JP3684873B2 - 角速度センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ビデオカメラの手振れ検知や、バーチャルリアリティ装置における動作検知や、カーナビゲーションシステムにおける方向検知等に用いられる角速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、民生用の角速度センサとしては、棒状の振動子を所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子等で検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動ジャイロ型の角速度センサが広く使用されている。
【0003】
このような角速度センサにおいて、振動子を駆動する方法としては、他励発振型駆動回路による方法と、自励発振型駆動回路による方法とがある。しかしながら、他励発振型駆動回路による方法は、振動子等の温度特性によって発振周波数と振動子の共振周波数とにずれが生じると急激にコリオリ力の検出感度が低下するという問題があり、実用化に至っていない。
【0004】
そこで、現在は、図5又は図6に示すように、移相発振回路のループに振動子を組み入れた自励発振型駆動回路による角速度センサが一般的になっている。このような角速度センサでは、振動子の共振周波数で自励発振するので、温度特性による感度変化が少なく、広温度範囲において感度の安定した角速度出力を得ることができる。
【0005】
図5に示す従来の角速度センサは、三角柱状の恒弾性振動子100の側面に、電極101a及び圧電体101bからなる第1の圧電素子101と、電極102a及び圧電体102bからなる第2の圧電素子102と、電極103a及び圧電体103bからなる第3の圧電素子103とがそれぞれ取り付けられた三角柱状の振動子104を備えている。例えば、恒弾性振動子100は、恒弾性金属振動子である。
【0006】
また、この従来の角速度センサは、第1の圧電素子101に接続された増幅器105と、増幅器105に接続された移相器106と、第2の圧電素子102及び第3の圧電素子103に接続された差動増幅器107と、差動増幅器107に接続された同期検波器108と、同期検波器108に接続されたローパスフィルタ109とを備えている。この従来の角速度センサにおいて、第2の圧電素子102及び第3の圧電素子103は、自励発振のために振動子104の振動を検出するとともに、振動子104に生じるコリオリ力を検出する。
【0007】
このような三角柱状の振動子104を用いた角速度センサは、現在のところ最も感度が高く、主流となっている。しかしながら、このような角速度センサでは、構造が複雑なために、製造工程における量産効果を出すことが難しいという問題があった。例えば、三角形状に形成されている恒弾性振動子の一つ一つに圧電素子を接着する工程が必要になり、量産効果を出すことができないといった問題がある。また、小型化に伴い支持機構の精度や恒弾性金属振動子への圧電素子の接着精度が要求され、且つその接着による接着層の当該振動子に与える影響が増大するため、小型化による生産効率が悪く、コストアップが著しくなるという問題があった。
【0008】
また、図6に示す従来の角速度センサは、円柱状の圧電セラミック振動子110の側面に6つの電極111,112,113,114,115,116が印刷された振動子117を備えている。ここで、第1乃至第3の電極111,112,113はそれぞれ独立した電極とされ、第4乃至第5の電極114,115,116は共通のグランド電位に接続される。また、この角速度センサは、第1の電極111に接続された増幅器118と、増幅器118に接続された移相器119と、移相器119に接続された加算機120と、第2及び第3の電極112,113に接続された差動増幅器121と、差動増幅器121に接続された同期検波器122と、同期検波器122に接続されたローパスフィルタ123とを備えている。この角速度センサでは、第1の電極111に電圧を印加することにより、振動子117を振動させるとともに、第2及び第3の電極112,113によって、振動子117に生じるコリオリ力を検出する。
【0009】
この従来の角速度センサでは、上述したように電極111,112,113,114,115,116を振動子117に印刷しているために、振動子117に圧電素子を接着する必要がなく、比較的にシンプルな構造となっている。しかしながら、この従来の角速度センサでは、特に小型化を図った場合に、圧電セラミック振動子110の製造、並びに当該圧電セラミック振動子110への電極の印刷を精度良く行うことが難しいという問題があった。
【0010】
すなわち、この従来の角速度センサでは、円柱状の圧電セラミック振動子110を用いているが、三角柱状や四角柱状のものに比べて、円柱状の圧電セラミック振動子110を精度良く製造することは難しい。しかも、この角速度センサでは、曲面上に電極を精度良く印刷することは容易ではない。
【0011】
このように、この角速度センサでは、円柱状の圧電セラミック振動子110を用いるために製造が難しく、量産効果が期待できない構造となっており、たとえ量産したとしても低コスト化を図ることは難しい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、他励発振型駆動回路による方法では、温度特性による感度変化が問題となる。そして、この問題を解決するために、自励発振型駆動回路を採用した角速度センサが提案されているが、これら従来の角速度センサにおいても、上述したように様々な問題が残されている。
【0013】
すなわち、図5に示したような従来の角速度センサでは、恒弾性金属振動子への圧電素子の接着や振動子支持機構などの構造が複雑になってしまう。また、図6に示すような従来の角速度センサでは、円柱状の圧電セラミック振動子を用いるため、振動子110を精度良く製造することは難しく、しかも、曲面上に電極を精度良く印刷することは容易ではない。
【0014】
そこで、本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、より簡単な構成で量産効果が期待でき、角速度センサとして本質的な特性を左右する振動子の寸法精度も比較的容易に満足できる検出感度に優れた角速度センサを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る角速度センサは、板状の圧電体の一方の面に長手方向に第1の圧電素子電極が形成され、上記圧電体の上記一方の面に対向する他方の面の全面に第2の圧電素子電極が形成された圧電素子と、断面形状が略矩形の基体の上記圧電素子の他方の面と対向する接合面に第1の基体素子電極が形成され、上記基体の長手方向の上記接合面と隣り合う端面に第2の基体素子電極が形成され、上記基体の上記接合面との対向面に第3の基体素子電極が形成され、上記第1乃至第3の基体素子電極が一体に形成された基体素子とを備える。上記圧電素子と上記基体素子とは、上記第2の圧電素子電極と上記基体素子の第1の基体素子電極とを接合積層して振動子を構成する。この角速度センサは、角速度の検出を、上記圧電素子の第1の圧電素子電極と上記基体素子の第3の基体素子電極との間に電圧を印加して行う。
【0016】
本発明に係る角速度センサは、圧電素子と基体素子とを積層するようにして接合することで四角柱状の振動子を構成する。基体素子への圧電素子の積層により、圧電素子の第2の圧電素子電極と基体素子の第1の基体素子電極とが電気的に接続される。そして、この角速度センサは、角速度の検出を、上記圧電素子の第1の圧電素子電極と上記基体素子の第3の基体素子電極との間に電圧を印加することにより、圧電素子を駆動して振動子を振動させ、同時にコリオリ力を検出する。
【0017】
そして、本発明に係る角速度センサは、圧電素子と基体素子を張り合わせた構造の四角柱状の振動子を構成していることから、恒弾性金属振動子に圧電素子を接着したり、曲面に電極を印刷するといった工程を要することなく製造される。さらに、振動子は、圧電体の母材とされるウェハ及び基体の母材とされるウェハに電極メッキを施すことにより電極を形成して張り合わせた後、四角柱形状に個々に切り出すだけといった工程により製造可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることはいうまでもない。
【0019】
本発明を適用した角速度センサの一例について、図1乃至図3にその基本構成を示す。この角速度センサは、振動ジャイロとして動作する振動子1を備えている。
【0020】
この角速度センサは、圧電体2aと、この圧電体2aの対向される面に配置されている第1の圧電素子電極を構成する電極(以下、上面電極という。)2b,2c、及び第2の圧電素子電極である電極(以下、下面電極という。)2dとからなる断面略矩形の圧電素子2と、基体3aと、この基体3aの面に一体にされて配置されている第1乃至第3の基体素子電極を構成する各電極3b,3c,3dとからなる断面略矩形の基体素子3とを積層してなる略四角柱状の振動子1を備えている。そして、振動子1は、第2の圧電素子電極となる下面電極2dと基体3aの第1の基体素子電極となる電極3dとが接合されて、積層構造とされている。
【0021】
この角速度センサは、第1の圧電体電極を構成する上面電極2b,2cと、基体素子3の振動子1との接合面と対向する対向面に配置されている第3の基体素子電極となる電極3bとの間に電圧を印加して、圧電素子2により振動子1を振動させるとともに、振動子1に生じるコリオリ力を圧電素子2により角速度を検出する。
【0022】
次に、角速度センサの構成部について詳しく説明する。
【0023】
基体素子3は、基体3aと、電極3b,3c,3dとを備えている。基体素子3は、基体3aの表面上に、一体とされて形成された電極3b,3c,3dが配置されている。
【0024】
基体3aは、断面略矩形の柱状の形状をなしている。この基体3aは、圧電素子2の圧電体2aに用いている圧電材料と同一材料によりなる。例えば、圧電材料として圧電セラミック材料であるPZTが用いられている。
【0025】
電極3dは、基体3aにおいて圧電素子2との接合面に配置されている第1の基体素子電極である。すなわち、電極3dは、圧電素子2と基体素子3とが接合された状態において、圧電素子2の第2の圧電素子電極である下面電極2dと電気的に接続されている。以後、電極3dを接合面電極3dという。
【0026】
電極3cは、基体3aの長手方向の各端面に配置されている第2の基体素子電極である。以後、電極3cを端面電極3cという。
【0027】
電極3bは、基体3aにおいて、接合面電極3dが配置されている面と対向する対向面に配置されている第3の基体素子電極である。以後、電極3bを裏面電極3bという。
【0028】
このように基体3aの各面に配置されている電極3b,3c,3dは、各々隣合う面の電極と一体となっている。すなわち、電極3b,3c,3dは、電気的に一体とされた電極を構成している。例えば、相対向する面に配置されている接合面電極3dと裏面電極3bは、端面電極3cにより電気的に接続されている。すなわち、これにより、接合面電極3dが圧電素子2の下面電極2dと電気的に接続された状態とされていることから、圧電素子2の下面電極2dと基体素子3の電極3b,3c,3dとは、結果的に共通電極として働く。
【0029】
例えば、電極3b,3c,3dは、基体3aに電極メッキを施すことにより、基体3aの表面に一体とされて形成される。
【0030】
圧電素子2は、圧電体2aと、その各面に配置されている電極2b,2c,2dとを備えている。
【0031】
圧電体2aは、圧電材料により断面略矩形の板状の形状をなしている。この圧電材料2は、上述した基体素子3の基体3aと同一材料を用いて形成されており、例えば、圧電セラミック材料であるPZTにより形成されている。通常、分極処理により、この圧電体2aは生成されている。このように圧電体2a及び基体3aに同一材料を用いることにより、例えば、振動子1としての熱的、音響的又は構造的な信頼性及び加工性の向上を図ることができる。
【0032】
上面電極2b,2cは、圧電体2aの一方の面において、この圧電体2aの長手方向に分割された一対の第1の圧電素子電極として構成されている。
【0033】
下面電極2dは、上面電極2b,2cに対向している他方の面に配置されている第2の圧電素子電極である。この下面電極2dは、上述したように、圧電素子2と基体素子3が接合された状態において、基体素子3の接合面電極3dと電気的に接続されている。すなわち、下面電極2dは、接合面電極3dとの電気的接続により、基体素子3の長手方向の端面に配置されている端面電極3cと、さらには接合面電極3dが形成された接合面と対向する対向面の裏面電極3bと電気的に接続される。
【0034】
以上のように振動子1を構成する圧電素子2及び基体素子3が構成されている。次に振動子1の製造工程について図4を用いて説明する。
【0035】
まず、基体素子3の部分に対応して、基体3aの母材となるウェハ(以下、基体ウェハという。)に電極メッキを施し、また、圧電素子2の部分に対応して、圧電体2aの母材となるウェハ(以下、圧電体ウェハという。)に電極メッキを施す。
【0036】
図4(A)に示すように、各ウェハ(圧電ウェハ20、基体ウェハ30)は、例えば、略平板状であって、各ウェハへの電極メッキ処理は、下地としてNiメッキを施した後、電極メッキとして金メッキを施すことにより行う。基体ウェハ30についての塗布は、各ウェハの表面全体について、すなわち全ての面についてなされる。このような電極メッキが、圧電素子2及び基体素子3において各電極を構成するものとなる。
【0037】
具体的には、圧電ウェハ20の厚さは、基体ウェハ30の厚ささより薄く、例えば、圧電ウェハ20の厚さを0.2mm、基体ウェハ30の厚さを0.8mmとしている。
【0038】
また、圧電素子2の分極処理については、厚みを0.2mmの圧電ウェハの状態で、金メッキを施し、120℃恒温槽中で600V、30分の条件で分極している。
【0039】
そして、図4(A)から(B)に示すように、この電極メッキが施された圧電ウェハ20と基体ウェハ30を張り合わせて、積層構造とする。
具体的には、予め金メッキを施した圧電素子2と基体素子3は、幅12mmのウェハの状態で熱硬化性樹脂接着剤で接着する。
【0040】
この積層構造とされたものについて、図4(B)中の矢印A−Aの方向に、四角柱の形状として個々に切り出しを行う。例えば、この切り出しの際に、圧電ウェハ20の電極メッキ面2bc0に対してスリットを入れて、上面電極2b、2cを形成する加工を行う。
【0041】
この個々の切り出しにより、図4(C)に示すように、振動子1ができる。すなわち、上面電極2b,2cが形成された圧電素子2と、端面電極3c及び裏面電極3bが形成された基体素子3とからなり、圧電素子2と基体素子3との接合面において電気的に接続された振動子1ができる。
【0042】
例えば、基体素子3に形成される端面電極3c及び裏面電極3bについていえば、電極メッキした各ウェハを張り合わせ接合し、その後に切り出し加工することのみにより、圧電素子2に電気的に接続された接合面電極3dと一体とされて形成されるといったように、形成が容易になされる。
【0043】
振動子1は、例えば、1.0mm×1.0mmの断面形状、長さが12mmを有した振動子として製造される。そして、振動子1は、圧電素子2の厚さが基体素子3の厚さより薄くなされた構造となる。
【0044】
ここで、圧電体ウェハと基体ウェハは、同一材料とすることにより、加工が容易になる。また、圧電素子2を薄くすることで、分極処理、振動子の低電圧駆動が容易になる。
【0045】
角速度センサは、以上のような構成からなる振動子1を振動させるためとコリオリ力を検出するための回路として、加算器4と、増幅器5と、位相器6と、差動増幅器7と、同期検波器8と、ローパスフィルタ9とを備えている。
【0046】
具体的には、角速度センサは、加算器4と、増幅器5と、位相器6と、圧電素子2の上面電極2b,2cとから、振動子1を振動させる振動駆動部を構成している。また、角速度センサは、差動増幅器7と、加算器4の出力に接続されている同期検波器8と、ローパスフィルタ9と、圧電素子2の上面電極2b,2cとから、振動子1の振動時のコリオリ力を検出する検出部を構成している。
【0047】
圧電素子2から出力された信号の流れに沿って詳しく説明すると、振動駆動部においては、圧電素子2の電極2b,2cの出力(S+,S−)が加算器4に入力され、それらの加算値がこの加算器4により取られる。そして、加算器4からの出力は、増幅器5に入力され、ここで入力信号の増幅が行われる。そして、増幅器5からの出力が、移相器6によりその位相が推移され、上面電極2b,2cに出力される。この振動子駆動部をなす回路は、いわゆる移相発振回路を構成しており、これにより振動子1を自励振動させている。
【0048】
ここで、圧電素子2の分極方向が図3に示すように、圧電素子2と基体素子3とを積層している方向である矢印Z2の方向であることから、振動子1は、圧電素子2は長手方向に伸縮することになり、これにより、振動子1は、振動子1の長手方向と垂直方向である図2に示す矢印Z1の方向に振動する。
【0049】
また、検出部においては、圧電素子2の上面電極2b,2cからの出力(S+,S−)はそれぞれ差動増幅器7に入力され、ここでその差動が取られる。
【0050】
なお、圧電素子2の裏面電極2dは、中点基準電位と接続する。ここで、振動子1は、基体素子3の下面電極3dが中点基準電位Cに接続されることになる。すなわち、振動子1は、圧電素子2の裏面電極2dが基体素子3の接合面電極3bを介して中点基準電位Cに接続されている。
【0051】
そして、角速度センサは、振動子1を振動方向に振動させているときに、振動子1が回転することにより当該振動子1に生じたコリオリ力を、圧電素子2により検出し、それらの差動を差動増幅器7により得ている。そして、差動増幅器7から出力は、同期検波器8に入力され、ここで同期検波が行われる。このとき、同期検波器8には、同期検波を行うために、加算器4からの出力が同期信号として供給される。そして、同期検波器8からの出力が、ローパスフィルタ9を介して、振動子1に生じたコリオリ力を検出することにより得られた角速度信号として出力される。
【0052】
以上のような構成を有することにより、角速度センサは、振動子駆動機能及びその振動を検出する機能を合わせ持っている。これにより、角速度センサは、振動子駆動機能により振動させているときに振動子1が回転することによって生じたコリオリ力の検出機能により角速度を感度良く検出することができる。
【0053】
さらに、上述したように、圧電素子2と基体素子3とが積層される方向において、圧電素子2の厚さを基体素子3の厚さより薄くすることにより、圧電素子の分極処理と振動子1の低電圧駆動を容易にすることができる。
【0054】
また、この角速度センサは、上述したように、圧電素子と基体素子を張り合わせた構造により四角柱振動子として構成されている。よって、角速度センサは、非常にシンプルな構造となり、これにより、恒弾性金属振動子に圧電素子を接着したり、従来のように曲面に電極を印刷するといった工程を要することなく振動子を製造することを可能にする。そして、振動子は、圧電体ウェハや基体ウェハに電極メッキを施すことにより電極を形成して張り合わせた後、個々の四角柱振動子として切り出すだけでといった工程により製造されるので、非常に精度が高く、超小型化が可能な上に量産効果も得やすい構造となる。そして、角速度センサは、圧電素子の接着位置ずれによる振動子のアンバランスなどの特性に与える影響も少なくすることができる。
【0055】
また、上述したように構成された圧電素子2を有した場合、圧電素子2の下面電極2dからの電極の引き出しが必要とされるが、この下面電極2dと共通電極とされる基体素子3の裏面電極3bにより中点基準電位への引き出しが可能になり、圧電素子2と基体素子3とを張り合わせた状態であっても、圧電素子2に電圧を印加することができ、また、角速度を検出するための信号を取り出すことができる。これにより、振動子1のシンプルな構造を可能としている。
【0056】
また、裏面電極3bにより中点基準電極への引き出しが可能になることにより、振動子1の振動動作への影響を少なくして、駆動電圧を印加することが可能になる。
【0057】
また、当然、小型化に伴って技術的な難しさが増し、精度を確保することが困難になると考えられるが、振動子1の形状が四角柱であること、すでにヘッド加工などで確立されている微細加工技術を応用することにより、このような問題はクリアできる。従って、高精度の寸法精度が得られるため、振動子の周波数調整も簡略化することが可能になる。
【0058】
そして、角速度センサは、非常にシンプルな構造を有し、小型化を進めても、精度を損なわず、量産効果も期待でき、コストパフォーマンスが高く、高感度のものとなる。また、角速度センサの低コスト化、小型化、高感度は、ビデオカメラ、バーチャルリアリティ装置等のさらなる小型化・ハイコストパフォーマンスの要求に応えるものとなる。
【0059】
なお、角速度センサは、分極方向を逆にすると回転方向に対する出力の正負が反転するが動作上は問題がない。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係る角速度センサは、圧電素子と基体素子とを積層するようにして接合することで四角柱状の振動子を構成し、基体素子への圧電素子の積層により、圧電素子の第2の圧電素子電極と基体素子の第1の基体素子電極とを電気的に接続し、角速度の検出を、上記圧電素子の第1の圧電素子電極と上記基体素子の第3の基体素子電極との間に電圧を印加することにより、圧電素子を駆動して振動子を振動させ、同時にコリオリ力を検出する。
【0061】
これにより、角速度センサは、非常にシンプルな構造により構成される。よって、角速度センサは、小型化を進めても精度を損なわず量産効果も期待でき、コストパフォーマンスが高く、高感度の角速度センサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した角速度センサの構成を示す正面図である。
【図2】角速度センサの構成を示す斜視図である。
【図3】角速度センサの構成を示す側面図である。
【図4】角速度センサの振動子の製造工程を説明するために用いた図である。
【図5】従来の角速度センサの一例を示す図であり、(a)は当該角速度センサの全体構成を示す図であり、(b)は振動子の部分を示す斜視図であり、(c)は振動子の中央部分における断面を示す断面図である。
【図6】従来の角速度センサの他の例を示す図であり、(a)は当該角速度センサの全体構成を示す図であり、(b)は振動子の部分を示す斜視図であり、(c)は振動子の中央部分における断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1 振動子、2 圧電素子、2a 圧電体、2b 上面電極2c,2d 下面電極、3 基体素子、3a 基体、3b 裏面電極、3c 端面電極、3d 接合面電極
Claims (4)
- 板状の圧電体の一方の面に長手方向に第1の圧電素子電極が形成され、上記圧電体の上記一方の面に対向する他方の面の全面に第2の圧電素子電極が形成された圧電素子と、
断面形状が略矩形の基体の上記圧電素子の他方の面と対向する接合面に第1の基体素子電極が形成され、上記基体の長手方向の上記接合面と隣り合う端面に第2の基体素子電極が形成され、上記基体の上記接合面との対向面に第3の基体素子電極が形成され、上記第1乃至第3の基体素子電極が一体に形成された基体素子とを備え、
上記圧電素子と上記基体素子とは、上記第2の圧電素子電極と上記基体素子の第1の基体素子電極とを接合積層して振動子を構成し、
角速度の検出を、上記圧電素子の第1の圧電素子電極と上記基体素子の第3の基体素子電極との間に電圧を印加して行う角速度センサ。 - 上記基体は、上記圧電体と同一の圧電材料でなる請求項1記載の角速度センサ。
- 上記圧電素子の積層した方向の厚さは、上記基体素子の積層した方向の厚さより薄い請求項1記載の角速度センサ。
- 上記第1の圧電素子電極は、長手方向に分割されている請求項1記載の角速度センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30897398A JP3684873B2 (ja) | 1998-10-29 | 1998-10-29 | 角速度センサ |
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JP30897398A JP3684873B2 (ja) | 1998-10-29 | 1998-10-29 | 角速度センサ |
Publications (2)
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