JP3638892B2 - パーマネントウェーブ用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1剤組成物と第2剤組成物とからなる二浴式のパーマネントウェーブ用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
二浴式のパーマネントウェーブ用剤においては、通常、チオグリコール酸やシステイン等の還元剤やアンモニア等のアルカリ剤を主成分とする第1剤によって毛髪を還元し、ワインディング等を行った後、臭素酸塩や過酸化水素等の酸化剤を主成分とする第2剤によって毛髪を酸化する。
【0003】
その間、毛髪は、蛋白質中のシスチン結合の開裂や再形成等を伴う過酷な処理によってかなりの損傷を受け、しかも毛髪蛋白質の流出も起こることが知られている。その結果、毛髪の弾力性低下に基づくウェーブの弾力低下、毛髪の保湿性低下に基づく毛髪のパサツキやゴワツキ等が起こる。このような問題に対して、従来より多くの対策が提案され、例えばパーマネントウェーブの処理条件、第1剤及び/又は第2剤のpHや配合成分等が検討されている。
【0004】
一方、上記パーマネントウェーブ用剤、特に第1剤が頭皮に付着した際、アルカリ剤や界面活性剤によって頭皮の刺激を感じることがある。更に、日常的にこれらのパーマネントウェーブ用剤を扱う美容師等の施術者の手荒れも無視できない問題である。この問題に対しても、パーマネントウェーブ用剤から皮膚を好適に保護できる配合成分が種々提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来、上記した▲1▼ウェーブの弾力低下、▲2▼毛髪の保湿性低下、▲3▼皮膚刺激、を総合的にバランス良く解消できるパーマネントウェーブ用剤は、未だ提案されていない。そこで本発明は、上記▲1▼〜▲3▼の問題を総合的にバランス良く解消できるパーマネントウェーブ用剤を提供することを、解決すべき課題とする。
【0006】
本願発明者は、従来の通常のパーマネントウェーブ用剤には配合されていない植物性成分であるカラスムギ抽出物に着目し、更に補助成分として植物性ポリペプタイド及び/又はニコチン酸やその誘導体を併せ配合することが極めて有効であることを究明し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその作用・効果】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、水を主成分とする溶媒中に少なくともアルカリ剤と還元剤とを含有する第1剤組成物と、水を主成分とする溶媒中に少なくとも酸化剤を含有する第2剤組成物とからなるパーマネントウェーブ用剤であって、前記第1剤組成物及び/又は第2剤組成物がカラスムギ抽出物を含有する、パーマネントウェーブ用剤である。
【0008】
(第1発明の作用・効果)
カラスムギ抽出物は、カラスムギに由来する植物性蛋白質を豊富に含むため、パーマネントウェーブ処理において流出した毛髪の蛋白質を有効に補給できる。その結果、ウェーブの弾力の向上効果に優れる。又、カラスムギ抽出物の蛋白質はシスチン結合が多いため、毛髪のシスチン結合の再生を促すと言う意味でも、ウェーブの弾力の向上効果に優れる。
【0009】
一方、カラスムギ抽出物は毛髪に良好な保湿性を与える。その結果、パーマネントウェーブ処理によって損傷を受けた毛髪に対して、しなやかさを回復させ、パサツキ又はゴワツキのない優れた手触りを確保することができる。
【0010】
カラスムギ抽出物は、パーマネントウェーブ用剤の第1剤組成物に配合することも、第2剤組成物に配合することもでき、両者に配合することもできるが、相対的には、第1剤組成物に配合することがより好ましい。
【0011】
なお、カラスムギ抽出物は、抽出に供するカラスムギ種子の状態(丸のままの種子,その粉砕物等)の相違、抽出溶媒の相違、抽出条件(抽出温度,抽出時間等)の相違等によって組成内容にバラツキが出る。しかし、本発明において、いずれのカラスムギ抽出物も有効である。又、本願発明者は、公知の多様な植物性蛋白質の中で、上記各種の効果においてはカラスムギ抽出物が特に優れていることを実験的に見出したが、現在の処、その正確な理由は不明である。
【0012】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係るカラスムギ抽出物が、カラスムギの種子又はその加工物から水又は有機溶媒を用いて抽出されたものであって、少なくとも、シスチン残基を備える可溶性蛋白質を含むものである、パーマネントウェーブ用剤である。
【0013】
(第2発明の作用・効果)
カラスムギ抽出物としては、第2発明のように、カラスムギの種子又はその加工物から水又は有機溶媒を用いて抽出されたものであって、少なくとも、シスチン残基を備える可溶性蛋白質を含むものを、特に好ましく使用できる。
【0014】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る第1剤組成物及び/又は第2剤組成物におけるカラスムギ抽出物の含有量が、全組成中に乾燥固形分として0.01〜2.5重量%である、パーマネントウェーブ用剤である。
【0015】
ここに「全組成中に乾燥固形分として0.01〜2.5重量%である」とは、液状,乳液状,クリーム状,泡状等の各種剤型である第1剤組成物及び/又は第2剤組成物の全組成分中においてカラスムギ抽出物が乾燥固形分として0.01〜2.5重量%含まれることを言う。
【0016】
(第3発明の作用・効果)
第1剤組成物及び/又は第2剤組成物におけるカラスムギ抽出物の含有量は任意であるが、全組成中に乾燥固形分として0.01〜2.5重量%の範囲内であることが、特に好適である。
【0017】
上記した意味での含有量が0.01重量%未満では、カラスムギ抽出物の配合効果が十分に発揮されない可能性がある。上記した意味での含有量が2.5重量%を超えても、カラスムギ抽出物の配合効果が飽和し、場合によっては過剰配合に基づくパーマネントウェーブ用剤の着色や変臭等で製品の品質劣化を招くと言うデメリットが懸念される。
【0018】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、カラスムギ抽出物を含有する前記第1発明〜第3発明に係る第1剤組成物及び/又は第2剤組成物が、更にニコチン酸又はその誘導体を含有する、パーマネントウェーブ用剤である。
【0019】
(第4発明の作用・効果)
パーマネントウェーブ用剤にニコチン酸又はその誘導体を配合すると、皮膚に対する好適な保護効果(刺激低減効果)が認められる。従って、パーマネントウェーブ用剤が被施術者の頭皮に強い刺激を与えることを防止し、又、施術者の手荒れを有効に防止することができる。
【0020】
パーマネントウェーブ用剤にカラスムギ抽出物とニコチン酸又はその誘導体とを併せ配合した場合、上記したこれらの配合成分の特有の効果は互いに阻害されず、しかもニコチン酸又はその誘導体には毛髪を膨潤させる効果があって、カラスムギ抽出物による前記手触り改善効果を相乗的に補強することが分かった。
【0021】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、カラスムギ抽出物を含有する前記第1発明〜第4発明に係る第1剤組成物及び/又は第2剤組成物が、更に植物性ポリペプタイドを含有する、パーマネントウェーブ用剤である。
【0022】
(第5発明の作用・効果)
植物性ポリペプタイドは、カラスムギ抽出物に含まれる蛋白質に比較して、分子量分布が低い点、シスチン結合を余り含まない点を除き、性質の類似した配合成分である。従って、カラスムギ抽出物の配合効果を補強する成分として非常に好ましい。
【0023】
具体的には、植物性ポリペプタイドは、毛髪に対してポリペプタイドを補給することにより、カラスムギ抽出物による前記したウェーブの弾力の向上効果を有効に補強する。又、植物性ポリペプタイドはカラスムギ抽出物と同様な保湿性を示すことから、毛髪の手触り改善効果を有効に補強する。即ち、パーマネントウェーブ処理によって損傷を受けた毛髪のしなやかさを回復させ、パサツキ又はゴワツキのない毛髪の手触りを実現する。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第5発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは、第1発明〜第5発明を一括して指している。
【0025】
〔パーマネントウェーブ用剤〕
本発明に係るパーマネントウェーブ用剤は、水を主成分とする溶媒中に少なくともアルカリ剤と還元剤とを含有する第1剤組成物と、水を主成分とする溶媒中に少なくとも酸化剤を含有する第2剤組成物とからなり、第1剤組成物及び/又は第2剤組成物がカラスムギ抽出物を含有する。「水を主成分とする溶媒」とは、水のみの溶媒、又は水に対して他種の溶媒が過剰に混合していない溶媒(例えば、水が60重量%以上を占める溶媒)を言う。第1剤組成物や第2剤組成物の溶媒が水以外の媒体を主成分とする場合、例えばアルコール溶媒や、水に対してアルコールが過剰に存在する溶媒等は、本発明が目的とする手荒れ防止等の観点から好ましくない。
【0026】
第1剤組成物が含有する還元剤の種類は限定されないが、例えば、チオグリコール酸やその塩類、システインやその塩類等の公知の各種還元剤の1種又は2種以上が用いられる。第1剤組成物のpHやアルカリ度は限定されない。
【0027】
上記したチオグリコール酸やその塩類の種類は限定されないが、例えば、チオグリコール酸アンモニウム(ATG)やチオグリコール酸モノエタノールアミン(MEATG)等を単独で又は組合わせて使用することができる。上記したシステインやその塩類の種類は限定されないが、例えば、システイン,システインの塩酸塩,N−アセチル−L−システイン等を好ましく例示することができる。
【0028】
第1剤組成物が含有するアルカリ剤の種類も限定されないが、例えば、アンモニア,アルカノールアミン類,有機アミン類,塩基性アミノ酸,無機アルカリ及びそれらの塩等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0029】
第2剤組成物が含有する酸化剤の種類も限定されないが、例えば、臭素酸カリウム,臭素酸ナトリウム,過ホウ素酸ナトリウム,過酸化水素水等の公知の各種酸化剤の1種又は2種以上が用いられる。
【0030】
第1剤組成物と第2剤組成物はそれぞれ、液状,乳液状,クリーム状,泡状等の毛髪に適用可能な任意の形態で使用される。第1剤組成物と第2剤組成物は、通常は別の容器に封入され、セット物として販売及び流通に供される。但し、両者が別個に販売及び流通に供される場合でも、結果的に二浴式パーマネントウェーブ用剤としてセット使用される限りにおいて、本発明のパーマネントウェーブ用剤を構成する。
【0031】
〔カラスムギ抽出物〕
カラスムギ抽出物は、第1剤組成物のみに含有されていても良く、第2剤組成物のみに含有されていても良く、両者に含有されていても良い。これらの場合において、第1剤組成物や第2剤組成物に対するカラスムギ抽出物の含有量は、前記した理由から、全組成中に乾燥固形分として0.01〜2.5重量%であることが好ましく、とりわけ0.05〜1.0重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明で用いるカラスムギ抽出物は、前記のように抽出方法,抽出条件又は組成内容を問わない。しかし、好ましい一例が、少なくとも、シスチン残基を備える可溶性蛋白質(特に、シスチン残基を多く備える可溶性蛋白質)を含むものである。他の好ましい一例が、カラスムギの種子又はその加工物から水又は有機溶媒を用いて抽出されたものである。
【0033】
特に好ましいカラスムギ抽出物として、抽出溶媒の面からは、アルコール溶液による抽出物、特に、1,3−ブチレングリコール溶液等の多価アルコール溶液による抽出物等が挙げられる。抽出に用いるカラスムギの種子としては、例えばオートミール( Avena sativa)を好ましく例示できる。
【0034】
〔ニコチン酸又はその誘導体〕
ニコチン酸又はその誘導体は、第1剤組成物と第2剤組成物の内、カラスムギ抽出物を含有する方の組成物に含有させることが好ましい。特に第1剤組成物に含有させることが好ましい。ニコチン酸又はその誘導体としては、ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ニコチン酸ベンジル等が例示される。
【0035】
第1剤組成物や第2剤組成物に対するニコチン酸又はその誘導体の配合量は限定されないが、一般的には0.05〜10重量%程度が好ましく、とりわけ0.1〜5.0重量%程度が好ましい。ニコチン酸又はその誘導体の配合量が過少であると、その配合効果が十分に発現せず、逆に過剰であると、効果が飽和すると共にコストが高くなると言うデメリットが懸念される。
【0036】
〔植物性ポリペプタイド〕
植物性ポリペプタイドは、第1剤組成物と第2剤組成物の内、カラスムギ抽出物を含有する方の組成物に含有することが好ましい。特に、第1剤組成物にカラスムギ抽出物と共に含有することが好ましい。
【0037】
植物性ポリペプタイドとは、植物由来の蛋白質を酸,アルカリ,酵素等を用いて加水分解した加水分解物や、これを更に4級化,アシル化又はシリル化した誘導体を言う。上記した植物由来の蛋白質の種類は限定されないが、大豆蛋白,小麦蛋白,トウモロコシ蛋白,バレイショ蛋白等を好ましく例示できる。
【0038】
第1剤組成物や第2剤組成物に対する植物性ポリペプタイドの配合量は限定されないが、一般的には0.01〜10重量%程度が好ましく、とりわけ、0.05〜2.5重量%程度が好ましい。植物性ポリペプタイドの配合量が過少であると、その配合効果が十分に発現せず、逆に過剰であると、製品の変臭による品質劣化を生じたり、仕上げ時にベタ付き感が生じて感触面で好ましくないと言うデメリットが懸念される。
【0039】
なお、本発明において、第1剤組成物や第2剤組成物には、植物性ポリペプタイドと共に、又は植物性ポリペプタイドに代えて、動物性ポリペプタイドを含有させることもできる。動物性ポリペプタイドとは、コラーゲン,ケラチン,エラスチン,フィブロイン,コンキリオン,カゼイン,ゼラチン等の動物性蛋白質を酸,アルカリ,酵素等を用いて加水分解した加水分解物や、これを更に4級化,アシル化又はシリル化した誘導体を言う。
【0040】
〔その他の配合成分〕
本発明に係るパーマネントウェーブ用剤の第1剤組成物及び/又は第2剤組成物には、上記以外にも高分子化合物,高級アルコール,界面活性剤,安定剤(例えばエデト酸ナトリウム等のキレート剤),油成分,アミノ酸,前記ニコチン酸又はその誘導体以外のビタミン類,湿潤剤(例えば多価アルコール),養毛剤,着色剤等を任意に配合することができる。
【0041】
上記の高分子化合物としては、例えばカチオン化セルロース誘導体等のカチオン化高分子化合物,アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体等のアニオン性高分子化合物,セルロースやポリアクリル酸エチル等の非イオン性高分子化合物,アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性高分子化合物等を任意に用いることができる。
【0042】
上記の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール,ミリスチルアルコール,セチルアルコール,ステアリルアルコール,セトステアリルアルコール,ベヘニルアルコール,イソステアリルアルコール,オレイルアルコール,2−ヘキシルデカノール,2−オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0043】
上記の界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、硫酸エステル塩,リン酸エステル塩,スルホン酸塩,カルボン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル,POEアルキルアリルエーテル,POE脂肪酸エステル,POEソルビタン脂肪酸エステル,POEソルビトール脂肪酸エステル,ヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体,高級脂肪酸グリセリンエステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ラノリン誘導体等の非イオン界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤,アミノプロピオン酸型両性界面活性剤,アミノ酢酸型両性界面活性剤,スルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
〔パーマネントウェーブ用剤の適用対照〕
上記パーマネントウェーブ用剤を適用する毛髪は、通常の一般毛(健康毛),染毛処理された毛髪,脱色処理された毛髪等、特に限定されず、任意であるが、特に染毛や脱色処理された毛髪に対して効果的である。
【0045】
【実施例】
末尾の表1における実施例1〜実施例7(「実1」等と表記)、比較例1〜比較例3(「比1」等と表記)に示す組成のパーマネントウェーブ用剤第1剤及び第2剤をそれぞれ準備した。表中の数値は重量部数を示す。又、表1中の「カラスムギ抽出物」とは、カラスムギ(Avena Sativa Linne(Gramineae) )の種子から、50%1,3−ブチレングリコール溶液で抽出されるものであり、乾燥固形分は約2.4%である。
なお、表1に示すように、実施例1〜実施例7のうち、実施例1と実施例3は、第1剤にも第2剤にもニコチン酸又はその誘導体を含有していない。従って、これらの実施例1と実施例3は、「実施例」とは名付けているが、実際には本願発明の実施例ではない。
【0046】
(ウェーブの弾力性評価)
ブリーチ処理(28%アンモニア水;2.5%、35%過酸化水素;3%)を3回行った毛髪を用いて、毛髪量0.4g,長さ20cmの毛髪束を複数構成し、それぞれ直径1.5cmのプラスチックロッドに均一に巻き付けた。
【0047】
そしてこれらの毛髪束に対して、上記実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例3に係る第1剤をそれぞれ1mL均一に塗布した後、これらをプラスチックロッドごとビニル製の袋に収容して閉栓し、37°Cの恒温槽に入れて15分間静置した。その後、各毛髪束を上記の袋から取り出して1分間水洗し、次いで上記実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例3に係る第2剤をそれぞれ0.5mL均一に塗布して、室温で5分間放置した。
【0048】
以上の第2剤塗布操作を更に1回繰り返し、その後水洗して毛髪束をプラスチックロッドからていねいに取り外し、コイル状のウェーブを得た。各例に係る毛髪束を、その一端を把持して自重にて吊るし、コイルの一山分の上端から下端までのウェーブ長を測定した。
【0049】
上記のように測定したウェーブ長の値が小さいほど弾力性が高いウェーブと評価し、比較例1を対照として、各例に係る毛髪束のウェーブの弾力性を次の4段階で評価した。「◎:弾力があり、しかもウェーブが均一である。 ○:弾力がある。△:比較例1と同程度である。 ×:比較例1よりやや劣る。」 これらの評価結果を表1の「評価」欄中の1)に示した。
【0050】
(毛髪の感触評価)
ブリーチ処理(28%アンモニア水;2.5%、35%過酸化水素;3%)を3回行った毛髪を用いて、毛髪量1.0g,長さ15cmの毛髪束を複数構成し、それぞれプラスチックロッドに均一に巻き付けた。
【0051】
そしてこれらの毛髪束に対して、上記実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例3に係る第1剤をそれぞれ1mL均一に塗布した後、これらをプラスチックロッドごとビニル製の袋に収容して閉栓し、37°Cの恒温槽に入れて15分間静置した。その後、各毛髪束を上記の袋から取り出して1分間水洗し、次いで上記実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例3に係る第2剤をそれぞれ0.5mL均一に塗布して、25°Cで10分間放置した。
【0052】
得られたウェーブ毛を水洗した後に自然乾燥させ、その感触を評価した。これらのいずれの感触評価も専門パネリスト5名による手触りにて評価し、比較例1を対照として、次の4段階で評価した。「◎:極めてなめらかで、しっとりとした感触である。 ○:なめらかな感触である。△:比較例1と同程度の感触である。 ×:比較例1よりもゴワツキやパサツキを感じ、悪い感触である。」。これらの感触評価の結果を表1の「評価」欄中の2)に示した。
【0053】
(皮膚刺激性評価)
各例に係る第1剤組成物の各0.5mLをそれぞれ2.5cm角のリント布に均一に浸し、健常人10名の前額部に15分間貼付した。その後リント布を除去すると共に前額部を軽く水洗し、前額部の状態を観察して皮膚刺激の程度を次の4段階で評価した。「◎:反応なし。 ○:軽い紅斑。 △:紅斑。 ×:紅斑及び浮腫。」。判定は、各例についての10名の評価の内、最も多い評価に従った。これらの皮膚刺激性評価の結果を表1の「評価」欄中の4)に示した。
【0054】
(手荒れ評価:指間貼付試験)
各例に係る第1剤組成物の各0.1mLをそれぞれ2.0cm角のリント布に均一に浸し、被験者の指間(左右両手の合計6ケ所)に15分間貼付した。その後リント布を除去すると共に指間を軽く水洗し、タオルで水分を除去した。
【0055】
上記の処理を1日1回で連続5日間繰り返した後、被験者の指間の状態を観察して、次の4段階で手荒れ評価を行った。「◎:変化なし。 ○:部分的に乾燥、粗化はあるが、角層はめくれあがっていない。 △:乾燥しているが、角層はめくれあがっていない。 ×:乾燥し、角層の一部がめくれあがっている。」。これらの手荒れ評価の結果を表1の「評価」欄中の3)に示した。
【0056】
(総合評価)
上記のウェーブの弾力性評価,毛髪の感触評価及び安全性評価(皮膚刺激性評価と手荒れ評価)から、各例に係るパーマネントウェーブ用剤の品質を総合評価した。評価記号は、◎が「非常に高品質である」、○が「高品質である」、△が「比較例1と同等の品質である」を意味する。
【0057】
(染毛処理毛髪に対する適用)
過去にヘアカラーを2回施術したモデルに対して、下記に示す実施例8及び実施例9に係る組成のパーマネントウェーブ用剤第1剤及び第2剤を用いて施術した。その結果、実施例8においてはウェーブの弾力及び感触に関して問題がなく、実施例9においてはストレート効果,感触に関して問題なく、かつ施術者の手指に対して痒みや刺激等の問題を生じなかった。
【0058】
実施例8(パーマ剤)
第1剤
50%ATG 2.0(重量部)
DLシステイン 3.5
28%アンモニア 1.1
モノエタノールアミン 0.8
セタノール 0.5
POEセチルエーテル 0.3
ラウリル硫酸ナトリウム 0.4
ニコチン酸アミド 1.5
加水分解コムギ末 0.5
マーコート100 0.4
精製水 適量。
【0059】
第2剤
臭素酸ナトリウム 7.0(重量部)
POEソルビタン脂肪酸エステル 1.0
リン酸 0.04
カラスムギ抽出物 3.0
グリシン 1.2
精製水 適量。
【0060】
実施例9(縮毛矯正剤)
第1剤
50%ATG 14.0(重量部)
40%DTDGA 2.0
DLシステイン 0.5
80%モノエタノールアミン 3.5
炭酸アンモニウム 0.4
セチルアルコール 11.0
POEセチルエーテル 3.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2
アボカド油 0.5
ニコチン酸 0.5
大豆タンパク加水分解物 2.0
カラスムギ抽出物 2.0
精製水 適量。
【0061】
第2剤
臭素酸ナトリウム 6.0(重量部)
アルギン酸ナトリウム 2.5
アミノ変性シリコーンエマルジョン 0.8
ニコチン酸アミド 3.0
加水分解コムギ末 0.4
加水分解ケラチン液 1.5
リン酸 0.04
精製水 適量。
【0062】
【表1】
Claims (4)
- 水を主成分とする溶媒中に少なくともアルカリ剤と還元剤とを含有する第1剤組成物と、水を主成分とする溶媒中に少なくとも酸化剤を含有する第2剤組成物とからなるパーマネントウェーブ用剤であって、
カラスムギ抽出物と、ニコチン酸又はその誘導体とが、それぞれ、前記第1剤組成物と第2剤組成物との少なくとも一方に含有されていることを特徴とするパーマネントウェーブ用剤。 - 前記カラスムギ抽出物が、カラスムギの種子又はその加工物から水又は有機溶媒を用いて抽出されたものであって、少なくとも、シスチン残基を備える可溶性蛋白質を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントウェーブ用剤。
- 前記第1剤組成物及び/又は第2剤組成物におけるカラスムギ抽出物の含有量が、全組成中に乾燥固形分として0.01〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパーマネントウェーブ用剤。
- カラスムギ抽出物を含有する前記第1剤組成物及び/又は第2剤組成物が、更に植物性ポリペプタイドを含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパーマネントウェーブ用剤。
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