JP3684880B2 - 駐車ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車高調整可能な車両に適用される駐車ブレーキ装置に関し、特に、トレーラを連結して走行するトラクタ等の車両に用いて好適の、駐車ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トラックやバス等の車両の懸架装置(サスペンション)の一つとしてとして、空気バネ(エアスプリング)をそなえたエアサスペンションが広く実用化されている。このようなエアスプリングを用いたサスペンションでは、快適な乗り心地を実現することができる利点があるほか、エアスプリングに供給される空気圧を調整することにより車高調整を行なうことができるという利点があり、荷重変動の大きいトラックやバス等の車両には特に適している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような車高調整機能を、トラクタとトレーラとの連結作業や切り離し作業にも利用することが考えられる。つまり、一般にトラクタとトレーラとの連結作業や切り離し作業に時には、トレーラ側の高さを調整してから連結又は切り離し作業が行なわれるが、上述の車高調整機能を利用してトラクタ側の車高を調整を行なうことで連結又は切り離し作業を行なうことができるようになる。
【0004】
ここで、一般的なトラクタとトレーラとの連結作業について図2を用いて説明すると、通常は、トレーラ101に設けられたランディングジャッキ102を用いてトレーラ101の前端を所定の高さに保持しておき、この状態でトラクタ100を後退させカプラ104にピン103を係合する。そして、その後ランディングジャッキ102をトレーラ101に格納してトレーラ101とトラクタ100との連結が終了するのである。なお、上述の所定の高さとは、トレーラ101に設けられた連結部のピン103がカプラ104よりも僅かに高くなるような高さである。
【0005】
これに対して、トラクタ100側がエアスプリング105を有するエアサスペンションをそなえていれば、トラクタ100側で車高調整を行なうことにより、上述のようなトレーラ101の連結作業や切り離し作業を容易に行なうことができるようになる。具体的には、トレーラ101の前端の高さをカプラ104の高さよりも予め十分高めに設定しておき、ピン103の下方にカプラ104が位置するようにトラクタ100を後退させてからトラクタ100の車高を上げてトレーラ101を連結するのである。その後、ランディングジャッキ102をトレーラ101に格納してトラクタ100の車高をもとの高さに戻すことにより、作業が終了する。そして、このような作業を行なうことにより、ランディングジャッキ102を用いたトレーラ101の微妙な高さ調整が不要となり、作業が容易なものとなるのである。
【0006】
ところで、このような車高調整は、安全性を考慮して駐車ブレーキ装置を作動させてから行なうのが好ましい。
一方、駐車ブレーキ装置に着目すると、この駐車ブレーキ装置の作動時には、全ての車輪に制動力を付与して、確実に車両を停止状態に保持できるようにしておきたい。そこで、このような要望に応えるべく、例えば駐車ブレーキ装置を図3に示すように構成することが考えられる。
【0007】
以下、図3に示す駐車ブレーキ装置について簡単に説明すると、図中、1は駐車ブレーキ装置の配管、2はリレーバルブ(R/V)、3はハンドコントロールバルブ(H.C.V.)、3aは駐車ブレーキレバー、4はリアチャンバ(Rチャンバ)、5はフロントチャンバ(Fチャンバ)である。
このうち、リアチャンバ4及びフロントチャンバ5は、それぞれ図2に示す後輪107及び前輪106に作用して制動力を付与しうる手段であって、各チャンバ4,5に設けられたピストン4a,5aが伸長すると制動力が付与され、ピストン4a,5aが縮退すると制動力が解除されるように構成されている。
【0008】
また、ここでは、各チャンバ4,5に作動流体(加圧エア)が供給されると、チャンバ4,5内に設けられたバネの付勢力に抗してピストン4a,5aが縮退するように構成され、また、これとは逆に作動流体の供給が絶たれて各チャンバ4,5の圧力が低下すると、バネの付勢力によりピストン4a,5aが伸長して制動力が付与されるように構成されている。
【0009】
一方、配管1の通路1aの上流側には作動流体供給源(エアタンク)が設けられており、このエアタンクから所定圧力に加圧された作動流体(高圧空気又は加圧エア)が通路1a及び逆止弁1hを介して通路1b,1dに供給されるように構成されている。
また、ハンドコントロールバルブ3は駐車ブレーキレバー3aに接続されており、この駐車ブレーキレバー3aの操作状態に応じてハンドコントロールバルブ3の開閉状態が切り換えられる。
【0010】
そして、駐車ブレーキレバー3aの操作によりハンドコントロールバルブ3が開いて、通路1bと通路1cとが連通状態となると、通路1cを介してリレーバルブ2に加圧エアが供給されるようになっている。
また、通路1cからリレーバルブ2にエアが供給されると、これがパイロット圧として作用して、通路1dと通路1eと通路1fとがいずれも連通状態となるように構成されている。これにより、加圧エア(作動圧)が通路1dから通路1e,1fを介してリア及びフロントのチャンバ4,5にそれぞれ供給され、制動力が解除されるのである。
【0011】
一方、ハンドコントロールバルブ3が閉じると、通路1bと通路1cとが遮断されるとともに通路1c内の空気がハンドコントロールバルブ3を介して大気開放されるようになっている。これにより、リレーバルブ2が閉じて、通路1dと通路1eとが遮断されるとともに通路1dと通路1fとの間も遮断されることになる。さらに、このときには通路1e,1f内に残留した加圧エアはリレーバルブ2を介して大気開放されるようになっている。
【0012】
したがって、ハンドコントロールバルブ3が閉じると、各チャンバ4,5に対する加圧エアの供給が絶たれ、これによりピストン4a,5aが伸長して各車輪に制動力が作用するのである。
また、図中、6はトレーラ側のコントロールバルブ(T.C.V)であって、駐車ブレーキレバー3aの操作に応じて、通路1gから上記コントロールバルブ6への加圧エアの供給状態が切り換えられる。したがって、トレーラ側でもトラクタ側の車輪と同様に制動力の付与及び解除が行なわれる。
【0013】
しかしながら、上述のような駐車ブレーキ装置では、その作動時に常に前輪106及び後輪107の両方に駐車ブレーキの制動力が作用するため、駐車ブレーキを作動させた状態では車高調整を行なうことができないという課題がある。
つまり、サスペンションの作動時(車高調整時)には、アクスル軸(車軸)の中心位置が移動して車両のホイールベースが変化する。一方、前輪106及び後輪107の両方がロックされた状態であると、このホイールベースの変化を吸収することができず、結果的に車高調整を行なうことができなくなるのである。
【0014】
また、上述したようなアクスルの中心位置の軌跡は、サスペンションのリンク機構の配置(ジオメトリ)により幾何学的に決定されるものであって、例えば図2に示すようなトレーリングリーフ式サスペンションでは、リアサスペンション全体がトレーリングリーフ取付け部Aを中心にして揺動しようとするため、特にホイールべースの変化が大きくなる。
【0015】
なお、車高調整時に駐車ブレーキ装置を作動させなければ、車輪が回転することによりホイールベースの変化を吸収することができるが、このような駐車ブレーキ装置が作動していない状態での車高調整は安全性を考慮すると好ましいものではない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、駐車ブレーキを作動させながら安全に車高調整を行なうことができるようにした、駐車ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の駐車ブレーキ装置では、駐車ブレーキ操作手段が操作されるとこの操作状態に連動して駐車制動手段が作動し全車輪に制動力が付与される。一方、上記駐車制動手段により全車輪に制動力が付与された状態下で車高調整が行なわれると、軸荷重検出手段により前輪及び後輪の軸荷重の大小関係が判別され、制御手段では、この軸荷重検出手段からの軸荷重情報に基づいて軸荷重の小さい側の車輪の制動力を解除するように駐車ブレーキ強制解除手段の作動を制御する。これにより、駐車ブレーキ操作手段の操作状態にかかわらず前輪又は後輪の制動力が選択的に解除された状態で車高調整が行なわれる。つまり、静止時の車輪の制動力は、この車輪に作用する軸荷重と車輪に作用する静止摩擦係数との積であり、したがって、各車輪における静止摩擦係数が同じであれば、軸荷重の大きい方の車輪の方が制動力が大きいことになる。そこで、軸荷重の小さい方の制動力を解除することにより、車両の安全性を損なうことなく車高調整を行なうことができるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態としての駐車ブレーキ装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式的な回路図である。
本発明の駐車ブレーキ装置は、エアサスペンション等により車高調整可能な車両に設けられており、特に本実施形態では、トレーラを連結して走行しうるトラクタに適用した場合について説明する。
【0018】
図中、1は駐車ブレーキ装置の配管、2はリア側リレーバルブ(R−R/V)、3は駐車ブレーキ操作手段としてのハンドコントロールバルブ(H.C.V.)、4は駐車制動手段としてのリアチャンバ、5は駐車制動手段としてのフロントチャンバ、13はフロント側リレーバルブ(F−R/V)である。
また、10は駐車ブレーキ強制解除手段であって、駐車ブレーキ作動時であっても前輪側又は後輪側の何れか一方の制動力(駐車ブレーキ力)を選択的に解除すべく設けられたものである。
【0019】
ところで、本実施形態の駐車ブレーキ装置は、図3を用いて説明した駐車ブレーキ装置に対して、上述した駐車ブレーキ強制解除手段10を付加するとともに、リレーバルブをフロント側とリア側とでそれぞれ独立して設けたものであり、これら以外については、図3に示すものと略同様に構成されている。
まず、駐車ブレーキ装置の基本的な構成について説明すると、図1に示すように、配管1の通路1aの上流側には、図示しない作動流体供給源(エアタンク)が設けられている。また、通路1a上には逆止弁1hが介装されており、この逆止弁1hの下流側において通路1aが2つの通路1b,1dに分岐している。これにより、エアタンク内の作動流体(高圧空気又は加圧エア)は、上記逆止弁1hを介して通路1b,1dにそれぞれ流入するようになっている。
【0020】
また、通路1bは、その下流側でさらに通路1b1 とバイパス路1b2 とに分岐しており、このうち通路1b1 は、駐車ブレーキ操作手段としてのハンドコントロールバルブ(H.C.V.)3を介して通路1cに接続されている。また、この通路1cの下流にはダブルチェックバルブ12fが接続されている。また、通路1cからは通路1c1 が分岐しており、この通路1c1 の下流側にもダブルチェックバルブ12rが介装されている。
【0021】
したがって、ハンドコントロールバルブ3を介して流入した加圧エアは、通路1c及び通路1c1 を介してダブルチェックバルブ12f,12rにそれぞれ流入するようになっている。
一方、バイパス路1b2 は、電磁弁14を介して2つのバイパス路1b3 ,1b4 に接続されている。ここで、この電磁弁14は、バイパス路1b2 とバイパス路1b3 とを連通させる第1のモードと、バイパス路1b2 とバイパス路1b4 とを連通させる第2のモードと、バイパス路1b2 をいずれのバイパス路1b3 ,1b4 とも連通させずに各バイパス路1b2 ,1b3 ,1b4 を遮断する第3のモードとを有する3モード式電磁弁として構成されている。
【0022】
そして、このバイパス路1b3 と上述した通路1c1 とがダブルチェックバルブ12rに接続されるとともに、バイパス路1b4 と上述した通路1cとがダブルチェックバルブ12fに接続されている。さらに、各ダブルチェックバルブ12f,12rには、図示するように、それぞれ通路1c2 ,1c3 が接続されている。
【0023】
ここで、ダブルチェックバルブ12rについて簡単に説明すると、ダブルチェックバルブ12rは、通路1b3 と通路1c1 とのうち低圧側の通路を閉塞するとともに、高圧側の通路を開放してこの高圧側の通路と下流側の通路1c3 とを連通接続させるような弁である。また、ダブルチェックバルブ12fも、これと同様に構成されている。
【0024】
したがって、これらのダブルチェックバルブ12f,12rにより、通路1c3 は、バイパス路1b3 と通路1c1 とのうち圧力の高い方のいずれか一方の通路に選択的に接続され、同様に、通路1c2 は、バイパス路1b4 と通路1cとのうち圧力の高い方のいずれか一方の通路に選択的に接続されるようになっているのである。
【0025】
また、通路1c3 の下流側にはリア側リレーバルブ2が設けられ、また、通路1c2 の下流側にはフロント側リレーバルブ13が設けられている。
一方、図1に示すように、通路1dはその下流側で2つの通路1d1 ,1d2 に分岐しており、このうち一方の通路1d1 がリア側リレーバルブ2に接続され、他方の通路1d2 がフロント側のリレーバルブ13に接続されている。
【0026】
ここで、リレーバルブ2は、通路1c3 から加圧エア(パイロット圧)が供給されると、通路1d1 と通路1eとを連通状態とし、また、通路1c3 からのパイロット圧の供給が絶たれると、通路1d1 を遮断するとともに通路1eを大気開放するように構成されている。
また、フロント側リレーバルブ13も、上述したリア側リレーバルブ2と同様に構成されている。すなわち、通路1c2 から加圧エア(パイロット圧)が供給されると、通路1d2 と通路1fとを連通状態とし、また、通路1c2 からのパイロット圧の供給が絶たれると、通路1d2 を遮断するとともに通路1fを大気開放するように構成されている。
【0027】
また、図示するように、通路1d1 は、リア側リレーバルブ2及び通路1eを介してリアのチャンバ4に接続され、通路1d2 は、フロント側リレーバルブ13及び通路1fを介してチャンバ5に接続されている。
したがって、両通路1c3 ,1c2 からのパイロット圧の供給が絶たれて通路1e,1fが大気開放されると、例えばチャンバ4,5内の図示しないスプリングの付勢力によりピストン4a,5aが作動して、駐車ブレーキが作動状態となるのである。
【0028】
一方、両通路1c3 ,1c2 からパイロット圧が供給されて各リレーバルブ2,13が作動すると、通路1d1 と通路1eとが接続するとともに、通路1d2 と通路1fとが接続して、各チャンバ4,5に加圧エアが供給される。これにより、各チャンバ4,5内のスプリングが圧縮されて、駐車ブレーキの作動が解除されるようになっているのである。
【0029】
次に、ハンドコントロールバルブ(H.C.V.)3について説明すると、このハンドコントロールバルブ3は、通路1b1 と通路1c,1c1 とを遮断状態又は連通状態とするオンオフバルブとしての機能と、通路1c,1c1 内に残留したエアを大気開放するリリーフバルブとしての機能とをそなえている。また、ハンドコントロールバルブ3には駐車ブレーキレバー3aが接続されており、このレバー3aの操作に応じてハンドコントロールバルブ3のオンオフが切り換えられるようになっている。
【0030】
例えばドライバが駐車ブレーキを作動させるべく駐車ブレーキレバー3aを操作すると、このレバー3aの動きに連動してハンドコントロールバルブ3がオフ(閉)に切り換えられて、通路1b1 と通路1cとが遮断されるとともに、各通路1c,1c1 内に残留した加圧エアがハンドコントロールバルブ3を介して大気開放されるようになっている。
【0031】
したがって、このような場合(即ち、駐車ブレーキレバー3aの操作により通路1b1 と通路1c,1c1 とが遮断された場合)には、電磁弁14により通路1b3 ,1b4 が大気開放されていれば、リレーバルブ2,13に対してはいずれもパイロット圧が作用しなくなり、通路1e及び通路1fに作動圧が供給されなくなるのである。
【0032】
一方、駐車ブレーキを解除するべくドライバが駐車ブレーキレバー3aを操作した場合には、このレバー3aの動きに連動してハンドコントロールバルブ3がオン(開)に切り換えられ、通路1b1 と通路1c,1c1 とが連通状態となる。
これにより、ダブルチェックバルブ12r,12f及び通路1c3 ,1c2 を介してリレーバルブ2,13にパイロット圧が作用して、通路1d1 ,1d2 と通路1e,1fとがそれぞれ連通状態となり、各チャンバ4,5に作動圧が作用し、駐車ブレーキが解除されるようになっているのである。
【0033】
なお、この場合も駐車ブレーキ強制解除手段10を構成する電磁弁14によりバイパス路1b3 とバイパス路1b4 とが大気開放されている場合について説明したものである。
次に、駐車ブレーキ強制解除手段10について説明すると、この駐車ブレーキ強制解除手段10は、駐車ブレーキレバー3aの操作状態に関わらず、前輪又は後輪の何方か一方の車輪の制動力(駐車ブレーキ力)を選択的に解除しうるものであって、主に、バイパス路(バイパス管路)1b2 ,1b3 ,1b4 と、電磁弁14と、ダブルチェックバルブ(D.C.V.)12f,12rとにより構成されている。
【0034】
このうち、電磁弁(M/V)14は、上述したような3モード式電磁弁であって、作動制御信号が入力されないような通常時においてはバイパス路1b2 を遮断するようなノーマルクローズの電磁弁として構成されている。
また、電磁弁14は制御手段(ECU)15からの作動制御信号に基づいてその作動が制御されるように構成されている。ここで、このECU15には、図1に示すように、車高調整スイッチ16,駐車ブレーキスイッチ17及び圧力センサ20が接続されており、ECU15ではこれらのスイッチ16,17及びセンサ20からの情報に基づいて、電磁弁14への作動制御信号を設定するようになっている。
【0035】
ここで、車高調整スイッチ16は、車室内に設けられたオンオフスイッチであって、ドライバが車高調整を行なう時に操作するスイッチである。また、駐車ブレーキスイッチ17は、駐車ブレーキレバー3aの操作状態に応じてオンオフ信号を発するスイッチ(センサ)であって、ここでは駐車ブレーキを作動させるべく駐車ブレーキレバー3aが操作されると、オン信号を発するように構成されている。
【0036】
また、圧力センサ20は、図示しない車両の後輪側のエアサスペンションのエア圧を検出するセンサであり、このような後輪側のエア圧を検出することにより、トラクタの後輪の軸荷重を検出できるようになっている。なお、一般に、トラクタは、連結状態と単車状態とでは後輪側の軸荷重が大きく異なる。つまり、トラクタはエンジンやキャブ等の重量物が前側に載置されているため、単車状態では、前輪の軸荷重が大きい。これに対して、トレーラとの連結部(カプラ)は、比較的トラクタの後輪の近くに設けられているため(図2参照)、トレーラ連結時には、前輪よりも後輪の方にトレーラの重量が加わり後輪の軸荷重が大きくなる。このため後輪側のエア圧から後輪の軸荷重を検出することでトラクタの前輪及び後輪の軸荷重の大小関係を判別することができるのである。
【0037】
そして、本装置では、駐車ブレーキの作動により全車輪に制動力が付与された状態下において、車高調整スイッチ16からの情報に基づいて車高調整が行なわれていると判定された場合には、ECU15では、圧力センサ20からの検出情報を用いて、前輪及び後輪の軸荷重の大小関係を判断し、軸荷重の小さい側の車輪の制動力(駐車ブレーキによる制動力)を解除するようになっているのである。
【0038】
そして、このように前輪又は後輪のいずれか一方の制動力を解除することにより、車高調整時のホイールベースの変化を許容して、車高調整を速やかに実行できるようになっているのである。
また、このような車高調整時に、軸荷重の小さい側の車輪の制動力を解除することにより、車高調整時の車両の安全性を大幅に向上させることができるのである。つまり、一般に静止時の車輪の制動力(駐車ブレーキ力)Fは、下式で表すことができる。
【0039】
F=μW
ここで、Wは車輪に作用する軸荷重、μは車輪と路面との間の静止摩擦係数である。
したがって、各車輪における静止摩擦係数μが同じであれば、軸荷重Wの大きい方の車輪の方が制動力Fが大きいことになる。
【0040】
そこで、このような車高調整時には、軸荷重が大きい方の車輪については制動力が付与された状態を保持して、軸荷重の小さい方の車輪の制動力を解除するようにしているのである。
なお、車輪側と車体側との間に設けられた駐車ブレーキの制動力をBとすると、車両を停止状態に保持する条件は下式のようになる。
【0041】
B≧F(=μW)
ところで、このような前輪又は後輪の制動力の解除は、駐車ブレーキ強制解除手段10の作動を制御することにより実行されるようになっており、特に、本実施形態では、ECU15の制御信号に基づいて電磁弁14の作動を制御することで、前輪又は後輪の制動力の解除しうるようになっている。
【0042】
例えば、前輪側の制動力を解除する場合には、この電磁弁14を第3のモード(閉弁状態)から第2のモードに切り換えて、バイパス路1b2 とバイパス路1b4 とを連通させるようになっている。この場合、パイロット圧がバイパス路1b2 ,1b4 を通ってダブルチェックバルブ12fに作用することになるが、駐車ブレーキ作動中には、ハンドコントロールバルブ3により通路1b1 と通路1cとが遮断されているため、ダブルチェックバルブ12fには、このバイパス路1b4 からの加圧エアのみが流入することになる。
【0043】
したがって、ダブルチェックバルブ12fの作用により、バイパス路1b4 と通路1c2 とが連通状態となって、リレーバルブ13にパイロット圧が供給され、前輪側の駐車ブレーキ力が解除されるようになっているのである。
また、後輪側の駐車ブレーキ力を解除する場合には、電磁弁14の作動モードを第1のモードに切り換えて、バイパス路1b2 とバイパス路1b3 とを連通状態にするようになっている。この場合にも上述と略同様に、リレーバルブ2にパイロット圧が供給され、後輪側の駐車ブレーキ力が解除されるようになっている。
【0044】
本発明の一実施形態としての駐車ブレーキ装置は、上述のように構成されているので、駐車ブレーキ強制解除手段10は、以下のように作動する。
まず、ECU15では駐車ブレーキスイッチ17からの情報に基づいて、駐車ブレーキが作動している状態か否かが判定される。そして、駐車ブレーキが作動している状態、即ち、全車輪に制動力が作用している状態であると判定され、且つ車高調整スイッチ16からの情報に基づいてECU15で車高調整が開始されたと判定されると、ECU15では圧力センサ20からの情報に基づいて、前輪及び後輪の各軸荷重のうち、どちらの軸荷重が大きいかが推定又は判定される。
【0045】
このような推定又は判定は、まず、圧力センサ20からの検出情報に基づいて、後輪の軸荷重がECU15で算出され、この算出された軸荷重に基づいて前輪側の軸荷重を推定して前軸の荷重と後軸の荷重との大小が比較される。これは、トラクタの場合、トレーラの荷重がトラクタの連結部(カプラ部)一点にのみ作用するため、車両の諸元を基に前軸と後軸との大小の関係を定義することができるので後軸の軸荷重から前軸の軸荷重を推定できるのである。
【0046】
そして、ECU15において、このような推定又は判定が実行されると、ECU15により軸荷重の小さい側の車輪の制動力を解除するように該駐車ブレーキ強制解除手段10の作動が制御される。
例えば、後輪の軸荷重の小さいと判定された場合には、駐車ブレーキ強制解除手段10の電磁弁14を第3のモードから第1のモードに切り換えることで後輪側の駐車ブレーキ力が解除される。
【0047】
なお、駐車ブレーキが作動しているときにはハンドコントロールバルブ3により通路1c1 が大気圧となっているため、バイパス路1b2 とバイパス路1b3 とが連通状態となるとダブルチェックバルブ12rの作用によりバイパス路1b3 と通路1c3 とが連通状態となって、リア側のリレーバルブ2にのみパイロット圧が作用する。これにより、通路1d1 と通路1eとが連通して、リアのチャンバ4にのみ加圧エアが供給され、駐車ブレーキの作動時に後輪側のみ制動力が解除されるのである。
【0048】
そして、車高調整時に駐車ブレーキ強制解除手段10により前輪又は後輪のいずれか一方の制動力を解除することにより、ホイールベースの変化が吸収され、これにより駐車ブレーキが作動した状態での車高調整が許容されるのである。
このように、本発明の駐車ブレーキ装置では、駐車ブレーキを作動させた状態であっても、駐車ブレーキ強制解除手段10を作動させることにより車高調整を行なうことができるようになるという利点がある。特に、本装置をトラクタに適用した場合には、駐車ブレーキを作動させた状態でトラクタの車高調整を行なうことができるため、安全性を確保しながらトラクタとトレーラとの連結作業及び切り離し作業を容易なものとすることができるようになる。
【0049】
また、軸荷重検出手段としての圧力センサ20からの情報に基づいて、軸荷重の小さい方の車輪の制動力を解除するように構成されているため、車両の安全性を一層高めることができる利点がある。つまり、前輪と後輪とのうち軸荷重の大きい方(即ち、制動力の大きい側)については、車高調整時であっても確実に駐車ブレーキが作動することになるため、車高調整時の車両の安全性が一層高まるのである。
【0050】
なお、駐車ブレーキ装置の作動時であって、車高調整を行なわない場合には、一般の駐車ブレーキ装置と同様に全車輪に制動力が作用するので、通常の駐車時の車両の安全性を損なうこともない。
ところで、上述では、単に軸荷重の小さい方の駐車ブレーキ力を解除する場合について説明したが、実際には、トラクタとトレーラとの連結作業や切り離し作業中にトラクタの前後輪の軸荷重の配分が大きく変化することが考えられる。
【0051】
たとえば、トラクタとトレーラとの連結作業においては、連結前には一般的に前輪の軸荷重の方が大きい。したがって、この場合には、後輪の制動力が解除されることになる。これに対して、トレーラの連結後は、トレーラの重量が加わる分だけ後輪の軸荷重が増加して、後輪の軸荷重の方が大きくなる場合が考えられる。
【0052】
このような場合には、圧力センサ20からの情報に基づいて、後輪の軸荷重の方が大きくなったと判定された時点で、電磁弁14の作動モードを切り換えて(この場合には、第3のモードから第2のモードへ切り換える)、前輪側の制動力を解除すると同時に、後輪側に駐車ブレーキ力が作用するように制御してもよい。また、切り放し作業時にも、上述と同様に前輪の軸荷重の方が大きくなったと判定された時点で、電磁弁14の作動モードを切り換えて前輪側に駐車ブレーキ力が作用するように制御してもよい。
【0053】
そして、このような制御を行なうことにより、さらに安全性の高い駐車ブレーキ装置を提供できるようになる。
なお、本発明の駐車ブレーキ装置は上述の各実施形態のものに限定されるものではなく、細部の構成については種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、軸荷重検出手段として圧力センサ20を設けたが、このような圧力センサ20以外にも後輪の軸荷重を検出または推定できるものであれば、他の方法を用いてもよい。また、前輪側にも軸荷重を検出または推定できるセンサを設けて、これら前後輪のセンサからの検出情報を直接比較して、前後輪どちらの軸荷重が大きいかを判定するようにしてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、通路1fを左右輪で独立して2本設けた例を示しているが、この通路1fは、リア側の通路1eと同様に1本の通路を2本に分岐するように構成してもよい。また、これとは逆に、リア側の通路1eを左右毎に独立して設けてもよい。また、駐車ブレーキの作動流体は空気に限定されるものではなく作動油等の液体を用いても良い。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の駐車ブレーキ装置によれば、駐車ブレーキを作動させた状態で車高調整を許容することができ、車両の安全性を損なうことなく車高調整を行なうことができるという利点がある。また、このときに、軸荷重の小さい側の車輪の制動力を解除して、軸荷重の大きい側の車輪の制動力については保持するように構成されているため、車両の安全性が一層高まるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての駐車ブレーキ装置における要部構成を示す模式的な回路図である。
【図2】車高調整機能をそなえたトラクタとトレーラとの連結作業を説明するための図である。
【図3】本発明の創案過程で案出された駐車ブレーキ装置の要部構成を示す模式的な回路図である。
【符号の説明】
3 駐車ブレーキ操作手段又はハンドコントロールバルブ(H.C.V.)
4 駐車制動手段(リア側チャンバ)
5 駐車制動手段(フロント側チャンバ)
10 駐車ブレーキ強制解除手段
14 電磁弁(又は電磁式開閉弁)
15 制御手段(ECU)
16 車高調整スイッチ
17 駐車ブレーキスイッチ
20 軸荷重検出手段(圧力センサ)
Claims (1)
- 車高調整が可能な車両に設けられた駐車ブレーキ装置において、
駐車ブレーキ操作手段の操作状態に連動して全車輪に制動力を付与する駐車制動手段と、
該駐車ブレーキ操作手段の操作状態にかかわらず前輪又は後輪の制動力を選択的に解除しうる駐車ブレーキ強制解除手段と、
該前輪及び該後輪の軸荷重の大小関係を判別する軸荷重検出手段と、
該駐車制動手段により該全車輪に制動力が付与された状態下での該車高調整時に、該軸荷重検出手段からの検出結果に応じて軸荷重の小さい側の車輪の制動力を解除するように該駐車ブレーキ強制解除手段を作動させる制御手段とをそなえている
ことを特徴とする、駐車ブレーキ装置。
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JP33772498A JP3684880B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | 駐車ブレーキ装置 |
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Family Applications (1)
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-
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