JP3679757B2 - 軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば薄膜磁気ヘッドのコア材として使用されるCoFe合金の飽和磁束密度BsをNiFe合金の飽和磁束密度Bsよりも大きくできると同時に、耐侵食性に優れた軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜磁気ヘッドのコア層には、特に今後の高記録密度化に伴い、高い飽和磁束密度Bsを有する磁性材料を使用し、前記コア層のギャップ近傍に磁束を集中させて、記録密度を向上させる必要がある。
【0003】
前記磁性材料には従来からNiFe合金がよく使用されている。前記NiFe合金は、直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成され、1.8T程度の飽和磁束密度Bsを得ることが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsをさらに高めるには、例えば直流電流を用いた電気メッキ法に代えてパルス電流による電気メッキ法を使用する。
【0005】
これにより前記NiFe合金のBsを高めることが可能になったが、かかる場合でも飽和磁束密度Bsはせいぜい1.9T程度までしか上がらず、2.0T以上の飽和磁束密度Bsを得ることは非常に困難であった。
【0006】
また飽和磁束密度Bsを上げると、膜面の面粗れがひどくなり、前記NiFe合金が薄膜磁気ヘッドを製造する過程で使用される様々な溶剤に侵食されるといった問題があった。
【0007】
またNiFe合金以外によく使用される磁性材料としてはCoFe合金を挙げることができるが、従来では、CoFe合金中に占めるCo含有量を50質量%前後としており、かかる組成比の場合、飽和磁束密度Bsは小さく、また膜面での面粗れがひどく耐食性が低いものとなっていた。
【0008】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、CoFe合金の組成比を適正化することで、飽和磁束密度BsをNiFe合金の飽和磁束密度Bsよりも高く、しかも耐食性にも優れた軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明における軟磁性膜の製造方法は、サッカリンナトリウムを混入していないメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を.0以上で.0以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが65質量%以上で75質量%以下となるCo1−XFeをメッキ形成することを特徴とするものである。
【0025】
上記のように本発明では、CoFe合金をパルス電流を用いた電気メッキ法によってメッキ形成する。パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。このように電流を流さない時間を設けることで、CoFe合金膜を、少しずつメッキ形成し、直流電流を用いた電気メッキ法に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。パルス電流による電気メッキ法によれば直流電流による電気メッキ法に比べて軟磁性膜中に含まれるFe含有量の調整が容易になり、前記Fe含有量を膜中に多く取り込むことができる。
【0027】
また本発明では、前記メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入していない。前記サッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)は応力緩和剤としての役割を有しており、一般的にメッキ浴中に混入される。
【0029】
このように本発明では、CoFe合金からなる軟磁性膜を、メッキ浴中に占めるFe濃度のCoイオン濃度に対する比率を所定範囲内にし、且つこのメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入せず、パルス電流を用いた電気メッキ法を用いて、CoFe合金をメッキ形成することにより、高い飽和磁束密度Bsを有し、さらに耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能になったのである。
【0032】
あるいは本発明における軟磁性膜の製造方法は、サッカリンナトリウムを混入したメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが68質量%以上で80質量%以下となるCo1-XFeXをメッキ形成することを特徴とするものである。
【0033】
この発明ではメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入している。サッカリンナトリウムを混入すると混入しない場合に比べて飽和磁束密度Bsが低下する傾向にあるが、メッキ浴中のFeイオン濃度を、上記した比率内に収め、さらにパルス電流を用いた電気メッキ法を使用することで、飽和磁束密度Bsが2.0T以上で、且つ耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能になる。
【0034】
また本発明では、Feイオン濃度を1.0g/l以上で7.5g/l以下に設定することが好ましく、より好ましくは、Feイオン濃度を1.0g/l以上で1.5g/l以下に設定する。
またCoイオン濃度を0.2g/l以上で1.4g/l以下に設定することが好ましい。
また本発明では、前記メッキ浴中に、2−ブチン−1、4ジオールを混入することが好ましい。これによってメッキ形成されたCoFe合金の結晶粒径の粗大化は抑制され、前記結晶粒径が小さくなることで結晶間に空隙が生じ難くなり、膜面の面粗れが抑制される。面粗れを抑制できることで保磁力Hcを小さくすることも可能になる。
【0035】
また本発明では、前記メッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入することが好ましい。これによってメッキ浴中に生じる水素は、界面活性剤である2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムによって除去され、前記水素がメッキ膜に付着することによる面粗れを抑制できる。
【0036】
また前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに代えて、ラウリル硫酸ナトリウムを用いても良いが、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを用いた方が、メッキ浴中に混入したときの泡立ちが少なく、したがって前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムをメッキ浴中に多く混入することができ、前記水素の除去をより適切に行うことが可能になる。
【0037】
また本発明は、磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
少なくとも一方のコア層を、上記に記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。
【0038】
また本発明では、前記下部コア層上に記録媒体との対向面で下部磁極層を隆起形成し、前記下部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成することが好ましい。
【0039】
さらに本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法は、下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規制された磁極部とを有し、
前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
このとき前記上部磁極層及び/または下部磁極層を、上記に記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。
【0040】
また本発明では、前記コア層を、少なくとも磁気ギャップに隣接する部分で2層以上の磁性層で形成し、あるいは前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、このとき前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層を、前記軟磁性膜によりメッキ形成することが好ましい。
【0041】
また本発明では、前記磁気ギャップに接する磁性層以外の他の磁性層を、CoFe合金で形成し、このとき前記他の磁性層のFeの組成比を、前記磁気ギャップ層に接する側の磁性層のFeの組成比Xよりも小さくすることが好ましい。
【0042】
上記したように本発明における軟磁性膜としてのCoFe合金を、パルス電流を用いた電気メッキ法により、例えばサッカリンナトリウムを混入していないメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃の比率を1.0以上で17.0以下としてメッキ形成することで、前記CoFe合金のFe組成比を50質量%以上で90質量%以下にすることができる。
【0043】
そしてこのような軟磁性膜を薄膜磁気ヘッドのコア材として使用することで、飽和磁束密度Bsが2.0T以上と高く高記録密度化を図ることができ、また耐食性にも優れた薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0044】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、図2は図1に示す薄膜磁気ヘッドを2−2線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0045】
本発明における薄膜磁気ヘッドは、浮上式ヘッドを構成するセラミック材のスライダ11のトレーリング側端面11aに形成されたものであり、MRヘッドh1と、書込み用のインダクティブヘッドh2とが積層された、MR/インダクティブ複合型薄膜磁気ヘッド(以下、単に薄膜磁気ヘッドという)となっている。
【0046】
MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用してハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出し、記録信号を読み取るものである。
【0047】
図2に示すように、前記スライダ11のトレーリング側端面11a上にAl23膜12を介してNiFe等からなる磁性材料製の下部シールド層13が形成され、さらにその上に絶縁材料製の下部ギャップ層14が形成されている。
【0048】
前記下部ギャップ層14上には記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)に向けて、異方性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子あるいはトンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子などの磁気抵抗効果素子10が形成され、さらに前記磁気抵抗効果素子10及び下部ギャップ層14上には絶縁材料製の上部ギャップ層15が形成されている。さらに前記上部ギャップ層15の上にNiFe等の磁性材料で形成された上部シールド層16が形成されている。MRヘッドh1は、前記下部シールド層13から上部シールド層16までの積層膜で構成されている。
【0049】
次に図1及び2に示す実施形態では、前記上部シールド層16がインダクティブヘッドh2の下部コア層としても兼用されており、前記下部コア層16上には、Gd決め層17が形成され、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17の先端部までの長さ寸法でギャップデプス(Gd)が規制される。前記Gd決め層17は例えば絶縁材料などで形成される。
【0050】
また前記下部コア層16の上面16aは図1に示すように、磁極部18の基端からトラック幅方向(図示X方向)に離れるにしたがって下面方向に傾く傾斜面で形成されており、これによりサイドフリンジングの発生を抑制することが可能である。
【0051】
また図2に示すように、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17上にかけて磁極部18が形成されている。
【0052】
前記磁極部18は下から下部磁極層19、非磁性のギャップ層20、及び上部磁極層21が積層されている。
【0053】
前記下部磁極層19は、下部コア層16上に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層19の上に形成されたギャップ層20は、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択されたものであることが好ましい。
【0054】
なお本発明における具体的な実施形態として前記ギャップ層20にはNiPが使用される。NiPで前記ギャップ層20を形成することで前記ギャップ層20を適切に非磁性状態にできるからである。
【0055】
さらに前記ギャップ層20の上に形成された上部磁極層21は、その上に形成される上部コア層22と磁気的に接続される。
【0056】
上記のようにギャップ層20がメッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層19、ギャップ層20及び上部磁極層21を連続メッキ形成することが可能である。
【0057】
なお前記磁極部18は、ギャップ層20及び上部磁極層21の2層で構成されていてもよい。
【0058】
図1に示すように、前記磁極部18はトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅Twで形成されている。
【0059】
図1及び図2に示すように、前記磁極部18のトラック幅方向(図示X方向)の両側及びハイト方向後方(図示Y方向)には絶縁層23が形成されている。前記絶縁層23の上面は前記磁極部18の上面と同一平面とされる。
【0060】
図2に示すように、前記絶縁層23上にはコイル層24が螺旋状にパターン形成されている。また前記コイル層24上は有機絶縁製の絶縁層25によって覆われている。
【0061】
図2に示すように、磁極部18上から絶縁層25上にかけて上部コア層22が例えばフレームメッキ法によりパターン形成されている。図1に示すように、前記上部コア層22の先端部22aは、記録媒体との対向面でのトラック幅方向における幅寸法がT1で形成され、かかる幅寸法T1はトラック幅Twよりも大きく形成されている。
【0062】
また図2に示すように、前記上部コア層22の基端部22bは、下部コア層16上に形成された磁性材料製の接続層(バックギャップ層)26上に直接接続されている。
【0063】
本発明では、前記上部磁極層21及び/または下部磁極層19が以下の組成比を有する軟磁性膜で形成されている。
(1)組成式がCo1-XFeXで示され、Feの組成比Xは、50質量%以上で90質量%以下であり、且つメッキ形成されることを特徴とする軟磁性膜。
【0064】
このように本発明では前記Fe含有量Xを50質量%以上で90質量%以下に設定している。
【0065】
前記Fe含有量Xを上記範囲内に設定したのは、飽和磁束密度Bsを2.0T以上に設定できるからである。好ましくは、前記Feの組成比は、60質量%以上で78質量%以下であり、かかる場合、飽和磁束密度Bsを2.25T以上にできる。またより好ましくは、前記Feの組成比は、65質量%以上で75質量%以下であり、かかる場合、飽和磁束密度Bsを2.3T以上にできる。
【0066】
上記した飽和磁束密度の値はNiFe合金よりも大きく、また本発明では安定して高い飽和磁束密度を得ることができる。
【0067】
ところで上記した軟磁性膜は、後で詳述するように、メッキ浴中に応力緩和剤となるサッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)を混入せずに、メッキ浴中のFeイオン濃度のCoイオン濃度に対する比率を所定範囲内に設定し、このメッキ浴からパルス電流を用いた電気メッキ法によってメッキ形成されたものである。
【0068】
後述する実験によれば、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入しない方が混入した場合に比べてCoFeの飽和磁束密度Bsを向上させることができ、特にFeの組成比を適正化することで、2.3T以上の非常に高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能になる。
【0069】
前記サッカリンナトリウムを混入しないことで飽和磁束密度Bsが向上する理由は、メッキ面に対するFeイオンの出入りが良好になり緻密な膜を形成できるからであると考えられる。
【0070】
メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入しないことで膜応力等が、混入する場合に比べて大きくなる傾向にあるが、前記膜応力の値は図1に示す磁極層19、21として使用できない範囲でなく、一方、今後の高記録密度化を促進させるために必要な飽和磁束密度BsをFeの広い組成範囲にわたって2.0T以上にでき、あるいはFe組成によっては2.3T以上にできる。
【0071】
従ってギャップ層20を介した下部磁極層19及び/または上部磁極層21に上記組成比のCoFe合金を使用することで、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを得ることができる。
【0072】
しかも上記組成範囲内であると結晶が緻密に形成されることで、膜面の面粗れを抑制でき、耐食性を向上させることができる。従って薄膜磁気ヘッドの製造時に使用される各種溶剤に腐食するのを未然に防止することが可能である。なお本発明では、CoFe合金膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)を9nm以下にすることができる。好ましくは、前記中心線平均粗さ(Ra)を5nm以下にすることができる。
【0073】
このように中心線平均粗さRaを小さく抑えることができる理由は、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入しないことで、メッキ形成されたCoFe内に耐食性を低下させる元素Sが入り込むことがなくなり、また結晶粒径が小さくなり緻密な膜を形成する等であると考えられ、このためサッカリンナトリウムを混入しない方が混入する場合に比べて中心線平均粗さRaを小さくでき耐食性を適切に向上させることができる。
【0074】
また本発明では、前記保磁力Hcを2370(A/m)以下にすることができる。
【0075】
また本発明では、比抵抗を17(μΩ・cm)以上にすることができる。また膜応力を1200MPa以下、好ましくは400MPa以下にすることができる。さらに異方性磁界Hkに関しては、従来から軟磁性材料として一般的に使用されているNiFe合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができる。
(2)組成式がCo1-XFeXで示され、Feの組成比Xは、68質量%以上で80質量%以下であり、且つメッキ形成されることを特徴とする軟磁性膜。
【0076】
この軟磁性膜は、(1)の軟磁性膜とは違ってメッキ浴中に応力緩和剤となるサッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)を混入し、メッキ浴中のFeイオン濃度のCoイオン濃度に対する比率を所定範囲内に設定し、このメッキ浴からパルス電流を用いた電気メッキ法によってメッキ形成されたものである。
【0077】
後述する実験によれば、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入した場合でもFeの組成比を適正化することで、2.0T以上、好ましくは2.25T以上の高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能になる。
【0078】
メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入した場合、混入しない場合に比べて2.0T以上の飽和磁束密度Bsを得ることが可能なFe組成範囲は小さくなるものの、従来のNiFe合金より高い飽和磁束密度を得ることができ、本発明におけるCoFe合金を使用すれば今後の高記録密度化に適切に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0079】
またメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入することで混入しない場合に比べて膜応力を効果的に小さくすることができる。
【0080】
しかも上記組成範囲内であると結晶が緻密に形成されることで、膜面の面粗れを抑制でき、耐食性を向上させることができる。従って薄膜磁気ヘッドの製造時に使用される各種溶剤に腐食するのを未然に防止することが可能である。なお本発明では、CoFe合金膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)を9nm以下にすることができる。
【0081】
また本発明では、前記保磁力Hcを1580(A/m)以下にすることができる。
【0082】
また本発明では、比抵抗を25(μΩ・cm)以上にすることができる。また膜応力を400MPa以下にすることができる。さらに異方性磁界Hkに関しては、従来から軟磁性材料として一般的に使用されているNiFe合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができる。
【0083】
上記した(1)または(2)のCoFe合金は他の形態の薄膜磁気ヘッドにも使用することができる。
【0084】
図3は、本発明における第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、図4は図3に示す4−4線から薄膜磁気ヘッドを切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0085】
この実施形態では、MRヘッドh1の構造は図1及び図2と同じである。
図3に示すように下部コア層16上には、絶縁層31が形成されている。前記絶縁層31には、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)後方に所定の長さ寸法で形成されたトラック幅形成溝31aが形成されている。前記トラック幅形成溝31aは記録媒体との対向面においてトラック幅Twで形成されている(図3を参照のこと)。
【0086】
前記トラック幅形成溝31aには、下から下部磁極層32、非磁性のギャップ層33、及び上部磁極層34が積層された磁極部30が形成されている。
【0087】
前記下部磁極層32は、下部コア層16上に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層32の上に形成されたギャップ層33は、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択されたものであることが好ましい。
【0088】
なお本発明における具体的な実施形態として前記ギャップ層33にはNiPが使用される。NiPで前記ギャップ層33を形成することで前記ギャップ層33を適切に非磁性状態にできるからである。
【0089】
なお前記磁極部30は、ギャップ層33及び上部磁極層34の2層で構成されていてもよい。
【0090】
前記ギャップ層33の上には、記録媒体との対向面からギャップデプス(Gd)だけ離れた位置から絶縁層31上にかけてGd決め層37が形成されている。
【0091】
さらに前記ギャップ層33の上に形成された上部磁極層34は、その上に形成される上部コア層40と磁気的に接続される。
【0092】
上記のようにギャップ層33がメッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層32、ギャップ層33及び上部磁極層34を連続メッキ形成することが可能である。
【0093】
図4に示すように前記絶縁層31の上にはコイル層38が螺旋状にパターン形成されている。前記コイル層38は有機絶縁材料などで形成された絶縁層39によって覆われている。
【0094】
図3に示すように、トラック幅規制溝31aのトラック幅方向(図示X方向)における両側端面には、前記上部磁極層34の上面から前記絶縁層31の上面31bにかけて下部コア層16から離れる方向にしたがって徐々に幅寸法が広がる傾斜面31c,31cが形成されている。
【0095】
そして図3に示すように上部コア層40の先端部40aは、前記上部磁極層34上面から前記傾斜面31c,31c上にかけて下部コア層16から離れる方向に形成されている。
【0096】
図4に示すように前記上部コア層40は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にかけて絶縁層39上に形成され、前記上部コア層40の基端部40bは下部コア層16上に直接形成されている。
【0097】
図3及び図4に示す第2実施形態では、下部磁極層32及び/または上部磁極層34が上記した(1)あるいは(2)のCoFe合金で形成される。
【0098】
前記下部磁極層32及び上部磁極層34が2.0T以上、好ましくは2.25T以上、より好ましくは2.3T以上の高い飽和磁束密度Bsを有する上記したCoFe合金で形成されることで、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録密度を向上させることができるから、高記録密度化に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。
【0099】
また前記CoFe合金は、上記組成範囲内で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面粗れを抑制でき、耐食性を向上させることができる。本発明では、前記膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にすることができる。より好ましくは5nm以下である。また保磁力Hcを小さくできる。
【0100】
図1ないし図4に示す実施形態では、いずれも下部コア層16と上部コア層22、40間に磁極部18、30を有し、前記磁極部18,30を構成する下部磁極層19,32及び/または上部磁極層21,34は上記(1)あるいは(2)のCoFe合金で形成されるものであるが、本発明では、前記下部磁極層19,32及び/または上部磁極層21,34は2層以上の磁性層が積層されて構成されていてもよい。かかる構成の場合、ギャップ層20,33に接する側の磁性層が上記組成範囲のCoFe合金で形成されることが好ましい。これによってギャップ近傍に磁束をより集中させることができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0101】
また前記ギャップ層20,33に接する磁性層以外の磁性層は、CoFe合金で形成され、前記他の磁性層のFeの組成比は、前記ギャップ層20,33に接する側の磁性層のFe組成比よりも小さいことが好ましい。これによって前記ギャップ層20,33に接する磁性層の飽和磁束密度Bsを他の磁性層よりも高めることができ、ギャップ近傍に磁束をより適切に集中させることが可能になる。なお前記他の磁性層はCoFe合金で形成される必要はなく、例えばNiFe合金で形成されてもよい。かかる場合、NiFe合金のFe量は、ギャップ層20,33に接する側の磁性層のCoFeのFe量よりも多くてもかなわない。後述の実験で示されるように、NiFe合金の場合、Fe量が73質量%程度でも飽和磁束密度Bsはせいぜい1.9T程度であり、2.0Tを越えることがなく、よってギャップ層20,33側の磁性層のBsの方を高くすることが可能だからである。
【0102】
また下部磁極層19,32の飽和磁束密度Bsは高いことが好ましいが、上部磁極層21,34の飽和磁束密度Bsよりも低くすることにより、下部磁極層と上部磁極層との間における洩れ磁界を磁化反転しやすくすると、より記録媒体への信号の書込み密度を高くできる。
【0103】
また下部コア層16及び上部コア層22,40を上記組成範囲のCoFe合金で形成しても良いが、かかる場合、上部磁極層21,34及び下部磁極層19,32の飽和磁束密度Bsの方が、下部コア層16及び上部コア層22,40よりも高くなるようにCoFe合金のFe組成比を適切に調整することが好ましい。
【0104】
図5は本発明における第3実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
この実施形態ではMRヘッドh1が図1と同じである。図5に示すように下部コア層16にはアルミナなどによる磁気ギャップ層(非磁性材料層)41が形成されている。さらに前記磁気ギャップ層41の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の絶縁層43を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成されたコイル層44が設けられている。なお、前記コイル層44はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料で形成されている。
【0105】
さらに、前記コイル層44はポリイミドまたはレジスト材料で形成された絶縁層45に囲まれ、前記絶縁層45の上に軟磁性材料製の上部コア層46が形成されている。
【0106】
図5に示すように、前記上部コア層46の先端部46aは、記録媒体との対向面において、下部コア層16の上に前記磁気ギャップ層41を介して対向し、磁気ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されており、上部コア層46の基端部46bは図5に示すように、下部コア層16と磁気的に接続されている。
【0107】
本発明では、下部コア層16及び/または上部コア層46は、上記した(1)または(2)のCoFe合金で形成されている。この組成比で形成されたCoFe合金は2.0T以上、好ましくは2.25T以上、より好ましくは2.3T以上の飽和磁束密度Bsを得ることができる。
【0108】
上部コア層46及び/または下部コア層16が、2.0T以上の高い飽和磁束密度Bsを有する上記したCoFe合金で形成されることで、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録密度を向上させることができるから、高記録密度化に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。
【0109】
また前記CoFe合金は、上記組成範囲内で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面粗れを抑制でき、耐食性を向上させることができる。本発明では、前記膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にすることができる。好ましくは5nm以下にすることができる。また保磁力Hcを小さくできる。
【0110】
またCoFe合金が上記組成範囲内であると、17(μΩ・cm)以上、好ましくは25(μΩ・cm)以上の比抵抗を得ることができる。また膜応力を、1200MPa以下、好ましくは400MPa以下にすることができる。さらに異方性磁界Hkに関しては、従来から軟磁性材料として一般的に使用されているNiFe合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができる。
【0111】
図6は本発明における第4実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
図5との違いは、上部コア層46が2層の磁性層で積層されて構成されていることである。
【0112】
前記上部コア層46は、高い飽和磁束密度Bsを有する高Bs層47とその上に積層された上層48とで構成されている。
【0113】
前記高Bs層47は、上記した(1)または(2)のCoFe合金で形成されている。
【0114】
これにより前記高Bs層47の飽和磁束密度Bsを2.0以上、好ましくは2.25T以上、より好ましくは2.3T以上にできる。
【0115】
また上記の(1)または(2)のCoFe合金で形成された高Bs層47は結晶が緻密に形成されることで、前記高Bs層47の膜面の面粗れを小さくでき、よって耐食性を向上させることができ、しかも保磁力Hcを小さくすることができる。具体的には、前記膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にでき、好ましくは5nm以下にでき、前記保磁力Hcを2370(A/m)以下にでき、好ましくは1580(A/m)以下にすることができる。さらにCoFe合金を使用した場合には比抵抗を17(μΩ・cm)以上、好ましくは25(μΩ・cm)以上にできる。また膜応力を1200MPa以下にでき、好ましくは400MPa以下にできる。
【0116】
前記上部コア層46を構成する上層48は、高Bs層47に比べて飽和磁束密度Bsが小さくなっているものの、前記高Bs層47よりも比抵抗が高くされている。前記上層48はCoFe合金で形成され、この場合、前記上層48のFe含有量は、高Bs層47のFe量よりも小さいことが好ましい。これによって前記高Bs層47が前記上層48よりも高い飽和磁束密度Bsを有し、ギャップ近傍に磁束を集中させて、記録分解能を向上させることが可能になる。なお前記上層48はCoFe合金で形成される必要はなく、例えばNiFe合金で形成されてもよい。かかる場合、NiFe合金のFe量は、高Bs層47のCoFeのFe量よりも多くてもかまわない。後述の実験で示されるように、NiFe合金の場合、Fe量が73質量%程度でも飽和磁束密度Bsはせいぜい1.9T程度であり、2.0Tを越えることがなく、よって高Bs層47側のBsの方を高くすることが可能だからである。
【0117】
また前記上部コア層46に比抵抗の高い上層48が設けられたことで、記録周波数が上昇することにより発生する渦電流による損失を低減させることができ、今後の高記録周波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。なお後述の実験結果に示すようにNiFe合金の方が、CoFe合金に比べて比抵抗を高くすることができるので、上層48にはCoFe合金よりもNiFe合金を使用する方が好ましい。
【0118】
また本発明では図6に示すように、高Bs層47が、ギャップ層41と対向する下層側に形成されていることが好ましい。また前記高Bs層47はギャップ層41上に直接接する上部コア層46の先端部46aのみに形成されていてもよい。
【0119】
また下部コア層16も、高Bs層と高比抵抗層の2層で構成されていてもよい。かかる構成の場合、高比抵抗層の上に高Bs層が積層され、前記高Bs層がギャップ層41を介して上部コア層46と対向する。
【0120】
また図6に示す実施形態では、上部コア層46が2層の積層構造となっているが、3層以上であってもよい。かかる構成の場合、高Bs層47は、磁気ギャップ層41に接する側に形成されることが好ましい。
【0121】
図7は本発明における第5実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
図7の実施形態ではMRヘッドh1の構成は図1と同じである。図7に示すように下部コア層16の上に下部磁極層50が記録媒体との対向面から隆起形成されている。前記下部磁極層50のハイト方向後方(図示Y方向)には絶縁層51が形成されている。前記絶縁層51の上面は、凹形状となり、コイル形成面51aが形成されている。
【0122】
前記下部磁極層50上から前記絶縁層51上にかけてギャップ層52が形成されている。さらに前記絶縁層51のコイル形成面51a上にはギャップ層52を介してコイル層53が形成されている。前記コイル層53上は有機絶縁製の絶縁層54によって覆われている。
【0123】
図7に示すように上部コア層55は、前記ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて例えばフレームメッキ法によりパターン形成されている。
【0124】
前記上部コア層55の先端部55aは前記ギャップ層52上に下部磁極層50と対向して形成される。前記上部コア層55の基端部55bは、下部コア層16上に形成された持上げ層56を介して前記下部コア層16に磁気的に接続される。
【0125】
この実施形態においては、上部コア層55及び/または下部磁極層50は上記した(1)または(2)のCoFe合金で形成されている。
【0126】
図7では下部磁極層50が形成され、前記下部磁極層50が下部コア層16よりも高い飽和磁束密度Bsを有する前記CoFe合金で形成されると、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ記録密度の向上を図ることが可能である。
【0127】
また上部コア層55は、その全体が前記CoFe合金で形成されていてもよいが、図6と同様に前記上部コア層55が2層以上の磁性層の積層構造であり、そのギャップ層52と対向する側が高Bs層として前記CoFe合金膜で形成されていてもよい。またかかる場合、前記上部コア層55の先端部55aのみが2層以上の磁性層の積層構造で形成され、前記ギャップ層52上に接して高Bs層が形成されていることが、ギャップ近傍に磁束を集中させ、記録密度を向上させる点からして好ましい。
【0128】
なお本発明では、図1ないし図7に示す各実施形態においてCoFe合金膜はメッキ形成されている。本発明では前記CoFe合金をパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成することができる。
【0129】
また前記CoFe合金をメッキ形成することで任意の膜厚で形成でき、スパッタで形成するよりも厚い膜厚で形成することが可能になる。
【0130】
また各実施形態において、符号16の層は、下部コア層と上部シールド層の兼用層となっているが、前記下部コア層と上部シールド層とが別々に形成されていてもよい。かかる場合、前記下部コア層と上部シールド層間には絶縁層を介在させる。
【0131】
次に図1ないし図7に示す薄膜磁気ヘッドの一般的な製造方法について以下に説明する。
【0132】
図1及び図2に示す薄膜磁気ヘッドは、下部コア層16上にGd決め層17を形成した後、レジストを用いて記録媒体との対向面からハイト方向に下部磁極層19、非磁性のギャップ層20及び上部磁極層21から成る磁極部18を連続メッキによって形成する。次に前記磁極部18のハイト方向後方に絶縁層23を形成した後、例えばCMP技術を用いて前記磁極部18の上面と前記絶縁層23の上面とを同一平面に平坦化する。前記絶縁層23の上にコイル層24を螺旋状にパターン形成した後、前記コイル層24の上に絶縁層25を形成する。そして前記磁極部18上から絶縁層25上にかけて上部コア層22を例えばフレームメッキ法により形成する。
【0133】
図3及び図4に示す薄膜磁気ヘッドは、下部コア層16上に絶縁層31を形成した後、レジストを用いて前記絶縁層31の記録媒体との対向面からハイト方向後方に向けてトラック幅形成溝31aを形成する。さらに前記トラック幅形成溝31aに図3に示す傾斜面31c,31cを形成する。
【0134】
前記トラック幅形成溝31a内に、下部磁極層32、非磁性のギャップ層33を形成する。前記ギャップ層33上から絶縁層31上にGd決め層37を形成した後、前記ギャップ層33上に上部磁極層34をメッキ形成する。次に前記絶縁層31上にコイル層38を螺旋状にパターン形成した後、前記コイル層38上に絶縁層39を形成する。そして前記上部磁極層34上から絶縁層39上にかけて上部コア層40を例えばフレームメッキ法にて形成する。
【0135】
図5、図6に示す薄膜磁気ヘッドは、まず下部コア層16上にギャップ層41を形成し、さらに絶縁層43を形成した後、前記絶縁層43の上にコイル層44をパターン形成する。前記コイル層44上に絶縁層45を形成した後、ギャップ層41から前記絶縁層45上にかけて上部コア層46をフレームメッキ法によりパターン形成する。
【0136】
図7に示す薄膜磁気ヘッドは、まず下部コア層16上にレジストを用いて下部磁極層50を形成し、さらに前記下部磁極層50のハイト方向後方に絶縁層51を形成する。前記下部磁極層50と前記絶縁層51の上面はCMP技術によって一旦平坦化された後、前記絶縁層51の上面に凹形状となるコイル形成面51aを形成する。次に前記下部磁極層50上から前記絶縁層51上にギャップ層52を形成した後、前記ギャップ層52上にコイル層53を螺旋状にパターン形成し、さらに前記コイル層53上に絶縁層54を形成する。そして、前記ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて上部コア層55を例えばフレームメッキ法によりパターン形成する。
【0137】
次に本発明におけるFeの組成比が50質量%以上で90質量%以下とされたCoFe合金のメッキ形成法について以下に説明する。
【0138】
本発明では、前記CoFe合金をパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成するものである。
【0139】
パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。このように電流を流さない時間を設けることで、CoFe合金膜を、少しずつメッキ形成し、そしてメッキ浴に占めるFeイオンの濃度を増やしても、従来のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。
【0140】
なおパルス電流は、例えば数秒サイクルでON/OFFを繰返し、デューティ比を0.1〜0.5程度にすることが好ましい。パルス電流の条件は、CoFe合金の平均結晶粒径及び膜面の中心線平均粗さRaに影響を与える。
【0141】
上記のようにパルス電流による電気メッキ法では、メッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することができるから、直流電流による電気メッキ法に比べてCoFe合金に含まれるFe含有量を従来よりも増やすことが可能になる。
【0142】
しかも本発明では、CoFe合金のメッキ形成に使用されるメッキ浴組成を以下のように設定している。本発明では、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0以上で17.0以下に設定する。メッキ浴中に占めるFeイオン濃度のCoイオン濃度に対する比率をこの程度に設定することで攪拌効果を挙げ、Fe組成比の増大を図ることができる。
【0143】
さらに本発明では前記メッキ浴中にサッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)を混入していない。サッカリンナトリウムは応力緩和剤であり、一般的にメッキ浴中に混入されている。しかしながら本発明では、前記サッカリンナトリウムを混入せず、これによってメッキ面にFeイオンの出入りを良好にでき、Fe組成比の増大を図ることができると共に緻密な膜を形成することが可能である。
【0144】
後述の実験結果に示すように、上記の条件で形成されたCoFe合金であると、Fe組成比を50質量%以上で90質量%以下にでき、飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできるとともに、安定して高い飽和磁束密度Bsを得ることができる。
【0145】
また上記のイオン濃度の比率で形成されたCoFe合金の膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にでき、好ましくは5nm以下にでき耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能になっている。特に上記した製造方法のようにメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入しないことで、CoFe合金膜中に耐食性を低下させる元素Sが混在せず、また結晶粒径はより微細化し、よって膜面の中心線平均粗さRaを効果的に9nm以下、好ましくは5nm以下にすることが可能になる。
【0146】
一方、上記のイオン濃度の比率から外れると、すなわちFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0よりも小さく、あるいは17.0よりも大きくすると、2.0T以上の飽和磁束密度を得ることができない場合があり、安定して高い飽和磁束密度Bsを得ることができなくなる。さらに膜面の中心線平均粗さRaは9nmよりも大きくなり、耐食性が悪い軟磁性膜しか製造することができない。
【0147】
また本発明では、Feイオン濃度は、1.0g/l以上で7.5g/l以下で設定されることが好ましい。本発明では前記Feイオン濃度をこの程度の範囲内にすることで攪拌効果を上げることができ、より適切にCoFe合金のFe含有量を大きくすることができる。
【0148】
以上のように本発明では、パルス電流による電気メッキ法を用い、メッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0以上で17.0以下にし、且つメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入しないことで、従来よりも高い飽和磁束密度Bsを有するCoFe合金を製造することができる。具体的には前記Bsを2.0T以上にできる。また上記した組成範囲内で形成されたCoFe合金は、結晶が緻密に形成され膜面の面粗れも少なく、したがって耐食性が高く保磁力Hcの小さいメッキ膜を形成できる。
【0149】
また本発明では、サッカリンナトリウムを混入していないメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0以上で10.0以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが60質量%以上で78質量%以下となるCo1-XFeXをメッキ形成することが好ましい。これにより飽和磁束密度を効果的に2.25T以上得ることが可能になる。
【0150】
あるいは本発明では、サッカリンナトリウムを混入していないメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を3.0以上で8.0以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが65質量%以上で75質量%以下となるCo1-XFeXをメッキ形成することがより好ましい。これにより飽和磁束密度を効果的に2.3T以上得ることが可能になる。
【0151】
サッカリンナトリウムを混入しないメッキ浴を用い、パルス電流による電気メッキ法によりCoFe合金をメッキ形成するときに、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を上記のように徐々に絞り込むことで、飽和磁束密度Bsを2.0Tよりも高い2.25T以上、あるいは2.3T以上の非常に高い値にすることが可能になる。
【0152】
上記のサッカリンナトリウムをメッキ浴中に混入させないで行う軟磁性膜の製造方法によって、上記した(1)の軟磁性膜を得ることができる。
【0153】
次に本発明では、サッカリンナトリウムを混入したメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが68質量%以上で80質量%以下となるCo1-XFeXをメッキ形成することができる。
【0154】
この製造方法によって上記した(2)の軟磁性膜を製造することができる。この製造方法では、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入させている。サッカリンナトリウムは応力緩和剤であり、よってサッカリンナトリウムを混入させない場合に比べて膜応力の低下を図ることができる。
【0155】
ただしメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入させると、混入させない場合に比べて飽和磁束密度Bsは低下する傾向にある。しかしながら、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入した場合でも、メッキ浴中に占めるFeイオン濃度のCoイオン濃度に対する比率の適正化とパルス電流によるメッキ法により、飽和磁束密度Bsが2.0T以上となるFe組成を有するCoFe合金をメッキ形成することが可能になる。
【0156】
なお前記飽和磁束密度Bsは2.25T以上であることが好ましい。
また上記した組成範囲内で形成されたCoFe合金は、結晶が緻密に形成され膜面の面粗れも少なく、したがって耐食性が高く保磁力Hcの小さいメッキ膜を形成できる。本発明では、CoFe合金の膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にでき耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能になっている。
【0157】
次にサッカリンナトリウムが混入されないメッキ浴中、およびサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴中の双方において、以下の材質が含まれていることが好ましい。
【0158】
本発明ではCoFe合金のメッキ浴中に、2−ブチン−1、4ジオールを混入することが好ましい。これにより前記CoFe合金の結晶粒径の粗大化を抑制し保磁力Hcを低減させることができる。
【0159】
また本発明では、前記CoFe合金のメッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入することが好ましい。
【0160】
前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムは界面活性剤である。前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムの混入によって、CoFe合金のメッキ形成時に発生する水素を除去でき、メッキ膜に前記水素が付着することを防止することができる。前記メッキ膜に水素が付着すると、結晶が緻密に形成されずその結果、膜面の面粗れをひどくする原因となるため、本発明のように前記水素を除去することで、前記メッキ膜の膜面の面粗れを小さくでき、保磁力Hcを小さくすることが可能である。
【0161】
なお前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに代えてラウリル硫酸ナトリウムを混入してもよいが、前記ラウリル硫酸ナトリウムは、前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに比べてメッキ浴中に入れたとき泡立ちやすいために、前記ラウリル硫酸ナトリウムを効果的に水素を除去できる程度に混入することが難しい。このため本発明では、前記ラウリル硫酸ナトリウムに比べて泡立ちにくい2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを水素を効果的に除去できる程度に混入することができて好ましい。
【0162】
また前記メッキ浴中にホウ酸を混入することが好ましい。ホウ酸は、電極表面のpH緩衝剤となり、またメッキ膜の光沢を出すのに効果的である。
【0163】
なお本発明では、上記(1)あるいは(2)のCoFe合金の用途として図1ないし図7に示す薄膜磁気ヘッドを提示したが、この用途に限定されるものではない。例えば前記CoFe合金は、薄膜インダクタ等の平面型磁気素子等にも使用可能である。
【0164】
【実施例】
本発明では、メッキ浴からパルス電流による電気メッキ法を用いてCoFe合金をメッキ形成し、この際、メッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を変化させながら、組成比の異なる複数のCoFe合金をメッキ形成した。
【0165】
まずFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率が1.5よりも小さくなる場合(比較例1)のメッキ浴組成は以下の表1に示されている。なおメッキ浴中にはサッカリンナトリウムが混入されている。
【0166】
【表1】
Figure 0003679757
【0167】
表1に示すようにFeイオン濃度は4g/lである。実験ではFeイオン濃度を固定して、Coイオン濃度を3.0g/l、3.4g/l及び4.1g/lと変化させて各メッキ浴組成からCoFe合金を製造した。
【0168】
次にFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率が1.5以上で2.5以下になる場合(実施例)のメッキ浴組成は以下の表2に示されている。なおメッキ浴中にはサッカリンナトリウムが混入されている。
【0169】
【表2】
Figure 0003679757
【0170】
表2に示すようにFeイオン濃度は1.23g/lあるいは4.0g/lである。実験ではFeイオン濃度を固定して、Coイオン濃度を0.57g/l(Feイオンは1.23g/l)、0.69g/l(Feイオンは1.23g/l)、あるいは1.6g/l(この場合は、Feイオンは4.0g/l)と変化させて各メッキ浴組成からCoFe合金を製造した。
【0171】
最後に、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率が2.5よりも大きくなる場合(比較例2)のメッキ浴組成比は以下の表3に示されている。なおメッキ浴中にはサッカリンナトリウムが混入されている。
【0172】
【表3】
Figure 0003679757
【0173】
表3に示すようにFeイオン濃度は4g/lである。実験ではFeイオン濃度を固定して、Coイオン濃度を0.11g/l、0.34g/l、0.57g/l、0.91g/l及び1.26g/lと変化させて各メッキ浴組成からCoFe合金を製造した。
【0174】
なお表1ないし表3に示すように、メッキ浴にはFeイオン及びCoイオン以外に、サッカリンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、2−ブチン−1,4−ジオール、ホウ酸、および塩化ナトリウムを、各表に記載された量だけ混入した。
【0175】
また表1ないし表3のメッキ浴組成からCoFe合金をメッキ形成するとき、以下の成膜条件を共通にした。
【0176】
まずメッキ浴温度を30℃に設定した。また電極のpHを2.8に設定した。また電流密度を46.8mA/cm2に設定した。さらにパルス電流のディーティー比(ON/OFF)を400/1000msecに設定した。またアノード側の電極にはFe電極を用いた。
【0177】
表1ないし表3の各メッキ浴組成でメッキ形成されたCoFe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の通りであった。
【0178】
【表4】
Figure 0003679757
【0179】
表4は、表1の実験結果であり、すなわちFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5よりも小さくした比較例1の実験結果である。表4に示すように、Feの組成比は59質量%以上で67質量%以下となり、飽和磁束密度Bsは2.25T以下であった。飽和磁束密度Bsは2.0Tを越える場合もあるが越えない場合もあり、飽和磁束密度Bsは不安定であった。また膜面の中心線平均粗さRaは9nmよりも大きくなり、面粗れがひどくなってしまった。
【0180】
面粗れがひどくなる原因はいくつか考えられるが、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率が1.5よりも小さくなると、成膜時カソード(メッキされる側)表面に触れるメッキ液もCoが多くなり、攪拌効果の低下により、CoFe合金中に含まれるFe量の低下とともに結晶粒径の粗大化が顕著になりやすく、これにより面粗れがひどくなるものと予想される。
【0181】
【表5】
Figure 0003679757
【0182】
表5は、表2の実験結果であり、すなわちFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下とした実施例の実験結果である。表5に示すように、Feの組成比は68質量%以上で80質量%以下となり、飽和磁束密度Bsは2.25T以上で2.3T以下であった。このようにFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下とすれば、飽和磁束密度Bsを常に2Tよりも大きくすることができることがわかる。このように安定して2.0T以上の飽和磁束密度Bsを得ることができる。
【0183】
また膜面の中心線平均粗さRaは9nm以下となり、面粗れを効果的に抑制できることがわかった。
【0184】
このように、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下とすることにより、比較例1に比べて、成膜時カソード表面に触れるメッキ液にFeが多く含まれ、攪拌効果が上がり、CoFe合金中にFeが多く含まれるとともに、結晶粒径が小さくなり緻密な膜を形成でき、飽和磁束密度Bs及び面粗れの小さいCoFe合金をメッキ形成できるものと予測される。
【0185】
【表6】
Figure 0003679757
【0186】
表6は、表3の実験結果であり、すなわちFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を2.5よりも大きくした比較例2の実験結果である。表6に示すように、Feの組成比は83質量%以上となり、飽和磁束密度Bsは2.2T以下であった。飽和磁束密度Bsは2.0Tを越える場合もあるが越えない場合もあり飽和磁束密度Bsは不安定であった。また膜面の中心線平均粗さRaは10nm以上になり、面粗れがひどくなってしまった。
【0187】
Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を2.5よりも大きくすると、FeがCoに比べて優位に析出する異常析出となる。かかる場合、結晶粒径の粗大化が顕著になりやすい。これによって飽和磁束密度の以下とともに膜面の面粗れがひどくなってしまうものと予測される。
【0188】
また面粗れを抑制できるか否かについては、上記したFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率の他にFeイオン濃度自体の大きさも大きく関与する。本発明では前記Feイオン濃度は、1.0g/l〜1.5g/lであることが好ましい。なお従来ではFeイオン濃度は4.0g/l程度であった。本発明のようにFeイオン濃度を従来よりも低濃度にすることで、攪拌効果を上げることができ、CoFe合金中に含まれるFe量を増やすことができると共に、結晶粒径を小さくでき緻密な膜を形成できて、面粗れを抑制することが可能である。
【0189】
また表2の実施例の場合には、サンプルによって2−ブチン−1、4ジオールを混入した。これによってメッキ形成されたCoFe合金の結晶粒径の粗大化を抑制でき、前記結晶粒径が小さくなることで結晶間に空隙が生じ難くなり、膜面の面粗れを抑制することができる。
【0190】
次に、NiイオンとFeイオンを有するメッキ浴からNiFe合金をパルス電流による電気メッキ法によりメッキ形成し、そのNiFe合金のFe組成、Ni組成、およびNiFe合金の軟磁気特性及び膜特性を調べた。
【0191】
また、CoイオンとFeイオンを有し、さらにサッカリンナトリウムを含まないメッキ浴からパルス電流による電気メッキ法によりCoFe合金をメッキ形成し、メッキ浴中に占めるFeイオン濃度、Coイオン濃度、Feイオン濃度/Coイオン濃度、メッキ形成されたCoFe合金中に占めるFe組成比、Co組成比、およびCoFe合金の軟磁気特性及び膜特性を調べた。
【0192】
なおメッキ浴には、塩化ナトリウム(5g/l)、ホウ酸(25g/l)及びラウリル硫酸ナトリウム(0.02g/l)を混入した。また成膜条件としてメッキ浴温度を30℃、また電極のpHを2.35に設定した。また電流密度を430mA/cm2に設定した。さらにパルス電流のディーティー比(ON/OFF)を200/800msecに設定した。またアノード側の電極にはCo電極を用いた。
【0193】
さらに、既に表1ないし表6で説明したメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入させてメッキ形成したCoFe合金のうち、いくつかのCoFe合金を選び出し、これらCoFe合金の軟磁気特性及び膜特性を測定した。なお表1ないし表6にない、新たなFeイオン濃度、およびCoイオン濃度を有し且つサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からCoFe合金をメッキ形成し、これらCoFe合金の軟磁気特性及び膜特性も測定した。その実験結果を表7に示す。
【0194】
表7に示す「CoFe」の欄は、サッカリンナトリウムが混入したメッキ浴中からメッキ形成されたCoFe合金の実験結果、「CoFe−N」欄は、サッカリンナトリウムが混入していないメッキ浴中からメッキ形成されたCoFe合金の実験結果である。
【0195】
【表7】
Figure 0003679757
【0196】
この表7を基にして各CoFe合金のFe量と軟磁気特性及び膜特性との関係を以下にまとめた。またNiFe合金についてもNiFe合金中に含まれるFe量と軟磁気特性及び膜特性との関係について調べた。
【0197】
図8はCoFe合金中あるいはNiFe合金中に含まれるFe量と飽和磁束密度Bsとの関係を示すグラフである。
【0198】
図8に示すように、NiFe合金の場合は、Fe含有量Xが最高でも約73質量%程度であり、これ以上Feをメッキ膜中に入れることができない。そして飽和磁束密度Bsは高くて1.9T程度であり、2.0T以上の飽和磁束密度Bsを得ることができない。
【0199】
一方、CoFe合金の場合には、Feをメッキ膜中に73質量%以上入れることが可能である。ここで図8を見てわかるように、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成された「CoFe」よりも、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成された「CoFe−N」の方が飽和磁束密度Bsを高くできることがわかった。
【0200】
図8及び図9(図9は、特に縦軸のレンジを大きくした、図8の「CoFe−N」のFe組成比と飽和磁束密度Bsとの関係を示すグラフ)を見てわかるように、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)の場合、Fe組成比を50質量%以上で90質量以下に設定すれば、飽和磁束密度Bsを2.0T以上得られることがわかった。
【0201】
また、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)の場合、Fe組成比を60質量%以上で78質量%以下に設定すれば、飽和磁束密度Bsを2.25T以上得られることがわかった。
【0202】
さらにサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)の場合、Fe組成比を65質量%以上で75質量%以下に設定すれば、飽和磁束密度Bsを2.3T以上得られることがわかった。
【0203】
従って、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金は、Fe組成比が50質量%以上で90質量%以下であり、好ましくは60質量%以上で78質量%以下であり、より好ましくは65質量%以上で75質量%以下であるとした。
【0204】
次に、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成したCoFe合金(図8のCoFe)では、Fe含有量を約60質量%以上から約90質量%以下とすれば飽和磁束密度Bsを2.0T以上にすることができることがわかった。このようにCoFe合金の方がNiFe合金に比べて前記Bsを高くできることがわかる。
【0205】
しかしながらサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金のFe含有量が上記範囲内であると、その一部の範囲において結晶粒径の粗大化、及び主としてそれに伴う面粗れの悪化が問題となる。
【0206】
図10は、CoFe合金中に占めるFe含有量と膜面の中心線平均粗さRaとの関係を示すグラフである。図9に示すようにサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成したCoFe合金(図9のCoFeのグラフ)のFe量が75質量%前後のときに、最も中心線平均粗さRaを小さくすることができることがわかる。
【0207】
図10に示すように、Fe量を68質量%以上で80質量%以下にすれば、膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にできることがわかる。
【0208】
Fe量を68質量%以上で80質量%以下としたとき、図8の飽和磁束密度Bsのグラフと照らし合わせると、飽和磁束密度Bsを2.25T以上にできることがわかる。
【0209】
このように本発明では、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成したCoFe合金(図8のCoFeのグラフ)のFe量を68質量%以上で80質量%以下とすると、飽和磁束密度Bsを2.0T以上にでき、具体的には2.25T以上にでき、また膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にできることがわかる。
【0210】
上記の表2及び表5で説明したように、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下にすることで、攪拌効果の向上により、CoFe合金中に含まれるFe量を68質量%以上で80質量%以下にでき、また結晶粒径の粗大化を抑制できて緻密な膜を形成することができ、飽和磁束密度を2.0T以上にできると共に中心線平均粗さを9nm以下にでき面粗れの少ないCoFe合金を製造することができる。
【0211】
一方、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成したCoFe合金では、図10の「CoFe−N」のグラフを見てわかるように、Feの組成比を50質量%上で90質量%以下にしても膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下に抑えやすく、組成比によっては前記中心線平均粗さRaを5nm以下に抑制することが可能である。
【0212】
サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金の膜面の中心線平均粗さRaが小さい理由は、膜中に耐食性を低下させる元素Sが含まれないことや結晶粒径の効果的な微細化が考えられる。
【0213】
次に図11はCoFe合金及びNiFe合金のFe含有量と保磁力Hcとの関係を示すグラフである。図11に示すようにNiFe合金の保磁力Hcよりも高くなるものの、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴組成からメッキ形成されたCoFe合金(図11に示す「CoFe−N」のグラフ)の場合、Feの組成比を50質量%以上で90質量%以下にすることで、保磁力Hcを2370(A/m)以下に抑えることが可能になる。またFeの組成比を70質量%以上にすると保磁力Hcを1580(A/m)以下に小さくできることがわかる。
【0214】
また図11に示すように、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴組成からメッキ形成されたCoFe合金(図11に示す「CoFe」のグラフ)の場合、Feの組成比を68質量%以上で80質量%以下にすれると、保磁力Hcを1580(A/m)以下に小さくできることがわかる。
【0215】
次に図12は、CoFe合金とNiFe合金のFe含有量と比抵抗との関係を示すグラフである。前記比抵抗は、今後の高記録周波数化にともなって渦電流損失を抑制すべくある程度大きい方が好ましい。図12に示すように、CoFe合金はNiFe合金に比べて比抵抗は小さくなるが、サッカリンナトリウムがメッキ浴中に混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図12に示す「CoFe−N」のグラフ)の場合、Feの組成比を50質量%以上で90質量%以下にすることで、比抵抗を17(μΩ・cm)以上にすることが可能になる。
【0216】
またサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図12に示す「CoFe」のグラフ)の場合、Fe含有量を68質量%以上で80質量%以下にすることで、前記CoFe合金においても25(μΩ・cm)以上を確保できる。
【0217】
次に図13は、CoFe合金とNiFe合金のFe含有量と膜応力との関係を示すグラフである。膜応力は、メッキ膜の膜剥がれやひび割れを抑制すべくある程度小さい方が好ましい。図13に示すように、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe(図13に示す「CoFe−N」のグラフ)の場合、Feの組成比を50質量%以上で90質量%以下にすることで、膜応力を1200(MPa)以下に抑えることが可能になる。またFe組成比を徐々に上げていくと膜応力は小さくなっていき、Fe組成比が約75質量%以上になると前記膜応力を400(MPa)以下に抑えることが可能であることがわかる。
【0218】
サッカリンナトリウムは応力緩和剤であるから、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図13の「CoFe−N」のグラフ)は、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図13の「CoFe」のグラフ)に比べて膜応力が大きくなりやすい。しかしながら膜応力を1200(MPa)以下に抑えることができれば、前記CoFeを薄膜磁気ヘッドの磁極やコア材として使用することができる。またFeの組成比によっては、前記CoFeの膜応力を400(MPa)以下に抑えることができ、より効果的にCoFeを薄膜磁気ヘッドの磁極やコア材として使用できる。
【0219】
サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図13の「CoFe」のグラフ)では、Fe含有量を68質量%以上で80質量%以下の範囲内すると、膜応力はNiFe合金に比べて大きくなるものの、前記膜応力を400MPa以下に抑制することが可能になっている。
【0220】
次に図14は、CoFe合金とNiFe合金のFe含有量と異方性磁界Hkとの関係を示すグラフである。図14に示すように、サッカリンナトリウムが混入していないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図14に示す「CoFe−N」のグラフ)では、Feの組成比を50質量%以上で90質量%以下にすると、NiFe合金と同程度、あるいはそれ以上の異方性磁界Hkを得ることができるとわかる。またサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図14に示す「CoFe」のグラフ)では、Fe組成比を68質量%以上で80質量%以下にすると、NiFe合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができるとわかる。
【0221】
次に図15は、CoFe合金とNiFe合金のFe含有量と結晶粒径との関係を示すグラフである。図15に示すように、サッカリンナトリウムが混入していないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図15に示す「CoFe−N」のグラフ)では、Feの組成比を50質量%以上で90質量%以下にすると、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図15に示す「CoFe」のグラフ)に比べて結晶粒径を小さくすることが可能である。具体的には結晶粒径を250Å以下に抑えることができる。このようにメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入させない方が、混入させた場合に比べて緻密な膜を形成することが可能になり、このことは、図10で説明した膜面の中心線平均粗さRaを小さくできる原因の一つとなっている。
【0222】
なおサッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(図14に示す「CoFe」のグラフ)でも、Fe組成比を68質量%以上で80質量%以下にすれば、結晶粒径を350Å以下に抑えることが可能である。
【0223】
図16は、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からCoFe合金をメッキ形成したときのFe組成比と、メッキ浴中に占めるFeイオン濃度(g/l)、Coイオン濃度(g/l)及びFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率との関係を示すグラフである。
【0224】
既に説明したように本発明では、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金のFe組成比を50質量%以上で90質量%以下に設定した。このグラフ及び表7に示した「CoFe−N」欄の各Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を考慮すると、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0以上で17以下にすれば、CoFe合金のFe組成比を50質量%以上で90質量%以下に設定できるものと考えられる。よって本発明では、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0以上で17以下に設定した。またこのときCoイオン濃度は、概ね0.2g/l以上で1.4(g/l)以下であることが好ましく、またFeイオン濃度は、概ね1.0g/l以上で7.5(g/l)以下であることが好ましい。
【0225】
次に、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金の、好ましいFe組成比を60質量%以上で78質量%以下に設定した。図16及び表7に示した「CoFe−N」欄の各Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を考慮すると、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.0g/l以上で10g/l以下にすれば、CoFe合金のFe組成比を60質量%以上で78質量%以下に設定できるものと考えられる。よって本発明では、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率の好ましい範囲を1.0g/l以上で10g/l以下に設定した。またこのときCoイオン濃度は、概ね0.2g/l以上で1.4(g/l)以下であることが好ましく、またFeイオン濃度は、概ね1.0g/l以上で7.5(g/l)以下であることが好ましい。
【0226】
次に、サッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金の、好ましいFe組成比を65質量%以上で75質量%以下に設定した。図16及び表7に示した「CoFe−N」欄の各Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を考慮すると、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を3.0以上で8以下にすれば、CoFe合金のFe組成比を65質量%以上で75質量%以下に設定できるものと考えられる。よって本発明では、前記Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率の好ましい範囲を3.0以上で8以下に設定した。またこのときCoイオン濃度は、概ね0.2g/l以上で1.4(g/l)以下であることが好ましく、またFeイオン濃度は、概ね1.0g/l以上で7.5(g/l)以下であることが好ましい。
【0227】
【発明の効果】
以上詳述した本発明では、CoFe合金のFe量を50質量%以上で90質量%以下にすることで、NiFe合金よりも高い2.0T以上の飽和磁束密度Bsを安定して得ることができる。また前記Fe量を60質量%以上で78質量%以下にすることで、2.25T以上の飽和磁束密度Bsを得ることができ、さらにFe量を65質量%以上で75質量%以下にすることで2.3T以上の飽和磁束密度を得ることができる。
【0228】
しかも本発明では上記の組成範囲内であれば、結晶粒径の粗大化を抑制して緻密な膜を形成でき、膜面の中心線平均粗さRaを9nm以下にすることができる。このように面粗れを抑制できることで耐食性にも優れた軟磁性膜を製造することができる。
【0229】
また本発明では、メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入せず、メッキ浴中のFeイオン濃度のCoイオン濃度に対する適正化、およびパルスメッキによって上記したFe組成比及び飽和磁束密度を得ることが可能になる。
【0230】
本発明では上記CoFe合金を例えば薄膜磁気ヘッドのコア材として使用することができる。これにより高記録密度化に優れまた耐食性にも優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、
【図2】図1の縦断面図、
【図3】本発明の第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、
【図4】図3の縦断面図、
【図5】本発明の第3実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図6】本発明の第4実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図7】本発明の第5実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図8】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と飽和磁束密度との関係を示すグラフ、
【図9】図8に示すサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)のFe量と飽和磁束密度との関係を示すグラフ、
【図10】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と膜面の中心線平均粗さRaとの関係を示すグラフ、
【図11】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と保磁力Hcとの関係を示すグラフ、
【図12】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と比抵抗との関係を示すグラフ、
【図13】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と膜応力との関係を示すグラフ、
【図14】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と異方性磁界Hkとの関係を示すグラフ、
【図15】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe−N)、サッカリンナトリウムが混入されたメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金(CoFe)及びNiFe合金のFe量と結晶粒径との関係を示すグラフ、
【図16】パルス電流を用いた電気メッキを使用し、且つサッカリンナトリウムが混入されていないメッキ浴からメッキ形成されたCoFe合金のFe量と、メッキ浴に占めるFeイオン濃度/Coイオン濃度、Feイオン濃度(g/l)及びCoイオン濃度(g/l)との関係を示すグラフ、
【符号の説明】
11 スライダ
10 磁気抵抗効果素子
16 下部コア層(上部シールド層)
18、30 磁極部
19、32、50 下部磁極層
20、33 ギャップ層
21、34 上部磁極層
22、40、46、55 上部コア層
41 磁気ギャップ層
47 高Bs層
48 上層

Claims (12)

  1. サッカリンナトリウムを混入していないメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を3.0以上で8.0以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが65質量%以上で75質量%以下となるCo1−XFeをメッキ形成することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。
  2. サッカリンナトリウムを混入したメッキ浴中のFeイオン濃度/Coイオン濃度の比率を1.5以上で2.5以下にし、パルス電流による電気メッキ法により、Feの組成比Xが68質量%以上で80質量%以下となるCo1−XFeをメッキ形成することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。
  3. Feイオン濃度を1.0g/l以上で7.5g/l以下に設定する請求項1または2に記載の軟磁性膜の製造方法。
  4. Feイオン濃度を1.0g/l以上で1.5g/l以下に設定する請求項記載の軟磁性膜の製造方法。
  5. Coイオン濃度を0.2g/l以上で1.4g/l以下に設定する請求項1ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  6. 前記メッキ浴中に、2−ブチン−1、4ジオールを混入する請求項1ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  7. 前記メッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入する請求項1ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  8. 磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
    少なくとも一方のコア層を、請求項1ないしのいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 前記下部コア層上に記録媒体との対向面で下部磁極層を隆起形成し、前記下部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成する請求項記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規制された磁極部とを有し、
    前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
    このとき前記上部磁極層及び/または下部磁極層を、請求項1ないしのいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 前記コア層を、少なくとも磁気ギャップに隣接する部分で2層以上の磁性層で形成し、あるいは前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、このとき前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層を、前記軟磁性膜によりメッキ形成する請求項ないし10のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 前記磁気ギャップに接する磁性層以外の他の磁性層を、CoFe合金で形成し、このとき前記他の磁性層のFeの組成比を、前記磁気ギャップ層に接する側の磁性層のFeの組成比Xよりも小さくする請求項11記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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