JP3682426B2 - 眼鏡の玉型加工システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は眼鏡の玉型加工システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡業界においては、眼鏡店舗に設置した発注用端末機と、レンズ製造業者側に設置した受注用端末機とを付加価値通信網(VAN)を介して接続したレンズ発注システムが提案されている。このレンズ発注システムを用いて発注用端末機からレンズ発注データを受注用端末機に送信することにより、レンズ発注を確実かつ円滑に行うことができる。
【0003】
このレンズ発注システムは未加工レンズを取り寄せるものである。従って、眼鏡の製作に際して眼鏡店舗では顧客の視力及び眼鏡フレームに適合した未加工レンズを眼鏡フレームの玉型形状にカットして玉型を製作している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、眼鏡レンズのカットには作業者の知識及び熟練が必要とされ、眼鏡店舗では作業者の技能養成を行わねばならないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、レンズを眼鏡フレームにはめるだけで眼鏡を製作することができ、眼鏡レンズのカットのための作業者の技能養成を省くことができることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、眼鏡店舗側に設置されており、眼鏡フレームの玉型形状を計測するフレームリーダー(2)と、眼鏡店舗側に設置されるとともに、前記フレームリーダー(2)に接続されており、眼鏡の玉型加工に必要な眼鏡レンズの商品名,球面度数,円柱度数,フレーム実測データ,瞳孔間距離,幾何中心間距離,変位距離及びレンズ半径が含まれる入力項目データが入力され、前記フレームリーダー(2)にて計測された眼鏡フレームの玉型形状データを取り込み、前記フレーム実測データに基づいてフレーム形状を描画することにより幾何中心を求め、前記瞳孔間距離,幾何中心間距離,変位距離及び幾何中心の位置に基づいて眼鏡フレームにおける玉型形状の光学中心を求め、玉型加工データとしての前記入力項目データ及び玉型形状データ,幾何中心,光学中心を送信する発注用端末装置(1)と、レンズ加工業者側に設置されるとともに、前記発注用端末装置(1)とは付加価値通信網(4)を介して接続されており、前記玉型加工データを受信して該玉型加工データに基づいてレンズ設計データを作成する受注用端末装置(6)と、該受注用端末装置(6)に接続されており、前記レンズ設計データ及び玉型加工データに基づいて矢弦計算を行う加工制御装置(7)と、該加工制御装置(7)に接続されており、前記矢弦計算結果及び玉型加工データに基づいてレンズを加工するレンズ加工装置(8)と、前記付加価値通信網(4)に備えられた情報処理装置とを有し、前記情報処理装置は、前記発注用端末装置(1)から送信された前記玉型加工データ,幾何中心,光学中心に基づいて玉型形状が製作可能か否かを判定して、玉型形状が製作可能であると判定した場合に、前記玉型加工データを前記レンズ設計手段(6)に送出することを特徴とする。
【0007】
又、請求項2に記載の発明は、前記情報処理装置は、前記レンズ加工業者側における在庫レンズの有無に関する情報を記憶する記憶手段と、前記光学中心を中心とする前記レンズ半径を持つ第1の規格サイズ円を描き、前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まるか否かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段により前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まると判定された場合、前記レンズの商品名,球面度数,円柱度数に基づいて、前記在庫レンズで製作するか又は偏心無しの特注レンズで製作するかを判定する第2の判定手段と、前記第1の判定手段により前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まらないと判定された場合、前記幾何中心を中心として前記レンズ半径を持つ第2の規格サイズ円を描き、前記フレーム形状が前記第2の規格サイズ円内に収まるか否かを判定し、前記第2の規格サイズ円内に収まる場合には偏心付きの特注レンズで製作すると判定し、前記第2の規格サイズ円内に収まらない場合には製作不可能と判定する第3の判定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施例の玉型加工データ通信システムは、各眼鏡店舗に設置されたデータ送信手段としての発注用端末機1と、情報処理装置を中継とする付加価値通信網(VAN)4と、レンズ加工業者側に設置されたデータ受信手段及びレンズ設計手段としての受注用端末機6と、同端末機6に接続された加工制御手段としての加工機制御用端末機7と、同端末機7に接続されたレンズ加工手段としてのレンズ加工機8とを備えて構成されている。発注用端末機1及び受注用端末機6はそれぞれモデム3,5を介してVAN4に接続されている。
【0009】
発注用端末機1はレンズ加工業者側の未加工レンズの在庫状況のマスタデータを記憶しており、このマスタデータを画面上に表示できるようになっている。尚、このマスタデータは受注用端末機6側からVAN4を介して常時更新できるようになっている。又、発注用端末機1は内蔵プログラムにより入力項目を備えた発注画面を表示させるようになっており、キー操作により各入力項目を入力できるようになっている。入力項目としては、発注番号と、レンズの商品名,カラー,S度数(球面度数),C度数(円柱度数),乱視軸AX,瞳孔間距離PD、幾何中心間距離FPD、及び幾何中心(ボクシングセンター)からの光学中心(アイポイント)の変位距離UPと、眼鏡フレームの種別等の項目がある。
【0010】
発注用端末機1には眼鏡フレームの玉型形状を計測するフレームリーダー2が接続されている。発注用端末機1はフレームリーダー2によって計測された眼鏡フレームの玉型形状データを取り込むようになっている。図5はフレームリーダー2によって計測された眼鏡フレームの玉型形状データ31の一例を示しており、ボクシングセンター32を中心として所定角度間隔で多数(本実施例では200本)の放射線33が配置されている。
【0011】
発注用端末機1は取り込んだ玉型形状がキー入力で指定された未加工レンズを用いて製作可能か否かを即座に判定する。発注用端末機1は取り込んだ玉型形状が製作可能であると判定すると、前記各入力項目データと取り込んだ玉型形状データとを玉型加工データとしてモデム3を介して送信するようになっている。
【0012】
レンズ加工業者側の受注用端末機6はVAN4を介して送信されてきた玉型加工データをモデム5を介して受信する。受注用端末機6は受信した玉型加工データに基づいてレンズ設計とレンズ手配書作成とを行うとともに、受信した玉型加工データに基づいてフレーム形状を印刷する。
【0013】
図12は受注用端末機6で印刷されたフレーム形状の一例を示している。左右の玉型形状50a,50b内にはそれぞれアイポイント51a,51bが描かれるとともに、各アイポイント51a,51bを挟むように各一対の印点52が描かれている。印点52はレンズの玉型加工時における吸盤の吸着位置を示している。又、左右の玉型形状50a,50bの下部にはボクシングセンター53間の幾何中心間距離FPD、ブリッジ中心からの右側アイポイント51aまでの距離RPD、ブリッジ中心からの左側アイポイント51bまでの距離LPD、ボクシングセンター53からのアイポイント51a,51bの変位距離UPが描かれている。
【0014】
そして、受注用端末機6は受信した玉型加工データとレンズ設計データとを加工機制御用端末機7に転送する。又、受注用端末機6は受注確認表をVAN4を介してファクシミリで眼鏡店舗に送信することもできる。
【0015】
加工機制御用端末機7は転送されてきた玉型加工データとレンズ設計データとに基づいて矢弦計算を行う。加工機制御用端末機7は矢弦計算結果と眼鏡フレームの測定データとをレンズ加工機8に転送するとともに、レンズ加工の進捗管理を行う。
【0016】
レンズ加工機8はセットされた未加工レンズを、眼鏡フレームの測定データに基づいて所定の玉型形状にカットして玉型を製作し、矢弦計算結果に基づいてその玉型に矢弦を形成する。
【0017】
次に上記のように構成された発注用端末機1を使用したレンズ発注処理を図2〜図4のフローチャートに従って説明する。
発注用端末機1に電源が投入されると、画面を初期設定して入力項目の画面を表示させる(ステップ11)。次に、作業者によるキー入力により各項目の入力を待つ(ステップ12)。
【0018】
入力項目の入力が完了すると、発注用端末機1はフレームリーダー2による眼鏡フレームの玉型形状の計測を実行させ、例えば図5に示すような眼鏡フレームの玉型形状データ31を取り込む(ステップ13)。次に、発注用端末機1は取り込んだ玉型形状がキー入力で指定された未加工レンズを用いて製作可否の判定を実行する(ステップ14)。発注用端末機1は製作可能であると判定すると、前記ステップ12で入力された各入力項目データと、前記ステップ13で取り込んだ玉型形状データとを玉型加工データとして格納する(ステップ16)。又、発注用端末機1は製作不可能であると判定すると、レンズ種類,眼鏡フレーム等の変更を待ち、ステップ12以降の処理を実行する。
【0019】
前記ステップ14の製作可否の判定は図3,図4に示すように実行される。
まず、フレーム実測データより例えば図6に示すようにフレーム形状40を描画し、このフレーム形状40が収まる矩形41の中心をボクシングセンター42として求める(ステップ20)。続いて、入力項目データにおける瞳孔間距離PD,幾何中心間距離FPD及び変位距離UPと、ボクシングセンター42の位置とにより、例えば図7に示すようにアイポイント(光学中心)43を求める(ステップ21)。
【0020】
次に、アイポイントを中心に、入力項目で指定されたレンズの半径を持つ規格サイズの円を描き、フレーム形状がこの規格円内に収まるかどうかを判定する(ステップ22)。従って、例えば、図8に示すようにアイポイント43を中心にして半径r1の規格円44が描かれた場合には、フレーム形状40は規格円44内に収まると判定される。
【0021】
フレーム形状が規格円内に収まると判定されると、入力項目データにおける商品名、S度数及びC度数よりその商品に該当する在庫レンズの有無に基づいて在庫レンズ又は特注レンズの製作かが判定され(ステップ26)、在庫レンズに該当するものがないと判定されると特注レンズでの製作であると判定される(ステップ27)。又、ステップ26で在庫レンズに該当するものがあると判定されると、次に入力項目データに基づいてカラーレンズかどうかが判定され(ステップ28)、カラーレンズである場合には在庫(製品)と判定され(ステップ29)、カラーレンズでない場合には在庫と判定される(ステップ30)。
【0022】
又、前記ステップ22でフレーム形状がこの規格円内に収まらないと判定されると、ボクシングセンターを中心に、入力項目で指定されたレンズの半径を持つ規格サイズの円を描き、フレーム形状がこの規格円内に収まるかどうかを判定する(ステップ23)。例えば、図9に示すように、アイポイント43を中心にして半径r2の規格円45が描かれ、フレーム形状40が規格円45内に収まらないと判定される。この場合には図10に示すように、ボクシングセンター42を中心にして半径r2の規格円46が描かれ、フレーム形状40は規格円46に収まる。
【0023】
フレーム形状がボクシングセンターを中心にした規格円内に収まると判定されると、偏心付きの研磨特注と判定される(ステップ25)。又、フレーム形状がボクシングセンターを中心にした規格円内にも収まらないと判定されると、このフレーム形状は製作不可能と判定される(ステップ24)。
【0024】
このように、本実施例では、眼鏡店舗に設置した発注用端末機1から眼鏡フレームの玉型形状,当該玉型形状の幾何中心及び光学中心,使用するレンズの種類等の玉型加工データをVAN4を介してレンズ加工業者側の受注用端末機6に送出し、レンズ加工業者にてレンズを玉型にカットするようにした。従って、眼鏡店舗はレンズ加工業者にて玉型にカットされたレンズを取り寄せ、このレンズを眼鏡フレームにはめるだけで眼鏡の製作を完了することができる。このため、眼鏡店舗では眼鏡レンズのカットのための作業者の技能養成を省くことができるとともに、眼鏡店舗における作業の標準化を図ることができる。
【0025】
又、本実施例では眼鏡店舗に設置した発注用端末機1にて玉型加工データにおける玉型形状が製作可能か否かを判定するようにしたので、玉型形状が製作不可能である場合には眼鏡フレーム,レンズ種類等の変更が必要なことを即座に認識できるとともに、眼鏡フレーム,レンズ種類等の変更を行うことができる。
【0026】
尚、本実施例では発注用端末機1にて玉型形状が製作可能か否かを判定するようにしたが、この製作可否の判定をVAN4における情報処理装置、又は受注用端末機6にて行い、その判定結果を発注用端末機1に送信するようにしてもよい。
【0027】
又、本実施例では受注側のレンズ加工業者を1つのみとした玉型加工システムとしたが、受注側のレンズ加工業者を複数とした玉型加工システムに実施してもよい。
【0028】
又、本実施例では発注用端末機1に記憶されるレンズ加工業者側の在庫レンズのマスタデータを受注用端末機6側からVAN4を介して更新するようにしたが、発注用端末機1のマスタデータは別の方法によって更新するようにしてもよい。例えば、レンズ加工業者から在庫レンズの最新のマスタデータを記録したフロッピィディスクを眼鏡店舗に送り、眼鏡店舗では発注用端末機1にそのフロッピィディスクからデータを読み込むことによってマスタデータを更新するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、レンズを眼鏡フレームにはめるだけで眼鏡を製作することができ、眼鏡レンズのカットのための作業者の技能養成を省くことができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例の玉型加工データ通信システムを示す概略図である。
【図2】 発注用端末機が実行する処理を示すフローチャートである。
【図3】 発注用端末機が実行する製作可否の判定処理を示すフローチャートである。
【図4】 発注用端末機が実行する製作可否の判定処理を示すフローチャートである。
【図5】 フレームリーダーによって計測された眼鏡フレームの玉型形状データの一例を示す図である。
【図6】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図7】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図8】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図9】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図10】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図11】 発注用端末機による製作可否の判定処理を示す説明図である。
【図12】 受信用端末機で印刷されるフレーム形状を示す図である。
【符号の説明】
1…データ送信装置としての発注用端末機、2…フレームリーダー、3,5…モデム、4…付加価値通信網(VAN)、6…データ受信装置としての受信用端末機、7…加工機制御用端末機、8…レンズ加工機
Claims (2)
- 眼鏡店舗側に設置されており、眼鏡フレームの玉型形状を計測するフレームリーダー(2)と、
眼鏡店舗側に設置されるとともに、前記フレームリーダー(2)に接続されており、眼鏡の玉型加工に必要な眼鏡レンズの商品名,球面度数,円柱度数,フレーム実測データ,瞳孔間距離,幾何中心間距離,変位距離及びレンズ半径が含まれる入力項目データが入力され、前記フレームリーダー(2)にて計測された眼鏡フレームの玉型形状データを取り込み、前記フレーム実測データに基づいてフレーム形状を描画することにより幾何中心を求め、前記瞳孔間距離,幾何中心間距離,変位距離及び幾何中心の位置に基づいて眼鏡フレームにおける玉型形状の光学中心を求め、玉型加工データとしての前記入力項目データ及び玉型形状データ,幾何中心,光学中心を送信する発注用端末装置(1)と、
レンズ加工業者側に設置されるとともに、前記発注用端末装置(1)とは付加価値通信網(4)を介して接続されており、前記玉型加工データを受信して該玉型加工データに基づいてレンズ設計データを作成する受注用端末装置(6)と、
該受注用端末装置(6)に接続されており、前記レンズ設計データ及び玉型加工データに基づいて矢弦計算を行う加工制御装置(7)と、
該加工制御装置(7)に接続されており、前記矢弦計算結果及び玉型加工データに基づいてレンズを加工するレンズ加工装置(8)と、
前記付加価値通信網(4)に備えられた情報処理装置と
を有し、前記情報処理装置は、前記発注用端末装置(1)から送信された前記玉型加工データ,幾何中心,光学中心に基づいて玉型形状が製作可能か否かを判定して、玉型形状が製作可能であると判定した場合に、前記玉型加工データを前記レンズ設計手段(6)に送出することを特徴とする眼鏡の玉型加工システム。 - 前記情報処理装置は、
前記レンズ加工業者側における在庫レンズの有無に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記光学中心を中心とする前記レンズ半径を持つ第1の規格サイズ円を描き、前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まると判定された場合、前記レンズの商品名,球面度数,円柱度数に基づいて、前記在庫レンズで製作するか又は偏心無しの特注レンズで製作するかを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により前記フレーム形状が前記第1の規格サイズ円内に収まらないと判定された場合、前記幾何中心を中心として前記レンズ半径を持つ第2の規格サイズ円を描き、前記フレーム形状が前記第2の規格サイズ円内に収まるか否かを判定し、前記第2の規格サイズ円内に収まる場合には偏心付きの特注レンズで製作すると判定し、前記第2の規格サイズ円内に収まらない場合には製作不可能と判定する第3の判定手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の眼鏡の玉型加工システム。
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