JP3681884B2 - 放電加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極と被加工物の微小間隔に加工液を満たし、電極と被加工物との間に放電を発生させて被加工物の加工を行う放電加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば三菱ワイヤ放電加工機DIAX FXシリーズのカタログに示された第1の従来例の放電加工機の概観を示す斜視図である。図において、1はワークを載せるテーブル、2はワーク1を加工する電極を支持するビーム部材、3はビーム部材2を支持するコラム、4はコラム3を摺動するために設けられた直動案内機構、5は直動案内機構4を介してコラム3を支持するサドル、6はサドル5を直動案内機構4と直角方向に摺動させるために設けられた直動案内機構である。7はサドル5を支持する鋳物性のベッドである。ベッド7の正面と側面には、鋳物コストを抑えるために矩形の開口部が設けられている。
【0003】
次に第1の従来の放電加工機の動作について説明する。テーブル1上に固定されたワークに対して、電極を支持するビーム部材2を相対運動させることでワークを所望の形状に加工する。ビーム部材2とコラム3の相対運動でテーブル1に対して上下方向、コラム3とサドル5の相対運動でテーブル1に対して前後方向、サドル5とベッド7の相対運動でテーブル1に対して左右方向にビーム部材1の位置を決定する。
【0004】
各方向への移動は、ビーム部材2とコラム3、コラム3とサドル5、サドル5とベッド7のそれそれの間に取り付けられたボールねじ8と及び図8では省略しているが数値制御装置の位置指令によって位置制御されるサーボモータによって行われる。放電加工機は高精度な位置決め精度が要求されるため、各機構部あるいは各構成物間に発生する摩擦力などの外乱を抑制し、位置決め誤差を小さくするために、サーボモータの制御ゲインを大きくする必要がある。
【0005】
図9は例えば特開平1−222302号公報に示された第2の従来例にかかる数値制御装置の構成を示すブロック図である。図9において、9は例えば各サンプリングごとの移動増分量等である補間情報を入力し、モータに対する速度指令を出力する加減速処理装置である。10は加減速処理装置9の出力に従ってモータ10−1の位置決め制御を行うサーボ機構であり、モータ10−1と連動する速度検出器10−2、位置検出器10−3、モータフィードバック位置を入力する位置制御器10−4、モータフィードバック速度を入力する速度制御器10−5、モータフィードバック位置と速度制御器10−5の出力信号を入力する増幅器10−6より構成されている。
【0006】
11はサーボ機構10から出力されるモータフィードバック速度を記憶するモータフィードバック速度記憶装置である。12はモータフィードバック速度記憶装置11に記憶されたモータフィードバック速度を入力し、このモータフィードバック速度の極性が反転したか否かを判別する速度反転判別器である。13はモータフィードバック速度記憶装置11に記憶されたモータフィードバック速度を入力し、モータの移動開始か否かを判別する移動開始判別器である。14はサーボ機構10から出力されるモータフィードバック電流を記憶するモータフィードバック電流記憶装置である。
【0007】
15はモータフィードバック電流値とロストモーション量の比例定数を記憶する比例定数記憶装置である。16は比例定数記憶装置15に記憶された情報と定数項記憶装置17に記憶された情報とを入力し、ロストモーション補正量を算出するテーブル/関数機能を備えたロストモーション補正量算出装置である。
【0008】
次に、上記第2の従来例にかかる数値制御装置の動作について説明する。
加減速処理装置9の出力、例えばモータ10−1に対する速度指令などの位置情報がサーボ機構10に入力され、サーボ機構10は指令された情報に従ってモータ10−1を制御する。このとき、モータフィードバック速度をサンプリングし、モータフィードバック速度記憶装置14に入力する。
【0009】
速度反転判別器12ではモータフィードバック速度記憶装置11に記憶されたモータフィードバック速度により、モータフィードバック速度の反転する時点を求め、モータフィードバック電流記憶装置14にモータフィードバック電流サンプリングの指令を入力する。モータフィードバック電流記憶装置14は速度反転判別器12または移動開始判別器13の指令により、サーボ機構10より出力されるモータフィードバック電流値をサンプリングし、ロストモーション補正量算出装置16に出力する。
【0010】
上記ロストモーション補正量算出装置16はモータフィードバック電流記憶装置14により入力されたモータフィードバック電流値と、比例定数記憶装置15に記憶された情報と、定数記憶装置17に記憶されたモータフィードバック電流をI、比例定数記憶装置15に記憶された比例定数をa、定数項記憶装置17に記憶された定数項をbとすれば、ロストモーション補正量εは次式によって求められる。
【0011】
ε=a・I+b
【0012】
ロストモーション補正量算出装置16により求められたロストモーション補正量εは、加減速処理装置9の出力とともにサーボ機構10に入力される。
【0013】
上記の第2の従来例はサーボモータ所望時の駆動電流とロストモーション補正量との関係を表すテーブル/関数を備え、駆動電流検出手段にて検出されたサーボモータ所望時の駆動電流により、上記テーブル/関数にもとづいてロストモーションを補正する手段によってロストモーション補正量εを演算し補正する。
【0014】
図10は、特願平7−003511号公報に記載された第3の従来例にかかる位置決め装置である。図において、18はサーボモータ19の回転力を直線運動に変換して可動テーブル20を直線運動させるボールねじ、21はサーボモータ19の回転位置検出器、22は回転位置検出器21からの出力の時間変化からサーボモータ19の回転速度方向切り換わりを判別する判別手段。
【0015】
23は算出手段であり、この算出手段23はサーボモータ19の回転速度方向切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて該比例増加の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上になったとき該補正量が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り替わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り替わったときとで同一である飽和領域よりなる力学モデルに基づいて作成されたロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出する。
【0016】
24は加算手段であり、この加算手段24は算出手段23で算出したロストモーション補正値を位置指令生成手段25から出力された位置指令値に加算し、モータ制御手段26のロストモーション補正を行う。
【0017】
この従来例によれば、サーボモータ19の回転速度方向が切り替わったときの回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加する比例領域とサーボモータ19の回転速度方向が切り替わったときの回転検出位置からの変位量がある値以上になったとき該補正量が一定値となる飽和領域を有するロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出し、この算出した補正量を数値制御装置から生成される位置指令値に加算するように構成しているので、駆動系の弾性変形やがたによって生じる速度方向切り替え時の軌跡の段差を生じることなく、なめらかで高精度な位置決めが実現できる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように第1の従来例の放電加工機では、電極を支持するビーム部材2の位置決めが、サーボモータによって行われるため、加工精度を向上させるにはサーボモータを制御する制御器の制御ゲインを大きくする必要がある。
【0019】
しかし、制御器の制御ゲインを大きくすると機械構造体の振動を励起するため、安定な加工ができなくなるという問題点がある。
また、制御ゲインを大きくするためには、ベッド7の板厚を大きくして構造の剛性を高め、機械共振周波数をモータの制御帯域幅よりも十分高くする必要がある。
【0020】
例えば、製造コストを抑えるためにベッド7前面に矩形の開口部を形成した場合、機械構造体の剛性が著しく低下するため、制御ゲインを小さくせざるをえなくなり、サーボモータの応答特性が悪くなる。
【0021】
このため、ボールねじ8や直動案内機構6の摩擦力による位置決め精度は低下し、加工精度は低下する。また、コラム移動型放電加工機においてはワークと電極との間の微小間隔を高速に駆動するので、機械共振周波数が低下すると高速位置決めしたときに振動が生じてワークと電極との間の微小間隔を適正に制御することが不能となって安定な放電が行われなくなり、加工速度が低下するという問題点がある。
【0022】
また、第1の従来例において、電極を支持するビーム部材2がサドル4の下のボールねじ8によって左右方向に駆動されるため、コラム3からのビーム部材2のはりだし量が大きい場合には、サドル5に作用する加工槽(テーブル)のシール板などの摺動部の摩擦力などの外力によって生じるサドル4の回転がビーム部材2のはりだしによって拡大され、ビーム部材2に支持された電極とワーク間の位置決め精度が低下するという問題点がある。
【0023】
コラム3は前後方向に移動し、ボールねじ8からビーム部材2の先端の電極までの距離はコラム3の位置によって変化する。このため、コラム3の位置によって発生する位置決め誤差は異なる。
【0024】
第2の従来例の装置では、サーボモータ所望時の駆動電流とロストモーション補正量との関係を表すテーブル/関数を備え、駆動電流検出手段にて検出されたサーボモータ所望時の駆動電流により、上記テーブル/関数にもとづいてロストモーションを補正する手段によってロストモーション補正量を演算してロストモーションを補正するため、コラム3の前後方向位置によって発生する位置誤差が変化するような第1の従来例の装置に第2の従来例のロストモーション補正モデルをそのまま適用すると、位置誤差の変化に対応できないため位置決め誤差が拡大するという問題点がある。
【0025】
第3の従来例の装置は、サーボモータ19の回転速度方向が切り替わったときの回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加する比例領域と、サーボモータ19の回転速度方向が切り替わったときの回転検出位置からの変位量がある値以上になったときの補正量が一定値となる飽和領域とを有するロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出し、この算出した補正量を数値制御装置から生成される位置指令値に加算するように構成しているので、第2の従来例同様に、コラム3は前後方向位置によって変化する位置誤差に対応できないため、位置決め誤差が拡大するという問題点がある。
【0026】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、位置決め精度の劣化を防止し、構造の軽量化による低コスト化を達成する。また、位置決め誤差を補正することによって、高精度な放電加工を行うことができる放電加工機を得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の放電加工機は、被加工物を載置するテーブルと、被加工物を放電加工する放電電極を支持するビーム部材と、このビーム部材を支持するコラムと、このコラムを前後方向に摺動させる直動案内機構と、コラムを前後方向に摺動させる直動案内機構を支持するサドルと、このサドルを左右方向に摺動させる直動案内機構と、前記テーブルと前記サドルを左右方向に摺動させる直動案内機構を含み、且つ、この機構から上の構造部材とを載置した箱状のテーブルを備え、このテーブルの表面、各側面及び背面の少なくとも1面に直交する対角線状の板材とこの板材の直交点を縦方向に抜ける板材が残るように開口部を形成した放電加工機において、コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、これら位置情報をパラメータとする関数から求めたコラムの位置誤差の補正値を算出する算出手段と、この算出された補正値と前記位置指令との加算値より生成された補正後の位置指令にサドルの位置制御を行う位置制御手段とを備え、コラムの前後方向位置とサドルの左右方向の位置、速度をパラメータとする関数から求めた補正値を位置指令値に加えることによって、ビーム先端位置を所望の位置に位置決めするようにしたものである。
【0030】
第2の発明の放電加工機は、コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を、コラムの前後方向位置をパラメータとする関数によって修正し、この修正した補正値を前記位置指令値に加える算出手段を備え、従来の一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を、コラムの前後方向位置をパラメータとする関数によって修正し、この修正した補正値を位置指令値に加えることによって、ビーム先端位置を所望の位置に位置決めするようにしたものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る放電加工機(コラム移動型放電加工機)の概観を示す斜視図である。図において、27はワークを載せるテーブル、28はワークを加工する電極を支持するビーム部材、29はビーム部材28を支持するコラム、30はコラム28を前後方向に摺動するために設けられた直動案内機構、31はコラム29を支持するベッドである。コラム29はボールねじ32を介してサーボモータ33によって位置決めされる。
【0032】
また、図1中では省略しているが、直動案内機構30とボールねじ32に対して直角になるように設けられた直動案内機構、ボールねじ、サーボモータによってコラム29の2次元方向(直動案内機構30に対して直行方向)の位置決めが可能である。
ベッド31の外枠の正面にはX形状の板材とX形状を縦に2分割するI形状の板材を残すように開口部を形成してある。
【0033】
図2は、図1における放電加工機のベッドとの比較のためにベッド31の前面の板材表面積に占める開口面積の割合を図8に示す従来例1と同一になるように矩形の開口部を形成したものである。図2におけるベッドの開口面積は、図1に示す本発明の実施の形態1における放電加工機のベッドの開口面積1/2である。
【0034】
図3は、ベッド31のその大きさを図1に示す放電加工機のベットと同一になるように、ベッド31の外枠の正面の開口面積の割合を図1に示す本実施の形態における放電加工機のベッドの開口面積の割合と同一となる矩形の開口部を形成したものである。
【0035】
図4は、図1〜3のベッドのサーボモータ33への位置指令値からビーム部材28の先端位置までの周波数伝達特性である。横軸は図2の装置の一次の機械共振周波数を1として正規化した周波数、縦軸は一次の機械共振周波数から十分低い周波数におけるゲイン(ビーム部材28の先端位置/サーボモータ33への位置指令値)を0dBとして正規化したゲインである。
【0036】
本実施の形態における放電加工機のベッドの穴面積の割合は、図2に示す放電加工機のベッドの開口面積の2倍であるにも係わらず、図2と同等以上の一次機械共振周波数が得られている。図3に示すベッドの開口部が矩形であると、一次共振周波数は本実施の形態に係る放電加工機および図2に示す放電加工機よりも小さくなっている。
【0037】
図5(a),(b)は本実施の形態に係る放電加工機のベッドの振動モード(b)と図3に示す放電加工機のベッドの振動モード(a)との比較である。図3の矩形の開口部を有するベッドでは、ベッド底面付近で変形が生じている。これに対し、図5(b)に示すように本実施の形態における放電加工機のベッドはほとんど変形していない。従って、ベッドに形成する開口部は矩形よりX形状とI形状を残すようにベッドの開口部を形成することによってベッドをより高剛性化にすることができている。
【0038】
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2に係る放電加工機の構成を示す図である。図において、34はワークを加工する電極を支持するビーム部材、35はビーム部材34を支持するコラム、36はコラム35を前後方向に摺動するために設けられた直動案内機構、37はコラム35を支持するサドル、38はサドル37をコラム35の摺動方向に対して直角方向(X方向)に摺動するための直動案内機構、39はサドル37を支持するベッドの上部、40はサドル37を駆動するボールねじ、41はボールねじ40を回転させるサーボモータ、42はサーボモータ41の回転軸の位置を検出する回転位置検出器、43は回転位置検出器42から検出した回転位置とコラム35の位置からビーム部材34の先端の位置誤差を算出する算出手段、44は算出手段43によって算出された位置誤差値と位置指令生成手段45からの位置指令値を加算する加算手段、46は加算手段44によって生成された位置指令値によってサーボモータ41を位置制御するサーボモータ制御手段である。
【0039】
尚、図6には示していないが、図1と同様に、コラム35をY方向に摺動させる直動案内機構30、駆動用のボールネジ32、このボールねじを回転させるサーボモータ33、サーボモータ33の回転軸の位置を検出する回転位置検出器が備えられている。各回転位置検出器は例えばサーボモータの回転軸の回転数に比例した周波数のパルスを出力するオプティカルエンコーダとし、算出手段43はパルスを計数することでコラム35の前後方向移動距離(位置)とサドル37の左右方向移動距離(位置)そして単位時間当たりの移動距離を演算することでサドル37の左右方向速度およびコラム35の前後方向速度を算出する。
【0040】
サドル37には加工槽のシール板などの摺動部の摩擦力や蛇腹などの摺動抵抗力によってモーメント力が加わり、サドル37が回転するため、ビーム部材34先端移動距離とボールねじ40の可動部の移動距離の間に差を生じる。
【0041】
本実施の形態に係る放電加工機は、算出手段43によってビーム部材34先端移動距離とボールねじ40の可動部の移動距離の間の差である位置誤差値を算出し、この位置誤差値と位置指令生成手段45からの位置指令値とを加算手段44において加算して位置指令値を生成する。生成された位置指令値はサーボモータ制御手段46において位置指令値に加算することで、位置決め誤差の発生を抑制する。
【0042】
つぎに、算出手段43において構成される位置誤差算出モデルについて説明する。図7は図6に示す放電加工機における位置誤差拡大機構の力学モデルを示す図である。
【0043】
放電加工機のビーム部材34により指示された電極(図示しない)は加工液に浸されており、さらにサドル37には加工槽48の水漏れを塞ぐために取り付けられたシール板47が加工槽48と相対運動することによって生じる摩擦力を受けるため、電極を支持するビーム部材2の先端にはボールねじ40からサドル37に伝達される駆動力と逆向きの力が作用する。
【0044】
このため、サドル37の速度方向が反転してロストモーションが飽和した状態においては、サドル4に対してビーム部材34の先端が常に遅れる。この遅れ量はビーム部材34の張り出し量が大きいほど拡大される。
【0045】
従来例1における放電加工機のビーム部材2の先端位置によって真円精度が変化する状況を図11の(a),(b)に示す。図11(a)はビーム部材2の張り出し量が小さい位置、同図(b)はビーム部材2の張り出し量が大きい位置にコラム3を位置決めしたときの真円測定結果を示す図である。ビーム部材2の張り出し量が大きくなることにより、速度方向切り換え点の位置誤差が大きくなっている。
【0046】
次に、この力学モデルから導出される算出手段43の位置誤差の補正式を説明する。図7において、xはサドル37の速度方向反転位置からの位置誤差が飽和しているとみなせる状態になるまでのサドル37の左右方向移動距離、θは速度方向反転位置からサドル37の左右方向回転角度、Y0はサドル37の回転中心からビーム部材34の先端までの突き出し量である。
【0047】
YFはサドル37の回転中心からビーム部材34の先端の電極までの突き出し量で、コラム35が最前部にある場合である。yはサドル37の回転中心からビーム部材34の先端の電極までの突き出し量で、コラム35が前後方向に関して可動範囲内で任意の位置にある場合である。
【0048】
(δ0)maxはコラム35がY0の位置にあるときに速度方向の反転によって生じるロストモーションの最大値、(δF)maxはコラム35がYFの位置にあるときに速度方向の反転によって生じるロストモーションの最大値、(δ)maxはコラム35がyの位置にあるときに速度方向の反転によって生じるロストモーションの最大値である。コラム35がyの位置にあるときのロストモーションδは次式となる。
【0049】
δ=( δ 0 )max+((δF)max―(δ0)max)・y/YF
=( δ 0 )max[1+((δF)max―(δ0)max)・y/((δ0)max・YF)]
=( δ 0 )max[1+β・y]
ただし、β=((δF)max―(δ0)max)/((δ0)max・YF)
【0050】
算出手段43においてこの関係式に相当する演算処理を行うことにより、位置誤差の補正値を算出する。算出した位置誤差の補正値を位置指令生成手段45から算出された位置指令値に加えることによって、コラム35の回転によって拡大されるビーム部材先端に支えられた電極の位置誤差を補正することができる。
【0051】
なお、δ=( δ 0 )max[1+β・y]の( δ 0 )maxを従来のロストモーション補正から算出されるロストモーション補正値と置き換えれば、ボールねじなどの駆動系のがたや弾性変形によって生じるロストモーションとともに、ビーム部材34の張り出しによって拡大、変化するロストモーションの補正も可能となり、通常の一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルに比べて位置誤差を小さくできる。
【0052】
【発明の効果】
第1の発明の放電加工機は、被加工物を載置するテーブルと、被加工物を放電加工する放電電極を支持するビーム部材と、このビーム部材を支持するコラムと、このコラムを前後方向に摺動させる直動案内機構と、前記テーブルと前記直動案内機構から上の構造部材とを載置した箱状のテーブルを備え、このテーブルの表面、各側面及び背面の少なくとも1面に直交する対角線状の板材とこの板材の直交点を縦方向に抜ける板材が残るように開口部を形成したので、従来の矩形状の穴を有する同一重量のベッドよりも剛性を高くすることができため機械剛性の低下によるモータの位置決め精度の低下を防止できると共に、加工精度の低下が防止できるという効果がある。
【0053】
また、このようなコラム移動型の放電加工機においてはワークと電極との間の微小間隔を高速に駆動するので、機械共振周波数が低下すると高速位置決めしたときに振動が生じて加工速度が低下するが、本発明のベッド構造を用いることで同一の重量を持つ従来のベッドに比べて振動を小さくでき、加工速度を向上することができるという効果がある。
【0054】
第2の発明の放電加工機は、コラムを前後方向に摺動させる直動案内機構を支持するサドルと、このサドルを左右方向に摺動させる直動案内機構と、前記テーブルと前記直動案内機構から上の構造部材とを載置した箱状のテーブルを備え、このテーブルの表面、各側面及び背面の少なくとも1面に直交する対角線状の板材とこの板材の直交点を縦方向に抜ける板材が残るように開口部を形成したので、従来の矩形状の穴を有する同一重量のベッドよりも剛性を高くすることができるため、機械剛性の低下によるモータの位置決め精度の低下を防止できると共に、加工精度の低下が防止できるという効果がある。
【0055】
また、同一の剛性になるようにベッド穴の大きさを決めた場合、本発明のベッド構造の方が重量を軽くできるので、材料費を減らすことができるので、製造にかかるコストを小さく抑えることができるという効果がある。
更に、剛性の低下による位置決め精度の低下を防止することができるので、加工精度を高めることができるという効果がある。
【0056】
第3および第4の発明の放電加工機は、コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、これら位置情報をパラメータとする関数から求めたコラムの位置誤差の補正値を算出する算出手段と、この算出された補正値と前記位置指令との加算値より生成された補正後の位置指令にサドルの位置制御を行う位置制御手段とをを備え、コラムの前後方向位置とサドルの左右方向の位置、速度をパラメータとする関数から求めた補正値を位置指令値に加えることによってビーム先端位置を所望の位置に位置決めするようにしているので、従来のサドル、コラムを駆動させることで電極を前後・左右方向に位置決めする構造の放電加工機の位置精度を向上させることができるという効果がある また、新たに部品を追加する必要がないので、製造にかかるコストを上げることなく、加工精度を高めることができるという効果がある。
【0057】
第5および第6の発明の放電加工機は、コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を、コラムの前後方向位置をパラメータとする関数によって修正し、この修正した補正値を前記位置指令値に加える算出手段を備え、従来の一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を、コラムの前後方向位置をパラメータとする関数によって修正し、この修正した補正値を位置指令値に加えることによってビーム先端位置を所望の位置に位置決めするようにしているので、従来のサドル、コラムを駆動させることで電極を前後・左右方向に位置決めする構造の放電加工機において、NC制御プログラムのみの簡単な修正で、従来の装置よりも位置決め精度を高めることができるという効果がある
【0058】
また、この発明では、新たに部品を追加する必要がないので、製造にかかるコストを上げることなく性能向上が図れる。また、剛性の低下によって発生する位置誤差も補正できるので、従来高剛性で高価なボールねじと板厚の厚い機械構造を用いることで高精度を達成していた放電加工機においては、ボールねじの品質や機械構造の板厚を落とすことができるので、放電加工機の製作にかかるコストを小さく抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の放電加工機の構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の効果を確認するために用いた放電加工機の構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の効果を確認するために用いた放電加工機の構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の放電加工機のモータ位置指令から上部ビーム部材で支持される電極とテーブル上に設置されたワークとの相対変位までの周波数応答を説明する周波数特性図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の放電加工機の振動モードである。
【図6】 この発明の実施の形態2の放電加工機の構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態2の位置誤差の拡大機構を示すための力学モデルを説明する図である。
【図8】 第1の従来例の放電加工機の構成図である。
【図9】 第2の従来例の放電加工機の構成図である。
【図10】 第3の従来例の放電加工機の構成図である。
【図11】 第1の従来例の放電加工機の真円精度測定結果を示す図である。
【符号の説明】
27 テーブル、28 上部ビーム部材、29 コラム、30 直動案内機構、31 ベッド、31,32 ボールねじ、33 サーボモータ、34 上部ビーム部材、35 コラム、36 直動案内機構、37 サドル、38 直動案内機構、39 ベッド、40 ボールねじ、41 サーボモータ、42 回転位置検出器、43 算出手段、44 加算手段、45 位置指令生成手段、46 サーボモータ制御手段。
Claims (2)
- 被加工物を載置するテーブルと、被加工物を放電加工する放電電極を支持するヘッドと、このヘッドを支持するコラムと、このコラムを前後方向に摺動させる直動案内機構と、コラムを前後方向に摺動させる直動案内機構を支持するサドルと、このサドルを左右方向に摺動させる直動案内機構と、前記テーブルと前記サドルを左右方向に摺動させる直動案内機構を含み、且つ、この機構から上の構造部材とを載置した箱状のテーブルを備え、このテーブルの表面、各側面及び背面の少なくとも1面に、直交する対角線状の板材とこの板材の直交点を縦方向に抜ける板材が残るように開口部を形成した放電加工機において、
コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、これら位置情報をパラメータとする関数から求めたコラムの位置誤差の補正値を算出する算出手段と、この算出された補正値と前記位置指令との加算値より生成された補正後の位置指令に従ってサドルの位置制御を行う位置制御手段とを備え、
前記算出手段は、コラムの前後方向位置とサドルの左右方向の位置、速度に等価な量をパラメータとする関数から求めた位置誤差の補正値δを位置指令値に加えることによって、サドルの位置制御を行い、ビーム先端位置を所望の位置に決めることを特徴とする放電加工機。
δ= ( δ 0 )max+( δ 0 )max ・y・ {( δ F )max ― ( δ 0 )max} / {( δ 0 )max ・Y F }
ただし、 ( δ 0 )max :任意のコラム位置 ( 前後方向位置 ) における左右方向のロストモ ーションの最大値
Y F : ( δ 0 )max を測定したコラム位置からのコラムの前後方向変位 量
( δ F )max :コラムがYFの位置にあるときの左右方向のロストモーション の最大値
y:コラムの前後方向位置(任意)
δ:コラムがyの位置にあるときのロストモーション - 被加工物を載置するテーブルと、被加工物を放電加工する放電電極を支持するヘッドと、このヘッドを支持するコラムと、このコラムを前後方向に摺動させる直動案内機構と、コラムを前後方向に摺動させる直動案内機構を支持するサドルと、このサドルを左右方向に摺動させる直動案内機構と、前記テーブルと前記サドルを左右方向に摺動させる直動案内機構を含み、且つ、この機構から上の構造部材とを載置した箱状のテーブルを備え、このテーブルの表面、各側面及び背面の少なくとも1面に、直交する対角線状の板材とこの板材の直交点を縦方向に抜ける板材が残るように開口部を形成した放電加工機において、
コラムの位置指令を生成する位置指令生成手段と、直動案内機構より入力したサドルとコラムの動作信号よりコラムの前後方向とサドルの左右方向の位置、速度情報を求めると共に、一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を、コラムの前後方向位置をパラメータとする関数によって修正し、この修正した補正値を前記位置指令値に加える算出手段を備え、
前記算出手段は、コラムの前後方向位置とサドルの左右方向の位置、速度に等価な量をパラメータとする関数f(y)に一方向のみを考慮したロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値を掛けることによって補正値を修正し、この修正した補正値を位置指令値に加えることによって、ビーム先端位置を所望の位置に決めることを特徴とする放電加工機。
f(y)=1 + β・y
ただし、β= (( δ F )max ― ( δ 0 )max) / (( δ 0 )max ・Y F )
( δ 0 )max :任意のコラム位置(前後方向位置)における左右方向のロストモー ションの最大値
Y F :δ 0 を測定したコラム位置からのコラムの前後方向変位量
( δ F )max :コラムがYFの位置にあるときの左右方向のロストモーションの最 大値
y:コラムの前後方向位置(任意)
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