JP3682691B2 - 楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子音楽装置に関し、特にある操作子に対応するノート番号を押圧センサ付の楽音情報割当操作子に割当てることができるようにした電子音楽装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、演奏データや伴奏データを作成・編集・記憶し、それらを再生することにより自動演奏や自動伴奏を行なう装置であるいわゆるシーケンサが知られている。シーケンサでは、演奏データや伴奏データを入力するときに鍵盤として使用したり、トラック選択などに用いるキースイッチが設けられている。キースイッチとしては、通常、押圧センサを備えていないオン/オフスイッチが用いられている。したがって、そのようなキースイッチではベロシティを指定することができない。鍵盤として用いる場合のキースイッチの操作時には、あらかじめ定めた一定のベロシティ値を発生し、操作されたキースイッチに対応するノート番号(キーコード)などの他の楽音情報とともに音源に送っていた。しかし、ベロシティ値が一定であるため、曲として単調で深みがなく、未完成な曲になってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、押圧センサ付の操作子を備えたシーケンサが考えられている。これにより、スネアドラムやバスドラムなどのドラム音のように、叩く強さに応じた音量で鳴らしたいような音色については、キーボードパッドなどの押圧センサ付の操作子を用いて、叩いた強さによってベロシティ値を変化させて発音させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、すべてのキースイッチに押圧センサを設けるとなると、操作子群の費用が高価になるとともに、装置の大きさが増大してしまう。
【0005】
一方、従来のキースイッチに加えて押圧センサ付のパッドを設け、任意のキースイッチのノート番号(ドラムキットなどの打楽器では音色を表す)をその押圧センサ付パッドに割当てることによって、操作子群の規模を増大させることなく任意のノート番号の楽音を押圧センサ付パッドでベロシティ値を変化させて発音させる方法が考えられる。しかし、演奏中はキースイッチの押下により楽音が発生されるように設定されているので、キースイッチのノート番号を押圧センサ付パッドに割当てるためにキースイッチを押下すると、そのキースイッチの押下により楽音が発生されてしまう。したがって、演奏中に押圧センサ付パッドへのノート番号の割当て操作を行なうことができず、演奏の幅を広げることができないという不具合があった。
【0006】
この発明は、上述の従来技術における問題点に鑑み、あるキースイッチのノート番号を押圧センサ付パッドに割当てる場合において、割当ての操作のためにキースイッチを押下したときは楽音情報を発生させることなく、たとえ演奏操作中であっても割当て操作を可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置は、与えられた楽音情報に応じて楽音信号を発生する楽音発生手段と、押圧センサを備えていない複数の第1操作子であって、それぞれにノート番号が対応付けられているものと、押圧センサを備えている第2操作子と、第3操作子と、前記第3操作子を先にオンしながら、前記複数の第1操作子のうちの1つと前記第2操作子とをオンしたときには、発音を行なうことなく、オンされた第1操作子に対応するノート番号を前記第2操作子に割当てる割当て手段と、前記第1操作子がオンされたときには、オンされた第1操作子に対応するノート番号と既定のベロシティ値を含む楽音情報を前記楽音発生手段に送出し、前記第2操作子がオンされたときには、その第2操作子に割当てられているノート番号とオンされたときに検出されたベロシティ値とを含む楽音情報を前記楽音発生手段に送出して、対応する楽音信号を発生させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記第2操作子が、前記第1操作子の数に比べて少ない数だけ設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記楽音情報は、ノート番号、キーオン信号、チャンネル番号、およびベロシティ値を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1において、前記第3操作子は、所定回数以上続けてオンすることにより、前記楽音発生手段で発生する楽音のテンポを設定する機能を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、この発明に係る電子音楽装置のシステム構成図である。この電子音楽装置は、中央処理装置(CPU)101、リードオンリーメモリ(ROM)102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103、操作子104、操作子回路105、ディスプレイ106、表示回路107、音源回路108、サウンドシステム109、サンプリング回路110、入出力(I/O)インターフェース111、MIDIインタフェース112、シリアルインタフェース113、フラッシュメディア114、タイマ115、およびバスライン116を備えている。
【0013】
CPU101は、この電子音楽装置全体の制御を行なう。ROM102は、CPU101が実行する制御プログラム(そのうち本発明に係るプログラムについては、後にフローチャートを参照して説明する)、各種の定数データ、および波形データなどを格納する。RAM103は、CPU101のワーク領域や各種のバッファなどとして用いられ、サンプリングされた波形データを格納する領域としても使用する。操作子104は、ユーザが操作するための複数の操作子であり、後述するキースイッチKEY、タップスイッチTAP、およびパッドPADを含む。操作子回路105は、操作子104の操作を検出し、操作情報をCPU101に送出する回路である。ディスプレイ106は、CPU101の指示により表示回路107を経て各種の情報を表示するための表示装置であり、この電子音楽装置のパネル上に設けられている。
【0014】
音源回路108は、CPU101の指示に基づいて楽音信号を生成し、サウンドシステム109に送出する。サウンドシステム109は音源回路108から送出される楽音信号に基づいて楽音を放音する。サンプリング回路110は、マイクなどにより外部の楽音を入力しサンプリングする回路である。サンプリングにより取得した波形データは、RAM103に格納して楽音生成に利用することができる。入出力(I/O)インターフェース111やシリアルインタフェース113は、各種の周辺機器を接続するためのインターフェースである。MIDIインタフェース112は、MIDI機器を接続するためのインターフェースである。フラッシュメディア114は、着脱可能なフラッシュメモリ媒体であり、波形データその他の各種データを格納する。
【0015】
タイマ115は、CPU101に対するタイマ割込信号を発生する。所定時間間隔で実行されるタイマ割込処理により、CPU101は、操作子104をスキャンし、その操作情報を取り込むことができる。バスライン116は、これらの各部を相互接続するバスラインである。
【0016】
図2は、図1に示した電子音楽装置の機能ブロック図である。オーディオIN201やマイクIN202から入力された音声信号は、サンプリング回路203にて所定のレートでサンプリングされ波形データとなり、波形メモリRAM204に格納される。また、波形メモリROM205には、あらかじめファクトリプリセットされた波形データが格納されている。サンプリング回路203は図1の110に、波形メモリRAM204は図1のRAM103に、波形メモリROM205は図1のROM102に、それぞれ対応する。
【0017】
206は、この電子音楽装置のパネル上の操作子(図1の104)の一部を示す。261は、ユーザが演奏操作するための鍵盤の役割などを果たす複数のキースイッチKEYを示す。262はタップスイッチTAPを示す。263,264は、それぞれパッドPADを示す。キースイッチKEY261とタップスイッチTAP262は、押圧センサを備えていない単なるオン/オフスイッチである。パッドPAD263,264は、押圧センサ付の操作子であり、これを叩くと叩いた押圧強さに応じたベロシティ値が出力されるものである。パネル上には、他にディスプレイ106やその他の操作子も設けられているが、ここでは省略する。パネル上のこれらの操作子の操作情報は、シーケンサー部209や音源部210に送られる。
【0018】
シーケンサー部209は、MIDI入力(IN)207から入力するMIDIデータを自動伴奏データや自動演奏データとして録音することができる。また、シーケンサー部209は、操作子206の操作によりこれらのデータを録音することもできる。録音したデータは、シーケンサー部209で再生して、MIDI出力(OUT)208や音源部210に出力することができる。MIDI入出力207,208は図1のMIDII/F112に対応する。シーケンサー部209は、図1のCPU101と所定のソフトウェアにより実現する。
【0019】
音源部210は、シーケンサー部209から再生された楽音情報に基づいて楽音を生成出力する。具体的には、与えられた楽音情報に従って、波形メモリRAM204や波形メモリROM205から波形サンプルデータを読み出し、楽音信号を生成して出力する。エフェクト回路211は、音源部210から入力された楽音信号に対して、残響や拡がり感などの音響的な変化の各種効果を付与してオーディオOUT212へ出力する。オーディオOUT212は、エフェクト回路211から出力されるエフェクト付与済の楽音信号に応じて楽音を放音する。音源部210とエフェクト回路211は、図1の音源回路108に対応する。オーディオOUT212は、図1のサウンドシステム109に対応する。
【0020】
この電子音楽装置では、再生時などにおいて操作子206の演奏操作に応じた演奏を行なうことも可能である。例えば、あらかじめ複数のキースイッチKEY261にそれぞれ任意にドラム音色(スネア、タムタム、シンバル、バスドラムなど)を割当て、それらのキースイッチKEY261を演奏操作してそのドラム音色の楽音を発音させることができる。この場合、キースイッチKEY261の操作に応じて、そのキースイッチに対応するノート番号(キーコード)と、キーオン信号と、所定(固定)のベロシティ値が音源部210に送られる。音源部210は、与えられたノート番号に割当てられているドラム音色の楽音を、与えられた所定のベロシティ値で発音する。
【0021】
さらに、押圧センサを備えた操作子であるパッド263,264に任意にキースイッチKEY261のノート番号を割当て、これらのパッド263,264で演奏操作して発音させることができる。パッド263,264の演奏操作を行なうと、叩かれたパッド263または264に割当てられているノート番号と、キーオン信号と、叩かれたときに検出されたベロシティ値が音源部210に送られる。音源部210は、与えられたノート番号に割当てられているドラム音色の楽音を、検出されたベロシティ値で発音する。
【0022】
パッド263,264へのキースイッチKEY261のノート番号(音色)の割当ては、演奏操作中でも行なうことができる。すなわち、タップスイッチTAP262を押下しながら、キースイッチKEY261の何れか1つとパッド263,264の何れか1つとを押下することで、押下したキースイッチKEY261のノート番号を、押下したパッド263または264に、割当てることができる。この際、キースイッチKEY261の押下による発音は為されない。もちろん、タップスイッチTAP262を押下することなくキースイッチKEY261を押下したときは、押下したキースイッチKEY261に対応するノート番号の楽音が発生される。なお、タップスイッチTAP262を先に押下してその状態を継続していれば、その後、キースイッチKEY261とパッド263,264のどちらを先に押下しても、パッドへのノート番号の割当てと認識するものとする。
【0023】
さらに、タップスイッチTAP262はテンポを設定する機能も備えている。具体的には、CDなどの曲のリズムにあわせてタップスイッチTAP262を拍位置で連打することにより、自動的にテンポが計算され、楽音再生のテンポが設定される。なお、タップスイッチTAP262を3回続けて叩くことにより、その操作がテンポ設定の入力として認識される。
【0024】
図3は、楽音情報のテンポ設定および割当て設定の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、タイマ割込処理として、所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0025】
まずステップS301で、タップスイッチTAP262が押されたか否かを判別する。タップスイッチTAP262が押されていない場合は、そのまま処理を終了する。ステップS301でタップスイッチTAP262が押されていた場合は、ステップS302に進み、タップスイッチTAP262が3回以上押されたか否かを判別する。なお、3回以上押されたことの判別は、1回目の押下と2回目の押下との時間間隔、および2回目の押下と3回目の押下との時間間隔が何れも所定時間内であったとき、3回押されたと判別するものとする。タップスイッチTAP262が3回以上押された場合は、ステップS303で、テンポ設定のための入力であると解釈し、タップスイッチTAP262を叩く間隔に応じてテンポを算出し、楽音再生のテンポとして設定する。
【0026】
ステップS302でタップスイッチTAP262が3回以上押されなかった場合は、ステップS304に進み、タップスイッチTAP262が押された状態でキースイッチKEY261のうちの何れか1つ、およびパッドPAD263または264が押されているか、つまり3つの操作子が同時に押されているかどうかを判別する。これら3つの操作子が同時に押されている場合は、ステップS305で、ノート番号のパッドPADへの割当て操作と解釈し、押されているキースイッチKEYに対応するノート番号を、押されているパッドPADに割当てる。ステップS304でタップスイッチTAP262を押した状態でキースイッチKEYとパッドPADが押されたのでない場合、つまり3つの操作子が同時に押されていない状態のときは、そのまま処理を終了する。どのパッドPADにどのような楽音情報が割当てられているかは、RAM103などの記憶装置に保持され、次の割当て処理が行なわれると上書き更新される。
【0027】
図4は、楽音情報の発音と操作子処理の関係を示すフローチャートである。この処理は、タイマ割込処理として、所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0028】
まずステップS401で、キースイッチKEY261が押されたか否かを判別する。キースイッチKEY261が押されている場合は、ステップS402で、タップスイッチTAP262が押された状態か否かを判別する。タップスイッチTAP262が押されていれば、発音せずにそのまま処理を終了する。ステップS402でタップスイッチTAP262が押されていなかったときは、ステップS403で、押されているキースイッチKEYに対応する楽音情報(そのキースイッチのキーコード、および所定のベロシティ値を含む)を音源部210とシーケンサー部209に送って発音する。
【0029】
ステップS401でキースイッチKEY261が押されていない場合は、ステップS404に進み、パッドPAD263または264が押されているかどうかを判別する。パッドPAD263または264が押されていた場合は、ステップS405で、タップスイッチTAP262が押されているかどうかを判別する。タップスイッチTAP262が押されていたら、発音せずにそのまま処理を終了する。タップスイッチTAP262が押されていなければ、ステップS406で、押されているパッドPADに割当てられているノート番号と押圧に対応するベロシティ値などの楽音情報を、音源部210とシーケンサー部209に送って発音する。ステップS404でPADが押されなかった場合は、発音せずに処理を終了する。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、押圧センサをもたない第1操作子と押圧センサ付の第2操作子とを、第3操作子を押しながら同時に押すことによって、押圧センサをもたない操作子のノート番号を押圧センサ付の操作子に容易に割当てることができる。この割当ての際には、発音が為されないので、演奏中であっても、第2操作子に任意に簡単にノート番号を割当てることができ、演奏の幅を広げることができる。押圧センサ付の第2操作子の数は押圧センサをもたない第1操作子の数より少なくて済み、操作子の費用を抑え、装置の大きさが増すこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電子音楽装置のシステム構成図である。
【図2】この発明に係る電子音楽装置の機能ブロック図である。
【図3】楽音情報のテンポ設定および割当て設定の処理手順を示すフローチャート図である。
【図4】楽音情報の発音と操作子処理の関係を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
101…中央処理装置(CPU)、102…リードオンリーメモリ(ROM)、103…ランダムアクセスメモリ(RAM)、104…操作子、105…操作子回路、106…ディスプレイ、107…表示回路、108…音源回路、109…サウンドシステム、110…サンプリング回路、111…I/O、112…MIDIインタフェース、113…シリアルインタフェース、114…フラッシュメディア、115…タイマ、116…バス、201…オーディオIN、202…マイクIN、203…サンプリング回路、204…波形メモリRAM、205…波形メモリROM、206…コントローラー部、207…MIDI_IN、208…MIDI_OUT、209…シーケンサー部、210…音源部、211…エフェクト回路、212…オーディオOUT、301…KEY、302…タップスイッチTAP262/PADアサインスイッチ、303…押圧センサ付PAD。
Claims (4)
- 与えられた楽音情報に応じて楽音信号を発生する楽音発生手段と、
押圧センサを備えていない複数の第1操作子であって、それぞれにノート番号が対応付けられているものと、
押圧センサを備えている第2操作子と、
第3操作子と、
前記第3操作子を先にオンしながら、前記複数の第1操作子のうちの1つと前記第2操作子とをオンしたときには、発音を行なうことなく、オンされた第1操作子に対応するノート番号を前記第2操作子に割当てる割当て手段と、
前記第1操作子がオンされたときには、オンされた第1操作子に対応するノート番号と既定のベロシティ値を含む楽音情報を前記楽音発生手段に送出し、前記第2操作子がオンされたときには、その第2操作子に割当てられているノート番号とオンされたときに検出されたベロシティ値とを含む楽音情報を前記楽音発生手段に送出して、対応する楽音信号を発生させる制御手段と
を備えたことを特徴とする楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置。 - 請求項1に記載の電子音楽装置において、
前記第2操作子が、前記第1操作子の数に比べて少ない数だけ設けられていることを特徴とする楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置。 - 請求項1に記載の電子音楽装置において、
前記楽音情報は、ノート番号、キーオン信号、チャンネル番号、およびベロシティ値を含むことを特徴とする楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置。 - 請求項1に記載の電子音楽装置において、
前記第3操作子は、所定回数以上続けてオンすることにより、前記楽音発生手段で発生する楽音のテンポを設定する機能を備えたことを特徴とする楽音情報割当操作子を有する電子音楽装置。
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