JP3677916B2 - 自動車用ドアトリム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェザーストリップの取り付けを表皮材のダブリを発生しないように、かつ簡単に行うことができる自動車用ドアトリムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドアトリム本体のガーニッシュ部にウィンドガラスシール用のウェザーストリップを装着した自動車用ドアトリムにおいて、ドアトリム本体にウェザーストリップを固定一体化する取付構造としては、例えば、図3に示されるように、ドアトリム本体40のガーニッシュ部に断面L字状のベース部材41を取り付けておき、該ベース部材41に内部に芯金42が埋設されたウィンドガラスシール用のウェザーストリップ43を、前記芯金42の切り起こし爪42aをもって装着したものが広く知られている。更には、ドアトリム本体とウェザーストリップとを接着剤を介して接着固定したものも提案されている。
ところが、前者の場合、取り付けのためのベース部材41を必要不可欠とするため部品点数が多くなるとともに重量も大きくなるという問題点や、組立作業が煩雑で生産性に劣るという問題点があった。また、後者の場合には、接着加工が必要で生産工程が煩雑になるとともに、組立後は取り外しができないため部品交換作業が困難になるという問題点や、温度や湿度などの環境変化で材質間による伸び率の違いから変形や反りが発生するという問題点があった。
【0003】
そこで、本発明者らはウェザーストリップ43の上部に断面略コ字状の挟持枠部44が設けられその上顎部44a及び下顎部44bにそれぞれ弾性突起45、46が枠内に向け突設されたものとして、ドアトリム本体40のガーニッシュ部にウェザーストリップ43の挟持枠部44が前記弾性突起45、46の弾発下にはめ込まれて密着挟持された自動車用ドアトリムを開発し、先に特願平8−260384号として提案した。しかしながら、先の発明においてはガーニッシュ部の表面が表皮材40aで被覆してある場合、図4に示されるように、両者を嵌合した際に表皮材40aが弾性突起45、46に押圧されてダブリ47を発生し外観品質に悪影響を与える場合があり、逆にこのダブリ47を防止する目的で挟持枠部44の間口を大きくすると十分な挟持力が得られなくなるとともに表面にスキが生じて外観品質の低下を招くという悪影響があり、これらの相対する問題点を解消する課題が残されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、従来のようなベース部材を用いることなくドアトリム本体とウェザーストリップとを容易かつ確実に固定一体化することができ、しかも、部品点数の削減と軽量化および加工費の削減も図ることができ、また、ドアトリム本体とウェザーストリップとの着脱が容易で破損等が生じても部品交換作業を簡単に行うことができ、更には、ガーニッシュ部とウェザーストリップの挟持枠部との挟持力も十分でしかもダブリの発生もなく優れた外観品質を呈することができる自動車用ドアトリムを提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の自動車用ドアトリムは、表面を表皮材で被覆したドアトリム本体のガーニッシュ部にウィンドガラスシール用のウェザーストリップを装着した自動車用ドアトリムにおいて、ウェザーストリップはその上部に断面略コ字状の挟持枠部が設けられたものとしてその上顎部及び下顎部にそれぞれ弾性突起が枠内に向け突設されているとともに、上顎部の弾性突起の前後には表皮材ダブリ収納用の凹部と弾性突起収納用の凹部が形成されており、端末を巻き込むように表皮材で被覆した前記ドアトリム本体のガーニッシュ部にウェザーストリップの挟持枠部が前記の弾性突起の弾発下にはめ込まれ、かつ挟持枠部 (22) 内への挿入過程において生じた表皮材 (12) のダブリを前記凹部 (27) により吸収した状態で密着挟持されていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図示の実施例について詳細に説明する。
図中1はドアトリム本体、2はドアトリム本体1のガーニッシュ部に装着されるウィンドガラスシール用のウェザーストリップで、前記ドアトリム本体1は基材11の表面を発泡層付きの塩化ビニル樹脂等からなる表皮材12で添装されたものであり、以上の構成は基本的には従来のものと同じである。
【0007】
ウェザーストリップ2は、全体が弾性を有する軟質塩化ビニル樹脂等の軟質合成樹脂からなるとともに中心部に鋼板からなる補強用の芯材23が埋設されたもので、上顎部22bとこれより長い下顎部22cを連繋部22aにより連繋させた断面略コ字状の挟持枠部22を上端に備えた本体部21と、該本体部21の裏側にリップ部24を張設した構造のものである。そして、前記挟持枠部22の上顎部22b及び下顎部22cには、後述するようにドアトリム本体1のガーニッシュ部を弾力性をもって密着保持するための弾性突起25、26がその先端間にガーニッシュ部の厚みより幅狭の挿入間隔が形成されるようにそれぞれ枠内に向け長手方向に突設されている。なお、図面においては上顎部22bとこれより長い下顎部22cからなるものとしたが、逆に下顎部22cとこれより長い上顎部22bとすることや両者を同じ長さのものとしてもよいことは勿論である。
【0008】
更に本発明においては、前記上顎部22bの弾性突起25の前後に表皮材ダブリ収納用の凹部27と弾性突起収納用の凹部28を形成し、これらによって表面を表皮材12で被覆したガーニッシュ部とウェザーストリップ2の挟持枠部22との挟持力も十分でしかもダブリの発生もなく優れた外観品質を呈するよう構成してある。即ち、前記表皮材ダブリ収納用の凹部27は弾性突起25の前部側の基部付近に設けられ、ガーニッシュ部のウェザーストリップ2の挟持枠部22内への挿入過程において生じた表皮材12のダブリを吸収し外観不良となることを防止する。一方、弾性突起収納用の凹部28は弾性突起25の後部側の基部付近に設けられ、ガーニッシュ部の挿入により奥側へ撓んだ弾性突起25を収納して表皮材12を面全体で押圧し、表皮材12のダブリの発生を極力防止するとともに、ガーニッシュ部の上面と上顎部22bの下面との距離を近づけガタのない十分な挟持力を得るようにしている。
また更に、前記上顎部22bの弾性突起25の弾性力が下顎部22cの弾性突起26の弾性力よりも小さなものとしておけば、ガーニッシュ部が上方へ押し上げられて隙間を作らないため意匠面にスキのない美麗なものとなり好ましい。
【0009】
なお、前記ウェザーストリップ2は本体部21を例えば硬質塩化ビニル樹脂等の硬質合成樹脂からなるものとし、リップ部24と弾性突起25、26を軟質合成樹脂からなるものとして押出成形法やインジェクション成形法などで一体成形するか、両者を一体成形せずに別々に成形し、その後において貼り合わせ一体化したものとすることもできる。
【0010】
また、前記の弾性突起25、26は、挟持枠部22内へのドアトリム本体1の挿入が少ない抵抗で行え且つ一旦装着後はドアトリム本体1が挟持枠部22から抜け抵抗が大きくて外れ難いように、開口側が20〜60°程度挿入方向へ傾斜した傾斜面とし、奥側が垂直面としておくことが好ましく、また、ドアトリム本体1のガーニッシュ部を弾力性をもってより強固に密着保持するためには弾性突起25、26の少なくとも一対は上下対向した位置に配置しておくことが好ましい。
【0011】
このようにして得られたドアトリムは、ドアトリム本体1のガーニッシュ部にウェザーストリップ2が装着されてそのリップ部24によりガラスウィンドをシールする点は従来のものと同様であるが、本発明ではウェザーストリップ2の挟持枠部22の上顎部22b及び下顎部22cにはそれぞれ弾性突起25、26が枠内に向け突設され、ドアトリム本体1のガーニッシュ部が図1に示すような前記弾性突起25、26の奥側への弾性変形によって挟持枠部22内に弾発下に密着挟持されて抜け難い状態に装着されたものとなっており、両者の取り付け操作はガーニッシュ部を断面コ字状の挟持枠部22内に挿入するのみでよいので煩雑な位置合わせ作業等を行う必要もなく極めて簡単且つ短時間で行うことができるうえに、的確な装着状態を保持することとなる。
【0012】
しかも本発明においては、上顎部22bの弾性突起25の前後には表皮材ダブリ収納用の凹部27と弾性突起収納用の凹部28が形成されており、挿入過程で生じた表皮材12のダブリは凹部27内に収納されることとなり意匠面にダブリを発生させることがなく、また挿着後においては凹部28内に収納された状態にある弾性突起25が表皮材12を面全体で押圧し、表皮材12のダブリの発生を極力防止するとともに、ガーニッシュ部の上面と上顎部22bの下面との距離を近づけガタのない十分な挟持力を得ることとなる。また、取り付け後において温度や湿度などの環境変化で材質間による伸び率の違いから両者間に寸法差が生じたとしても、接着剤やビス等による完全な固定でなくガーニッシュ部は挟持枠部22内に前記したように密着挟持してあるのみであって変形や反りが発生することもない。更には、取り付け後においてリップ切れ等の損傷が生じて部品交換が必要になった場合にも、ガーニッシュ部を挟持枠部22から引き抜く操作のみで簡単に交換作業をすることができメンテナンスが容易である。
【0013】
【発明の効果】
本発明は以上の説明からも明らかなように、従来のようなベース部材を用いることなくドアトリム本体とウェザーストリップとを容易かつ確実に固定一体化することができ、しかも、部品点数の削減と軽量化および加工費の削減も図ることができ、また、ドアトリム本体とウェザーストリップとの着脱が容易で破損等が生じても部品交換作業を簡単に行うことができ、更には、ガーニッシュ部とウェザーストリップの挟持枠部との挟持力も十分でしかもダブリの発生やスキの発生もなく優れた外観品質を呈することができる等の種々の利点を有するものである。また更には、接着・カシメ等の強固な固定手段を用いないため、温度や湿度などの環境変化による材質間の伸び率の相違が発生しても変形や反りを生ずることなく優れた外観品質を保証することができるという利点も有するものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃した自動車用ドアトリムとして、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用ドアトリムの好ましい実施の形態を示す断面図である。
【図2】ドアトリム本体とウェザーストリップの挿着前の状態を示す断面図である。
【図3】自動車用ドアトリムの第一の従来例を示す断面図である。
【図4】自動車用ドアトリムの第二の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ドアトリム本体
2 ウェザーストリップ
12 表皮材
22 挟持枠部
22b 上顎部
22c 下顎部
25 弾性突起
26 弾性突起
27 表皮材ダブリ収納用の凹部
28 弾性突起収納用の凹部
Claims (2)
- 表面を表皮材(12)で被覆したドアトリム本体(1) のガーニッシュ部にウィンドガラスシール用のウェザーストリップ(2) を装着した自動車用ドアトリムにおいて、ウェザーストリップ(2) はその上部に断面略コ字状の挟持枠部(22)が設けられたものとしてその上顎部(22b) 及び下顎部(22c) にそれぞれ弾性突起(25)、(26)が枠内に向け突設されているとともに、上顎部(22b) の弾性突起(25)の前後には表皮材ダブリ収納用の凹部(27)と弾性突起収納用の凹部(28)が形成されており、端末を巻き込むように表皮材(12)で被覆したドアトリム本体(1) のガーニッシュ部にウェザーストリップ(2) の挟持枠部(22)が前記の弾性突起(25)、(26)の弾発下にはめ込まれ、かつ挟持枠部(22)内への挿入過程において生じた表皮材(12)のダブリを前記凹部(27)により吸収した状態で密着挟持されていることを特徴とする自動車用ドアトリム。
- 上顎部(22b) の弾性突起(25)の弾性力が下顎部(22c) の弾性突起(26)の弾性力よりも小さなものとされている請求項1に記載の自動車用ドアトリム。
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