JP3683154B2 - 振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置 - Google Patents

振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置,特に,長辺部と,その長辺部の少なくとも一端に連なる短辺部とを有する第1の合成樹脂部材を,振動治具上に設置されて振動を加えられる第2の合成樹脂部材上に位置決めするための位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば,第1の合成樹脂部材としては車両用インストルメントパネルを,また第2の合成樹脂部材としては空調用ダクトをそれぞれ挙げることができる。
【0003】
従来のインストルメントパネル用位置決め装置は2つの位置決め部材を備え,それら位置決め部材は,それぞれ斜面を持つ上向きの係合突部を有し,それら上向きの係合突部にインストルメントパネルの前縁部両端の部品取付孔をそれぞれ係合させて,そのインストルメントパネルの位置決めがなされる。このように,長辺部である前縁部両端を位置決め固定する理由は,短辺部である側縁部の両端を位置決め固定する場合に比べて,位置決め側と反対側の振れを少なくしてインストルメントパネルの位置決め精度を向上し得るからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の位置決め装置は金属より構成されているため,作業環境の寒暖による収縮量および膨脹量が,合成樹脂よりなるインストルメントパネルのそれらと異なり,特に,インストルメントパネルの前縁部側,つまり長辺部側において,その部品取付孔および位置決め部材間の長辺部長さ方向の寸法差が大となる。その結果,両位置決め部材上でのインストルメントパネルの両係合突起斜面に添った浮上りを招来し,それに起因してインストルメントパネルおよび空調用ダクト間の間隔が変動するため,インストルメントパネルおよび空調用ダクトからなる組合せ製品の溶着度合が安定しない,という不具合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は,第1の合成樹脂部材の長辺部側における前記のような寸法差を容易に吸収して,その合成樹脂部材を第2の合成樹脂部材に対して位置決めし,これにより,第1の合成樹脂部材および第2の合成樹脂部材間の間隔を略一定に保持して,両合成樹脂部材よりなる組合せ製品の溶着度合を安定化し得るようにした前記位置決め装置を提供することを目的とする。
【0006】
前記目的を達成するため本発明によれば,長辺部と,その長辺部の少なくとも一端に連なる短辺部とを有する第1の合成樹脂部材を,振動治具上に設置されて振動を加えられる第2の合成樹脂部材上に位置決めするための位置決め装置において,前記第1の合成樹脂部材における前記長辺部の中央部分を,長辺部長さ方向に関して移動不能に支持する第1位置決め部材と,前記長辺部における前記短辺部側の一端部分を,その一端部分の前記長辺部長さ方向の偏倚を許容して,その長辺部長さ方向と交差する方向に関し移動不能に支持する第2位置決め部材とを有する,振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置が提供される。
【0007】
前記のように構成すると,作業環境の寒暖により,第1の合成樹脂部材の長辺部側において,その一端部分および第2位置決め部材間に長辺部長さ方向の寸法差が生じても,その長辺部の中央部分は前記寸法差の影響を殆ど受けることがないので,その合成樹脂部材の中央部分を第1位置決め部材を介して第2の合成樹脂部材の規定部位に合致させることができ,また前記寸法差を第2位置決め部材により吸収することができる。これにより,第1の合成樹脂部材および第2の合成樹脂部材間の間隔を略一定に保持することが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1において,第1の合成樹脂部材としての車両用インストルメントパネル1は,長辺部としての前縁部2と,その前縁部2の少なくとも一端,実施例では両端に連なって相対向する2つの短辺部としての両側縁部3とを有する。
【0009】
インストルメントパネル1の裏面側には,第2の合成樹脂部材である空調用ダクト4が配置されている。インストルメントパネル1と空調用ダクト4とは,振動溶着法の適用下で部分的に溶着されている。その溶着部には,空調用ダクト4において,前縁,つまりデフロスタの長い2本の空気吹出し口5前縁に沿った長い2本の前部溶着部分aと,短い2本の側部溶着部分bと,短い5本の後部溶着部分cと,短い3本の中間部溶着部分dとが含まれる。
【0010】
図2,3において,振動溶着法を実施するための振動溶着機6は,非振動,つまり振動しない金属製枠形台7の内側に配置された振動源8と,その振動源8上面に設けられて図1,2の矢示方向,つまり図3においては紙面と直交する方向に振動させられる金属製振動治具9と,その振動治具9に対して昇降自在の金属製押圧治具10と,その押圧治具10を昇降させる作動シリンダ11とを有する。
【0011】
振動治具9は,振動源8上に固定された平板状治具本体12と,その治具本体12の上面に設けられて複数の溶着部分a〜dに対応する複数の支持部材を有する。即ち,前部溶着部分a対応の2つの前部支持部材Aと,側部溶着部分b対応の2つの側部支持部材Bと,後部溶着部分c対応の5つの後部支持部材Cと,中間部溶着部分d対応の3つの中間部支持部材Dとである。4つの後部支持部材Cはそれらが櫛歯をなすように1つに集合している。
【0012】
空調用ダクト4は,その所定部位を各前部支持部材A,各側部支持部材B,各後部支持部材Cおよび各中間部支持部材Dに支持させることによって振動治具9上に位置決めされる。
【0013】
位置決め後の空調用ダクト4上に,インストルメントパネル1を重ね合せて位置決めすべく,振動溶着機6に次のような金属製位置決め装置が付設される。その装置は,インストルメントパネル1における前縁部2の中央部分を,前縁部長さ方向Xに関して移動不能に支持する第1位置決め部材13と,前縁部2における側縁部側の一端部分,実施例では両端部分を,それら両端部分の前縁部長さ方向Xの偏倚を許容して,その前縁部長さ方向Xと交差する方向Yに関し移動不能に支持する2つの第2位置決め部材14とを有する。
【0014】
第1位置決め部材13は,図1,2,4に示すように,非振動の枠形台7上に立設されて,折曲げ部15を両前部支持部材A間から振動治具9上方に進入させた支持体16と,その折曲げ部15の略水平な先端上面に設けられた突出部17とを有する。
【0015】
各第2位置決め部材14は,図1,2に示すように,非振動の枠形台7上に立設されて,折曲げ部18を各前部支持部材Aの端部側から振動治具9上方に進入させた支持体19と,その折曲げ部18の略水平な先端上面に設けられた突出部20とを有する。
【0016】
図1,4に示すように,インストルメントパネル1の位置決めに当っては,その前縁部2の中央部分に存する開口部21を第1位置決め部材13の突出部17に係合させ,また両端部分の部品取付孔22を両第2位置決め部材14の突出部20にそれぞれ係合させる。
【0017】
この場合,第1位置決め部材13における突出部17の前縁部長さ方向(長辺部長さ方向)Xにおける長さeは開口部21の同方向Xにおける長さfよりも若干短いので,インストルメントパネル1はその前縁部長さ方向Xに関して移動不能に第1位置決め部材13に支持される。突出部17の前縁部長さ方向Xに交差する方向Yの長さgは開口部21の同方向Yにおける長さhよりも十分に短くなっている。
【0018】
前記のように構成すると,作業環境の寒暖によりインストルメントパネル1の前縁部2両端側において,その部品取付孔22および第2位置決め部材14間にそれぞれ前縁部長さ方向Xの寸法差が生じても,その前縁部2の中央部分は前記寸法差の影響を殆ど受けることがないので,そのインストルメントパネル1の中央部分を第1位置決め部材13を介して空調用ダクト4の規定部位に合致させることができる。
【0019】
両第2位置決め部材14における各突出部20の前縁部長さ方向Xにおける長さiは,部品取付孔22の同方向Xにおける長さjよりも十分に短いので,その余裕長さによってインストルメントパネル1の前縁部2側における前記寸法差を容易に吸収することができる。一方,各突出部20の前縁部長さ方向Xに交差する方向Yの長さkは部品取付孔22の同方向Yにおける長さmよりも若干短く,したがってインストルメントパネル1は前記交差する方向Yに関して移動不能に各第2位置決め部材14に支持される。
【0020】
このようにして,インストルメントパネル1は,前記寸法差に関係なく,第1および両第2位置決め部材13,14上において前縁部長さ方向Xおよびそれと交差する方向Yに移動不能に位置決めされる。これにより,インストルメントパネル1および空調用ダクト4間の間隔を略一定に保持する,例えばインストルメントパネル1を空調用ダクト4上に重ね合せることが可能である。
【0021】
この場合,第2位置決め部材14の一方を省いても,多少不安定ではあるが,前記同様の位置決めを行うことができる。
【0022】
押圧治具10における押圧面23は,所定の逃げ24を有する外,インストルメントパネル1表面に倣った形状を有する。
【0023】
溶着に当っては押圧治具10を下降させて,その押圧面23によりインストルメントパネル1を空調用ダクト4に押圧し,前部支持部材A等および押圧面23間に空調用ダクト4およびインストルメントパネル1の両被溶着部分n,oを密着させる。
【0024】
この状態で振動治具9を振動させると,各対をなす両被溶着部分n,oが摩擦熱により部分的に溶融して,前記のように前部溶着部分a等が形成される。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば前記のように構成することによって,作業環境の寒暖による第1の合成樹脂部材の長辺部側における前記寸法差を容易に吸収して,その合成樹脂部材を第2の合成樹脂部材に対して位置決めし,これにより第1の合成樹脂部材および第2の合成樹脂部材間の間隔を略一定に保持して,両合成樹脂部材よりなる組合せ製品の溶着度合を安定化し得るようにした,振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インストルメントパネルおよび空調用ダクトよりなる製品の概略平面図である。
【図2】振動治具と,第1,第2位置決め部材との関係を示す斜視図である。
【図3】インストルメントパネルおよび空調用ダクトを設置した振動溶着機の縦断側面図で,図1の3−3線断面図に相当する。
【図4】インストルメントパネルと位置決め部材との関係を示す縦断側面図で,図1の4−4線断面図に相当する。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル(第1の合成樹脂部材)
2 前縁部(長辺部)
3 側縁部(短辺部)
4 空調用ダクト(第2の合成樹脂部材)
9 振動治具
13 第1位置決め部材
14 第2位置決め部材
X 前縁部長さ方向(長辺部長さ方向)
Y 交差する方向

Claims (1)

  1. 長辺部(2)と,その長辺部(2)の少なくとも一端に連なる短辺部(3)とを有する第1の合成樹脂部材(1)を,振動治具(9)上に設置されて振動を加えられる第2の合成樹脂部材(4)上に位置決めするための位置決め装置において,前記第1の合成樹脂部材(1)における前記長辺部(2)の中央部分を,長辺部長さ方向(X)に関して移動不能に支持する第1位置決め部材(13)と,前記長辺部(2)における前記短辺部側の一端部分を,その一端部分の前記長辺部長さ方向(X)の偏倚を許容して,その長辺部長さ方向(X)と交差する方向(Y)に関し移動不能に支持する第2位置決め部材(14)とを有することを特徴とする振動溶着機の合成樹脂部材用位置決め装置。
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