JP3684669B2 - 拡声通話装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドセットを有することなく通話対象との通話が可能な拡声通話装置、特に、所定の音声を認識し通話回路と通話回線との接続を行う拡声通話装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、インターホン装置の様な通話装置は、通話回線によって接続された通話対象であるインターホン子器(以下、子器と称する)からの呼出信号を受け、送受話器であるハンドセットを手で取り上げることによって、インターホン通話のための通話回路と通話回線とが接続され通話がなされる。近年、このインターホン装置などにおいて、前記ハンドセットを有することなく子器との通話が可能な拡声通話装置であるハンズフリーインターホン装置が開発されている。このハンズフリーインターホン装置は、図10の構成図に示すように、子器Bから通話回線Tに出力される受話の音声信号を音声として出力する音声出力手段に相当するスピーカ1と、送話の音声が入力されて音声信号を出力する音声入力手段に相当するマイクロホン2と、前記受話の音声信号が入力され前記送話の音声信号に含まれる受話の音声信号の成分を制御するエコーキャンセル回路4を有する通話回路3と、子器Bからの呼出信号を検出し該通話回路に呼出音の音声信号を送出するとともに前記通話回路3と通話回線Tとを接続する回線接続制御手段に相当する制御部5a、電圧検知回路5h、回線接続回路5iとを備えている。
【0003】
エコーキャンセル回路4は、ハンズフリーインターホン装置Aの表面にそれぞれの開口部分が略同一平面に設置されたスピーカ1からマイクロホン2への音声の回り込みよる音響結合によって、子器Bにおける受話音声(ハンズフリーインターホン装置からの送話音声)にエコーあるいはハウリングが発生することを防止するものである。このエコーキャンセル回路4は、子器Bからの音声信号を入力して演算し該音声信号の周波数成分を減ずる適応FIR(Finite Impulse Response)型ディジタルフィルタ回路によって構成されている。
【0004】
このハンズフリーインターホン装置Aは、子器Bに設けられた呼出スイッチS1が来訪者に操作されることによって通話回線Tの2線の所定の線間電圧を変化する呼出信号を電圧検知回路5hによって検出する。そして、呼出音の音声信号が制御部5aから通話回路3に送出し、スピーカ1から出力される音声により居住者に来訪者の来訪が報知される。そして、ハンズフリーインターホン装置Aに設けられた通話スイッチS2が居住者によって操作されて通話回路と通話回線Tとが接続され、エコーキャンセル回路4により通話回路3の受話の音声信号によって送話の音声信号が制御され、エコーあるいはハウリングが防止されて双方向の通話が行われる。なお、通話スイッチS2は、子器Bに設けられた呼出スイッチS1が来訪者に操作されて通話回路3と通話回線Tとが接続され、居住者の意に反して住宅内の音声がマイクロホン2から通話回路3を介して子器Bに伝わるのを防止するために設けられているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のハンズフリーインターホン装置においては、居住者は、ハンドセットを手で持つことなく来訪者と子器を介しての通話が可能であるものの、通話スイッチS2を操作してから通話をしなければならない。従って、居住者は、来訪者との応答のための通話を開始するため、直ちにハンズフリーインターホン装置の設置してある場所に移動しなければならないといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、通話をするためにスイッチ操作を必要としない拡声通話装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の拡声通話装置は、通話対象から通話回線に出力される受話の音声信号を音声として出力する音声出力手段と、送話の音声が入力されて音声信号を出力する音声入力手段と、前記受話の音声信号が入力され前記送話の音声信号に含まれる受話の音声信号の成分を制御するエコーキャンセル回路を有する通話回路と、通話対象からの呼出信号を検出し該通話回路に呼出音の音声信号を送出するとともに通話回路と通話回線とを接続する回線接続制御手段と、を備える拡声通話装置において、
前記音声入力手段から入力される所定の音声を認識する音声認識部と、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る旨の表示を行う表示手段と、前記通話回路と通話回線とを接続し通話可能な状態にあることを表示する第2の表示手段とを設け、
前記回線接続制御手段は、通話対象からの呼出信号を検出すると、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る旨の表示を表示手段に行わせ、
前記音声認識部が前記音声入力手段から入力される所定の音声を認識すると、前記回線接続制御手段が前記通話回路と通話回線とを接続し、前記音声認識部と前記回線接続制御手段とが、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る状態から前記通話回路と通話回線とを接続し通話可能な状態に移行したことを表示手段および第2の表示手段に表示させ、
通話終了の旨の操作入力を検知した前記回線接続制御手段は、通話可能な状態にあることをあらわす表示を通話終了の旨の表示に切り替えるべく第2の表示手段を制御することとしている。
これにより、回線接続制御手段により音声入力手段から入力される所定の音声を認識する音声認識部の出力によって通話回線が接続されるものとなる。
また、回線接続制御手段により通話対象からの呼出信号が検出され、表示手段によって通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声入力をし得ることが表示され報知されるものとなる。
さらに、回線接続制御手段により通話回路と通話回線とを接続したことが第2の表示手段によって表示し報知されるものとなる。
【0008】
また、請求項2記載の拡声通話装置は、請求項1記載の音声認識部は、前記エコーキャンセル回路の出力が入力されることとしている。これにより、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、エコーキャンセル回路によって受話の音声信号成分が制御されて音声認識部により認識されるものとなる。
【0009】
また、請求項3記載の拡声通話装置は、請求項1記載の音声認識部は、前記呼出音の周波数帯域の音声信号の通過を阻止する帯域フィルタを介し音声信号が入力されることとしている。これにより、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、呼出音の周波数帯域の音声の通過を阻止する帯域フィルタによって弁別されて音声認識部により認識されるものとなる。
【0010】
また、請求項4記載の拡声通話装置は、請求項2又は3記載の呼出音の周波数帯域の中心を、前記所定の音声におけるフォルマント周波数以外の周波数とすることとしている。これにより、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、該所定の音声におけるフォルマント周波数以外の周波数である呼出音とともに音声認識部により認識されるものとなる。
【0011】
また、請求項5記載の拡声通話装置は、請求項1乃至4記載の回線接続制御手段は、前記音声入力手段から音声信号が所定時間入力されないことによって前記通話回路と通話回線との接続を開放することとしている。これにより、回線接続制御手段により音声入力手段から音声信号が所定時間入力されないことによって通話回路と通話回線との接続が開放されるものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の拡声通話装置であるハンズフリーインターホン装置の第1の実施の形態を図1乃至図8に基づいて、第2の実施の形態を図9に基づいて、それぞれ説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、ハンズフリーインターホン装置を示す機能ブロック図である。図2は、図1に示すハンズフリーインターホン装置のエコーキャンセル回路の説明図である。図3は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の表示手段の表示のタイムチャートである。図4は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の音声認識部を示す機能ブロック図である。図5は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の音声認識部の比較器における閾値の説明図である。図6は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の音声認識部のノイズモニタの構成図である。図7は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の音声レベル監視部の構成図である。図8は、図1に示すハンズフリーインターホン装置の外観図である。
【0017】
このハンズフリーインターホン装置Aは、通話回線Tによって接続された子器Bとの通話がハンドセットを有することなく可能な拡声通話装置で、居住者の所定の音声を認識し通話回路3と通話回線Tとの通話接続が成されて通話を行うものである。そして、音声出力手段に相当するスピーカ1と、音声入力手段に相当するマイクロホン2と、エコーキャンセル回路4を有する通話回路3と、回線接続制御手段5を構成する制御部5a、電圧検知回路5h、回線接続回路5iと、音声認識部6と、表示手段に相当するLED素子7と、音声レベル監視部8と、通話終了スイッチ9と、を備えて構成されている。
【0018】
スピーカ1は、子器Bから通話回線Tに出力される受話の音声信号を音声として出力するもので、小型スピーカによって構成されている。このスピーカ1は、図8に示すように、後述するマイクロホン2の開口部分と開口部分が大略同一平面となる位置に、ハンズフリーインターホン装置Aの内部に配置される。そして、通話回路3から出力された受話の音声信号が、増幅回路1aによって増幅されて入力され、受話の音声を出力する。
【0019】
マイクロホン2は、送話の音声が入力されて音声信号を出力するもので、それに限定されるものではないが、この実施の形態では小型のコンデンサ型マイクロホンによって構成されている。マイクロホン2は、送話の音声を音声信号に変換して出力し、この音声信号が増幅回路2aによって増幅された後、通話回路3に入力される。
【0020】
通話回路3は、送話及び受話の音声信号を演算処理するもので、通話回線Tに送話及び受話の音声信号を出力及び入力するためにアナログ信号の送話及び受話の音声信号の混合及び分離を行う2線4線変換回路3aと、アナログ信号である受話の音声信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路3bと、ディジタル信号である受話の音声信号をアナログ信号に変換するD/A変換回路3cと、アナログ信号である送話の音声信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路3dと、ディジタル信号である送話の音声信号をアナログ信号に変換するD/A変換回路3eと、エコーキャンセル回路4とを有している。この通話回路3の受話回路側3fには、後述する回線接続制御手段5によって子器Bからの呼出信号が検出されて出力される呼出音が送出され重畳される。この通話回路3によって、アナログ信号である送話及び受話の音声信号がディジタル信号に変換され、エコーキャンセル回路4によってディジタル演算処理された後アナログ信号に変換されてそれぞれ出力される。
【0021】
エコーキャンセル回路4は、受話の音声信号のディジタル信号入力によってディジタル信号の送話の音声信号に含まれる受話の音声信号成分を制御するもので、それに限定されるものではないが、この実施の形態では従来のものと同様、図2に示す内部回路を持っている適応FIR型ディジタルフィルタICによって構成されている。この適応FIR型ディジタルフィルタICは、所定の数の遅延器4aと、異なるフィルタ係数h(m、n)を持っている所定の数の乗算器4bと、加算器4cとを有して構成されている。このエコーキャンセル回路4は、加算器4cの出力によって乗算器4bのフィルタ係数が適宜更新され、スピーカ1とマイクロホン2との音響結合によって送話の音声信号に含まれる受話の音声信号成分を効果的に除去する。そして、子器Bにおける受話音声(ハンズフリーインターホン装置からの送話音声)にエコーあるいはハウリングが発生することを防止する。
【0022】
回線接続制御手段5は、子器Bからの呼出信号を検出して通話回路3に呼出音の音声信号を送出するとともに通話回路3と通話回線Tとを接続するもので、制御部5aと、電圧検知回路5hと、回線接続回路5iとを有して構成されている。制御部5aは、電圧検知回路5h、後述する音声認識部6及び通話終了スイッチ9からの出力信号を入力し、呼出音出力5e、回線接続出力5f、表示出力5gを出力するもので、例えばワンチップマイクロコンピュータによって構成されている。呼出音出力5eは、ワンチップマイクロコンピュータに内蔵されている呼出音の音声信号を出力するもので、所定の周波数の組み合わせによって例えば「ピン、ポン」といった電子音信号を出力する。この、「ピン、ポン」のそれぞれの音は、周波数帯域の中心を、後述する音声認識部6によって認識される所定の音声である「はい」という音声におけるフォルマント周波数以外の周波数としている。
【0023】
電圧検知回路5hは、子器Bからの呼出信号を検出するもので、通話回線Tの線間電圧の変化を検知して制御部5aの電圧検知回路5hからの出力信号を入力する子器着信入力5bへ出力する。通話回線Tの線間電圧は、子器Bの呼出スイッチS1が操作されることによって通常1.5Vの電圧が0.3Vに変化し、子器Bからの呼出信号として電圧検知回路5hによって検知される。
【0024】
回線接続回路5iは、通話回路3と通話回線Tとを接続するもので、それに限定されるものではないが、この実施の形態ではリレーによって構成される。そして、制御部5aの回線接続出力5fと後述する音声レベル監視部8とによって制御される。
【0025】
音声認識部6は、マイクロホン2から入力される所定の音声を認識することによって通話回線を接続するための信号を出力するものである。この音声認識部6は、ディジタルフィルタ6a、6b、6cと、比較器6d、6e、6fと、ノイズモニタ6gと、AND回路6hとを有して構成され、前記エコーキャンセル回路4の出力が入力されるよう接続されている。
【0026】
ディジタルフィルタ6a、6b、6cは、ディジタル信号である音声信号を所定の周波数帯域により弁別するためのもので、異なる帯域特性を持って構成される。そして、マイクロホン2から出力されたディジタル信号の送話の音声信号がエコーキャンセル回路4の出力として入力される。このディジタルフィルタ6a、6b、6cは、通過する周波数帯域の中心周波数を、それに限定されるものではないが、この実施の形態では認識する「はい」という音声におけるフォルマント周波数としている。フォルマント周波数は、所定の音声波形のスペクトルのエネルギーの集中部分の周波数で、この実施の形態では、例えば応答のための「はい」という音声を認識するため、第1フォルマント周波数f1を250Hz、第2フォルマント周波数f2を800Hz、第3フォルマント周波数f3を1400Hzとしている。そして、中心周波数f1が250Hzのディジタルフィルタ6aの通過周波数帯域W1を200〜300Hz、中心周波数f2が800Hzのディジタルフィルタ6bの通過周波数帯域W2を700〜900Hz、中心周波数f3が1400Hzのディジタルフィルタ6cの通過周波数帯域W1を1200〜1600Hzとしている。
【0027】
比較器6d、6e、6fは、ディジタルフィルタ6a、6b、6cからのそれぞれの出力レベルを所定の閾値と比較するもので、3つのディジタルフィルタ6a、6b、6cの出力端子にそれぞれ接続される。そして、所定の閾値Va、Vb、Vcを有している。この比較器6d、6e、6fのそれぞれの閾値Va、Vb、Vcは、図5に示すように、入力側のディジタルフィルタの周波数帯域の高いものの閾値を入力側の帯域フィルタ2の周波数帯域の低いものの閾値より小さくなるよう、Va>Vb>Vcの条件によって、例えば「はい」という音声を認識しうるようそれぞれ設定されている。また、この閾値Va、Vb、Vcは、後述するノイズモニタ6gの出力によって変化する。
【0028】
ノイズモニタ6gは、マイクロホン2から出力される送話の音声信号において認識対象の音声以外の背景雑音に基づき前記閾値Va、Vb、Vcを変化するもので、音声信号の信号スペクトルを演算するスペクトル演算部6iと、該スペクトル演算部6iのスペクトル出力が所定の時間に所定の閾値を越える回数を計数する計数部6jと、計数部6jの計数結果によって閾値をそれぞれ制御する閾値制御部6kとを有する。このノイズモニタ6gによって、マイクロホン2から出力される音声信号の信号スペクトルを演算し、所定の周波数帯域のスペクトルの所定の閾値を越える回数が多い場合は背景雑音があると判定して前記閾値Va、Vb、Vcを変化する。
【0029】
AND回路6hは、比較器6d、6e、6fからの出力を演算するもので、このものにおいては3つの入力の積算の論理演算を行う。このAND回路6hの出力は、比較器6d、6e、6fの出力が全てオンのときのみにオンが出力される。
【0030】
LED素子7は、子器Bからの呼出信号を検出し通話回路3と通話回線Tとを接続するための所定の音声入力をし得ることの表示と、通話回路3と通話回線Tとを接続したことを表示する第2の表示とを同一のもので実現する表示手段で、発光色の異なる2つの発光チップである赤色チップ7aと緑色チップ7bとを1つの透明成形体に持っている2色LED素子によって構成される。この2色LED素子は、図1に示すように、2つの発光チップにおける2つのアノード端子と、2つの発光チップのカソード端子が接続された1つのカソード端子を持って形成されている。そして、緑色の発光チップ7bのアノード端子には制御部5aにおける表示出力5gが、赤色の発光チップ7aのアノード端子には音声認識部6によって制御されるフリップフロップ回路7cからの出力が、カソード端子には回路のグランドレベルがそれぞれ接続されている。このLED素子7は、図3のタイムチャートに示すように、子器Bの呼出スイッチS1が操作されて赤色の発光チップが発光し、マイクロホン2から入力されるである「はい」という音声が音声認識部8によって認識されて赤色の発光チップが発光を停止するとともに緑色の発光チップが発光し、後述する通話終了スイッチ9が操作されて緑色の発光チップが発光を停止する。
【0031】
音声レベル監視部8は、マイクロホン2から送話の音声信号が所定時間入力されないことによって通話回路3と通話回線Tとの接続を開放するためのもので、ディジタル信号である送話の音声信号を入力し所定の小さい値の閾値と比較する比較器8aと、比較器8aの出力が所定の時間に所定の閾値を越える回数を計数しその回数が所定回数以下のときに出力を行う計数部8bとを有する。この音声レベル監視部8は、計数する時間を例えば1分として、子器の呼出スイッチS1が操作され、前記の音声認識部の誤動作によって居住者がいない場合に通話回路3が通話回線Tと接続されたのを自動的に開放する。
【0032】
通話終了スイッチ9は、ハンズフリーインターホン装置による通話が終了したときに操作することによって、通話回路3と通話回線Tとの接続を開放するものである。
【0033】
次に、以上説明したハンズフリーインターホン装置Aによって子器Bと通話をするときの動作について説明する。
【0034】
まず、来訪者が図1に示す子器Bの呼出スイッチS1を操作すると通話回線Tの線間電圧が変化し、この電圧変化が電圧検知回路5hによって検知され、検知信号が制御部5aの電圧検知入力5bに入力される。そして、制御部5aの呼出音出力5eから呼出音の音声信号が通話回路3の受話回路側3fに送出され、スピーカ1から呼出音が発せられる。すると、居住者は、該呼出音を耳で確認するとともにLED素子7が赤色に発光したのを目で再度確認し、マイクロホン2に向かって「はい」と音声を入力する。この音声は、マイクロホン2によって音声信号に変換された後A/D変換回路3dによりディジタル信号に変換され、音声認識部6により認識されることによって制御部5aの音声認識入力5cに出力信号が入力される。そして、制御部5aの回線接続出力5fから回線接続回路5iに接続制御のための出力信号が送出されるのとともにLED素子7が緑色に変化して発光したのを目で確認し、マイクロホン2に向かって通話を開始する。
【0035】
この場合、居住者が呼出音を耳にて確認後直ちに「はい」と音声を入力することが想定され、音声とスピーカ1からマイクロホン2に回り込んだ呼出音とが同時に音声認識部6に入力されて音声認識部6の音声の認識性能が低下することが懸念される。しかるに、音声認識部6に入力される音声信号は、通話回路3のエコーキャンセル回路4によって呼出音の音声信号成分が除去され、「はい」という音声のみとなって良好に認識される。そして、通話が終了したときに、居住者が通話終了スイッチ9を操作することによって、通話回路3と通話回線Tとの接続が開放される。
【0036】
以上説明した実施の形態のハンズフリーインターホン装置Aによると、制御部5a、回線接続回路5iにより、マイクロホン2から入力される所定の音声を認識する音声認識部6の出力によって通話回線Tが接続されるものとなるので、通話をするためにスイッチ操作を必要としないこととなる。従って、居住者は、通話を開始するためにハンズフリーインターホン装置の設置してある場所に直ちに移動しなくても良い。また、マイクロホン2から入力される所定の音声の音声信号が、エコーキャンセル回路4によっての受話の音声信号成分と同じく呼出音が制御されて音声認識部6により認識されるものとなるので、呼出音の鳴動中に所定の音声である「はい」という音声が発せられても音声の認識性能の低下が無い。また、マイクロホン2から入力される所定の音声である「はい」という音声の音声信号が、「はい」という音声におけるフォルマント周波数以外の周波数である呼出音とともに音声認識部6により認識されるものとなるので、呼出音の鳴動中に所定の音声である「はい」という音声の認識性能が向上する。また、回線接続回路5iによりマイクロホン2から音声信号が所定時間入力されないことが音声レベル監視部8によって通話回路3と通話回線Tとの接続が開放されるものとなるので、音声認識部6の誤動作によって通話回路3と通話回線Tとが接続されても自動的に開放される。また、電圧検知回路5hにより子器Bからの呼出信号が検出され、LED素子7によって通話回路3と通話回線Tとを接続するための所定の音声入力をし得ることが表示され報知されるものとなるので、目視によっても来訪者が子器Bの呼出スイッチS1を操作したことが確認され、確実に応対ができる。また、制御部5aにより通話回路3と通話回線Tとを接続したことをLED素子7によって表示し報知されるものとなるので、「はい」という音声が認識されたことが容易に確認できる。また、通話回路3と通話回線Tとを接続したことを表示するLED素子を、所定の音声入力をし得ることを表示するLED素子と同一のLED素子7としているので、通話回路3と通話回線Tとが接続されて通話可能となったことの表示が見落とされることなく確認される。
【0037】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態の拡声通話装置であるハンズフリーインターホン装置の要部である音声認識部の接続を示す説明図である。
【0038】
このハンズフリーインターホン装置は、第1の実施の形態のものの音声認識部6とは接続形態が異なるとともに、呼出音の周波数帯域の音声の通過を阻止する帯域フィルタを介し音声信号が入力されることとしたもので、他の部分は同一のものによって構成される。
【0039】
このものの音声認識部6は、マイクロホン2から出力される送話の音声信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路3dの出力がトーンフィルタ10を介して入力されるよう接続されている。
【0040】
トーンフィルタ10は、前記呼出音の周波数帯域のディジタル信号の通過を阻止する帯域特性を有するディジタルフィルタである。このトーンフィルタ10によって、居住者が呼出音を確認後直ちに「はい」と音声を入力した場合において、音声認識部6に入力される音声信号から呼出音の周波数成分が除去される。なお、トーンフィルタ10は、ディジタルフィルタによる構成に限定するものでなく、マイクロホン2から出力される送話の音声信号をアナログ信号のまま入力し、アナログ信号用フィルタ回路によって構成し、音声認識部のそれぞれの回路部分をアナログ回路によって構成してもよい。
【0041】
以上説明した実施の形態のハンズフリーインターホン装置によると、マイクロホン2から入力される所定の音声の音声信号が、呼出音の周波数帯域の音声の通過を阻止するトーンフィルタ10によって弁別されて音声認識部6により認識されるものとなるので、呼出音の鳴動中に所定の音声が発せられても音声の認識性能の低下が無い。
【0042】
なお、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態の説明において、拡声通話装置の例としてインターホン装置としてのハンズフリーインターホン装置を挙げて説明したが、本発明はそのものに限定するものでなく例えば電話装置であっても良い。また、LED素子7による表示手段を有するものとして説明したが、本発明は、そのものに限定するものではなく、表示手段の無いものであっても良い。また、LED素子7を、2色の発光チップを有するものとして通話回路と通話回線とを接続したことを表示するLED素子を、所定の音声入力をし得ることを表示するLED素子と同一のLED素子として説明したが、本発明は、そのものに限定するものではなく、例えば、表示方法を点滅と点灯によって区別するものとしても良い。また、呼出音の周波数帯域の中心は、認識しようとする所定の音声におけるフォルマント周波数以外の周波数のみに限定するものでなく、フォルマント周波数のものであっても良い。また、回線接続制御手段は、音声入力手段から音声信号が所定時間入力されないことによって通話回路と通話回線との接続を開放するもののみに限定するものでない。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の拡声通話装置は、回線接続制御手段により音声入力手段から入力される所定の音声を認識する音声認識部の出力によって通話回線が接続されるものとなるので、通話をするためにスイッチ操作を必要としないこととなる。従って、居住者は、通話を開始するために拡声通話装置の設置してある場所に直ちに移動しなくても良い。また、回線接続制御手段により通話対象からの呼出信号が検出され、表示手段によって通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声入力をし得ることが表示され報知されるものとなるので、目視によっても来訪者が通話対象の呼出スイッチを操作したことが確認され、確実に応対ができる。さらに、回線接続制御手段により通話回路と通話回線とを接続したことが第2の表示手段によって表示し報知されるものとなるので、音声が認識されたことが容易に確認できる。
【0044】
また、請求項2記載の拡声通話装置は、請求項1記載のものの効果に加え、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、エコーキャンセル回路によって受話の音声信号成分が制御されて音声認識部により認識されるものとなるので、呼出音の鳴動中に所定の音声が発せられても音声の認識性能の低下が無い。
【0045】
また、請求項3記載の拡声通話装置は、請求項1記載のものの効果に加え、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、呼出音の周波数帯域の音声の通過を阻止する帯域フィルタによって弁別されて音声認識部により認識されるものとなるので、請求項2記載のものと同じく、呼出音の鳴動中に所定の音声が発せられても音声の認識性能の低下が無い。
【0046】
また、請求項4記載の拡声通話装置は、請求項2又は3記載のものの効果に加え、音声入力手段から入力される所定の音声の音声信号が、該所定の音声におけるフォルマント周波数以外の周波数である呼出音とともに音声認識部により認識されるものとなるので、呼出音の鳴動中に所定の音声である「はい」という音声の認識性能が向上する。
【0047】
また、請求項5記載の拡声通話装置は、請求項1乃至4記載のものの効果に加え、回線接続制御手段により音声入力手段から音声信号が所定時間入力されないことによって通話回路と通話回線との接続が開放されるものとなるので、音声認識部の誤動作によって通話回路と通話回線とが接続されても自動的に開放される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のハンズフリーインターホン装置を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置のエコーキャンセル回路の説明図である。
【図3】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の表示手段の表示のタイムチャートである。
【図4】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の音声認識部を示す機能ブロック図である。
【図5】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の音声認識部の比較器における閾値の説明図である。
【図6】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の音声認識部のノイズモニタの構成図である。
【図7】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の音声レベル監視部の構成図である。
【図8】図1に示す、ハンズフリーインターホン装置の外観図である。
【図9】第2の実施の形態のハンズフリーインターホン装置の要部である音声認識部の接続を示す説明図である。
【図10】従来例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
A ハンズフリーインターホン装置(拡声通話装置)
B インターホン子器(通話対象)
T 通話回線
1 スピーカ(音声出力手段)
2 マイクロホン(音声入力手段)
3 通話回路
4 エコーキャンセル回路
5 回線接続制御手段
6 音声認識部
7 LED素子(表示手段)
10 トーンフィルタ(帯域フィルタ)

Claims (5)

  1. 通話対象から通話回線に出力される受話の音声信号を音声として出力する音声出力手段と、送話の音声が入力されて音声信号を出力する音声入力手段と、前記受話の音声信号が入力され前記送話の音声信号に含まれる受話の音声信号の成分を制御するエコーキャンセル回路を有する通話回路と、通話対象からの呼出信号を検出し該通話回路に呼出音の音声信号を送出するとともに通話回路と通話回線とを接続する回線接続制御手段と、を備える拡声通話装置において、
    前記音声入力手段から入力される所定の音声を認識する音声認識部と、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る旨の表示を行う表示手段と、前記通話回路と通話回線とを接続し通話可能な状態にあることを表示する第2の表示手段とを設け、
    前記回線接続制御手段は、通話対象からの呼出信号を検出すると、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る旨の表示を表示手段に行わせ、
    前記音声認識部が前記音声入力手段から入力される所定の音声を認識すると、前記回線接続制御手段が前記通話回路と通話回線とを接続し、前記音声認識部と前記回線接続制御手段とが、前記通話回路と通話回線とを接続するための所定の音声を入力し得る状態から前記通話回路と通話回線とを接続し通話可能な状態に移行したことを表示手段および第2の表示手段に表示させ、
    通話終了の旨の操作入力を検知した前記回線接続制御手段は、通話可能な状態にあることをあらわす表示を通話終了の旨の表示に切り替えるべく第2の表示手段を制御することを特徴とする拡声通話装置。
  2. 前記音声認識部は、前記エコーキャンセル回路の出力が入力されることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  3. 前記音声認識部は、前記呼出音の周波数帯域の音声信号の通過を阻止する帯域フィルタを介し音声信号が入力されることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  4. 前記呼出音の周波数帯域の中心を、前記所定の音声におけるフォルマント周波数以外の周波数とすることを特徴とする請求項2又は3記載の拡声通話装置。
  5. 前記回線接続制御手段は、前記音声入力手段から音声信号が所定時間入力されないことによって前記通話回路と通話回線との接続を開放することを特徴とする請求項1乃至4記載の拡声通話装置。
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