JP3684736B2 - エアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネル - Google Patents
エアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネル Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルに係り、特に、自動車に装備されるエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、助手席用のエアバッグ装置のエアバッグドア部をインストルメントパネルに一体とした構造の一例が、実開平6−25059号に示されている。
【0003】
図4に示される如く、このエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルでは、インストルメントパネル100がインストルメントパネルインサート102、発泡層104、及び表皮106の三層構造とされており、このうちインストルメントパネルインサート102における助手席側所定部位に開口108が形成されている。この開口108に臨む位置には、図示を省略したが、所定の高荷重作用時にエアバッグ袋体を助手席側へ膨出させるエアバッグ装置が配設されている。
【0004】
インストルメントパネルインサート102の開口108の周縁上部には、ドアインサート110の外周縁部が配設されており、これにより開口108が閉塞されている。また、表皮106におけるドアインサート110の外周縁部と対向する部位の近傍には、切欠溝112が形成されており、発泡層104には切込み114が形成されている。また、切込み114と対向するインストルメントパネルインサート102の部位には、スリット116が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様なエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルでは、成形型内において、表皮106と、インストルメントパネルインサート102及びドアインサート110との間に発泡剤を入れ発泡層104を発泡成形する時に、インストルメントパネルインサート102の開口108の周縁上部と、ドアインサート110の外周縁部との当接部から、発泡剤が漏れることがあり、この発泡剤の漏れを防止するため、インストルメントパネルインサート102の開口108の周縁上部と、ドアインサート110の外周縁部との間にシールテープ等のシール材118を配設しており、作業性が良くないと共に、コスト高になっている。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、シール材無しでも発泡成形時の発泡剤の漏れを防止することができるエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルを得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、所定の高荷重作用時に膨出するエアバッグ袋体の膨出用開口を備えたインストルメントパネルインサートと、
このインストルメントパネルインサートの膨出用開口に配置されたドアインサートと、
これらのインストルメントパネルインサート及びドアインサート上に配置された発泡層と、
この発泡層の表面を覆う表皮と、
を含んで構成されるエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルであって、
前記ドアインサートの外周部下面と前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部に上側に向けて形成された突出部の上面とが当接する第1のシール面と、
この第1のシール面の前記ドアインサートの外周側において、前記ドアインサートの外周部に下側に向けて形成された突出部の下面と前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部上面とが当接する第2のシール面と、
前記ドアインサートにおける第1シール面と当接する部位の内周部下面に形成され、前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合する係合部としてのリブと、
を有し、前記リブは側面視でく字形状とされており、傾斜面となった先端部近傍が、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合していることを特徴とする。
【0008】
従って、成形型内にセットした表皮と、インストルメントパネルインサート及びドアインサートとの間に発泡剤を入れ発泡層を発泡成形する時に、ドアインサートの外周部下面とインストルメントパネルインサートの開口周縁部に上側に向けて形成された突出部の上面とが当接する第1のシール面と、第1のシール面のドアインサートの外周側において、ドアインサートの外周部に下側に向けて形成された突出部の下面とインストルメントパネルインサートの開口周縁部上面とが当接する第2のシール面とによって二重にシールされている。このため、インストルメントパネルインサートとドアインサートとのシール性が良く、例えば、シールテープ等のシール材無しでも発泡成形時の発泡剤の漏れを防止できる。また、ドアインサートにおける第1シール面と当接する部位の内周部下面に形成された係合部としてのリブが、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合しているため、インストルメントパネルを成形型から取り出した時にも、ドアインサートがインストルメントパネルインサートに確実に保持される。なお、エアバッグ袋体展開時には、リブとインストルメントパネルインサートとの係合が解除されて、ドアインサートが展開する。また、リブの傾斜面となった先端部近傍が、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合しているため、先端部近傍の傾斜角度、リブの肉厚等を調整することによって、リブを設けたことによる展開時のエアバッグ袋体への影響及び、ドアインサートの展開性能への影響を低減することができる。また、ドアインサートに形成した突出部により、ドアインサートの外周縁部が補強されると共に、インストルメントパネルインサートに形成した突出部により、開口周縁部が補強されるため、ドアインサートの保持性能が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルの一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0012】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
図3に示される如く、本実施形態のインストルメントパネル10の助手席側には、インストルメントパネル10の内側に配設されたエアバッグ装置12に対向するエアバッグドア部10Aが形成されている。
【0013】
図2に示されるように、インストルメントパネル10は、車両室内側に配置される樹脂製(例えば、PVC〔塩ビ〕、TPO〔オレフィン系熱可塑性エラストマ〕、ウレタン系熱可塑性エラストマ等の軟質樹脂製)の表皮16と、この表皮16と離間して配置されPPG〔複合強化ポリプロピレン〕、ASG〔複合強化アクリルニトリルスチレン〕等によって製作されたインストルメントパネルインサート18と、これらの表皮16とインストルメントパネルインサート18との間に充填された熱可塑性ウレタン等の発泡層20と、によって構成されている。従って、表皮16は比較的低強度であるが、インストルメントパネルインサート18は比較的高強度とされている。
【0014】
上述したインストルメントパネル10のインストルメントパネルインサート18の所定位置には、開口22が形成されている。この開口22の形成位置には、エアバッグ装置12が配設されている。エアバッグ装置12は、略箱体形状のエアバッグケース24と、エアバッグケース24内に固定された略円柱形状のインフレータ26と、このインフレータ26の開口22側に折り畳み状態で配置されたエアバッグ袋体28と、によって構成されている。
【0015】
エアバッグドア部10Aは、前述したインストルメントパネル10の表皮16の一部でもある表皮30と、この表皮30と離間して配置されインストルメントパネルインサート18と同一材質である樹脂製のドアインサート32と、これらの表皮30とドアインサート32との間に充填されインストルメントパネル10の発泡層20の一部でもある発泡層34と、から成っている。
【0016】
エアバッグケース24は略箱体形状とされており、その開口側の端部は互いに離反する方向へ屈曲されてフランジ部24Aとされている。エアバッグケース24は、これらのフランジ部24Aがボルト・ナット等の固定具36によりインストルメントパネルインサート18に固定されることにより、更に図示しないステーが円管状のインストルメントパネルリインフォースといった車両骨格部材に固定されることにより、取り付けられている。この内、車両前方側となるフランジ部24Aについてはエアバッグドア部10Aのドアインサート32と共締めされている。これにより、エアバッグドア部10Aは、この共締め部分近傍がエアバッグドア展開時のヒンジ部38として機能する、所謂片開きタイプのドア部となっている。
【0017】
インフレータ26は略円柱形とされており、その側部には車両急減速状態を感知する図示しない機械着火式のエアバッグセンサが配設されている。また、インフレータ26の内部におけるエアバッグセンサのファイアリングピンの移動軌跡上には、図示しない雷管が配設されている。この雷管の周囲にはエンハンサ(伝火剤)が配設され、更にその外周部にはガス発生剤が収容されている。なお、上述した機械着火式のエアバッグセンサの代わりに電気着火式のエアバッグセンサを用いてもよい。この場合、車両の急減速状態を感知するセンサはインフレータ内に配設されておらず、車両前部両側やコンソールボックスの下部付近等に配設されている。上記構成のインフレータ26が所定の高荷重作用時に作動することにより、エアバッグケース24内に折り畳み状態で収容されているエアバッグ袋体28が膨張するようになっている。
【0018】
図1に示される如く、表皮16と表皮30との境界部には、U字状の溝部42が形成されている。この溝部42の底部は他の部分より薄肉となっており、エアバッグ袋体28の膨張圧で破断する破断部44となっている。なお、本実施形態では、破断部44がエアバッグドア14の全周に形成されているが、ヒンジ部38を除いた部分にのみ形成してもよい。
【0019】
インストルメントパネルインサート18の開口周縁部には、ドアインサート32側(図1の上側)へ向けて突出部46が形成されており、この突出部46の上面が、ドアインサート32の外周縁部下面32Aと当接する第1のシール面46Aとなっている。また、ドアインサート32の第1のシール面46Aの外周部には、インストルメントパネルインサート18側(図1の下側)へ向けて突出部48が形成されており、この突出部48の下面が、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部上面18Aと当接する第2のシール面48Aとなっている。
【0020】
さらに、ドアインサート32には、第1のシール面46Aと当接する部位の内周部下面に、係合部としてのリブ50が複数個形成されており、これらのリブ50はドアインサート32の周方向に沿って所定の間隔で形成されている。これらのリブ50は側面視でく字形状とされており、傾斜面となった先端部50A近傍が、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部に係合している。
【0021】
また、本実施形態では、破断部44の近傍には、ドアインサート32の上面にヒンジ部を除いて設けられたリブ52が隣接配置されており、リブ52の頂壁部52Aと表皮30との間の発泡層34は薄くなっている。このため、リブ52の頂壁部52Aによって、破断部44に、荷重が伝達され易くなっている。
【0022】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、成形型内にセットした表皮16、30と、インストルメントパネルインサート18及びドアインサート32との間に発泡剤を入れ発泡層20、34を発泡成形する時に、ドアインサート32の外周部下面部とインストルメントパネルインサート18の開口周縁部上面部とが、第1のシール面46Aと第2のシール面48Aとによって二重にシールされている。このため、インストルメントパネルインサート18とドアインサート32とのシール性が良く、例えばシールテープ等のシール材無しでも発泡成形時の発泡剤の漏れを防止できる。
【0023】
また、本実施形態ではドアインサート32の外周部下面に形成した係合部としてのリブ50が、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部に係合しているため、インストルメントパネル10を成形型から取り出した時にも、ドアインサート32が、インストルメントパネルインサート18に確実に保持される。
【0024】
また、本実施形態では、ドアインサート32に形成した突出部48により、ドアインサート32の外周縁部が補強されていると共に、インストルメントパネルインサート18に形成した突出部46により、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部が補強されているため、ドアインサート32の保持性能が向上する。
【0025】
また、所定の高荷重作用時、即ち車両急減速時になると、図示しないエアバッグセンサがこれを感知して雷管を発火させる。このため、エンハンサを介してガス発生剤が燃焼し、大量のガスが発生する。従って、エアバッグ袋体28が膨張し、エアバッグドア部10Aはその裏面側から押圧される。
【0026】
このとき、エアバッグ袋体28からの膨出荷重(膨張圧)は、エアバッグドア部10Aのドアインサート32に伝達され、ドアインサート32の外周部下面に形成した係合部としてのリブ50と、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部との係合が解除される。この場合、インストルメントパネルインサート18に形成したた突出部46により、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部が補強されているため、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部に対して、リブ50が容易に変形し、迅速に係合が解除される。
【0027】
また、リブ50の傾斜面となった先端部50A近傍が、インストルメントパネルインサート18の開口周縁部に係合しているため、先端部50A近傍の傾斜角度、リブ50の肉厚等を調整することによって、リブ50を設けたことによる展開時のエアバッグ袋体への影響及び、ドアインサート32の展開性能への影響を低減することができる。
【0028】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、所定の高荷重作用時に膨出するエアバッグ袋体の膨出用開口を備えたインストルメントパネルインサートと、インストルメントパネルインサートの膨出用開口に配置されたドアインサートと、インストルメントパネルインサート及びドアインサート上に配置された発泡層と、発泡層の表面を覆う表皮と、を含んで構成されるエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルであって、ドアインサートの外周部下面とインストルメントパネルインサートの開口周縁部に上側に向けて形成された突出部の上面とが当接する第1のシール面と、この第1のシール面の前記ドアインサートの外周側において、ドアインサートの外周部に下側に向けて形成された突出部の下面とインストルメントパネルインサートの開口周縁部上面とが当接する第2のシール面と、ドアインサートにおける第1シール面と当接する部位の内周部下面に形成され、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合する係合部としてのリブと、を有し、前記リブは側面視でく字形状とされており、傾斜面となった先端部近傍が、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合しているため、シール材無しでも発泡成形時の発泡剤の漏れを防止することができるという優れた効果を有する。また、ドアインサートの保持性能が向上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルの一部を示す拡大側断面図である。
【図2】 図3の2−2線に沿った断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルを示す車両斜め後方から見た斜視図である。
【図4】 従来の実施形態に係るエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルの一部を示す拡大側断面図である。
【符号の説明】
10 インストルメントパネル
10A エアバッグドア部
12 エアバッグ装置
16 表皮
18 インストルメントパネルインサート
20 発泡層
28 エアバッグ袋体
30 表皮
32 ドアインサート
34 発泡層
42 溝部
44 破断部
46 突出部46
46A 第1のシール面
48 突出部
48A 第2のシール面
50 リブ(係合部)
Claims (1)
- 所定の高荷重作用時に膨出するエアバッグ袋体の膨出用開口を備えたインストルメントパネルインサートと、
このインストルメントパネルインサートの膨出用開口に配置されたドアインサートと、
これらのインストルメントパネルインサート及びドアインサート上に配置された発泡層と、
この発泡層の表面を覆う表皮と、
を含んで構成されるエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネルであって、
前記ドアインサートの外周部下面と前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部に上側に向けて形成された突出部の上面とが当接する第1のシール面と、
この第1のシール面の前記ドアインサートの外周側において、前記ドアインサートの外周部に下側に向けて形成された突出部の下面と前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部上面とが当接する第2のシール面と、
前記ドアインサートにおける第1シール面と当接する部位の内周部下面に形成され、前記インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合する係合部としてのリブと、
を有し、前記リブは側面視でく字形状とされており、傾斜面となった先端部近傍が、インストルメントパネルインサートの開口周縁部に係合していることを特徴とするエアバッグドア部を一体に有するインストルメントパネル。
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