JP3679234B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫に係り、冷蔵庫の機械室に設置される放熱手段に関するものであり、特に、低騒音が得られる冷蔵庫を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な冷蔵庫は、凝縮器が、鉄板箱体の鉄板の内側に銅パイプを張り巡らして、断熱層で押さえ粘着されていたものであったため、廃家電時の分離処理が困難であった。
そこで、これに対応させようとするものに、例えば、特開平9−88942号公報記載の技術が知られている。
図4は、当該公報記載の従来の冷蔵庫の機械室要部を示す略示縦断面図である。
【0003】
図4に示す冷蔵庫は、凝縮器20を箱体下部に設置して強制通風により放熱させる構造のものであって、凝縮器20は貯蔵室の冷却器よりも圧縮機の入力分多くの熱交換能力が必要なことから多数のフイン21とパイプ22で構成し、低いスペースに扁平で通風方向に長く収納し、通常のプロペラファン23(以下単にファンと称する)により風を箱体の前面24から凝縮器20を通して吸い込み後面25から排出させるものであった。ファンモータ26(以下単にモータと称する)はファン23の下流直後に配置し、圧縮機27はファン23の半径方向の位置に並置されたものであった。
【0004】
また、第二の従来例として、例えば特開昭61−285364号公報記載の冷却技術が知られている。すなわち、貯蔵室側の冷却器用ファンにおいて、ファンの吹き出し側に整流ガイドを用いたものがあった。この構造は、冷却器とファンを貯蔵室の正面奥壁に扁平に上下に並べ、ファン側が上で、しかも冷気を貯蔵室の上方から送れるように貯蔵室の天井位置に近い高さで吐出面を前方に向け、モータはケースで包みファン後方の吸い込み通風路内にて軸を横断させて奥壁に取り付けていた。
【0005】
また、ファンの下流直後(吐出面)にはファン側に頂部を持つ円錐状の整流ガイドを配置し、その前方を開口面積の少ない仕切板でくくって前後方向に寸法の短い圧力室となし、さらに前方を貯蔵室として食品を収納し、圧力室から吹き出す冷気を吹き出す構成としているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記第一の従来例(特開平9−88942号公報記載の技術)においては、通風抵抗係数が大きいのに加え、放熱のための風量を多く必要とするのと、通風路は箱体の前面と後面に開口しているのでファンの音が直接庫外に放射されて騒音が高いという問題があった。このことは同一の冷蔵庫に、仮に、同一仕様のファンを貯蔵室の冷却器用にも用いたとすると、貯蔵室のファンは厚い扉により約15〜20(db)遮音されているのに対し、凝縮器用ファンは直接庫外に放射されていることから、この差分の低減技術を多く必要とするものである。
しかし、上記従来例では、ファンが通常構造で用いられており、騒音低減技術に関しては何等記載されておらず、このままの構造では、顧客にとっては何等得ること無く、騒音が高いものを供給されることになる。
【0007】
また、上記第一の従来例においては、ファンの吐き出し風が積極的に活用されておらず、ファンの吐き出し風の当たる下流にモータケースがあるため送風の障害となり、ケース部では圧力が高まり、ケース周りの空気がファンの羽根部の速度の大なる風に誘引されて、図4に示す破線矢印Aのように、ファン中心側から逆に巻き込まれ、実線矢印に示す本来の吐出流に干渉するばかりか、ファンの半径方向外方からも破線矢印Bのように、ファン用マウスリングの吐出側の面寄りから巻き込み干渉を起こす。これらの巻き込み干渉は羽根部まで入るので衝突し合う音を発生するほかに、羽根の風切り音(送風音)を高くしているという問題があった。
【0008】
上記モータケースの障害による風量減少を無くすためには、モータを遠ざけなければならないことになり、そこで、ファンを取り付けるモータ軸の長軸化で対応すると、振動音の発生や、場合によってはモータの寿命を短くするという問題が生じる。同時に、モータ据え付けノ奥行き寸法が大になり、その分凝縮器の放熱面積を小にしたり貯蔵室の内容積を少なくしなければならないという問題があった。
【0009】
また、ファンサイズを大にして低速にすれば静音化できると思われがちであるが、構造が変わらない限りファンに必要な圧力(静圧)と風量は変わらないので、形状が多風量形になった分相対的に絞られる割合が大になるということになる。一方、この種ファン(プロペラ形)には風量が絞られるほど羽根部の流れが乱れて騒音が大きくなるという不都合な性質がある。すなわち、ファンからみれば、相対的には負荷が大になったことと同じになることから、小さいファンを用いる場合より比騒音(単位風量単位圧力当たりの騒音)の大きい動作点で使われることになって、騒音が反対に高くなってしまうことさえある。
【0010】
第二の従来例(特開昭61−285364号公報記載の技術)においては、この構造を機械室に応用するには次のような問題があった。すなわち、ファンと冷却器は貯蔵室の正面奥壁に扁平に上下に並べてあるので、ファンの回転する円形面(以下本明細書では回転平面という)は、冷却器の通風方向に対して90°横向きである。そのため、ファンに曲がり流入となり、ファンの作用も、冷却器に近い下半分はに比し上半分はそれほど送風作用ができないために、吸い込み効率が悪く、それをカバーするために回転速度を上げると騒音が高くなるという問題があった。
【0011】
また、モータケースは風の流れからいえば、冷却器とファンの吸い込み通風路内にあって、通風路に壁面から突出しており、ファンとモータケースの距離を狭め、モータ軸は通風路を横断しており、この付近は特に流速も大で負の圧力も大きいことから、モータケースおよび軸の部分で後流乱れが発生し、これによりファンの回転音(回転数×羽根数の周波数)が大となり耳障りな音を出すという問題があった。また、風量も減少するばかりか、前記吸い込み空気の乱れおよびファン部における上下のアンバランス流入により、同一羽根に加わる圧力が一回転中に変動して風切音を高め、その圧力変動が軸を介してモータ振動を増幅して冷蔵庫箱体の振動音を大にする原因となっていた。
【0012】
また、モータケースとファンの距離は、騒音低減のためには大きくとらなければならないが、現実にはモータ寿命や振動防止を考慮して狭くしているので、この間の圧力は特に低くなる。一方、吐き出し側は圧力室であるので、ファン中心側との圧力差が大きくなるばかりか、ファン吐き出しの状況が、モータ軸を境に冷却器に近い羽根側では軸方向に寄り、遠い羽根側では半径方向に寄る非対称吹き出し流れであり、これを受け入れる圧力室は、前後方向の寸法が特に小で上方壁面も近い。
【0013】
このような圧力室内は、圧力および風速の分布が不均一になるばかりか、跳ね返りの風があって、ファンと同心、軸対称な整流ガイドを用いても、その外周縁部から内側面に沿ってファン中心に向く逆流を防止するには不十分なものとなり、再度羽根部に巻き込まれる流れによる干渉音が残る。同様に、ファンの半径方向外方の風速の停滞するマウスリング吐出側面から再度羽根部に巻き込まれる逆流についても防止が不十分なために、騒音低減の効果が半減するという問題があった。
【0014】
騒音低減のためには、冷却器とモータの距離を大にするとともに、軸を長く丈夫にしてモータとファンの距離を大にし、ファンから圧力室終端までの距離を大にしなければならないが、新たに、モータによる箱体振動音が増大したり、この場合も、モータの寿命を短くする問題がでてくる。
また、奥行方向に薄形にまとまらないので、貯蔵室の内容積を少なくしなければならないという問題があった。また整流ガイドにより作られた斜面に沿う方向付けられた流れは、前方の貯蔵室にとっては有益にならないばかりか、整流ガイドの傾斜面に囲まれた裏側の空間が有効に利用されていなかった。また、モータが冷却器とファンの間の狭い吸い込み通風路内にあるために、モータの取り付けおよびファンとマウスリングの芯出し作業のほか、顧客先でのサービス作業が困難であるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、凝縮器を機械室に設けてファンにより強制冷却するもので、低騒音の放熱構造が得られ、凝縮器を容易に取り外せるので廃家電の便利性に富み、さらに、食品収納容量を増大させ、電力消費を少なくしうる冷蔵庫を提供することを、その目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る冷蔵庫の基本的な構成は、貯蔵室を構成する断熱箱体とそれより外方のベースとの間に機械室を備え、この機械室にプロペラ形のファンと圧縮機とを並置し、前記ファンの吸込側に凝縮器を配置し、前記ファンの吐出側を冷蔵庫後面に向けてなる冷蔵庫において、前記ファンの回転する面の吐出側に対向して整流ガイドを備え、この整流ガイドは、前記ファンからわずかに離れ、その頂部がファン側となる傘形のディフューザ部を形成したものであり、このディフューザ部の背面にファンモータを配置し、前記整流ガイドのディフューザ部を前記ファンと同心にし、前記整流ガイドの中心にてファンモータの一端を支えてモータケースを兼ねたものである。
【0017】
より詳しくは、前記ファンの外周にファン用マウスリングを設け、前記圧縮機を前記ファンの半径方向に並置して、前記ファン用マウスリングの吐出側の面と前記整流ガイドのディフューザ部とにより構成される開口部に対向させ、前記ファンの回転に伴う吐出流が圧縮機部を経て冷蔵庫後方へ排出されるように構成したものである。
また、ファン用マウスリングの吐出側の面に、ファン側から半径方向外方に離れるにつれて整流ガイド側に傾斜する外方ディフューザを形成し、前記整流ガイドのディフューザ部とともに二重にディフューザを形成したものである。
【0019】
前記整流ガイドのディフューザ部は、少なくとも前記ファンのボス近傍からファン外径に対して0.7〜0.95の範囲に形成され、前記整流ガイドの頂部は、前記ボスの整流ガイドに対向する形状に合わせ、あるいは、前記整流ガイドのディフューザ部の傾斜の延長線上よりも、少なくともモータ側に寄せた形状に形成したものである。
【0020】
具体的寸法に関しては、前記整流ガイドのディフューザ部は、その傾斜角度を10°〜30°とし、前記ファンの羽根と前記整流ガイドのディフューザ部の最も接近した間隙寸法をファン外径寸法に対して0.03〜0.11にして、ファン中央のボスの外径寸法を前記ファンの外径寸法に対して0.25〜0.4に形成したものである。
【0021】
さらに、前記凝縮器を箱体前方の高さの小さい空間に扁平に収納し、前記ファンを箱体後方の高さの大きい空間に該ファンの吸込側を前記凝縮器に向けて配置し、前記断熱箱体とともに空間を包囲するダクトにて前記凝縮器から前記ファン迄を導通させ、ファン外径寸法および前記ファンの取り付け中心高さを上記箱体前方の高さの小さい空間の高さ寸法より大にし、前記圧縮機を前記ファンの半径方向に並置して、ファン用マウスリングの吐出側の面と前記整流ガイドのディフューザ部により構成される開口部に対向させ、吐出流が圧縮機部を経て冷蔵庫後方へ排出されるように構成したものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す冷蔵庫の機械室要部の縦断面図、図2は、図1の平面図、図3は、図1に示す機械室のファンおよびモータ周りの拡大図である。
図1,2,3において、1は機械室、2は機械室上方の断熱箱体であって、外側が鉄板で内側を発泡断熱層に構成している。3は機械室下方のベースであって、床面と並行になるようにほぼ水平にしてある。
【0023】
上記断熱箱体2とベース3との間は、断熱箱体2の後方の下方に傾斜部と、それに続いてさらに前方の下方に水平部を形成し、箱体前方に高さの小さいH1の空間1aと箱体後方に高さが大きいH2の空間1bを構成している。高さH2は後述する圧縮機14の収納必要高さ寸法でほぼ決まるものであって、上記空間1aから上方に高さH2の空間1bまで傾斜拡大させてある。4は凝縮器であって
、上記空間1aに外形が扁平で、フィンの向きを前後方向にして多数枚有したクロスフィンパイプ形の熱交換器として配置してある。
【0024】
5はプロペラ形のファンであって、前記高さの大きいH2の空間1bに配置し、空間1bの傾斜拡大する途中に位置させ、ファン5の回転平面を冷蔵庫の前後方向に向けてある。これにより、凝縮器4はファン5の吸い込み側に位置することになるので、凝縮器4側からファン5に風を直線状にスムーズに流入させることができる。また、ファン5は凝縮器4に近い位置となるので低く強い圧力で風を引くことができ、風量を増加できる。
【0025】
また、ファンの外径Df2およびファンの取り付け中心高さShは、前記H1寸法よりも大にしてある。これにより、高さの大きい空間1bを、ファンサイズを大にすることで有効に活用できることとなり、また、取り付け中心高さShを大にすることで羽根5aと後述するダクト7との間隙kおよびベース3との間隙を大きくできることとなり、羽根5a部および間隙k部の流速が低くなり騒音低減に寄与する。
【0026】
6はファン後方にある駆動用モータである。また、7はダクトであって、該ダクト7と断熱箱体2とで空間1aと空間1bとの間に上下から空間を区画して、空間を凝縮器4からファン5に至り導通させてある。8はファンのリング取付用の開口穴であって、ダクト7のファン側に位置し前後方向に向けて開口している。
【0027】
8aは入口側斜面であって、ダクト7の内壁面側から開口穴8の先端に向かって次第に吐出方向に傾斜させてある。これにより、従来のように垂直の面からの流入と異なり、図3中にPで示すように内壁面側からも容易に集風し、傾斜流入が多くなることにより、従来よりも流入速度の分布がよくなって、羽根5aにおける流入部有効面積をも多くして、羽根部の流速を下げ、風切音の低減に貢献させることができる。また、あらかじめ入口側斜面8aに沿った流れを作り、その流れを無理なく転向させて、後述する裏側(吐出側の面)のディフューザ部(9c)に十分に沿う流れを作らせるのを支援する。
【0028】
9はファン用のマウスリングであって、後方から上記開口穴8に円筒部9dを嵌め合わせて、ファン5の周囲にわずかに離れファンの吸い込み側と吐出側の圧力仕切を構成するものである。マウスリング9は、ファン寄りの端を第一の開口部9aとし、連続してそれよりやや外方の吐出側の面には、上記開口部9aの径よりやや大きい径の円筒状の第二の開口部9bを設け、さらに連続してファン側から半径方向外方に離れるにつれて、後述するファンの直後方に設けた整流ガイド側に傾斜する外方ディフューザ部9cを形成してある。この外方ディフューザ部9cは、外方から流れに近づくように傾斜することにより面部を負圧にし、それにより反対に吐出流を引き寄せ、図3中にQで示すように面に沿った吐出流をつくることができる。すなわち、ファンの吐出側の半径方向外方から羽根5a部に向かおうとする逆流を無くす作用をするものである。
【0029】
何らかの関係で万が一に面に沿う逆流があっても、本実施形態では第二の開口部9bを設けてあるので、前記逆流はこの縁部の急激な段差で離れ、そのタイミングで吐出流に載せられ、逆流が羽根5a部まで来るのを二重に防止できる構成になっている。これにより、外方からの巻き込み干渉による騒音の発生を防止することができる。
【0030】
10は整流ガイドであって、ファン5の回転平面吐出側に対向して、ファン5からわずかに離れ、ファン5と同心にして頂部10aがファン側となり、それより半径方向外方を直線上に傾斜する傘形のディフューザ部10bとなし、このディフューザ部10bはファン5のボス5bの近傍外方からファン5の外径Df2位置よりやや内側位置に対応する領域にかけて存在する。
【0031】
ディフューザ部10bは、ほぼ羽根5aの後縁(軸方向吐出端)におおまかに沿っており、図3中にRで示すように、吐出流を内方から斜流(斜め上方)に誘導し、ファン5の中央では、後方(下流)から羽根5a部に向かおうとする逆流が、閉鎖された頂部10aの存在により無くなることになり、内方からの巻き込み干渉による騒音の発生を防止することができる。
【0032】
また、ディフューザ部10bの外周縁部位置を、ファン5の外径Df2位置よりやや内側位置にし、ファン5からの距離を所定寸法にとることにより前記騒音防止効果を高めることができる。また、ディフューザを形成したことにより、遠心作用も生まれて斜流化となるので、遠心ファンの性質も持ち合わせることとなり、扁平形の通風抵抗の大きな凝縮器を用いてもファンの軸動力(モータに必要な力)は増加せずに、風圧が高くなり風量を増加できる利点がある。
【0033】
また、前記外方ディフューザ部9c、ディフューザ部10bは面に流れを引き寄せる作用があるので、二つのディフューザで挟み込んで、この間の流速分布を良くして最大流速を下げ、巻き込みの逆流防止と騒音低減効果を高めることができる。また、この種ファンは負荷(通風抵抗)が変わるとファン斜流の方向も変わろうとするが、本実施の形態は構造的に斜流にしているので、負荷変動に強く、例えば、凝縮器構造が変わったりごみが付着しても安定した低騒音性能を得ることができるものである。
【0034】
11はモータケースであって、モータ6を裏側に、すなわち、ディフューザ部10bそのものの背面に配置して、モータケース11の半分を整流ガイド10により兼ねているものであって、内部ではモータ6の一端の軸側の軸受部(軸側)を防振ゴム6cを介して支持している。防振ゴム6cにより整流ガイドの頂部10aは閉鎖され、軸6aは頂部10aから上流のファン5側に突出させてある。11aはモータ6の他端を支持する裏ケースである。
【0035】
これにより、吐出側の整流ガイド10の裏側にモータ6を収納してしまうので、モータケース11が風の障害になることはなく、モータケース11や軸6aによる乱れも発生することがない。したがって、耳障りな回転音はほとんどなくなるほか、凝縮器4とモータ6、ファン5とモータ6といった送風性能に影響する距離関係の問題が無くなり、風をスムーズに送り出すことができる。
【0036】
整流ガイドの頂部10aは、ファンのボス5bの整流ガイド対向する突出形状に合わせて、ディフューザ部10bの延長線上よりもモータ側に寄せたへこみ部10cを構成し、整流ガイド10とボス5bを近づけて、ディフューザ部10bを羽根5aに所定の距離gに近接させている。ここで、へこみ部10cの構成は、ボス5bの軸方向厚みを小にしないで済むために、羽根5aの強度を大に維持できるばかりか、モータ6をファン5に接触しない限りに近づけることができるので、前記凝縮器4を含めて、システムの奥行き寸法を小さくまとめることができることになる。したがって、その分凝縮器4を大きくして一層電力消費を少なくする、あるいは、凝縮器4の伝熱面積を同じでも更に扁平形にして後方に広げ、その分通風路の高さ寸法H1を低くして上方の貯蔵室の内容積をを広げることができる効果がある。
【0037】
また、モータの軸6aを短くできるので、軸振動による振動音が小になりモータ6の寿命も長くできるのに加え、ファン5の風が吐き出される空間1bは、高さ方向には少なくとも圧縮機の高さ以上、前後方向には少なくとも圧縮機の奥行き寸法以上、左右方向には冷蔵庫のほぼ横幅寸法と同等に大きくされており、当該空間1b内の圧力は低く圧力分布も比較的良好で、風の跳ね返りがないので、ファン周りの逆流が発生することなく、効果よく静音化ができる。
【0038】
12は支柱であって、円周方向に120°ピッチで3本設けてあり、整流ガイド10の外周縁部からマウスリングの第二の開口部9bの縁部と間にかけて位置して、マウスリング9と整流ガイド10とモータケース11を一体に樹脂成形してある。また、先に述べたようにモータケース11によりモータ6を軸心支持し、軸6aにファン5が取り付けられるために、ファン5に対する整流ガイド10およびマウスリング9が所定の位置に決まり、特に心出し作業を必要としない。
【0039】
さらに、部品をまとめ組品としてダクトの開口穴8にマウスリングの円筒部9dの裏面を嵌め合わせて、前方に押しとどめることで容易にセッテング終了となる利点がある。したがって、顧客先でのサービス作業が容易である。また、上記支柱12および整流ガイド10はファン5の露出度を少なくするので安全性も高まることになる。
【0040】
14は圧縮機であって、ファン5の半径方向である左右方向のいずれか一方に並置し、マウスリング9の吐出側の外方ディフューザ部9cと整流ガイドのディフューザ部10bにより構成される周方向の開口部13に対向するように位置している。15は機械室1のカバーであって、機械室1の最後方に位置し、少なくとも圧縮機14近傍に風の排出口15aを設けてある。
【0041】
これにより、ファン5からのディフューザにより狭められた開口部13から吹き出される風は、風速が大きく、図2中にSで示すように、そのまま直接圧縮機14に当てることができる。これにより、斜流の方向付けをそのまま有効に活用して、圧縮機14の冷却を促進し、加熱を防止し、効果よく電力消費を少なくすることができる。
【0042】
次に、整流ガイド10の構成およびファン5との良好な関係について説明する。ディフューザ部10bは、少なくともファンのボス5b近傍からから始まり、ディフューザ部外径Dd2がファン外径Df2に対して0.7Df2〜0.95Df2に構成するのが良好である。
【0043】
ディフューザ部外径Dd2について、これより大にすると吐出する斜流転換の流れを阻害して風量を減少させ、これより小にすると吐出流が軸方向に傾いてくるため半径方向外方から巻き込み逆流が発生する。ディフューザ部10bの内方は、羽根5a後縁におおまかに沿ってほぼボス5b部近傍に至ればよく、それより中央は、そのまま延長でもよく傾斜がゆるやかであってもよく、本実施例のように、反対にへこませてボス強度を確保し、軸6aを短縮し、あるいは、モータ収納に便利な形状をとることにより軸方向に薄形なシステムとして構成することもできる。
【0044】
羽根5aとディフューザ部の距離gは、性能に影響が大きく最接近部でファン外径Df2に対して0.03Df2〜0.11Df2に構成するのが良好である。これより大にするとディフューザ外周縁部から内方に向かう逆流が生じ、再度羽根5aに巻き込まれて干渉音を発生し、これより小にするとすると羽根5a後縁からの斜流転換に無理が生じて風量が減少するほかに、ディフューザ10bの表面に羽根後流渦が走ることになり騒音を高めることになる。
【0045】
ディフューザ部の傾斜角度θaは、外径側が、半径方向線に対して外径側が10°〜30°吐出方向に傾くのが良好である。傾斜角度θaをこれより大にするとディフューザ外周縁部から内方に向かう逆流が生じ、再度羽根5aに巻き込まれて干渉音を発生し、これより小にすると羽根5a後縁からの斜流転換の流れが急激になり風量が減少する。
【0046】
ファン中央のボス5bの大きさに関しては、羽根5aの外径側と根元の流れの速度差が大きいほど速度の大なる側、すなわち、外径側に偏り騒音を高くし、ファン中央からの逆流巻き込みも多くなり、これによっても騒音が高くなる。本発明では根元側から吐き出されてくる流れの近いところにディフューザ部10bを構成してあるので、流れを引き寄せる作用があることから、前記羽根部の速度差をある程度に抑えて、上記誘引力と釣り合うようにすれば、羽根間および吐出流の速度分布を良好にし、騒音低減に効果を得ることができる。
【0047】
試作検討した結果、ボス5bの大きさは、ファン外径Df2に対して0.25Df2〜0.4Df2にするのが良好であることがわかった。これは羽根5aの外径側と根本の周速度で代表すれば、比を、4:1〜2.5:1の範囲に抑えることである。ボス5bを、これより大にすると羽根5aのスパンが短くなって風量が減少し、これより小にすると周速度差が大となり、羽根間の流速分布が半径方向外方が大になる偏りが大きくなり、騒音の低減効果が少なくなる。
【0048】
次に、実際に第一の従来例に示す構造の総内容積430リットルの冷蔵庫に、本発明の要部のファンシステムを組み込んで効果の確認をした結果を説明する。整流ガイドのディフューザ部10bはファン5のボス近傍からから始まり、外径Dd2がファン外径Df2に対して0.875Df2、羽根とディフューザ部の距離gは0.058Df2、傾斜角度θaは、半径方向線に対して吐出方向に28°傾け、内方は羽根5a後縁におおまかに沿ってほぼボス部近傍とし、それより中央は反対にへこませて裏側にモータ6を収納した。
【0049】
また、マウスリング9の吐出側面にも半径方向線に対して上記ディフューザ部側に沿ってθbを18°に傾け、マウスリング9の入り口側にもダクト内面外方から開口穴8の内周先端に向かって半径方向線に対してθcを18°に傾けた斜面8aと、逆流戻し用第二の開口部9bを設けた構成とした。また、ファン中央のボス5bの大きさはファン外径Df2に対して0.292Df2(従来0.211Df2)と大きくした。
【0050】
その結果、ファンとして外径90mm、毎分回転数1550で運転していた従来例では、冷蔵庫の前方1mの位置における騒音が27dBであったのに対し、外径120mm、毎分回転数1100で17dBとなり、その差10dBと大幅に低減できたことを確認した。すなわち、その効果内訳を分析すると、同一通風抵抗の凝縮器を用いたことを条件に、純粋にファンサイズを120mmに大きくした効果は、ファンにとっては相対的に負荷が増加して動作点の比騒音の高くなる分がマイナスになったこともあって3dB程度である。したがって、本発明の全体の機器配置形状の構成はもとより、ディフューザの構成、モータケースの障害除去、マウスリングの改良、ファンボス比のアップを行った効果が7dBと大きいことを証明できるものである。
【0051】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、凝縮器を機械室に設けてファンにより強制冷却しても、低騒音なる放熱構造を得られるものである。また、これにより、凝縮器を容易に取り外せるので廃家電の便利性に富むほか、低騒音になる分の風量を増すならば、放熱構造をコンパクトすることもでき、貯蔵室を大にして食品収納容量を多くしたり、電力消費を少なくすることもできる。また、ファンシステムの取り付け作業、顧客先での交換作業も容易な構造も得られる。
【0052】
これを総合して、本発明によれば、凝縮器を機械室に設けてファンにより強制冷却するもので、低騒音の放熱構造が得られ、凝縮器を容易に取り外せるので廃家電の便利性に富み、さらに、食品収納容量を増大させ、電力消費を少なくしうる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す冷蔵庫の機械室要部の縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1に示す機械室のファンおよびモータ周りの拡大図である。
【図4】従来の冷蔵庫の機械室要部を示す略示縦断面図である。
【符号の説明】
1…機械室、2…断熱箱体、3…ベース、4…凝縮器、5…ファン、5a…羽根、5b…ボス、6…モータ、6a…軸、6c…防振ゴム、7…ダクト、8…開口穴、8a…入口側斜面、9…マウスリング、9a…第一の開口部、9b…第二の開口部、9c…外方ディフューザ、9d…円筒部、10…整流ガイド、10a…頂部、10b…ディフューザ部、11…モータケース、11a…裏ケース、12…支柱、13…開口部、14…圧縮機、15a…排出口、17…貯蔵室。

Claims (7)

  1. 貯蔵室を構成する断熱箱体とそれより外方のベースとの間に機械室を備え、この機械室にプロペラ形のファンと圧縮機とを並置し、前記ファンの吸込側に凝縮器を配置し、前記ファンの吐出側を冷蔵庫後面に向けてなる冷蔵庫において、
    前記ファンの回転する面の吐出側に対向して整流ガイドを備え、この整流ガイドは、前記ファンからわずかに離れ、その頂部がファン側となる傘形のディフューザ部を形成したものであり、このディフューザ部の背面にファンモータを配置し、前記整流ガイドのディフューザ部を前記ファンと同心にし、前記整流ガイドの中心にてファンモータの一端を支えてモータケースを兼ねたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記ファンの外周にファン用マウスリングを設け、前記圧縮機を前記ファンの半径方向に並置して、前記ファン用マウスリングの吐出側の面と前記整流ガイドのディフューザ部とにより構成される開口部に対向させ、前記ファンの回転に伴う吐出流が圧縮機部を経て冷蔵庫後方へ排出されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
  3. ファン用マウスリングの吐出側の面に、ファン側から半径方向外方に離れるにつれて整流ガイド側に傾斜する外方ディフューザを形成し、前記整流ガイドのディフューザ部とともに二重にディフューザを形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のもののいずれかの冷蔵庫。
  4. 前記整流ガイドのディフューザ部をファン用マウスリングと同心にし、これら二つの要素を数本の支柱を介して一体に樹脂成形して、ディフューザとモータケースの一部とマウスリングとを一部品に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のもののいずれかの冷蔵庫。
  5. 前記整流ガイドのディフューザ部は、少なくとも前記ファンのボス近傍からファン外径に対して0.7〜0.95の範囲に形成され、前記整流ガイドの頂部は、前記ボスの整流ガイドに対向する形状に合わせ、あるいは、前記整流ガイドのディフューザ部の傾斜の延長線上よりも、少なくともモータ側に寄せた形状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のもののいずれかの冷蔵庫。
  6. 前記整流ガイドのディフューザ部は、その傾斜角度を10°〜30°とし、前記ファンの羽根と前記整流ガイドのディフューザ部の最も接近した間隙寸法をファン外径寸法に対して0.03〜0.11にして、ファン中央のボスの外径寸法を前記ファンの外径寸法に対して0.25〜0.4に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のもののいずれかの冷蔵庫。
  7. 前記凝縮器を箱体前方の高さの小さい空間に扁平に収納し、前記ファンを箱体後方の高さの大きい空間に該ファンの吸込側を前記凝縮器に向けて配置し、前記断熱箱体とともに空間を包囲するダクトにて前記凝縮器から前記ファン迄を導通させ、
    ファン外径寸法および前記ファンの取り付け中心高さを上記箱体前方の高さの小さい空間の高さ寸法より大にし、
    前記圧縮機を前記ファンの半径方向に並置して、ファン用マウスリングの吐出側の面と前記整流ガイドのディフューザ部により構成される開口部に対向させ、吐出流が圧縮機部を経て冷蔵庫後方へ排出されるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のもののいずれかの冷蔵庫。
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