JP3684321B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特にヘテロ構造を有する化合物半導体の異方性ウエットエッチングに好適な半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaAs等化合物半導体素子の製造工程において、エッチング加工は重要な工程であり、とりわけヘテロ構造の一方の半導体のみを選択的に加工する選択エッチング技術は、ヘテロ接合素子形成には必要不可欠である。
【0003】
従来のプラズマエッチングに代表されるドライエッチングは、例えばジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス・20巻・11冊・L847−L850項・1981年(Journal of Applied Physics, vol.20, No.11, p.L847-L850)に記載されているように、高選択性と加工形状制御の面で優れていた。しかしながら、これらの方法ではエッチング加工時に印加する高周波プラズマの影響で、活性層に損傷が侵入することが分かり、問題となった。
【0004】
そこで、例えばジャーナル・オブ・ヴァキューム・サイエンス・テクノロジー・B15巻・1冊・167−170項(Journal of Vacuum Science Technology, B15, 1, p.167-170)に記載されているような有機酸を用いてpHを制御することにより選択加工する方法が提案された。この方法は、損傷を全く与えない加工方法として利用されているが、等方的な加工形状となり、より微細化された素子形成には閾値等の制御性には優れていても寸法制御性の面で問題があり、寸法制御性に優れた異方性選択ウエットエッチング方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消することにあり、半導体基板に損傷を与えることなく、寸法制御性及び歩留まり向上を可能とする異方性選択ウエットエッチング工程を有する半導体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者等は、GaAs/AlGaAsヘテロ構造において、GaAsを高選択に加工する手段としてクエン酸、アスコルビン酸、過酸化水素及びアンモニアと水から構成されるウエットエッチング液について、種々実験検討した。
【0007】
その結果、エッチング液のpH値及びエッチング温度を特定範囲に設定することにより、AlGaAs層をエッチング停止層としてGaAs層を選択的にプラズマ処理によるドライエッチングと同程度の異方性を維持した状態でエッチングすることができるという知見を得ることができた。
【0008】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、後述するようにpH値を6〜8とし、エッチング温度を10℃未満に制御すれば異方性エッチングができ、また、エッチング温度を10℃以上に昇温すれば同一組成のエッチング液で等方性エッチングができると言うことが分かった。
【0009】
また、上記GaAs/AlGaAsヘテロ構造の代わりに、InPもしくはInAlAs/InGaAsヘテロ構造とし、InPもしくはInAlAsをエッチング停止層として、InGaAsを選択的にエッチングする場合には、pH値を6〜8の代わりにpH値を5以下に低く設定すれば、上記GaAsの場合と同様の方法でドライエッチングと同程度の異方性を維持した状態でエッチングできることも分かった。
【0010】
図1は、本発明のエッチング液のpH値とエッチングレート(速度)との関係を示したものであり、AlGaAs層をエッチング停止層として、GaAs層を選択的に異方性エッチングする原理を説明するものである。
【0011】
図示のようにAlGaAs層は、pH6〜8の領域で急激にエッチングレートが低下するのに対し、このpH領域でのGaAs層のエッチングレートの変化は格段に小さい。したがって、このpH領域におけるGaAs層のAlGaAs層に対する選択比は極めて大きくなり、異方性エッチングを可能とする。
【0012】
また、図2はInPもしくはInAlAsをエッチング停止層として、InGaAs層を選択的に異方性エッチングする原理を説明するものである。図示のように、この場合には、InPもしくはInAlAs層は、pH5以下の領域で急激にエッチングレートが低下するのに対し、このpH領域でのInGaAs層のエッチングレートは逆に急増し大きくなる。したがって、このpH領域におけるInGaAs層のInPもしくはInAlAs層に対する選択比は極め大きくなり、異方性エッチングを可能とする。
【0013】
これら何れの場合も、エッチング液としては、クエン酸、アスコルビン酸、過酸化水素及びアンモニアと水から構成される同一組成のウエットエッチング液を使用したものであり、エッチング温度を5℃とした。
【0014】
このウエットエッチング液によるGaAsのエッチング断面形状は、10℃以上では(011)方向では(111)A面が強く出た所謂メサ形状、(011)方向では(111)A面と(111)Bが同等に現われたいずれもサイドエッチングの深く侵入した形状となる。
【0015】
これに対し、エッチング温度を10℃未満、例えば5℃に設定すると断面形状は、(011)方向で(111)Aに(111)B面の影響が現われ始めた楔型の形状となり、深さ方向に対するサイドエッチ量が著しく減少する。
さらに(011)方向ではサイドエッチングの全く入らない完全な異方性形状を示す。
【0016】
これらは、(100)面のエッチング速度に対して、エッチング律速となっている(111)A面、(111)B面のエッチング速度が著しく減少し、特に(011)方向に対してはエッチング速度がほぼ0に等しいために起ると推測される。
【0017】
エッチング温度と各断面のエッチング形状は、模式的に図3の状態図に示す通りである。これらの現象を応用すれば、エッチングによる寸法制御性が大幅に向上し、素子性能や歩留まりの大幅な向上が期待できる。
【0018】
特に、微細化されたHEMTやMESFET等のFETのゲートリセスエッチングにはその効果は絶大であり、これまでドライエッチングでしか得られなかった異方性加工を損傷を全く与えること無く行うことができる。ドライエッチングの場合、前述したようにプラズマ処理による損傷は避けられない。
【0019】
さらに、設計の段階で素子の形成方向を(011)断面に配置することにより、より寸法制御性に優れた加工が可能となる。
【0020】
また、上述したようにエッチング温度を変更するだけで異方性から等方的な加工方法も可能となるため、等方性加工と本発明の異方性エッチング方法とを組み合わせたプロセスを組むことが容易に可能であり、プロセス適用性も良好である。特別な投資も不要であり、製品の低コスト化にも寄与する。
【0021】
また、本発明ではウエットエッチングによるヴィアホール形成の際に(111)面等エッチングを妨げる面方位の露出によるエッチング停止により、50〜60μm程度の深さまでしか加工できなかった問題が全く発生せず、ヴィアホール形成等化合物半導体の深い孔形成にも非常に有効である。これについては、実施例4で具体的に説明する。
【0022】
【発明実施の形態】
本発明の異方性ウエットエッチング工程を有する半導体装置の製造方法においては、上記の通り、GaAs/AlGaAsヘテロ構造、すなわち、AlGaAs層をエッチング停止層としてその上のGaAs層をウエットエッチングにより選択的にエッチングする第1の方法と、上記GaAsの代わりにInGaAsとし、上記AlGaAsの代わりにInPもしくはInAlAsをエッチング停止層としてInGaAsを選択的にエッチングする第2の方法とがある。
【0023】
エッチング液は、アスコルビン酸を少なくとも含有する有機酸と、過酸化水素と、pH調製剤とを含む水溶液で構成し、上記第1の方法の場合には、pH6.0〜8.0に調製し、上記第2の方法の場合には、pH5以下に調整して使用する。
【0024】
アスコルビン酸以外の有機酸としては、例えばクエン酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、及びアジピン酸等が挙げられる。
【0025】
有機酸中に占めるアスコルビン酸の好ましい組成範囲は、0.5wt%〜50wt%、更に好ましくは5wt%〜50wt%である。例えばアスコルビン酸に対するクエン酸の好ましい割合は50wt%〜95wt%である。つまり、この場合、有機酸中に占めるアスコルビン酸の好ましい割合は、5wt%〜50wt%となる。
【0026】
また、過酸化水素の好ましい濃度は、0.3wt%〜1.0wt%である。これについては、図4に過酸化水素水濃度とエッチング速度との関係を具体的に示した。この場合の濃度はエッチング液全量に対する割合で示した。過酸化水素は選択性の発現には不可欠だが、過剰に加えるとエッチング自体が進行しなくなる。したがって、上記のように上限は1.0wt%となる。また、逆に少なくすると選択性が十分に得られなくなる。したがって、下限は0.3wt%となる。
【0027】
pH調製剤としては、例えばアンモニア、尿素、アミン類等の金属原子を含まないアルカリ液が使用できる。
【0028】
以下、図5〜図8に示した断面工程図にしたがって、本発明の代表的な実施例を順次説明する。
〈実施例1〉
図5は、本発明のウエットエッチング方法を、GaAs系HEMT(High Electron Mobility Transistorの略称)素子の製造工程に応用した一例を示したものである。
【0029】
このHEMT素子は、3段リセスオフセットゲート構造となっており、以下に説明するようにゲート電極形成までに3回のリセス工程を行う。
【0030】
先ず、図5(a)に示すように、周知の成膜方法によって、半絶縁性GaAs基板1上に、Al0.25Ga0.75Asキャリア供給層(10nm)2/In0.5Ga0.5Asチャネル層(8nm)3/Al0.25Ga0.75Asキャリア供給層(12nm)4/Al0.25Ga0.75Asバリア層(15nm)5/Planarドープ層6/n−GaAsカバー層(30nm)7/Al0.25Ga0.75Asエッチング停止層(3nm)8/n+−GaAsキャップ層(70nm)9/Al0.25Ga0.75Asエッチング停止層(3nm)10/n+−GaAsキャップ層(80nm)11を順次積層する。
【0031】
次に、レジストマスクを利用して本発明のウエットエッチングにより予め1段目と2段目のリセスエッチングを行う。エッチング液としてはクエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液を利用した。
【0032】
エッチング条件は、次の通りであり、先ず、アスコルビン酸混合割合40%のクエン酸+アスコルビン酸の混合物2.3wt%、過酸化水素0.6wt%の割合で配合し、水とpH調整剤としてアンモニアを添加してpH6.5のエッチング液を調整した。エッチング温度は30±0.1℃である。
【0033】
図示のように、厚さ3nmのAl0.25Ga0.75As層8、10をエッチング停止層として、それぞれ幅1.0μm・厚さ70nm、幅1.2μm・厚さ80nmの加工寸法でn+−GaAsキャップ層9、11のエッチング加工を行う。
【0034】
次に、図5(b)及び図5(c)に示すように、周知の方法でSiO2絶縁膜12、PSG平坦化膜13、ソース・ドレイン電極14を形成する。絶縁膜12と平坦化膜13による多層膜構造と電子線描画、絶縁膜ドライエッチングによりゲートマスク(SiO2/PSG多層膜のゲートリセス用マスク)15を形成する。
【0035】
次に、図5(d)に示すように、本発明の選択ウエットエッチング方法により3段目のゲートリセス加工を行う。厚さ30nmのn−GaAsカバー層7を選択的にエッチング除去し、ゲート長0.13μmのゲート開口部の形成を行うが、エッチング停止層としては15nmのAl0.25Ga0.75Asバリア層5を利用している。
【0036】
ッチング条件は、エッチング温度を5±0.1℃としたことを除き、上記1段目と2段目のリセスエッチングと同様のエッチング液を用いて行った。最後に、ゲート電極16を被着して素子完成となる。
【0037】
本発明により異方的且つ選択的なGaAs加工が可能となり、ゲート長0.13μmという微細なゲートリセス加工を再現性良く行えるようになった。
【0038】
本発明により、歩留まりが従来に比較して約40%向上し、さらにプラズマ処理によるドライエッチングを全く使用しない工程を実現したことにより、デバイス信頼性が従来に比較して50%以上向上した。
【0039】
本実施例は、GaAs系HEMT素子について述べたが、もちろんこのHEMT素子を基本構造とするMMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuitの略称)などの集積回路にも有効である。
【0040】
実際に本実施例で製造したGaAs HEMTを基本構造とするデバイスを、ミリ波MMICに応用したところ、77GHzにおいて10dB以上の高周波利得が得られた。
【0041】
また、本実施例では3段リセス構造のHEMT素子への応用について述べたが、基本的なHEMT構造や2段リセス構造HEMTなど、その他の構造のHEMT素子についても同様な効果が得られる。
【0042】
また、MESFET(Metal Semiconductor Field Emission Transistorの略称)など、GaAs/AlGaAs選択エッチングを用いる素子や集積回路においても同様の効果が得られる。
【0043】
〈実施例2〉
この例は、本発明を歪緩和HEMT素子形成に応用した一例を示すものである。以下、図6にしたがって説明する。
この歪緩和HEMT素子は、オフセットゲート2段リセス構造となっており、以下に説明するように2段階のリセス加工を行う。
【0044】
先ず、図6(a)に示すように、周知の成膜方法によって、半絶縁性GaAs基板21上に、歪緩和バッファ層22、un―InGaAs/un―InAsPコンポッジトチャネル層(20/5nm)23、un−InAlAs層(2nm)24、n−InAlAsキャリア供給層(12nm)25、un−InAlAs(10nm)26、un―InP層(3nm)27、n−InPバリア層(2nm)28、n−InGaAs(5nm)29、n−InAlAs(20nm)30、n−InGaAs(120nm)31を順次積層する。
【0045】
先ず、1段目のn−InGaAsキャップ層31のリセス加工を0.4μm幅のホトレジストマスク32を用いてクエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液でエッチングした。
【0046】
エッチング条件は、次の通りであり、アスコルビン酸混合割合40%のクエン酸+アスコルビン酸の混合物2.5Wt%、過酸化水素0.6Wt%の割合で配合し、水とpH調整剤としてアンモニアとを添加してpH4.0のエッチング液を調整した。エッチング温度は30±0.1℃である。
【0047】
この際、エッチング液は等方性の加工形状を示し、サイドエッチングによりリセス加工寸法は0.6μmとなる。
【0048】
次に、図6(b)に示すように、2段目のリセス加工を行うが、EB描画と平坦化エッチングバック技術を用いた側壁プロセスにより0.13μm幅の絶縁膜マスク(SiO2/PSG多層膜からなるゲートリセス用マスク)33を形成した後、上記1段目のリセス加工に用いたエッチング液と同一組成のエッチング液を用い、温度を5±0.1℃に制御して、InGaAs/InP(エッチング停止層)の選択エッチング加工を行う。エッチング液温度を5℃まで低下させることにより、InGaAs層29のエッチング形状は異方的となり、寸法制御性に優れた加工が可能となった。
【0049】
の後、図6(c)に示すように、ソース・ドレイン電極34、ゲート電極35形成を行い、素子の完成となる。従来、プラズマ処理によるドライエッチングでしか加工できなかったInGaAs層29の加工を、本実施例によればInP層28に対して300以上の高選択性を確保しながら異方性加工できるようになった。
【0050】
また、本発明は、マスクにアンダーカットが入っているような場合、マスク開口寸法ではなくアンダーカット部分の開口寸法を保持しながら異方性加工が可能である。この特徴により、これまで複雑な工程を経なければ形成できなかった本実施例のような構造を簡便、かつ、短時間に形成できるようになった。
【0051】
本実施例によれば、ドライエッチングによるプラズマ損傷も皆無となり、素子寿命が従来よりも100%以上向上した。
また、面内均一性も飛躍的に向上し、3インチウエハ面内についてしきい電位で30mV以内、エッチング量にして0.3nm以内に制御することが可能となった。また、均一性としてはしきい電位の標準偏差15mVという良好な値が得られており、従来方法に比較して80%以上の高歩留まり化が達成された。
【0052】
本実施例は、2段リセスオフセットゲート構造歪緩和HEMT素子への応用例を述べたが、1段リセス構造、3段リセス構造等、その他の構造を有する歪緩和HEMTやInP系HEMT素子およびこれらのHEMT素子を基本構造とするMMIC等集積回路の製造においても有効である。特に、本実施例の歪緩和HEMT素子を基本構造とするMMICの製作には有効で、従来方法に比較して80%以上の高歩留まり向上が達成されている。
【0053】
〈実施例3〉
この実施例は、C−Top構造HBT(Heterojunction Bipolar Transistorの略称)素子製造に本発明のウエットエッチング方法を応用した一例であり、以下、図7にしたがって説明する。
【0054】
この素子はエミッタコンタクト層のエミッタ層側の面積をベース・コレクタ面積以下とし、反対側の面積を大きくすることでエミッタ接地電流増幅率を大きくすることが可能であり、ベース下のサイドエッチング量の制御が重要となる。
【0055】
先ず、図7(a)に示すように、周知の成膜方法によって、半絶縁性GaAs基板41上に、n+−GaAsエミッタコンタクト層42、n+−Al0.3Ga0.7As層43、n+−GaAsエミッタコンタクト層44、n+−Al0.3Ga0.7As層45、n−In0.5Ga0.5Pエミッタ層46、p+−GaAs0.5P0.5ベース層47、n−GaAsコレクタ層48、n+−GaAsコレクタ層49、n+−In0.5Ga0.5Asコレクタコンタクト層50、コレクタ電極51、SiO2側壁52を形成する。
【0056】
すなわち、n−GaAsコレクタ層48および高ドープn−GaAsコレクタ層49、高ドープn−In0.5Ga0.5Asコレクタコンタクト層50をコレクタ電極51であるWSiをマスクとして、本発明の選択ウエットエッチングにより自己整合的に加工する。
【0057】
エッチング条件は、次の通りである。先ず、クエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液として、アスコルビン酸混合割合40%のクエン酸+アスコルビン酸の混合物2.5Wt%、過酸化水素0.6Wt%の割合で配合し、水とpH調整剤としてアンモニアとを添加してpH4.0のエッチング液を調整した。エッチング温度は8±0.1℃とした。
【0058】
これにより、p+−GaAsPベース層47をエッチング停止層として選択比250以上の高選択異方性エッチングが可能となった。従来法では、選択性を有さない異方性ドライエッチングによる加工方法でしか達成されなかった構造が、本発明の選択ウエットエッチングにより簡便、低損傷且つ高精度に加工できるようになり、スループットや歩留まりが大幅に向上した。
【0059】
図7(b)に示すように、側壁SiO252を形成した後、厚膜レジスト53をマスクとしてp+−GaAsPベース層47からn+−AlGaAs層45までを、上記図7(a)のエッチング液と同一組成のクエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液でエッチングした。ただし、エッチング液のpHを6.5に調整した。エッチング温度は上記の場合と同様に8±0.1℃とした。
【0060】
このエッチング条件では、特に各半導体層間での選択性は発現せず、異方的な加工形状のみが達成されるため、時間制御により次のn+−GaAsエミッタコンタクト層44まで十分到達した段階で一旦エッチングを停止する。
【0061】
図4−c
更に、図7(c)に示すように、上記図7(b)のエッチング液と同一組成のクエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液でエッチングする。ただし、この場合のエッチング温度は20±0.1℃とした。このエッチング条件では、等方的な加工形状を示し、AlGaAs層43に対し、200以上の高選択性を示すことから,n+−GaAsエミッタコンタクト層44のみをサイドエッチ量300nmまで制御して加工することが可能である。
【0062】
図7(d)に示すように、厚膜レジスト53を除去した後、p+−GaAsPベース層47までを平坦化絶縁膜55で封止し、ベース電極54、エミッタ電極56を形成して素子の完成となる。
【0063】
本発明の選択ウエットエッチングを用いることにより、すべての化合物半導体加工をウエットエッチングにより達成でき、これにより素子形成のスループット、歩留まりが50%以上向上すると共に、損傷皆無な加工(プラズマ処理をしないので)であるため、従来のドライエッチングによる加工に比べ、素子寿命を200%以上大幅に向上できた。
【0064】
なお、本実施例はC−Top構造HBT素子への応用例を述べたが、その他の構造のHBT素子やこれらを基本構造とする集積回路等についても同様の効果が得られる。
【0065】
〈実施例4〉
この実施例は、GaAs基板にヴィアホールを形成する際に、本発明のウエットエッチング方法を応用した例であり、以下、図8にしたがって説明する。
【0066】
図8(a)に示すように、予め周知の方法でGaAs基板63の表面に素子・回路形成後、この表面を下にしてGaAs基板63をガラス基板61にワックス62を用いて接着、両面コンタクトアライナを利用してエッチングマスク64を形成する。
【0067】
次に、図8(b)に示すように、本発明のクエン酸−Lアスコルビン酸−過酸化水素−アンモニア−水系エッチング液で、ヴィアホール66の加工を行う。
【0068】
エッチング条件は、アスコルビン酸混合割合40%のクエン酸+アスコルビン酸の混合物3.0Wt%、過酸化水素0.3Wt%の割合で配合し、水とpH調整剤としてアンモニアとを添加してpH6.5のエッチング液を調整し、エッチング温度5±0.1℃として深さ120μmのヴィアホール66を加工した。
【0069】
図9(a)の比較例に示したように、従来の硫酸−過酸化水素系GaAsエッチング液等を用いた場合には、(111)面が露出し、深さ50〜60μmでエッチング停止してしまうことが大きな問題であった。すなわち、この図は、GaAs基板71にマスク72を設けてエッチングした際のエッチング状態を模式的に示したものである。しかし、図9(b)に示したように、本発明を利用することで(111)面を露出させることなく、異方的なヴィアホールが形成できるようになった。
【0070】
その後、図8(c)に示したように、孔内に金メッキ膜65を施してヴィアホールが完成する。本発明のエッチング方法を利用することで、120μmという深いGaAsヴィアホール66が実現可能になった他、異方性加工であるため素子集積度が40%以上向上したり、従来のドライエッチングによるヴィアホールに比較して平滑性が大幅に向上したため、金メッキ膜被覆率が80%以上向上するといった効果も同時に得られた。
【0071】
この実施例ではGaAs基板に裏面からヴィアホールを形成する方法として記述したが、基板表面に形成される素子および集積回路は、高周波特性向上や熱放散が必要なミリ波MMIC、RFモジュール等ヴィアホールが有効な高周波デバイス、高出力デバイスであれば何でも良い。また、本実施例は裏面からヴィアホールを形成する方法としたが、表面からヴィアホール形成を行っても同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGaAs/AlGaAs(エッチング停止層)ヘテロ構造の異方性エッチングについて原理説明するエッチング液のpH値とエッチングレートとの関係を示した特性曲線図。
【図2】本発明のInGaAs/InPもしくはInAlAs(エッチング停止層)ヘテロ構造の異方性エッチングについて原理説明するエッチング液のpH値とエッチングレートとの関係を示した特性曲線図。
【図3】本発明の原理を説明するためのエッチング温度、過酸化水素濃度とエッチング形状の関係を示した状態図。
【図4】本発明における過酸化水素水濃度とエッチング速度との関係を示した特性曲線図。
【図5】本発明の実施例となるGaAs系HEMT素子の製造工程図。
【図6】本発明の実施例となる歪緩和HEMT素子の製造工程図。
【図7】本発明の実施例となるC−Top構造HBT素子の製造工程図。
【図8】本発明の実施例となるヴィアホール形成工程図。
【図9】ヴィアホール形成における従来技術の問題点と対比して示した本発明のエッチング断面構造図。
【符号の説明】
1…半絶縁性GaAs基板、
2…Al0.25Ga0.75Asキャリア供給層(10nm)、
3…In0.5Ga0.5Asチャネル層(8nm)、
4…Al0.25Ga0.75Asキャリア供給層(12nm)、
5…Al0.25Ga0.75Asバリア層(15nm)、
6…Planarドープ層、
7…n−GaAsカバー層(30nm)、
8…Al0.25Ga0.75Asエッチング停止層(3nm)、
9…n+−GaAsキャップ層(70nm)、
10…Al0.25Ga0.75Asエッチング停止層(3nm)、
11…n+−GaAsキャップ層(80nm)、
12…SiO2、
13…PSG、
14…ソース・ドレイン電極、
15…ゲートリセス用マスク(SiO2/PSG多層膜)、
16…ゲート電極、
21…半絶縁性GaAs基板、
22…歪緩和バッファ層、
23…un―InGaAs/un―InAsPコンポッジトチャネル層(20/5nm)、
24…un−InAlAs層(2nm)、
25…n−InAlAsキャリア供給層(12nm)、
26…un−InAlAs(10nm)、
27…un―InP層(3nm)、
28…n−InPバリア層(2nm)、
29…n−InGaAs(5nm)、
30…n−InAlAs(20nm)、
31…n−InGaAs(120nm)、
32…レジスト、
33…ゲートリセス用マスク(SiO2/PSG多層膜)、
34…ソース・ドレイン電極、
35…ゲート電極、
41…半絶縁性GaAs基板、
42…n+−GaAsエミッタコンタクト層、
43…n+−Al0.3Ga0.7As層、
44…n+−GaAsエミッタコンタクト層、
045…n+−Al0.3Ga0.7As層、
46…n−In0.5Ga0.5Pエミッタ層、
47…p+−GaAs0.5P0.5ベース層、
48…n−GaAsコレクタ層、
49…n+−GaAsコレクタ層、
50…n+−In0.5Ga0.5Asコレクタコンタクト層、
51…コレクタ電極、
52…SiO2側壁、
53…レジストマスク、
54…ベース電極、
55…SiO2、
56…エミッタ電極、
61…ガラス基板、
62…接着用ワックス、
63…GaAs基板、
64…レジスト、
65…金メッキ膜、
71…GaAs基板、
72…マスク。
Claims (5)
- 化合物半導体構造のAlGaAs層をエッチング停止層としてGaAs層を選択的に加工する工程において、少なくともアスコルビン酸を含む有機酸と、過酸化水素と、水及びpH調整剤とを含むエッチング液を用いてpHを6.0〜8.0に調整し、エッチング液温度を10℃未満に制御してエッチングする異方性ウエットエッチング工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 化合物半導体構造のInP層もしくはInAlAs層をエッチング停止層としてInGaAs層を選択的に加工する工程において、少なくともアスコルビン酸を含む有機酸と、過酸化水素と、水及びpH調整剤とを含むエッチング液を用いてpHを5以下に調整し、エッチング液温度を10℃未満に制御してエッチングする異方性ウエットエッチング工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 前記有機酸はクエン酸を含み、クエン酸のアスコルビン酸に対する割合が50〜95wt%であることを特徴とする請求項1もしくは2記載の半導体装置の製造方法。
- 前記pH調整剤を、金属原子を含まないアルカリ液としたことを特徴とする請求項1もしくは2記載の半導体装置の製造方法。
- 請求項1もしくは2記載の異方性ウエットエッチング工程と、前記異方性ウエットエッチング工程で使用するエッチング液と同一組成のエッチング液を用いてエッチング液温度を10℃以上に制御してエッチングする等方性ウエットエッチング工程とを組み合わせて、異方性ウエットエッチングと等方性ウエットエッチングとを段階的に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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