JP3724004B2 - 熱硬化性組成物、その製造方法およびカラーフィルタ - Google Patents

熱硬化性組成物、その製造方法およびカラーフィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は半導体用バッファコ−ト、層間絶縁膜、パッシベ−ション膜等の電子材料用途に適した熱硬化性組成物に関するものであるが、特に液晶素子における透明基板やカラ−フィルタ−などの保護膜を形成するのに好適な熱硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶素子に色分解用カラ−フィルタ−を組み合わせたカラ−液晶表示素子が、多々提案されている。一般的なカラ−フィルタ−の構成としてはガラス等の透明基板上に画素を形成させた上に、保護膜層を設け、次いでITO透明電極を配するものであるが、この保護膜層には下層を構成する画素、ガラスさらにはブラックマトリックス成分として使用されるクロム等との接着性、上層を構成するITOとの接着性、液晶セルを構成するためのエポキシ封止剤との接着性、画素不純物成分との遮断性、平滑性、耐光性、耐湿熱性、耐溶剤性、耐薬品性、強靭性および透明性、液晶セルを構成する際の後工程に要求される熱処理への耐熱性等の幅広い特性が要求される。ガラス基板への保護膜としても同様の特性が要求され、このような保護膜を形成せしめる熱硬化性組成物として、特に耐熱性の見地からシロキサンポリマ前駆体やシリコ−ンポリイミド前駆体等の提案が行なわれている。シロキサンポリマ前駆体のひとつであるポリアルキルシルセスキオキサン前駆体としては、例えば特開昭63−241076号、特開平3−126612号、特開平3−188179号公報等に示されるごとく広く知られており、また特開昭61−103927号公報および特開昭63−291922号公報にはシリコ−ンポリイミド前駆体の製造方法が開示されている。さらに特開昭63−291924号公報には特にカラ−フィルタ−の保護膜形成を主たる目的としたシロキサンポリマ前駆体とシリコ−ンポリイミド前駆体からなる硬化性組成物の提案が行なわれている。特開昭63−291924号公報において提案される硬化性組成物は総合的に優れたカラ−フィルタ−保護膜を与えるものであるが、塗液組成物としての塗布性や上下層構成成分との接着性、カラ−フィルタ−保護膜形成用塗液組成物としての保存性等に問題点が残り、その改良が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶素子における透明基板やカラ−フィルタ−などの保護膜を形成するのに好適な熱硬化性組成物に関するものであり、特に塗布性が良好で接着性の改良された保護膜を与え、また保存安定性に優れた熱硬化性組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、オルガノトリアルコキシシランを有機溶剤中で多価カルボン酸無水物の存在下に加水分解・縮合させた後、アミノアルキルアルコキシシランおよび/またはアミノアリールアルコキシシランを添加・反応せしめることを特徴とする熱硬化性組成物の製造方法により達成される。
【0006】
本発明者等は耐熱性と透明性を兼ね備えた被膜を与えるシロキサンポリマ前駆体、特にオルガノシルセスキオキサンオリゴマーに注目し、この被膜の問題点である靭性と接着性を改良するために耐熱性有機構造を被膜中に導入することを意図して、鋭意検討した結果、上記の構成で容易にこれら問題点を回避できることを見出だし本発明に到達したものである。
【0007】
以下、本発明の構成を順に説明する。
【0008】
本発明においてA成分として使用されるオルガノシルセスキオキサンオリゴマーは特に限定されるものでは無く公知のオルガノシルセスキオキサンオリゴマーが広く使用できるが、下記一般式で示されるオルガノトリアルコキシシランを
[RSi(OR´)3 ] (1)
(ただし、R、R´は同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル基、アリ−ル基、アリル基またはフルオロアルキル基である。)
加水分解・縮合または縮合せしめて得られるオリゴマーが好ましく使用される。
原料成分のオルガノトリアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、γ−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるがこれらに限定されるものでは無い。またテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランのようなテトラアルコキシシランあるいはジアルコキシシランを併用することも可能である。
【0009】
ここで特にオルガノトリアルコキシシラン化合物の少なくとも一部として、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランのようなフェニルトリアルコキシシランおよびメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランのようなメチルトリアルコキシシランを併用することが、接着性と保存安定性の良好な熱硬化性組成物溶液を得るために有用であり、かつ本組成物から得られる被膜の靭性を向上することができる。
【0010】
本発明においてB成分として使用される多価カルボン酸としては公知の多価カルボン酸が広く使用できるが、具体的にはピロメリット酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、フマール酸、マレイン酸、もしくはこれらの混合物等を挙げることができ、特に芳香族テトラカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、マレイン酸あるいはフマール酸から選ばれた少なくとも一つであることが望ましい。これら多価カルボン酸は、酸無水物の状態で使用され、熱硬化性組成物の調製工程で加水分解あるいは部分エステル化を受けたものであっても良い。
【0011】
これら多価カルボン酸は熱硬化性組成物成分として混合添加されても良いが、オルガノシルセスキオキサンオリゴマー合成における原料オルガノトリアルコキシシランの加水分解あるいは加水分解・縮合の触媒として使用されることが好ましく、このような使用方法を採用することは、塗布性や保存安定性の優れた熱硬化性組成物溶液を得るために有用である。
【0012】
本発明においてC成分として使用される分子内に少なくとも1個以上の1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有するケイ素化合物としては、下記一般式(2)で表わされるアミノアルキルアルコキシシラン、アミノアリールアルコキシシラン(両者をあわせて「アミノオルガノアルコキシシラン」という)、これらの加水分解物および/または加水分解縮合物が好ましく使用され、
[R1 n Si(OR2 )]4-n ] (2)
(ただし、R1 は有機基を示し、 それぞれ同一でも異なっていてもよく、少なくとも一つの有機基はアミノアルキル基、N−アルキル−アミノアルキル基、アミノアリール基またはN−アルキル−アミノアリール基であり、その他はアルキル基、アリ−ル基、アリル基、フルオロアルキル基から選ばれる有機基である。R2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル基、アリ−ル基、アリル基、フルオロアルキル基から選ばれる基である。またn は1〜3の整数である)。
【0013】
具体的にはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメチルシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン等、あるいはこれらの加水分解物および/または加水分解縮合物が使用できるが、これらの化合物に限定されるものでは無い。
【0014】
C成分の分子内に少なくとも1個以上の1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有するケイ素化合物は、A成分のオルガノシルセスキオキサンオリゴマーとB成分の多価カルボン酸からなる溶液に添加混合して、好ましくは添加混合・反応せしめて熱硬化性組成物とするものである。分子内に少なくとも1個以上の1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有するケイ素化合物の構造としてはオルガノシルセスキオキサンオリゴマー成分の一部との共縮合物となるものであることが好ましい。
【0015】
分子内に少なくとも1個以上の1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有するケイ素化合物の使用量としては該化合物のアミノ基が多価カルボン酸のカルボキシ基と当量、あるいは多価カルボン酸のカルボキシ基がオルソ位のごとく隣接する際には1/2当量であることが好ましい。
【0016】
本発明の熱硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが好ましくは、有機溶剤中で多価カルボン酸を触媒としてオルガノトリアルコキシシラン類を加水分解あるいは加水分解・縮合させた後、アミノオルガノアルコキシシランを添加・混合、あるいは添加・混合・加熱反応せしめて得られるものである。ここでアミノオルガノアルコキシシランの添加時期としてはオルガノトリアルコキシシラン類の加水分解前、加水分解中、加水分解・縮合中であっても良く、いずれの方法においても本発明の熱硬化性組成物が得られるものである。
【0017】
オルガノトリアルコキシシラン化合物の加水分解・縮合条件としては多価カルボン酸あるいは多価カルボン酸無水物の加水分解物の存在下に、必要量の水を加えて0〜130℃の条件で撹拌してやることにより容易に行なうことができる。加水分解に使用する水の量は原料成分のオルガノトリアルコキシシランおよびオルガノアミノアルコキシシランのアルコキシ基に対して1/2当量以上であることが好ましいが、特に使用量を限定するものでは無く、1/2当量よりも少い量の水が使用された場合はアルコキシ基の残存するポリオルガノシロキサンが得られるものである。また必要に応じて生成したアルコ−ルあるいは水を常圧あるいは減圧下で留去せしめても良い。
【0018】
このような手法で得られた熱硬化性組成物の構造としては側鎖あるいは末端にアミノ基を有するシロキサンオリゴマーとオルガノシルセスキオキサンオリゴマーの混合物および/またはこれらの共縮合物と多価カルボン酸の塩構造を有するものであるが、このような構造に限定されるものでは無い。
【0019】
本発明の熱硬化性組成物の好ましい構成としてはアルキルトリアルコキシシランあるいはアリールトリアルコキシシランのごときオルガノトリアルコキシシラン、多価カルボン酸ないしその無水物および分子内に1個以上の第1級アミノ基ないし第2級アミノ基と1個以上のアルコキシ基を有するケイ素化合物を有機溶剤中で加水分解・縮合して得られる組成物である。
【0020】
本発明の熱硬化性組成物の調製に使用される有機溶剤は特に限定されるものではないが、塗布性の良好なコ−テイング用組成物を得るために好ましく使用される溶剤主成分としては分子内に少なくとも一個の水酸基と少なくとも一個のエーテル結合を有する沸点100〜300℃の液体が挙げられる。このような有機溶剤成分としては、例えば3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、プロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ル−モノ−メチルエ−テル、プロピレングリコ−ル−モノ−3級−ブチルエ−テル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また特に本発明の熱硬化性組成物の調製においてはN−メチルピロリドン、γブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶剤を併用しても良い。
【0021】
本発明の熱硬化性組成物の塗布性をさらに改良するために公知の界面活性剤、その他の添加剤を使用することができる。
【0022】
本発明の熱硬化性組成物は塗布性、保存安定性に優れ、基板塗布後、通常、加熱により硬化するものであり、硬化膜は耐熱性、透明性を兼ね備え、接着性、靭性に優れ、さらには電気的性質も良好なので、液晶表示素子に用いられる透明基板やカラーフィルタの保護膜形成用材料として有用であるが、半導体固体素子の絶縁膜、パッシベーション膜、バッファ膜、半導体集積回路または多層プリント配線板の層間絶縁膜、光導波路形成用材料、位相シフター用材料、さらには各種電子部品の保護膜としても用いることができる。
【0023】
例えば、カラーフィルタの保護膜として用いる場合には、ガラスなどの透明基板の上の着色層および必要に応じて該着色層の間隙に設けられた遮光層の上に、本発明の熱硬化性組成物を塗布、硬化させて透明保護膜とする。
【0024】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
実施例1
メチルトリメトキシシラン40.8g(0.3モル)、フェニルトリメトキシシラン59.4g(0.3モル)、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物4.83g(0.015モル)を3−メチル−3−メトキシブタノ−ル200gに溶解し、30℃で撹拌しながら、34.2gの蒸留水を加え、1時間加熱撹拌し、加水分解・縮合を行なった。
【0026】
この溶液を、徐々に加熱、攪拌下に昇温して2時間後にバス温135℃として2時間、加熱攪拌し、生成したアルコ−ルと水61.5gを留去させ、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸を含有するオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液とした。この溶液を80℃まで冷却して、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン5.76g(0.03モル)と3−メチル−3−メトキシブタノ−ル57.3gの混合液を添加して、同温度で2時間加熱、攪拌し、室温に冷却し、有機構造変性のオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液を得た。このように得られた溶液の固形分濃度を300℃、30分加熱の溶剤除去法で測定すると21.5重量%であり、粘度は21センチポイズ(25℃)であった。
【0027】
この有機構造変性のオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液を、孔径0.2μのフィルタ−で濾過しコ−テイング塗液を調製した。この塗液を1mm厚みの無アルカリガラス板上にスピンコ−タで塗布し、100℃熱風乾燥機中で5分間プレキュアした後290℃で1時間のキュアを行ない1.5μmの塗膜を形成させた。この塗膜は塗布ムラや欠点がなく、400〜800nmの可視領域で98%以上の光透過性を示し、鉛筆引っ掻き硬度は3Hを示した。ガラス板への接着性をテ−プ剥離によるゴバン目試験(JIS K−5400)で評価したが、剥離は全く見られなかった。これらの特性は220℃のギヤオ−ブン中で200時間加熱処理しても低下することがなく、また120℃、2気圧、100%RH、96時間の湿熱処理を行なっても低下しなかった。
【0028】
さらにこのガラス板上塗膜に液晶セル封止用エポキシ樹脂を1mm幅8μm厚みに塗布・キュアさせて剥離力を測定したところ、2Kg/cm以上の実用強度を示し、この接着性は120℃、2気圧、100%RH、24時間の湿熱処理を行なっても低下しなかった。
【0029】
また、このコ−テイング塗液を室温(25℃)で30日間放置した後、同様の塗布と評価を行い、同様特性の塗膜が得られることを確認した。
【0030】
また1mm厚みの無アルカリガラス板の代わりに、該ガラス板上に蒸着クロムのブラックマトリックスとポリイミドをバインダ−成分とする顔料分散タイプのRGB画素を形成させたカラ−フィルタ−を使用して、このカラ−フィルタ−上に同様の塗布とプレキュア・キュアを行なったところ、その特性は無アルカリガラス板上被膜とほぼ同様であった。
【0031】
比較実施例1
実施例1において4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物4.83g(0.015モル)を使用しないで、同様の実験を行なったが、得られた溶液はゲル状物を含有し、孔径0.2μのフィルタ−での濾過ができなかった。またこの有機構造変性のオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液を室温で1週間放置しておいたところゲル化固体化していた。
【0032】
比較実施例2
実施例1においてγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン5.76g(0.03モル)を使用しないで、同様の実験を行なった。得られた溶液を使用して無アルカリガラス基板上で同様の塗布と評価を行なったところ、120℃、2気圧、100%RH、24時間の湿熱処理後のゴバン目試験(JIS K−5400)で100%の塗膜剥離が生じた。
【0033】
実施例2
メチルトリメトキシシラン136g(1.0モル)、フェニルトリメトキシシラン198g(1.0モル)、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物32.2g(0.1モル)をγ−ブチロラクトン140g、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル421gに溶解し、30℃で撹拌しながら、118gの蒸留水を加え、1時間加熱撹拌し、加水分解・縮合を行なった。
【0034】
この溶液を、徐々に加熱、攪拌下に昇温して2時間後にバス温135℃として2時間、加熱攪拌し、生成したアルコ−ルと水215gを留去させ、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸を含有するオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液とした。この溶液を80℃まで冷却して、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン38.3g(0.2モル)をγ−ブチロラクトン133g、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル355gの混合液を添加して、同温度で2時間加熱、攪拌し、室温に冷却した後、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル60gで稀釈して、有機構造変性のオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液を得た。このように得られた溶液の固形分濃度を300℃、30分加熱の溶剤除去法で測定すると19.1重量%であり、粘度は18センチポイズ(25℃)であった。
【0035】
この有機構造変性のオルガノシルセスキオキサンオリゴマー溶液を、孔径0.2μのフィルタ−で濾過しコ−テイング塗液を調製した。この塗液を1mm厚みの無アルカリガラス板上にスピンコ−タで塗布し、100℃熱風乾燥機中で5分間プレキュアした後290℃で1時間のキュアを行ない1.5μmの塗膜を形成させた。この塗膜は欠点がなく良好な平坦性(±0.05μm以下)を有し、400〜800nmの可視領域で97%以上の光透過性を示し、鉛筆引っ掻き硬度は3Hを示した。ガラス板への接着性をテ−プ剥離によるゴバン目試験(JISK−5400)で評価したが、剥離は全く見られなかった。これらの特性は220℃のギヤオ−ブン中で200時間加熱処理しても低下することがなく、また120℃、2気圧、100%RH、96時間の湿熱処理を行なっても低下しなかった。
【0036】
さらにこのガラス板上塗膜に液晶セル封止用エポキシ樹脂を1mm幅8μm厚みに塗布・キュアさせて剥離力を測定したところ、2Kg/cm以上の実用強度を示し、この接着性は120℃、2気圧、100%RH、24時間の湿熱処理を行なっても低下しなかった。
【0037】
また、このコ−テイング塗液を室温(25℃)で30日間放置した後、同様の塗布と評価を行い、同様特性の塗膜が得られることを確認した。
【0038】
また1mm厚みの無アルカリガラス板の代わりに、該ガラス板上に蒸着クロムのブラックマトリックスとポリイミドをバインダ−成分とする顔料分散タイプのRGB画素を形成させたカラ−フィルタ−を使用して、このカラ−フィルタ−上に同様の塗布とプレキュア・キュアを行なった。当初ブラックマトリックスと画素の段差は1.5μmであったが該コ−テイング膜形成後の段差は0.3μmとなった。その他の特性は無アルカリガラス板上被膜とほぼ同様であった。
【0039】
実施例3
実施例2において4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物32.2g(0.1モル)の代わりにトリメリット酸20.0g(0.1モル)を使用して、ほぼ同様の結果を得た。
【0040】
実施例4
実施例2において4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物32.2g(0.1モル)の代わりに無水マレイン酸9.8g(0.1モル)を使用して、ほぼ同様の結果を得た。
【0041】
実施例5
実施例2においてγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン38.3g(0.2モル)の代わりにN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン46.9g(0.2モル)を使用して、ほぼ同様の結果を得た。

Claims (4)

  1. ルガノトリアルコキシシランを有機溶剤中で多価カルボン酸無水物の存在下に加水分解・縮合させた後、アミノアルキルアルコキシシランおよび/またはアミノアリールアルコキシシランを添加・反応せしめることを特徴とする熱硬化性組成物の製造方法。
  2. 請求項1記載の熱硬化性組成物の製造方法によって得られた熱硬化性組成物を用いたカラーフィルタ保護膜用熱硬化性組成物。
  3. 請求項1記載の熱硬化性組成物の製造方法によって得られた熱硬化性組成物を用いた層間絶縁膜。
  4. 請求項1記載の熱硬化性組成物の製造方法によって得られた熱硬化性組成物を用いた光導波路形成用熱硬化性組成物。
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