JP3679302B2 - 頭髪用化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭髪用化粧料に関し、更に詳しくは、寝ぐせ等の頭髪に形成されるくせを直して整髪することができる頭髪用化粧料に関し、その目的は、寝ぐせ直し効果に優れ、しかも頭髪に対してきしみやべたつき感等を与えず、なめらかな仕上げり感が得られる頭髪用化粧料の提供にある。
【0002】
【従来の技術】
寝ぐせは、頭髪中の水分量が多い状態で物理的な力を受けて頭髪に形成される好ましくないくせである。この原因は、頭髪内部に形成される水素結合、即ち、頭髪の主要構成成分であるケラチン分子中のCO基と、隣接するケラチン分子中のNH基との結合であることが分かっている。
【0003】
このようにして形成された寝ぐせを直して整髪するには、その原因である頭髪内部の水素結合を切断すればよいが、この水素結合は、頭髪を手で押さえたり、或いはブラッシングするだけでは切断することができず、これを切断するためには、頭髪に水を十分浸透させる必要がある。
このために、一般的に、寝ぐせを直して整髪するには、頭髪に直接水を塗布したり、或いは熱い蒸しタオルを巻いて頭髪を十分湿らせた後に、ドライヤー等により乾燥することにより行なわれている。
しかしながら、この方法では、頭髪内部に形成された水素結合を完全に切断するためには相当量の水を頭髪に塗布する必要があり、このために、頭髪を完全に乾燥するには長時間を要し、簡単に寝ぐせを直して整髪することはできなかった。また、頭髪に塗布した水が滴り落ちて、顔や衣服を濡らしてしまうこともあった。
【0004】
そこで、近年、水を用いなくても、頭髪に吹きつけてブラッシングするだけで簡単に寝ぐせを直して整髪することができる寝ぐせ直し用化粧料が数多く創出され、市販もされている。
例えば、特開昭61−282308号公報には、カチオン界面活性剤とポリアルキレングリコールエーテルまたはその誘導体と脂肪酸アルキロールアミドとを所定の割合で含有する組成物が開示されている。
【0005】
また、特開平5−163122号公報には、乳化重合によって得られたジメチルポリシロキサンのマイクロエマルジョンと、特定のジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体と、水とを含有する頭髪化粧料が開示されている。さらに、特開平9−124449号公報には、エタノール、毛髪固定用高分子化合物、水を含有する原液と、ジメチルエーテルからなる噴射剤とを、エアゾールスプレー用耐圧容器に充填し、その噴射量を8g/10秒以上に調整したエアゾールスプレー用製品が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の寝ぐせ直し用化粧料には、以下に示すような問題が存在した。
まず、従来の寝ぐせ直し用化粧料では、寝ぐせを直す整髪力は充分満足できるものではなく、さらには、夏季等の高温時には寝ぐせを直す整髪効果が高いが、冬季等の低温時には著しく整髪効果が低下するという問題が存在した。加えて、これらの寝ぐせ直し用化粧料では、頭髪がきしむ、べたつく、風合いが悪い等、頭髪の仕上がり感に劣るという問題も存在した。
【0007】
本発明者らは、上記した課題を解決するべく鋭意研究を続けたところ、必須成分として、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有した頭髪用化粧料が、低温時においても頭髪への浸透性に優れ、寝ぐせ等の好ましくないくせを直して整髪でき、しかも、頭髪にきしみやべたつき等の風合いの悪さを残さず、なめらかで良好な仕上がり感が得られることを見いだし本発明の完成に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に係る発明は、 0.10〜3重量%のジアルキルスルホコハク酸塩の一種又は二種以上と、70〜99重量%の水とが含有されてなることを特徴とする頭髪用化粧料(但し、一分子中にカルボキシル基と第三級アミノ基を有する両性ウレタン樹脂、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニル又はイオン性樹脂のいずれかを含有するものを除く。)に関する。
請求項2に係る発明は、アルコールが含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の頭髪用化粧料に関する。
請求項3に係る発明は、前記アルコールの配合量が30重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の頭髪用化粧料に関する。
請求項4に係る発明は、前記ジアルキルスルホコハク酸塩が、スルホコハク酸ジオクチル塩であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の頭髪用化粧料に関する。
請求項5に係る発明は、ポリエーテル変性シリコーンが含有されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の頭髪用化粧料に関する。
請求項6に係る発明は、ポリエーテル変性シリコーンがポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の頭髪用化粧料に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る頭髪用化粧料は、必須成分としてジアルキルスルホコハク酸塩を含有することを特徴とする。これは、このジアルキルスルホコハク酸塩は少ない水を確実に頭髪内部に浸透させることができ、このために、少ない使用量であっても、寝ぐせを直す整髪効果が得られ、しかも、きしみ、べたつき等の風合いの悪さを残さず、なめらかな仕上がり感が得られることを本発明者らが見いだしたからである。
尚、水を頭髪内部に浸透させることができる成分としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等を例示することができるが、この中でも、ジアルキルスルホコハク酸塩が特に優れた効果を発揮することができる。
【0010】
本発明に係る頭髪用化粧料における必須成分であるジアルキルスルホコハク酸塩は、炭素数6〜22の直鎖又は分岐のアルキルアルコール、ヒドロキシアルキルアルコール等のアルコール類と無水マレイン酸とを反応させてジエステルとした後に、スルホン化することにより得られるアニオン界面活性剤であり、この際に用いられるアルコール類としては、カプリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサノール、2メチルドデカノール、2−メチルトリデカノール等を例示することができる。
【0011】
また、中和塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、バリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン等のアルキルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等のアルカノールアミン等を例示することができるが、ナトリウム等のアルカリ金属を用いることが好ましい。
【0012】
特に、本発明に係る頭髪用化粧料においては、ジアルキルスルホコハク酸塩として、スルホコハク酸ジオクチル塩を用いることが好ましい。これは、スルホコハク酸ジオクチル塩が各種ジアルキルスルホコハク酸塩の中で最も優れた効果を発揮することができるからである。
【0013】
このスルホコハク酸ジオクチル塩は、無水マレイン酸と2−エチルヘキサノールとをエステル化してマレイン酸ジエステルとし、これを酸性亜硝酸塩により中和することにより得られ、「化粧品種別配合成分規格」に収載されている。
市販されているスルホコハク酸ジオクチル塩としては、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL OTP−75(商品名)等が挙げられる。
【0014】
ジアルキルスルホコハク酸塩の配合量は、頭髪用化粧料全量中の0.10〜3重量%とするとよい。これは、0.10重量%未満では、寝ぐせ等の好ましくないくせを直して整髪することができず、また、重量%より多く配合してもそれ以上の効果が望めないばかりか、べたつき等の風合いが悪化するために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0015】
本発明に係る頭髪用化粧料においてアルコールとは、エタノール又はイソプロパノールを意味し、本発明に係る頭髪用化粧料においては適宜任意に配合することができる。これらアルコールを配合する場合、その配合量は、頭髪化粧料全量を基準として、30重量%以下、好ましくは20重量%以下とするとよい。これは、30重量%より多く配合すると、寝ぐせ直し効果が低下するために好ましくないからである。
【0016】
また、本発明に係る頭髪用化粧料においては、ポリエーテル変性シリコーンを適宜任意に配合することもできる。これは、ポリエーテル変性シリコーンを配合することにより、手触りがよく、更なる滑らかな仕上がり感を得ることができるからである。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等を例示することができるが、特に限定はされない。また、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ポリエーテル変性シリコーンを配合する場合、その配合量は、0.01〜5重量%とするのが好ましく、0.05〜1重量%とすることがより好ましい。これは、0.01重量%未満の配合量では、配合による効果を得ることができず、また、5重量%より多く配合してもそれ以上の効果が望めないばかりか、きしみやべたつきの原因となるために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0017】
本発明に係る頭髪用化粧料においては、以上説明した配合成分の他、本発明の効果が損なわれない範囲内で、多価アルコールあるいは糖およびこれらの誘導体、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼剤、色素、界面活性剤、油性成分、防腐剤、pH調整剤、香料、安定剤、ビタミン、エアゾール用噴射剤等の通常の化粧品成分、或いは動植物抽出成分等の特殊配合成分を目的に応じて配合することができる。
【0018】
本発明に係る頭髪用化粧料は、水(精製水)を用いて上記したような配合成分を常法により均一に分散することにより得ることができ、エアゾールスプレー、ポンプフォーマー、ポンプスプレー等の剤型とすることができる。
尚、水の配合量は、頭髪化粧料全量を基準として70〜99重量%程度とする。
【0019】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
尚、表中の配合量はそれぞれ重量%である。
【0020】
(実施例1〜、比較例1〜2の各試料の調製)
後記表1に示される組成に従い、実施例1〜の各試料を調製した。また、後記表2に示される組成に従い、比較例1〜2の各試料を調製した。
【0021】
(試験例1;寝ぐせ直し効果試験)
以下の方法により、寝ぐせ直し効果試験を行った。まず、長さ30cm、重さ2gの黒色未処理直毛の毛束を精製水に浸した後、直径1cmのカーラーに巻きつけ、70℃の恒温槽で約1.5時間乾燥させた。次に、この毛束をカーラーから外し、毛束をつり下げて、その時の頭髪の長さを測定した。カール状の毛束に上記調製した実施例1〜及び比較例1〜2の各試料約1.2gを均一に噴霧し、1分後の頭髪の長さを測定し、寝ぐせ直し効果(カールの直し度合)を次式1(数1)により算出した。
【数1】
Figure 0003679302
A:頭髪の長さ
B:カーラーから外したときの毛束の長さ
C:試料塗布1分後の毛束の長さ
下記の基準に従って評価した結果を後記表1及び表2に記す。
評価基準
○:寝ぐせ直し効果が50%以上
△:寝ぐせ直し効果が30%以上50%未満
×:寝ぐせ直し効果が30%未満
【0022】
(試験例2;浸透力試験)
頭髪の寝ぐせを直すには、頭髪内部に寝ぐせ直し剤が十分に浸透することが必要である。そこで、頭髪と同じ成分で構成されるウール布(JIS規格品)を用いて寝ぐせ直し剤の浸透力試験を行った。まず、ウール布を1cm角に切り、このウール布を5℃又は25℃の条件下で、上記調製した実施例1〜及び比較例1〜2の各試料の液面に静かに置き、ウール布が沈降するまでの時間を測定し、以下の基準に従って評価した。結果を後記表1及び表2に記す。
評価基準
○:沈降速度が10秒未満
△:沈降速度が10秒以上120秒未満
×:沈降速度が120秒以上
【0023】
(試験例3;仕上がり性)
長さ30cm、重さ2gの黒色未処理直毛の毛束に、上記調製した実施例1〜及び比較例1〜2の各試料を約1.2g均一に塗布し、頭髪の仕上がり状態(べたつき、なめらかさ)を、以下の評価基準に従って、5名の専門パネラーによって判定した。5名の専門パネラーの平均値を後記表1及び表2に記す。
評価基準−べたつき−
○:べたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく
評価基準−なめらかさ−
○:なめらかである
△:ややなめらかである
×:なめらかでない
【0024】
(試験例4;きしみ防止効果試験)
洗浄した30cm、2gの毛束に実施例1〜及び比較例1〜2の各試料を0.4g噴霧して、乾燥させた後に、以下の評価基準に従い、専門パネラー5名の官能評価により、きしみ防止効果を評価した。5名の専門パネラーの平均値を後記表1及び表2に記す。
評価基準
○:きしみは感じられない
△:ほとんどきしみは感じられない
×:きしみを感じる
【0025】
実施例1〜の組成及び試験結果を表1に示す
【表1】
Figure 0003679302
【0026】
比較例1〜2の組成及び試験結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0003679302
【0027】
表1及び表2の通り、本発明に係る頭髪用化粧料は頭髪に対する優れた浸透力を有し、頭髪に形成された寝ぐせを直して整髪することができる。また、頭髪に対してきしみやべたつき等の風合いの悪さを残すことがなく、頭髪をなめらかに仕上げることができる。
【0028】
以下、本発明に係る頭髪用化粧料の処方例を示す。
(処方例1)
【表3】
Figure 0003679302
【0029】
(処方例2)
【表4】
Figure 0003679302
【0030】
(処方例3)
【表5】
Figure 0003679302
【0031】
(処方例4)
【表6】
Figure 0003679302
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る頭髪用化粧料は、頭髪への浸透性に優れるために、頭髪に形成された寝ぐせ等の好ましくないくせを直して整髪することができ、しかも、頭髪に対してきしみ、べたつき等の風合いの悪さを残すことが全くなく、髪を滑らかに仕上げることができる。

Claims (6)

  1. 0.10〜3重量%のジアルキルスルホコハク酸塩の一種又は二種以上と、70〜99重量%の水とが含有されてなることを特徴とする頭髪用化粧料(但し、一分子中にカルボキシル基と第三級アミノ基を有する両性ウレタン樹脂、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニル又はイオン性樹脂のいずれかを含有するものを除く。)。
  2. アルコールが含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の頭髪用化粧料。
  3. 前記アルコールの配合量が30重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の頭髪用化粧料。
  4. 前記ジアルキルスルホコハク酸塩が、スルホコハク酸ジオクチル塩であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の頭髪用化粧料。
  5. ポリエーテル変性シリコーンが含有されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の頭髪用化粧料。
  6. ポリエーテル変性シリコーンがポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の頭髪用化粧料。
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