JP3679304B2 - カートリッジ牽引装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カートリッジ牽引装置に係り、より詳細には記録媒体を収納したカートリッジを保持して記録再生装置の内部に牽引するカートリッジ牽引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録再生装置は、例えば、MDに代表される光ディスクなどの記録媒体を収納したカートリッジを記録再生する場合、このカートリッジを装置内部の記録再生位置まで牽引するためにカートリッジ牽引装置を備えていた。この従来のカートリッジ牽引装置は、通常、カートリッジの両側面に牽引用(パワーローデイング用)に形成した凹部を把持して装置内の記録再生位置まで牽引していた。図6は、このようなMD記録再生装置に採用した従来のカートリッジ牽引装置を示す構成図である。また、図7は、図6に示した板バネ46によりMDカートリッジ1を保持する動作を示す動作説明図であり、図7(a)は、MDカートリッジ1を挿入した状態を、図7(b)は、MDカートリッジ1を保持した状態を各々示している。
【0003】
図6に示すように、MD記録再生装置に採用した従来のカートリッジ牽引装置は、MD記録再生装置内でローディングシャーシ2にガイドピン41により摺動可能に支持されてMDカートリッジ1の挿入時にMDカートリッジ1の両側面に形成されている牽引用(パワーローデイング用)の凹部1aを保持してアーム4によりローディングシャーシ2の摺動穴2aに沿って摺動して牽引するキャリア40を備えている。
【0004】
ここで、キャリア40は、薄板状に延在して上面の3箇所にガイドピン41を設け、ローディングシャーシ2の摺動穴2aに挿入して摺動可能に支持されている。また、キャリア40は、MDカートリッジ1を保持搬送するために凹部1aに保持力を加える板バネ46を取り付けている。この板バネ46は、表面に凸状に突出する凸部46aを一体に形成している。このようなキャリア40内には、図7(a)に示すように、MDカートリッジ1を凸部46aに当接させながら板バネ46を変形させて挿入する。そして、MDカートリッジ1は、キャリア40の内部に更に挿入することで、図7(b)に示すように板バネ46の付勢力により凸部46aが凹部1aに圧入されてMDカートリッジ1を保持する。その後、キャリア40は、アーム4を図示していないモーターなどの駆動源により回動させてローディングシャーシ2の摺動穴2a(図6参照)に沿って摺動させ、MD記録再生装置の内部にMDカートリッジ1を収納する。また、ローディングシャーシ2は、図示されていないMD記録再生装置内の所定の機構により昇降してMDカートリッジ1を記録再生位置に設置する。なお、キャリア40は、MDカートリッジ1の記録再生が終了すると、前述した動作の逆方向に動作してMDカートリッジ1をMD記録再生装置の外部に排出する。
【0005】
また、MD記録再生装置には、図7に示したように、固定ガイド47を板バネ46の下に設け、この板バネ46の付勢力を弱く設定してMDカートリッジ1を弱い付勢力で保持するように設けている。このようにMD記録再生装置には、アーム4によりMDカートリッジ1を若干牽引する場合、図7に示した固定ガイド47により板バネ46を固定して、牽引時にMDカートリッジ1の保持力を向上させる構造もある。
【0006】
一方、このようにキャリア40に板バネ46を設けてMDカートリッジ1の凹部1aを保持するものとは異なり、キャリアに保持機構を備えて保持する方法がある。図8は、このようなキャリアに保持機構を備える図6に示したキャリアの他の実施の形態を示す構成図である。また、図9は、図8に示したキャリア50によりMDカートリッジ1を保持する動作を示す動作説明図であり、図9(a)は、MDカートリッジ1を挿入する前の状態を、図9(b)は、MDカートリッジ1を保持した状態を各々示している。ここで、図8に示したMDカートリッジ1は、図6に示したMDカートリッジと同じものであり、同じ構成要素には同一符号を記載する。
【0007】
図8に示すように、キャリアの他の実施の形態は、薄板状に延在して上面の3箇所にガイドピン51と、後部に凹状に屈曲させた溝52と、この溝52の両側に突出するように設けた回動軸53とを備えている。そして、このキャリア50には、底面に配置されて回動軸53に回動可能に軸支されるホルダ60を設けている。このホルダ60には、底面の両側端部にMDカートリッジ1の凹部1aに嵌入する凸部64を設けている。また、ホルダ60は、凸部64が凹部1a方向に回動して保持力を与えるようにキャリア50の回動軸53にコイルバネ66を介在して付勢されている。
【0008】
このキャリア50は、図6に示したキャリアと同様に、溝52にアーム4(図6参照)を係合して摺動させてローディングシャーシ(図示せず)内に牽引する。この際、ホルダ60は、図9(a)に示すように、コイルイバネ66によりMDカートリッジ1を挟持する方向に付勢されている。従って、MDカートリッジ1を挿入すると、図9(b)に示すようにコイルバネ66の付勢力により凸部64が凹部1aに圧入してMDカートリッジ1を保持する。その後、キャリア50は、アーム4によりMD記録再生装置の内部にMDカートリッジ1とともに収納される。
【0009】
また、これとは別に本出願人は、特開平10−270379号公報に開示したように、MDカートリッジ1を回動可能な2つのレバーにより左右側面から挟み込むカートリッジ牽引装置を開発している。図10は、このようにカートリッジを挟み込む図6に示したキャリアの更なる他の実施の形態を示す構成図である。また、図11は、図10に示したレバー74の動作を示す動作説明図であり、図11(a)は、MDカートリッジ1を挿入した状態を、図11(b)は、MDカートリッジ1を保持した状態を各々示している。ここで、図11に示したMDカートリッジ1、ローディングシャーシ2、及びアーム6は、図6に示した構成要素と同じものであり、同じ構成要素には同一符号を記載する。
【0010】
図10に示すように、キャリアの更なる他の実施の形態は、薄板状に延在して上面の3箇所にガイドピン71を備え、このガイドピン71によりローディングシャーシ2に摺動可能に支持されている。このキャリア70には、回動軸73により回動可能に支持され、お互いに係合部75により係合されて動作するレバー74を装着している。このレバー74は、MDカートリッジ1の凹部1aに嵌入する凸部74aを設け、この凸部74aがキャリア70の内側に圧入するようにコイルバネ76により付勢している。そして、キャリア70は、レバー74の後部に牽引穴72を設けてアーム4と係合させることでローディングシャーシ2内に牽引する。
【0011】
この際、レバー74は、図11(a)に示すように、コイルバネ76により内側に付勢された状態でMDカートリッジ1を挿入すると、MDカートリッジ1と凸部74aとが当接することで回動軸73を軸にして凸部74a側が開く方向に回動する。そして、MDカートリッジ1を更なる押し圧により挿入すると、図11(b)に示すように、MDカートリッジ1の凹部1aにレバー74の凸部74aがコイルバネ76の付勢力により圧入されてMDカートリッジ1を確実に保持する。また、キャリア70は、図10及び図11に示したように、牽引穴72にアーム4が係合して牽引することでMD記録再生装置の内部にMDカートリッジ1とともに収納される。ここで、回動軸73に軸支されたレバー74は、図11(b)に示したように、アーム4により牽引穴72を牽引すると、係合部75が挿入方向に移動してMDカートリッジ1両側の凹部1aを凸部74aがより確実に把持する。
【0012】
このように、従来のカートリッジ牽引装置は、キャリアの凸部を板バネ、コイルバネなどの弾性部材により付勢してカートリッジの凹部に圧入することで、カートリッジをキャリアに保持して記録再生装置内に牽引していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカートリッジ牽引装置では、図6及び図8に示したような板バネ46、コイルバネ66などの弾性体の付勢力によりMDカートリッジ1を保持する場合、MDカートリッジ1を確実に牽引するために板バネ46やコイルバネ66の付勢力を強く設定すると、キャリア40、50からMDカートリッジ1を出し入れする挿入感及び引き抜き感が悪くなる。また、このように弾性体(板バネ46やコイルバネ66)の付勢力設定を強くした場合、MDカートリッジ1がキャリア40、50に入る際に弾性体によりMDカートリッジ1が挿入されず、キャリア40、50自体を押してしまい、MDカートリッジ1の保持が不完全なまま挿入動作が行われ、MDカートリッジ1を置き残してしまうという不具合があった。また、これとは反対に付勢力設定を弱くした場合、キャリア40、50の摺動動作を急に行って負荷及び摺動時の加速度などが大きく加わったときに、弾性体の付勢によるMDカートリッジ1の保持が外れて結果的に置き残してしまうという不具合があった。
【0014】
また特に、図6に示した従来のカートリッジ牽引装置の場合、板バネ46を不必要に延在することを防止して装置全体の小型化を考慮すると、キャリア40への板バネ46の取り付けはMDカートリッジ1の凹部1a近傍に設置せねばならないため、板バネ46が短くなり動作量(逃げ量)に対する荷重変化が大きく(バネ定数が高い)なって、温度変化、長期使用による摺動部の摩擦変化、及び板バネ46とMDカートリッジ1との寸法誤差などのバラツキが生じて、前述したように、板バネ46からMDカートリッジ1が外れて置き残されてしまうという不具合があった。
【0015】
また、従来のカートリッジ牽引装置では、図7に示したように、固定ガイド47を設けた場合、MDカートリッジ1を誤方向に挿入してしまうと、MDカートリッジ1の所定の位置に凹部1aが無いため、板バネ46、MDカートリッジ1、固定ガイド47などの各部位がカシまって(潰れて)しまい動作不能、もしくは、アーム4の高い回転力による破壊のいずれかに至る可能性があるという不具合があった。
【0016】
さらに、従来のカートリッジ牽引装置では、図10に示したMDカートリッジ1を左右側面からレバー74により保持する構造の場合、構造が大型(複雑)になり部品点数が増え、特に、MDカートリッジ1は左右側面に誤方向挿入防止用の立ち曲げ部及びシャッター開閉板バネなどを設ける必要があり、スペース的に余裕が無く、牽引用のレバー74を配置することが困難になる。また、MDカートリッジ1の排出時には、レバー74が開く方向に回動するため、MDカートリッジ1を確実に保持出来ず、排出後にMDカートリッジ1の飛び出しを防ぐ新たな機構が必要になるという不具合があた。
【0017】
本発明はこのような課題を解決し、カートリッジの誤挿入による破壊を防止でき、挿入感及び排出感が向上し、カートリッジを確実に牽引できるカートリッジ牽引装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、記録媒体を収納するカートリッジに形成した凹部を前記カートリッジの挿入とともに保持して記録再生装置の内部に牽引するカートリッジ牽引装置であって、記録再生装置内で摺動可能に支持されてカートリッジの挿入時に凹部を保持してアームにより摺動させて牽引するキャリアを有し、キャリアのカートリッジ挿入方向と直交する両側面に回動支点を設けてキャリアの底面に回動可能に支持するホルダを備え、このホルダにカートリッジの凹部と係合して保持する保持部を形成し、ホルダの一端にアームが係合してキャリアとともにカートリッジを牽引することでホルダが回動支点を軸に回動して保持部が凹部に保持力を加えるように設ける。
【0019】
ここで、ホルダは、カートリッジとの間の回動支点に弾性力を有した弾性部材を介在させ、この弾性部材の付勢により回動して保持部が凹部に保持力を加えるように設け、牽引時には保持部が弾性部材の付勢とホルダの回動とにより凹部に保持力を加え、排出時にはアームがキャリアを直接押すことで弾性部材のみの保持力をカートリッジに加え、弾性部材を板バネ、コイルバネ、ゴム、樹脂バネなどの弾性体で設けることが好ましい。また、ホルダの他の実施の形態は、保持部を板バネにより形成して凹部と係合する凸部を一体に備え、アームの係合により回動支点による下方向への回動を固定することで、カートリッジの排出時には板バネのみの付勢力により凹部に保持力を加え、牽引時には板バネの付勢とホルダの回動とにより凹部に保持力を加えることが好ましい。また、保持部には、カートリッジに形成した凹部に係合する凸部を少なくとも1箇所以上設けることが好ましい。また、カートリッジは、MD、MO、FD、ZIPなどのカートリッジであることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明によるカートリッジ牽引装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態を示す構成図である。また、図2は、図1に示したアーム4の動作を示す動作説明図であり、図2(a)は牽引前の状態を、図2(b)は牽引後の状態を各々示している。また、図3は、図1に示したホルダ20によりMDカートリッジ1を保持する動作を示す動作説明図であり、図3(a)は保持する前の状態を、図3(b)は保持する途中の状態を、図3(c)は保持した状態を各々示している。ここで、図1に示したMDカートリッジ1、ローディングシャーシ2、及びアーム6は、図6に示した従来技術の構成要素と同じものであり、同じ構成要素には同一符号を記載する。
【0021】
図1に示すように、本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態は、図6乃至図11に示した従来技術と同様にMD記録再生装置に採用したものであり、MD記録再生装置内でガイドピン11によりローディングシャーシ2に摺動可能に支持されてMDカートリッジ1の図1に示した左右方向の両側面に形成した牽引用(パワーローデイング用)の凹部1aを保持してアーム4により摺動穴2aに沿って摺動して牽引するキャリア10を備えている。
【0022】
ここで、キャリア10は、薄板状に延在して上面の3箇所にガイドピン11と、薄板状の後端部を下方向に屈曲した後端部12と、両側面に延在する支持部13とを備えている。また、キャリア10は、支持部13の略中心に開口する回動穴13aを形成し、この回動穴13aにより底面にホルダ20を回動可能に支持している。
【0023】
このホルダ20は、図8に示した従来技術とは異なり、後部を上方向に屈曲したL字状の後端部22と、この後端部22に平行して屈曲した立ち上げ部21と、この立ち上げ部21の左右両側に延在する支持部23と、MDカートリッジ1の凹部1aに嵌入する凸部24とを一体に形成している。また、支持部23には、ホルダ20の両側面から外側に棒状に突出する支持軸23aを備えている。
【0024】
このホルダ20は、支持部23の回動軸23aをキャリア10の支持部13に形成した回動穴13aに挿入することで、キャリア10の底面に回動可能に軸支される。この際、回動軸23aには、弾性を備えてホルダ20を付勢するコイルバネ26を装着している。このコイルバネ26は、キャリア10に回動可能に支持されたホルダ20が回動軸23aを中心に凸部24側を図1に示した上方向に回動するように付勢している。
【0025】
そして、キャリア10は、図6に示した従来技術と同様に、アーム4を係合させてローディングシャーシ2内に牽引する。ここで、アーム4は、図2(a)に示すように、排出位置(挿入位置)でキャリア10の後端部12を押してキャリア10が摺動しないように一端側に押圧している。そして、キャリア10内にMDカートリッジ1を挿入した場合、MDカートリッジ1によりキャリア10が押されてローディングシャーシ2内に摺動し、図示していないスイッチもしくはシステムコントローラなどの指示部がキャリア10の動きを検出してアーム4を駆動させる。これによりキャリア10は、図2(b)に示すように、アーム4により牽引されてMDカートリッジ1とともにローディングシャーシ2内に収納される。この際、アーム4は、ホルダ20の後端部22に係合してキャリア10とともにMDカートリッジ1を牽引する。
【0026】
次に、MDカートリッジ1がキャリア10内でホルダ20により保持される動作について詳細に説明する。まず、MDカートリッジ1を使用者が保持し、図3(a)に示すようにキャリア10内に挿入する。この際、キャリア10の底面に回動可能に支持したホルダ20は、図3に示した回動支点Aを軸にしてコイルバネ26により凸部24側が上昇する方向に付勢され、立ち上げ部21がキャリア10に当接した所定の位置で固定される。
【0027】
そして、MDカートリッジ1は、キャリア10内に挿入すると、図3(c)に示すように凸部24に当接してコイルバネ26により付勢されたホルダ20を下方向に回動させながら挿入される。この際、アーム4は、キャリア10の後端部12に当接してキャリア10が摺動しないように固定している。
【0028】
また、MDカートリッジ1は、キャリア10内に挿入することで、図3(c)に示すように、先端がホルダ20の立ち上げ部21に当接するとともに、凹部1aにホルダ20の凸部24が圧入されてキャリア10内に保持される。そして、MDカートリッジ1を更にキャリア10内に押してキャリア10を摺動させることで、前述したスイッチもしくはシステムコントローラなどの指示部がキャリアの動きを検出して図2(b)に示したようにアーム4によりキャリア10がローディングシャーシ2内に牽引される。この際、ホルダ20は、図3(c)に示したように、アーム4が後端部22に当接して牽引するため、回動支点Aを軸にして反作用のかかる凸部24側が凹部1aを保持するように回動する。即ち、ホルダ20は、牽引時には凸部24側がコイルバネ26の付勢と回動支点Aを軸にした回動とにより凹部1aに保持力を加えるとともに、排出時にはアーム4がキャリア10の後端部12を直接押すことでコイルバネ26のみの保持力をMDカートリッジ1に加える。
【0029】
このように、本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態によると、排出時にはMDカートリッジ1をコイルバネ26のみの低い保持力で保持しているため、MDカートリッジ1を出し入れする際の挿入感及び排出感が改善されて品質を向上することができるとともに、保持力が低いことによりMDカートリッジ1が不完全なまま保持されて挿入動作が行われて置き残されることを防止でき信頼性を向上することが可能になる。また、ホルダ20は、アーム4により牽引する際に、凸部24側がコイルバネ26の付勢と回動支点Aを軸にした回動とにより凹部1aに保持力を加えるため、キャリア10の摺動(牽引)速度が速い場合でも凹部1aを確実に保持して牽引できるとともに、温度変化、摩擦変化、寸法のバラツキなどの誤差が発生してもコイルバネ26の付勢と回動支点Aを軸にした回動とにより防止でき、信頼性を向上することができる。
【0030】
また、本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態は、キャリア10にホルダ20を回動可能に支持することで、MDカートリッジ1の誤挿入による破壊、または凸部24がカシまるなどの不具合を防止でき信頼性を向上できる。また、第1の実施の形態によると、MDカートリッジ1のチャッキング用に装置内にもともと設けた配置スぺースにホルダ20を設けるため、図10に示した左右側面から保持する従来技術に比べて、簡単な構造により小型化及びコストダウンを実現でき、MDカートリッジ1の誤挿入防止用立ち曲げ部や、シャッタ開閉板バネなどの部位を簡易に配置でき、設計の自在性が高くなる。また、MDカートリッジ1の排出時には、コイルバネ26の保持力により最後まで保持しているため、前述した左右側面から保持する従来技術に比べて、排出後に発生するMDカートリッジ1の飛び出しを防止でき品質及び信頼性を向上することが可能になる。
【0031】
さらに、本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態によると、アーム4の係合による牽引によってホルダ20の凸部24側が回動してMDカートリッジ1を保持してキャリア10を摺動させる構造のため、システムコントローラからの電気的な命令による排出動作及び挿入動作においても確実にMDカートリッジ1を牽引できる。
【0032】
次に、図4及び図5を参照して本発明によるカートリッジ牽引装置の第2の実施の形態を詳細に説明する。図4は、本発明によるカートリッジ牽引装置の第2の実施の形態を示す構成図である。また、図5は、図4に示した板バネ36によりMDカートリッジ1を保持する動作を示す動作説明図であり、図5(a)は保持する前の状態を、図5(b)は保持する途中の状態を、図5(c)は保持した状態を各々示している。ここで、図4に示したMDカートリッジ1、ローディングシャーシ2、アーム6、及びキャリア10は、図1に示した第1の実施の形態の構成要素と同じものであり、同じ構成要素には同一符号を記載する。
【0033】
図5に示すように、本発明によるカートリッジ牽引装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様にMD記録再生装置に採用したものであり、MD記録再生装置内でガイドピン11によりローディングシャーシ2に摺動可能に支持されてMDカートリッジ1の図4に示した左右方向の両側面に形成した牽引用(パワーローデイング用)の凹部1aを保持してアーム4により摺動穴2aに沿って摺動して牽引するキャリア10を備えている。
【0034】
ここで、キャリア10は、薄板状に延在して上面の3箇所にガイドピン11と、この薄板状の後端部を下方向に屈曲した後端部12と、両側面に延在する支持部13とを備えている。また、キャリア10は、支持部13の略中心に開口する回動穴13aを形成し、この回動穴13aにより底面にホルダ30を回動可能に支持している。
【0035】
このホルダ30は、後部を上方向に屈曲したL字状の後端部32と、この後端部32に平行して屈曲した立ち上げ部31と、この立ち上げ部31の左右両側に延在する支持部33とを一体に形成している。このホルダ30の支持部33には、ホルダ30の両側面から外側に棒状に突出する支持軸33aを備えている。また、ホルダ30には、第1の実施の形態とは異なり、左右両端に弾性を備えて板状に形成した板バネ36が装着されている。この板バネ36には、表面に所定の高さで突出する凸部36aを一体に形成している。
【0036】
そして、ホルダ30は、支持部33の回動軸33aをキャリア10の支持部13に形成した回動穴13aに挿入することでキャリア10に回動可能に軸支される。従って、第2の実施の形態は、ホルダ30をキャリア10にコイルバネの付勢なしに回動可能に軸支するとともに、板バネ36の表面に凸部36aを形成してホルダ36に装着したものである。
【0037】
また、キャリア30は、図5(a)に示すように、アーム4を係合させてローディングシャーシ(図4参照)内に牽引する。ここで、アーム4は、第1の実施の形態とは異なり、キャリア10の後端部12とホルダ30の後端部32との間に隙間なく嵌入している。これによりホルダ30は、図5(a)に示す回動支点Bを軸にした凸部36a側が下方向に回動する動作を固定される。
【0038】
次に、図5を参照して、MDカートリッジ1が板バネ36により保持される動作について詳細に説明する。まず、MDカートリッジ1を使用者が保持し、図5(a)に示すようにキャリア10内に挿入する。この際、キャリア10に回動可能に支持したホルダ30は、図5(a)に示した回動支点Bを軸にして、下方向の回転動作を前述したアーム4の係合により固定され、上部方向の回転動作を立ち上げ部31が固定している。ここで、立ち上げ部31は、ホルダ30が若干、上部方向に回動して保持力を加えるようにキャリア10との間に隙間Cを設けている。
【0039】
そして、MDカートリッジ1は、キャリア10内に挿入すると、図5(b)に示すように凸部36aに当接して板バネ36を下方向に付勢して変形させながら挿入される。この際、アーム4は、キャリア10の後端部12とホルダ30の後端部32との間に隙間なく嵌入し、キャリア10の摺動を固定している。
【0040】
また、MDカートリッジ1は、キャリア10内に挿入することで、図5(c)に示すように、先端がホルダ30の立ち上げ部31に当接するとともに、凹部1aに板バネ36の凸部36aが圧入されてキャリア10内に保持される。その後、MDカートリッジ1をキャリア10内に更に挿入してキャリア10を摺動させることで、図示されていないスイッチもしくはシステムコントローラなどの指示部がキャリア10の動きを検出してアーム4を駆動させてキャリア10をローディングシャーシ(図4参照)内に牽引する。ここで、ホルダ30は、アーム4が後端部32に係合して牽引する際、図5(a)に示した間隔C分だけ反作用のかかる凸部36a側が回動するとともに、MDカートリッジ1がシャッター開放等の動作による抵抗力により置き残されようとする力が発生した場合に、それと同等の荷重が凸部36aに発生することで凹部1aに保持力を加える。即ち、ホルダ30は、牽引時には凸部36a側が板バネ36の付勢と間隔C分だけの回動とにより凹部1aに保持力を加えるとともに、排出時にはアーム4がキャリア30の後端部32を押すことで板バネ36のみの保持力をMDカートリッジ1に加える構造に形成されている。
【0041】
このように、本発明によるカートリッジ牽引装置の第2の実施の形態によると、MDカートリッジ1の凹部1aに加える凸部36aの保持力をホルダ30の動作により牽引時と排出時とで変えて加えるため、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施の形態によると、板バネ36の付勢によりMDカートリッジ1の凹部1aに保持力を加える簡単な構造に形成しているため、保持力を容易に調整することが可能になる。
【0042】
以上、本発明によるカートリッジ牽引装置の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本発明によるカートリッジ牽引装置をMD再生装置に採用した実施の形態を説明したが、これに限定されるものではなく、MO、FD、ZIPなどの再生装置にも適用可能である。
また、MDカートリッジ側面に設けられた2箇所の凹部を凸部により保持する実施の形態を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、MDカートリッジの外装に牽引出来る凹部があれば、この凹部以外の場所でも良いし、1箇所や複数箇所でもよい。
また、コイルバネによりホルダを付勢する第1の実施の形態を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、板バネ、ゴム、樹脂バネなどの弾性体でも構わない。
【0043】
【発明の効果】
このように本発明によるカートリッジ牽引装置によれば、排出時にはカートリッジにコイルバネのみの低い保持力が加わるため、キャリア内に出し入れする際の挿入感及び排出感が良くなり品質を向上できるとともに、保持力が低いことによりカートリッジの挿入が容易にでき保持が不完全なまま挿入動作が行われて置き残されることを防止でき信頼性を向上することが可能になる。また、ホルダは、アームにより牽引する際に、凸部側がコイルバネの付勢と回動支点を軸にした回動とにより凹部に保持力を加えるため、キャリアの摺動(牽引)速度が速い場合でも凹部を確実に保持して牽引できるとともに、温度変化、摩擦変化、寸法のバラツキなどの誤差が発生してもコイルバネの付勢と回動支点を軸にした回動とにより防止でき、信頼性を向上することが可能になる。
また、本発明によるカートリッジ牽引装置によれば、キャリアにホルダを回動可能に支持することで、カートリッジの誤挿入による破壊、または凸部がカシまるなどの不具合を低減でき信頼性を向上できる。また、ホルダをキャリアに回動可能に装着した簡単な構造により形成できるため、小型化及びコストダウンを実現でき、設計の自在性が高くなる。
さらに、本発明によるカートリッジ牽引装置によれば、アームを係合して牽引することでホルダの凸部側が回動してカートリッジを保持した後にキャリアを摺動させる構造のため、システムコントローラからの電気的な命令によるリロード挿入動作においても確実にカートリッジを牽引できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカートリッジ牽引装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】図2は、図1に示したアームの動作を示す動作説明図。
【図3】図1に示したホルダによりMDカートリッジを保持する動作を示す動作説明図。
【図4】本発明によるカートリッジ牽引装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図5】図4に示した板バネによりMDカートリッジを保持する動作を示す動作説明図。
【図6】MD記録再生装置に採用した従来のカートリッジ牽引装置を示す構成図。
【図7】図6に示した板バネによりMDカートリッジを保持する動作を示す動作説明図。
【図8】図6に示したキャリアの他の実施の形態を示す構成図。
【図9】図8に示したキャリアによりカートリッジを保持する動作を示す動作説明図。
【図10】図6に示したキャリアの更なる他の実施の形態を示す構成図。
【図11】図10に示したレバーの動作を示す動作説明図。
【符号の説明】
1 MDカートリッジ
1a 凹部
2 ローディングシャーシ
2a 摺動穴
4 アーム
10 キャリア
11 ガイドピン
12 後端部
13 支持部
13a 回動穴
20 ホルダ
21 立ち上げ部
22 後端部
23 支持部
23a 回動軸
24 凸部
26 コイルバネ

Claims (6)

  1. 記録媒体を収納するカートリッジに形成した凹部を前記カートリッジの挿入とともに保持して記録再生装置の内部に牽引するカートリッジ牽引装置において、
    前記記録再生装置内で摺動可能に支持されて前記カートリッジの挿入時に前記凹部を保持してアームにより摺動させて牽引するキャリアを有し、前記キャリアの前記カートリッジ挿入方向と直交する両側面に回動支点を設けて前記キャリアの底面に回動可能に支持するホルダを備え、前記ホルダに前記カートリッジの凹部と係合して保持する保持部を形成し、前記ホルダの一端に前記アームが係合して前記キャリアとともに前記カートリッジを牽引することで前記ホルダが前記回動支点を軸に回動して前記保持部が前記凹部に保持力を加えるように設けたことを特徴とするカートリッジ牽引装置。
  2. 請求項1に記載のカートリッジ牽引装置において、
    前記ホルダは、前記カートリッジとの間の前記回動支点に弾性力を有した弾性部材を介在させ、この弾性部材の付勢により回動して前記保持部が前記凹部に保持力を加えるように設け、牽引時には前記保持部が前記弾性部材の付勢と前記ホルダの回動とにより前記凹部に保持力を加え、排出時には前記アームが前記キャリアを直接押すことで前記弾性部材のみの保持力を前記カートリッジに加えることを特徴とするカートリッジ牽引装置。
  3. 請求項2に記載のカートリッジ牽引装置において、
    前記弾性部材は、板バネ、コイルバネ、ゴム、樹脂バネなどの弾性体であることを特徴とするカートリッジ牽引装置。
  4. 請求項1に記載のカートリッジ牽引装置において、
    前記ホルダは、前記保持部を板バネにより形成して前記凹部と係合する凸部を一体に備え、前記アームの係合により前記回動支点による下方向への回動を固定することで、前記カートリッジの排出時には前記板バネのみの付勢力により前記凹部に保持力を加え、牽引時には前記板バネの付勢と前記回動支点での上方向への回動とにより前記凹部に保持力を加えることを特徴とするカートリッジ牽引装置。
  5. 請求項1に記載のカートリッジ牽引装置において、
    前記保持部には、前記カートリッジに形成した前記凹部に係合する前記凸部を少なくとも1箇所以上設けたことを特徴とするカートリッジ牽引装置。
  6. 請求項1に記載のカートリッジ牽引装置において、
    前記カートリッジは、MD、MO、FD、ZIPなどのカートリッジであることを特徴とするカートリッジ牽引装置。
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