JP3681983B2 - 免疫分析用容器 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、抗原抗体反応を利用して抗体又は抗原を検出する免疫分析において、試薬及び/又は検体の保存、希釈、反応に用いる容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の免疫分析においては、使用する試薬又は検体の保存及び希釈にポリスチレン又はポリプロピレン製の容器が使用されているが、該試薬又は検体中の分子の該容器への非特異的吸着が存在するため、試薬又は検体の減少及び試薬又は検体溶液の濃度の変化が必ず発生してしまう。
近年、免疫分析法の多様化に伴い、特に製薬メーカーの創薬部門に於いては天然の物質を抽出、精製して使用するケースが多く、そういった物質は総じて非常に微量で高価であり、物理吸着による保存又は希釈工程での試薬の減少は無視することが出来ない。
【0003】
検体を扱う際の容器類についても臨床診断に用いる血清、尿等の検体中のアルブミン、トランスフェリン、イムノグロブリンといった臨床上重要な蛋白質が、患者から採取して測定するまでに使用される容器類に吸着されており、採取の段階に於けるシリンジ、カップ類、保存の段階に於けるチューブ類、精製、濃縮、希釈の段階に於ける遠沈管、試験管等それぞれの段階で用いられる容器は殆どが表面処理を施していないポリプロピレン、ポリスチレンであるため、それぞれの段階における吸着が微量であったとしても、全工程で考えると採取時と比較すると、測定時の検体中の濃度変化は非常に大きいものであると予想される。
【0004】
また、臨床検査薬メーカーに於いては、一般的に販売されている臨床検査用のキット価格の約8割が固相化試薬の価格で占められており、容器への吸着による試薬の減少を抑えることは、大幅なコストダウンにつながる。
【0005】
一方測定に使用する容器において、固相化法と呼ばれる免疫分析法では、容器表面に固相化させた蛋白を利用して分析を行うため容器表面に固相化試薬量を増やすため水酸基等の官能基を導入し親水−疎水のバランスを調節する事で飽和吸着量を増やす、いわゆる高吸着処理がなされたものが使用されている。
しかし、近年分析時間の短縮化、大量分析を目的に自動分析機(ロボット)による分析が開発され、特に製薬メーカーの創薬部門に於いて急速に普及しつつある。
【0006】
ここで、従来の固相化法による測定にあたっては、固相化されない余剰分子の排除の為の洗浄工程が必要であるが、洗浄液の分注−吸引を繰り返す洗浄工程は自動分析機にとっては困難な工程であるため、自動分析機に合わせた測定法として新たに洗浄工程による反応物と未反応物の分離を必要としない、いわゆる逐次添加法が開発されつつある。
【0007】
逐次添加法においては、反応の際に分子の固相化は行わず、反応は溶液中で行われる。よって、前述のような高吸着処理表面を有する容器では不必要な吸着により溶液中の反応を阻害、又は効率を低下させてしまう。
【0008】
更に、近年の測定技術の進歩により従来の比色法による吸光度測定より高感度を持つ蛍光、発光法による評価技術が確立されてきており、今後そのような高感度の測定系に於いて、不必要な分子の容器への吸着が大きな問題となってくると予想される。
【0009】
ところが、現在それらに使用されている容器としてはやはり吸着に対して考慮された物はなくポリスチレン又は、ポリプロピレンといった成形性、透明性、耐低温性のみを考慮した材料を特に吸着を抑えるための表面処理もせずに用いられており、試薬のロス及び感度の低下の問題を容器の特性の方向から解決するといったアプローチは全くなされていない。
【0010】
しかし、現在までに免疫分析容器表面の非特異的吸着を制御する為にいくつかの技術が検討され実施されている。
例えば、最も一般的に行われている方法としては、測定系に対して不活性な蛋白質をコーティングするいわゆるブロッキングと呼ばれる方法であるが、この方法は基本的に蛋白質の非特異的吸着を利用しているため、コーティング毎にブロッキング効果がばらつきやすく、蛋白質の状態によっても効果は左右されやすい。又不活性な蛋白質は非特異的吸着をしているだけであるので簡単に溶液中に遊離してしまうため保存用には用いることは出来ない。特許文献1及び2には蛋白質を化学的に固定化する事で前述の様な遊離を無くす技術が開示されているが、蛋白質は乾燥、保存温度更に保存期間によって構造変化を起こす可能性が高いので実際の容器として汎用性は望めなかった。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−174726号公報
【特許文献2】
特開平7−128336号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
また、吸着した蛋白質はその高次構造が変化することにより二次的な吸着を誘引する。即ち遊離状態で不活性な蛋白質も、吸着若しくは化学的に結合した状態では高次構造の変化により完全な不活性状態を維持する事は出来ず、基材への直接的な吸着は妨げたとしても蛋白−蛋白間の二次的な吸着が発生する点に問題がある。
【0013】
蛋白−蛋白間の二次的吸着は、蛋白質の種類によって異なるため、測定する系毎にブロッキングに用いる最適な蛋白質を選択する検討が必須であり、更に血清のような蛋白質の混合溶液を検体として用いた場合は、全ての蛋白に対して吸着を制御出来るようなブロッキング蛋白質は存在しない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、容器の特性に着目し、鋭意検討した結果、分析に用いられる全ての分子について容器への飽和吸着量を一定値以下に制御すれば、保存、希釈及び反応時における試薬や検体の減少が無く、高感度の測定も可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、少なくとも容器の内面が、容器の内面と水との接触角が1度以下であって、分析に用いられる分子の飽和吸着量が1×10-3pmol/cm2以下となるように、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ブチルメタクリレート(3/7)の共重合体からなる超親水性ポリマーで被覆されている免疫分析用容器であって、容器に当該共重合体の0.5 wt / vol %エタノール溶液を分注し、室温で10分間放置した後に溶液を排出し、容器を裏返した状態で、室温で一晩乾燥させることにより得られる免疫分析容器を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
従来、免疫分析用容器に用いられているポリスチレン又はポリプロピレン製の容器の分子、例えば蛋白吸着量は約1〜10pmol/cm2又はそれ以上であり、分析に用いる溶液中の分子、例えば蛋白は溶液の濃度及び容器との接触面積にもよるが、約20%〜50%が容器に吸着してしまっている。ここで、吸着した20%〜50%の分子が溶液中の反応に必須のものであれば、反応効率つまり測定感度は20%〜50%低下してしまうこととなり、該吸着した分子が吸着による構造変化のため不必要な反応を引き起こすような物質であれば、大きなノイズとなってしまう。
【0017】
よって、分析に用いられる分子が全く吸着しない容器が最も理想的であるが、実質的には吸着量を現状の1/100以下にする事で充分に効果が得られる。
【0018】
つまり、溶液中の分子の吸着量は分子の種類及び温度、溶液濃度、溶媒のpH等によって変動するが、反応容器としては分析に用いられる分子の飽和吸着量が反応測定を行う濃度、温度、水素イオン濃度条件の下で1×10 -3 pmol/cm2 以下であって、血清を使用する場合には通常1〜10倍に希釈した血清を用いるため、該血清濃度に於いて血清中に含まれている分子の内、分析に関与及び/又は影響を与える分子の飽和吸着量について反応測定を行う温度、水素イオン濃度条件の下で常に1×10 -3 pmol/cm2 以下であればよい。
【0019】
同様に保存、希釈に用いる容器についても保存、希釈に使用する分子の飽和吸着量は保存容器から試薬を取り出す、又は希釈を行う濃度、温度、水素イオン濃度の下で常に1×10 -3 pmol/cm2 以下であればよい。尚、試薬の保存は−80℃といった低温で行われる場合も多いが、吸着は平衡反応であるため保存容器から試薬を取り出す際の濃度、温度、水素イオン濃度における飽和吸着量が1×10 -3 pmol/cm2 以下であればよい。
【0020】
なお、ここで分析に用いられる分子としては、蛋白(酵素、生理活性蛋白、抗体など)、核酸、生理活性物質などが挙げられるが、蛋白が特に好ましい。また、飽和吸着量は、金コロイド標識免疫分析法によって測定することができる。
本発明は蛋白が吸着しないという点で、前に述べた特徴以外に大きな効果を有する。通常、蛋白質は吸着を起こすと構造が変化してしまい、免疫分析に於いては目的とする蛋白が測定系に存在しているにも係わらず構造変化のために検出するための抗体に検知されない場合がある。また、臨床検査等に於いては生体内に存在する状態での血清を検査する必要があるにも係わらず、実際は吸着により構造変化を起こした状態での検査を余儀なくされている。本発明においては蛋白が吸着しない事により構造変化を起こすことなく、臨床検査に於いては血清をより生体内で存在している状態と近い状態で測定出来る。このメリットは免疫分析用容器としては非常に大きい。
【0021】
免疫分析用容器のうち、飽和吸着量を低下させることが必要なのは、試薬や検体と接触する部分であり、具体的には容器の内面である。従って、少なくとも容器の内面の飽和吸着量が1×10 -3 pmol/cm2 以下であればよい。
容器の内面における分子の飽和吸着量を1×10 -3 pmol/cm2 以下にするには、少なくとも容器の内面を高い親水性を有するポリマー又は高い疎水性を有するポリマーで成形するか、高い親水性を有するポリマー又は高い疎水性を有するポリマーで被覆するのが好ましい。このうち、少なくとも容器の内面を高い親水性を有するポリマー又は高い疎水性を有するポリマーで被覆するのがより好ましく、高い親水性を有するポリマーで被覆するのがさらに好ましく、超親水性ポリマーで被覆するのが特に好ましい。
【0022】
高い疎水性を有するポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂又はケイ素樹脂等が挙げられる。また、疎水性ポリマーで被覆する手段としては、上記疎水性ポリマーを用いて被覆してもよいが、容器をフッ素化することにより表面にフッ素化ポリマーを形成させてもよい。
【0023】
高い親水性を有するポリマーとしては、カルボキシル基、水酸基などの親水基を有するポリマーであれば特に限定されないが、ポリメタクリル酸、(メタ)メタクリル酸−アルキルメタアクリレート共重合体、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート(例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート)、ヒドロキシアルキルメタクリレート−アルキルメタクリレート共重合体、ポリオキシアルキレン基含有メタクリレート重合体又はこれを含む共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン)重合体(MPC)又はこれを含む共重合体(生体材料,Vol.9,No.6,1991)又はリン脂質・高分子複合体(特開平5−161491号公報及び特開平6−46831号公報)などが挙げられる。これらの親水性ポリマーで容器を成形してもよく、これらの親水性ポリマーを被覆してもよい。
【0024】
また、一度ポリスチレン等の成形に適した材料で成形した容器の表面に水酸基、カルボキシル基を導入して高い親水性を付与することで低吸着性とすることも出来る。例えば、成形性を重視してポリスチレン、ポリプロピレンの様に非特異的吸着の起こりやすい材料を使用する場合には、プラズマ暴露によるカルボキシル基、カルボニル基及び/又は水酸基の導入、透明性を重視してポリメチルメタクリレートを使用する場合であればアルカリによる表面部分加水分解でカルボキシル基を導入する等の表面改質により低吸着性の表面を実現することが出来る。
親水性ポリマーを用いて容器内面を親水性表面とすることにより分子の吸着量を低下させる場合、該表面の水との接触角は、1度以下(超親水性)とするのが好ましい。
【0025】
前記の親水性ポリマーのうち、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリオキシC2−C4アルキレン基含有メタクリレート重合体又はこれを含む共重合体、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン)重合体又はこれを含む共重合体、リン脂質・高分子複合体、あるいはポリビニルピロリドンを用いると、得られた容器表面の水との接触角が1度以下の超親水性となり、蛋白の飽和吸着量が1×10-3 pmol/cm2以下となるため、特に好ましい。
【0026】
本発明の容器の形状としては従来用いられているサンプルチューブ、遠沈管、マルチウェルプレート、キュベット等特に限定するものではないが、サンプルの保存、希釈、反応、測定を1種類の容器で行う目的にはマルチウェルプレートの形状が好適である。
【0027】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0028】
(参考例1)
市販のポリプロピレン製96穴プレート(住友ベークライト製 MS−3396P)をγ線70kGyでの処理を行い、基材表面に水酸基を生成させたものを参考例1とした。得られたプレートの蛋白飽和吸着量は4.6×10-2 pmol/cm2であり、水との接触角は27度であった。
【0029】
(参考例2)
市販のポリプロピレン製96穴プレート(住友ベークライト製 MS−3396P)に市販のフッ素コート剤(住友3M製 スコッチガード)で表面をフッ素コートしたものを参考例2とした。得られたプレートの蛋白飽和吸着量は2.7×10-2 pmol/cm2であり、水との接触角は126度であった。
【0030】
(比較例1)
市販のポリプロピレン製96穴プレート(住友ベークライト製 MS−3396P)を比較例として用いた。このプレートの蛋白飽和吸着量は3.7pmol/cm2であり、水との接触角は92度であった。
【0031】
(保存容器としての蛋白回収率の比較)
非特異的吸着性を比較するため、酵素で標識した抗ウシアルブミン抗体(コスモバイオ製)を0.1ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mLの濃度系列で、各濃度を24ウェルづつ分注し、−80℃で48時間保存、保存後の溶液中の蛋白濃度を基質溶液を用いて測定した。
【0032】
結果は、図1の通りで、参考例1、参考例2のプレートとともに比較例1に比べ蛋白回収率が高い事を確認した。
【0033】
(溶液中の反応効率の比較)
溶液中の反応における反応効率を評価するために、参考例1、参考例2、比較例1を反応容器として用い、以下の検討を実施した。
ラットアルブミン(コスモバイオ製)のリン酸塩緩衝液(ダルベッコPBSpH7.4)溶液を10ng/mL、1ng/mL、0.1ng/mLの濃度系列で調整し、参考例1、参考例2、比較例1のプレートに各濃度4列(32ウェル)づつ100μL/ウェルで分注。
そこに、ペルオキシダーゼ標識抗ラットアルブミン抗体(コスモバイオ製)の100ng/mLリン酸塩緩衝液(ダルベッコPBSpH7.4)溶液を全てのウェルに100μL/ウェルで分注。
37℃で30分反応させた後に、各ウェルの溶液を予め抗ラットアルブミン抗体を固相化しておいたELISA用96穴プレートに移し替えた後再び37℃で30分反応させた。
【0034】
反応後、洗浄液(ダルベッコPBSpH7.4+0.05%Tween20)にて未反応の標識抗ラットアルブミン抗体を洗浄した後、市販のペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト製 ML−1120T)を用いて発色、プレートリーダーにより450nmの吸光度を測定した。
結果は図2の通りで、比較例1においては低濃度領域での吸光度が低く吸着により溶液中での反応が阻害されているといえるが、参考例においては1、2共に低濃度領域でのアルブミン濃度に対する吸光度値に直線性が得られ、溶液中での抗原−抗体反応が効率よく行われていることが解る。
【0035】
(参考例3)
市販のポリスチレン製チューブ(栄研チューブ RIA用3号 70−12458)の表面にポリ−ヒドロキシエチルメタクリレート(SIGMA製P−3932)をコーティングしたものを参考例3とした。チューブの蛋白飽和吸着量は9.1×10-4 pmol/cm2であり、水との接触角は0度であった。
【0036】
(参考例4)
ポリテトラフルオロエチレンを切削し、参考例1で用いたチューブと同じ内径、容積のチューブを作製し参考例4とした。チューブの蛋白飽和吸着量は7.2×10-3 pmol/cm2であり、水との接触角は126度であった。
【0037】
(比較例2)
市販のポリスチレン製チューブ(栄研チューブ RIA用3号 70−12458)を比較例2として用いた。チューブの蛋白飽和吸着量は8.1pmol/cm2であり、水との接触角は85度であった。
【0038】
(測定感度の比較)
溶液中の反応における測定感度を評価するために、参考例3、4及び比較例2を反応容器として用い、反応担体としてELISAボールを用いた測定を実施した。
予め、0.125、0.250、0.500μg/mLの濃度系列で調整したビオチンヒドラジド(Dojindo製)のリン酸緩衝液(pH7.4)溶液を用いてELISAボール(住友ベークライト製 アミノ基ボール)にビオチンヒドラジドをグルタルアルデヒドを介して共有結合により固相化し、3段階のビオチンヒドラジド固相化密度のELISAボールを作製した。
尚、ELISAボールの固相化されたビオチンヒドラジド以外の箇所については、スキムミルクにてブロッキングを行い吸着を防止した。
参考例3、4及び比較例2のチューブ各3本に該3段階のビオチンヒドラジド固相化密度のELISAボールを入れ、ペルオキシダーゼ標識アビジン(Cappel社製)の1μg/mLリン酸緩衝液(pH7.4)溶液を500mL/チューブで分注し、室温で30分反応させた。
反応後、洗浄液(リン酸緩衝液pH7.4+0.05%Tween20)で洗浄し、未反応のペルオキシダーゼ標識アビジンを洗浄した後、市販のペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト製 ML−1120T)を用いて発色、プレートリーダーにより450nmの吸光度を測定した。
【0039】
結果は表1の通りで、参考例においてはELISAボール表面に導入されたビオチンヒドラジド密度に応じて吸光度も直線的に変化しているのに比べ、比較例においては、全ての密度で吸光度に殆ど変化は見られない。
つまり、参考例に於いては、ELISAボール表面に導入されたビオチンヒドラジドに対してのみペルオキシダーゼ標識アビジンが反応しており、その結果吸光度はビオチンヒドラジド密度と比例しているが、比較例に於いては、吸着によりチューブに残留したペルオキシダーゼ標識アビジンが、バックグラウンドとなって感度が低下したためと考えられる。
【0040】
【表1】
【0041】
(保存容器としての蛋白回収率の比較)
非特異的吸着性を比較するため、酵素で標識した抗ウシアルブミン抗体(コスモバイオ製)を0.1ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mLの濃度系列で、各濃度を24ウェルづつ分注し、−80℃で48時間保存し、保存後の溶液中の蛋白濃度を基質溶液を用いて測定した。
結果は、表2の通りで、参考例3及び4のプレートとともに比較例2に比べ蛋白回収率が高い事を確認した。
【0042】
【表2】
【0043】
(参考例5)
市販のポリスチレン製チューブ(栄研チューブ RIA用3号 70−12458)の表面にポリ−ヒドロキシエチルメタクリレート(SIGMA製P−3932)の2.0wt/vol%メタノール溶液を2.5mLづつ分注し、溶液を排出後、残留した溶液が底面に溜まらないように裏返した状態で、室温で24時間乾燥させる事でポリ−ヒドロキシエチルメタクリレートを表面にコーティングしたチューブを作製した。得られたチューブの蛋白飽和吸着量は8.7×10-4 pmol/cm2であり、水との接触角は0度であった。
【0044】
(実施例1)
市販のポリスチレン製チューブ(栄研チューブ RIA用3号 70−12458)の表面にMPCポリマーの0.5wt/vol%エタノール溶液を2.5mLづつ分注し、室温で10分間放置した後に溶液を排出し、残留した溶液が底面に溜まらないように裏返した状態で、室温で一晩乾燥させてMPCポリマーを表面にコーティングしたチューブを作製した。得られたチューブの蛋白飽和吸着量は6.5×10-4 pmol/cm2であり、水との接触角は0度であった。
尚、MPCポリマーの合成は、「リン脂質類似構造を有するハイドロゲル膜からの薬物放出 高分子論文集,46,591−595(1989)」の内容に従いMPCとBMA(ブチルメタクリレート)比=3/7の共重合体を作製し使用した。
【0045】
(比較例3)
市販のポリスチレン製チューブ(栄研チューブ RIA用3号 70−12458)をそのままで用いた。
【0046】
(測定感度の比較)
溶液中の反応における測定感度を評価するために、参考例5、実施例1及び比較例3の各チューブを反応容器として用い、反応担体としてELISAボール(住友ベークライト製 アミノ基ボール)を用いた測定を実施した。
予め、0.125、0.250、0.500μg/mLの濃度系列で調整したビオチンヒドラジド(Dojindo製)のリン酸緩衝液(pH7.4)溶液を用いてELISAボールにビオチンヒドラジドをグルタルアルデヒドを介して共有結合により固相化し、3段階のビオチンヒドラジド固相化密度のELISAボールを作製した。
尚、ELISAボールの固相化されたビオチンヒドラジド以外の箇所については、スキムミルクにてブロッキングを行い吸着を防止した。
【0047】
参考例5、実施例1及び比較例3のチューブ3本に3段階のビオチンヒドラジド固相化密度のELISAボールを入れ、ペルオキシダーゼ標識アビジン(Cappel社製)の1μg/mLリン酸緩衝液(pH7.4)溶液を500mL/チューブで分注し、室温で30分反応させた。
反応後、洗浄液(リン酸緩衝液pH7.4+0.05%Tween20)で洗浄し、未反応のペルオキシダーゼ標識アビジンを洗浄した後、市販のペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト製 ML−1120T)を用いて発色、プレートリーダーにより450nmの吸光度を測定した。
【0048】
結果は表3の通りで、実施例においてはELISAボール表面に導入されたビオチンヒドラジド密度に応じて吸光度も直線的に変化しているのに比べ、比較例においては、全ての密度で吸光度に殆ど変化は見られない。
つまり、実施例では、ELISAボール表面に導入されたビオチンヒドラジドに対してのみペルオキシダーゼ標識アビジンが反応しており、その結果吸光度はビオチンヒドラジド密度と比例しているが、比較例では、吸着によりチューブに残留したペルオキシダーゼ標識アビジンが、バックグラウンドとなって感度が低下したためと考えられる。
【0049】
【表3】
【0050】
(保存容器としての蛋白回収率の比較)
非特異的吸着性を比較するため、酵素で標識した抗ウシアルブミン抗体(コスモバイオ製)を0.1ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mLの濃度系列で、各濃度を24ウェルづつ分注し、−80℃で48時間保存し、保存後の溶液中の蛋白濃度を基質溶液を用いて測定した。
【0051】
結果は、表4の通りで、参考例5及び実施例1のプレートとともに比較例3に比べ蛋白回収率が高いことを確認した。
【0052】
【表4】
【0053】
本発明の免疫分析用容器は、測定に使用する分子又は血清の吸着が1×10 -3 pmol/cm2 以下である事により試薬の保存、希釈の際の吸着による損失が無く、液層反応系の容器として用いた場合測定分子の吸着による反応効率の低下若しくは不要分子の吸着による反応の阻害が無く高感度、高精度な測定を行うことが出来る。
又、血清を用いた臨床検査においては、血清成分の吸着による構造変化が起こらない為、より体内に近い条件での検査が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明免疫分析用容器中にウシ血清及びアルブミンを−80℃、48時間保存後の蛋白濃度を示す図である。
【図2】本発明免疫分析用容器を用いて免疫分析を行ったときの反応効率を示す図である。
Claims (1)
- 少なくとも容器の内面が、容器の内面と水との接触角が1度以下であって、分析に用いられる分子の飽和吸着量が1×10-3pmol/cm2以下となるように、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ブチルメタクリレート(3/7)の共重合体からなる超親水性ポリマーで被覆されている免疫分析用容器であって、容器に当該共重合体の0.5 wt / vol %エタノール溶液を分注し、室温で10分間放置した後に溶液を排出し、容器を裏返した状態で、室温で一晩乾燥させることにより得られる免疫分析容器。
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