JP2002208109A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002208109A
JP2002208109A JP2001001471A JP2001001471A JP2002208109A JP 2002208109 A JP2002208109 A JP 2002208109A JP 2001001471 A JP2001001471 A JP 2001001471A JP 2001001471 A JP2001001471 A JP 2001001471A JP 2002208109 A JP2002208109 A JP 2002208109A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
film
core layer
magnetic pole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001001471A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuo Kawasaki
光雄 川崎
Yoshihiro Kaneda
吉弘 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP2001001471A priority Critical patent/JP2002208109A/ja
Priority to US10/041,377 priority patent/US6801392B2/en
Publication of JP2002208109A publication Critical patent/JP2002208109A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、下部コア層及び上部コア層として使用
されるNiFe合金膜では、飽和磁束密度Bsは1.9
Tよりも小さかった。 【解決手段】 下部磁極層19及び/または上部磁極層
21を、Feの組成比が76質量%以上で90質量%以
下、あるいは平均結晶粒径が130Å以上で175Å以
下で且つFeの組成比が70質量%以上で90質量%以
下のNiFe合金でメッキ形成する。これにより飽和磁
束密度を1.9T以上にでき、高記録密度化に優れた薄
膜磁気ヘッドを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気ヘッドの
コア材として使用されるNiFe合金の飽和磁束密度B
sを従来よりも大きくすることができ、しかもその他の
軟磁気特性及び膜特性にも優れる薄膜磁気ヘッド及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッドで磁性材料を使用する部
分には、NiFe合金(パーマロイ)がよく用いられ
る。
【0003】前記NiFe合金は、比較的優れた軟磁気
特性を有し、しかもメッキ形成の容易さなどから、頻繁
に使用される磁性材料の一つとなっている。
【0004】従来では、前記NiFe合金は、直流電流
を用いた電気メッキ法によりメッキ形成されていた。そ
して一般的には、前記Feの組成比は45質量%以上で
55質量%以下程度にされており、かかる組成の場合、
前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsは1.5T(テス
ラ)程度となっていた。
【0005】しかしながら、今後の高記録密度化に伴
い、記録密度を向上させるには、前記NiFe合金の飽
和磁束密度Bsをさらに高くすることが要望されてい
た。
【0006】そこで本発明者らは、従来のように直流電
流による電気メッキ法に代えて、パルス電流による電気
メッキ法を使用し、その結果、前記NiFe合金のFe
の組成比Xを従来よりも多くでき、前記Feの組成比X
に主として依存する飽和磁束密度Bsを大きくすること
に成功した。具体的には、前記飽和磁束密度を1.9T
程度にまで向上させることに成功した。パルス電流を用
いた電気メッキ法によるNiFe合金膜及びその製造方
法に関しては、既に特願平11−173895号として
出願している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特願平11−1738
95号によれば、パルス電流を用いた電気メッキ法によ
り、NiFe合金のFeの組成比Xが60質量%以上で
75質量%以下で、さらに平均結晶粒径が105Å以下
となる軟磁性膜を製造できる。
【0008】しかしながら前記軟磁性膜では以下のよう
な問題点があった。すなわち前記軟磁性膜では飽和磁束
密度Bsを1.9T以上にすることができなかったので
ある。
【0009】上記の軟磁性膜の製造の際におけるメッキ
浴組成では、Niイオン濃度を40g/l程度にしてい
た。そして前記メッキ浴中に含まれるFeイオン濃度を
増やしていくことでNiFe合金中のFe組成を大きく
できるものと思われたが、実際に実験をしてみると、前
記Fe組成比を75質量%以上にできないことがわか
り、また仮に75質量%以上にできたとしても、結晶性
が低下し緻密に結晶を形成できず、結局、飽和磁束密度
Bsの向上を図れないばかりか、保磁力、面粗れ等の他
の膜特性の悪化を招いた。
【0010】そこで本発明は上記従来の課題を解決する
ためのものであり、特にNiFe合金の飽和磁束密度B
sを1.9T以上にでき、しかも他の軟磁気特性及び膜
特性も優れた薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とし
ている。
【0011】また本発明は、メッキ浴組成を適切に調整
することで従来よりもNiFe合金に含まれるFe量を
増やすことができ、しかも従来よりも結晶粒径が大きく
緻密な結晶を形成することが可能な薄膜磁気ヘッドの製
造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁性材料製の
下部コア層と、前記下部コア層上に磁気ギャップを介し
て形成された上部コア層と、両コア層に記録磁界を与え
るコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、少なく
とも一方のコア層は、組成式がNi1-XFeXで示され、
Feの組成比Xが76質量%以上で90質量%以下であ
る軟磁性膜で形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0013】また本発明では、前記下部コア層上には記
録媒体との対向面で下部磁極層が隆起形成され、前記下
部磁極層が前記軟磁性膜により形成されていることが好
ましい。
【0014】また本発明の薄膜磁気ヘッドは、下部コア
層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との
間に位置し且つトラック幅方向の幅寸法が前記下部コア
層及び上部コア層よりも短く規制された磁極部とを有
し、前記磁極部は、下部コア層と連続する下部磁極層、
上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極
層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで構成さ
れ、あるいは前記磁極部は、上部コア層と連続する上部
磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位
置するギャップ層とで構成され、前記上部磁極層及び/
または下部磁極層は、組成式がNi1-XFeXで示され、
Feの組成比Xが76質量%以上で90質量%以下であ
る軟磁性膜で形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0015】また本発明では、前記上部磁極層は前記軟
磁性膜で形成され、前記上部磁極層上に形成される上部
コア層は、前記上部磁極層よりも低い飽和磁束密度Bs
を有する軟磁性膜で形成されることが好ましい。
【0016】また本発明では、前記コア層は、少なくと
も磁気ギャップに隣接する部分が2層以上の磁性層から
成り、あるいは前記磁極層が2層以上の磁性層から成
り、前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層
が、前記軟磁性膜により形成されていることが好まし
い。
【0017】また本発明では、前記磁気ギャップ層に接
する以外の他の磁性層は、前記磁気ギャップ層に接する
磁性層よりも低い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性膜で
形成されることが好ましい。
【0018】また本発明では、前記軟磁性膜の平均結晶
粒径は150Å以上で175Å以下であることが好まし
い。
【0019】本発明の薄膜磁気ヘッドのコア層や磁極層
に使用される軟磁性膜は、組成式がNi1-XFeXで示さ
れ、Feの組成比Xは、76質量%以上で90質量%以
下であることを特徴とするものである。
【0020】本発明におけるNiFe合金の第一実施形
態では、前記NiFe合金のFeの組成比Xのみを規定
している。飽和磁束密度Bsは、主としてFeの組成比
Xに左右され、Feの組成比Xが多いほど前記Bsは大
きくなる。その理由は、Feの組成比Xが多くなること
で結晶化が適切に促進され、緻密に結晶が形成される点
にあると考えられる。しかしながらFeの組成比Xがあ
る一定以上多くなると結晶化は逆に阻害され緻密な結晶
を形成できず、前記Bsは低下するものと考えられる。
【0021】後述する本発明の製造方法によれば、メッ
キ浴組成を適正に調整することで、前記NiFe合金中
に占めるFe量を76質量%以上で90質量%以下に設
定することができる。これにより前記NiFe合金の飽
和磁束密度Bsを1.95T以上にすることが可能であ
る。また保磁力Hcを553(A/m)以下に抑えるこ
とができる。
【0022】上記のNiFe合金を薄膜磁気ヘッドのコ
ア層や磁極層に使用することで、ギャップ近傍に磁束を
集中させることができ、よって記録密度を向上させるこ
とができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘ
ッドを製造することが可能である。
【0023】また前記NiFe合金は、上記組成範囲内
で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面
粗れを抑制でき、薄膜磁気ヘッドの耐食性を向上させる
ことができる。
【0024】また前記軟磁性膜に代えて、組成比がNi
1-XFeXで示され、平均結晶粒径は、130Å以上で1
75Å以下であり、しかもFeの組成比Xは、70質量
%以上で90質量%以下の範囲内である軟磁性膜が用い
られてもよい。
【0025】本発明におけるNiFe合金の第二実施形
態は、NiFe合金のFeの組成比Xと平均結晶粒径を
規定したものである。
【0026】上記したように飽和磁束密度Bsは主とし
てFeの組成比Xに左右されるが、さらに平均結晶粒径
も適正値内に収めることが、さらに安定して大きい飽和
磁束密度Bsを得ることが可能である。
【0027】ここで先に出願した特願平11−1738
95号においてもFeの組成比Xは75質量%まで大き
くでき、この組成比は、上記した本発明における第二実
施形態のNiFe合金のFe組成比Xと一部で重複す
る。
【0028】しかし本発明と特願平11−173895
号とでは一部でFeの組成比Xが重複するものの本発明
における結晶粒径は130Å以上であり、結晶粒径を1
05Å以下で規定した特願平11−173895号とで
は結晶粒径の大きさが全く異なる。
【0029】本発明では、特願平11−173895号
におけるNiFe合金よりも適切に結晶化が促進された
結果、結晶粒径が大きくなりしかも緻密に結晶が形成さ
れているものと考えられる。その結果、本発明では前記
NiFe合金の飽和磁束密度Bsを1.9T以上にで
き、より効果的に飽和磁束密度Bsを大きくすることに
成功したのである。
【0030】また本発明では、保磁力を553(A/
m)以下に抑えることができる。本来、結晶粒径が大き
くなると保磁力Hcは大きくなるものと思われたが、本
発明では、結晶粒径が大きくなってもそれほど保磁力H
cの増加はなく、553(A/m)以下の保磁力Hc
は、例えば薄膜磁気ヘッドのコア材などに十分に使える
程度の低い値である。
【0031】本発明では結晶粒径が大きくなっても保磁
力Hcを低くできるのは、結晶が緻密に成長しているか
らであると考えられる。そしてこのように緻密に結晶が
形成されることにより、膜面の面粗れも小さくでき、本
発明によれば膜面の中心線平均粗さRaを10nm以下
に抑えることが可能である。また本発明では前記中心線
平均粗さRaを7nm以下にすることが好ましい。
【0032】上記のNiFe合金を薄膜磁気ヘッドのコ
ア層や磁極層に使用することで、ギャップ近傍に磁束を
集中させることができ、よって記録密度を向上させるこ
とができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘ
ッドを製造することが可能である。
【0033】また前記NiFe合金は、上記組成範囲内
で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面
粗れを抑制でき、薄膜磁気ヘッドの耐食性を向上させる
ことができる。
【0034】また本発明では、前記Feの組成比Xは、
72.5質量%以上であることが好ましい。これにより
NiFe合金の飽和磁束密度Bsを1.95T以上にす
ることができる。
【0035】また本発明では、記平均結晶粒径は、15
0Å以上であることが好ましい。これによりNiFe合
金の飽和磁束密度Bsを確実に1.95T以上にするこ
とができる。
【0036】また本発明では、前記Feの組成比Xは、
78質量%以上で85質量%以下であることが好まし
い。これにより前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsを
2.0T以上にすることができる。
【0037】また本発明では、前記軟磁性膜は、メッキ
により形成されていることが好ましい。メッキ形成によ
り前記軟磁性膜の厚みを比較的自由に変更でき、前記軟
磁性膜を厚みのある膜として形成することができる。
【0038】次に本発明は、磁性材料製の下部コア層
と、記録媒体との対向面で前記下部コア層と磁気ギャッ
プを介して対向する上部コア層と、両コア層に記録磁界
を誘導するコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方
法において、前記上部コア層及び/または下部コア層
を、メッキ浴中におけるNiイオン濃度を6.6g/l
以上で20g/l以下とし、且つFeイオン濃度/Ni
イオン濃度の比率を0.15以上で0.36以下とし、
パルス電流を用いた電気メッキ法によって、NiFe合
金でメッキ形成することを特徴とするものである。
【0039】また本発明では、前記下部コア層上には記
録媒体との対向面で下部磁極層を隆起形成し、このとき
前記下部磁極層を前記軟磁性膜によりメッキ形成するこ
とが好ましい。
【0040】また本発明における薄膜磁気ヘッドの製造
方法は、下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層
と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向の幅寸
法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規制され
た磁極部とを有し、前記磁極部を、下部コア層と連続す
る下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、およ
び前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャッ
プ層とで形成し、あるいは前記磁極部は、上部コア層と
連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア
層との間に位置するギャップ層とで形成し、前記上部磁
極層及び/または下部磁極層を、メッキ浴中におけるN
iイオン濃度を6.6g/l以上で20g/l以下と
し、且つFeイオン濃度/Niイオン濃度の比率を0.
15以上で0.36以下とし、パルス電流を用いた電気
メッキ法によって、NiFe合金でメッキ形成すること
を特徴とするものである。
【0041】また本発明では、前記上部磁極層を前記軟
磁性膜でメッキ形成し、前記上部磁極層上に形成される
上部コア層を、前記上部磁極層よりも低い飽和磁束密度
Bsを有する軟磁性膜で形成することが好ましい。
【0042】また本発明では、前記コア層の少なくとも
磁気ギャップに隣接する部分を2層以上の磁性層で形成
し、あるいは前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、
前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層を、
前記軟磁性膜によりメッキ形成することが好ましい。
【0043】また本発明では、前記磁気ギャップ層に接
する以外の他の磁性層を、前記磁気ギャップ層に接する
磁性層よりも低い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性膜で
形成することが好ましい。
【0044】上記のように本発明ではNiFe合金をパ
ルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成する。
パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御
素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を
流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。この
ように電流を流さない時間を設けることで、NiFe合
金膜を、少しずつメッキ形成し、直流電流を用いた電気
メッキ法に比べメッキ形成時における電流密度の分布の
偏りを緩和することが可能になっている。パルス電流に
よる電気メッキ法によれば直流電流による電気メッキ法
に比べて軟磁性膜中に含まれるFe含有量の調整が容易
になり、前記Fe含有量を膜中に多く取り込むことがで
きる。
【0045】また本発明では、上記のようにメッキ浴中
のNiイオン濃度を6.6g/l以上で20g/l以下
に設定する。従来では前記Niイオン濃度は40g/l
程度であったが、本発明ではこれよりもNiイオン濃度
を低濃度にしている。これにより成膜時、カソード(メ
ッキされる側)表面上に触れるメッキ液のNiイオンを
減らすことができ、攪拌効果を高めてNiFe合金中に
多くのFeを入れることが可能になる。
【0046】しかも本発明では、上記のようにFeイオ
ン濃度/Niイオン濃度の比率を0.15以上で0.3
6以下に設定している。すなわち本発明ではNiイオン
濃度自体の大きさのみならずFeイオン濃度との比率を
規定することで、結晶性を高め緻密な結晶を形成するこ
とができる。本発明では、Niイオン濃度を小さくし、
上記の濃度比率を有することで、NiFe合金中のFe
量は多くなるとともに結晶粒径が大きくなるが、上記の
ように緻密な結晶を形成できるから安定して高い飽和磁
束密度Bsを得ることができ、さらに保磁力Hcを低く
でき、また面粗れを小さくすることができる。また膜応
力を小さくすることができる。
【0047】上記のメッキ浴から、Feの組成比が76
質量%以上で90質量%以下となるNiFe合金膜、あ
るいはFeの組成比が70質量%以上で90質量%以下
で、平均結晶粒径が130Å以上で175Å以下となる
NiFe合金膜を再現性良く製造することが可能であ
る。
【0048】また本発明では、前記Niイオン濃度を1
0g/l以上とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃
度の比率を0.2以上で0.35以下とすることが好ま
しい。
【0049】また本発明では、前記Niイオン濃度を1
0g/l以下とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃
度の比率を0.15以上で0.36以下とすることが好
ましい。
【0050】また本発明では、NiFe合金のメッキ浴
中にサッカリンナトリウムを混入することが好ましい。
サッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)は応
力緩和剤としての役割を有しており、したがって前記サ
ッカリンナトリウムを混入することでNiFe合金の膜
応力を低減させることが可能である。
【0051】また本発明では、前記メッキ浴中に、2−
ブチン−1、4ジオールを混入することが好ましい。こ
れによってメッキ形成されたNiFe合金の結晶粒径の
粗大化は抑制され、前記結晶粒径が小さくなることで結
晶間に空隙が生じ難くなり、膜面の面粗れが抑制され
る。面粗れを抑制できることで保磁力Hcを小さくする
ことも可能になる。
【0052】また本発明では、前記メッキ浴中に2−エ
チルヘキシル硫酸ナトリウムを混入することが好まし
い。これによってメッキ浴中に生じる水素は、界面活性
剤である2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムによって除
去され、前記水素がメッキ膜に付着することによる面粗
れを抑制できる。
【0053】また前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウ
ムに代えて、ラウリル硫酸ナトリウムを用いても良い
が、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを用いた方が、
メッキ浴中に混入したときの泡立ちが少なく、したがっ
て前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムをメッキ浴中
に多く混入することができ、前記水素の除去をより適切
に行うことが可能になる。また前記2−エチルヘキシル
硫酸ナトリウムの添加によりNiFe合金の膜応力を低
減させることも可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態の
薄膜磁気ヘッドの部分正面図、図2は図1に示す薄膜磁
気ヘッドを2−2線から切断し矢印方向から見た縦断面
図である。
【0055】本発明における薄膜磁気ヘッドは、浮上式
ヘッドを構成するセラミック材のスライダ11のトレー
リング側端面11aに形成されたものであり、MRヘッ
ドh1と、書込み用のインダクティブヘッドh2とが積
層された、MR/インダクティブ複合型薄膜磁気ヘッド
(以下、単に薄膜磁気ヘッドという)となっている。
【0056】MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用し
てハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出
し、記録信号を読み取るものである。
【0057】図2に示すように、前記スライダ11のト
レーリング側端面11a上にAl23膜12を介してN
iFe等からなる磁性材料製の下部シールド層13が形
成され、さらにその上に絶縁材料製の下部ギャップ層1
4が形成されている。
【0058】前記下部ギャップ層14上には記録媒体と
の対向面からハイト方向(図示Y方向)に向けて、異方
性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(G
MR)素子あるいはトンネル型磁気抵抗効果(TMR)
素子などの磁気抵抗効果素子10が形成され、さらに前
記磁気抵抗効果素子10及び下部ギャップ層14上には
絶縁材料製の上部ギャップ層15が形成されている。さ
らに前記上部ギャップ層15の上にNiFe等の磁性材
料で形成された上部シールド層16が形成されている。
MRヘッドh1は、前記下部シールド層13から上部シ
ールド層16までの積層膜で構成されている。
【0059】次に図1及び2に示す実施形態では、前記
上部シールド層16がインダクティブヘッドh2の下部
コア層としても兼用されており、前記下部コア層16上
には、Gd決め層17が形成され、記録媒体との対向面
から前記Gd決め層17の先端部までの長さ寸法でギャ
ップデプス(Gd)が規制される。前記Gd決め層17
は例えば絶縁材料などで形成される。
【0060】また前記下部コア層16の上面16aは図
1に示すように、磁極部18の基端からトラック幅方向
(図示X方向)に離れるにしたがって下面方向に傾く傾
斜面で形成されており、これによりサイドフリンジング
の発生を抑制することが可能である。
【0061】また図2に示すように、記録媒体との対向
面から前記Gd決め層17上にかけて磁極部18が形成
されている。
【0062】前記磁極部18は下から下部磁極層19、
非磁性のギャップ層20、及び上部磁極層21が積層さ
れている。
【0063】前記下部磁極層19は、下部コア層16上
に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層19
の上に形成されたギャップ層20は、メッキ形成可能な
非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体
的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、
Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以
上から選択されたものであることが好ましい。
【0064】なお本発明における具体的な実施形態とし
て前記ギャップ層20にはNiPが使用される。NiP
で前記ギャップ層20を形成することで前記ギャップ層
20を適切に非磁性状態にできるからである。
【0065】さらに前記ギャップ層20の上に形成され
た上部磁極層21は、その上に形成される上部コア層2
2と磁気的に接続される。
【0066】上記のようにギャップ層20がメッキ形成
可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層1
9、ギャップ層20及び上部磁極層21を連続メッキ形
成することが可能である。
【0067】なお前記磁極部18は、ギャップ層20及
び上部磁極層21の2層で構成されていてもよい。
【0068】図1に示すように、前記磁極部18はトラ
ック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅
Twで形成されている。
【0069】図1及び図2に示すように、前記磁極部1
8のトラック幅方向(図示X方向)の両側及びハイト方
向後方(図示Y方向)には絶縁層23が形成されてい
る。前記絶縁層23の上面は前記磁極部18の上面と同
一平面とされる。
【0070】図2に示すように、前記絶縁層23上には
コイル層24が螺旋状にパターン形成されている。また
前記コイル層24上は有機絶縁製の絶縁層25によって
覆われている。
【0071】図2に示すように、磁極部18上から絶縁
層25上にかけて上部コア層22が例えばフレームメッ
キ法によりパターン形成されている。図1に示すよう
に、前記上部コア層22の先端部22aは、記録媒体と
の対向面でのトラック幅方向における幅寸法がT1で形
成され、かかる幅寸法T1はトラック幅Twよりも大き
く形成されている。
【0072】また図2に示すように、前記上部コア層2
2の基端部22bは、下部コア層16上に形成された磁
性材料製の接続層(バックギャップ層)26上に直接接
続されている。
【0073】本発明では、前記上部磁極層21及び/ま
たは下部磁極層19が以下の組成比を有する軟磁性膜で
形成されている。
【0074】(1)組成式がNi1-XFeXで示され、F
eの組成比Xは、76質量%以上で90質量%以下であ
る。
【0075】前記Feの組成比Xは、特願平11−17
3895号で出願したNiFe合金のFeの組成比Xよ
りも多くなっている。
【0076】飽和磁束密度Bsは、主としてFeの組成
比Xに依存する。すなわちFeの組成比Xを多くすれば
前記Bsを大きくできる。
【0077】よってFeの組成比Xを76質量%以上に
することにより、特願平11−173895号の場合よ
りも前記飽和磁束密度Bsを大きくできる。
【0078】しかしながら前記Feの組成比Xは約80
質量%を過ぎると、徐々に低下することが後述する実験
により確認されている。これは、Fe量があまり多くな
りすぎると結晶化の促進が阻害され緻密な結晶を形成で
きないことが原因であるものと考えられる。
【0079】そこで本発明では後述する実験結果により
Feの組成比Xを、76質量%以上で90質量%以下と
した。これにより飽和磁束密度Bsを1.95T以上に
できる。
【0080】次に、Feの組成比Xが76質量%以上で
90質量%以下とされたNiFe合金の平均結晶粒径は
150Å以上で175Å以下であることが好ましい。
【0081】後述する実験結果により、前記平均結晶粒
径を150Å以上にすると飽和磁束密度を確実に1.9
5T以上にできることがわかっている。また前記平均結
晶粒径を175Å以下にすることで保磁力Hcを553
(A/m)以下にできることがわかっている。
【0082】本発明における前記平均結晶粒径は、特願
平11−173895号の場合よりも大きい値である
が、本発明では適切に結晶化が促進された結果、結晶粒
径が大きくなりしかも緻密に結晶が形成されているもの
と考えられる。その結果、本発明では前記NiFe合金
の飽和磁束密度Bsを1.95T以上にでき、より効果
的に飽和磁束密度Bsを大きくすることに成功したので
ある。
【0083】また前記結晶粒径は小さい方が保磁力Hc
を小さくできる点からして好ましいが、本発明では結晶
粒径が大きくなっても緻密な結晶を形成でき、前記結晶
粒径が175Åにまで大きくなっても保磁力Hcを55
3(A/m)以下に小さくできることが後述する実験に
よりわかっている。
【0084】またFeの組成比Xが76質量%以上で9
0質量%以下にされたNi1-XFeXは膜面の面粗れが小
さく、本発明では前記膜面の中心線平均粗さRaを10
nm以下にすることができる。また前記Raを7nm以
下にすることがより好ましい。
【0085】また前記NiFe合金の比抵抗を、30
(μΩ・cm)以上で50(μΩ・cm)以下に設定す
ることができる。
【0086】あるいは本発明では、前記上部磁極層21
及び/または下部磁極層19が以下の組成比を有する軟
磁性膜で形成されている。
【0087】(2)組成式が、Ni1-XFeXで示され、
平均結晶粒径は、130Å以上で175Å以下であり、
且つFeの組成比Xは70質量%以上で90質量%以下
の範囲内である。
【0088】上記したように飽和磁束密度Bsは主とし
てFeの組成比Xで決められる。ところでこのNiFe
合金では、Feの組成比Xが特願平11−173895
号と一部重複するものの、その重複する部分においても
飽和磁束密度Bsを特願平11−173895号より大
きくできる。その理由は、本発明の方が特願平11−1
73895号に比べて平均結晶粒径が大きく緻密に結晶
が形成されている点にある。
【0089】上記のNiFe合金では結晶化が適切に促
進され、平均結晶粒径は大きくなって緻密な結晶が形成
され、その結果、飽和磁束密度Bsを1.9T以上にで
きる。
【0090】また緻密な結晶を形成できることで平均結
晶粒径が130Å以上で175Å以下に大きくなっても
保磁力Hcを553(A/m)以下に抑えることができ
る。
【0091】また本発明では、このように緻密に結晶が
形成されることにより、膜面の面粗れも小さくでき、本
発明によれば膜面の中心線平均粗さRaを10nm以下
に抑えることが可能である。また本発明では前記中心線
平均粗さRaを7nm以下にすることが好ましい。
【0092】さらに前記NiFe合金の比抵抗を30
(μΩ・cm)以上で50(μΩ・cm)以下に設定す
ることができる。
【0093】また本発明では、上記(2)のNiFe合
金のFe組成比Xは72.5質量%以上であることが好
ましい。これにより飽和磁束密度を1.95T以上にす
ることができる。またこの際、前記NiFe合金の平均
結晶粒径が150Å以上であると確実に飽和磁束密度B
sを1.95T以上にすることができる。
【0094】次に本発明では上記(1)及び/または
(2)のNiFe合金のFeの組成比Xは78質量%以
上で85質量%以下であることが好ましい。これにより
前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsを2.0T以上に
することができる。
【0095】また本発明では前記NiFe合金の膜応力
は小さいことが好ましい。前記膜応力を小さくすること
で前記上部磁極層21及び下部磁極層19の膜剥がれや
ひび割れを適切に防止できるからである。
【0096】本発明では前記膜応力は400MPa以下
にすることが好ましい。前記膜応力を確実に400MP
a以下にするには、前記Feの組成比Xを86質量%以
下にすることが好ましいことが後述する実験により確認
されている。
【0097】以上のように本発明では、上記(1)のF
eの組成比Xが76質量%で90質量%以下にされたN
iFe合金によれば、前記飽和磁束密度Bsを1.95
T以上にできる。また平均結晶粒径を150Å以上で1
75Å以下に設定することで確実に前記Bsを1.95
T以上にでき、しかも保磁力Hcを553(A/m)以
下にできる。
【0098】また上記(2)の平均結晶粒径が130Å
以上で175Å以下で、且つFeの組成比が70質量%
以上で90質量%以下にされたNiFe合金によれば、
飽和磁束密度Bsを1.9T以上にでき、しかも保磁力
Hcを553(A/m)以下にできる。
【0099】なお本発明における上記(1)及び(2)
のNiFe合金の結晶構造は、bcc構造(体心立方構
造)及びfcc構造(面心立方構造)の混相か、あるい
はbcc構造であることが好ましい。
【0100】そして上記のNiFe合金膜を上部磁極層
21及び/または下部磁極層19に使用することで、ギ
ャップ近傍に磁束を集中させることができ、よって記録
密度を向上させることができ、今後の高記録密度化に対
応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0101】また前記NiFe合金は、上記組成範囲内
で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面
粗れを抑制でき、薄膜磁気ヘッドの耐食性を向上させる
ことができる。
【0102】上記した(1)あるいは(2)のNiFe
合金は他の形態の薄膜磁気ヘッドにも使用することがで
きる。
【0103】図3は、本発明における第2実施形態の薄
膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、図4は図3に示
す4−4線から薄膜磁気ヘッドを切断し矢印方向から見
た縦断面図である。
【0104】この実施形態では、MRヘッドh1の構造
は図1及び図2と同じである。図3に示すように下部コ
ア層16上には、絶縁層31が形成されている。前記絶
縁層31には、記録媒体との対向面からハイト方向(図
示Y方向)後方に所定の長さ寸法で形成されたトラック
幅形成溝31aが形成されている。前記トラック幅形成
溝31aは記録媒体との対向面においてトラック幅Tw
で形成されている(図3を参照のこと)。
【0105】前記トラック幅形成溝31aには、下から
下部磁極層32、非磁性のギャップ層33、及び上部磁
極層34が積層された磁極部30が形成されている。
【0106】前記下部磁極層32は、下部コア層16上
に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層32
の上に形成されたギャップ層33は、メッキ形成可能な
非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体
的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、
Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以
上から選択されたものであることが好ましい。
【0107】なお本発明における具体的な実施形態とし
て前記ギャップ層33にはNiPが使用される。NiP
で前記ギャップ層33を形成することで前記ギャップ層
33を適切に非磁性状態にできるからである。
【0108】なお前記磁極部30は、ギャップ層33及
び上部磁極層34の2層で構成されていてもよい。
【0109】前記ギャップ層33の上には、記録媒体と
の対向面からギャップデプス(Gd)だけ離れた位置か
ら絶縁層31上にかけてGd決め層37が形成されてい
る。
【0110】さらに前記ギャップ層33の上に形成され
た上部磁極層34は、その上に形成される上部コア層4
0と磁気的に接続される。
【0111】上記のようにギャップ層33がメッキ形成
可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層3
2、ギャップ層33及び上部磁極層34を連続メッキ形
成することが可能である。
【0112】図4に示すように前記絶縁層31の上には
コイル層38が螺旋状にパターン形成されている。前記
コイル層38は有機絶縁材料などで形成された絶縁層3
9によって覆われている。
【0113】図3に示すように、トラック幅規制溝31
aのトラック幅方向(図示X方向)における両側端面に
は、前記上部磁極層34の上面から前記絶縁層31の上
面31bにかけて下部コア層16から離れる方向にした
がって徐々に幅寸法が広がる傾斜面31c,31cが形
成されている。
【0114】そして図3に示すように上部コア層40の
先端部40aは、前記上部磁極層34上面から前記傾斜
面31c,31c上にかけて下部コア層16から離れる
方向に形成されている。
【0115】図4に示すように前記上部コア層40は、
記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にか
けて絶縁層39上に形成され、前記上部コア層40の基
端部40bは下部コア層16上に直接形成されている。
【0116】図3及び図4に示す第2実施形態では、下
部磁極層32及び/または上部磁極層34が、上記した
(1)または(2)の組成比及び平均結晶粒径を有する
NiFe合金で形成される。
【0117】前記下部磁極層32及び上部磁極層34が
1.9T以上あるいは1.95T以上の高い飽和磁束密
度Bsを有する上記したNiFe合金で形成されること
で、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録
密度を向上させることができるから、高記録密度化に優
れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。また本発明で
は前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsを2.0T以上
にすることも可能である。
【0118】また前記NiFe合金は、上記組成範囲内
で形成されることで結晶が緻密に形成され、膜面での面
粗れを抑制でき、薄膜磁気ヘッドの耐食性を向上させる
ことができる。
【0119】図1ないし図4に示す実施形態では、いず
れも下部コア層16と上部コア層22、40間に磁極部
18、30を有し、前記磁極部18,30を構成する下
部磁極層19,32及び/または上部磁極層21,34
は、上記(1)または(2)の組成比及び平均結晶粒径
を有するNiFe合金で形成されるものであるが、本発
明では、前記下部磁極層19,32及び/または上部磁
極層21,34は2層以上の磁性層が積層されて構成さ
れていてもよい。かかる構成の場合、ギャップ層20,
33に接する側の磁性層が上記(1)あるいは(2)の
NiFe合金で形成されることが好ましい。これによっ
てギャップ近傍に磁束をより集中させることができ、今
後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造す
ることが可能である。
【0120】また前記ギャップ層20,33に接する磁
性層以外の磁性層は、NiFe合金で形成され、前記他
の磁性層のFeの組成比は、前記ギャップ層20,33
に接する側の磁性層のFe組成比よりも小さいことが好
ましい。これによって前記ギャップ層20,33に接す
る磁性層の飽和磁束密度Bsを他の磁性層よりも高める
ことができ、ギャップ近傍に磁束をより適切に集中させ
ることが可能になる。なお前記他の磁性層はNiFe合
金で形成される必要はなく、例えばCoFe合金やCo
FeNi等で形成されてもよい。かかる場合、前記他の
磁性層の飽和磁束密度Bsが、ギャップ層20,33に
接する磁性層の前記Bsよりも低くなるように組成比を
適切に調整する必要性がある。
【0121】また下部磁極層19,32の飽和磁束密度
Bsは高いことが好ましいが、上部磁極層21,34の
飽和磁束密度Bsよりも低くすることにより、下部磁極
層と上部磁極層との間における洩れ磁界を磁化反転しや
すくすると、より記録媒体への信号の書込み密度を高く
できる。
【0122】また下部コア層16及び上部コア層22,
40を上記(1)または(2)のNiFe合金で形成し
ても良いが、かかる場合、上部磁極層21,34及び下
部磁極層19,32の飽和磁束密度Bsの方が、下部コ
ア層16及び上部コア層22,40よりも高くなるよう
にNiFe合金のFe組成比を適切に調整することが好
ましい。
【0123】図5は本発明における第3実施形態の薄膜
磁気ヘッドの縦断面図である。この実施形態ではMRヘ
ッドh1が図1と同じである。図5に示すように下部コ
ア層16にはアルミナなどによる磁気ギャップ層(非磁
性材料層)41が形成されている。さらに前記磁気ギャ
ップ層41の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の
絶縁層43を介して平面的に螺旋状となるようにパター
ン形成されたコイル層44が設けられている。なお、前
記コイル層44はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非
磁性導電性材料で形成されている。
【0124】さらに、前記コイル層44はポリイミドま
たはレジスト材料で形成された絶縁層45に囲まれ、前
記絶縁層45の上に軟磁性材料製の上部コア層46が形
成されている。
【0125】図5に示すように、前記上部コア層46の
先端部46aは、記録媒体との対向面において、下部コ
ア層16の上に前記磁気ギャップ層41を介して対向
し、磁気ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されて
おり、上部コア層46の基端部46bは図5に示すよう
に、下部コア層16と磁気的に接続されている。
【0126】本発明では、下部コア層16及び/または
上部コア層46は、上記の(1)または(2)の組成比
及び平均結晶粒径を有するNiFe合金で形成されてい
る。本発明におけるNiFe合金は1.9T以上あるい
は1.95T以上の高い飽和磁束密度Bsを有し、また
組成比によっては2.0T以上の非常に高い飽和磁束密
度Bsを得ることができる。
【0127】上部コア層46及び/または下部コア層1
6が、1.9T以上あるいは1.95T以上の高い飽和
磁束密度Bsを有する上記したNiFe合金で形成され
ることで、ギャップ近傍に磁束を集中させることがで
き、記録密度を向上させることができるから、高記録密
度化に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。
【0128】また上記(1)または(2)のNiFe合
金では結晶が緻密に形成され、膜面での面粗れを抑制で
き、薄膜磁気ヘッドの耐食性を向上させることができ
る。本発明では、前記膜面の中心線平均粗さRaを10
nm以下にすることができる。好ましくは7nm以下で
ある。また保磁力Hcを小さくできる。具体的には前記
保磁力Hcを553(A/m)以下にすることができ
る。
【0129】また上記(1)または(2)のNiFe合
金であれば、30(μΩ・cm)以上の比抵抗を得るこ
とができる。また膜応力を400MPa以下にすること
ができる。
【0130】図6は本発明における第4実施形態の薄膜
磁気ヘッドの縦断面図である。図5との違いは、上部コ
ア層46が2層の磁性層で積層されて構成されているこ
とである。
【0131】前記上部コア層46は、高い飽和磁束密度
Bsを有する高Bs層47とその上に積層された上層4
8とで構成されている。
【0132】前記高Bs層47は、上記(1)または
(2)の組成比及び平均結晶粒径を有するNiFe合金
で形成されている。
【0133】これにより前記高Bs層47の飽和磁束密
度Bsを少なくとも1.9以上あるいは1.95T以上
にできる。またより好ましくは前記Bsを2.0T以上
にすることができる。
【0134】また上記(1)または(2)のNiFe合
金で形成された高Bs層47は結晶が緻密に形成される
ことで、前記高Bs層47の膜面の面粗れを小さくで
き、よって耐食性を向上させることができ、しかも保磁
力Hcを小さくすることができる。具体的には、前記膜
面の中心線平均粗さRaを10nm以下にでき、前記保
磁力Hcを553(A/m)以下にすることができる。
さらに前記NiFe合金を使用した場合には比抵抗を3
0(μΩ・cm)以上にできる。また膜応力を400M
Pa以下にできる。
【0135】前記上部コア層46を構成する上層48
は、高Bs層47に比べて飽和磁束密度Bsが小さくな
っているものの、前記高Bs層47よりも比抵抗が高く
されている。前記上層48は例えばNiFe合金で形成
され、この場合、前記上層48のFe含有量は、高Bs
層47のFe量よりも小さいことが好ましい。これによ
って前記高Bs層47が前記上層48よりも高い飽和磁
束密度Bsを有し、ギャップ近傍に磁束を集中させて、
記録分解能を向上させることが可能になる。なお前記上
層48はNiFe合金で形成される必要はなく、例えば
CoFe合金やCoFeNi等で形成されてもよい。か
かる場合、前記高Bs層47の飽和磁束密度Bsの方が
上層48よりも高くなるように、前記上層48を形成す
る軟磁性材料の組成比を適切に調整することが好まし
い。
【0136】また前記上部コア層46に比抵抗の高い上
層48が設けられたことで、記録周波数が上昇すること
により発生する渦電流による損失を低減させることがで
き、今後の高記録周波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッド
を製造することができる。
【0137】また本発明では図6に示すように、高Bs
層47が、ギャップ層41と対向する下層側に形成され
ていることが好ましい。また前記高Bs層47はギャッ
プ層41上に直接接する上部コア層46の先端部46a
のみに形成されていてもよい。
【0138】また下部コア層16も、高Bs層と高比抵
抗層の2層で構成されていてもよい。かかる構成の場
合、高比抵抗層の上に高Bs層が積層され、前記高Bs
層がギャップ層41を介して上部コア層46と対向す
る。
【0139】また図6に示す実施形態では、上部コア層
46が2層の積層構造となっているが、3層以上であっ
てもよい。かかる構成の場合、高Bs層47は、磁気ギ
ャップ層41に接する側に形成されることが好ましい。
【0140】図7は本発明における第5実施形態の薄膜
磁気ヘッドの縦断面図である。図7の実施形態ではMR
ヘッドh1の構成は図1と同じである。図7に示すよう
に下部コア層16の上に下部磁極層50が記録媒体との
対向面から隆起形成されている。前記下部磁極層50の
ハイト方向後方(図示Y方向)には絶縁層51が形成さ
れている。前記絶縁層51の上面は、凹形状となり、コ
イル形成面51aが形成されている。
【0141】前記下部磁極層50上から前記絶縁層51
上にかけてギャップ層52が形成されている。さらに前
記絶縁層51のコイル形成面51a上にはギャップ層5
2を介してコイル層53が形成されている。前記コイル
層53上は有機絶縁製の絶縁層54によって覆われてい
る。
【0142】図7に示すように上部コア層55は、前記
ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて例えばフレ
ームメッキ法によりパターン形成されている。
【0143】前記上部コア層55の先端部55aは前記
ギャップ層52上に下部磁極層50と対向して形成され
る。前記上部コア層55の基端部55bは、下部コア層
16上に形成された持上げ層56を介して前記下部コア
層16に磁気的に接続される。
【0144】この実施形態においては、上部コア層55
及び/または下部磁極層50は上記(1)または(2)
の組成比及び平均結晶粒径を有するNiFe合金で形成
されている。
【0145】図7では下部磁極層50が形成され、前記
下部磁極層50が下部コア層16よりも高い飽和磁束密
度Bsを有する前記NiFe合金で形成されると、ギャ
ップ近傍に磁束を集中させることができ記録密度の向上
を図ることが可能である。
【0146】また上部コア層55は、その全体が前記N
iFe合金で形成されていてもよいが、図6と同様に前
記上部コア層55が2層以上の磁性層の積層構造であ
り、そのギャップ層52と対向する側が高Bs層として
前記NiFe合金膜で形成されていてもよい。またかか
る場合、前記上部コア層55の先端部55aのみが2層
以上の磁性層の積層構造で形成され、前記ギャップ層5
2上に接して高Bs層が形成されていることが、ギャッ
プ近傍に磁束を集中させ、記録密度を向上させる点から
して好ましい。
【0147】なお本発明では、図1ないし図7に示す各
実施形態においてNiFe合金膜はメッキ形成されてい
ることが好ましい。本発明では前記NiFe合金をパル
ス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成すること
ができる。
【0148】また前記NiFe合金をメッキ形成するこ
とで任意の膜厚で形成でき、スパッタで形成するよりも
厚い膜厚で形成することが可能になる。
【0149】また各実施形態において、符号16の層
は、下部コア層と上部シールド層の兼用層となっている
が、前記下部コア層と上部シールド層とが別々に形成さ
れていてもよい。かかる場合、前記下部コア層と上部シ
ールド層間には絶縁層を介在させる。
【0150】次に図1ないし図7に示す薄膜磁気ヘッド
の一般的な製造方法について以下に説明する。
【0151】図1及び図2に示す薄膜磁気ヘッドは、下
部コア層16上にGd決め層17を形成した後、レジス
トを用いて記録媒体との対向面からハイト方向に下部磁
極層19、非磁性のギャップ層20及び上部磁極層21
から成る磁極部18を連続メッキによって形成する。次
に前記磁極部18のハイト方向後方に絶縁層23を形成
した後、例えばCMP技術を用いて前記磁極部18の上
面と前記絶縁層23の上面とを同一平面に平坦化する。
前記絶縁層23の上にコイル層24を螺旋状にパターン
形成した後、前記コイル層24の上に絶縁層25を形成
する。そして前記磁極部18上から絶縁層25上にかけ
て上部コア層22を例えばフレームメッキ法により形成
する。
【0152】図3及び図4に示す薄膜磁気ヘッドは、下
部コア層16上に絶縁層31を形成した後、レジストを
用いて前記絶縁層31の記録媒体との対向面からハイト
方向後方に向けてトラック幅形成溝31aを形成する。
さらに前記トラック幅形成溝31aに図3に示す傾斜面
31c,31cを形成する。
【0153】前記トラック幅形成溝31a内に、下部磁
極層32、非磁性のギャップ層33を形成する。前記ギ
ャップ層33上から絶縁層31上にGd決め層37を形
成した後、前記ギャップ層33上に上部磁極層34をメ
ッキ形成する。次に前記絶縁層31上にコイル層38を
螺旋状にパターン形成した後、前記コイル層38上に絶
縁層39を形成する。そして前記上部磁極層34上から
絶縁層39上にかけて上部コア層40を例えばフレーム
メッキ法にて形成する。
【0154】図5、図6に示す薄膜磁気ヘッドは、まず
下部コア層16上にギャップ層41を形成し、さらに絶
縁層43を形成した後、前記絶縁層43の上にコイル層
44をパターン形成する。前記コイル層44上に絶縁層
45を形成した後、ギャップ層41から前記絶縁層45
上にかけて上部コア層46をフレームメッキ法によりパ
ターン形成する。
【0155】図7に示す薄膜磁気ヘッドは、まず下部コ
ア層16上にレジストを用いて下部磁極層50を形成
し、さらに前記下部磁極層50のハイト方向後方に絶縁
層51を形成する。前記下部磁極層50と前記絶縁層5
1の上面はCMP技術によって一旦平坦化された後、前
記絶縁層51の上面に凹形状となるコイル形成面51a
を形成する。次に前記下部磁極層50上から前記絶縁層
51上にギャップ層52を形成した後、前記ギャップ層
52上にコイル層53を螺旋状にパターン形成し、さら
に前記コイル層53上に絶縁層54を形成する。そし
て、前記ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて上
部コア層55を例えばフレームメッキ法によりパターン
形成する。
【0156】次に本発明におけるFeの組成比が76質
量%以上で90質量%以下とされたNiFe合金(上記
の(1))、あるいは平均結晶粒径が130Å以上で1
75Å以下とされ、且つFeの組成比が70質量%以上
で90質量%以下とされたNiFe合金(上記の
(2))のメッキ形成法について以下に説明する。
【0157】本発明では、前記NiFe合金をパルス電
流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成するものであ
る。
【0158】パルス電流を用いた電気メッキ法では、例
えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成
時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を
設ける。このように電流を流さない時間を設けること
で、NiFe合金膜を、少しずつメッキ形成し、そして
メッキ浴に占めるFeイオンの濃度を増やしても、従来
のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時にお
ける電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっ
ている。
【0159】なおパルス電流は、例えば数秒サイクルで
ON/OFFを繰返し、デューティ比を0.1〜0.5
程度にすることが好ましい。パルス電流の条件は、Ni
Fe合金の平均結晶粒径及び膜面の中心線平均粗さRa
に影響を与える。
【0160】上記のようにパルス電流による電気メッキ
法では、メッキ形成時における電流密度の分布の偏りを
緩和することができるから、直流電流による電気メッキ
法に比べてNiFe合金に含まれるFe含有量を従来よ
りも増やすことが可能になる。
【0161】しかも本発明では、NiFe合金のメッキ
形成に使用されるメッキ浴組成を以下のように設定して
いる。
【0162】本発明では、メッキ浴中におけるNiイオ
ン濃度を6.6g/l以上で20g/l以下とし、且つ
Feイオン濃度/Niイオン濃度の比率を0.15以上
で0.36以下としている。
【0163】このように本発明ではNiイオン濃度を
6.6g/l以上で20g/lに設定したが、従来では
前記Niイオン濃度を40g/l程度にしており、本発
明では従来よりもNiイオン濃度を低くしていることが
わかる。
【0164】これにより成膜時、カソード(メッキされ
る側)表面上に触れるメッキ液中のNiイオンを減らす
ことができ、攪拌効果を高めてNiFe合金中に多くの
Feを入れることが可能になる。
【0165】しかも本発明では、上記のようにFeイオ
ン濃度/Niイオン濃度の比率を0.15以上で0.3
6以下に設定している。すなわち本発明ではNiイオン
濃度自体の大きさのみならずFeイオン濃度との比率を
規定することで、結晶性を高め緻密な結晶を形成するこ
とができる。本発明では、Niイオン濃度を小さくし、
上記の濃度比率を有することで、結晶化は促進されNi
Fe合金の平均結晶粒径は大きくなるとともに緻密な結
晶が形成されることから安定して高い飽和磁束密度Bs
を得ることができ、さらに保磁力Hcを低くでき、また
面粗れを小さくすることができる。さらに膜応力を小さ
くすることができる。
【0166】本発明では、メッキ浴中におけるNiイオ
ン濃度を6.6g/l以上で20g/l以下とし、且つ
Feイオン濃度/Niイオン濃度の比率を0.15以上
で0.36以下とすることで、Feの組成比が76質量
%以上で90質量%以下のNiFe合金、あるいは平均
結晶粒径が130Å以上で175Å以下であり、且つF
eの組成比が70質量%以上で90質量%以下となるN
iFe合金を再現性良くメッキ形成することが可能であ
る。
【0167】また本発明では、前記Niイオン濃度を1
0g/l以上とした場合、Feイオン濃度/Niイオン
濃度の比率を0.2以上で0.35以下とすることが好
ましい。
【0168】これによりFeの組成比が76質量%以上
で90質量%以下のNiFe合金、あるいは平均結晶粒
径が130Å以上で175Å以下であり、且つFeの組
成比が70質量%以上で90質量%以下となるNiFe
合金を再現性良くメッキ形成することが可能である。
【0169】一方、前記Niイオン濃度を10g/l以
下とした場合、Feイオン濃度/Niイオン濃度の比率
を0.15以上で0.36以下とすることが好ましい。
これによりFeの組成比が76質量%以上で90質量%
以下のNiFe合金、あるいは平均結晶粒径が130Å
以上で175Å以下であり、且つFeの組成比が70質
量%以上で90質量%以下となるNiFe合金を再現性
良くメッキ形成することが可能である。
【0170】なお前記Niイオン濃度を10g/l以下
の低濃度とした場合、Feイオン濃度/Niイオン濃度
の比率を0.15以上で0.36以下にでき、前記Ni
イオン濃度を10g/l以上にする場合に比べて、Fe
イオン濃度/Niイオン濃度の比率の範囲を広げること
ができる。従って、前記Niイオン濃度を10g/l以
下の低濃度とした方が、Feイオン濃度/Niイオン濃
度の比率の調整を容易に行うことができて好ましい。
【0171】また本発明では、NiFe合金のメッキ浴
中にサッカリンナトリウム(C64CONNaSO2
を混入することが好ましい。前記サッカリンナトリウム
は応力緩和剤の役割を持っており、メッキ形成されたN
iFe合金の膜応力を低減させることが可能になる。
【0172】また上記したNiFe合金のメッキ浴中
に、2−ブチン−1、4ジオールを混入することが好ま
しい。これにより前記NiFe合金の結晶粒径の粗大化
を抑制し保磁力Hcを低減させることができる。
【0173】また本発明では、前記NiFe合金のメッ
キ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入する
ことが好ましい。
【0174】前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムは
界面活性剤である。前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリ
ウムの混入によって、NiFe合金のメッキ形成時に発
生する水素を除去でき、メッキ膜に前記水素が付着する
ことを防止することができる。前記メッキ膜に水素が付
着すると、結晶が緻密に形成されずその結果、膜面の面
粗れをひどくする原因となるため、本発明のように前記
水素を除去することで、前記メッキ膜の膜面の面粗れを
小さくでき、保磁力Hcを小さくすることが可能であ
る。
【0175】なお前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウ
ムに代えてラウリル硫酸ナトリウムを混入してもよい
が、前記ラウリル硫酸ナトリウムは、前記2−エチルヘ
キシル硫酸ナトリウムに比べてメッキ浴中に入れたとき
泡立ちやすいために、前記ラウリル硫酸ナトリウムを効
果的に水素を除去できる程度に混入することが難しい。
このため本発明では、前記ラウリル硫酸ナトリウムに比
べて泡立ちにくい2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを
水素を効果的に除去できる程度に混入することができて
好ましい。
【0176】また前記メッキ浴中にホウ酸を混入するこ
とが好ましい。ホウ酸は、電極表面のpH緩衝剤とな
り、またメッキ膜の光沢を出すのに効果的である。
【0177】
【実施例】本発明では、メッキ浴からパルス電流による
電気メッキ法を用いてNiFe合金をメッキ形成し、こ
の際、メッキ浴中のNiイオン濃度やFeイオン濃度/
Coイオン濃度の比率を変化させながら、組成比の異な
る複数のNiFe合金をメッキ形成した。
【0178】まず、Niイオン濃度を40.07g/l
に固定し、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を異
ならせたメッキ浴組成(比較例1)は以下の表1に示さ
れている。
【0179】
【表1】
【0180】なお実験ではメッキ浴温度を30℃に設定
した。また電極のpHを2.8に設定した。また電流密
度を46.8mA/cm2に設定した。またアノード側
の電極にはFe電極を用いた。
【0181】上記表1の各メッキ浴組成でメッキ形成さ
れたNiFe合金の軟磁気特性及び膜特性については以
下の通りであった。
【0182】
【表2】
【0183】表2の成膜品は、表1のFeイオン/
Niイオンが0.16以下の浴から得られたNiFe合
金に対応し、表2の成膜品は、表1のFeイオン/
Niイオンが0.16以上の浴から得られたNiFe合
金に対応し、表2の成膜品は、表1のFeイオン/
Niイオンが0.16以上の浴から得られたNiFe合
金に対応する。
【0184】表2の成膜品は、Feの組成比が60質
量%以下であり、飽和磁束密度Bsも1.7T以下と極
めて低い。また成膜品及び成膜品はいずれもFeの
組成比が70質量%以上となる場合があるが、飽和磁束
密度Bsは1.9Tよりも小さくなり、1.9T以上の
飽和磁束密度Bsを得ることができなかった。
【0185】このように表1のメッキ浴組成から得られ
たNiFe合金がいずれも1.9Tよりも小さい飽和磁
束密度Bsしか得られない理由は、メッキ浴中に含まれ
るNiイオン濃度が40.07g/lと非常に高濃度で
あるため、成膜時カソード(メッキされる側)の表面に
触れるメッキ液もNiが多くなり、攪拌効果が低下する
ことで膜中にFeを多く取り込むことができないこと
と、攪拌効果の低下によりFeイオンが適切に供給され
ず結晶化が鈍化するため、結晶の成長過程で結晶間に粒
界が発生して個々の結晶粒径が小さくなり、しかも結晶
間に空隙が発生しやすいなど緻密な結晶を形成できない
からであると考えられる。表2におけるNiFe合金は
いずれも平均結晶粒径が130Åよりも小さかった。
【0186】上記の実験結果から本発明では、次のよう
にNiイオン濃度を低濃度にし、さらにFeイオン濃度
/Niイオン濃度の比率を適切に調整することとした。
【0187】まず本発明では、Niイオン濃度を表1に
おけるNiイオン濃度の約1/2にあたる19.91g
/lに固定し、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率
を0.2以上で0.35以下にしたメッキ浴組成(実施
例1)は以下の表3に示されている。
【0188】
【表3】
【0189】またメッキ浴温度を30℃に設定した。ま
た電極のpHを2.8に設定した。また電流密度を4
6.8mA/cm2に設定した。さらにパルス電流のデ
ューティー比(ON/OFF)を400/1000ms
ecに設定した。またアノード側の電極にはFe電極を
用いた。なおこの条件は以下の表5、7、9、11及び
13のメッキ浴からNiFe合金をメッキ形成する際の
共通した実験条件である。
【0190】表3によるメッキ浴組成から得られたNi
Fe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表4
に示される。
【0191】
【表4】
【0192】表4に示すように、NiFe合金のFe組
成比は73質量%以上で78.6質量%以下であり、し
かも飽和磁束密度Bsは1.9T以上であった。さらに
膜面の面粗れも小さく膜面の中心線平均粗さRaは7n
m以下であった。さらに膜応力も小さく290MPa以
上で550MPa以下であった。
【0193】このようにメッキ浴中におけるNiイオン
濃度を表1の約1/2の低濃度にし、さらにFeイオン
濃度/Coイオン濃度の比率を0.2以上で0.35以
下にすることで、Fe合金中に含まれるFe組成比を確
実に70質量%以上にできる。しかも平均結晶粒径は1
30Å以上に大きくなるとともに緻密に結晶が形成され
ていることで、飽和磁束密度Bsを安定して1.9T以
上にできるとともに膜面の面粗れを適切に抑制すること
が可能である。
【0194】次にNiイオン濃度を表1におけるNiイ
オン濃度の約1/2にあたる19.91g/lに固定
し、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を0.35
以上にしたメッキ浴組成(比較例2)は以下の表5に示
されている。
【0195】
【表5】
【0196】表5によるメッキ浴組成から得られたNi
Fe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表6
に示される。
【0197】
【表6】
【0198】表6に示すように、NiFe合金のFe組
成比は78.8質量%以上で80質量%以下であり、し
かも飽和磁束密度Bsは1.9T以上であった。
【0199】しかし膜面の中心線平均粗さRaは9nm
以上となり表4の場合に比べて膜面の面粗れがひどくな
った。さらに膜応力も560MPa以上になり、表4の
場合に比べて膜応力が大きくなった。
【0200】このように中心線平均粗さRaが大きくな
ると耐食性の低下とともに飽和磁束密度Bsのばらつき
も大きくなり好ましくない。
【0201】また表4と表6とでは、メッキ浴組成のN
iイオン濃度が同じであるものの、Feイオン濃度との
比率が異なり、Feイオン濃度/Niイオン濃度の比率
を適切な範囲内に収めないと、飽和磁束密度Bs、膜面
の中心線平均粗さRaさらには膜応力等の種々の磁気特
性及び膜特性を良好にできないことがわかった。
【0202】表4と表6とを見比べると、種々の磁気特
性及び膜特性は表4の方が好ましいことがわかる。
【0203】次にNiイオン濃度を表1におけるNiイ
オン濃度の約1/4にあたる10.31g/lに固定
し、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を0.23
4以上で0.35以下にしたメッキ浴組成(実施例2)
は以下の表7に示されている。
【0204】
【表7】
【0205】表7によるメッキ浴組成から得られたNi
Fe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表8
に示される。
【0206】
【表8】
【0207】表8に示すように、Feの組成比は70質
量%以上で81質量%以下になり、また飽和磁束密度B
sは1.9T以上であった。
【0208】この表8と表4とを見比べてみると表8の
方がFe量を多くできることがわかる。これはメッキ浴
中におけるNiイオン濃度がさらに低濃度になったこと
で攪拌効果が上がったからである。また表8のNiFe
合金の平均結晶粒径は130Å以上であった。
【0209】次にNiイオン濃度を表1におけるNiイ
オン濃度の約1/4にあたる10.31g/lに固定
し、Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を0.35
以上にしたメッキ浴組成(比較例3)は以下の表9に示
されている。
【0210】
【表9】
【0211】表9によるメッキ浴組成から得られたNi
Fe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表1
0に示される。
【0212】
【表10】
【0213】表10に示すようにFe組成比は79質量
%以上で82質量%以下であり、飽和磁束密度Bsも
1.9T以上であったが、表9に比べて膜面の中心線平
均粗さRaが大きくなりやすく適切に膜面の面粗れを抑
制できないと共に、膜応力が400MPa以上に大きく
なってしまった。
【0214】表8と表10を見比べると、NiFe合金
の軟磁気特性及び膜特性は表8の方が好ましいことがわ
かる。
【0215】次にNiイオン濃度を表1におけるNiイ
オン濃度の約1/6にあたる6.68g/lに固定し、
Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を0.156以
上で0.36以下にしたメッキ浴組成(実施例3)は以
下の表11に示されている。
【0216】
【表11】
【0217】表11によるメッキ浴組成から得られたN
iFe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表
12に示される。
【0218】
【表12】
【0219】表12に示すようにFeの組成比は70質
量%以上で88質量%以下であり、また飽和磁束密度B
sは1.9T以上であり、組成比によっては2.0T以
上となる場合があった。また表12のNiFe合金の平
均結晶粒径は130Å以上であり、さらに膜面の中心線
平均粗さRaが10nm以下と面粗れを抑制することが
できた。
【0220】またこの表12と表8とを見比べてみると
表12の方がFe量を多くできることがわかる。これは
メッキ浴中におけるNiイオン濃度がさらに低濃度にな
ったことで攪拌効果が上がったからである。
【0221】次にNiイオン濃度を表1におけるNiイ
オン濃度の約1/6にあたる6.68g/lに固定し、
Feイオン濃度/Coイオン濃度の比率を0.36以上
にしたメッキ浴組成(比較例4)は以下の表13に示さ
れている。
【0222】
【表13】
【0223】表13によるメッキ浴組成から得られたN
iFe合金の軟磁気特性及び膜特性については以下の表
14に示される。
【0224】
【表14】
【0225】表14に示すように、Feの組成比は74
質量%以上で82質量%以下となり、また飽和磁束密度
は1.9T以上となったが、表12に比べて膜面の中心
線平均粗さRaが10nm以上となり、膜面の面粗れが
ひどくなった。また飽和磁束密度Bsも表12のように
2.0Tを越えることがなかった。
【0226】表12と表14を見比べると、NiFe合
金の軟磁気特性及び膜特性は表12の方が好ましいこと
がわかる。
【0227】上記した実験結果から本発明では、以下の
ようにメッキ浴組成を規定することとした。
【0228】まずメッキ浴中に占めるNiイオン濃度を
6.6g/l以上で20g/l以下とした。さらにFe
イオン濃度/Niイオン濃度の比率を0.15g/l以
上で0.36g/l以下とした。この条件に当てはまる
メッキ浴組成は、表3のメッキ浴組成(実施例1)、表
7のメッキ浴組成(実施例2)、および表11のメッキ
浴組成(実施例3)である。
【0229】そしてこれらメッキ浴組成から得られたN
iFe合金は、表4、表8及び表12に示すように、い
ずれもFe組成比を70質量%以上で90質量%以下に
でき、さらに飽和磁束密度Bsを1.9T以上にできる
ことがわかる。また平均結晶粒径を130Å以上で15
0Å以下に調整することができる。また膜面の中心線平
均粗さRaや膜応力を適切な範囲内に収めることが可能
である。
【0230】また前記Feの組成比を76質量%以上に
するには、例えば表7のメッキ浴の場合、Feイオンを
3.01g/l以上にすればFe組成比が76質量%以
上となるNiFe合金を得やすい。また表11のメッキ
浴の場合、Feイオンを1.61g/lにした場合でも
Feの組成比を76質量%以上にできる場合があるが、
前記Feイオンを1.81g/l以上にした方がより確
実にFeの組成比を76質量%以上にできることが実験
によりわかっている。
【0231】以上のメッキ浴から本発明におけるNiF
e合金膜を再現性良くメッキ形成することが可能であ
る。
【0232】次に、前記メッキ浴中におけるNiイオン
濃度を10g/l以上にした場合、Feイオン濃度/N
iイオン濃度の比率を0.2以上で0.35以下にする
ことが好ましい。そのメッキ浴組成は表3及び表7であ
る。
【0233】一方、前記メッキ浴中におけるNiイオン
濃度を10g/l以下にした場合、Feイオン濃度/N
iイオン濃度の比率を0.15以上で0.36以下にす
ることが好ましい。そのメッキ浴組成は表11である。
【0234】このようにNiイオン濃度を10g/l以
下の低濃度にすると、Niイオン濃度を10g/l以上
にする場合に比べて、Feイオン濃度/Niイオン濃度
の比率の範囲を0.15以上で0.36以下に広げるこ
とができるので、Niイオン濃度を10g/l以下にす
る方が、Feイオン濃度との比率の調整が容易になり好
ましい。
【0235】次に、メッキ浴中のNiイオン濃度を6.
6g/l以上で20g/l以下とし、さらにFeイオン
濃度/Niイオン濃度の比率を0.15g/l以上で
0.36g/l以下として、パルス電流による電気メッ
キ法によりメッキ形成されたNiFe合金(実施例)の
Fe組成比と各軟磁気特性及び膜特性との関係について
調べた。また同時に、メッキ浴中のNiイオン濃度を4
0.07g/lの高濃度にし、パルス電流による電気メ
ッキ法によりメッキ形成されたNiFe合金(比較例
1)、及び直流電流による電気メッキ法によりメッキ形
成されたNiFe合金(比較例5)のFe組成比と各軟
磁気特性及び膜特性との関係について調べた。
【0236】まず実施例及び比較例1、5の各サンプル
におけるFeの組成比と飽和磁束密度Bsとの関係につ
いて以下に説明する。
【0237】図8に示すように、まず実施例では、比較
例1及び比較例5に比べてFeの組成比Xを大きくでき
ることがわかる。
【0238】比較例5では、Feの組成比Xの上限は、
72.5質量%程度であり、実施例と同様にパルス電流
による電気メッキ法を用いた比較例2においても、Fe
の組成比Xの上限は75質量%程度である。
【0239】これに対し実施例ではFeの組成比Xを7
5質量%よりも多くすることが可能である。これは実施
例のメッキ浴組成が、比較例1のメッキ浴組成よりも低
濃度で攪拌効果を高めることができるからであり、これ
により膜中にFeを多く取り込むことが可能になる。
【0240】次に図8に示すように、実施例では、Fe
の組成比Xを76質量%以上で90質量%以下とするこ
とにより、飽和磁束密度Bsを1.95T以上にできる
ことがわかる。ここで前記Feの組成比Xを90質量%
よりも多くすることにより前記Bsが低下するのは、結
晶が奇麗に成長せず緻密な結晶が形成され難くなるから
であると考えられる。
【0241】一方、比較例1での前記飽和磁束密度Bs
は高くて1.9T程度、比較例5での前記Bsは高くて
1.8T程度であり、実施例では、比較例1、5に比べ
て飽和磁束密度Bsを大きくできることがわかる。
【0242】以上から本発明におけるNiFe合金は飽
和磁束密度Bsが1.95T以上となるようにするた
め、Feの組成比Xを76質量%以上で90質量%以下
とした。
【0243】次に図8に示すように、実施例では、Fe
の組成比Xを70質量%以上で90質量%以下とするこ
とにより、飽和磁束密度Bsを1.9T以上にできるこ
とがわかる。ところで比較例1においても、Feの組成
比Xを最高で75質量%程度までに大きくすることがで
きるが、比較例1では前記飽和磁束密度Bsを1.9T
以上にできず、Feの組成比Xが70質量%から75質
量%の間において、実施例の方が比較例1よりも前記B
sを高くできる。
【0244】これは実施例の方が比較例1に比べて平均
結晶粒径を大きくできて緻密な結晶を形成できるからで
ある。
【0245】図9は、実施例のNiFe合金と比較例1
のNiFe合金の平均結晶粒径と飽和磁束密度Bsとの
関係を示すグラフである。なお前記平均結晶粒径は、X
線回折の回折プロファイル半値幅から測定したものであ
る。
【0246】図9に示すように、結晶粒径が大きくなる
ほど飽和磁束密度Bsは大きくなることがわかる。この
実験結果からすると前記平均結晶粒径を130Å以上に
すれば、飽和磁束密度Bsを1.9T以上にできること
がわかる。また前記平均結晶粒径を150Å以上にすれ
ば前記Bsを1.95T以上にでき、前記平均結晶粒径
を170Å以上にすれば前記Bsを2.0T以上にでき
ることがわかる。
【0247】これに対し比較例1の場合は、実施例の場
合に比べて前記平均結晶粒径は小さく、飽和磁束密度B
sを1.9T以上にすることができない。
【0248】このように実施例と比較例1とで結晶粒径
に差が出るのは、実施例の方が比較例1に比べてメッキ
浴中のNiイオン濃度は低いので、Feイオンの供給を
一定にでき、膜内全体に適切にFeが入り込むことで結
晶間に粒界が発生しづらく、結晶が成長しやすいからで
あると考えられる。
【0249】そして本発明では、結晶粒径が大きくなる
と共に緻密に結晶が形成されていくため、飽和磁束密度
Bsが向上し具体的には1.9T以上の飽和磁束密度B
sを得ることが可能になっている。
【0250】以上からNiFe合金のFeの組成比Xを
70質量%以上で90質量%以上とし、このとき平均結
晶粒径を130Å以上で175Åとすれば、飽和磁束密
度Bsを1.9T以上にできることがわかる。またFe
の組成比Xを72.5質量%以上にし、前記平均結晶粒
径を150Å以上にすれば、確実に前記飽和磁束密度B
sを1.95T以上にできるとわかる。
【0251】またFeの組成比を78質量%以上で85
質量%以下にすれば、飽和磁束密度を2.0T以上にす
ることができる。
【0252】次に本発明では、保磁力Hcの面からNi
Fe合金に含まれるFeの組成比X及び平均結晶粒径を
考察することとした。
【0253】まず図10は、NiFe合金に含まれるF
eの組成比Xと保磁力Hcとの関係を示すグラフであ
り、このグラフからわかるように、実施例での保磁力H
cは、355.5(A/m)以下になっていることがわ
かる。なお実施例での保磁力Hcは、比較例1,5に比
べて大きくなる。
【0254】次に実施例では、NiFe合金中に含まれ
るFeの組成比が大きくなることによって前記保磁力H
cが低下することがわかる。このような傾向を示すのは
Feの組成比Xが大きくなることによって平均結晶粒径
が小さくなるからであると考えられ、このように前記保
磁力Hcの大小は、平均結晶粒径に大きく依存するもの
と思われる。そこで薄膜磁気ヘッドのコア材として使用
可能な前記保磁力Hcが553(A/m)以下となるN
iFe合金の平均結晶粒径を調べることとした。
【0255】図11は、実施例及び比較例1における平
均結晶粒径と保磁力Hcとの関係を示すグラフである。
【0256】図11に示すように、実施例の方が比較例
1に比べて前記平均結晶粒径が大きく、前記平均結晶粒
径が大きくなることで前記保磁力Hcは大きくなること
がわかる。しかし実施例の方が比較例1に比べて結晶粒
径が大きくなっても保磁力Hcの上昇は鈍く、これは結
晶粒径が大きくなっても緻密な結晶が形成されているか
らであると考えられる。
【0257】この実験結果により、前記保磁力Hcが5
53(A/m)以下となる平均結晶粒径は175Åであ
ることがわかった。
【0258】以上から本発明におけるNiFe合金のF
eの組成比Xを70質量%以上で90質量%以下とした
場合、平均結晶粒径を130Å以上で175Å以下に設
定した。これによって飽和磁束密度Bsを1.9T以上
にでき、かつ保磁力Hcを553(A/m)以下にする
ことが可能である。
【0259】次に、実施例及び比較例1、5おける各N
iFe合金のFeの組成比Xと比抵抗との関係について
調べた。比抵抗は、特に今後の高周波数化・高記録密度
化に伴って渦電流損失の低減を図るために必要な軟磁気
特性である。その実験結果は図12に示されている。
【0260】図12に示すように、Feの組成比Xが7
0質量%以上で90質量%以下の範囲内における実施例
の比抵抗は、30(μΩ・cm)以上で50(μΩ・c
m)の範囲内であることがわかる。一方、実施例よりも
NiFe合金のFeの組成比Xが小さい比較例1及び5
もまた、比抵抗は30(μΩ・cm)以上で50(μΩ
・cm)の範囲内である。
【0261】すなわち実施例では、比較例1及び5と同
程度の比抵抗を得ることができるとわかる。
【0262】次に本発明では、実施例及び比較例1、5
の各サンプルのFeの組成比Xと膜応力との関係につい
て調べた。膜応力は小さいことが好ましい。NiFe合
金をメッキ形成後、膜剥がれやひび割れを防止するため
である。実験結果は図13に示されている。
【0263】図13に示すように、実施例及び比較例
1、5のそれぞれにおいて、Feの組成比Xが大きくな
れば、膜応力が大きくなることがわかる。
【0264】しかしながら実施例では、比較例1及び比
較例2よりもFeの組成比Xが多い範囲内においても膜
応力は小さく、前記Feの組成比Xが86質量%よりも
大きくなって初めて前記膜応力は400MPa以上にな
ることがわかる。そこで本発明では86質量%以下のF
eの組成比Xを好ましい範囲とし、これによって膜応力
を400MPa以下にできる。
【0265】次に本発明では、NiFe合金の膜面の中
心線平均粗さRaの範囲を規定する。前記中心線平均粗
さRaは小さいほど耐食性を向上させることができる。
また特に保磁力Hcに大きな影響を与え、前記Raが小
さいほど前記保磁力Hcを小さくできる。
【0266】そこで実施例及び比較例1における各サン
プルの膜面の中心線平均粗さRaと保磁力Hcとの関係
について調べた。その実験結果を図14に示す。
【0267】図14に示すように、膜面の中心線平均粗
さRaが大きくなることにより、保磁力Hcが上昇しや
すいことがわかる。本発明では、前記中心線平均粗さR
aを10nm以下にすることが好ましいとし、7nm以
下をより好ましい範囲とした。前記中心線平均粗さRa
を7nm以下にすることにより、保磁力Hcを316
(A/m)以下に小さくできることが図14よりわか
る。
【0268】
【発明の効果】以上詳述した本発明では、薄膜磁気ヘッ
ドのコア層や磁極層をNi1-XFeX合金で形成し、この
ときFe組成比Xを76質量%以上で90質量%以下と
することにより前記NiFe合金の飽和磁束密度Bsを
1.95T以上にすることができる。
【0269】また組成式がNi1-XFeXで表される軟磁
性膜の平均結晶粒径を130Å以上で175Å以下と
し、且つFe組成比Xを70質量%以上で90質量%以
下とすることにより、前記軟磁性膜の飽和磁束密度Bs
を1.90T以上にすることができる。
【0270】また本発明では、メッキ浴組成を適正に調
整し、パルス電流を用いた電気メッキ法により、前記軟
磁性膜を再現性良くメッキ形成することができる以上、
1.9T以上の高飽和磁束密度Bsを有するNiFe合
金膜を、薄膜磁気ヘッドのコア層や磁極層に使用すれ
ば、今後の高記録密度化、高周波数化に対応可能な薄膜
磁気ヘッドを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分
正面図、
【図2】図1の縦断面図、
【図3】本発明の第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分
正面図、
【図4】図3の縦断面図、
【図5】本発明の第3実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断
面図、
【図6】本発明の第4実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断
面図、
【図7】本発明の第5実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断
面図、
【図8】パルス電流を用いた電気メッキ法により、Ni
Fe合金膜を形成した実施例と、同じくパルス電流を用
いた電気メッキ法で且つメッキ浴のNiイオン濃度を高
濃度にしてNiFe合金膜を形成した比較例1と、直流
電流を用いた電気メッキ法によりNiFe合金膜を形成
した比較例5におけるFeの組成比と飽和磁束密度Bs
との関係を示すグラフ、
【図9】実施例と比較例1における結晶粒径と飽和磁束
密度Bsとの関係を示すグラフ、
【図10】実施例、比較例1及び比較例5におけるFe
の組成比と保磁力Hcとの関係を示すグラフ、
【図11】実施例及び比較例1における結晶粒径と保磁
力Hcとの関係を示すグラフ、
【図12】実施例、比較例1及び比較例5におけるFe
の組成比と比抵抗との関係を示すグラフ、
【図13】実施例、比較例1及び比較例5におけるFe
の組成比と膜応力との関係を示すグラフ、
【図14】実施例及び比較例1における膜面の中心線平
均粗さRaと保磁力Hcとの関係を示すグラフ、
【符号の説明】
11 スライダ 10 磁気抵抗効果素子 16 下部コア層(上部シールド層) 18、30 磁極部 19、32、50 下部磁極層 20、33 ギャップ層 21、34 上部磁極層 22、40、46、55 上部コア層 41 磁気ギャップ層 47 高Bs層 48 上層
フロントページの続き Fターム(参考) 4K023 AB12 CB09 CB12 CB13 DA06 DA11 4K024 AA15 BA01 BB14 CA01 CA02 CA07 GA16 5D033 BA03 BA08 BA12 DA04 DA31

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料製の下部コア層と、前記下部コ
    ア層上に磁気ギャップを介して形成された上部コア層
    と、両コア層に記録磁界を与えるコイル層とを有する薄
    膜磁気ヘッドにおいて、 少なくとも一方のコア層は、組成式がNi1-XFeXで示
    され、Feの組成比Xが76質量%以上で90質量%以
    下である軟磁性膜で形成されていることを特徴とする薄
    膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記下部コア層上には記録媒体との対向
    面で下部磁極層が隆起形成され、前記下部磁極層が前記
    軟磁性膜により形成されている請求項1記載の薄膜磁気
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 下部コア層及び上部コア層と、前記下部
    コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向
    の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規
    制された磁極部とを有し、 前記磁極部は、下部コア層と連続する下部磁極層、上部
    コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と
    前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで構成され、
    あるいは前記磁極部は、上部コア層と連続する上部磁極
    層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置す
    るギャップ層とで構成され、 前記上部磁極層及び/または下部磁極層は、組成式がN
    1-XFeXで示され、Feの組成比Xが76質量%以上
    で90質量%以下である軟磁性膜で形成されていること
    を特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記上部磁極層は前記軟磁性膜で形成さ
    れ、前記上部磁極層上に形成される上部コア層は、前記
    上部磁極層よりも低い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性
    膜で形成される請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記コア層は、少なくとも磁気ギャップ
    に隣接する部分が2層以上の磁性層から成り、あるいは
    前記磁極層が2層以上の磁性層から成り、前記磁性層の
    うち前記磁気ギャップに接する磁性層が、前記軟磁性膜
    により形成されている請求項1ないし4のいずれかに記
    載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記磁気ギャップ層に接する以外の他の
    磁性層は、前記磁気ギャップ層に接する磁性層よりも低
    い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性膜で形成される請求
    項5記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記軟磁性膜の平均結晶粒径は150Å
    以上で175Å以下である請求項1ないし6のいずれか
    に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記軟磁性膜に代えて、組成比がNi
    1-XFeXで示され、平均結晶粒径は、130Å以上で1
    75Å以下であり、しかもFeの組成比Xは、70質量
    %以上で90質量%以下の範囲内である軟磁性膜が用い
    られる請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜磁気ヘ
    ッド。
  9. 【請求項9】 前記Feの組成比Xは、72.5質量%
    以上である請求項8記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記平均結晶粒径は、150Å以上で
    ある請求項9記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記Feの組成比Xは、78質量%以
    上で85質量%以下である請求項1ないし10のいずれ
    かに記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記軟磁性膜は、メッキにより形成さ
    れている請求項1ないし11のいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  13. 【請求項13】 磁性材料製の下部コア層と、記録媒体
    との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対
    向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコ
    イル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法において、 前記上部コア層及び/または下部コア層を、メッキ浴中
    におけるNiイオン濃度を6.6g/l以上で20g/
    l以下とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃度の比
    率を0.15以上で0.36以下とし、パルス電流を用
    いた電気メッキ法によって、NiFe合金でメッキ形成
    することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記下部コア層上には記録媒体との対
    向面で下部磁極層を隆起形成し、このとき前記下部磁極
    層を前記軟磁性膜によりメッキ形成する請求項13記載
    の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 下部コア層及び上部コア層と、前記下
    部コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方
    向の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く
    規制された磁極部とを有し、 前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部
    コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と
    前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あ
    るいは前記磁極部は、上部コア層と連続する上部磁極
    層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置す
    るギャップ層とで形成し、 前記上部磁極層及び/または下部磁極層を、メッキ浴中
    におけるNiイオン濃度を6.6g/l以上で20g/
    l以下とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃度の比
    率を0.15以上で0.36以下とし、パルス電流を用
    いた電気メッキ法によって、NiFe合金でメッキ形成
    することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記上部磁極層を前記軟磁性膜でメッ
    キ形成し、前記上部磁極層上に形成される上部コア層
    を、前記上部磁極層よりも低い飽和磁束密度Bsを有す
    る軟磁性膜で形成する請求項15記載の薄膜磁気ヘッド
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記コア層の少なくとも磁気ギャップ
    に隣接する部分を2層以上の磁性層で形成し、あるいは
    前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、前記磁性層の
    うち前記磁気ギャップに接する磁性層を、前記軟磁性膜
    によりメッキ形成する請求項13ないし16のいずれか
    に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記磁気ギャップ層に接する以外の他
    の磁性層を、前記磁気ギャップ層に接する磁性層よりも
    低い飽和磁束密度Bsを有する軟磁性膜で形成する請求
    項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記Niイオン濃度を10g/l以上
    とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃度の比率を
    0.2以上で0.35以下とする請求項13ないし18
    のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記Niイオン濃度を10g/l以下
    とし、且つFeイオン濃度/Niイオン濃度の比率を
    0.15以上で0.36以下とする請求項13ないし1
    8のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 メッキ浴中にサッカリンナトリウムを
    混入する請求項13ないし20のいずれかに記載の薄膜
    磁気ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 前記メッキ浴中に2−ブチン−1、4
    ジオールを混入する請求項13ないし21のいずれかに
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記メッキ浴中に2−エチルヘキシル
    硫酸ナトリウムを混入する請求項13ないし22のいず
    れかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
JP2001001471A 2001-01-09 2001-01-09 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 Pending JP2002208109A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001471A JP2002208109A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法
US10/041,377 US6801392B2 (en) 2001-01-09 2002-01-08 Soft magnetic film having high saturation magnetic flux density, thin film magnetic head using the same, and methods of producing the soft magnetic film and the thin film magnetic head

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001471A JP2002208109A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002208109A true JP2002208109A (ja) 2002-07-26

Family

ID=18870106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001001471A Pending JP2002208109A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002208109A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004039137A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Nikko Materials Co., Ltd. プラズマディスプレーパネル用銅箔及びその製造方法
US7589937B2 (en) 2003-08-13 2009-09-15 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd. Thin film magnetic head with high Fe alloy plating film and manufacturing method thereof
CN105780068A (zh) * 2014-12-16 2016-07-20 北京有色金属研究总院 单脉冲电沉积Ni-Fe合金磁性镀层的方法
KR101693514B1 (ko) * 2015-12-24 2017-01-06 주식회사 포스코 전기강판용 Fe-Ni-P 합금 다층 강판 및 이의 제조방법
WO2018186217A1 (ja) * 2017-04-07 2018-10-11 株式会社Jcu 鉄-ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004039137A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Nikko Materials Co., Ltd. プラズマディスプレーパネル用銅箔及びその製造方法
US7589937B2 (en) 2003-08-13 2009-09-15 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd. Thin film magnetic head with high Fe alloy plating film and manufacturing method thereof
CN105780068A (zh) * 2014-12-16 2016-07-20 北京有色金属研究总院 单脉冲电沉积Ni-Fe合金磁性镀层的方法
KR101693514B1 (ko) * 2015-12-24 2017-01-06 주식회사 포스코 전기강판용 Fe-Ni-P 합금 다층 강판 및 이의 제조방법
WO2017111434A1 (ko) * 2015-12-24 2017-06-29 주식회사 포스코 Fe-ni-p 합금 다층 강판 및 이의 제조방법
WO2018186217A1 (ja) * 2017-04-07 2018-10-11 株式会社Jcu 鉄-ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3629431B2 (ja) 軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法
JP3708856B2 (ja) 軟磁性膜と前記軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、および前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法
US6801392B2 (en) Soft magnetic film having high saturation magnetic flux density, thin film magnetic head using the same, and methods of producing the soft magnetic film and the thin film magnetic head
JP4047115B2 (ja) 軟磁性膜及びこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに、前記軟磁性膜の製造方法
JP3756778B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドの製造方法
US6765757B2 (en) Soft magnetic film having high saturation magnetic flux density, thin-film magnetic head using the same, and manufacturing method of the same
JP4183554B2 (ja) 軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法
JP2007302998A (ja) 電気めっき層の磁気特性制御方法、磁性層の電気めっき方法、磁性層の製造方法、磁気ヘッドの製造方法およびそれに用いるめっき浴
US6600629B2 (en) Thin film magnetic head having gap layer made of nip and method of manufacturing the same
JP2001006931A (ja) 軟磁性膜及びその製造方法、ならびにこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド
JP3978386B2 (ja) 磁気ヘッド
JP3786401B2 (ja) 磁気ヘッドの製造方法
JP2002208109A (ja) 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法
JP3679757B2 (ja) 軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法
US8177955B2 (en) Electrodeposition of FeCoNiV films with high resistivity and high saturation magnetization for magnetic head fabrication
JP3667642B2 (ja) 軟磁性膜及びその製造方法
JP4047114B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド
JP3672533B2 (ja) 軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法
JP4635626B2 (ja) 軟磁性膜の製造方法及び磁気ヘッドの製造方法
JP3679730B2 (ja) 軟磁性膜と、この軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と、前記薄膜磁気ヘッドの製造方法
JP3774200B2 (ja) 電析磁性薄膜、その製造方法および薄膜磁気ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050111

A521 Written amendment

Effective date: 20050310

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050405