JP3678586B2 - 多階調画像のハーフトーン化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多階調画像をハーフトーン化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷の分野においては、多階調画像をハーフトーン化することによってハーフトーン画像である印刷画像が作成される。ハーフトーン化の方法としては、網点を用いるものが一般的である。
【0003】
網点は一定の間隔で格子状に配列されており、網点画像の濃度は単位面積当たりの網点の面積によって表現される。すなわち、網点の規則的な配列は常に一定であり、多階調画像信号のレベルの増加に応じて各網点を構成する黒画素の数が増加する。この明細書において、「画素」とは、画像記録装置における記録の1単位を意味する。例えば、レーザビームによって感光フィルムを露光する画像記録装置では、レーザビームの1スポットが1画素に相当する。
【0004】
なお、網点の規則的な配列は、スクリーン線数とスクリーン角度とによって規定される。「スクリーン線数」は単位長さ当たりに配列される網点の個数であり、「スクリーン角度」は網点が配列されている方向を示す角度である。スクリーン線数を増加させると、単位面積の中に形成される網点の数が増加するので、画像の細部の再現能力が向上する。但し、網点の数が増加するので、1つの網点を構成する画素の数は減少する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スクリーン線数を増加させた場合には、いわゆるハイライト領域(画像信号のレベルが低い階調範囲)において、以下のような問題がある。ハイライト領域のほぼ一様な濃度を有する画像部分においては、各網点を構成する画素数に多少のばらつきが存在するのが普通である。このため、各網点を構成する画素の数が過度に少ない場合には、網点毎の画素数の違いが目に付きやすくなり、画像のざらつき(ムラ)として認識される。一方、画像のざらつきが目立たない程度にスクリーン線数を低下させると、画像の細部を十分に再現することができないという問題がある。
【0006】
このように、従来の網点を用いたハーフトーン化技術では、比較的低い階調範囲において、画像のざらつきの緩和と画像細部の再現能力の向上という2つの要求を満足することが困難であった。
【0007】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、比較的低い階調範囲において、画像のざらつきの緩和と、画像の細部の再現能力という2つの要求を満足することのできる技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による方法は、多階調画像をハーフトーン化する方法であって、
階調レベルが約50%以下であるハイライト側の階調範囲を、階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、第2の階調範囲とに少なくとも区分し、
前記第1の階調範囲においては、画像平面上に繰り返し配置された所定の繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第1のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて前記複数の第1のドットを成長させ、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットに加えて、前記繰り返し領域内の前記複数の第1のドットとは異なる位置に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第2のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて少なくとも前記複数の第2のドットを成長させ、
前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットはそれぞれ不規則的に配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記ハーフトーン化方法によれば、第1の階調範囲においては、不規則的に配置された複数の第1のドットが成長するので、この階調範囲における画像のざらつきを緩和することができる。また、第2の階調範囲においては、第1と第2のドットを含む多数のドットを形成するので、画像の細部の再現能力が向上する。
【0010】
上記ハーフトーン化方法において、前記複数の第1のドットの配置は、前記繰り返し領域内において均一に近い分布を有することが好ましい。
【0011】
こうすれば、画像のざらつきを緩和することができる。
【0012】
また、上記ハーフトーン化方法において、前記複数の第2のドットの配置は、前記複数の第1のドットを取り囲むように前記複数の第1のドットの間の領域に分散し、かつ、不規則的に分布するように予め設定されていることが好ましい。
【0013】
こうすれば、第1と第2のドットの出現の空間周波数を高めることができるので、画像の細部の再現能力を高めることができる。
【0014】
上記ハーフトーン化方法において、前記複数の第2のドットの大きさは、前記第2の階調範囲を通じて前記複数の第1のドットの大きさ以下に保たれるようにしてもよい。
【0015】
複数の第2のドットは必ずしも均一に近い分布を有してはいないので、第2のドットを小さくしておけば、第2のドットがかなり集まっている部分においても画像のざらつきが見えにくくなる。
【0016】
また、上記ハーフトーン化方法において、前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットの位置は、前記繰り返し領域に複数のボロノイ多角形を形成し、前記複数のボロノイ多角形の複数の母点に前記複数の第1のドットを割り当てるとともに、前記複数のボロノイ多角形の複数の頂点に前記複数の第2のドットを割り当てることによって決定されているようにしてもよい。
【0017】
ここで、「ボロノイ多角形」とは、ある任意の母点と近傍の母点とを結ぶ直線の垂直二等分線をそれぞれ求め、これらの垂直二等分線同士の交点を結ぶことによって形成される多角形である。ボロノイ多角形の母点に第1のドットを配置するようにすれば、均一に近い分布で第1のドットを配置することができる。また、ボロノイ多角形の頂点に第2のドットを配置するようにすれば、第1のドットを取り囲むような分布で第2のドットを配置することができる。
【0018】
さらに、上記ハーフトーン化方法において、前記複数の第1のドットのそれぞれを構成する記録された画素の個数に関する前記複数の第1のドット同士の差は、前記第1と第2の階調範囲を通じて所定数以下に保たれ、
前記複数の第2のドットのそれぞれを構成する記録された画素の個数に関する前記複数の第2のドット同士の差は、前記第1と第2の階調範囲を通じて所定数以下に保たれることが好ましい。
【0019】
こうすれば、それぞれの階調範囲において、画像のざらつきを緩和することができる。
【0020】
また、上記ハーフトーン化方法であって、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットは前記多階調画像の階調レベルによらず一定の大きさを保つようにしてもよい。
【0021】
あるいは、前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットも前記多階調画像の階調レベルの増加に応じて成長するようにしてもよい。
【0022】
また、各画素は、2つの濃度階調でそれぞれ記録されるようにしてもよい。また、各画素が3つ以上の濃度階調でそれぞれ記録されるようにしてもよい。各画素が3つ以上の濃度階調で記録されるようにすれば、2つの濃度階調で記録される場合に比べてより滑らかな画像を得ることができる。
【0023】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。第1の態様は、多階調画像信号をハーフトーン化する装置であって、
閾値マトリクスメモリと、
前記閾値マトリクスメモリから読み出された閾値と前記多階調画像信号とを比較することによって、ハーフトーン画像を記録するための画像記録信号を生成する比較器と、を備え、
前記閾値マトリクスメモリに格納されている閾値は、
(i)階調レベルが約50%以下であるハイライト側の階調範囲を、階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、第2の階調範囲とに少なくとも区分し、
(ii)前記第1の階調範囲においては、画像平面上に繰り返し配置された所定の繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第1のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて前記複数の第1のドットを成長させ、
(ii)前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットに加えて、前記繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第2のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて少なくとも前記複数の第2のドットを成長させ、
(iii)前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットがそれぞれ不規則的に配置されるように決定されている、
ことを特徴とする多階調画像のハーフトーン化装置である。
【0024】
第2の態様は、多階調画像をハーフトーン化するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
階調レベルが約50%以下であるハイライト側の階調範囲を、階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、第2の階調範囲とに少なくとも区分し、
前記第1の階調範囲においては、画像平面上に繰り返し配置された所定の繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第1のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて前記複数の第1のドットを成長させ、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットに加えて、前記繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第2のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて少なくとも前記複数の第2のドットを成長させ、
前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットはそれぞれ不規則的に配置されるように、多階調画像をハーフトーン化するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体である。
【0025】
なお、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0026】
第3の態様は、コンピュータに上記の発明の機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様である。こうした態様では、プログラムをネットワーク上のサーバなどに置き、通信経路を介して、必要なプログラムをコンピュータにダウンロードし、これを実行することで、上記の画像処理方法や画像処理装置を実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
A.ハーフトーン化の概要:
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1(a)〜(f)は、本発明によるハーフトーン化の概要を示す説明図である。図1(f)に示すように、多階調画像の全階調範囲は、階調レベルの低い順に第1の階調範囲GR1と、第2の階調範囲GR2と、第3の階調範囲GR3とに区分されている。
【0028】
図1(f)の例では、第1の階調範囲GR1は階調レベルが0%から約14%までの範囲であり、第2の階調範囲GR2は階調レベルが約14%から約30%までの範囲である。第3の階調範囲GR3は、階調レベルが約30%から100%までの範囲である。但し、各階調範囲の境界における階調レベルは単なる例示である。なお、階調レベルは、ドット面積率や、多階調画像信号の信号レベルに相当する。また、「ドット面積率」は、画像平面上においてドットが占める面積の割合である。第1の階調範囲GR1は、階調レベルが最も低い範囲なので、「ハイライト領域」と呼ぶことができる。また、第2の階調範囲GR2は、「準ハイライト領域」と呼ぶことができる。さらに、第3の階調範囲GR3のうちで階調レベルがあまり高くない範囲は、「中間調領域」と呼ぶことができる。
【0029】
図1(a)〜(e)は、第1と第2の階調範囲GR1,GR2におけるドットの成長の様子を示している。第1の階調範囲GR1においては、画像平面上に繰り返し配置された繰り返し領域RA内に複数の親ドットが形成される。各親ドットは、図1(a),(b),(c)に示されているように階調レベルの増加とともに成長する。第1と第2の階調範囲GR1,GR2の境界(約14%の階調レベル)では、親ドットの成長が完了しており、一定の形状(図1(c)の例では4画素で構成される正方形)をそれぞれ有している。
【0030】
図1(d),(e)に示すように、第2の階調範囲GR2においては、繰り返し領域RA内に複数の小ドットが形成され、階調レベルの増加とともに成長する。一方、親ドットは成長しておらず、第1の階調範囲GR1の最も高い階調レベル(14%の階調レベル)における形状を保っている。図1(e)から理解できるように、第2の階調範囲GR2を通じて子ドットは親ドット以下の大きさに抑制されている。
【0031】
第3の階調範囲GR3では、階調レベルの増加とともに親ドットと子ドットが共に成長してゆく。なお、図1では、第3の階調範囲GR3におけるドットの例は省略されている。
【0032】
ところで、親ドットの位置は、繰り返し領域RA内において、ほぼ均一に、かつ、不規則的に分布するように予め設定されている。また、小ドットの位置は、親ドットを取り囲むように親ドットの間の領域に分散し、かつ、不規則的に分布するように予め設定されている。親ドットと子ドットの位置の決定方法については後述する。
【0033】
第1の階調範囲GR1内においては、各親ドットを構成する黒画素の個数の差が所定数以下(好ましくは1個以下)になるように、親ドットの成長が調整されている。また、第2の階調範囲GR2内においては、各子ドットを構成する黒画素の個数の差が、所定数以下(好ましくは1個以下)になるように、子ドットの成長が調整されている。これらの理由については後述する。
【0034】
また、第1と第2の階調範囲GR1,GR2を通じて親ドットと子ドットは互いに接合しないように成長する。ここで、「ドット」とは、1つの以上の特定色の画素(通常は黒画素)の集合部のことを言う。ここで、「画素」とは画像記録装置における記録の最小単位を意味している。
【0035】
図1(a)〜(f)に示すようなハーフトーン化技術は、以下のような効果を有している。第1に、第1の階調範囲GR1(ハイライト領域)においては、親ドットのみが形成されるので、ドット出現の空間周波数が比較的低く抑えられる。それ故、各親ドットを構成する黒画素の数が互いに異なっても、肉眼ではあまり目立つことがない。この結果、ハイライト領域における画像のざらつきが低減される。第2に、第2の階調範囲GR2においては、多数の親ドットと子ドットが形成されるので、画像の細部の再現能力が向上する。このように、図1(a)〜(f)に示すハーフトーン化技術では、50%以下の階調範囲において、画像のざらつきの緩和と、細部の再現能力の向上という2つの要求を満足することができる。第3に、第3の階調範囲GR3では、ドットの数が増加せずに各ドットが成長していくだけなので、ドットゲインがあまり大きくならないという効果もある。ここで、「ドットゲイン」とは、或るハーフトーン画像(例えば網フィルム上の画像)と、このハーフトーン画像から生成された次の工程のハーフトーン画像(例えば印刷版上の画像)とにおけるドットの面積率の増分を意味する。従来のハーフトーン化技術には、網点化の他に、FMスクリーニングと呼ばれる技術もある。このFMスクリーニングでは、階調レベルの増加に伴ってドットの数も増加していくので、中間的階調範囲において、ドットゲインが問題となることが多い。これに対して、本発明のハーフトーン化技術では、このようなドットゲインの問題も緩和されている。第4に、親ドットと子ドットの位置は不規則なので、カラー画像を印刷する際にもモアレを生じにくいという効果がある。従来のように、複数の色版の網点画像を刷り重ねてカラー画像を再現する場合には、各色版の網点同士が干渉してモアレが発生する場合があった。一方、本発明のハーフトーン化技術では、各色版のドットを異なる位置に分布させることによって、モアレの発生を容易に防止することができる。
【0036】
図2は、親ドットと子ドットの配置を示す説明図である。この例では、9つの繰り返し領域RAがタイル状に配列されており、親ドットと子ドットの位置が黒点で示されている。9つの繰り返し領域RAは、すべて同じドット配置を有している。図2の中央にある繰り返し領域RAにおいては、親ドットの黒点の周りに円が描かれており、また、それぞれ1つの親ドットを囲むように、子ドットを頂点とする多角形が多数描かれている。これらの多角形は「ボロノイ多角形」と呼ばれるものである。ボロノイ多角形は、ある任意の親ドットと近傍の親ドットとを結ぶ直線の垂直二等分線をそれぞれ求め、これらの垂直二等分線同士の交点を結ぶことによって形成される多角形である。ボロノイ多角形の頂点をボロノイ点、辺をボロノイ辺、親ドットを母点と呼ぶ。また、多数の母点に関するボロノイ多角形を示す図は、ボロノイ図と呼ばれる。ボロノイ図を用いた親ドットと子ドットの成長の中心位置(ドットセンタと呼ぶ)の決定方法についてはさらに後述する。
【0037】
ボロノイ図は、施設配置問題と呼ばれる地理的最適化問題の解法の1つとして知られている。施設配置問題は、2次元空間内に複数個の施設を配置する際に、2次元空間内に存在する多数の利用者が施設を利用する際の費用の総計が最も小さくなるように施設の配置を決定する非線形最適化問題である。ここで、「費用」の評価関数は、例えば利用者から各施設までの距離である。郵便局や公衆電話を利用しやすく配置するために、ボロノイ図を利用することができる。ボロノイ図については、例えば「計算幾何学と地理情報処理」,bit別冊(1986年9月号)、伊理正夫監修、共立出版、163〜168頁、1986年9月10日発行、に詳述されている。
【0038】
ボロノイ多角形の母点に親ドットの中心を配置し、ボロノイ点に子ドットの中心を配置するようにすることによって、以下のような種々の効果がある。まず、親ドット同士の距離がかなり均等になるので、第1の階調範囲GR1(ハイライト領域)における画像のざらつきを緩和することができる。また、第2の階調範囲GR2においては、多数の親ドットと子ドットが形成されるので、画像の細部の再現能力が向上する。
【0039】
なお、図1(a)〜(e)の例において、子ドットは第2の階調範囲GR2と第3の階調範囲GR3とを通じて成長を続けるので、子ドットを基準にして考えれば、これらの階調範囲GR2,GR3の境界は必ずしも明確になっている必要は無い。また、後述するように、第2の階調範囲GR2において、親ドットが成長を続けるような実施例も存在する。このような場合には、親ドットに関しても第2と第3の階調範囲GR2,GR3の境界が明確ではない。従って、第2と第3の階調範囲GR2,GR3の境界は明確である必要はない。従って、第2と第3の階調範囲GR2,GR3を1つの階調範囲として認識することも可能である。但し、階調レベルが50%以上の範囲では、画像平面の50%以上がドットで埋めつくされるので、親ドットや子ドットが互いに接合し始める。この現象を考慮すると、階調レベルが50%以下の範囲を少なくとも第1と第2の階調範囲に区分し、これらの階調範囲において親ドットと子ドットの成長を調整するようにすればよい。
【0040】
B.第1実施例:
図3は、本発明の第1実施例における処理手順を示すフローチャートである。ステップS1では、親ドットのドットセンタを母点とするボロノイ図を用いた施設配置問題を解くことによって、親ドットの位置を決定する。図4は、ステップS1における施設配置問題に用いられるマトリクスMT1と、最終的に得られる閾値マトリクスMT2との関係を示す説明図である。施設配置問題に用いられるマトリクスMT1は、M×M個の小区画SDを有している。一方、閾値マトリクスMT2は、N×N個の画素を有している。
【0041】
マトリクスMT1における1つの小区画SDは、閾値マトリクスMT2内における1つの小区画領域SDAに対応している。1つの小区画領域SDAは、Mag個の画素を含んでいる。図4の例では、Mag=9である。なお、1つの閾値マトリクスMT2は、前述した図1(a)〜(e)に示す1つの繰り返し領域RAに対応している。図3のステップS1では、後述するように、マトリクスMT1内において所定数の母点の位置が決定される。そして、マトリクスMT1内の母点の位置に対応する閾値マトリクスMT2内の画素位置が、親ドットのドットセンタとして選択される。例えば、図4の小区画SDが母点である場合には、これに対応する閾値マトリクスMT2内の小区画領域SDAの中心画素位置が、親ドットのドットセンタとして選択される。
【0042】
図5は、ステップS1の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS11では、ボロノイ図を用いたドットセンタの決定に関連する各種のパラメータを設定する。パラメータとしては、以下に示すようなものが存在する。
【0043】
(1)M:マトリクスMT1の一辺の長さ[小区画数]。
(2)N:閾値マトリクスMT2の一辺の長さ[画素数]。
(3)Mag:マトリクスMT1の1つの小区画SDに対応する閾値マトリクスMT2内の小区画領域SDAの画素数。N×N=M×M×Magの関係がある。図4の例では、Mag=9。
(4)Pcnt :マトリクスMT1内における母点の個数(すなわち繰り返し領域RA内の親ドットの個数)。
(5)Kcnt :マトリクスMT1内におけるボロノイ頂点の個数(すなわち繰り返し領域RA内の子ドットの個数)。
(6)Psize:第1の階調範囲GR1の最高の階調レベルにおける親ドットの最大サイズ[画素]。図1(c)の例では、Psize=4。
(7)Ksize:第2の階調範囲GR2の最高の階調レベルにおける子ドットの最大サイズ[画素]。図1(e)の例では、Ksize=2。
(8)Ssize:中間調領域においてドットゲインが問題とならない程度のサイズを有するドットの一辺の長さ[画素]。
【0044】
これらのパラメータは、以下のような手順で決定される。まず、母点の個数Pcnt は、以下の数式1に示すように、マトリクスMT1内の小区画の個数(M×M)の約15%未満に設定することが好ましい。
【0045】
【数1】
【0046】
母点の個数Pcnt が多いと親ドットの空間周波数が高くなり、画像のざらつきが生じやすい。一方、母点の個数Pcnt が少ないと画像の細部を再現することができない。上記数式1は、これらのバランスを考慮して決定されている。
【0047】
さて、マトリクスMT1におけるボロノイ多角形の平均面積は(M×M)/Pcnt[小区画]であり、これに対応する閾値マトリクスMT2におけるボロノイ多角形の平均面積は{(M×M×Mag)/Pcnt}[画素]である。1つのボロノイ多角形には1つの母点が含まれており、1つの母点は1つの親ドットに対応付けられる。従って、閾値マトリクスMT2内において、1つの親ドットは{(M×M×Mag)/Pcnt}個の画素に1つの割合で形成されることになる。閾値マトリクスMT2におけるボロノイ多角形の平均面積{(M×M×Mag)/Pcnt}は、画像にざらつきが無く、かつ、細部を再現可能なように実験的に決定される。この値は、次の数式2に示すように、例えば約64画素とすることが好ましい。
【0048】
【数2】
【0049】
ところで、パラメータMag(マトリクスMT1の1つの小区画SDに対応する閾値マトリクスMT2内の小区画領域SDAの画素数)と、Psize(親ドットの最大サイズ)とは、次の数式3を満足するように設定される。
【0050】
【数3】
【0051】
この数式3は、パラメータMagの値は、親ドットの最大サイズPsizeを包含するような正方形の領域の画素数で与えられることを意味している。例えばPsize=1ならばMag=1になり、Psize=2〜4であればMag=4に、また、Psize=5〜9であればMag=9になる。
【0052】
ところで、一般に、ドットのサイズが小さいとドットゲインが増大する傾向にある。親ドットや子ドットは、階調レベルが50%近傍の中間調領域においてもドットゲインが過度に大きくならない程度の十分な大きさを有することが好ましい。この意味からは、第2の階調範囲GR2における親ドットの最大サイズPsizeと子ドットの最大サイズKsizeは、以下の数式4を満足することが好ましい。
【0053】
【数4】
【0054】
ここで、Ssizeは、中間調領域においてドットゲインが問題とならない程度のサイズを有するドットの一辺の長さ[画素]である。
【0055】
また、前述した図2に例示されているように、ボロノイ多角形は、4角形、5角形、または、6角形となることが多い。この場合には、親ドットの個数Pcnt と子ドットの個数Kcnt に関して、以下の数式5が成立する。
【0056】
【数5】
【0057】
ところで、前述したように、第1と第2の階調範囲GR1,GR2は、ドット同士が接合しない約50%以下の階調範囲として設定される。第2の階調範囲GR2の最高の階調レベルが約50%未満になるという条件から、次の数式6が成立する。
【0058】
【数6】
【0059】
なお、数式6の左辺の分母は閾値マトリクスMT2内の画素数であり、分子は第2の階調範囲GR2の最も高い階調レベルにおける親ドットと子ドットの画素数の合計である。
【0060】
子ドットの最大サイズKsizeは、以下の数式7で与えられるように、親ドットの最大サイズPsize未満であることが好ましい。
【0061】
【数7】
【0062】
この理由は、以下の通りである。すなわち、前述した図2の例からも解るように、親ドットはボロノイ図の母点に配置されるので、親ドット同士の距離はかなり均等である。一方、子ドットはボロノイ頂点に配置されるので、子ドット同士の間隔には、かなりの長短のばらつきがある。従って、子ドットの最大サイズKsizeを親ドットの最大サイズPsize以上の値にしてしまうと、子ドット同士が接合してしまい、画像のざらつきを生じる可能性がある。上記数式7は、この問題を回避するための好ましい条件である。
【0063】
さて、図5のステップS11では、上述した数式1ないし数式7の条件を考慮して、各パラメータに適切な値を設定する。例えば、数式4および数式7を満たすパラメータとしてSsize=2(約2400dpiに相当),Psize=9,Ksize=5を選択する。このとき、M=100,Mag=9を仮定すると、数式1および数式2から、親ドットの数Pcnt としては1406〜1500の範囲の値が好ましい。例えば、親ドットの数Pcnt の値として1406[画素]を選択することができる。図5のステップS11におけるパラメータの設定は、これで完了する。なお、上述した8つのパラメータの中で子ドットの個数Kcnt は未定であるが、このパラメータKcnt は以下に説明するボロノイ図を用いた施設配置問題の解法結果として決定される。
【0064】
ステップS12では、ステップS11で決定された親ドットの数Pcnt に等しい数の母点を、マトリクスMT1内に配置する。図6(a)〜(c)は、ボロノイ図を用いた施設配置問題の解法の手順を示す説明図である。図6(a)には、マトリクスMT1内にPcnt 個の母点が配置されている状態を示している。但し、図6(a)では簡単のために母点の数Pcnt を少なくしている。図6(b)は、図6(a)に対応するボロノイ図を示している。このボロノイ図は、任意の母点と近傍の母点とを結ぶ直線の垂直二等分線をそれぞれ求め、これらの垂直二等分線同士の交点を結ぶことによって形成される。なお、ボロノイ図を作成する際には、マトリクスMT1が繰り返しタイル状に配列された状態を仮定するので、図6(b)においてもマトリクスMT1の外側に母点が描かれている。
【0065】
ステップS13では、各ボロノイ多角形の重心位置を計算し、各母点を重心位置にそれぞれ移動させる。この様子は、図6(c)に示されている。図6(c)の黒四角は移動前の母点の位置を示し、斜線が付された四角は重心位置(移動後の母点の位置)を示している。なお、マトリクスMT1のほぼ中央に存在する3つの母点は、移動前後で同じ位置を占めている。
【0066】
ステップS14では、複数の母点の移動量が所定の閾値以下であるか否かが判断され、閾値以下でなければステップS13を再度実行する。例えば、マトリクスMT1内のPcnt 個の母点についての移動量の合計を算出し、この合計値が5画素を越えていれば、ステップS13に戻り、母点を再度移動させる。一方、母点の移動量が閾値以下であれば、ステップS13〜S14の処理を終了する。こうしてステップS13〜S14の処理が収束すると、図2に示すようなボロノイ図が得られる。
【0067】
ステップS15では、ステップS13〜S14で形成されたボロノイ図において子ドットの個数Kcnt を求め、子ドットの個数Kcnt が前述した数式5および数式6を満たすか否かが判断される。Kcnt が数式5と数式6の少なくとも一方を満たしていなければ、ステップS15からステップS12に戻り、母点の初期位置を変更してステップS13〜S14の処理を再度実行する。このとき、母点の初期位置とともに、母点の個数Pcnt も数式1および数式2を満たす範囲で変更してもよい。こうして、子ドットの個数Kcnt が数式5および数式6を満たすまで、ステップS12〜S15の処理が繰り返し実行される。
【0068】
図5に示すステップS11〜S15の処理が完了すると、前述した図2に示すような収束したボロノイ図が得られる。例えば、ステップS11で設定されたパラメータ(Ssize=2,Psize=9,Ksize=5,M=100,Mag=9,Pcnt =1406)を用い、最終的に得られた子ドットの個数Kcnt が2800個になった場合を考える。この場合には、図1(f)に示す第1の階調範囲GR1の最も高い階調レベルは、次の数式8で与えられるように約14%となる。
【0069】
【数8】
【0070】
また、第2の階調範囲GR2の最も階調レベルは、次の数式9で与えられるように約30%となる。
【0071】
【数9】
【0072】
こうして収束したボロノイ図が得られると、図3のステップS2において、ボロノイ図の母点を親ドットのドットセンタに割り当てて、第1の階調範囲GR1における閾値分布を決定する。この際、前述した図4に示すように、ボロノイ図を求めるために使用したマトリクスMT1の各小区画SDをMag画素の小区画領域SDAにそれぞれ割り当てることによって、N×N画素領域である閾値マトリクスMT2の領域(すなわち繰り返し領域RA)を構成する。そして、この繰り返し領域RA内において、ボロノイ図の母点に相当する画素位置を親ドットのドットセンタとして割り当てる。第1の階調範囲GR1における閾値分布は、階調レベルの増加とともに親ドットがドットセンタを中心として成長するように決定される。通常は、より低い階調レベルで黒く塗りつぶされる画素に対して、より低い閾値が割り当てられる。例えば、閾値マトリクスMT2の100×100個の画素には0から9999までの閾値が配置されるが、第1の階調範囲GR1(0%から14%の範囲)で黒く塗りつぶされる画素には、0から1400までの閾値がステップS2において割り当てられる。
【0073】
図7(a),(b)は、第1の階調範囲GR1における親ドットの成長過程の一例を示す説明図である。図7(a)では、図示の便宜上、繰り返し領域RA内に親ドットPDが13個だけ形成されている。図7(b)は、図7(a)よりも階調レベルの高い状態を示しており、13個の親ドットPDの大きさが図7(a)に比べて増大していることが分かる。親ドットPDの最大サイズPsizeは9画素である。閾値マトリクスMT2内の閾値分布は、画像信号レベルが低いときに黒く塗りつぶされる画素においては閾値が小さく、画像信号レベルが高いときに黒く塗りつぶされる画素においては閾値が大きい。従って、繰り返し領域RA内において、階調レベルの増加(すなわち多階調画像信号の信号レベルの増加)に伴ってどの画素を黒く塗りつぶすかを決定することによって、閾値分布を決定することができる。
【0074】
なお、第1の階調範囲GR1の任意の階調レベルにおける複数の親ドットPDの間のサイズのばらつきは、1画素以下に抑えられている。こうすれば、画像のざらつきを小さくすることができる。また、ドットゲインを小さくするためには、複数の親ドットPDの形状をなるべく同じにすることが好ましい。図7(a),(b)の親ドットPDの形状は、これらの好ましい特徴をいずれも有していることが解る。
【0075】
図3のステップS3では、ボロノイ頂点を子ドットのドットセンタに割り当てて、第2の階調範囲GR2における閾値分布を決定する。この第1実施例においては、第2の階調範囲GR2における閾値分布は、階調レベルの増加とともに子ドットのみが成長し、親ドットは成長が停止しているように決定される。
【0076】
図8(a),(b)は、第2の階調範囲GR2における子ドットの成長過程の一例を示す説明図である。図8(a)では、図示の便宜上、繰り返し領域RA内に子ドットCDが27個だけ形成されている。また、親ドットPDは成長が完了して停止しており、それぞれ9画素分の正方形の形状を有している。図8(b)は、第2の階調範囲GR2の最も高いの階調レベルにおける状態を示しており、27個の子ドットCDが、それぞれ最大サイズKsize(=5画素分)を有する十字形になっている。
【0077】
なお、第1の階調範囲GR1における場合と同様に、第2の階調範囲GR2内においても、任意の階調レベルにおける複数の子ドットCDの間のサイズのばらつきは、1画素以下に抑えられている。また、ドットゲインを小さくするために、複数の子ドットCDの形状がほぼ同じになるように整形されている。
【0078】
図8(b)においては、繰り返し領域RA内のほぼ中央に存在する2つの子ドットCDa,CDbは、互いに接合している(すなわち左右または上下方向に隣接している)。この理由は、子ドットのドットセンタとして使用されるボロノイ頂点同士の距離が、ある程度以上になるようには最適化されていないからである。しかし、画像のざらつきを緩和し、また、細部の再現能力を向上させるという意味からは、第2の階調範囲GR1,GR2において、子ドット同士、また、親ドットと子ドットがなるべく接合しないようにすることが好ましい。
【0079】
図3のステップS4では、第3の階調範囲GR3以上の階調範囲における閾値分布を決定する。第3の階調範囲GR3以上の階調範囲における閾値分布は、階調レベルの増加とともに、各ドット(親ドットと子ドット)が成長していくように決定される。但し、各ドットは、それぞれのドットセンタを中心に成長するのではなく、近接しているドット同士がなるべく早く接合するように成長する。また、接合した後のドットの大きさの差がなるべく小さくなるように成長する。図9は、第3の階調範囲GR3におけるドットの一例を示している。
【0080】
こうして、繰り返し領域RA内のN×N個の画素にそれぞれ閾値が割り当てられて、閾値マトリクスMT2が完成する。例えば、閾値マトリクスMT2内の各画素には、0から(N×N−1)までの閾値が順番に割り当てられる。
【0081】
図3のステップS5では、こうして完成された閾値マトリクスMT2を用いて多階調画像信号をハーフトーン化することによって、ハーフトーン画像を表す2値の画像記録信号が生成される。ハーフトーン化を実行する装置については後述する。
【0082】
上記実施例によれば、ハイライト領域である第1の階調範囲GR1において画像のざらつきを緩和することができ、また、第2の階調範囲GR2において画像の細部の再現能力を向上させることができる。
【0083】
C.第2実施例:
図10は、第2実施例の第2の階調範囲GR2におけるドットの一例を示す説明図である。この第2実施例では、第2の階調範囲GR2において、子ドットCDが成長するだけでなく、親ドットPDも成長を続ける。第1と第3の階調範囲GR1,GR3におけるドットの成長は、第1実施例と同じである。
【0084】
このように、第2の階調範囲GR2において親ドットPDが成長を続けるようにしても、親ドットPDと子ドットCDとが共存することによる細部の再現能力の向上を達成することが可能である。但し、第2の階調範囲GR2において親ドットPDを成長させるようにすると、子ドットCDのサイズがそれだけ小さくなる傾向にある。あまり小さなドットは、印刷時の再現性(安定した形状とサイズのドットを印刷できるか否か)やドットゲインを悪化させる傾向がある。従って、印刷再現性の向上という観点からは、第2の階調範囲GR2において親ドットPDの成長を停止させておく方が好ましい。
【0085】
D.第3実施例:
図11は、第3実施例における階調範囲の区分を示す説明図である。第3実施例においては、0%から100%までの全階調範囲が第1ないし第5の階調範囲GR1〜GR5に区分されている。全階調範囲は、50%を中心にして対称に区分されている。すなわち、第1の階調範囲GR1は第5の階調範囲GR5と同じ幅を有しており、第2の階調範囲GR2は第4の階調範囲GR3と同じ幅を有している。なお、第1と第2の階調範囲GR1,GR2は、前述した図1に示すものと同じ幅を有している。
【0086】
第1ないし第5の階調範囲GR1〜GR5は、図11に示されているように、それぞれ「ハイライト領域」、「準ハイライト領域」、「中間調領域」、「準シャドー領域」、および、「シャドー領域」と呼ぶことができる。なお、中央の3つの階調範囲GR2〜GR4は、広義の「中間調領域」と呼ぶことも可能である。あるいは、第1と第2の階調範囲GR1,GR2を広義の「ハイライト領域」とよび、第4と第5の階調範囲GR4,GR5を広義の「シャドー領域」と呼ぶことも可能である。
【0087】
第1と第2の階調範囲GR1,GR2におけるドットの成長は、前述した第1実施例または第2実施例と同じである。以下に説明するように、第4の階調範囲GR4におけるドットの成長(すなわちこの階調範囲における閾値分布)は、第2の階調範囲GR2のドットの成長を参考として決定することができる。同様に、第5の階調範囲GR5におけるドットの成長は、第1の階調範囲GR1のドットの成長を参考として決定することができる。
【0088】
図12(a)〜(c)は、第3実施例の第4の階調範囲GR4におけるドットの形状の決定方法を示す説明図である。図12(a)は、第2の階調範囲GR2の最も高い階調レベルにおけるドットを示しており、前述した図8(b)と同じものである。図12(b)は、図12(a)の各ドットを3画素ずつ右に移動させた位置に、第4の階調範囲GR4における白ドットWDを配置した状態を示している。ここで、「白ドット」とは、他の部分が黒く塗りつぶされた後に残る白画素の集合部を言う。なお、白ドットWDと区別するために、以下では図12(a)のような黒画素の集合部を「黒ドットBD」と呼ぶ。
【0089】
図12(b)では、矢印Paで示される位置において、十字形の黒ドットBDと十字形の白ドットWDとが重なりあっている。すなわち、この位置Paには既に黒ドットBDが存在するので、白ドットWDを配置することはできない。そこで、図12(c)に示すように、黒ドットBDと重なっている白ドットWDの位置を、矢印Pbで示される位置に変更する。この結果、黒ドットBDとは重ならない位置にすべての白ドットWDを配置することができた。第4の階調範囲GR4においては、図12(c)に示す白ドットWDを残して、他の画素がすべて黒く塗りつぶされた状態が発生する。
【0090】
前述したように、第2の階調範囲GR2と第4の階調範囲GR4は、50%の階調レベルを中心として対称に設けられている。また、図12(a)に示す黒ドットBDは、第2の階調範囲GR2の最も高い階調レベルにおいて形成されるものである。従って、図12(c)に示す白ドットWDは、第4の階調範囲GR4の最も低い階調レベルにおいて形成されるものである。図11の例で言えば、図12(a)は30%の階調レベルの状態を示し、図12(c)は70%の階調レベルの状態を示している。ところで、第1と第2の階調範囲GR1,GR2(0%〜30%)における黒ドットの成長の過程は、前述した第1実施例に従って決定されている。そこで、第1と第2の階調範囲GR1,GR2における黒ドットの成長の過程をほぼ逆にすることによって、第4と第5の階調範囲GR4,GR5(70%〜100%)における白ドットの縮小の過程を決定することができる。このとき、白い親ドットの最大サイズは黒い親ドットの最大サイズPsizeに等しく設定され、白い子ドットの最大サイズも黒い子ドットの最大サイズKsizeに等しく決定される。また、白い親ドットを構成する画素数のドット毎の差は1画素以下に保たれ、白い親ドット同士の形状もほぼ同じになるように整形される。同様に、白い子ドットを構成する画素数のドット毎の差も1画素以下に保たれ、また、白い子ドット同士の形状もほぼ同じになるように整形される。
【0091】
なお、前述したように、黒ドットの成長過程は黒ドットを構成する画素位置における閾値分布に一対一に対応付けられるので、同様に、白ドットの縮小過程は白ドットを構成する画素位置における閾値分布に一対一に対応付けられる。従って、白ドットの縮小過程を決定することによって、第4と第5の階調範囲GR4,GR5における閾値分布を求めることができる。
【0092】
なお、第5の階調範囲GR5においては、白い親ドットがそれぞれのドットセンタを中心に形成され、階調レベルの減少とともに成長すると考えることもできる。同様に、第4の階調範囲GR4においては、白い子ドットがそれぞれのドットセンタを中心に形成され、階調レベルの減少とともに成長すると考えることもできる。なお、第4の階調範囲GR4においては、白い親ドットは、第1実施例と同様に成長が停止していてもよく、あるいは、第2実施例と同様に成長を継続していてもよい。
【0093】
図13は、第3実施例の第3の階調範囲GR3におけるドットの成長の様子を示す説明図である。図12(c)と図13とを比較すれば分かるように、図13では、図12(c)で形成されていた黒ドットBDのいくつかが成長している。ところで、図12(c)に示す黒ドットBDは、第2と第3の階調範囲GR2,GR3の境界の階調レベルにおいて形成されたものであり、また、白ドットWDは、第3と第4の階調範囲GR3,GR4の境界の階調レベルにおいて形成されるものである。従って、第3の階調範囲GR3では、図12(c)に示す白ドットWDを浸食しないように、黒ドットBDが階調レベルの増加とともに成長していくことになる。図13は、このようにして黒ドットBDが少し成長した状態を示していることが理解できる。第3の階調範囲GR3においては、各黒ドットBDが次第に成長してゆき、第3の階調範囲GR3と第4の階調範囲GR4との境界において、図12(c)および図13に示す白ドットのみが白く残り、他の画素が黒く塗りつぶされた状態となる。
【0094】
上述した第3実施例によれば、第5の階調範囲GR5(シャドウ領域)および第4の階調範囲GR4(準シャドウ領域)においても、画像のざらつきが少なく、かつ、細部の再現能力を向上させることができるという利点がある。
【0095】
E.第1の画像記録装置の構成:
図14は、本発明の第1ないし第3実施例を適用してハーフトーン画像を形成する第1の画像記録装置の構成を示すブロック図である。この第1の画像記録装置は、多階調画像データIDを記憶する画像メモリ20と、画像平面の副走査アドレス(Xアドレス)と主走査アドレス(Yアドレス)をそれぞれ発生するアドレス発生器24,26と、閾値マトリクスを記憶する閾値マトリクスメモリ30と、閾値マトリクス内の副走査アドレス(xアドレス)と主走査アドレス(yアドレス)をそれぞれ発生するアドレス発生器32,34と、比較器(コンパレータ)40と、出力装置50と、を備えている。画像メモリ20には、色成分毎に異なる閾値分布を有する閾値マトリクスが記憶されている。画像メモリ20と閾値マトリクスメモリ30には、複数の色成分のいずれか1つを示す色成分指定信号Scが、図示しないコントローラ(例えばCPU)から与えられている。
【0096】
画像メモリ20からは、色成分指定信号Scに応じた色成分の多階調画像データIDが、XアドレスとYアドレスに応じて読出される。また、閾値マトリクスメモリ30からは、色成分指定信号Scに応じた色成分の閾値TDがxアドレスとyアドレスに応じて読み出される。
【0097】
比較器40は、多階調画像データIDと閾値TDを比較し、その比較結果に応じて各スポットのオン/オフを示す記録信号RSを生成して出力装置50に供給する。出力装置50としては、例えば、感光フィルムなどの感光媒体上にハーフトーン画像を記録する記録スキャナや、印刷紙上にインクを直接塗布することによって印刷物を作成するデジタル印刷機等を使用することができる。図14に示す画像記録装置は、上述したいずれかの実施例に従って作成された閾値マトリクスを用いているので、50%以下の階調範囲において、画像のざらつきが少なく、かつ、細部の再現能力に優れたハーフトーン画像を記録することができる。なお、この第1の画像記録装置は、以下に説明する第4実施例にも適用可能である。
【0098】
F.第4実施例:
上述の第1ないし第3実施例では、1つの繰り返し領域内にかなり多数の親ドットと子ドットが含まれていたが、1つの繰り返し領域内には、2つ以上の親ドットと2つ以上の子ドットとが含まれていればよい。以下に説明する第4および第5実施例は、1つの繰り返し領域内に含まれる親ドットと子ドットの数が比較的少ない場合の例である。
【0099】
図15は、第4実施例において使用される閾値マトリクスを示す説明図である。この閾値マトリクスは、16×16画素で構成される1つの繰り返し領域RAaに対応している。繰り返し領域RAa内の各画素PXには、閾値がそれぞれ設定されている。なお、以下の説明の便宜上、閾値マトリクスの全体が4つの小領域SR1〜SR4に区分して描かれている。
【0100】
図15の例では、256個の画素に対して0〜255の範囲の互いに異なる閾値が割り当てられている。しかし、複数の画素に同じ閾値を割り当てるようにしてもよい。例えば、閾値の最大値「255」を「254」に置き換えて、「254」の閾値が2つの画素に割り当てられるようにしてもよい。
【0101】
各画素の記録信号RSのレベル(記録の有無)は、閾値TDと多階調画像データIDとの関係に応じて次のように決定される。
TD<IDの時:記録信号RS=1(記録),
ID≦TDの時:記録信号RS=0(非記録)
【0102】
図16は、第4実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットPDaの成長過程を示す説明図である。図16(A)は、画像データIDの値が4の場合であり、図15の閾値マトリクスにおいて閾値TDが3以下の4個の画素が点灯している。なお、「点灯」とは、感光材を露光することによって画像を記録する露光式の画像記録装置において、画素を記録するための光スポットがオン状態になることを意味している。本明細書において、「点灯」と「記録」とは、ほぼ同じ意味で使用されている。
【0103】
図16(A)において、繰り返し領域全体における記録面積率は1.6%(=4/256)である。また、4つの小領域SR1〜SR4において記録される画素(点灯画素)の面積率(以下、「記録面積率」と呼ぶ)は、それぞれ4.7%,0%,0%,1.6%である。4つの小領域SR1〜SR4の記録面積率の誤差の最大値は3.1%とかなり大きい。ここで、「記録面積率の誤差」とは、繰り返し領域全体の記録面積率と、小領域の記録面積率との差分である。なお、本明細書において、「記録面積率」と「階調レベル」とは同義語である。
【0104】
図16(B)は、画像データIDの値が15の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は5.9%(=15/256)である。また、4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率は、それぞれ12.5%,1.6%,1.6%,7.8%である。この場合にも、4つの小領域SR1〜SR4の記録面積率の誤差の最大値は6.6%とかなり大きいことが解る。図16(B)における画像データIDのレベルは、第1の階調範囲と第2の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応しており、すべての親ドットPDaが所定の形状(十字状)に成長している。
【0105】
図17は、第4実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットCDaの成長過程を示す説明図である。図17(A)は、画像データIDの値が20の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は7.8%(=20/256)である。また、4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率は、それぞれ15.6%,4.7%,3.1%,7.8%である。4つの小領域SR1〜SR4の記録面積率の誤差の最大値は7.8%とかなり大きい。
【0106】
図17(B)は、画像データIDの値が27の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は10.5%(=27/256)である。また、4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率は、それぞれ17.2%,9.4%,6.3%,9.4%である。この場合にも、4つの小領域SR1〜SR4の記録面積率の誤差の最大値は6.7%とかなり大きいことが解る。図17(B)における画像データIDのレベルは、第2の階調範囲と第3の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応しており、すべての子ドットCDaが所定の形状(L字状)に成長している。また、第2の階調範囲においては、親ドットPDaは、十字状の一定の形状に保たれている。
【0107】
図18は、第4実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図である。第3の階調範囲では、親ドットPDaも子ドットCDaも共に成長してゆく。図18は、画像データIDの値が40の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は15.6%(=40/256)である。また、4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率は、それぞれ25%,14.1%,10.9%,12.5%である。この場合にも、4つの小領域SR1〜SR4の記録面積率の誤差の最大値は9.4%とかなり大きいことが解る。
【0108】
この第4実施例では、1つの繰り返し領域RAaに含まれる親ドットと子ドットの数が比較的少ないので、繰り返し領域RAa内の4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率にかなり大きな差が生じてしまう。このような記録面積率の局所的な不均衡は、肉眼で濃度のムラとして見えてしまう可能性がある。以下に示す第5実施例は、各画素を3階調以上の多階調で再現することによって、記録面積率の局所的な不均衡を緩和している。
【0109】
G.第5実施例:
図19は、第4実施例において使用される閾値マトリクスを示す説明図である。図19(A)に示すように、この閾値マトリクスの繰り返し領域RAbは4つの小領域SR1〜SR4に区分されている。
【0110】
図19(B)は、1つの小領域内の閾値マトリクス(小閾値マトリクス)を示している。図19(B)において実線で区切られた矩形は、画素PXに対応している。また、各画素PXは、破線で示されるように、4つの小区画DXに区切られており、各小区画DX毎に1つの閾値が割り当てられている。図19(B)における画素PXは、図15に示す画素PXと同じものであるが、図示の便宜上、図19(B)では拡大されて描かれている。
【0111】
1つの画素PXは4つの小区画DXに区分されているので、1つの画素PXに対して4つの異なる閾値が割り当てられていることになる。小区画DXは、記録の単位である画素の2倍の解像度を有していると考えることもできる。1つの小領域SR1は256個の小区画で構成されており、1つの小領域SR1内の閾値は0〜255の範囲の値を有している。小閾値マトリクス内の小区画DXの位置は、主走査アドレスjと副走査アドレスiとで規定されている。なお、4つの小領域SR1〜SR4は、すべて同じ小閾値マトリクスを有している。従って、図19における最小の繰り返し領域(「繰り返し単位領域」とも呼ぶ)は、1つの小領域と同じものである。
【0112】
第5実施例では、各画素PXは、4つの閾値と多階調画像データIDとの比較結果に応じて、5つの階調の中のいずれかのレベルで再現される。すなわち、1つの閾値TDと多階調画像データIDとの比較結果は、以下のような2値データDon/off (以下、「2値比較結果」とも呼ぶ)で表される。
【0113】
TD<IDの時:Don/off =1(オン);
ID≦TDの時:Don/off =0(オフ)
【0114】
この2値比較結果Don/off は、各画素毎に累計(加算)される。従って、各画素毎の2値データDon/off の累計値nは、0〜4の範囲の整数となる。累計値nが0の時にはその画素は全く記録されず、累計値nが1〜4の場合には、その値に応じた濃度で画素が記録される。
【0115】
図20は、第5実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットPDbの成長過程を示す説明図であり、第4実施例の図16に対応している。図20(A)は、画像データIDの値が4の場合を示しており、図15の閾値マトリクスにおいて3以下の閾値TDを含む画素が記録されている。ただし、図20(A)では、記録される画素の濃度はベタ濃度の1/4である。以下では、各画素の5つの濃度レベルを0(非記録),1/4,2/4,3/4,4/4(ベタ濃度)と記し、これらを「濃度階調」と呼ぶ。
【0116】
図20(A)における記録面積率は1.6%である。なお、第5実施例において、記録面積率は以下のように定義される。
【0117】
[記録面積率]=[記録される画素の濃度階調の累計値]/[画素数]。
【0118】
この記録面積率の定義は、各画素が2値で記録される場合(第1ないし第4実施例の場合)にも適用可能である。
【0119】
図20(A)の例では、[記録される画素の濃度階調の累計値]は64/4=16であり、[画素数]は256である。従って、記録面積率は16/1024=1.6%である。この記録面積率は、4つの小領域SR1〜SR4に共通している。
【0120】
前述した第4実施例の図16(A)とを比較すると、図20(A)は、以下のような特徴がある。第1に、図20(A)では、4つの小領域SR1〜SR4における記録面積率が互いに等しく、記録面積率の局所的な不均衡が発生していない。第2に、図20(A)において1つのドットを形成する画素の数は、図16(A)において1ドットを形成している画素の数以上である。第3に、図20(A)では、1つの繰り返し領域内に形成される親ドットPDbの数は、図16(A)よりも多い。これらの特徴を有する結果、第5実施例では、第4実施例に比べて濃度ムラの少ない滑らかな画像を記録することができる。
【0121】
図20(B)は、画像データIDの値が20の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は7.8%(=20/256)である。図20(B)における画像データIDのレベルは、第1の階調範囲と第2の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応しており、すべての親ドットPDbが所定の形状(正方形状)に成長している。但し、正方形を構成する4つの画素の濃度階調は、2/4が2つと、3/4が2つである。すなわち、第5実施例では、第1の階調範囲と第2の階調範囲の境界の階調レベルにおいては、各親ドットが一定の形状と濃度とを有するようにそれぞれ成長している。
【0122】
図21は、第4実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットCDbの成長過程を示す説明図である。図21(A)は、画像データIDの値が23の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は9%(=23/256)である。図21(B)は、画像データIDの値が26の場合を示しており、繰り返し領域全体における記録面積率は10.2%(=26/256)である。図17(B)における画像データIDのレベルは、第2の階調範囲と第3の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応しており、すべての子ドットCDaが一定の形状(正方形状)と濃度(濃度階調が1/4の画素が2つと2/4の画素が2つ)に成長している。また、図20(B),図21(A),21(B)を比較すれば解るように、第2の階調範囲においては、親ドットPDbは一定の形状と濃度に保たれている。
【0123】
図22は、第5実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図である。第3の階調範囲では、画像データIDのレベルの増大に応じて、親ドットPDbも子ドットCDbも共に成長してゆく。なお、第5実施例において、「ドットが成長する」とは、そのドットに含まれる画素の濃度階調が高くなる場合と、ドットに隣接していた非記録画素が1/4以上の濃度階調になる場合と、の2つの場合を含んでいる。
【0124】
このように、第5実施例では各画素を5つの濃度階調で記録するようにしたので、局所的な濃度のムラを低減でき、より滑らかな画像を記録することができる。なお、第5実施例では、4つの小領域SR1〜SR4に対して同一の小閾値マトリクス(図19(B))を適用することとしたので、1つの繰り返し領域全体として、第4実施例と同じ階調(256階調)を再現できるに過ぎなかった。しかし、4つの小領域SR1〜SR4に互いに異なる小閾値マトリクスを割当てるようにすれば(すなわち、4つの小領域SR1〜SR4に含まれる小区画DXに互いに異なる閾値を割り当てるようにすれば)、4倍の階調数で画像を記録することが可能である。一般に、各画素を(m+1)個の濃度階調で記録可能な場合には、各画素を2値で(すなわち2個の濃度階調で)記録可能な場合に比べてm倍の階調数で画像を記録可能である。例えば、第5実施例のように各画素を5個(m=4)の濃度階調で記録可能な場合には、第4実施例のように2値で画素を記録する場合に比べて4倍の階調数で画像を記録することができる。
【0125】
H.第6実施例:
図23および図24は、第6実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットの成長過程を示す説明図である。第6実施例では、1つの繰り返し領域RAc内が16個の小領域に区分されている。各小領域は64個の画素を含んでおり、各小領域の中にそれぞれ1個の親ドットPDcが形成される。また、各画素は、0,1/4,2/4,3/4,4/4の5つの濃度階調で記録可能である。
【0126】
図24は、第1の階調範囲と第2の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応している。従って、図24では、すべての親ドットPDcが一定の形状と濃度に至るまで成長している。
【0127】
図25および図26は、第6実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットの成長過程を示す説明図である。図25から解るように、各小領域の中には、それぞれ2個の子ドットCDcが形成される。図26は、第2の階調範囲と第3の階調範囲との境界の階調レベルの状態に対応しており、すべての子ドットCDcが一定の形状と濃度に至るまで成長している。なお、第2の階調範囲では、親ドットPDcの成長は停止している。
【0128】
図27は、第6実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図である。第3の階調範囲では、画像データIDのレベルの増大に応じて、親ドットPDcも子ドットCDcも共に成長してゆく。
【0129】
以上の第5および第6実施例のように、各画素を3つ以上の濃度階調で再現するようにすれば、局所的な濃度のムラを低減でき、この結果、より滑らかなハーフトーン画像を記録することができる。
【0130】
I.第2の画像記録装置の構成:
図28は、本発明の第5および第6実施例を適用してハーフトーン画像を形成する第2の画像記録装置の構成を示すブロック図である。この画像記録装置は、画像記録信号生成装置100と、画像出力装置200とを備えている。画像出力装置200は、1画素を形成するインク滴の数を制御することによって各画素の濃度階調を再現するインク吐出方式の装置である。画像記録信号生成装置100は、CPU130と、メインメモリ(ROMおよびRAM)132と、ハードディスク装置134と、スクリーンパターンメモリ(SPM)136と、副走査アドレスカウンタ138と、主走査アドレスカウンタ140と、2つのアドレス変換器142,144と、4つの比較器151〜154と、面積計算部160と、濃度値ルックアップテーブル162と、D/A変換部164とを備えている。
【0131】
SPM136は、閾値マトリクスを格納するメモリである。SPM136には、例えば、図19(B)に示す閾値マトリクスが格納されている。
【0132】
副走査アドレスカウンタ138には、副走査スタート信号Rxと、副走査クロック信号Cxとが入力されている。副走査スタート信号Rxは、画像出力装置200における画素の副走査座標が初期位置にリセットされた時に1パルス発生する信号である。副走査クロック信号Cxは、画素の副走査座標が更新されるたびに1パルス発生する信号である。副走査アドレスカウンタ138は、これらの信号Rx,Cxに応じて、閾値マトリクスの大きさに対応する繰り返し単位領域(図19(A),(B)の場合には各小領域SR1〜SR4)内における画素の副走査アドレスXを生成する。主走査アドレスカウンタ40も同様に、主走査スタート信号Ryと主走査クロック信号Cyとに応じて、繰り返し単位領域内における画素の主走査アドレスYを生成する。
【0133】
第1のアドレス変換器42は、画素の副走査アドレスXを、閾値マトリクス内の小区画DXの副走査アドレスi,i+1に変換する。図19(B)と図20(A)とを比較すれば解るように、小区画DXの第1の副走査アドレスiは、画素の副走査アドレスXの2倍の値に設定可能である。小区画DXの副走査アドレスi,i+1は、画素の副走査アドレスXに含まれる4つの小区画の副走査座標を示している。第2のアドレス変換器44は、画素の主走査アドレスYを、閾値マトリクス内の小区画の主走査アドレスj,j+1に変換する。この小区画DXの第1の主走査アドレスjは、画素の主走査アドレスYの2倍の値に等しい。
【0134】
こうして得られた小区画DXの副走査アドレスi,i+1と主走査アドレスj,j+1は、SPM36に供給される。これらのアドレスi,i+1,j,j+1によって、1つの画素に対応する4つの小区画の座標(i,j),(i+1,j),(i,j+1),(i+1,j+1)が特定される。SPM36からは、1つの画素に対応する4つの小区画の閾値TD(i,j),TD(i+1,j),TD(i,j+1),TD(i+1,j+1)が読出されて、4つの比較器151〜154にそれぞれ供給される。
【0135】
比較器151〜154のそれぞれは、与えられた閾値TDを入力画像信号IDと比較して、2値比較結果Don/offを生成する。面積計算部60は、4つの比較器151〜154から出力された4つの2値比較結果Don/offを加算して、それらの累計値nを求める加算器である。この累計値nは、濃度値ルックアップテーブル62において、画素濃度D(n)に変換される。すなわち、濃度値ルックアップテーブル62は、累計値nを入力アドレスとして、画素濃度D(n)を出力データとするメモリである。この画素濃度D(n)は、D/A変換部64によってアナログ画像記録信号Sout に変換される。画像出力装置200は、この画像記録信号Sout に応じて画像記録媒体(例えば印刷用紙)上にインク滴を吐出し、これによって画像記録媒体上にハーフトーン画像を形成する。
【0136】
画像出力装置200としては、インク吐出方式の装置に限らず、例えば感光材を露光する露光方式等の種々の方式の装置を利用することができる。露光方式の画像記録装置では、露光する光の光量を制御することによって各画素の濃度階調を調整することができる。
【0137】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0138】
(1)親ドットと子ドットの位置は、ボロノイ図以外の方法で決定することも可能である。但し、ボロノイ図以外の方法を用いた場合にも、親ドットと子ドットはそれぞれ不規則的に配置されていることが好ましい。特に、親ドットの配置は、繰り返し領域RA内において均一に近い分布を有することが好ましい。さらに、子ドットの配置は、親ドットを取り囲む分布になるように、親ドットの間の領域に分散されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるハーフトーン化の概要を示す説明図。
【図2】親ドットと子ドットの配置を示す説明図。
【図3】第1実施例における処理手順を示すフローチャート。
【図4】ボロノイ図を作成する際に用いられるマトリクスと、最終的に得られる閾値マトリクスとの関係を示す説明図。
【図5】ステップS1の詳細手順を示すフローチャート。
【図6】ボロノイ図を用いた施設配置問題の解法の手順を示す説明図。
【図7】第1の階調範囲GR1における親ドットの成長過程の一例を示す説明図。
【図8】第2の階調範囲GR2における子ドットの成長過程の一例を示す説明図。
【図9】第3の階調範囲GR3におけるドットの一例を示す説明図。
【図10】第2実施例の第2の階調範囲GR2におけるドットの一例を示す説明図。
【図11】第3実施例における階調範囲の区分を示す説明図。
【図12】第3実施例の第4の階調範囲GR4におけるドットの形状の決定方法を示す説明図。
【図13】第3実施例の第3の階調範囲GR3におけるドットの成長の様子を示す説明図。
【図14】本発明の第1ないし第4実施例を適用してハーフトーン画像を形成する画像記録装置の構成を示すブロック図。
【図15】第4実施例で使用される閾値マトリクスを示す説明図。
【図16】第4実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットの成長過程を示す説明図。
【図17】第4実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットの成長過程を示す説明図。
【図18】第4実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図。
【図19】第5実施例で使用される閾値マトリクスを示す説明図。
【図20】第5実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットの成長過程を示す説明図。
【図21】第5実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットの成長過程を示す説明図。
【図22】第5実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図。
【図23】第6実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットの成長過程を示す説明図。
【図24】第6実施例の第1の階調範囲(ハイライト領域)における親ドットの成長過程を示す説明図。
【図25】第6実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットの成長過程を示す説明図。
【図26】第6実施例の第2の階調範囲(準ハイライト領域)における子ドットの成長過程を示す説明図。
【図27】第6実施例の第3の階調範囲(中間調領域)におけるドットの成長過程を示す説明図。
【図28】本発明の第5および第6実施例を適用する第2の画像記録装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
20…画像メモリ
24,26,32,34…アドレス発生器
30…マトリクスメモリ
40…比較器
50…出力装置
100…画像記録信号生成装置
130…CPU
134…ハードディスク装置
136…SPM
138…副走査アドレスカウンタ
140…主走査アドレスカウンタ
142,144…アドレス変換器
151〜154…比較器
160…面積計算部
162…濃度値ルックアップテーブル
164…D/A変換部
200…画像出力装置
Claims (10)
- 多階調画像をハーフトーン化する方法であって、
階調レベルが約50%以下であるハイライト側の階調範囲を、階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、第2の階調範囲とに少なくとも区分し、
前記第1の階調範囲においては、画像平面上に繰り返し配置された所定の繰り返し領域内に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第1のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて前記複数の第1のドットを成長させ、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットに加えて、前記繰り返し領域内の前記複数の第1のドットとは異なる位置に、それぞれ1つ以上の記録された画素の集合である複数の第2のドットを形成するとともに、前記階調レベルの増加に応じて少なくとも前記複数の第2のドットを成長させ、
前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットはそれぞれ不規則的に配置されていることを特徴とする多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記複数の第1のドットの配置は、前記繰り返し領域内において均一に近い分布を有する、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項2記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記複数の第2のドットの配置は、前記複数の第1のドットを取り囲むように前記複数の第1のドットの間の領域に分散し、かつ、不規則的に分布するように予め設定されている、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項3記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記複数の第2のドットの大きさは、前記第2の階調範囲を通じて前記複数の第1のドットの大きさ以下に保たれる、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項4記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記複数の第1のドットと前記複数の第2のドットの位置は、前記繰り返し領域に複数のボロノイ多角形を形成し、前記複数のボロノイ多角形の複数の母点に前記複数の第1のドットを割り当てるとともに、前記複数のボロノイ多角形の複数の頂点に前記複数の第2のドットを割り当てることによって決定されている、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記複数の第1のドットのそれぞれを構成する記録された画素の個数に関する前記複数の第1のドット同士の差は、前記第1と第2の階調範囲を通じて所定数以下に保たれ、
前記複数の第2のドットのそれぞれを構成する記録された画素の個数に関する前記複数の第2のドット同士の差は、前記第1と第2の階調範囲を通じて所定数以下に保たれる、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットは前記多階調画像の階調レベルによらず一定の大きさを保つ、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
前記第2の階調範囲においては、前記複数の第1のドットも前記多階調画像の階調レベルの増加に応じて成長する、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
各画素が2つの濃度階調でそれぞれ記録される、多階調画像のハーフトーン化方法。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の多階調画像のハーフトーン化方法であって、
各画素が3つ以上の濃度階調でそれぞれ記録される、多階調画像のハーフトーン化方法。
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