JP3678808B2 - 湿式摩擦材 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は自動車の自動変速機等において油中に浸した状態で使用されるクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合装置に用いる湿式摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の自動変速機においては、通常金属製である基板(芯金)の表面に湿式摩擦材を接着した複数のディスクプレートと、金属板等の一枚板からなる摩擦相手材としての複数のセパレートプレートとを交互に配した多板クラッチが組込まれ、潤滑油として使用されるATF(オートマチックトランスミッションフルード)の中で、これらのプレートを相互に圧接し、また解放することによって、駆動力を伝達または遮断するようにしている。また、この自動変速機には、反力要素を固定、解放するために、多板ブレーキまたはバンドブレーキも一般に組込まれている。
【0003】
そして、従来より、このような油中で使用される摩擦係合装置に用いる湿式摩擦材としては、焼結合金系、或いはコルク系等の湿式摩擦材も知られているが、「ペーパー摩擦材」とも呼ばれるペーパー系の湿式摩擦材が一般的である。この湿式摩擦材は、パルプやアラミド繊維等の基材繊維と摩擦調整剤や体質充填材等の充填材とを抄造して得た抄紙体に、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、加熱硬化して形成したものであり、軽量で、安価であるだけでなく、材質が多孔質で比較的弾性にも富むため油吸収性が高く、しかも、耐熱性、耐摩耗性等にも比較的優れている等の特長を有している。
【0004】
ここで、このようなペーパー系の湿式摩擦材において、樹脂結合剤として抄紙体に含浸させる熱硬化性樹脂は、基材繊維と充填材とを結合保持するために重要であるだけでなく、摩擦材の摩擦特性や耐摩耗性等にも大きな影響を及ぼすものである。そこで、この樹脂結合剤としては、耐熱性、結合性(接着性)に優れ、機械的強度も高く、しかも摩擦特性や耐摩耗性等も比較的良好であるフェノール樹脂が、一般に用いられている。なお、このフェノール樹脂はフェノール、クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを、酸性触媒またはアルカリ性触媒下で重縮合反応させて生成されるが、湿式摩擦材の場合には、その重縮合反応をアルカリ性触媒下で行って生成したレゾール型のフェノール樹脂が主に使用されている。
【0005】
また、湿式摩擦材の樹脂結合剤として使用されるこのようなフェノール樹脂については、これを更に変性して用いることも知られている。例えば、特開平1−288639号公報には、フェノール樹脂を、アルキルベンゼンとホルムアルデヒドとを重縮合反応させて生成したアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂によって変性することが開示されている。なお、このアルキルベンゼン変性フェノール樹脂の使用は、具体的には、低速すべり摩擦係合時に発生するスティックスリップのトルク振幅の減少を目的としている。
【0006】
更に、本出願人の先の提案にかかるものであるが、特公平5−26049号公報には、湿式摩擦材の摩擦係数の向上を目的として、フェノール樹脂を、桐油、アマニ油等の乾性油によって変性することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、自動車の低燃費化、高フィーリング化が進められ、それに伴なって自動変速機において潤滑油として用いられるATF(オートマチックトランスミッションフルード)も、その低摩擦特性化(低μ化)が図られている。即ち、ATFを低摩擦特性化することによって、その摩擦抵抗を少なくして自動変速機内での動力損失を低減し、また、変速時の摩擦係合装置の係合を滑らかにして変速ショックを防止し、フィーリング性を向上することである。
【0008】
しかし、このようにATFが低摩擦特性化されると、静摩擦係数も同時に低下するため、摩擦係合装置の静トルク容量が減少する。そして、その静トルク容量が不足すると、摩擦材と相手材との間にすべりが生じ、焼損の原因となる可能性もある。そのため、ATFの低摩擦特性化に伴なって、摩擦係合装置に用いる湿式摩擦材については、その静摩擦係数の向上が要望されている。
【0009】
また他方、湿式摩擦材の高い静摩擦係数は、摩擦係合装置、またはそれを組込んだ自動変速機等の軽量小型化、或いは低コスト化の点からも要望されている。つまり、高い静摩擦係数を有する湿式摩擦材の使用によって、高いトルク伝達容量を確保することができ、摩擦係合装置を形成するディスクプレート等の枚数を少なくできるからである。
【0010】
本出願人の提案にかかる上記の特公平5−26049号公報に開示の技術は、このような要望に鑑みてなされたものであり、静摩擦係数の向上を目的としている。そして、乾性油により変性された乾性油変性フェノール樹脂を湿式摩擦材の樹脂結合剤として使用することにより、その静摩擦係数を、動摩擦係数を高めることなく増大させることができる。即ち、乾性油の変性により、樹脂結合剤としてのフェノール樹脂の架橋密度が比較的低くなり、湿式摩擦材の柔軟性が増すため、相手材とのなじみ性が向上する。そのため、当り面が増加し、静摩擦係数を高めることができる。
【0011】
このように、樹脂結合剤としての乾性油変性フェノール樹脂の使用は、高い静摩擦係数を有する湿式摩擦材を得るために、非常に有効なものであった。しかしながら、この乾性油変性フェノール樹脂を使用した湿式摩擦材については、耐摩耗性において若干ではあるが低下する傾向が見られた。そして、このような耐摩耗性は、摩擦係合装置の小型軽量化または低コスト化を図り、摩擦係合要素の枚数等を少なくすると共に摩擦係合圧力を大きくする場合には、特に重要となるものである。
【0012】
そこで、本発明は、高い静摩擦係数を有し、かつ、耐摩耗性にも優れた湿式摩擦材の提供を課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題の解決のために、樹脂結合剤として用いるフェノール樹脂の変性に着目し、その変性材料について更に種々の模索と検討を重ねた。そしてその結果、フェノール樹脂を乾性油のみだけでなく、カシューナッツ殻液を併用して変性することにより、静摩擦係数をより高めることができ、かつ耐摩耗性も向上できることを見出だし、また確認した。
【0014】
即ち、本発明の湿式摩擦材は、基材繊維と充填材とからなる抄紙体に、フェノール樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、加熱硬化して形成された湿式摩擦材において、そのフェノール樹脂は、乾性油とカシューナッツ殻液とにより変性された乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂からなるものである。
【0015】
このように、樹脂結合剤であるフェノール樹脂として、乾性油だけでなく、カシューナッツ殻液を併用して変性したフェノール樹脂を使用するため、静摩擦係数をより高め、しかも耐摩耗性を向上することができる。この理由については、推測に過ぎないが、カシューナッツ殻液の変性によって、架橋密度が比較的低い乾性油の硬化性が向上され、その結果、耐摩耗性が向上すると共に、油膜切れ特性が向上して静摩擦係数がより高められると考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この湿式摩擦材について詳細に説明する。
【0017】
[抄紙体基材]
本発明の湿式摩擦材において、その基材である抄紙体は、従来と同様に、骨格を形成する基材繊維と、その基材繊維間に充填される摩擦調整剤や体質充填材等の充填材とからなる。
【0018】
ここで、基材繊維としては、木材パルプ、リンターパルプ等のセルロース系繊維、芳香族ポリアミド繊維、ノボロイド繊維等の有機繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール繊維等の無機繊維またはウイスカ、ステンレススチール繊維、真ちゅう繊維等の金属繊維、等が挙げられる。そして、これらの繊維は、それぞれ単独で、または任意に組合せて用いることができる。なお、パルプ以外のこれらの繊維としては、一般に、平均長さが0.5〜5mm程度であり、繊維径において0.1〜6μmのものが使用される。また、有機繊維としては、フィブリル化したものを使用することもできる。
【0019】
また、充填材としては、摩擦係数を高めると共に安定化する摩擦調整剤であるカシューダスト、主に耐摩耗性を向上するグラファイト、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、主に摩擦係数と熱伝導性を高めるためのアルミニウム粉、そして、体質充填材である硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウム、ケイソウ土、カーボン、等を使用することができる。なお、この体質充填材として、ケイソウ土は、それ自体が多孔質であり油の吸収性を有するため、特に好ましい。そして、その粒子径は、一般に2〜20μmが好ましく、4〜6μmがより好ましい。
【0020】
シート状基材である抄紙体は、これらの基材繊維及び充填材から、一般的な抄造法によって形成することができる。即ち、これらの材料を水中に分散してスラリを形成し、硫酸バンド等の定着剤または凝集剤によって定着または凝集した後、長網式または丸網式等の抄紙機を用い、所定の厚さのシート状に抄紙する。次いで、この湿潤状態の抄紙体を乾燥した後、打抜き等の手段によって、リング状或いはその他の所定の形状の抄紙体を形成する。なお、充填材は、その種類によっては、予め抄紙した基材繊維に、後からコーティング等により外填することもできる。
【0021】
[変性フェノール樹脂]
また、本発明の湿式摩擦材において、このような抄紙体に含浸され、基材繊維と充填材とを相互に結合保持する樹脂結合剤としては、上記のように、乾性油とカシューナッツ殻液とにより変性された変性フェノール樹脂を使用する。
【0022】
この変性フェノール樹脂は、乾性油と、カシューナッツ殻液と、フェノール類と、そしてアルデヒド類とを相互に反応させて得られ、また、一般にレゾール型のフェノール樹脂として形成される。具体的には、例えば、フェノール類と乾性油とカシューナッツ殻液との混合物を、予め酸性触媒存在下で加熱して反応させ、この反応生成物を中和した後、アルデヒド類を加えて塩基性触媒存在下で反応させレゾール化する方法によって、製造することができる。なおこの場合、カシューナッツ殻液は、そのレゾール化の段階で加えることもできる。また、まずフェノール類とカシューナッツ殻液との混合物にアルデヒド類を加えて反応させ、次いで乾性油を加えて反応させる方法等によっても、同様に製造することができる。
【0023】
ここで、フェノール類及びアルデヒド類としては、フェノール樹脂の製造に一般に使用されている任意のものを使用することができる。即ち、フェノール類としては、通常フェノールが用いられるが、クレゾール、或いはキシレノール等を用いることもできる。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、或いはベンズアルデヒド、更には加水分解によりホルムアルデヒドを生成するヘキサメチレンテトラミン等を用いることができる。しかし、これらの中でも、一般的にはホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを使用することができる。そして、アルデヒド類はフェノール類に対して過剰に用いられ、一般に、フェノール類1モルに対して1.1〜2.5のモル比で使用される。
【0024】
また、フェノール樹脂の変性に使用する乾性油としては、アマニ油、桐油、ヒマシ油、トール油等が挙げられ、特に、不飽和二重結合を2個以上有する脂肪酸を主成分とする油脂を好適に用いることができる。そして、この乾性油による変性は、変性フェノール樹脂全体に対して、一般に15〜55重量%の割合が好ましい。この割合が少ないと、硬化後のフェノール樹脂の十分な柔軟性が得られず、そのため、摩擦係数を十分に向上することができない。したがって、乾性油の変性量は、少なくとも15重量%以上であることが好ましい。しかし、多すぎる乾性油による変性は、その反対に、フェノール樹脂の耐熱性を低下させる傾向がある。そのため、その変性量は55重量%を限度として、それ以下であることが好ましい。より好ましい乾性油の変性量は、25〜50重量%である。
【0025】
また、フェノール樹脂の変性に乾性油と併用して使用されるカシューナッツ殻液は、カシューナッツの殻から採取された油状の液であって、フェノール誘導体であるカルダノールとカルドールを主成分とするものである。なお、このカシューナッツ殻液は、摩擦調整剤として用いられるカシューダストの原料であり、この場合フルフラール等によって硬化される。そして、このカシューナッツ殻液によるフェノール樹脂の変性は、変性フェノール樹脂全体に対して、実用上一般に10〜50重量%が好ましい。この変性量が少なく、一般に10重量%より少ないと、摩擦係数と耐摩耗性の向上効果が十分に得られない。しかし、変性量が多すぎると、摩擦係数と耐摩耗性は余り向上しないだけでなく、乾性油の場合と同様に耐熱性が低下する傾向がある。そのため、50重量%を限度として、それ以下の割合とすることが好ましい。より好ましいカシューナッツ殻液の変性量は、15〜40重量%である。
【0026】
ただし、これらの乾性油とカシューナッツ殻液とによるフェノール樹脂の変性量の合計は、変性フェノール樹脂全体の75重量%以下であることが好ましい。この合計の変性量が多すぎると、相対的にフェノール類の割合が少なくなり、フェノール樹脂の特性の一つである耐熱性を損なうことになるからである。そして、より好ましいその合計の変性量は、65重量%以下である。
【0027】
[湿式摩擦材の製造]
そして、この乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を上記の抄紙体に含浸し、加熱硬化することによって、本発明の湿式摩擦材が形成される。
【0028】
より具体的には、その含浸処理のために、変性フェノール樹脂は有機溶剤によって適当な濃度に稀釈して用いられ、そして、その変性フェノール樹脂溶液中に抄紙体を浸漬することによって、その含浸処理が一般に行われる。なお、その有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を、それぞれ単独でまたは2種以上混合して用いることができる。次いで、その変性フェノール樹脂溶液を含浸した抄紙体を、適宜乾燥した後、一般に150〜250℃の温度で加熱し、それによってその樹脂を硬化する。そして、こうして形成された湿式摩擦材は、予め接着剤を塗布したディスクプレート等の芯金に熱プレスすることによって、接着して用いられる。また、変性フェノール樹脂溶液を含浸した抄紙体を、直接芯金に熱プレスすることもできる。この場合、含浸された変性フェノール樹脂の硬化と芯金に対する接着とが同時に行われる。
【0029】
なお、ここで、乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂は、樹脂結合剤として基材繊維と充填材とを十分に結合保持するために、湿式摩擦材全体に対して、一般に15重量%以上の割合で含浸される。しかし、このように含浸され、硬化された変性フェノール樹脂の湿式摩擦材全体における割合、即ち、「樹脂率」は、得られる静摩擦係数と耐摩耗性に影響する。そのため、十分な静摩擦係数と耐摩耗性とを得るために、その樹脂率は、20〜50重量%が好ましい。即ち、静摩擦係数は樹脂率が多くなるに従って高くなる傾向にあり、そのため、実用上十分な摩擦係数を得るために20重量%以上であることが好ましい。しかし、逆に、樹脂率が多くなるに従って耐摩耗性が低下する傾向がある。そのため、実用上十分な耐摩耗性を得るために、樹脂率は50重量%以下であることが好ましい。そして、より好ましくは、この変性フェノール樹脂の樹脂率は25〜45重量%の範囲であり、更に、最も好ましくは30〜35%の範囲である。なお、このような樹脂率の設定は、含浸処理に使用する変性フェノール樹脂の溶液の濃度を適切に調節することによって行うことができる。
【0030】
このような本発明の湿式摩擦材、即ち、ペーパー系摩擦材は、自動変速機における摩擦係合装置、即ち、ATF中で使用される多板形クラッチ、或いは多板形ブレーキまたはバンドブレーキの摩擦材として利用することができる。また、その他の油中で使用されるクラッチ或いはブレーキ等の湿式摩擦係合装置の摩擦材としても、好適に利用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明する。
【0032】
〔実施例1〕
次のようにして、本発明の実施例1の湿式摩擦材を作製した。なお、この湿式摩擦材は、具体的には、自動車の自動変速機における摩擦係合装置(多板形クラッチ)に適用されるものである。
【0033】
〈変性フェノール樹脂の調製〉
まず、本実施例の湿式摩擦材の樹脂結合剤として使用する乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を、次のように調製した。
【0034】
即ち、フェノール25容量部、桐油50容量部、カシューナッツ殻液25容量部からなる混合物を、これに酸性触媒としてパラトルエンスルホン酸を添加し、80℃で3時間反応させた。次いで、この反応物にトルエンとトリエタノールアミンとを添加して希釈し、中和した後、37%ホルマリン(ホルムアルデヒド)と塩基性触媒としてのアンモニア水とを添加し、90〜100℃で4時間反応させた。そして、得られた反応物(レゾール)の脱水と脱トルエンを減圧下で行った後、メタノール及びトルエンの混合溶剤を再度加えて溶解し、所定の濃度に稀釈した。
【0035】
このようにして、乾性油である桐油とカシューナッツ殻液とにより変性されたフェノール樹脂、即ち、乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂(レゾール)の溶液を得た。この変性フェノール樹脂は、フェノール、乾性油、及びカシューナッツ殻液を、容量比で1:2:1とした混合物を原料とするものであり、したがって、乾性油及びカシューナッツ殻液の変性量は、樹脂全体に対して、それぞれ約50重量%、及び約25重量%に相当する。
【0036】
〈湿式摩擦材の作製〉
摩擦材の作製に際して、基材としての抄紙体を次のように作成した。リンターパルプ25重量部とアラミド繊維30重量部を水中に分散し、十分に叩解した後、カシューダスト15重量部及びケイソウ土30重量部を更に加え、撹拌して均一に混合し、分散させた。次いで、この水分散液(スラリ)を硫酸バンドにより定着させた後、丸網式抄紙機により抄紙して、厚さ約0.5mmのシート状(ペーパ状)の抄紙体を形成した。そして、この抄紙した抄紙体を乾燥した後、外径130mm、内径100mmのリングに打抜き、リング状の抄紙体を得た。
【0037】
なお、この抄紙体は、上記の成分から抄造され、基材繊維としてのリンターパルプ25重量%及びアラミド繊維30重量%と、充填材としてのカシューダスト15重量%及びケイソウ土30重量%とからなっている。
【0038】
そして、このリング状抄紙体に、上記の乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂溶液を、ディッピング法によって含浸させた。次いで、これを取出し、自然乾燥した後、リング状の金属製ディスクプレートからなる芯金との間に挟み、170℃×2分の加熱条件で熱プレス成形した。これによって、芯金に一体に接合されると共に、含浸された変性フェノール樹脂が硬化された湿式摩擦材を得た。ここで、上記の変性フェノール樹脂溶液はその濃度が予め調節されており、加熱硬化後のこの変性フェノール樹脂が湿式摩擦材全体において占める割合、即ち、「樹脂率」は、35重量%である。
【0039】
〈比較例1,2〉
また、実施例1の湿式摩擦材との対比のために、樹脂結合剤としてのフェノール樹脂の種類を変えて、比較例1及び比較例2の湿式摩擦材を作製した。
【0040】
比較例1の湿式摩擦材は、フェノール樹脂として、乾性油である桐油のみにより変性された乾性油変性フェノール樹脂を使用したものである。つまり、この乾性油変性フェノール樹脂は、実施例1で用いた乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂において、そのカシューナッツ殻液の配合を無くして調製したものである。具体的には、この乾性油変性フェノール樹脂は、フェノールと桐油とを容量比で1:1で用いて調製され、したがって、その乾性油(桐油)の変性量は、樹脂全体に対して約50重量%である。
【0041】
比較例2の湿式摩擦材は、フェノール樹脂として、無変性のフェノール樹脂を用いたものである。即ち、乾性油やカシューナッツ殻液等の変性剤を使用すること無く、フェノールのみを原料として調製したフェノール樹脂を、樹脂結合剤として用いたものである。
【0042】
なお、これらの比較例1,2はいずれも実施例1と同様に作製され、その「樹脂率」、即ち、摩擦材全体における乾性油変性または無変性フェノール樹脂の割合は、共に35重量%である。
【0043】
〈評価試験〉
次いで、このように作製した実施例1の湿式摩擦材と、樹脂結合剤であるフェノール樹脂の種類のみを変えて作製した比較例1及び比較例2の湿式摩擦材について、その摩擦特性と耐摩耗性に関する評価試験を行った。
【0044】
具体的には、各湿式摩擦材について、摩擦性能試験(SAE No.2)を次の条件で2000サイクル実施し、500サイクル毎に静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。また、この試験終了後の湿式摩擦材の厚さを測定し、予め計測した初期の値から差引いて、その摩耗量を求めた。
【0045】
(試験条件)
ダイナミック回転数DN:3600rpm
スタティック回転数SN:0.72rpm
負荷:3000N
イナーシャ:2.5kg・cm・sec 2
潤滑油:ATF(オートフールドタイプT)
潤滑油温度:120℃。
【0046】
実施例1及び比較例1,2の各湿式摩擦材について、500サイクル毎に測定した静摩擦係数の測定値を図1に、また、動摩擦係数の測定値を図2にそれぞれ示す。また、これらの各湿式摩擦材の摩耗量を図3に示す。
【0047】
図1は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の静摩擦係数を、係合サイクル数との関係において示す特性図であり、図2は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の動摩擦係数を、係合サイクル数との関係において示す特性図、図3は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の摩耗量を示す特性図である。
【0048】
〈試験結果〉
図1のように、樹脂結合剤であるフェノール樹脂として、乾性油とカシューナッツ殻液とにより変性した乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を使用した実施例1の湿式摩擦材の静摩擦係数は、係合サイクルが繰返されるに従って僅かに低下する傾向が見られるが、乾性油のみで変性した乾性油変性フェノール樹脂を使用した比較例1の湿式摩擦材、及び無変性のフェノール樹脂を使用した比較例2の湿式摩擦材よりも、高い値に維持されている。より具体的には、実施例1の湿式摩擦材の静摩擦係数は、比較例1と比べて0.005〜0.010高く、また、比較例2と比べると0.009〜0.018高い。
【0049】
その一方、図2のように、動摩擦係数においては、乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を使用した実施例1の湿式摩擦材は、比較例1及び比較例2の湿式摩擦材とほとんど同一の摩擦係数である。つまり、実施例1の湿式摩擦材によれば、動摩擦係数は従来レベルに維持される一方、高い静摩擦係数が得られている。
【0050】
また、図3のように、摩耗量については、実施例1の湿式摩擦材の摩耗量は0.016μmであり、同じ樹脂率である比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の摩耗量がそれぞれ0.022μm、0.020μmであることと比較して、顕著に少ない。即ち、乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を使用した実施例1の湿式摩擦材は、乾性油のみで変性したフェノール樹脂または無変性のフェノール樹脂を用いた比較例1及び比較例2の湿式摩擦材よりも、優れた耐摩耗性を示している。
【0051】
このように、実施例1の湿式摩擦材は、比較例1及び比較例2の湿式摩擦材よりも、静摩擦係数が高く、また摩耗量が少ない。そこで、樹脂結合剤としてのフェノール樹脂の種類のみを変えたこの評価試験の結果から、そのフェノール樹脂を乾性油とカシューナッツ殻液とで変性することによって、静摩擦係数をより高めることができると共に、耐摩耗性を向上することができることが分かる。なお、この理由については、次のように考えられる。つまり、乾性油による変性によって、フェノール樹脂及びそれを結合剤とする湿式摩擦材の柔軟性が高められ、摩擦係合する相手材とのなじみ性が向上して、摩擦係数が増加する。そしてその一方、カシューナッツ殻液による変性によって、硬化性が比較的低い乾性油の架橋密度が高められ、その結果、油膜切れ特性が向上して静摩擦係数がより高められ、また耐摩耗性が向上されると考えられる。
【0052】
そして、この乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を用いた湿式摩擦材は、動摩擦係数が増加しないため、低摩擦特性化されたATF中で使用される摩擦係合装置(多板形クラッチ)において、特に好適に利用することができる。即ち、動摩擦係数が低く保たれるため、良好な変速フィーリングが得られる一方、高い静摩擦係数を確保できるため、そのATFによる静トルク容量の不足を補い、焼損等の原因となる摩擦係合時の滑りを防止することができる。
【0053】
また、静摩擦係数が高く、しかも耐摩耗性に優れていることによって、摩擦係合装置を形成するディスクプレート等の摩擦要素の枚数を少なくすることができる。そして、それによって、摩擦係合装置の軽量小型化、或いはコストの低減を図ることができる。
【0054】
〔実施例2〜4〕
また、実施例1とは別に、「樹脂率」を変えた本発明の実施例2乃至実施例4の湿式摩擦材を作製し、それらについて、その摩擦特性と耐摩耗性に関する評価試験を行った。
【0055】
〈実施例2〉
まず、基材としての抄紙体を次のように作成した。リンターパルプ20重量部とアラミド繊維25重量部を水中に分散し、十分に叩解した後、カシューダスト25重量部及びケイソウ土30重量部を更に加え、撹拌して均一に混合し、分散させた。次いで、実施例1の場合と同様に、この水分散液(スラリ)を硫酸バンドにより定着させた後、丸網式抄紙機により抄紙して、厚さ約0.5mmのシート状(ペーパ状)の抄紙体を形成した。そして、この抄紙した抄紙体を乾燥した後、外径130mm、内径100mmのリングに打抜き、リング状の抄紙体を得た。
【0056】
この抄紙体は、基材繊維としてのリンターパルプ20重量%及びアラミド繊維25重量%と、充填材としてのカシューダスト25重量%及びケイソウ土30重量%とからなっている。つまり、この抄紙体は、実施例1の抄紙体と成分は同じであるが配合割合が異なり、カシューダストが10重量%増量され、その分だけ基材繊維の量を減じて形成されている。
【0057】
そして、このリング状抄紙体に、実施例1で使用した乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂の溶液を含浸し、後は実施例1と同じ工程を経て、乾燥し加熱硬化して、芯金と一体になった実施例2の湿式摩擦材を作製した。ただし、この実施例2の湿式摩擦材の「樹脂率」、即ち、湿式摩擦材全体における樹脂結合剤であるフェノール樹脂の割合は、20重量%である。そして、この樹脂率となるように、含浸する乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂の溶液の濃度を予め調節して使用した。
【0058】
〈実施例3〉
実施例2と同じ抄紙体及び樹脂結合剤を用いて、「樹脂率」のみを変えて実施例3の湿式摩擦材を作製した。
【0059】
この実施例3の湿式摩擦材の樹脂率は、35重量%である。なお、この樹脂率となるように、実施例2の場合と同様に、含浸する乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂の溶液の濃度を予め調節して使用した。
【0060】
〈実施例4〉
また同様に、「樹脂率」のみを50重量%に変えて、実施例4の湿式摩擦材を作製した。即ち、この実施例4の湿式摩擦材は、樹脂率においては異なるが、実施例2及び実施例3の湿式摩擦材と同一の組成成分からなっている。
【0061】
〈評価試験〉
このように「樹脂率」のみを変え、それぞれ20重量%、35重量%、及び50重量%とした実施例2乃至実施例4の湿式摩擦材について、その摩擦特性及び耐摩耗性の評価試験を、実施例1の場合と同様に行った。
【0062】
そして、摩擦特性については、摩擦性能試験(SAE No.2)を2000サイクル実施し、500サイクル毎に静摩擦係数を測定した。また、耐摩耗性については、その試験後の湿式摩擦材の厚さを測定して、摩耗量を求めた。ただし、この試験の条件は次のとおりである。
【0063】
(試験条件)
ダイナミック回転数DN:3600rpm
スタティック回転数SN:0.72rpm
負荷:1200N
イナーシャ:2.5kg・cm・sec 2
潤滑油:10W30
潤滑油温度:120℃。
【0064】
この試験結果を図4に示す。そして、この図4では、静摩擦係数が縦の実線として表され、また、摩耗量が棒状に表されている。
【0065】
図4は本発明の実施例2乃至実施例4の湿式摩擦材の樹脂率と、静摩擦係数及び摩耗量を示す特性図である。
【0066】
〈試験結果〉
図4のように、摩擦特性に関しては、樹脂率が20重量%である実施例2の湿式摩擦材の静摩擦係数は0.212〜0.238であるのに対して、樹脂率がそれぞれ35重量%及び50重量%である実施例3及び実施例4の湿式摩擦材の静摩擦係数は、ほぼ同じであって、0.225〜0.250である。したがって、乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を樹脂結合剤として使用したこれらの実施例の湿式摩擦材において、その樹脂率が多い程、静摩擦係数はより高くなる傾向が見られる。ただし、静摩擦係数にほとんど差が無い実施例3と実施例4からすると、樹脂率が一定の値を越えると静摩擦係数は増加しない傾向も見られる。
【0067】
また、摩耗量に関しては、実施例2では摩耗量は0.013μmと少ないのに対して、実施例3では0.020μm、実施例4では0.040μmに増加している。つまり、樹脂率が多くなるに従って摩耗量は増加する傾向が見られる。
【0068】
このように、この試験結果から、樹脂結合剤として乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂を用いた湿式摩擦材において、その樹脂率は、より高い静摩擦係数を得るためには多い程好ましく、また、より耐摩耗性を向上するためには、反対に少ない程好ましいことが分かる。そのため、樹脂率は、要求される静摩擦係数と耐摩耗性との関係において適宜に決めることができる。しかし、樹脂率を一定以上に多くしても静摩擦係数は増加しないことからすれば、その樹脂率は、良好な静摩擦係数と耐摩耗性とが共に得られる35重量%の内外である25〜45重量%が一般に好ましい。
【0069】
なお、本発明の湿式摩擦材については、主に、自動車の自動変速機における摩擦係合装置での使用と関連して説明したが、本発明を実施する場合には、このような用途での利用だけでなく、その他の湿式摩擦係合装置、即ち、油中で使用されるクラッチまたはブレーキ等の摩擦係合装置の湿式摩擦材としても、同様に有利に利用することができる。また、基材繊維の種類と組成割合等についても、上記の実施例に限定されることなく、種々に変更することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる湿式摩擦材は、基材繊維と充填材とからなる抄紙体に、フェノール樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、熱硬化して形成された湿式摩擦材において、そのフェノール樹脂は、乾性油とカシューナッツ殻液とにより変性された乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂からなるものである。
【0071】
したがって、この湿式摩擦材によれば、樹脂結合剤であるフェノール樹脂が乾性油とカシューナッツ殻液とによって変性されているので、無変性の場合よりも柔軟性を増すことができると共に、乾性油のみで変性した場合よりも硬化性を向上することができる。そのため、静摩擦係数をより高めることができ、かつ、耐摩耗性をより向上することができる。即ち、本発明にかかる湿式摩擦材は、高い静摩擦係数を有し、しかも、優れた耐摩耗性を有する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の静摩擦係数を、係合サイクル数との関係において示す特性図である。
【図2】 図2は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の動摩擦係数を、係合サイクル数との関係において示す特性図である。
【図3】 図3は本発明の実施例1と比較例1及び比較例2の湿式摩擦材の摩耗量を示す特性図である。
【図4】 図4は本発明の実施例2乃至実施例4の湿式摩擦材の樹脂率と、静摩擦係数及び摩耗量を示す特性図である。
Claims (1)
- 基材繊維と充填材とからなる抄紙体に、フェノール樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、加熱硬化して形成された湿式摩擦材において、
前記フェノール樹脂は、乾性油とカシューナッツ殻液とにより変性された乾性油及びカシューナッツ殻液変性フェノール樹脂からなることを特徴とする湿式摩擦材。
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