JP3683435B2 - 貯湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給茶機等に装備される貯湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給茶機では、ヒータを装備した貯湯タンクを備え、お茶を生成するための湯を得るようにしている。この貯留された湯は通常、タンクに備えられた温度センサにより湯温を検知する一方、予め設定温度を定めておき、図5に示すように、湯温が設定温度を所定値上回ったところでヒータをオフし、逆に湯温が設定温度を所定値下回ったところでヒータをオンすることによって、貯留された湯の温度をほぼ設定温度に保持するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、標高の高い所等、気圧が低い所ほど水の沸点が低下することが知られている。標高と沸点との関係を示すと、以下のようである。
通常、貯湯タンクに貯留される湯の加熱温度は94℃程度に設定され、従ってヒータのオフ温度は設定温度に1.5℃を加えた95.5℃、一方のオン温度は、設定温度から1.5℃を減じた92.5℃とされている。
【0004】
しかるに給茶機が標高の高い所で使用され、そこでの水の沸点がヒータのオフ温度(95.5℃)を下回る温度(例えば93℃)であったとすると、図6に示すように、沸騰に至った後もヒータがオフとはされず、沸騰状態が継続されることになる。そうすると、給茶機の機体の内外に水蒸気による結露並びに結露水の滴下が多量に発生するという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、貯留された湯の沸騰が継続されることを防止するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、湯を貯留するタンクと、このタンク内の湯の水位を所定に保持すべく清水を補給する清水補給手段と、前記タンク内に貯留された湯を加熱するヒータと、前記タンク内の湯温を検知する温度センサとを備え、この温度センサによる検知温度を設定温度と比較しつつ前記ヒータのオンオフを制御して湯温を所定値に保持するようにした貯湯装置において、前記タンク内の湯が沸騰したこと並びにその沸騰温度を検知する沸騰検知手段と、前記沸騰の検知に基づいて前記ヒータをオフとするヒータ制御手段と、前記沸騰温度に基づいて前記設定温度を補正する設定温度補正手段とを具備し、かつ前記沸騰検知手段にはタイマが付設され、前記タンク内の湯温が所定温度に至ったのち前記ヒータが所定時間継続してオン状態にあることが前記タイマにより計時されることにより、前記沸騰が検知されるようになっており、さらに清水が補給されたことを検知する清水補給センサが備えられ、前記タイマの計時中に前記清水補給センサにより清水が補給されたことが検知されると、前記タイマの計時をリセットする手段が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
予め定められた設定温度よりも水の沸点が低い場合、すなわち通常であれば貯留された湯が沸騰したにも拘わらずヒータがオフ制御されない状況にあっても、湯が沸騰したことが沸騰検知手段により検知されると、ヒータ制御手段によりヒータが強制的にオフされる。併せて、設定温度補正手段により沸騰温度に基づいて設定温度が補正され、以降は湯が沸騰に至る前にヒータがオフとされる制御が行われて、湯はその沸騰を見ることなく補正された設定温度に保持される。
タンクに貯留された湯が沸騰し続けることが防止され、もって水蒸気による結露並びに結露水の滴下の発生が防止される。
【0008】
また、タンク内の湯温が所定温度に至ったところでタイマがスタートし、タイムアップするまでヒータがオン状態にあると、タンク内の湯が沸騰状態にあると見なされる。
ここで、タイマがスタートしたのちタイムアップするまでの間に清水が補給されると、湯温が一旦低下するため、タイムアップまでヒータがオン状態にあったとしても、沸騰に至らない場合があり得る。そうした場合、タイムアップした時点の湯温が沸騰温度と見なされて、実際の沸騰温度よりも低い温度に基づいていたずらに低い設定温度に補正される結果となる。
その点この発明では、タイマの計時中に清水が補給されたことが清水補給センサにより検知されると、タイマがリセットされる。すなわちタイマの計時動作が一旦キャンセルされ、湯温が改めて所定温度に上昇したところでタイマが再スタートするように機能する。したがって、湯が沸騰に至ったこと並びに沸騰温度を誤差無く検知することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。この実施形態では、給茶機に装備された貯湯装置を例示している。
まず、図1により給茶機並びに貯湯装置の概略の構造と作用を説明する。給茶機には、湯を貯留するための貯湯タンク1が備えられており、その上面には、給水弁2を介設した給水管3が臨んでいるとともに、内部には、上限水位と下限水位とを検知する水位センサ4A,4Bが設けられている。貯湯タンク1の底部にはヒータ5が設けられているとともに、内部には温度センサ6が設けられている。側壁の底部側には、給湯弁7の介設された給湯管8が突設され、その先端に設けられたシャワー式の吐出口9が、茶葉を入れた茶漉器10の上方に臨んでいる。また、マイクロコンピュータ等を搭載した制御部15が設けられている。
【0010】
運転中は、温度センサ6で検知された湯温と、湯温設定部16に予め設定された湯の設定温度(例えば94℃)とが比較されつつヒータ5のオンオフが制御され、貯湯タンク1内に貯留された湯の温度がほぼ設定温度に保持される。そして、注出スイッチ12を操作すると、給湯弁7が所定時間開放されて所定量の湯が吐出され、茶漉器10を通過することでお茶として容器X内に注出される。湯の吐出に伴って水位が下がり、下限水位に達したことが下側の水位センサ4Bで検知されると、給水弁2が開いて清水が補給され、上限水位まで達したことが上側の水位センサ4Aで検知されると補給が停止され、この繰り返しにより、貯湯タンク1内の水位が一定(上限水位)に保持されるようになっている。
【0011】
さて本実施形態では、給茶機が標高の高い所等の水の沸点が低い場所に設置された場合に、貯湯タンク1内の湯が継続して沸騰しないようにした機能が備えられており、以下それについて説明する。
上記した制御部15には、沸騰制御部20が付設されている。この沸騰制御部20には、図2に示すようにタイマ21、沸騰検知部22、ヒータ制御部23、設定温度補正部24及びリセット部25が格納されている。上記した給水弁2には、その開弁に伴って補給開始信号を送出する清水補給センサ26が付設され、温度センサ6とともに沸騰制御部20の入力側に接続されている。また、沸騰制御部20の出力側にはヒータ5と、温度設定部16とが接続されている。
【0012】
続いて、本実施形態の作動を図3のフローチャート並びに図4のタイミングチャートを参照して説明する。この実施形態では、給茶機の使用場所での沸点が93℃で、湯の予め定められた設定温度が94℃である場合を例示する。したがって、初めのヒータオフ温度は95.5(94+1.5)℃、ヒータオン温度は92.5(94−1.5)℃となっている。
【0013】
給茶機の運転中には、図3に示す沸騰防止制御ルーチンが実行される。湯温が初期のヒータオフ温度(95.5℃)を下回り(ステップS1が「NO」)、また90℃を下回っていると(ステップS2が「NO」)、ステップS3においてヒータ5がオンされて、貯湯タンク1内の湯が加熱される。図4のタイミングAのように、湯温が90℃まで上昇すると、ステップS4においてタイマ21がスタートする。それ以降も所定時間が経過するまでは、ヒータ5のオン状態が継続され、それに伴い湯温がさらに上昇する。図4に示すように、湯温が93℃になったところで沸騰するが、ヒータオフ温度はそれ以上(95.5℃)であるため、ヒータ5のオン状態がさらに継続されて沸騰状態が続く。
【0014】
図4のタイミングBに示すように、タイマ21がスタートしてから所定時間(12分)が経過すると(ステップS5が「YES」)、沸騰検知部22によりその沸騰温度(93℃)が記憶されるとともに、ステップS6において、ヒータ制御部23から信号が出されてヒータ5が強制的にオフとされる。
それとともにステップS7において、設定温度補正部24により設定温度の補正がなされる。具体的には、上記の沸騰検知部22に記憶された沸騰温度(93℃)がヒータオフ温度となるように新たな設定温度が演算される。設定温度は1℃ずつ補正可能となっているから、この場合は新たな設定温度が91℃となって湯温設定部16に設定される。それに伴い、新たなヒータオフ温度は92.5(91+1.5)℃、ヒータオン温度は89.5(91−1.5)℃となる。
それ以降は、図4に示すように、湯温が89.5℃まで下がるとヒータ5がオンし、湯温が92.5℃まで上がるとヒータ5がオフとなることが繰り返され、湯温は、沸騰温度(93℃)に至ることなく、ほぼ新たな設定温度(91℃)に保持される。
【0015】
なお、図4のタイミングCに示すように、タイマ21がスタートしてカウントされている最中に清水が補給されると、清水補給センサ26からの信号を受けてリセット部25によりタイマ21がリセットされる。この場合は、清水の補給が完了したのち、再び湯温が90℃に上昇したところでタイマ21が再スタートし、上記した沸騰検知が行われることになる。
【0016】
以上のようにこの実施形態によれば、水の沸点が低い場所に給茶機が設置され、通常であれば貯湯タンク1内の湯が沸騰したにも拘わらずヒータ5がオフ制御されない状況にあっても、湯が沸騰したことが検知されると、ヒータ5が強制的にオフされるとともに、そのときの沸騰温度に基づいて設定温度が下降補正され、以降は湯が沸騰に至る前にヒータ5がオフとされる制御が行われて、湯はその沸騰を見ることなく補正された設定温度に保持される。
【0017】
すなわち貯湯タンク1に貯留された湯が沸騰し続けることが防止され、また一旦沸騰が検知されて設定温度が補正されたのちは二度と沸騰することが無くなるから、水蒸気が機体の内外に大量に結露したり結露水が滴下することが防止される。
また、沸騰による湯の蒸発が防止されるから、ヒータ5の空焚きも防がれる。さらに、高温状態における長時間のヒータ通電が無くなるから、ヒータ5の過度の発熱が抑制され、ヒータ5の故障の原因を減らすことができる。
また、ヒータ5が水没式の場合は、ヒータ5の表面が高温になり過ぎると、水道水に含まれるカルキが付着して損傷の原因となりやすいが、上記のようにヒータ5が長時間高温に晒されることが阻止されるから、損傷を未然に防止することができる。
【0018】
なお、タイマ21がスタートしたのちタイムアップするまでの間に清水が補給されると、湯温が一旦低下するため、タイムアップまでヒータ5がオン状態にあったとしても、沸騰に至らない場合があり得る。そうした場合、タイムアップした時点の湯温が沸騰温度と見なされて、実際の沸騰温度よりも低い温度に基づいていたずらに低い設定温度に補正される結果となる。
その点この実施形態では、清水が供給されたことが清水供給センサ26により検知されると、タイマ21の計時動作が一旦キャンセルされ、湯温が改めて所定温度(90℃)に上昇したところでタイマ21が再スタートするように機能する。したがって、湯が沸騰に至ったこと並びに沸騰温度を誤差無く検知することができる。
【0019】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)沸騰を検知すべくタイマをスタートさせる湯温と、タイマがタイムアップする時間とは、上記実施形態に例示した数値に限らず、必要に応じて適宜に変更し得るものである。
(2)また沸騰を検知する別の方法として、湯温を一定時間間隔ごとに見ており、所定の検知時間内での湯温の変化が所定以下であったら沸騰状態と見なすといった方法を採用してもよい。
(3)本発明は、給茶機に装備された貯湯装置に限らず、タンク内に貯めた湯の温度をヒータをオンオフ制御して設定温度に保持する形式の貯湯タンク全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る給茶機の概略図とブロック図
【図2】 沸騰制御部のブロック図
【図3】 沸騰防止制御のフローチャート
【図4】 そのタイムチャート
【図5】 従来例に係る湯温とヒータ制御の関係を示すグラフ
【図6】 沸点がヒータオフ温度を下回っている場合のタイムチャート
【符号の説明】
1…貯湯タンク 5…ヒータ 6…温度センサ 15…制御部 16…湯温設定部 20…沸騰制御部 21…タイマ 22…沸騰検知部 23…ヒータ制御部 24…設定温度補正部 25…リセット部 26…清水供給センサ
Claims (1)
- 湯を貯留するタンクと、このタンク内の湯の水位を所定に保持すべく清水を補給する清水補給手段と、前記タンク内に貯留された湯を加熱するヒータと、前記タンク内の湯温を検知する温度センサとを備え、この温度センサによる検知温度を設定温度と比較しつつ前記ヒータのオンオフを制御して湯温を所定値に保持するようにした貯湯装置において、
前記タンク内の湯が沸騰したこと並びにその沸騰温度を検知する沸騰検知手段と、前記沸騰の検知に基づいて前記ヒータをオフとするヒータ制御手段と、前記沸騰温度に基づいて前記設定温度を補正する設定温度補正手段とを具備し、
かつ前記沸騰検知手段にはタイマが付設され、前記タンク内の湯温が所定温度に至ったのち前記ヒータが所定時間継続してオン状態にあることが前記タイマにより計時されることにより、前記沸騰が検知されるようになっており、
さらに清水が補給されたことを検知する清水補給センサが備えられ、前記タイマの計時中に前記清水補給センサにより清水が補給されたことが検知されると、前記タイマの計時をリセットする手段が設けられていることを特徴とする貯湯装置。
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