-1に連通している。
【0049】
吸入圧導入ポート54-2に通じる吸入圧検出室58の圧力はダイヤフラム59を介して調整ばね60に対抗する。調整ばね60のばね力はダイヤフラム59及びロッド61を介して弁体62に伝達する。弁体62には復帰ばね63のばね力が作用している。弁体62に対する復帰ばね63のばね作用方向は弁孔54-4を閉じる方向であり、復帰ばね63のばね作用を受ける弁体62は吸入圧検出室58内の吸入圧の変動に応じて弁孔54-4を開閉する。
【0050】
ソレノイド33が励磁して圧力供給通路31が閉じているとき、吸入圧が高い(冷房負荷が大きい)場合には弁体62が閉じ、吐出室3-2から通路55、容量制御弁53、通路57を経由する圧力供給通路が閉じられる。クランク室2-1の冷媒ガスは通路30、放圧通口21-3を経由して吸入室3-1へ流出しているため、クランク室2-1内の圧力が低下する。又、シリンダボア1-1内の吸入圧も高いため、クランク室2-1内の圧力とシリンダボア1-1内の吸入圧との差が小さくなる。そのため、図9に実線で示すように斜板15の傾角が大きくなる。
【0051】
逆に、吸入圧が低い(冷房負荷が小さい)場合には弁体62の弁開度が大きくなり、吐出室3-2からクランク室2-1へ流入する冷媒ガス量が多くなる。そのため、クランク室2-1内の圧力が上昇する。又、シリンダボア1-1内の吸入圧が低いため、クランク室2-1内の圧力とシリンダボア1-1内の吸入圧との差が大きくなる。そのため、斜板15の傾角が小さくなる。
【0052】
吸入圧が非常に低い(冷房負荷がない)状態になれば弁体62の弁開度が最も大きくなる。そのため、クランク室2-1内が昇圧し、図9に鎖線で示すように斜板15の傾角が最小傾角へ移行する。又、ソレノイド33が消磁すると圧力供給通路31が開く。ソレノイド33が励磁すると、圧力供給通路31が遮断される。
【0053】
即ち、この実施例では斜板15の傾角は連続的に可変制御される。又、圧縮機の運転停止中には圧縮機内及び外部冷媒回路35内の圧力の均一化によって容量制御弁53が閉じる。そして、制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ40のON−OFF信号に基づいて電磁開閉弁32を励消磁制御する。
【0054】
この実施例においても圧縮機の運転停止中には外部冷媒回路35内の冷媒がクランク室2-1内へ流入することはなく、潤滑必要部位のあるクランク室2-1内に液冷媒が溜まることはない。
【0055】
次に、図10及び図11の実施例を説明する。図8の実施例と同じ構成の部材には同一の符号が付してある。クランク室2-1から外部へ突出する回転軸6の突出端部とフロントハウジング2に突設された支持筒部2-2との間には電磁クラッチ64が介在されている。電磁クラッチ64の一方のクラッチ板となるプーリ64-1はベルト8を介して車両エンジン(図示略)に作動連結されている。プーリ64-1はアンギュラベアリング9を介して支持筒部2-2に回転可能に支持されている。回転軸6の突出端部には支持リング64-2が止着されている。電磁クラッチ64の他方のクラッチ板64-3は板ばね64-4を介して支持リング64-2に支持されている。電磁クラッチ64のソレノイド64-5を励磁すると、図10に示すようにクラッチ板64-3が板ばね64-4のばね力に抗してプーリ64-1の側面に圧接される。ソレノイド64-5を消磁すると、図11に示すようにクラッチ板64-3が板ばね64-4のばね力によってプーリ64-1の側面から離間する。
【0056】
電磁クラッチ64のソレノイド64-5及び電磁開閉弁47のソレノイド33は制御コンピュータCの励消磁制御を受ける。制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ40のON状態のもとに温度センサ39から得られる検出温度に基づいてソレノイド64-5,33を励消磁制御する。検出温度が第1の設定温度以上である場合、制御コンピュータCは両ソレノイド64-5,33を励磁する。蒸発器38と熱交換した空気の温度が第1の設定温度と第2の設定温度との間まで低下すると、制御コンピュータCはソレノイド33の消磁を指令する。蒸発器38と熱交換した空気の温度が第2の設定温度以下まで低下すると、制御コンピュータCはソレノイド64-5の消磁を指令する。ソレノイド64-5が消磁されると電磁クラッチ64が切れ、圧縮機の運転が停止する。
【0057】
収容室13と吸入室3-1とは放圧通口4-4を介して連通している。放圧通口4-4は遮断体21によって開閉される。吐出室3-2内にはバルブハウジング65が収容されており、バルブハウジング65内にはスプール弁66が収容されている。スプール弁66はバルブハウジング65内を流路室67と背圧室68とに区画する。流路室67は流入ポート65-1を介して吐出室3-2に連通している。又、流路室67は流出ポート65-2を介して出口3-3に連通している。背圧室68は吸入圧導入ポート65-3及び吸入圧導入通路69を介して吸入通路26に連通している。スプール弁66は背圧室68内の圧縮ばね70によって流入ポート65-1及び流出ポート65-2を閉塞する位置に向けて付勢されている。背圧室68内は吸入通路26内の圧力と同一圧であり、背圧室68側からスプール弁66に作用する圧力Psと圧縮ばね70のばね力との総和が流路室67側からスプール弁66に作用する圧力Pdに対抗する。スプール弁66、流路室67、背圧室68及び圧縮ばね70は差圧式の流路開閉手段を構成する。
【0058】
この実施例では圧縮機が運転しているときには差圧(Pd−Ps)が圧縮ばね70のばね力を上回るようにしてある。そして、圧縮機の運転が停止しているときにはスプール弁66が圧縮ばね70のばね力によって流入ポート65-1及び流出ポート65-2を閉塞する位置に配置され、外部冷媒回路35から出口3-3を経由する圧縮機内への冷媒流入が阻止される。
【0059】
この実施例においても第1実施例と同様に、圧縮機の運転停止中には外部冷媒回路35からクランク室2-1内への冷媒流入が阻止され、クランク室2-1内に液冷媒が溜まることはない。
【0060】
次に、図12及び図13の実施例を説明する。第1実施例と同じ構成の部材には同一の符号が付してある。この実施例の圧縮機はクラッチ付圧縮機である。斜板の最小傾角は位置規制リング76との当接で規定される。クランク室2-1は放圧通口4-4を介して吸入室3-1に連通している。吐出室3-2内にはバルブハウジング71が収容されており、バルブハウジング71内にはスプール弁72が収容されている。スプール弁72はバルブハウジング71内を流路室73,74に区画する。流路室73は流入ポート71-1を介して吐出室3-2に連通している。又、流路室73は流出ポート71-2を介して出口3-3に連通している。流路室74は冷媒の入口3-4に連通している。スプール弁72の周面には通口72-1が透設されている。通口72-1はバルブハウジング71内のスプール弁72の位置によって吸入通路26に対して接離する。スプール弁72は流路室74内の圧縮ばね75によって流入ポート71-1及び流出ポート71-2を閉塞する位置に向けて付勢されている。スプール弁72が流入ポート71-1及び流出ポート71-2を閉塞する位置に配置されたときには通口72-1と吸入通路26との接続が断たれる。流路室74内は吸入通路26内の圧力と同一圧であり、流路室74側からスプール弁72に作用する圧力Psと圧縮ばね75のばね力との総和が流路室73側からスプール弁72に作用する圧力Pdに対抗する。スプール弁72、流路室73,74及び圧縮ばね75は差圧式の流路開閉手段を構成する。
この実施例では圧縮機が運転しているときには差圧(Pd−Ps)が圧縮ばね75のばね力を上回るようにしてある。図12は圧縮機運転状態を示す。そして、圧縮機の運転が停止しているときには図13に示すようにスプール弁72が圧縮ばね75のばね力によって流入ポート71-1、流出ポート71-2及び吸入通路26を閉塞する位置に配置され、外部冷媒回路35から出口3-3及び入口3-4を経由する圧縮機内への冷媒流入が阻止される。
【0061】
この実施例においても第1実施例と同様に、圧縮機の運転停止中には外部冷媒回路35からクランク室2-1内への冷媒流入が阻止され、クランク室2-1内に液冷媒が溜まることはない。又、単一のスプール弁72によって外部冷媒回路35から入口3-4及び出口3-3を経由する冷媒流入を阻止する構成は流路開閉手段の収容スペースのコンパクト化をもたらす。
【0062】
前記した実施例から把握できる請求項以外の技術思想について以下にその効果と共に記載する。
(1)
請求項5の発明において、開閉弁内に流路開閉手段を組み入れた圧縮機における冷媒流入防止構造。
【0063】
流路開閉手段の収容スペースのコンパクト化をもたらす。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1の発明では、外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには流路開閉手段を閉じるようにしたので、圧縮機の運転停止中における冷媒流入を阻止して圧縮機内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
【0065】
請求項2の発明では、吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路及び圧縮機における冷媒の入口から吸入室までを連通する通路に流路開閉手段を設けたので、圧縮機の運転停止中における冷媒流入を阻止して圧縮機内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
【0066】
請求項3の発明では、圧縮機の運転停止中には斜板の傾動に基づいて外部冷媒回路から圧縮機内の吸入圧領域へ冷媒ガスを導入不能な閉位置に遮断体を配置すると共に、前記圧力供給通路上に介在された流路開閉手段を閉じるようにしたので、圧縮機の運転停止中におけるクランク室への冷媒流入を阻止してクランク室内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
【0067】
請求項4の発明では、回転軸に沿って遮断体を移動すると共に、吸入通路を前記回転軸の延長線上に形成したので、外部冷媒回路から吸入通路を介した冷媒流入を確実に阻止し得る。
【0068】
請求項5の発明では、斜板傾角変更用の開閉弁とクランク室との間の圧力供給通路上に流路開閉手段を介在したので、圧縮機の運転停止に伴って開閉弁が開くが、流路開閉手段が閉じ、圧縮機の運転停止中におけるクランク室への冷媒流入を阻止してクランク室内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
【0069】
請求項7の発明では、斜板傾角変更用の開閉弁とクランク室との間の圧力供給通路上に差圧弁を介在したので、圧縮機の運転停止に伴って開閉弁が開くが、差圧弁が閉じ、圧縮機の運転停止中におけるクランク室への冷媒流入を阻止してクランク室内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
請求項8の発明では、圧縮機の運転停止中には斜板の傾動に基づいて外部冷媒回路から圧縮機内へ冷媒ガスを導入不能な閉位置に遮断体を配置すると共に、前記吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路上に介在された流路開閉手段を閉じるようにしたので、圧縮機の運転停止中におけるクランク室への冷媒流入を阻止してクランク室内の潤滑必要部位の摩耗、焼き付きを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の圧縮機全体の側断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】斜板傾角が最大状態にある要部拡大断面図。
【図5】斜板傾角が最小状態にある要部拡大断面図。
【図6】圧縮機の運転が停止状態にある要部拡大断面図。
【図7】(a)は凝縮器、蒸発器及び圧縮機内の吸入通路における温度変化を
示すグラフ。(b)は圧縮機内の液冷媒量の変化を示すグラフ。
【図8】別例を示す要部拡大断面図。
【図9】別例を示す圧縮機全体の側断面図。
【図10】別例を示す全体側断面図。
【図11】圧縮機の運転が停止状態にある全体側断面図。
【図12】別例を示す要部拡大断面図。
【図13】圧縮機の運転が停止状態にある要部拡大断面図。
【符号の説明】
1-2,3-3…出口、3-1…吸入圧領域となる吸入室、3-2…吐出圧領域となる吐出室、3-4…入口、6…回転軸、13…吸入圧領域となる収容孔、15…斜板、20,48,72…流路開閉手段を構成するスプール弁、21…最小傾角規定手段及び流路開閉手段を構成する遮断体、26…入口となる吸入通路、31…圧力供給通路、32,47…電磁開閉弁、35…外部冷媒回路。
Claims (8)
- 圧縮機内の潤滑必要部位に冷媒を通し、冷媒と共に流動する潤滑油によって前記潤滑必要部位を潤滑する圧縮機において、
前記冷媒が前記潤滑必要部位を経由するように循環する循環通路の潤滑必要部位から見た上流側及び下流側に流路開閉手段を設け、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした圧縮機における冷媒流入防止構造。 - シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、ピストンの往復直線運動により冷媒が吸入室からシリンダボアへ吸入されるとともに、シリンダボアから吐出室へ吐出され、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、前記吐出室の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を前記吸入室に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機において、
前記吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路及び圧縮機における冷媒の入口から前記吸入室までを連通する通路に流路開閉手段を設け、圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。 - シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、圧力供給通路を介して吐出圧領域の圧力をクランク室に供給すると共に、放圧通路を介してクランク室の圧力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機において、
斜板の最小傾角を規定する最小傾角規定手段と、
前記斜板の傾動に基づいて外部冷媒回路から前記吸入圧領域へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換え移動される遮断体と、
前記圧力供給通路上に介在された流路開閉手段とを備え、
圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。 - 遮断体は、回転軸に沿って移動すると共に、外部冷媒回路から吸入圧領域へ冷媒ガスを導入する吸入通路を開閉し、前記吸入通路は前記回転軸の延長線上に形成されている請求項3に記載の可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。
- 斜板傾角強制減少指令信号の発信に応答して前記圧力供給通路を開く斜板傾角変更用の開閉弁を前記圧力供給通路上に介在し、前記開閉弁とクランク室との間の圧力供給通路上に前記流路開閉手段を介在した請求項3及び請求項4のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。
- 圧縮機は、その回転軸が駆動源に常時作動連結されているクラッチレス圧縮機である請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。
- 流路開閉手段は、吐出圧領域と吸入圧領域との圧力差が設定値を下回った際に圧力供給通路を閉鎖する差圧弁である請求項5に記載の可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。
- シリンダボア内にピストンを往復直線運動可能に収容し、ピストンの往復直線運動により冷媒が吸入室からシリンダボアへ吸入されるとともに、シリンダボアから吐出室へ吐出され、斜板を収容するクランク室内の圧力と吸入圧とのピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、前記吐出室の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を前記吸入室に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機において、
斜板の最小傾角を規定する最小傾角規定手段と、
前記斜板の傾動に基づいて前記吸入室から前記クランク室へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換え移動される遮断体とを備え、
前記吐出室から圧縮機における冷媒の出口までを連通する通路に流路開閉手段を設け、
圧縮機外部の外部冷媒回路における冷媒循環が停止したときには前記流路開閉手段を閉じるようにした可変容量型圧縮機における冷媒流入防止構造。
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