JP4483134B2 - 拡声通話システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸建ての住宅やマンション等の集合住宅に設置されて来訪者との間でハンズフリー通話が行えるハンズフリーインターホンシステムのような拡声通話システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、戸建ての住宅やマンション等の集合住宅において住戸内に設置される屋内通話端末(親機)と、住戸外の玄関先などに設置される屋外通話端末(ドアホン子器)との間で拡声通話(ハンズフリー通話)を可能としたハンズフリーインターホンシステムが提供されている。また近年、マンション等の集合住宅では、共同玄関に設置されるロビーインターホンや各住戸の玄関戸外に設置されるドアホン子器のような屋外通話端末と、各住戸内に設置される住宅情報盤のような屋内通話端末との間で拡声通話を行う拡声通話システムも普及している。図10は従来の拡声通話システムの一例を概略的に示すシステム構成図である。
【0003】
この拡声通話システムは、共同玄関に設置されるロビーインターホン102と、管理人室等に設けられる警報監視盤103と、各住戸に設置される住宅情報盤100…と、各住戸の玄関戸外に設置されるドアホン子器101…とを備える。ロビーインターホン102と警報監視盤103との間、警報監視盤103と住宅情報盤100…の各々との間は信号線を介して接続されており、ロビーインターホン102、警報監視盤103、及び住宅情報盤100……の各々との間で信号の伝送が可能となっている。
【0004】
また、各住戸の玄関戸外に設けられる各ドアホン子器101…は、対応する住戸内の各住宅情報盤100…と信号線を介して接続されている。ロビーインターホン102は、テンキー等の外部入力手段102aや、マイク102bや、スピーカ102cや、呼出ボタン102d等を備える。
【0005】
そして、来訪者が、ロビーインターホン102に設けられた外部入力手段102aから、訪問先の住戸の住戸番号を入力し、呼出釦102dを押操作すると、入力された住戸番号の住戸内に設置されている住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、当該住戸の在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、ロビーインターホン102のマイク102bやスピーカ102cと、住宅情報盤100…が具備するマイクやスピーカとにより、来訪者と在宅者とが通話できるようになっている。
【0006】
また、警報監視盤103は、テンキー等の外部入力手段103aや、ハンドセット103bや、警報発令手段(図示せず)や、各住戸に設けられた火災感知器等の各種セキュリティセンサ(図示せず)の状態を監視する監視手段(図示せず)等を備える。そして、管理人等が警報監視盤103に設けられた外部入力手段103aから、何れかの住宅番号を入力すると、この住戸番号の住戸内に設置された住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、当該住戸の在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、警報監視盤103のハンドセット103bと、住宅情報盤100…が具備するマイクやスピーカとにより、管理人等と在宅者とが通話できるようになっている。
【0007】
また、各住宅情報盤100…は、マイク並びにスピーカ、警報釦等を備えている。そして、各住宅情報盤100…に設けられたテンキー等の外部入力手段(図示せず)から、例えば、警報監視盤103の住戸番号を入力すると、警報監視盤103から呼出音が発せられ、管理人等が呼出音に応答して警報監視盤103のハンドセット103bを取った場合には、住宅情報盤100…のマイクならびにスピーカと、警報監視盤103のハンドセット103bとにより、在宅者と管理人等とが通話できるようになっている。
【0008】
また、ドアホン子器101は、呼出釦101aや、マイク101bや、スピーカ101c等を備える。そして、来訪者が、ドアホン子器101の呼出釦101aを押操作した場合には、その住戸内の住宅情報盤100…から呼出音が発せられ、在宅者が呼出音に応答して住宅情報盤100…の応答釦を押操作した場合には、ドアホン子器101のマイク101bならびにスピーカ101cと、住宅情報盤100…のマイク並びにスピーカとにより、来訪者と在宅者とが通話できるようになっている。
【0009】
ところで、住宅情報盤100では住戸内に設けられた1乃至複数の火災感知器の発報を監視しており、何れかの火災感知器の発報を検出したときには、警報音や予め記憶している音声メッセージ(警報メッセージ)を出力するなどして最初に住戸内の在宅者に火災感知器が作動したことを報知した後、信号線を介して警報監視盤103に対して火災感知器が作動したことを示す信号(火災感知器作動信号)を出力する。
【0010】
また、住宅情報盤100は、火災感知器作動信号を出力した後、在宅者が所定の火災確定操作を行ったとき、あるいは火災感知器作動信号を出力した後、所定時間内に在宅者が所定の復旧操作を行わなかったときには、警報監視盤103に信号線を介して火災確定信号を出力する。この場合、火災の発生した住戸では、予めそれぞれの住宅情報盤100に記憶させた音声メッセージを出力して警報が行われる。
【0011】
一方、警報監視盤103は、いずれかの住戸から信号線を介して火災感知器作動信号を受信したときには、火災感知器作動信号に付加されたアドレスを識別して当該信号を出力した住戸を特定し、火災感知器作動信号を出力した住宅情報盤100が設置された住戸番号を表示部に表示し、予告警報を同時に出力することによって管理人等にその旨を知らせる。
【0012】
また、住宅情報盤100が更に火災確定信号を出力すると、警報監視盤103では信号線を通じてこの火災確定信号を受信するので、火災確定信号を出力した住宅情報盤100の設置された近隣住戸の住宅情報盤100を指定して、信号線を通じて警報制御信号を出力し、近隣住戸(火災確定信号を出力した住宅情報盤100が設置された住戸と同一階、あるいは、直上階の住戸)に設置された住宅情報盤100からは、例えば、「火事です。火事です。火災が発生しました。安全を確認の上避難して下さい。」といった、音声メッセージを住宅情報盤100のスピーカを通じて出力させることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来ではハンズフリーの同時通話を実現するためのエコーキャンセラや音声スイッチなど通話処理回路、さらに警報音や警報メッセージなどの特殊音を生成する音声生成回路がそれぞれ別個の集積回路(IC)として構成され、これら複数の集積回路が組み合わせて使用されていたため、部品点数が多くなり、製造コストが高くなるという問題を有していた。
【0014】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、部品点数を減少させて製造コストの削減が図れる拡声通話システムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸内に設置される屋内通話端末と、マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸外に設置される1乃至複数の屋外通話端末とを通信路で接続して構成され、少なくとも1つの屋外通話端末は通話者を撮像する撮像カメラを具備するとともに撮像カメラで撮像した映像信号を通信路を介して屋内通話端末に伝送し、屋内通話端末は通信路を介して伝送された映像信号を信号処理して表示手段に映像を表示させる映像信号処理手段並びに表示手段を具備するとともに、住戸内に設置され火災やガス漏れのような異常を検出する1乃至複数のセンサの出力を監視し、何れかのセンサで異常が検出されると検出された異常の内容に応じた警報メッセージや警報音をスピーカから出力し且つ通信路を介して屋外通話端末に伝送して屋外通話端末のスピーカらから出力させてなる拡声通話システムにおいて、屋内通話端末は、各屋外通話端末との間で通信路を介した双方向の同時通話を実現するための処理を行う同時通話処理ブロックと、屋外通話端末からの呼出を受けてスピーカから出力される呼出音、呼出をした屋外通話端末に対して通信路を介して伝送されるバックトーン、並びに警報メッセージや警報音を生成する音声生成ブロックとが単一のプロセッサで構成された音声通話処理回路を具備し、同時通話処理ブロックは、屋内通話端末が具備するマイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する音響エコーキャンセラと、屋外通話端末における音響結合又は通信路を介した信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する回線エコーキャンセラと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの間に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経路により形成される閉ループの一巡利得を低減してハウリングを抑制する音声スイッチと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラに挟まれた送話信号並びに受話信号の信号経路上に各々設けられる利得制御機能付増幅器とを有し、音声スイッチは、送話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを具備し、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とからなり、総損失量算出部は、各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、屋外通話端末との通話開始から音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作し、音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に他の屋外通話端末から呼出がされた場合に通話を中断させずに生成した呼出音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させるとともに呼出側の屋外通話端末には生成したバックトーンを通信路を介して伝送させてなり、通話中の呼出音重畳時に呼出音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるとともに、総損失量算出部には更新モードの動作停止直前の算出値を保持させる通話処理手段を音声通話処理回路に設けたことを特徴とし、単一のプロセッサで構成された音声通話処理回路にて同時通話処理並びに音声生成処理を行うため、複数の集積回路を組み合わせて各処理を行っていた従来例に比較して部品点数を減少させて製造コストの削減が図れる。また、通話開始直後の音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が充分に大きい初期値に固定されるために不快なエコーやハウリングの発生を抑制して安定した半二重通話が実現でき、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束した状態においては、更新モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が随時更新されるために双方向の同時通話が実現できる。また、送話側及び受話側の利得制御機能付増幅器の利得を適正な値に設定することで所望の通話音量が得られるとともに、過大なレベルの音声が入力された場合には利得制御機能付増幅器の飽和処理により音声通話処理回路内でのオーバーフロー等の不具合の発生を防止することができる。さらに、音響エコーキャンセラにとって外乱成分となる呼出音の重畳中に通話処理手段が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることで適応フィルタの発散やハウリングを生じることが無い。しかも、通話処理手段は総損失量算出部に対して更新モードの動作停止直前の算出値を保持させるため、呼出音の重畳により総損失量算出部が恰も閉ループの一巡利得(エコーパスの利得)が変動しているかのように誤った推定をして総損失量の算出値が安定しないような状態に陥ることを回避できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とし、呼出音のレベルが閾値未満であって音響エコーキャンセラにとって無視できるレベルである場合には呼出音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映される。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とし、呼出音が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理に悪影響を及ぼさない種類のものでない場合には呼出音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映される。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段を屋内通話端末に設けたことを特徴とし、通話者の所望の音量で通話を行うことができる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、送話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する送話音量利得制御手段を屋内通話端末に設け、当該送話音量利得制御手段は、受話音量利得制御手段によって制御される受話側の利得制御機能付増幅器の利得と送話側の利得制御機能付増幅器の利得の和が常に一定となるように、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が大きくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を小さくし、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が小さくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を大きくすることを特徴とし、受話音量のレベルが上昇しても送話音量のレベルが減少して閉ループの一巡利得が常に略一定に保たれるためにハウリングを生じることが無く、また、屋内の周囲騒音レベルが小さいために屋内通話端末の通話者が操作部を操作して受話音量を減少させた場合に送話側の利得制御機能付増幅器の利得が増大することで屋外通話端末の通話者に聞こえる送話音量を増大させて快適な通話が実現できる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に必要に応じて警報メッセージや警報音のような特殊音を生成し、且つ通話を中断させずに生成した特殊音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させてなり、前記通話処理手段は、通話中の特殊音重畳時に特殊音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とし、音響エコーキャンセラにとって外乱成分となる特殊音の重畳中に通話処理手段が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることで適応フィルタの発散やハウリングを生じることが無い。しかも、通話処理手段は総損失量算出部に対して更新モードの動作停止直前の算出値を保持させるため、特殊音の重畳により総損失量算出部が恰も閉ループの一巡利得(エコーパスの利得)が変動しているかのように誤った推定をして総損失量の算出値が安定しないような状態に陥ることを回避できる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、通話処理手段は、特殊音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とし、特殊音のレベルが閾値未満であって音響エコーキャンセラにとって無視できるレベルである場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映される。
【0024】
請求項8の発明は、請求項6の発明において、通話処理手段は、特殊音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とし、特殊音が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理に悪影響を及ぼさない種類のものでない場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映される。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部が操作されると映像信号処理手段を起動して表示手段に映像を表示させる映像モニタ手段を備え、挿入損失量制御手段は、映像モニタ手段により映像信号処理手段が起動されると送話側損失挿入手段の挿入損失量を増大し且つ受話側損失挿入手段の挿入損失量を減少させて音声スイッチを強制的に受話状態に設定し、受話側の利得制御機能付増幅器は、通話時に比較して大きな利得に設定されることを特徴とし、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末の表示手段に表示してモニタする場合に受話音量を強制的に増大させて屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を明確に受聴することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定する近端側背景雑音レベル推定手段と、近端側背景雑音レベルの推定値に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段とを音声通話処理回路に設けたことを特徴とし、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末の表示手段に表示してモニタする場合に屋内の周囲騒音のレベルに応じた適切な音量で屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を受聴することができる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの動作モードを、適応フィルタ係数更新処理が行われる係数更新モード、適応フィルタ係数を固定する係数固定モード、適応フィルタ係数更新処理を停止して入力信号を通過させるスルーモードの何れかに切り換えるエコーキャンセラ動作制御手段を屋内通話端末に設けたことを特徴とし、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの動作試験が容易に行える。
【0028】
請求項12の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、音声スイッチの動作状態を、総損失量算出部が更新モードで動作する更新状態、総損失量算出部が固定モードで動作する固定状態、挿入損失量分配処理部が受話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制送話状態、挿入損失量分配処理部が送話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制受話状態の何れかに切り換える音声スイッチ動作制御手段を音声通話処理回路に設けたことを特徴とし、音声スイッチの動作試験が容易に行える。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を各実施形態により詳細に説明する。各実施形態の拡声通話システムは、従来例と同様に少なくとも親機又は住宅情報盤のような屋内通話端末Mと、ドアホン子器やロビーインターホンのような屋外通話端末(図示せず)とを信号線からなる通信路で接続して構成されるが、ドアホン子器やロビーインターホンのような屋外通話端末は従来例と共通であるから図示並びに説明を省略し、本発明の要旨である屋内通話端末Mについてのみ説明する。
【0030】
ここで、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の実施形態と基本構成が共通である参考例について説明する。
(参考例1)
図1は本参考例における屋内通話端末Mの要部を示すブロック図である。この屋内通話端末Mは、マイクロホン1及びスピーカ2と、CRTや液晶ディスプレイなどからなり屋外通話端末の撮像カメラで撮像された映像を表示する表示手段たるモニタ部3と、屋外通話端末から信号線を介して伝送された映像信号を信号処理してモニタ部3に映像を表示させる映像信号処理手段たる映像表示回路4と、信号線を介して屋外通話端末との間で信号伝送を行う伝送処理部5と、屋外通話端末から多重化されて伝送される音声信号と映像信号を分離する信号分離部6と、屋外通話端末との間で信号線を介した双方向の同時通話を実現するための処理を行う同時通話処理ブロック31、屋外通話端末からの呼出を受けてスピーカ2から出力される呼出音や呼出をした屋外通話端末に対して信号線を介して伝送されるバックトーン並びに警報メッセージや警報音を生成する音声生成ブロック32を有する音声通話処理回路30と、マイクロホン1の出力信号(送話信号)を増幅するマイクロホンアンプ7と、マイクロホンアンプ7で増幅されたアナログの送話信号をデジタル信号に変換する第1A/D変換部8と、音声通話処理回路30から出力されるデジタルの送話信号をアナログ信号に変換する第1D/A変換部9と、第1D/A変換部9で変換されたアナログの送話信号を増幅する送話信号増幅器10と、信号分離部6で分離された音声信号(受話信号)を増幅する受話信号増幅器11と、受話信号増幅器11で増幅されたアナログの受話信号をデジタル信号に変換する第2A/D変換部12と、音声通話処理回路30から出力されるデジタルの受話信号をアナログ信号に変換する第2D/A変換部13と、第2D/A変換部13で変換されたアナログの受話信号を増幅する第1スピーカアンプ14と、音声通話処理回路30の音声生成ブロック32で生成された呼出音等のデジタルの音声信号をアナログ信号に変換する第3D/A変換部15と、第3D/A変換部15で変換されたアナログの音声信号を増幅する第2スピーカアンプ16と、第1スピーカアンプ14で増幅された受話信号と第2スピーカアンプ16で増幅された呼出音等の音声信号を多重化してスピーカ2に出力する第1アナログ信号多重部17と、音声通話処理回路30の音声生成ブロック32で生成された呼出音等のデジタルの音声信号をアナログ信号に変換する第4D/A変換部18と、第4D/A変換部18で変換されたアナログの音声信号を増幅する音声信号増幅器19と、送話信号増幅器10で増幅された送話信号と音声信号増幅器19で増幅された呼出音等の音声信号を多重化して伝送処理部5に出力する第2アナログ信号多重部20とを備える。但し、従来例で説明した火災感知器やガス漏れ感知器などのセンサの出力を監視する手段等については本発明の要旨ではなく、且つその構成は従来周知であるから図示並びに説明を省略する。
【0031】
一方、撮像カメラを備えた屋外通話端末では、ベースバンド伝送する音声信号にFM変調した映像信号を多重化することで一対のペア線からなる信号線を介して音声信号と映像信号を屋内通話端末Mに伝送している。但し、このような動作を行う屋外通話端末はカメラ付のドアホン子器などとして従来周知であるから詳細な説明を省略する。
【0032】
屋内通話端末Mでは、伝送処理部5で受けた多重化された音声信号と映像信号を信号分離部6にて分離し、映像表示回路4で復調した映像信号をモニタ部3に出力することで屋外通話端末の撮像カメラで撮像された映像をモニタ部3の画面に表示させている。
【0033】
同時通話処理ブロック31は、図2に示すようにマイクロホン1とスピーカ2の音響結合によって生じる音響エコーを消去する音響エコーキャンセラ33と、屋外通話端末における音響結合又は信号線を介した信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する回線エコーキャンセラ34と、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34の間に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経路により形成される閉ループ(エコーパス)の一巡利得を低減してハウリングを抑制する音声スイッチ35と、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34に挟まれた送話信号並びに受話信号の信号経路上に各々設けられる送話側及び受話側の利得制御機能付増幅器36,37とを有する。
【0034】
音響エコーキャンセラ33は適応フィルタ33aと減算器33bからなる従来周知の構成を有し、スピーカ2−マイクロホン1間の音響結合により形成される帰還経路(音響エコー経路)のインパルス応答を適応フィルタ33aにより適応的に同定し、参照信号(音声スイッチ35から出力される受話信号)から推定したエコー成分(音響エコー)を減算器33bにより第1A/D変換部8の出力信号(送話信号)から減算することでエコー成分を相殺して消去するものである。また、回線エコーキャンセラ34も適応フィルタ34aと減算器34bからなる従来周知の構成を有し、伝送処理部5と信号線との間のインピーダンスの不整合による反射および屋外通話端末におけるスピーカ−マイクロホン間の音響結合とにより形成される帰還経路(回線エコー経路)のインパルス応答を適応フィルタ34aにより適応的に同定し、参照信号(第1D/A変換部9へ出力される送話信号)から推定したエコー成分(回線エコー)を減算器34bにより受話信号から減算することでエコー成分を相殺して消去するものである。
【0035】
音声スイッチ35は、送話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段たる送話信号減衰器38と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段たる受話信号減衰器39と、送話側及び受話側の各減衰器38,39から挿入する損失量(各減衰器38,39の利得)を制御する挿入損失量制御手段たる減衰器利得制御部40とを具備する。さらに減衰器利得制御部40は、受話信号減衰器39の出力点から音響エコー経路を介して送話信号減衰器38の入力点へ帰還する経路(以下、「音響側帰還経路」という)の音響側帰還利得を推定するとともに、送話信号減衰器38の出力点から回線エコー経路を介して受話信号減衰器39の入力点へ帰還する経路(以下、「回線側帰還経路」という)の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値α,βに基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和(送話信号減衰器38の挿入損失量と受話信号減衰器39の挿入損失量の和)を算出する総損失量算出部(図示せず)と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話信号減衰器38及び受話信号減衰器39の各挿入損失量の配分、すなわち利得を決定する挿入損失量分配処理部(図示せず)とからなる。
【0036】
総損失量算出部では、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて送話信号減衰器38の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて受話信号減衰器39の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、音響側帰還経路にて想定される最大遅延時間において受話信号減衰器39の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で送話信号減衰器38の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を音響側帰還利得の推定値αとするとともに、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて受話信号減衰器39の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて送話信号減衰器38の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、回線側帰還経路にて想定される最大遅延時間において送話信号減衰器38の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で受話信号減衰器39の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を回線側帰還利得の推定値βとする。そして、総損失量算出部は音響側帰還利得及び回線側帰還利得の各推定値α,βから所望の利得余裕を得るために必要な総損失量を算出し、その値を挿入損失量分配処理部に出力する。
【0037】
挿入損失量分配処理部では、送話信号減衰器38の入出力信号及び受話信号減衰器39の入出力信号を監視し、これらの信号のパワーレベルの大小関係並びに音声信号の有無などの情報から通話状態(受話状態、送話状態等)を判定するとともに、判定された通話状態に応じた割合で総損失量を送話信号減衰器38と受話信号減衰器39に分配するように各減衰器38,39の挿入損失量(利得)を調整する。
【0038】
ところで、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34の適応フィルタ33a,34aが音響側及び回線側の各帰還経路のインパルス応答を同定するのに通常数秒の学習時間を要する。言い換えれば、通話開始直後から数秒間は、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34によって上記各帰還経路を断ち切ることができず、通話系に閉ループが形成された状態にある。このような状態においては、通話者が発声した音声がエコーとして通話者自身に聴こえてしまい、不快感を与える。また、増幅器の利得が大きければハウリングを生じてしまう。
【0039】
したがって、通話開始直後のエコーキャンセラ33,34が収束していない状態(インパルス応答を同定するための学習状態)においてもハウリングを生じないためには、閉ループの一巡利得が1倍を超えないように各増幅器の利得を設計する必要がある。これは、明らかに通話音量に対して制約を与えることとなり、スピーカ2とマイクロホン1との距離が近くて音響結合利得が大きいハウジングを屋内通話端末Mが有する場合においては、実用上支障のない充分な通話音量が得られなくなってしまうことがある。
【0040】
以上のことは音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34の適応フィルタ33a,34aの係数が通話開始時に全て0にリセットされていることを前提としている。一方、予め適応フィルタ33a,34aに係数の初期値を与えておく方式も考えられるが、適応フィルタ33a,34aにより同定すべき音響側及び回線側の各帰還経路の特性がハウジングの設置環境によって異なるものであるため、予め設定した初期値では音響側及び回線側の各帰還経路の相殺効果が全く得られないこともあり得る。したがって、そのような方式においても通話音量に対して制約が生じてしまうことは避けられない。
【0041】
そこで本参考例では、総損失量算出部が上述のように各帰還利得の推定値α,βに基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、屋外通話端末との通話開始から音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が充分に収束した後の期間には更新モードで動作するようにしている。すなわち、総損失量算出部では音響側帰還利得及び回線側帰還利得の推定値α,βがともに通話開始から所定時間(数百ミリ秒)以上継続して所定の閾値ε(例えば、通話開始時における各推定値α,βに対して10dB〜15dB小さい値)を下回った時点で音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が充分に収束したものとみなし、上記時点以前には総損失量を初期値に固定する固定モードで動作し、上記時点以降には各推定値α,βに基づいて総損失量を適応更新する更新モードに動作モードを切り換える。なお、固定モードにおける総損失量の初期値は更新モードにおいて随時更新される総損失量よりも充分に大きな値に設定される。
【0042】
而して、通話開始直後の音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が充分に収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部によって充分に大きな値に設定される初期値の総損失量が閉ループに挿入されるため、不快なエコー(音響エコー並びに回線エコー)やハウリングの発生を抑制して安定した半二重通話を実現することができる。また、通話開始から時間が経過して音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が充分に収束した状態においては、総損失量算出部の動作モードが固定モードから更新モードに切り換わって閉ループに挿入する総損失量が初期値よりも充分に低い値に減少するため、双方向の同時通話が実現できるものである。しかも、総損失量の初期値を適切な値に設定することにより、通話開始直後の音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34が収束していない状態のハウリング防止のために閉ループの一巡利得が1倍を超えないように各増幅器の利得を設計するという制約がなくなり、屋内通話端末Mのハウジング(図示せず)の形状や構造等に関わらずに所望の通話音量が得られるように増幅器の利得を設計することができる。
【0043】
また、本参考例では音量調整用の増幅器として、入力信号(送話信号又は受話信号)のレベルに応じて利得を可変する利得制御機能(AGC)付増幅器36,37を、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34に挟まれた送話信号並びに受話信号の信号経路上に各々設けている。なお、利得制御機能付増幅器の構成及び動作については従来周知であるから詳しい説明を省略する。
【0044】
例えば、送話側及び受話側の各利得制御機能付増幅器36,37の利得制御特性として、入力信号レベルが音声とみなし得る入力信号の最小値以下の範囲では利得をG1[dB]、入力信号レベルが前記最小値から、想定される通話音声レベルの最大値までの範囲では利得をG2[dB]、入力信号レベルが前記最大値以上の範囲では利得をG3[dB]とし、入力信号の最小値以下の範囲の利得G1と最大値以上の範囲の利得G3を比較的小さな値に設定するとともに、入力信号の最小値以上且つ最大値以下の範囲の利得G2を利得G1,G3よりも充分に大きな値に設定すれば、マイクロホン1で集音される音響信号が通話音声とみなせる場合には所望の通話音量を得るために必要な利得G2となり、通話音声とみなし得ないような微少レベルの周囲騒音や過大レベルの環境騒音(風切り音、工事騒音、自動車騒音など)に対しては小さな利得G1又はG3となるため、帰還利得α,βを低減しつつ適切な通話音量が得られるものである。なお、過大なレベルの通話信号が入力された場合には利得制御機能付増幅器36,37の飽和処理により音声通話処理回路30内でのオーバーフロー等の不具合の発生を防止することができる。
【0045】
一方、音声生成ブロック32は、予め用意された複数の呼出音の中から適宜選択してデジタルの呼出音を生成する呼出音生成部(図示せず)と、同じく予め用意された複数の警報音の中から適宜選択してデジタルの警報音を生成する警報音生成部(図示せず)と、内蔵又は外部のメモリに圧縮して格納された複数の音声メッセージデータを適宜選択して読み出し且つ伸長することでデジタルの音声メッセージを生成する音声メッセージ伸長部(図示せず)と、同じくメモリに圧縮して格納された複数のメロディ音データを適宜選択して読み出し且つ伸長することでデジタルのメロディ音を生成するメロディ音伸長部(図示せず)とを有する。ここで、警報音は火災やガス漏れ等の異常の発生を住人に報知するためのものであり、音声メッセージは上記異常を報知するためのメッセージ(警報メッセージ)等であり、メロディ音は呼出音として使用されるものである。
【0046】
また、音声生成ブロック32は、通話相手に聞かせて通話を中止するための口実とする特定音を生成する特定音生成部又はメモリに圧縮して格納された特定音データを伸長する特定音伸長部の少なくとも何れか一方を有する。例えば、屋外通話端末(ロビーインターホン等)からの呼出に在宅者が応答したところ、その相手(通話相手)がセールスマン等の招かれざる訪問者であったため、早々に通話を中止して当該訪問者にお引き取り願いたいと在宅者が望む場合がある。このような場合に電話機の呼出音や子供の泣き声などの音(これを「特定音」と名付ける)を通話相手に聞かせることで通話を中止する口実が作り出せ、例えば「今電話が鳴っているのでお引き取り下さい。」とか「子供が泣いていて手が離せないのでお引き取り下さい。」というように伝えて通話したくない相手との通話を早急に中止することができる。
【0047】
而して、音声生成ブロック32で生成された呼出音や警報音、あるいは音声メッセージ等の特殊音の音声信号は第1又は第2アナログ信号多重部17,20にて同時通話処理ブロック31から出力される通話信号(送話信号及び受話信号)と時分割多重されてスピーカ2又は伝送処理部5に出力される。
【0048】
ところで、本参考例では音声通話処理回路30をデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)のような単一のプロセッサで構成し、DSPのハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって上述の同時通話処理ブロック31及び音声生成ブロック32を実現している。このように単一のプロセッサ(DSP)で構成された音声通話処理回路30にて同時通話処理並びに音声生成処理を行うため、複数の集積回路を組み合わせて各処理を行っていた従来例に比較して部品点数を減少させて製造コストの削減が図れるものである。
【0049】
(参考例2)
図3は本参考例の屋内通話端末Mの要部を示すブロック図である。但し、参考例1と共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0050】
本参考例は、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じて受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を制御する受話音量利得制御手段を屋内通話端末Mに設けた点に特徴がある。
【0051】
図3(b)に示すように屋内通話端末Mのハウジング60は合成樹脂により矩形箱形に形成され、前面上部にはモニタ部3の画面が露出させてあり、前面下部の中央には呼出音に応答して通話を開始するための応答釦61が設けられている。さらに、ハウジング60の前面下部一端側にはロータリスイッチ(図示せず)を操作する操作部62が回動自在に配設されている。このロータリスイッチは3つの切換位置を有し、各切換位置が受話音量の大きさ(大、中、小の3段階)に対応させてある。
【0052】
ロータリスイッチは検知回路41に接続されており、この検知回路41では3つの切換位置に対応した3通りの電圧レベルの検知信号を出力している。検知回路41から出力される検知信号はA/D変換器42にてデジタル信号に変換されて主制御部50に出力される。主制御部50はCPUからなり、音声通話処理回路30で行う以外の機能、例えばセンサの出力を監視して警報の出力制御をしたり、あるいは信号線を介して屋外通話端末から伝送される呼出信号を受けた場合に音声通話処理回路30を制御して呼出音等を出力させるといった種々の機能を専用のソフトウェアを実行することで実現させている。つまり、本参考例ではロータリスイッチ、操作部62、検知回路41、A/D変換器42並びに主制御部50にて受話音量利得制御手段が構成されている。なお、主制御部50とDSPからなる音声通話処理回路30とはシリアルインタフェースを介して通信可能となっている。
【0053】
而して、主制御部50がA/D変換器42で変換されたデジタルの検知信号に応じた大、中、小の何れかの音量設定データを音声通話処理回路30に伝送すると、音声通話処理回路30が受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を音量設定データに応じた値に設定することで受話音量(スピーカ2から聞こえる音の音量)が大、中、小の何れかのレベルに設定される。このため、操作部62を操作することで通話者の所望の音量で通話を行うことができ、使い勝手が向上するものである。
【0054】
ところで、受話音量のレベルを上昇させた場合、閉ループの一巡利得も増大してハウリングが生じてしまう虞がある。そこで、受話音量利得制御手段によって制御される受話側の利得制御機能付増幅器37の利得と相補的に送話側の利得制御機能付増幅器36の利得を制御する送話音量利得制御手段を屋内通話端末に設けることが望ましい。ここで、「相補的」とは、図4に示すように受話側の利得制御機能付増幅器37の利得Grと送話側の利得制御機能付増幅器36の利得Gtの和が常に一定となるように、利得Grを大きくするときは利得Gtを小さくし、利得Grを小さくするときは利得Gtを大きくすることをいう。
【0055】
而して主制御部50では、図5のフローチャートに示すようにA/D変換器42から出力される検知信号を所定の周期で読み込み(ステップ1)、今回読み込んだ検知信号が前回読み込んだ検知信号に対して変化しているか否かを判断し(ステップ2)、検知信号が変化している場合には検知信号に応じた利得Grを算出するとともに(ステップ3)、図4の関係に基づいて利得Gtを算出する(ステップ4)。そして、算出された利得Gr,Gtの設定データ(音量設定データ)が主制御部50から音声通話処理回路30に伝送され(ステップ5)、音声通話処理回路30にて受話側及び送話側の各利得制御機能付増幅器37,36の利得が設定データGr,Gtに設定されて音量の調整が行われる。なお、今回読み込んだ検知信号が前回読み込んだ検知信号に対して変化していない場合には再度検知信号の読み込みを行う。つまり、本参考例ではロータリスイッチ、操作部62、検知回路41、A/D変換器42並びに主制御部50にて送話音量利得制御手段が構成されている。
【0056】
而して、送話音量利得制御手段によって受話側の利得制御機能付増幅器37の利得と相補的に送話側の利得制御機能付増幅器36の利得を制御するため、受話音量のレベルが上昇しても送話音量のレベルが相補的に減少して閉ループの一巡利得が常に略一定に保たれるためにハウリングを生じることが無く、また、屋内の周囲騒音レベルが小さいために屋内通話端末の通話者が操作部62を操作して受話音量を減少させた場合に送話側の利得制御機能付増幅器36の利得が相補的に増大することで屋外通話端末の通話者に聞こえる送話音量を増大させて快適な通話が実現できる。
【0057】
(実施形態1)
図6は本実施形態の屋内通話端末Mの要部を示すブロック図である。但し、参考例1,2と共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、屋外通話端末からの呼出等に応じて主制御部50から送出される特殊音送出要求又は特殊音停止要求などのコマンドを受信して音声生成ブロック32における呼出音やメロディ音あるいは特定音又は音声メッセージのような特殊音の生成処理を起動又は停止させるとともに、音声生成ブロック32から処理状態の応答(特殊音の生成中又は生成完了)を受けて処理状態を示す応答メッセージを主制御部50に返送するコマンド受信/応答メッセージ送出部43と、通話中の特殊音重畳時に特殊音が出力されている間は同時通話処理ブロック31における音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるとともに総損失量算出部には更新モードの動作停止直前の算出値を保持させる通話処理手段たる通話制御部44とを音声通話処理回路30に設けている。
【0059】
ここで、屋内通話端末Mが何れかの屋外通話端末(例えばロビーインターホン)との通話中に他の屋外通話端末(例えばドアホン子器)から呼出がされた場合、主制御部50が呼出音(メロディ音を含む)の送出要求をコマンド受信/応答メッセージ送出部43に出力し、音声生成ブロック32が生成した呼出音を通話を中断させずに受話信号に重畳させて屋内通話端末Mのスピーカ2から出力させるとともに呼出側の屋外通話端末(この場合にはドアホン子器)には生成したバックトーンを信号線を介して伝送させる。ところが、このように通話中に受話信号と重畳された呼出音等の特殊音は音響エコーキャンセラ33並びに音声スイッチ35にとっての外乱成分となるため、適応フィルタ33aの発散やハウリングを生じる虞がある。
【0060】
そこで本実施形態では、コマンド受信/応答メッセージ送出部43が通話制御部44の動作に基づいて通話中か否かを判断するとともに音声生成ブロック32から受けた処理状態の応答に基づいて特殊音の生成出力中か否かを判断し、通話中且つ特殊音の生成出力中と判断された場合に通話制御部44が同時通話処理ブロック31を制御して音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるとともに総損失量算出部には更新モードの動作停止直前の算出値を保持させている。このため、音響エコーキャンセラ33にとって外乱成分となる呼出音等の特殊音の重畳中に通話制御部44が音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることで適応フィルタ33aの発散やハウリングを生じることが無い。しかも、通話制御部44は総損失量算出部に対して更新モードの動作停止直前の算出値を保持させるため、特殊音の重畳により総損失量算出部が恰も閉ループの一巡利得が変動しているかのように誤った推定をして総損失量の算出値が安定しないような状態に陥ることを回避できる。
【0061】
ところで、通話中の特殊音重畳時に通話制御部44が無条件で同時通話処理ブロック31を制御して音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるのではなく、特殊音のレベル(音量)が所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロック31を制御して音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるようにしてもよい。このようにすれば、特殊音のレベルが閾値未満であって音響エコーキャンセラ33にとって無視できるレベルである場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホン1やスピーカ2との距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという利点がある。
【0062】
あるいは、通話制御部44が特殊音の種類に応じて同時通話処理ブロック31を制御して音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるようにしてもよい。すなわち、受話信号に重畳される特殊音が高レベルの狭帯域信号等のように音響エコーキャンセラ33や音声スイッチ35の動作に外乱として悪影響を及ぼす種類のものであるか否かを通話制御部44にて判断し、悪影響を及ぼす種類の特殊音であると判断した場合にのみ同時通話処理ブロック31を制御して音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させる。このようにすれば、特殊音が音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理に悪影響を及ぼさない種類のものでない場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラ33の適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホン1やスピーカ2との距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという利点がある。
【0063】
(実施形態2)
図7は本実施形態の屋内通話端末Mの要部を示すブロック図である。但し、参考例1,2及び実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0064】
本実施形態は、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部が操作されると映像表示回路4を起動してモニタ部3に映像を表示させる映像モニタ手段を備え、映像モニタ手段により映像表示回路4が起動されると減衰器利得制御部40が送話信号減衰器38の挿入損失量を増大し且つ受話信号減衰器39の挿入損失量を減少させて音声スイッチ35を強制的に受話状態に設定し、受話側の利得制御機能付増幅器37の利得が通話時に比較して大きな値に設定される点に特徴がある。
【0065】
すなわち、屋内通話端末Mは、通話を行わずに屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像をモニタ部3に表示するとともに屋外通話端末のマイクロホンで集音された音をスピーカ2から出力して屋外通話端末近辺の状況をモニタする、所謂モニタ機能を備えている。屋内通話端末Mのハウジング60にはモニタ機能を起動するためのモニタ釦(操作部)63が設けてあり(図3(b)参照)、モニタ釦63が押操作されると押釦スイッチ(図示せず)がオンして映像モニタ手段たる主制御部50にモニタ開始信号が入力され、モニタ開始信号が入力された主制御部50が映像表示回路4を起動してモニタ部3に映像を表示させる。
【0066】
さらにモニタ開始信号が入力された主制御部50は、音声通話処理回路30に対してモニタモードの動作を指令するコマンドを与える。コマンド受信/応答メッセージ送出部43では受け取ったコマンドを通話制御部44に伝達する。そして、通話制御部44がコマンドに従って同時通話処理ブロック31を制御し、減衰器利得制御部40により送話信号減衰器38の挿入損失量を増大し且つ受話信号減衰器39の挿入損失量を減少させて音声スイッチ35を強制的に受話状態に設定させるとともに受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を通話時に比較して大きな値に設定させる。ここで、受話側の利得制御機能付増幅器37の利得の設定値は、例えば通話相手の発する音声が明確に聞き取れるとともに住戸内の音が屋外通話端末のスピーカから聞こえる、所謂音漏れが無視できるレベルとする。
【0067】
本実施形態は上述のように構成したものであるから、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末Mのモニタ部3に表示してモニタする場合に受話音量を強制的に増大させて屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を明確に受聴することができる。
【0068】
ところで、モニタモードにおける受話側の利得制御機能付増幅器37の利得設定値を所定値に固定した場合、住戸内の屋内通話端末Mにおける騒音レベルが大きいと屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声がはっきりと聞き取れない虞がある。
【0069】
そこで、図8に示すように送話信号に含まれる近端側(マイクロホン1側)の背景雑音レベルを推定する近端側背景雑音レベル推定部45と、近端側背景雑音レベルの推定値に応じて受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を制御する受話音量利得制御部46とを同時通話処理ブロック31に設けることが望ましい。近端側背景雑音レベル推定部45は立ち上がりが緩やかであり且つ立ち下がりが急峻な特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタ等によって実現され、送話側利得制御機能付増幅器36から出力される送話信号中に定常的に存在する背景雑音レベルを推定するものである。
【0070】
而して、受話音量利得制御部46では近端側背景雑音レベルの推定値が大きければ受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を増大させるとともに近端側背景雑音レベルの推定値が小さければ受話側の利得制御機能付増幅器37の利得を減少させることにより、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末Mのモニタ部3に表示してモニタする場合に屋内の周囲騒音のレベルに応じた適切な音量で屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を受聴することができる。
【0071】
(実施形態3)
図9は本実施形態の屋内通話端末Mの要部を示すブロック図である。但し、参考例1,2及び実施形態1,2と共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0072】
本実施形態は、エコーキャンセラ動作制御部47並びに音声スイッチ動作制御部48を音声通話処理回路30に設けた点に特徴がある。
【0073】
エコーキャンセラ動作制御部47は、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34の動作モードを、適応フィルタ係数更新処理が行われる係数更新モード、適応フィルタ係数を固定する係数固定モード、適応フィルタ係数更新処理を停止して入力信号を通過させるスルーモードの何れかに切り換えるものである。
【0074】
また、音声スイッチ動作制御部48は、音声スイッチ35の動作状態を、総損失量算出部が更新モードで動作する更新状態、総損失量算出部が固定モードで動作する固定状態、挿入損失量分配処理部が受話信号減衰器39への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制送話状態、挿入損失量分配処理部が送話信号減衰器38への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制受話状態の何れかに切り換えるものである。
【0075】
すなわち、エコーキャンセラ33,34に関する動作テストを行う場合には、動作テストの種類に応じて係数更新モード、係数固定モード又はスルーモードの何れかにエコーキャンセラ33,34の動作モードを設定する必要がある。同じく音声スイッチ35に関する動作テストを行う場合には、更新状態、固定状態、強制送話状態又は強制受話状態の何れかに音声スイッチ35の動作状態を設定する必要がある。
【0076】
而して、エコーキャンセラ33,34並びに音声スイッチ35に関する動作テストの種類(テストモード)を主制御部50がコマンドによって指定し、コマンド受信/応答メッセージ送出部43を介して受け取ったコマンドで指定されたテストモードに応じてエコーキャンセラ状態制御部47並びに音声スイッチ状態制御部48がエコーキャンセラ33,34の動作モード並びに音声スイッチ35の動作状態を設定するから、音響エコーキャンセラ33及び回線エコーキャンセラ34の動作試験や音声スイッチ35の動作試験が容易に行えるという利点がある。
【0077】
【発明の効果】
請求項1の発明は、マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸内に設置される屋内通話端末と、マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸外に設置される1乃至複数の屋外通話端末とを通信路で接続して構成され、少なくとも1つの屋外通話端末は通話者を撮像する撮像カメラを具備するとともに撮像カメラで撮像した映像信号を通信路を介して屋内通話端末に伝送し、屋内通話端末は通信路を介して伝送された映像信号を信号処理して表示手段に映像を表示させる映像信号処理手段並びに表示手段を具備するとともに、住戸内に設置され火災やガス漏れのような異常を検出する1乃至複数のセンサの出力を監視し、何れかのセンサで異常が検出されると検出された異常の内容に応じた警報メッセージや警報音をスピーカから出力し且つ通信路を介して屋外通話端末に伝送して屋外通話端末のスピーカらから出力させてなる拡声通話システムにおいて、屋内通話端末は、各屋外通話端末との間で通信路を介した双方向の同時通話を実現するための処理を行う同時通話処理ブロックと、屋外通話端末からの呼出を受けてスピーカから出力される呼出音、呼出をした屋外通話端末に対して通信路を介して伝送されるバックトーン、並びに警報メッセージや警報音を生成する音声生成ブロックとが単一のプロセッサで構成された音声通話処理回路を具備し、同時通話処理ブロックは、屋内通話端末が具備するマイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する音響エコーキャンセラと、屋外通話端末における音響結合又は通信路を介した信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する回線エコーキャンセラと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの間に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経路により形成される閉ループの一巡利得を低減してハウリングを抑制する音声スイッチと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラに挟まれた送話信号並びに受話信号の信号経路上に各々設けられる利得制御機能付増幅器とを有し、音声スイッチは、送話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを具備し、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とからなり、総損失量算出部は、各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、屋外通話端末との通話開始から音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作し、音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に他の屋外通話端末から呼出がされた場合に通話を中断させずに生成した呼出音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させるとともに呼出側の屋外通話端末には生成したバックトーンを通信路を介して伝送させてなり、通話中の呼出音重畳時に呼出音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるとともに、総損失量算出部には更新モードの動作停止直前の算出値を保持させる通話処理手段を音声通話処理回路に設けたので、単一のプロセッサで構成された音声通話処理回路にて同時通話処理並びに音声生成処理を行うため、複数の集積回路を組み合わせて各処理を行っていた従来例に比較して部品点数を減少させて製造コストの削減が図れるという効果がある。また、通話開始直後の音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が充分に大きい初期値に固定されるために不快なエコーやハウリングの発生を抑制して安定した半二重通話が実現でき、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束した状態においては、更新モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が随時更新されるために双方向の同時通話が実現できるという効果がある。また、送話側及び受話側の利得制御機能付増幅器の利得を適正な値に設定することで所望の通話音量が得られるとともに、過大なレベルの音声が入力された場合には利得制御機能付増幅器の飽和処理により音声通話処理回路内でのオーバーフロー等の不具合の発生を防止することができ、さらに、音響エコーキャンセラにとって外乱成分となる呼出音の重畳中に通話処理手段が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることで適応フィルタの発散やハウリングを生じることが無く、しかも、通話処理手段は総損失量算出部に対して更新モードの動作停止直前の算出値を保持させるため、呼出音の重畳により総損失量算出部が恰も閉ループの一巡利得(エコーパスの利得)が変動しているかのように誤った推定をして総損失量の算出値が安定しないような状態に陥ることを回避できるという効果がある。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるので、呼出音のレベルが閾値未満であって音響エコーキャンセラにとって無視できるレベルである場合には呼出音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという効果がある。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるので、呼出音が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理に悪影響を及ぼさない種類のものでない場合には呼出音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという効果がある。
【0079】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段を屋内通話端末に設けたので、通話者の所望の音量で通話を行うことができるという効果がある。
【0080】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、送話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する送話音量利得制御手段を屋内通話端末に設け、当該送話音量利得制御手段は、受話音量利得制御手段によって制御される受話側の利得制御機能付増幅器の利得と送話側の利得制御機能付増幅器の利得の和が常に一定となるように、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が大きくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を小さくし、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が小さくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を大きくするので、受話音量のレベルが上昇しても送話音量のレベルが減少して閉ループの一巡利得が常に略一定に保たれるためにハウリングを生じることが無く、また、屋内の周囲騒音レベルが小さいために屋内通話端末の通話者が操作部を操作して受話音量を減少させた場合に送話側の利得制御機能付増幅器の利得が増大することで屋外通話端末の通話者に聞こえる送話音量を増大させて快適な通話が実現できるという効果がある。
【0084】
請求項6の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に必要に応じて警報メッセージや警報音のような特殊音を生成し、且つ通話を中断させずに生成した特殊音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させてなり、前記通話処理手段は、通話中の特殊音重畳時に特殊音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるので、音響エコーキャンセラにとって外乱成分となる特殊音の重畳中に通話処理手段が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることで適応フィルタの発散やハウリングを生じることが無く、しかも、通話処理手段は総損失量算出部に対して更新モードの動作停止直前の算出値を保持させるため、特殊音の重畳により総損失量算出部が恰も閉ループの一巡利得(エコーパスの利得)が変動しているかのように誤った推定をして総損失量の算出値が安定しないような状態に陥ることを回避できるという効果がある。
【0085】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、通話処理手段は、特殊音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるので、特殊音のレベルが閾値未満であって音響エコーキャンセラにとって無視できるレベルである場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという効果がある。
【0086】
請求項8の発明は、請求項6の発明において、通話処理手段は、特殊音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるので、特殊音が音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理に悪影響を及ぼさない種類のものでない場合には特殊音の重畳中も音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を継続し、通話者が動いてマイクロホンやスピーカとの距離が変わるなどしてエコーパスの特性が変動してもこれに追従することができ、また、その追従結果が総損失量算出部の算出結果にも反映されるという効果がある。
【0087】
請求項9の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部が操作されると映像信号処理手段を起動して表示手段に映像を表示させる映像モニタ手段を備え、挿入損失量制御手段は、映像モニタ手段により映像信号処理手段が起動されると送話側損失挿入手段の挿入損失量を増大し且つ受話側損失挿入手段の挿入損失量を減少させて音声スイッチを強制的に受話状態に設定し、受話側の利得制御機能付増幅器は、通話時に比較して大きな利得に設定されるので、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末の表示手段に表示してモニタする場合に受話音量を強制的に増大させて屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を明確に受聴することができるという効果がある。
【0088】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定する近端側背景雑音レベル推定手段と、近端側背景雑音レベルの推定値に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段とを音声通話処理回路に設けたので、屋外通話端末の撮像カメラで撮像した映像を屋内通話端末の表示手段に表示してモニタする場合に屋内の周囲騒音のレベルに応じた適切な音量で屋外通話端末の周囲音や屋外通話端末の通話者の声を受聴することができるという効果がある。
【0089】
請求項11の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの動作モードを、適応フィルタ係数更新処理が行われる係数更新モード、適応フィルタ係数を固定する係数固定モード、適応フィルタ係数更新処理を停止して入力信号を通過させるスルーモードの何れかに切り換えるエコーキャンセラ動作制御手段を屋内通話端末に設けたので、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの動作試験が容易に行えるという効果がある。
【0090】
請求項12の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、音声スイッチの動作状態を、総損失量算出部が更新モードで動作する更新状態、総損失量算出部が固定モードで動作する固定状態、挿入損失量分配処理部が受話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制送話状態、挿入損失量分配処理部が送話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制受話状態の何れかに切り換える音声スイッチ動作制御手段を音声通話処理回路に設けたので、音声スイッチの動作試験が容易に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1における屋内通話端末の要部を示すブロック図である。
【図2】同上における同時通話処理ブロックを示すブロック図である。
【図3】本発明の参考例2における屋内通話端末を示し、(a)は要部のブロック図、(b)は外観図である。
【図4】同上における屋内通話端末の動作説明図である。
【図5】同上における屋内通話端末の動作説明用のフローチャートである。
【図6】実施形態1における屋内通話端末の要部を示すブロック図である。
【図7】実施形態2における屋内通話端末の要部を示すブロック図である。
【図8】同上における同時通話処理ブロックを示すブロック図である。
【図9】実施形態3における屋内通話端末の要部を示すブロック図である。
【図10】拡声通話システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
1 マイクロホン
2 スピーカ
3 モニタ部
4 映像表示回路
30 音声通話処理回路
31 同時通話処理ブロック
32 音声生成ブロック
Claims (12)
- マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸内に設置される屋内通話端末と、マイクロホン並びにスピーカを具備し住戸外に設置される1乃至複数の屋外通話端末とを通信路で接続して構成され、少なくとも1つの屋外通話端末は通話者を撮像する撮像カメラを具備するとともに撮像カメラで撮像した映像信号を通信路を介して屋内通話端末に伝送し、屋内通話端末は通信路を介して伝送された映像信号を信号処理して表示手段に映像を表示させる映像信号処理手段並びに表示手段を具備するとともに、住戸内に設置され火災やガス漏れのような異常を検出する1乃至複数のセンサの出力を監視し、何れかのセンサで異常が検出されると検出された異常の内容に応じた警報メッセージや警報音をスピーカから出力し且つ通信路を介して屋外通話端末に伝送して屋外通話端末のスピーカらから出力させてなる拡声通話システムにおいて、屋内通話端末は、各屋外通話端末との間で通信路を介した双方向の同時通話を実現するための処理を行う同時通話処理ブロックと、屋外通話端末からの呼出を受けてスピーカから出力される呼出音、呼出をした屋外通話端末に対して通信路を介して伝送されるバックトーン、並びに警報メッセージや警報音を生成する音声生成ブロックとが単一のプロセッサで構成された音声通話処理回路を具備し、
同時通話処理ブロックは、屋内通話端末が具備するマイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する音響エコーキャンセラと、屋外通話端末における音響結合又は通信路を介した信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する回線エコーキャンセラと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの間に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経路により形成される閉ループの一巡利得を低減してハウリングを抑制する音声スイッチと、音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラに挟まれた送話信号並びに受話信号の信号経路上に各々設けられる利得制御機能付増幅器とを有し、音声スイッチは、送話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを具備し、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とからなり、総損失量算出部は、各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、屋外通話端末との通話開始から音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作し、
音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に他の屋外通話端末から呼出がされた場合に通話を中断させずに生成した呼出音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させるとともに呼出側の屋外通話端末には生成したバックトーンを通信路を介して伝送させてなり、通話中の呼出音重畳時に呼出音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させるとともに、総損失量算出部には更新モードの動作停止直前の算出値を保持させる通話処理手段を音声通話処理回路に設けたことを特徴とする拡声通話システム。 - 通話処理手段は、呼出音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の拡声通話システム。
- 通話処理手段は、呼出音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の拡声通話システム。
- 通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段を屋内通話端末に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の拡声通話システム。
- 送話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する送話音量利得制御手段を屋内通話端末に設け、当該送話音量利得制御手段は、受話音量利得制御手段によって制御される受話側の利得制御機能付増幅器の利得と送話側の利得制御機能付増幅器の利得の和が常に一定となるように、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が大きくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を小さくし、受話側の利得制御機能付増幅器の利得が小さくなれば送話側の利得制御機能付増幅器の利得を大きくすることを特徴とする請求項4記載の拡声通話システム。
- 前記音声生成ブロックは、屋内通話端末が何れかの屋外通話端末との通話中に必要に応じて警報メッセージや警報音のような特殊音を生成し、且つ通話を中断させずに生成した特殊音を受話信号に重畳させて屋内通話端末のスピーカから出力させてなり、前記通話処理手段は、通話中の特殊音重畳時に特殊音が出力されている間は同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の拡声通話システム。
- 通話処理手段は、特殊音のレベルが所定の閾値以上の場合にのみ同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とする請求項6記載の拡声通話システム。
- 通話処理手段は、特殊音の種類に応じて同時通話処理ブロックにおける音響エコーキャンセラの適応フィルタ係数更新処理並びに総損失量算出部の更新モードの動作を停止させることを特徴とする請求項6記載の拡声通話システム。
- 通話者によって操作可能な操作部を有し、操作部が操作されると映像信号処理手段を起動して表示手段に映像を表示させる映像モニタ手段を備え、挿入損失量制御手段は、映像モニタ手段により映像信号処理手段が起動されると送話側損失挿入手段の挿入損失量を増大し且つ受話側損失挿入手段の挿入損失量を減少させて音声スイッチを強制的に受話状態に設定し、受話側の利得制御機能付増幅器は、通話時に比較して大きな利得に設定されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の拡声通話システム。
- 送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定する近端側背景雑音レベル推定手段と、近端側背景雑音レベルの推定値に応じて受話側の利得制御機能付増幅器の利得を制御する受話音量利得制御手段とを音声通話処理回路に設けたことを特徴とする請求項9記載の拡声通話システム。
- 音響エコーキャンセラ及び回線エコーキャンセラの動作モードを、適応フィルタ係数更新処理が行われる係数更新モード、適応フィルタ係数を固定する係数固定モード、適応フィルタ係数更新処理を停止して入力信号を通過させるスルーモードの何れかに切り換えるエコーキャンセラ動作制御手段を屋内通話端末に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の拡声通話システム。
- 音声スイッチの動作状態を、総損失量算出部が更新モードで動作する更新状態、総損失量算出部が固定モードで動作する固定状態、挿入損失量分配処理部が受話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制送話状態、挿入損失量分配処理部が送話側挿入損失手段への挿入損失量の配分を強制的に増大する強制受話状態の何れかに切り換える音声スイッチ動作制御手段を音声通話処理回路に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の拡声通話システム。
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