JP3679454B2 - 消火設備 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、火災時に消火剤を放出して室内の火災を消火する消火設備に関し、特にハロンガスや二酸化炭素の消火ガスを放出して消火を行うガス系の消火設備や粉末を放出して消火を行う粉末消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の消火設備としては、火災感知器の火災信号によって自動的に消火剤が放出されるか、もしくは人が火災を確認し、手動で手動起動スイッチを操作することによっても消火剤が放出されるものが知られている。
このような消火設備の例を図5に示す。図5はガス系の消火設備である(特願平6−62432号、参照)。
【0003】
図5において、1は制御盤であり、ガス系の消火設備を一括制御する。2a,2bは手動起動装置であり、監視区域の部屋毎に部屋の外に設置され、手動起動手段としての手動起動スイッチと手動起動スイッチを保護するための扉を備え、人が火災を発見したときには、この扉を開け、手動起動スイッチを操作することにより制御盤1に火災が起きたことを知らせ、消火剤としての消火ガスを放出させる。
【0004】
3a,3bは放出表示灯であり、監視区域内に消火ガスが放出されていることを表示し、室内に入らないことを知らせる。4a,4bは噴射ヘッドであり、消火ガスを室内に放出する。5a,5bは消火ガスが放出されることを警報し、監視区域内に存在する人々に対し直ちに避難することを促す音声警報スピーカである。6は消火ガスを貯蔵した消火薬剤貯蔵容器である。7a,7bは起動装置であり、制御盤1から消火ガス放出命令を受けて選択弁8a,8bと消火薬剤貯蔵容器6の栓を開けるために、例えば二酸化炭素などの開放ガスを放出する。すなわち、起動装置7a,7bは二酸化炭素ガスが収納された容器を有し、制御盤1からの通電により、起動装置7a,7b内のソレノイドが作動すると、弁が開放され、開放ガスのガス圧により選択弁8a,8bと消火薬剤貯蔵容器6の栓を開ける。
【0005】
選択弁8a,8bは起動装置7a,7bの起動により弁が開き、消火ガスを火災の生じた部屋へ導く。9a,9bは火災を検出する火災検出手段としてのセンサであり、2回線の感知ラインで各監視区域を監視している。10a,10bは圧力スイッチであり、消火薬剤貯蔵容器6から消火ガスが放出されたことを検出し、制御盤1に検出信号を送り、火災の発生した監視区域に対応した放出表示灯3a,3bを点滅させる。11a,11bはピストンレリーザであり、消火ガスが部屋に放出されたとき消火ガスを室外に漏れないようにダンパーで排煙口を閉じる。
【0006】
ピストンレリーザ11a,11bは、消火ガスの流入により自動的にダンパーを閉じ、ピストンレリーザ11bのダンパーの復旧はダンパー復旧弁12により行われ、ピストンレリーザ11aのダンパーの復旧は手動により行われる。
制御盤1は、手動起動モード表示灯と自動起動モード表示灯の2つの表示灯などを有する。13は制御盤1に非常電源を供給する非常電源装置、14は消火薬剤貯蔵容器6からの消火ガスの供給を手動で閉止する閉止弁である。
【0007】
手動起動モードまたは自動起動モードにかかわらず、起動条件を満たすと、制御盤1は音声警報スピーカ5a,5bで消火ガスが放出されることを警報し、監視区域に消火ガスを放出するように、火災の発生した監視区域に対応して手動起動装置2a,2bに対応した起動装置7a,7bを起動させるように制御信号を出力する。制御信号を受けてソレノイドが作動すると、起動装置7a,7bは選択弁8a,8bの弁と消火薬剤貯蔵容器6の弁を開けるために開放ガスを放出する。
【0008】
開放ガスのガス圧により弁が開かれると、消火薬剤貯蔵容器6内の消火ガスは配管を通って起動した起動装置7a,7bに対応して開かれた選択弁8a,8bを介して噴射ヘッド4a,4bから消火ガスが火災の発生した部屋に放出され、同時に消火ガスでピストンレリーザ11a,11bを閉じて部屋を消火ガスで充満させる。消火薬剤が圧力スイッチ10a,10bをオンさせると制御盤1に信号が流れ、制御盤1は放出表示灯3a,3bを点滅させる。
【0009】
手動起動モードにセットされている場合は、センサ9a、またはセンサ9bが発報すると、制御盤1において警報を出力し監視員に現場を確認することを促す。監視員が現場を確認し、火災と判断したときに火災現場に対応した手動起動装置2a,2bの扉を開け、手動起動スイッチを操作することにより、手動起動を行う。また、自動起動モードにセットされている場合は、2回線のセンサ9a,9bが発報したときに制御盤1が自動的に消火起動を行う。
【0010】
ここで、従来のガス系の消火設備においては、保守点検面を重視して、手動起動装置と制御盤とをつなぐ起動信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときには、手動起動スイッチを操作しても、または自動起動モード時に2回線の火災感知器が発報しても、消火ガスが放出されないような設定にされていた。これは、工事または点検をしている最中に間違って起動信号線をショートさせて起動信号を送出してしまうことがあるからである。
【0011】
なお、この場合、起動信号線以外の信号線は正常に働いており、例えば、火災感知器の監視線は通常通り発報信号は送出可能であるし、スピーカの信号線も正常であり音声を監視区域に流すこともできる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の消火設備にあっては、起動信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生した起動禁止状態においては、異常中に実際に火災が発生した場合、火災感知器からの発報信号は制御盤にて受信できるが、手動起動スイッチを操作しても消火ガスを起動放出することができなかった。
【0013】
また、前述したように自動起動モードで2回線の火災感知器が発報しても消火ガスを起動放出することができなかった。
このため、この状況の時には監視員が起動装置のある場所に駆けつけ、起動装置内にあるソレノイドを手動で操作(ソレノイドのピンを抜く)して強制的に起動させる方法をとる以外なかった。
【0014】
ところが通常一般の監視員は、この強制的な起動方法を知っている人は少なく、起動信号線の異常中に火災が発生しても対処方法が解らず混乱してしまうことが多かった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、起動信号線の地絡、断線、短絡などの異常中に火災が発生しても、対処方法が解らず混乱してしまうことを防止し、直ちに消火ガスを放出して、迅速に消火活動を行うことができる消火設備を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、次のように構成する。
本発明は、制御盤が、手動起動部を操作することによる起動信号を起動用の信号線を介して受けて、または監視区域に設けた火災検出器の発報信号を受けて、消火剤放出用起動手段に制御信号を送出し自動的に消火剤を放出して消火を行う消火設備において、手動起動部と制御盤とに接続された起動用の信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときに起動禁止状態とする起動禁止部と、起動禁止部による起動禁止状態を強制的に解除して放出可能な状態にする強制起動モード設定手段と、を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、強制起動可能状態時は火災検出器の発報により消火剤を放出させることを特徴とした。
また、本発明は、強制起動モード設定手段の操作により強制起動可能状態になっていることを表示する表示部を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、強制起動モード設定手段の操作により閉じる第1のリレー接点を、起動リレーに直列に接続され異常が発生したとき開く第2のリレー接点に対して並列に接続したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、制御盤が、手動起動部を操作することによる起動信号を起動用の信号線を介して受けて、または監視区域に設けた火災検出器の発報信号を受けて、消火剤放出用起動手段に制御信号を送出し自動的に消火剤を放出して消火を行う消火設備において、手動起動部と制御盤とに接続された起動用の信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときに起動禁止状態とする起動禁止部と、起動禁止部による起動禁止状態で火災検出器からの発報信号を受信したとき作動して、消火剤を放出させるための起動装置を手動で操作するよう指示する行動指示部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の行動指示部は、異常が発生し起動禁止状態で手動起動部の起動扉を開いたときに作動することを特徴とする。
【0019】
【作用】
このような構成を備えた本発明の消火設備によれば、手動起動部と制御盤とに接続された起動用の信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生して起動禁止状態としたとき、この起動禁止状態を強制起動モード設定手段の操作により強制的に解除して放出可能な状態にするので、地絡、断線、短絡などの異常中に火災が発生しても、消火ガスが放出されず、対処方法が解らずに混乱するということもなく、直ちに消火ガスを放出することができ、迅速に消火活動を行うことができる。
【0020】
また、強制起動可能状態のときは火災検出器の発報により消火ガスを放出するようにしたので、異常中でも火災検出器が発報すれば消火剤を強制的に放出できる。
また、強制起動モード設定手段の操作により強制起動可能状態になっていることを表示するので、強制起動状態であると監視員に注意を促すことができる。
【0021】
また、本発明においては、強制起動モード設定手段の操作により閉じる第1のリレー接点を、起動リレーに直列に接続され異常が発生したとき開く第2のリレー接点に対して並列に接続したので、簡単な構成で異常中に火災が発生したときは、起動リレーを作動させて、起動装置を起動することができる。
一方、本発明は、異常が発生し起動禁止状態で火災検出器からの発報信号を受信したとき、または異常が発生し起動禁止状態で手動起動部の起動扉を開いたときに、起動装置を手動で操作するよう行動指示を行うので、異常中に火災が発生しても、対処方法が解らず、混乱するということもなく、直ちに消火ガスを放出することができ、迅速に消火活動を行うことができる。
【0022】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る消火設備のブロック図である。
図1において、21はガス系の消火設備を制御する制御盤であり、制御盤21には火災検出器としての火災感知器22a,22b、手動起動装置23、起動装置24、放出表示灯25、圧力スイッチ26およびスピーカ27がそれぞれ接続されている。制御盤21は各監視区域に対応して制御を行うための複数の区画28を有し、区画28内には区画制御部29、センサ受信回路30、蓄積回路31、監視回路32、区画表示部33および音声出力部34がそれぞれ設けられている。
【0023】
これらの区画28以外の領域には各区画毎に設けられた区画制御部29を制御する主制御部35、主表示部36、主操作部37、ブザー38、音声ユニット39、電源部40、音声出力回路44およびスピーカ45がそれぞれ設けられている。主操作部37には自動起動モードと手動起動モードを切り換える自/手起動モード切換スイッチ、復旧を行うための復旧スイッチなどが設けられている。
【0024】
また主操作部37には、強制起動モードスイッチ51が設けられる。強制起動モードスイッチ51は、スイッチ操作により、起動信号線41に地絡、断線、短絡などの異常発生を検出して起動禁止部35bによりセットした起動禁止状態を強制的に解除して消火ガスが放出可能な状態に設定する。
主表示部36には自動起動モードを表示する自動起動モード灯、手動起動モードを表示する手動起動モード灯が設けられ、さらに起動条件が成立したときに点灯する起動表示灯、消火ガスが放出されたことを表示する放出表示灯などが設けられている。
【0025】
また、主表示部36には強制起動モード注意灯52が設けられている。強制起動モード注意灯52は主操作部37の強制起動モードスイッチ51を操作すると点灯し、起動禁止状態が解除されて、強制起動モードになっていることを表示する。
ブザー38は主制御部35の指示により火災や異常が発生したことを警報する。音声ユニット39は消火ガスが監視区域で放出されることを知らせる音声メッセージを合成して出力する。電源部40は各部に電源を供給する。
【0026】
主制御部35は、タイマ35aを備えており、起動条件が成立したとき、すなわち、自動起動モードで火災感知器22a,22bが2回線とも発報したときや、手動起動装置23の扉が開けられたことによる扉開放検出部23bがオンし、手動起動スイッチ23aが操作されたとき、手動起動モードで手動起動装置23内の扉開放検出部23bがオンし手動起動スイッチ23aが操作されたときは、タイマ35aで所定の放出遅延時間分だけカウントし、カウントが終了してタイムアップになると、起動条件が成立した区画28の区画制御部29に放出信号を送出する。区画制御部29は放出信号を受信するとリレー接点を閉じて、電源を起動装置24に供給して起動装置24を起動させる。
【0027】
また主制御部35は起動禁止部35bを有し、異常が発生したときは、起動装置24の起動を禁止する。すなわち、起動禁止部35bは、手動起動装置23と制御盤21との間に接続される起動信号線41に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときは、起動条件が成立しても起動を禁止する。
音声出力回路44は主制御部35の出力信号により作動し、起動信号線の異常時に消火剤を放出させるときに、起動装置24のソレノイドを手動で操作するように指示する音声メッセージを出力する回路であり、スピーカ45にて行動指示を行う。
【0028】
手動起動装置23内には手動起動部としての手動起動スイッチ23a以外に扉開放検出部23b、操作部23cおよび表示部23dが設けられている。扉開放検出部23bは手動起動スイッチ23aを操作するために手動起動装置23の扉が開放されたことを検出する。操作部23cには非常停止スイッチが設けられ、また、手動起動装置23からも自動起動モードと手動起動モードの切換えを行うことができるように、自/手起動切換スイッチを設けても良い。
【0029】
表示部23dには火災の発生を表示する火災表示灯、異常の発生を表示する異常表示灯、電源灯などが設けられている。また、表示部23dには強制起動モード注意灯53が設けられている。強制起動モード注意灯53は、主操作部37の強制自動モードスイッチ51を操作すると点灯し、起動禁止状態を解除して、消火ガスが放出可能な状態になったことを表示する。
【0030】
区画28内に設けられた蓄積回路31は火災感知器22bからの火災信号を受信したとき、所定の時間蓄積を行って再度火災感知器22bから発報信号を受信した場合にセンサ受信回路30に出力するものである。センサ受信回路30には蓄積回路31を介しての火災感知器22bからの発報信号と火災感知器22aからの発報信号がそれぞれ入力し、センサ受信回路30は2回線の火災感知器22a,22bからの各発報信号を区画制御部29に出力する。
【0031】
監視回路32は、手動起動装置23の手動起動スイッチ23aと制御盤21を結ぶ起動信号線41の監視を行い、起動信号線41の異常(地絡、短絡、断線)を検出する。また、監視回路32は手動起動信号の監視を行う。手動起動装置23の手動起動スイッチ23aが操作されたときは手動起動信号が監視回路32を経由して区画制御部29に送出される。
【0032】
監視回路32が起動信号線41の異常を検出したときは、異常信号を区画制御部29に送出し、区画制御部29は区画表示部33の異常表示灯および手動起動装置23の表示部23dの異常表示灯を点灯させる。また、区画制御部29は異常信号を主制御部35に送出し、主制御部35の起動禁止部35bは、起動条件が成立しても起動装置24に起動信号を送出しないように起動禁止状態にする。この起動禁止状態は、強制起動モードスイッチ51の操作により解除される。
【0033】
なお、起動信号線41に異常が発生しても起動信号線41以外の信号線は正常に働いている。例えば、火災感知器22a,22bの監視線42a,42bは通常通り発報信号を送出することができ、また、スピーカ27の信号線43も正常であり、消火ガスが放出されることを音声にて出力することもできる。
区画表示部33には火災表示灯、異常表示灯などが設けられ、区画表示部33は火災が発生したときは火災表示灯を点灯させ、異常が検出されたときは異常表示灯を点灯させる。
【0034】
消火ガスが監視区域に放出されることをスピーカ27で監視区域に出力するときは、区画制御部29が音声出力部34に出力信号を出力し、音声出力部34は音声ユニット39とスピーカ27を接続して音声メッセージを出力させる。
起動装置24内にはソレノイドが設けられており、区画制御部29内に設けられている図示しないリレー接点が閉じると、区画制御部29から電源がソレノイドに供給され、ソレノイドが作動する。ソレノイドが作動すると、開放ガスが放出され、開放ガスによって消火ガスが放出される。消火ガスが放出されると、圧力スイッチ26がオンし、区画制御部29にオン信号を出力する。区画制御部29はオン信号の入力により放出表示灯25を点滅させる。
【0035】
次に、図2は起動装置24の外観図である。
図2において、24aは起動装置24のボックスであり、ボックス24a内には開放ガス容器24b、ソレノイド24cなどが収納されている。区画制御部29からソレノイド24cに通電すると、ソレノイド24cが作動し、開放ガス容器24bの弁を開放する。開放ガス容器24bから開放ガス(例えば、二酸化炭素ガス)が放出されると、このガス圧により、消火薬剤貯蔵容器の弁および選択弁が開放され、消火ガスが放出される。
【0036】
ソレノイド24cへの通電によらず、手動で起動装置24を起動するときは、ソレノイド24cの上に設けたピン24dを抜けば良い。ピン24dを抜くと、弁が開放され、開放ガス容器24bから開放ガスが放出される。
図3は図1の監視回路32及び主制御部35の起動禁止部35bによる起動禁止状態を解除する起動禁止解除回路を示す。
【0037】
図3(B)において、51はノンロック式の強制起動モードスイッチであり、強制起動モードスイッチ51は、制御盤21の主操作部37内に設けられるが、監視員が常時待機している防災センタ内に設けても良い。
強制起動モードスイッチ51には強制起動リレー56およびリレー接点57aが直列に接続され、また、第1のリレー接点としてのリレー接点56aが並列に接続されている。強制起動モードスイッチ51を操作すると、強制起動リレー56が作動し、リレー接点56aが閉じる。リレー接点56aが閉じると、ノンロック式の強制起動モードスイッチ51がオフになっても強制起動リレー56は作動を保持する。リレー接点57aは、復旧スイッチを操作すると、開くリレー接点であり、リレー接点57aが開くと、強制起動リレー56は不作動となり、強制起動モードが解除される。
【0038】
図3(A)において、58aは起動信号線41に地絡が発生したことを監視回路32で検出したとき図示しないリレーにより開くリレー接点(第2のリレー接点)、58bは起動信号線41に断線が発生したことを監視回路32で検出したとき図示しないリレーにより開くリレー接点(第2のリレー接点)、58cは起動信号線41に短絡が発生したことを監視回路32で検出したとき図示しないリレーにより開くリレー接点(第2のリレー接点)である。
【0039】
これらのリレー接点58a,58b,58cは、直列回路59を構成している。この直列回路59には強制起動モードスイッチ51の操作による強制起動リレー56の作動で閉じるリレー接点56bが並列に接続され、また、自己保持リレー60が直列に接続されている。自己保持リレー60とリレー接点58aの間の接続点61にはタイマ起動リレー54が接続されている。タイマ起動リレー54は主制御部35のタイマ35aを作動させるためのリレーであり、タイマ起動リレー54の作動によりタイマ35aが所定の放出遅延時間のカウントを開始する。また、自己保持リレー60が作動すると閉じるリレー接点60aが直列回路59と接地の間に接続されている。
【0040】
62aは火災感知器22aが発報したとき、図示しないリレーの作動で閉じるリレー接点、62bは火災感知器22bが発報したとき図示しないリレーの作動で閉じるリレー接点、63aは自/手起動モード切換スイッチを自動起動モードに設定したとき図示しないリレーの作動で閉じるリレー接点である。
これらのリレー接点62a,62b,63aは直列回路64を構成している。この直列回路64は、リレー接点58cとリレー接点60aの接続点65に接続されている。なお、リレー接点63aに並列に強制起動リレー56の作動で閉じるリレー接点56cが操作されている。
【0041】
66aは手動起動装置23の手動起動スイッチ23aが操作されたとき図示しないリレーの作動で閉じるリレー接点、67aは手動起動装置23の扉が開放されたことを扉開放検出部23bで検出したとき図示しないリレーの作動で閉じるリレー接点である。これらのリレー接点66a,67aは直列回路68を構成し、直列回路68はリレー接点58cとリレー接点60aの間の接続点65に接続されている。
【0042】
次に、図3の動作を説明する。まず、通常時の異常が発生していない場合に起動条件が成立したときの動作を説明する。この状態においては、図3のように、リレー接点56a,56bおよび56cが開き、リレー接点58a,58b,58cが閉じている。すなわち、強制起動モードスイッチ51が操作されていないので、強制起動リレー56は作動せず、リレー接点56a,56bおよび56cは開いたままであり、また、起動信号線41に地絡、断線、短絡の異常が発生していないので、リレー接点58a,58b,58cは閉じたままである。
【0043】
この状態において、自動起動モードに設定され、火災感知器22a,22bが2回線ともに発報すると、リレー接点63a,62a,62bが閉じるので、タイマ起動リレー54が作動する。また、タイマ起動リレー54の作動と同時に自己保持リレー60が作動し、リレー接点60aを閉じる。リレー接点60aが閉じると、手動起動モードに切り換えられても、タイマ起動リレー54は作動を保持する。
【0044】
また、手動起動モード、自動起動モードに係わらず、手動起動装置23の扉を開放し、手動起動スイッチ23aを操作したときはリレー接点66a,67aが閉じ、同様にタイマ起動リレー54が作動する。タイマ起動リレー54の作動により、タイマ35aが作動し、カウントが終了してタイムアップになると、起動装置24内のソレノイド24cを作動し、消火ガスを放出させる。
【0045】
次に、異常が発生した場合の回路の動作を異常時に強制起動させる場合の動作の説明をする。
起動信号線41に地絡が発生すると、監視回路32はこれを検出した地絡検出信号を区画制御部29に出力し、区画制御部29内の図示しないリレーの作動によりリレー接点58aが開く。また、起動信号線41に断線が発生すると、監視回路32はこれを検出し、断線検出信号を区画制御部29に出力し、区画制御部29内の図示しないリレーが作動して、リレー接点58bが開く。また、起動信号線41に短絡が発生すると、監視回路32はこれを検出し、短絡検出信号を区画制御部29に出力し、区画制御部29内の図示しないリレーの作動により、リレー接点58cが開く。
【0046】
リレー接点58a,58b,58cのうちいずれか1つが開くと、起動禁止状態になり、たとえ自動起動モードで火災感知器22a,22bの2回線とも発報したとしても、タイマ起動リレー54は作動しない。当然、手動起動装置23を操作して起動させようとしても、手動起動スイッチ23aが操作されたことは、起動信号線41の異常により制御盤21は受信できず、リレー接点66aは開いたままでタイマ起動リレー54は作動しない。よって、従来例で説明したように消火ガスを放出することができない。
【0047】
起動信号線41の異常時に、実際に火災が発生し消火剤を放出させる場合は、強制起動モードスイッチ51を操作すれば良い。すると、強制起動リレー56が作動し、リレー接点56a,56b,56cが閉じて強制起動モードに設定される。起動信号線41に地絡、断線、短絡の異常の発生により、リレー接点58a,58b,58cのうちの1つが開いても、リレー接点56b,56cが閉じているため、手動起動モード、自動起動モードに係わらず、2回線の火災感知器22a,22bが発報すればタイマ起動リレー54を作動させることができる。
【0048】
したがって、起動信号線41の地絡、断線、短絡の異常中に実際に火災が発生しても、消火ガスが放出されず、対処方法が解らず、混乱するということがなく、2回線の火災感知器の発報で消火ガスが放出されるので、迅速に消火活動を行うことができる。なお、強制起動モードに設定されたときは、起動モードに係わらず火災感知器22a,22bが発報すれば、強制的にタイマの放出遅延時間のカウント後に消火ガスが放出されるため、強制起動モード注意灯52,53を点灯すると共に、ブザー38にて警報を出力して監視員に強制起動モードであることの注意を促す。
【0049】
次に、図4は本発明の他の実施例を示す回路図である。
図4において、71は制御盤21内に設けられた行動指示リレーであり、行動指示リレー71が作動すると音声出力部44を作動させ、スピーカ45から起動装置24のソレノイド24cを手動で操作するように行動を指示し、さらにブザー38で警報を行うものである。起動装置24のソレノイド24cを手動で操作するときは、図2に示したように、ソレノイド24cの上に設けたピン24dを抜くと、開放ガス容器24bの弁が開放されて、開放ガスが放出されるようになっている。
【0050】
72aは起動信号線41に地絡が発生したとき閉じるリレー接点、72bは起動信号線41に断線が発生したとき閉じるリレー接点、72cは起動信号線41に短絡が発生したとき閉じるリレー接点である。これらのリレー接点72a,72b,72cは互いに並列に接続され、並列回路73を構成している。
62aは火災感知器22aが発報したとき閉じるリレー接点、62bは火災感知器22bが発報したとき閉じるリレー接点であり、リレー接点62a,62bは直列に接続され、直列回路74を構成している。67aは手動起動装置23の扉が開放されたことを扉開放検出部23bで検出したとき閉じるリレー接点である。これらの直列回路74およびリレー接点67aが並列回路75を構成している。
【0051】
行動指示リレー71には、リレー接点72a,72b,72cよりなる並列回路73およびリレー接点62a,62b,62cよりなる並列回路75がそれぞれ直列に接続されている。したがって、異常が発生してリレー接点72a,72b,72cの1つが閉じ、かつ、手動起動装置23の扉が開放されてリレー接点69aが閉じるか、または火災感知器22a,22bが2回線とともに発報して、リレー接点62a,62bが閉じたとき作動する。
【0052】
次に、図4の動作を説明する。
起動信号線41に地絡、断線、短絡の異常が発生し、リレー接点72a,72b,72cの1つが閉じ、かつ、火災感知器22a,22bが2回線ともに発報して、リレー接点62a,62bが閉じるか、または手動起動装置23の扉が開放されてリレー接点67aが閉じると、行動指示リレー71が作動する。
【0053】
行動指示リレー71が作動すると、主制御部35は警報ブザー38を鳴動し警報を出力すると共に、音声出力回路44に出力信号を送出し、音声出力回路44は起動装置24のソレノイド24cを手動で操作するように指示する音声メッセージを出力し、スピーカ45で知らせる。
したがって、地絡、断線、短絡の異常中に実際に火災が発生しても、起動装置23のソレノイド23cを手動で操作するように指示を行うので、対処方法が解らず混乱するということがなく、直ちに消火ガスを放出することができ、迅速に消火活動を行うことができる。
【0054】
なお、上記実施例ではガス系の消火設備について説明したが、手動起動装置を備え、手動起動装置と火災感知器のどちらかで消火ガスを放出させる消火設備、例えば粉末消火設備、であれば本発明を適用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、起動信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生しても、強制的に起動可能な状態とする強制起動モード設定手段を設けたことで、異常中に火災が発生したときは強制起動して直ちに消火ガスを放出することができ、迅速に消火活動を行うことができる。
【0056】
また、異常中に火災検出器が発報したとき、または異常中に手動起動装置の扉を開けたときは、起動装置のソレノイドを手動で操作するように行動を指示するため、対処方法が解らず混乱するということがなく、さらに消火ガスを放出するので、迅速に消火活動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る消火設備のブロック図
【図2】起動装置の外観図
【図3】起動禁止解除回路を示す図
【図4】本発明の他の実施例に係わる回路を示す図
【図5】従来例を示す図
【符号の説明】
21:制御盤
22a,22b:火災感知器(火災検出器)
23:手動起動装置
23a:手動起動スイッチ(手動起動部)
23b:扉開放検出部
23c:操作部
23d:表示部
24:起動装置
25:放出表示灯
26:圧力スイッチ
27:スピーカ
28:区画
29:区画制御部
30:センサ受信回路
31:蓄積回路
32:監視回路
33:区画表示部
34:音声出力部
35:主制御部
35a:タイマ
35b:起動禁止部
36:主表示部
37:主操作部
38:ブザー
39:音声ユニット
41:起動信号線
51:強制起動モードスイッチ
52,53:強制起動モード注意灯
54:タイマ起動リレー
Claims (6)
- 制御盤が、手動起動部を操作することによる起動信号を起動用の信号線を介して受けて、または監視区域に設けた火災検出器の発報信号を受けて、消火剤放出用起動手段に制御信号を送出し自動的に消火剤を放出して消火を行う消火設備において、
前記手動起動部と前記制御盤とに接続された前記起動用の信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときに起動禁止状態とする起動禁止部と、
前記起動禁止部による起動禁止状態を強制的に解除して放出可能な状態にする強制起動モード設定手段と、
を設けたことを特徴とする消火設備。 - 請求項1記載の消火設備において、強制起動可能状態時は前記火災検出器の発報により消火剤を放出させることを特徴とした消火設備。
- 請求項1又は2記載の消火設備において、前記強制起動モード設定手段の操作により強制起動可能状態になっていることを表示する表示部を設けたことを特徴とする消火設備。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の消火設備において、前記強制起動モード設定手段の操作により閉じる第1のリレー接点を、起動リレーに直列に接続され異常が発生したとき開く第2のリレー接点に対して並列に接続したことを特徴とする消火設備。
- 制御盤が、手動起動部を操作することによる起動信号を起動用の信号線を介して受けて、または監視区域に設けた火災検出器の発報信号を受けて、消火剤放出用起動手段に制御信号を送出し自動的に消火剤を放出して消火を行う消火設備において、
前記手動起動部と前記制御盤とに接続された前記起動用の信号線に地絡、断線、短絡などの異常が発生したときに起動禁止状態とする起動禁止部と、
前記起動禁止部による起動禁止状態で前記火災検出器からの発報信号を受信したとき作動して、消火剤を放出させるための起動装置を手動で操作するよう指示する行動指示部と、を備えたことを特徴とする消火設備。 - 請求項5記載の消火設備において、前記行動指示部は、前記異常が発生し起動禁止状態で手動起動部の起動扉を開いたときに作動することを特徴とする消火設備。
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