JP3677820B2 - 硬化性組成物およびカラーフィルタ - Google Patents

硬化性組成物およびカラーフィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、硬化性組成物に関するものであり、さらに詳しくは、カラーフィルターの保護膜、平坦化膜などの作製に好適に用いられる硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、ワープロ、計器、カラーテレビなどに応用が可能なカラー液晶表示素子が注目されている。カラー液晶表示素子の一般的な基本構成の一例としては、基板上にカラーフィルター、ITOなどからなる透明電極、配向膜、液晶を順に配置するものが知られている。
【0003】
この基本構成においては、カラー液晶表示素子としての機能を低下させる幾つかの問題点を指摘することができる。まずカラーフィルターに用いられている顔料や染料に含まれるナトリウムなどの金属イオンなどが液晶中に染み出す恐れがある。また基板に金属イオンなどを含むガラスを用いた場合も、同様な現象が起こる。またITOなどからなる透明電極においてパターン加工が必要な場合、カラーフィルター上にITOなどの蒸着膜やスパッタ膜を形成後、フォトリソグラフィを用い膜をエッチングすることになるが、このとき下層のカラーフィルターの段差のために良好なパターン加工が不可能となる。またカラーフィルターの段差は、上下電極間距離の不均一を生じさせる。さらに蒸着膜やスパッタ膜形成の際にカラーフィルターがダメージをうけることも考えられる。
【0004】
そこでこれらの対策として、カラーフィルターやガラス基板上に保護膜を形成する方法が取られてきた。従来、保護膜としては、シロキサンポリマ系の膜(例えば特開昭63−241076号、特開平3−126612号、特開平3−188179号公報記載)やケイ素含有ポリイミド(例えば特開昭61−103927、特開昭63−291922号公報記載)などが提案されている。さらにこれらの保護膜を改良したシロキサン系ポリマとケイ素含有ポリイミドからなる硬化性組成物が特開昭63−291924号公報において提案されている。
【0005】
しかしながらこれらの硬化性組成物は、カラーフィルターなどの保護膜形成用塗布液としての保存安定性に問題があり、保存時に大きな粘度上昇が生じる、得られた塗膜の硬度が低い、塗布むらやクラックが発生するなどの問題がある。特に塗布むらにおいては、白色光線下において観察されない場合でもナトリウム光線などの単色光下における観察では干渉縞として観察される場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、白色光線下における塗布むらが無く、しかも単色光下における塗布むらが極めて少なく、また硬度が高くクラックのない保護膜が形成でき、保存安定性の優れた硬化性組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、少なくともアミノ基を有するアルコキシシランを加水分解せしめて得られるオルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物と多価カルボン酸無水物とを反応させて得られるアミック酸、および界面活性剤を含有することを特徴とする硬化性組成物により達成される。
【0008】
アミノ基を有するアルコキシシランとしては、一般式Rn Si(OR´)4-n で表されるアミノ基を有するアルコキシシランを挙げることができる。
【0009】
式中のR、R´は水素または有機基を示す。有機基としては、アルキル基、アリル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基などを挙げることができる。より具体的な例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ビニル基、、アリル基、イソプロペニル基、エチニル基、2−プロピニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、メタクリル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、フェニル基、トリル基などが挙げられる。
【0010】
ただし、Rのうち少なくとも一つは一級アミノ基および/または級アミノ基を含む基である。一級アミノ基を含む基としては、γ−アミノプロピル基、アミノエチル基、p−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、o−アミノフェニル基などが挙げられる。二級アミノ基を含む基としては、N−フェニル−γ−アミノプロピル基、N−メチル−γ−アミノプロピル基、N−エチル−γ−アミノプロピル基などが挙げられる。これらの一級アミノ基および/または二級アミノ基を含む基の中で好ましいものは、γ−アミノプロピル基、p−アミノフェニル基などである。
【0011】
R、R´は同一でもよいし、異なっていてもよい。n個のRは同一でもよいし、異なっていてもよい。(4−n)個のOR´基は同一でもよいし、異なっていてもよい。nは1〜3の数である。
【0012】
このような一般式Rn Si(OR´)4-n で表されるアミノ基を有するアルコキシシランの具体的な例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメトキシエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメチルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルエチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルエチルジエトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)エチルトリメトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)メチルトリメトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)プロピルトリエトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)エチルトリエトキシシラン、γ−(p−アミノフェニル)メチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらの中で好ましいものはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシランなどである。特に好ましいものは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどRのうちの一つがγ−アミノプロピル基のものである。これらのアミノ基を有するアルコキシシランは単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0013】
このようなアミノ基を有するアルコキシシランを単独で用いてもよいが、アミノ基を有しないアルコキシシランと混合してアルコキシシラン混合物として用いることが好ましい。
【0014】
アミノ基を有しないアルコキシシランとしては、一般式Ra m Si(ORb 4-m で表されるアミノ基を有しないアルコキシシランを挙げることができる。
【0015】
式中のRa 、Rb は水素または有機基を示す。有機基としては、アルキル基、アリル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基などを挙げることができる。より具体的な例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ビニル基、、アリル基、イソプロペニル基、エチニル基、2−プロピニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、メタクリル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、フェニル基、トリル基などが挙げられる。ただし、Ra は一級アミノ基、二級アミノ基を含まない。
【0016】
a 、Rb は同一でもよいし、異なっていてもよい。m個のRa は同一でもよいし、異なっていてもよい。(4−m)個のORb 基は同一でもよいし、異なっていてもよい。mは0〜3の数である。
【0017】
このようなRa m Si(ORb 4-m で表されるアミノ基を有しないアルコキシシランの具体的な例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランなどがあげられる。これらの中で好ましいものはテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランであり、特に好ましいものはフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどのRa のうちの少なくとも一つがフェニル基のものが好ましい。
【0018】
これらのアミノ基を有しないアルコキシシランは単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明におけるオルガノシランとは、少なくともアミノ基を有するアルコキシシランを加水分解せしめて得られるものであり、該アルコキシシランを単独、または該アルコキシシランを含有するアルコキシシラン混合物の中またはそれを溶媒に溶解させたものの中に、水を添加しアルコキシ基を実質的に完全に加水分解反応させることによって得られるオルガノシランをいう。また、オルガノシランの縮合物とは、オルガノシランが複数個脱水縮合反応したものをいう。ここで、該アルコキシシランの混合物中に、前述のアルコキシシラン以外のアルコキシシランを混合することもできる。
【0020】
該アルコキシシランの混合物を溶解させる溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、3−メトキシ3−メチルブタノール、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコールや、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒またはこれらの混合物があげられるがこれらに限定されない。
【0021】
本発明における多価カルボン酸無水物としては、テトラカルボン酸二無水物、トリカルボン酸一無水物、テトラカルボン酸一無水物などが挙げられるが、テトラカルボン酸二無水物が一般的である。テトラカルボン酸二無水物としては、公知のすべてのテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。テトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルジメチルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルジ(トリフルオロメチル)メタンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができるがこれらに限定されない。これらの中で好ましいのは3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物であり、特に3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。また酸無水物末端のポリアミド酸を用いることもできる。ここでいうポリアミド酸としては、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応により生じる化合物を挙げることができる。テトラカルボン酸二無水物としては前述のテトラカルボン酸二無水物を挙げることができ、またジアミンとしては公知のジアミンを挙げることができる。例えば4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´(または4,4´)−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メタフェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルエタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,4´−ジアミノベンゾフェノン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0022】
本発明のアミック酸は、前述のオルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物と、多価カルボン酸無水物とを反応させることにより得られる。オルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物、多価カルボン酸無水物は、それぞれ単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
反応操作としては、まずアルコキシシラン混合物を加水分解および/または加水分解縮合させてオルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物を得、つぎに多価カルボン酸無水物および必要に応じて適当な溶媒を添加すればよい。このような溶媒としては、前述のN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を含んでいるのが好ましい。
【0024】
オルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物と多価カルボン酸無水物の反応比率としては、特に限定されないが、オルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物が有するアミノ基と、多価カルボン酸無水物の有する酸無水物基が等モル前後となるような比率が好ましい。また、一般に多価カルボン酸無水物とアミノ基の反応によりカルボキシル基が形成されるが、このカルボキシル基はカルボン酸エステルに変性してもかまわない。
【0025】
本発明の硬化性組成物は、このようなアミック酸(以下、成分(A)という)を主成分とするものであってもよいし、さらに、アルコキシシラン、該アルコキシシランを加水分解せしめて得られるオルガノシランおよび該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも一種の化合物(以下、成分(B)という)を含有するものであってもよい。
【0026】
このようなアルコキシシランとしては、一般式R1 x Si(OR2 4-x で表されるアルコキシシランを挙げることができる。
【0027】
式中のR1 、R2 は水素または有機基を示す。有機基としては、アルキル基、アリル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基などを挙げることができる。より具体的な例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、ビニル基、、アリル基、イソプロペニル基、エチニル基、2−プロピニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、メタクリル基、アクリル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、フェニル基、トリル基などが挙げられる。
【0028】
1 、R2 は同一でもよいし、異なっていてもよい。x個のR1 は同一でもよいし、異なっていてもよい。(4−x)個の(OR2 )基は同一でもよいし、異なっていてもよい。xは0〜3の整数である。
【0029】
このような一般式R1 x Si(OR2 4-x で表されるアルコキシシランとしては、例えばβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメトキシエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメチルエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメチルメトキシシランなどを挙げることができる。これらの中で好ましいものはフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどである。これらのアルコキシシランは単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
このようなアルコキシシランから前述のようにしてオルガノシラン、オルガノシランの縮合物を得ることができる。
【0031】
本発明の硬化性組成物が、このような成分(B)を含有する場合、(A)と(B)の混合割合は特に限定されないが、(A)と(B)の固形分重量の比が(A)<(B)となるような混合割合が好ましい。ここで固形分重量とは、(A)、(B)の成分を300℃で熱処理して得られる残分の重量をいう。
【0032】
本発明における界面活性剤とは、気体と液体、液体と液体、液体と液体または固体と液体界面に吸着して界面の性質を著しく変化させる性質、すなわち界面活性の大きい物質で、分子中に親水性および親油性原子団を有する両親媒物質を意味する。界面活性剤は大別すると、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤に分類される。ノニオン界面活性剤は非イオン界面活性剤ともいわれる。本発明における界面活性剤には、これらすべての界面活性剤が含まれが、好ましくはノニオン界面活性剤である。
【0033】
カチオン界面活性剤とは、水溶液中においてイオンに解離し、界面活性を示す原子団がカチオンとなる界面活性剤をいう。例えば、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩などを挙げることができるがこれらに限定されない。アミン塩としては、アルキルアミン塩、アミド結合アミン塩、エステル結合アミン塩などを挙げることができ、第4級アンモニウム塩としては、アルキルアンモニウム塩、アミド結合アンモニウム塩、エステル結合アンモニウム塩、エーテル結合アンモニウム塩などを挙げることができる。またピリジニウム塩としては、アルキルピリジニウム塩、アミド結合ピリジニウム塩、エーテル結合ピリジニウム塩、エステル結合ピリジニウム塩などを挙げることができる。
【0034】
アニオン界面活性剤とは、水溶液中においてイオンに解離し、界面活性を示す原子団がアニオンとなる界面活性剤をいう。例えば脂肪酸ソ−ダ石鹸、脂肪酸カリ石鹸などの脂肪酸塩、硫酸化油、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルジフェニルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩などを挙げることができる。両性イオン界面活性剤とは、水溶液中においてイオンに解離しアニオンとなる原子団とカチオンとなる原子団を同一分子中に持つ界面活性剤をいう。例えばアミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤などを挙げることができる。
【0035】
ノニオン界面活性剤とは、水溶液中でイオンに解離することなく界面活性を示す界面活性剤をいう。例えば、ポリエチレングリコール系、多価アルコール系、アクリル系、ビニル系、シロキサン系などのノニオン界面活性剤を挙げることができる。これらのノニオン界面活性剤のうちより好ましいのは、シロキサン系ノニオン界面活性剤およびアクリル系ノニオン界面活性剤であり、さらに好ましくはシロキサン系ノニオン界面活性剤である。シロキサン系ノニオン界面活性剤としては、変性ポリシロキサンをあげることができる。変性ポリシロキサンとしては、ポリエーテル変性アルキルシロキサン、ポリエステル変性アルキルシロキサン、アラルキル変性アルキルシロキサン、ビニル基含有ポリエステル変性アルキルシロキサンなどをあげることができる。このうちポリエーテル変性アルキルシロキサンが特に好ましい。ポリエーテル変性アルキルシロキサンとしては、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジエチルポリシロキサン、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン、ポリエーテル変性エチルアルキルポリシロキサンなどをあげることができる。ポリエステル変性アルキルポリシロキサンとしては、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエステル変性ジエチルポリシロキサン、ポリエステル変性ジメチルアルキルポリシロキサン、ポリエステル変性ジエチルアルキルポリシロキサンなどをあげることができる。アラルキル変性アルキルシロキサンとしては、アラルキル変性ジメチルポリシロキサン、アラルキル変性メチルアルキルポリシロキサンなどをあげることができる。ビニル基含有ポリエステル変性アルキルシロキサンとしては、ビニル基含有ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン、ビニル基含有ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサンなどをあげることができる。
【0036】
ポリエチレングリコール系ノニオン界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。多価アルコール系ノニオン界面活性剤としては、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどを挙げることができる。
【0037】
これらの界面活性剤は複数種添加してもかまわない。添加量としては特に限定はしないが、界面活性剤を添加しようとする溶液中の質量に対し、界面活性剤成分が0.5〜10000ppmが好ましく、より好ましくは1〜5000ppmであり、さらに好ましくは50〜3000ppmである。
【0038】
本発明における界面活性剤としては、市販のものを用いることができる。市販のシロキサン系ノニオン界面活性剤溶液の例としては、BYK- Chemie社のBYK−301、BYK−306、BYK−344、BYK−333などや楠本化成の“ディスパロン”#1610、“ディスパロン”#1711、“ディスパロン”#1751N、“ディスパロン”#1761、“ディスパロン”LS−009、“ディスパロン”LC−908、“ディスパロン”LC−915、“ディスパロン”LC−955、ヘキストジャパンの“アディトール”XW−329、“アディトール”XL−180、“アディトール”XL185などを挙げることができる。また市販のアクリル系ノニオン界面活性剤の例としては、BYK- Chemie社のBYK−354、BYK−355、BYK−358、BYK−361などを挙げることができる。市販の界面活性剤溶液においては、界面活性剤の原料や溶剤などが含まれているのもあるがかまわない。
【0039】
本発明の硬化性組成物中には、熱硬化後のガラスなど基板との接着性を高めるために必要に応じて金属キレート化合物を添加することもできる。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、基板上に塗布された後、硬化処理が施され、塗膜となる。基板上に塗布する方法としては、例えばスピナ法、ディップ法、スプレー法などを用いることができ、好ましくはスピナ法、ディップ法であり、より好ましくはスピナ法である。硬化処理方法としては熱処理が好ましく、熱処理方法としては、例えば通風オーブン、ホットプレート、真空オーブン、炉などを用いることができる。好ましくは通風オーブンもしくはホットプレートである。熱処理温度としては、50〜400℃が好ましく、より好ましくは150〜350℃であり、さらに好ましくは200〜300℃である。この熱処理温度に急激に昇温しても、段階的に徐々に昇温しても構わない。好ましくは段階的に昇温する方法である。最高熱処理温度における熱処理時間としては、通風オーブンの場合10分〜10時間が好ましく、より好ましくは30分〜4時間である。ホットプレートの場合はこれより短い時間で良く、2分〜2時間が好ましく、より好ましくは6分〜1時間である。また、硬化性組成物中に感光性成分を添加すれば、光硬化させることもできる。
【0041】
このようにして得られた塗膜は、カラーフィルター上に設けられる保護膜や平坦化膜のほか、半導体素子の保護膜、層間絶縁膜、平坦化膜、導波路形成用材料、位相シフタ用材料、各種電子部品の保護膜などとして用いることができる。
【0042】
例えば、カラーフィルターの保護膜として用いる場合は、ガラスなどの透明基板の上の着色層および必要に応じて該着色層の間隙に設けられた遮光層の上に、本発明の硬化性組成物を塗布、硬化させて透明保護膜とする。
【0043】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0044】
実施例1
500mlの4つ口フラスコ中にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン28.8g(0.15mol)、γ−ブチロラクトン100.0g、3−メトキシ−3−メチルブタノール130gを入れ約10分間攪拌を行った。次にフラスコ内温を50℃に上げた後、水6.0(0.33mol)を1分間で滴下した。その後約10時間攪拌を行いγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの加水分解を完了した。つづいて3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物24.1g(0.075mol)を投入しさらに約2時間攪拌を続けた。その後室温に戻した後、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性アルキルシロキサン)“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)0.600gを添加し、6時間撹拌することにより硬化性組成物溶液を得た。
【0045】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0046】
実施例2
実施例1で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤“ディスパロン”LC−955(楠本化成)0.600gを添加したこと以外は実施例1と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0047】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0048】
実施例3
実施例1で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)BYK−301(BYK Chemie)0.600gを添加したこと以外は実施例1と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0049】
実施例4
実施例1で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、アクリル系ノニオン界面活性剤BYK−355(BYK Chemie)0.600gを添加したこと以外は実施例1と全く同様に熱硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布渉むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0050】
実施例5
500mlの4つ口フラスコ中にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン28.8g(0.15mol)、フェニルトリエトキシシラン5.94g(0.03mol)、メチルトリメトキシラン4.08g(0.03mol)、γ−ブチロラクトン100.0g、3−メトキシ−3−メチルブタノール130gを入れ約10分間攪拌を行った。次にフラスコ内温を50℃に上げた後、水8.64(0.48mol)を1分間で滴下した。その後約10時間攪拌を行いγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの加水分解を完了した。つづいて3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物24.1g(0.075mol)を投入しさらに約2時間攪拌を続け。その後室温に戻した後、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性アルキルシロキサン)“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)0.600gを添加し、6時間撹拌することにより硬化性組成物溶液を得た。
【0051】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0052】
実施例6
実施例5で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤“ディスパロン”LC−955(楠本化成)3.000gを添加したこと以外は実施例5と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0053】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0054】
実施例7
実施例5で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)BYK−301(BYK Chemie)0.600gを添加したこと以外は実施例5と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0055】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0056】
実施例8
実施例5で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、アクリル系ノニオン界面活性剤BYK−355(BYK Chemie)0.600gを添加したこと以外は実施例5と全く同様に熱硬化性組成物溶液を得た。
【0057】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。またこの硬化性組成物溶液は、一種類の溶液から構成されており製造方法が非常に容易であった。
【0058】
実施例9
500mlの4つ口フラスコ中にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン28.8g(0.15mol)、γ−ブチロラクトン100.0g、3−メトキシ−3−メチルブタノール130gを入れ約10分間攪拌を行った。次にフラスコ内温を50℃に上げた後、水6.0(0.33mol)を1分間で滴下した。その後約10時間攪拌を行いγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの加水分解を完了した。つづいて3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物24.1g(0.075mol)を投入しさらに約2時間攪拌を続け溶液(溶液a)を得た。
【0059】
一方4つ口フラスコ中にメチルトリメトキシシラン100.00gを入れ、0.1%酢酸水溶液40.00gを20℃で滴下し、約2時間攪拌した。続いてブチルセロソルブ30.00gを加えた内温を35℃とし、全量が120gとなるまで減圧蒸留を行い溶液(溶液b)を合成した。
【0060】
このようにして得られた溶液a100.00gと溶液b100.00gとを混合し、約2時間室温で攪拌したのち、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性アルキルシロキサン)“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)0.400gを添加し、さらに6時間室温で撹拌し硬化性組成物溶液を得た。
【0061】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0062】
実施例10
実施例9で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤“ディスパロン”LC−955(楠本化成)2.000gを添加したこと以外は実施例9と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0063】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0064】
実施例11
実施例9で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)BYK−301(BYK Chemie)0.400gを添加したこと以外は実施例9と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0065】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0066】
実施例12
実施例9で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、アクリル系ノニオン界面活性剤BYK−355(BYK Chemie)0.400gを添加したこと以外は実施例9と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。
【0067】
このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0068】
実施例13
500mlの4つ口フラスコ中にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン28.8g(0.15mol)、フェニルトリエトキシシラン5.94g(0.03mol)、メチルトリメトキシラン4.08g(0.03mol)、γ−ブチロラクトン100.0g、3−メトキシ−3−メチルブタノール130gを入れ約10分間攪拌を行った。次にフラスコ内温を50℃に上げた後、水8.64(0.48mol)を1分間で滴下した。その後約10時間攪拌を行いγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの加水分解を完了した。つづいて3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物24.1g(0.075mol)を投入しさらに約2時間攪拌を続け溶液(溶液a)を得た。
【0069】
一方4つ口フラスコ中にメチルトリメトキシシラン100.00gを入れ、0.1%酢酸水溶液40.00gを20℃で滴下し、約2時間攪拌した。続いてブチルセロソルブ30.00gを加えた内温を35℃とし、全量が120gとなるまで減圧蒸留を行い溶液(溶液b)を合成した。
【0070】
このようにして得られた溶液a100.00gと溶液b100.00gとを混合し、約2時間室温で攪拌したのち、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性アルキルシロキサン)“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)0.400gを添加し、さらに6時間室温で撹拌し硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。
【0071】
その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0072】
実施例14
実施例13で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤“ディスパロン”LC−955(楠本化成)2.000gを添加したこと以外は実施例12と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した
その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0073】
実施例15
実施例13で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、シロキサン系ノニオン界面活性剤(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)BYK−301(BYK Chemie)0.400gを添加したこと以外は実施例13と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。
【0074】
その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0075】
実施例16
実施例13で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加した代わりに、アクリル系ノニオン界面活性剤BYK−355(BYK Chemie)0.400gを添加したこと以外は実施例13と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。
【0076】
その結果白色光線下における塗布むら観察においてむらは観察されなかった。またナトリウム光線下における観察においてもむらはほとんど観察されなかった。またクラックは無く、鉛筆硬度は4Hと高く良好な膜を形成することができた。また40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べた。その結果粘度はほとんど変化しなかった。
【0077】
実施例17〜32
実施例1〜16においてガラス基板の代わりに、ガラス板上に蒸着クロムのブラックマトリックスとポリイミドをバインダー樹脂成分とする顔料分散タイプのRGB画素を形成させたカラーフィルタを使用して、塗布、硬化を行ない、同様に評価したところ、実施例1〜16と同様の評価結果が得られた。
【0078】
比較例1
500mlの4つ口フラスコ中にγ−ブチロラクトン100.0g、3−メトキシ−3−メチルブタノール100.0g、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物24.1g(0.075mol)をフラスコ内温を50℃の下約10分間攪拌を行った。続いてγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン28.8g(0.15mol)を入れ約2時間攪拌を続け硬化性組成物溶液(溶液A)を得た。40℃の下24時間放置し、溶液の保存安定性を調べ結果、粘度はほとんど変化しなかった。しかしながらこの溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は、白色光線下において基板全面にはなはだしい塗布むらが生じ、また鉛筆高度は2Hと低く良好な膜を形成することができなかった。
【0079】
比較例2
500mlの4つ口フラスコ中にメチルトリメトキシシラン100.0gを入れ、0.1%酢酸水溶液40.0gを20℃で滴下し、約2時間攪拌した。続いてブチルセロソルブ30.0gを加えた内温を35℃とし、全量が120gとなるまで減圧蒸留を行った。このようにして得られた溶液(溶液B)をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は全面にクラックが生じた。また40℃の下24時間放置し、溶液の粘土安定性を調べた。その結果粘度は初期粘度の約2.5倍に上昇し、保存安定性は悪かった。
【0080】
比較例3
比較例1で得られた溶液(溶液A)10gと比較例2で得られた溶液(溶液B)10gとを混合して、約2時間室温で攪拌し硬化性組成物溶液を得た。このようにして得られた溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果白色光線下における塗布むらが無く、鉛筆硬度は4Hと高い膜を形成することができた。しかしながらナトリウム光線下においてはかなりの塗布むらが観察された。またこの硬化性組成物溶液の合成に際しては、溶液Aおよび溶液Bの2種類の溶液を合成せねばならず繁雑であり、非常に手間がかかった。また40℃の下24時間放置し、溶液の粘度安定性を調べた。その結果粘度は初期粘度の約2倍に上昇し保存安定性は悪かった。
【0081】
比較例4
実施例1で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加しないこと以外は実施例1と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は、白色光線下における塗布むらは無いが、ナトリウム光線下においてはかなりの塗布むらが観察された。
【0082】
比較例5
実施例5で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加しないこと以外は実施例5と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は、白色光線下における塗布むらは無いが、ナトリウム光線下においてはかなりの塗布むらが観察された。
【0083】
比較例6
実施例9で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加しないこと以外は実施例9と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は、白色光線下における塗布むらは無いが、ナトリウム光線下においてはかなりの塗布むらが観察された。
【0084】
比較例7
実施例13で“アディトール”XW−329(ヘキストジャパン)を添加しないこと以外は実施例13と全く同様に硬化性組成物溶液を得た。このようにして得た溶液をガラス基板上にスピナで塗布し、280℃で3時間熱処理した。その結果得られた膜は、白色光線下における塗布むらは無いが、ナトリウム光線下においてはかなりの塗布むらが観察された。
【0085】
【発明の効果】
白色光下における塗布むらが無く、しかも単色光下における塗布むらもほとんど無く、さらにクラックも無く鉛筆硬度も十分高い保護膜が形成でき、しかも保存安定性に優れる硬化性組成物を得ることができる。

Claims (17)

  1. 少なくともアミノ基を有するアルコキシシランを加水分解せしめて得られるオルガノシランおよび/または該オルガノシランの縮合物と多価カルボン酸無水物とを反応させて得られるアミック酸、および界面活性剤を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. アミノ基を有するアルコキシシランが一般式RSi(OR´)4−n(R、R´は水素または有機基を示す。Rのうち少なくとも一つは一級アミノ基および/または級アミノ基を含む基である。nは1〜3の数である。)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. Rのうちの一つがγ−アミノプロピル基であることを特徴とする請求項2記載の硬化性組成物。
  4. オルガノシランとして、アミノ基を有するアルコキシシランとアミノ基を有しないアルコキシシランとを含有するアルコキシシラン混合物を加水分解せしめて得られるオルガノシランを用いることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  5. アミノ基を有しないアルコキシシランが一般式R Si(OR4−m(R、Rは水素または有機基を示す。ただし、Rは一級アミノ基および二級アミノ基を含まない。mは0〜3の数である。)で表されるものであることを特徴とする請求項4記載の硬化性組成物。
  6. のうち少なくとも一つがフェニル基であることを特徴とする請求項5記載の硬化性組成物。
  7. さらに、アルコキシシラン、該アルコキシシランを加水分解して得られるオルガノシランおよび該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1または4記載の硬化性組成物。
  8. 該アルコキシシランが一般式R Si(OR4−x(R、Rは水素または有機基を示す。xは1〜3の数である。)で表されるものであることを特徴とする請求項7記載の硬化性組成物。
  9. 多価カルボン酸無水物がテトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  10. テトラカルボン酸二無水物として3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用いることを特徴とする請求項9記載の硬化性組成物。
  11. 界面活性剤がノニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  12. ノニオン界面活性剤がシロキサン系ノニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項11記載の硬化性組成物。
  13. シロキサン系ノニオン界面活性剤が変性ポリシロキサンであることを特徴とする請求項12記載の硬化性組成物。
  14. 変性ポリシロキサンがポリエーテル変性アルキルシロキサンであることを特徴とする請求項13記載の硬化性組成物。
  15. ノニオン界面活性剤がアクリル系ノニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項11記載の硬化性組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の硬化性組成物からなるカラーフィルタ保護膜用硬化性組成物。
  17. 透明基板上に少なくとも着色層および保護膜をこの順に設けたカラーフィルタにおいて、該保護膜が請求項16記載のカラーフィルタ保護膜用硬化性組成物を硬化してなることを特徴とするカラーフィルタ。
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