JP3678520B2 - 幅広型材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば軌道車両、船舶、建物等の壁材、床材、天井材、開口部外枠等に使用される幅広型材の製造方法に関する。
【0002】
一般に、アルミニウム又はその合金よりる押出型材の製造においては、幅員がある程度以上になると、トング比の限界から材料が押出機の金型出口における幅全体に均一に行き渡らず、形状精度の低下をきたすために押出幅に制約がある。そこで、従来より、押出によっては製造困難な広幅の型材を製造する場合、まず押出素材を、幅広型材の両側部がイミテーション部を介して繋がった多角形環状の中空材として押出成形し、得られた中空材のイミテーション部を除去して断面開環状とした上で、この断面開環状の型材を展開加工して平坦な型材とする手法が採用されている。
【0003】
このように中空材を展開加工して平坦化する方法では、該中空材を高い形状精度で容易に押出成形できるため、幅広の型材であっても高い寸法精度を確保できる。しかしながら、従来においては、押出成形にて製作した中空材の不要なイミテーション部を展開加工の前に切削によって除去しているため、この切削除去に多大な手間と時間を費やす上に工数が多くなり、製造効率が悪いという問題があった。
【0004】
この発明は、上述の事情に鑑みて、押出成形した中空材を展開加工して幅広型材を製造する方法として、工数削減により従来に比較して手間及び時間を大きく低減でき、高い製造効率を達成し得る手段を提供することを目的としている。
【0005】
上記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る幅広型材の製造方法は、押出素材を、幅広型材の両側部がイミテーション部を介して繋がった多角形環状の中空材として押出成形し、この中空材のイミテーション部を除去して断面開環状とした型材を展開加工して幅広型材とする方法において、上記イミテーション部を押出成形にて押し出し中の上記中空材より連続的に帯状に剥ぎ取って除去することを特徴とする構成を採用したものである。
【0006】
上記構成によれば、中空材の押出成形中に同時にイミテーション部を除去するため、従来のように押出成形工程と展開加工工程との間に別途にイミテーション部の除去工程を介在させる必要がない上、押出直後の材料が柔らかさを有する段階でイミテーション部を剥ぎ取ることができる。
【0007】
請求項2の発明では、上記請求項1の幅広型材の製造方法において、素材にアルミニウム又はその合金を用いると共に、中空材における本体部とイミテーション部との境界を薄肉に形成する構成としている。従って、素材が金属であるにも関わらず、押し出し中の上記中空材からのイミテーション部の剥ぎ取り時に該イミテーション部の両側部が上記本体部から容易に断裂する。
【0008】
請求項3の発明では、上記請求項1又は2の幅広型材の製造方法において、イミテーション部を巻き取り手段によって連続的に剥ぎ取る構成を採用しているから、該イミテーション部の除去を効率よく容易に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る幅広型材の製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
図1は製造目的とするアルミニウム又はその合金よりなる幅広型材の一例を示す断面図である。この幅広型材(1A)は、平板部(11)の片面側に、断面T字形をなす複数本(図では6本)の長手方向に沿う凸条部(12)…が一定間隔置きに平行に条設されたものである。しかるに、このままの平坦な形態では押出成形による押出幅の限界を越えるため、これを製造には、中空材として押出成形した上で、この中空材を展開加工して平坦化する手法を採用することになる。
【0011】
図2(イ)は、上記の幅広型材(1A)を得るための第一段階として押出素材より押出成形する中空材(1B)の断面形状を示す。この中空材(1B)は、図1に示す幅広型材(1A)が幅方向に沿って多段階に折曲され、その両側部が長手方向に連続する帯状のイミテーション部(2)を介して繋がった多角形環状(図では六角形)の断面形状を有している。しかして、図2(ロ)で拡大して示すように、幅広型材(1A)となる本体部(10)とイミテーション部(2)の両側部との境界部分は、中空材(1B)の内面側に形成される長手方向に沿う溝(3)(3)によって薄肉になるように設定されている。
【0012】
上記の中空材(1B)は、図3に示すように、アルミニウム又はその合金による押出素材を押出機(4)に供給し、この押出機(4)のポートホールダイス(4a)より、図2の断面形状で且つイミテーション部(2)が中空材(1B)の水平幅方向における一端側に位置する状態として連続的に押出成形される。しかして、押し出されつつある中空材(1B)のイミテーション部(2)側の側方には、押出機(4)に近い位置に巻取り機(5)が設置されており、この巻取り機(5)の巻取り軸(5a)にイミテーション部(2)の始端をクランプさせ、該巻取り軸(5a)を巻取り方向に回転駆動させることにより、図4でも示すように、押し出し中の上記中空材(1B)よりイミテーション部(2)が連続的に帯状に剥ぎ取られるようになっている。
【0013】
この場合、イミテーション部(2)の剥ぎ取りは中空材(1B)の押出直後、つまり該中空材(1B)がまだ高温を維持して柔らかさの残る段階でなされると共に、本体部(10)とイミテーション部(2)との境界部分が溝(3)(3)にて薄肉になっているため、該イミテーション部(2)は本体部(10)から容易に破断分離し、もって自動的に効率よく該イミテーション部(2)の連続除去を行える。しかして、巻取り機(5)による巻取り中のイミテーション部(2)が切れる懸念はなく、また該イミテーション部(2)の破断によって本体部(10)に歪みを生じる恐れもない。
【0014】
なお、巻取り機(5)の巻取り軸(5a)にイミテーション部(2)の始端をクランプさせるには、押出開始直後に中空材(1B)の押出始端より溝(3)(3)に切り込みを入れ、もって分離したイミテーション部(2)の始端を外側へ引き起こし、この始端を巻取り軸(5a)に設けた二股部や長孔等に挿入して該巻取り軸(5a)の回転によって巻き込むか、あるいは該巻取り軸(5a)に付設した適当なチャック機構にて上記始端を把持させるようにすればよい。また巻取り機(5)の巻取り速度を中空材(1B)の押出速度に対応させるため、巻取り軸(5a)におけるイミテーション部(2)の巻き径の変動を適当なセンサーで検出し、この検出値に応じて巻取り軸5aの回転速度を調整する自動制御機構を採用できる。更に、上記巻き径の変化を少なくして且つ巻取り総量を多くするために、巻取り軸(5a)が回転と共に昇降動作するように設定することも可能である。
【0015】
一方、上述のように中空材(1B)からのイミテーション部(2)の剥ぎ取りを巻取り機(5)の巻取りに伴う引張力のみで行う方法の他、図5に示すように、押し出し中の中空材(1B)に対し、引き起こし用ロッド(6)をイミテーション部(2)の位置で側方外部から内部へ斜めに突入する状態に配置させ、このロッド(6)を介して中空材(1B)のイミテーション部(2)を引き剥がし、これを巻取り機(5)にて巻取るように構成してもよい。また巻取り機(5)を用いる代わりに、図6に示すように、上記同様の引き起こし用ロッド(6)を介して中空材(1B)より連続的に引き剥がされるイミテーション部(2)を、間欠作動するカッター(7)にて短く切断して除去する構成も採用可能である。
【0016】
このような押出成形により、押し出された中空材(1B)はその押出途上でイミテーション部(2)を自動的に除去されるため、図7に示すように断面開環状の型材(1C)として製出する。従って、この断面開環状の型材(1C)を展開加工によって同図の仮想線で示すように平坦化することにより、目的とする図1に示す幅広型材(1A)を容易に製作できる。しかして、得られた幅広型材(1A)は押出による形状精度の高い中空材(1B)の展開によって製作されたものであるから、寸法精度がよく高い商品価値を備えている。
【0017】
なお、この発明は、上記実施例で示すようなアルミニウム又はその合金よりなる幅広型材の製造方法として特に有用であるが、熱可塑性樹脂よりなる幅広型材の製造にも同様に適用可能である。また、幅広型材の断面形状、幅員、中空材の外形、イミテーション部の幅、中空材からのイミテーション部の剥ぎ取り機構等、細部構成については実施例以外に種々設計変更可能である。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、押出成形した中空材を展開加工して幅広型材を製造する方法として、上記中空材から不要なイミテーション部を除去するための独立した工程が不要となるため、工数削減により従来に比較して手間及び時間を大きく低減でき、高い製造効率を達成し得る手段が提供される。
【0019】
請求項2の発明によれば、上記の幅広型材の製造方法において、特に幅広型材の素材がアルミニウム又はその合金である場合に、押し出し中の上記中空材からのイミテーション部を容易に断裂させて剥ぎ取りできるため、自動的に効率よく該イミテーション部の連続除去を行えると共に、中空材の幅広型材となる本体部に該イミテーション部の破断に伴う歪みを回避できるという利点がある。
【0020】
請求項3の発明によれば、上記の幅広型材の製造方法において、上記のイミテーション部を巻き取り手段によって連続的に剥ぎ取ることから、該イミテーション部の自動的除去をより効率よく容易に行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法により製造する幅広型材の一例を示す断面図である。
【図2】同幅広型材の製造の第一段階で押出成形する中空材を示し、(イ)は該中空材全体の断面図、(ロ)は(イ)の仮想線円内の拡大断面図である。
【図3】同中空材の押出成形を示す概略平面図である。
【図4】同押出成形におけるイミテーション部の除去状態を示す斜視図である。
【図5】同イミテーション部の他の方式による除去状態を示す概略平面図である。
【図6】同イミテーション部の更に他の方式による除去状態を示す概略平面図である。
【図7】同イミテーション部を除去した開環状の型材の断面図である。
【符号の説明】
1A ・・・幅広型材
1B ・・・中空材
1C ・・・開環状の型材
2 ・・・イミテーション部
3 ・・・溝(薄肉の境界部分)
4 ・・・押出機
4a ・・・ポートホールダイス
5 ・・・巻取り機
5a ・・・巻取り軸
6 ・・・引き起こし用ロッド
7 ・・・カッター
Claims (7)
- 押出素材を、幅広型材の両側部がイミテーション部を介して繋がった多角形環状の中空材として押出成形し、この中空材のイミテーション部を除去して断面開環状とした型材を展開加工して幅広型材とする方法において、上記イミテーション部を押出成形にて押し出し中の上記中空材より連続的に帯状に剥ぎ取って除去することを特徴とする幅広型材の製造方法。
- 押出素材にアルミニウム又はその合金を用いると共に、中空材における本体部とイミテーション部との境界を薄肉に形成する請求項1記載の幅広型材の製造方法。
- イミテーション部を巻き取り手段によって連続的に剥ぎ取る請求項1又は2に記載の幅広型材の製造方法。
- 巻き取り手段の巻取り軸におけるイミテーション部の巻き径の変動を検出し、この検出値に応じて巻取り軸の回転速度を調整する請求項3に記載の幅広型材の製造方法。
- 巻き取り手段の巻き取り軸が回転と共に昇降可能となされている請求項3に記載の幅広型材の製造方法。
- 押し出し中の中空材に対し、引き起こし用ロッドをイミテーション部の位置で側方外部から内部へ斜めに突入する状態に配置させ、このロッドを介して前記イミテーション部を引き剥がす請求項1または2に記載の幅広型材の製造方法。
- 前記引き起こし用ロッドを介して中空材より連続的に引き剥がされるイミテーション部を、間欠作動するカッターにて短く切断して除去する請求項6に記載の幅広型材の製造方法。
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