JP3677765B2 - 蛍光x線分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次X線が照射される照射位置に試料を搬送し、照射位置で試料の測定部分を位置決めして分析を行う蛍光X線分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、試料ホルダに装着され、ターレット(板状の回転体)に載せられた試料を、試料ホルダの交換が行われる投入位置から、1次X線を照射する照射位置のrθステージへ、ターレットを回転させることにより搬送し、その照射位置でrθステージを適切に駆動して試料の測定部分を位置決めし、任意の微小部分の分析を行う蛍光X線分析装置がある。このような装置では、位置決めと測定を繰り返して複数の測定部分について分析することにより、マッピング分析(分布分析)を行うことができる。測定部分の指定は、例えば、投入位置と照射位置の間の適切な位置にCCDカメラなどの撮像手段を設置してその位置を指定位置とし、搬送中に試料ホルダを指定位置で一旦停止させ、撮像手段で撮像した試料表面を見ながら画面上で行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、試料ホルダがターレットの回転により搬送される際、つまりターレットの回転軸まわりに公転する際、試料ホルダはターレットに対しては静止しているため、搬送の回転角と同じだけ、同時に自転(円筒状である試料ホルダ自身の中心軸まわりの回転)もすることになる。ターレット15の回転で搬送される試料ホルダにおける試料3の方向3dを、試料3の上面に矢印を付すことにより、搬送の回転角90度ごとに例示すると、図7のようになる。したがって、指定位置と照射位置とにおいても、試料の方向が変わってしまう。かといって、指定位置と照射位置を同じ位置にすること、つまり、照射位置においてX線管などに干渉しないようにCCDカメラなどを設けることは困難である。
【0004】
この不具合を解消するために、例えば下記特許文献1に記載の蛍光X線分析装置において、以下のような工夫がなされている。試料ホルダ(試料)Sに基準マークMを設けておき、指定位置(画像測定部)においてθステージなどの回転機構で試料ホルダSを回転させて、レーザー変位計などの検出器5bで基準マークMの回転方向の位置を検出し、基準マークMが3時の方向にくるようにθステージを停止させて試料Sの方向を初期化してから、測定部分pの指定を行う。次に、試料ホルダSを照射位置(蛍光X線測定部)に搬送し、同様に回転機構および検出器5Bを用いて試料Sの方向を初期化してから、試料Sの測定部分Pの位置決めを行う。つまり、照射位置と指定位置の両方において、試料の方向の初期化のために、回転機構および検出器が必要で装置の構成が複雑になり、また時間もかかる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−39972号公報(段落0015〜0018、図2)
【0006】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、試料ホルダを円周経路で搬送する際に試料の方向を維持して、照射位置および指定位置における試料の方向の初期化を不要にできる蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の装置は、試料に1次X線を照射して発生する2次X線の強度を測定する蛍光X線分析装置であって、以下のr駆動手段とθ駆動手段とを備える。r駆動手段は、試料ホルダに装着された試料に1次X線が照射される照射位置と、試料ホルダの交換が行われる投入位置との間で、r駆動軸を回転させることにより試料ホルダを前記r駆動軸を中心とする円周方向に搬送し、かつ、前記照射位置で前記r駆動軸を回転させることにより試料の測定部分を前記円周方向に位置決めする。θ駆動手段は、θ駆動軸を回転させることにより試料ホルダをその中心軸まわりに回転させる機能を有して、前記照射位置で前記θ駆動軸を回転させることにより試料の測定部分を前記中心軸まわりに位置決めする。そして、前記r駆動軸およびθ駆動軸が同心の2重軸を構成する。
【0008】
ここで、試料の測定部分の指定が行われる指定位置が前記照射位置とは異なる位置であり、この蛍光X線分析装置は、試料ホルダが前記r駆動手段により搬送されてr駆動軸まわりに公転する際に自転しないように、前記θ駆動軸を回転させる制御手段をさらに備える。
【0009】
本発明の装置によれば、試料ホルダがr駆動軸まわりに搬送されて公転する際に自転しないように、制御手段がθ駆動軸を適切に回転させるので、試料の方向が維持され、照射位置および指定位置における試料の方向の初期化を不要にできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態の装置について、構成から説明する。図1の縦断面図に示すように、この装置は、まず、真空引きされるチャンバ39内で試料3にX線管などのX線源1から1次X線2を下方から照射して、発生する2次X線5の強度を検出手段6で測定する下面照射型蛍光X線分析装置である。検出手段6は、発散ソーラースリット、分光素子、受光ソーラースリット、検出器などを含むが、ここでは、発散ソーラースリットのみを図示している。なお、SSDのようにエネルギー分解能の高い検出器を用いる場合には、分光素子を備える必要はない。また、本発明は、下面照射型に限定されず、試料に上方から1次X線を照射する上面照射型でもよい。
【0011】
この装置は、以下のr駆動手段37とθ駆動手段38とを備える。r駆動手段37は、チャンバ39を除去した斜視図である図2に示すように、試料ホルダ34Aに装着された試料3AにX線源1から1次X線2(図1)が照射される照射位置(図1、図2での右側)と、試料ホルダ34Bの交換が行われる投入位置(図1、図2での左側)との間で、r駆動軸43(図1)を回転させることにより試料ホルダ34A,34Bをr駆動軸43を中心とする円周方向rに搬送し、かつ、前記照射位置でr駆動軸43を回転させることにより試料3Aの測定部分を円周方向rに位置決めする。図2で左側の投入位置から手前側を経て右側の照射位置へ至る半円周を搬送往路とし、右側の照射位置から奥側を経て左側の投入位置へ戻る半円周を搬送復路とし、円周全体を搬送経路とする。
【0012】
より具体的には、図1に示すように、r駆動手段37は、ステッピングモータであるr駆動モータ40、そのr駆動モータ40の回転軸に伝達部49を介して連結された円柱状のr駆動体41、そのr駆動体41の円筒状の下端部で直径方向(図1では紙面垂直方向)に連結されたピン42、そのピン42が係合する溝を上端部に有する円柱状のr駆動軸43、そのr駆動軸43の下端部に連結された水平の円板状のステージ45、そのステージ45にそれぞれ軸受け47A,47Bを介して取り付けられ、試料ホルダ34A,34Bがそれぞれ載置される2つのホルダ受け48A,48Bなどを含む。2つのホルダ受け48A,48Bは、前記円周方向r(図2)に180度離れた位置に設けられている。伝達部49は、r駆動モータ40の回転軸に連結されたプーリ63、r駆動体41を回転軸として連結されたプーリ65、および両プーリ63,65に掛けられたベルト64からなる。
【0013】
ホルダ受け48A,48Bは、ステージ45に軸受け47A,47Bを介して取り付けられる輪状歯車61A,61Bと、それに載置されるカップ状のホルダ受け本体62A,62Bとからなる。ホルダ受け本体62A,62Bの上端部外周には段部(つば)が形成され、輪状歯車61A,61Bの上部内周側に、ホルダ受け本体62A,62Bの上部外周側が嵌入、係合する。ホルダ受け本体62A,62Bの底部(下部)は底板の周縁部を残して開口しており、その底部内側に、試料ホルダ34A,34Bの下部外周に形成された下側段部が嵌入、係合するように載置される。試料ホルダ34A,34Bは底付き円筒状であるが、底部は底板の周縁部を残して開口しており、その底部内側に、円板状の試料3A,3Bの外周部が嵌入、係合するように装着され、試料ホルダ34A,34Bの底部の開口を通って1次X線2が試料3Aの下面に照射される。また、試料ホルダ34A,34Bの上端部外周には上側段部が形成されている。
【0014】
ステージ45には、図2のように上面外周部3箇所において、車輪状のベアリング46D,46E,46Fの軸がねじ込まれて取り付けられ、図1のチャンバ39の円筒状の壁の内面に対しベアリング46D,46E,46Fの外周がころがる。また、ステージ45の下面外周部に対しベアリング46G,46H,46I(図1に46G,46Hを示し、図2に46Iを示す)の外周がころがるように、ベアリング46G,46H,46Iの軸が、水平に設定され、チャンバ39に固定されている(固定の様子については図示を省略している)。これらのベアリング46D,46E,46F,46G,46H,46Iを用いた支持構造により、ステージ45は、r駆動軸43を中心として円周方向rに回転自在である。
【0015】
θ駆動手段38は、図2に示すように、θ駆動軸53を回転させることにより試料ホルダ34A,34Bを各中心軸CA ,CB まわり(θA ,CB 方向)に回転させる機能を有して、前記照射位置でθ駆動軸53を回転させることにより試料3Aの測定部分を前記中心軸CA まわり(θA 方向)に位置決めする。
【0016】
より具体的には、図1に示すように、θ駆動手段38は、ステッピングモータであるθ駆動モータ50、そのθ駆動モータ50の回転軸に伝達部59を介して連結され、中間部において軸受け55を介して内側のr駆動体41と相対回転自在な段付き円筒状のθ駆動体52、そのθ駆動体52の下端部の溝が係合する突起を上端部に有し、下端部において軸受け54を介して内側のr駆動軸43と相対回転自在な円筒状のθ駆動軸53、そのθ駆動軸53の下端部外周に設けられた歯車に外周が噛み合う前記ホルダ受け48A,48Bなどを含む。チャンバ39の上部(天板)には、円筒状のカバー80が取り付けられており、その内側に位置するθ駆動体52は、中間部において軸受け81を介してカバー80と相対回転自在である。r駆動軸43はθ駆動軸53を貫通し、両者は同心の2重軸を構成している。伝達部59は、θ駆動モータ50の回転軸に連結されたプーリ73、θ駆動体52を回転軸として連結されたプーリ75、および両プーリ73,75に掛けられたベルト74からなる。
【0017】
r,θ駆動モータ40,50は、回転位置が検出できるものであればよく、ステッピングモータ以外に、サーボモータを用いてもよく、また、回転位置検出をしないモータと回転位置検出のためのエンコーダとを組み合わせたものを用いてもよい。また、r駆動体41とθ駆動体52との間、θ駆動体52とカバー80との間、カバー80とチャンバ39の上部(天板)との間は、いずれも適切にシールされる。なお、図1は、図2の縦断面図であるが、ステージ45およびチャンバ39の外周部においては、ベアリング46D,46E,46G,46Hの軸を通る断面を示す。
【0018】
また、この実施形態の装置は、図1に示すように、前記投入位置で試料ホルダ34Bの交換つまり試料3Bの交換を行うための以下のような試料交換手段90を備えている。まず、投入位置にある試料ホルダ34Bおよびホルダ受け本体62Bが、図3に示すように上方へ移動できるように、チャンバ39の上部には開口39aが設けられており、その開口39aを介してチャンバ39内と連通する円筒状の交換筒91がチャンバ39の上面に取り付けられている。その交換筒91の上部を密閉する蓋体92は、一対のステー93a,93bを介して図示しない移動機構により水平方向および上下方向に移動される。蓋体92の内部には、試料ホルダ34Bを把持、解放するための一対の爪94a,94bを有する把持部94が設けられている。
【0019】
また、交換筒91の中心軸に沿って上下動する円柱状の交換軸95が設けられ、その先端部には、試料ホルダ34Bを載置する円板状のホルダ台96が取り付けられている。交換軸95の外側には摺動自在の2重軸を構成するホルダ受け台97が設けられており、ホルダ受け台97の上部は底付き円筒状に形成され、上端部にホルダ受け本体62Bの底部が嵌入するように載置される。ホルダ受け台97の下方で、交換軸95には段付き円筒状のばね止め98が取り付けられ、交換軸95の溝に嵌め込まれたリング99により下方向への移動を規制されている。そして、ホルダ受け台97とばね止め98との間に挿入されたコイルばね100の伸長力により、ホルダ受け台97は、交換軸95に対し上方に押し上げられ、ホルダ受け台97の底の内面にはホルダ台96の下面が当接する。
【0020】
なお、交換筒91の内側には、ホルダ受け台97に載置されたホルダ受け本体62Bの上端が下から当接する段部91aが形成されている。また、蓋体92と交換筒91との間、交換筒91とチャンバ39との間、交換筒91の段部とホルダ受け本体62Bとの間、ホルダ受け本体62Bとホルダ受け台97との間、ホルダ受け台97と交換軸95との間は、いずれも適切にシールされる。
【0021】
また、この実施形態の装置では、図2に示すように、左側の投入位置から手前側を経て右側の照射位置へ至る前記搬送往路の中間に、下方から試料表面を見上げるCCDカメラなどの撮像手段110を設置し、搬送経路におけるその位置を指定位置としている。測定部分の指定は、往路搬送中に試料ホルダ34を指定位置で一旦停止させ、撮像手段110で撮像した試料表面を操作者が見ながら画面上で行う。搬送経路において指定位置を照射位置や投入位置とは異なる位置とするのは、照射位置のX線源1や投入位置の試料交換手段90(図3)などに干渉しないように撮像手段110を設置するのが困難だからである。さらに、この実施形態の装置は、図1に示すように、試料ホルダ34がr駆動手段37により搬送されてr駆動軸43まわりに公転する際に自転しないように、θ駆動軸53を回転させる制御手段111を備える。この装置の他の構成については、次述の動作の説明とともに説明する。
【0022】
次に、この実施形態の装置の動作について説明する。全体の動作も制御手段111により自動的になされる。今、図1において、照射位置にある試料ホルダ34Aは、搬送された直後で、試料3Aの測定部分の位置決め前である。ここで、照射位置とは、試料ホルダ34Aに装着された試料3AにX線源1から1次X線2が照射される位置をいい、ある程度の範囲を有する。搬送された直後の位置は、そのうちの所定の基準となる位置である。このとき、もう一方の試料ホルダ34Bは、装着した試料3Bについてすでに照射位置での強度測定を終えて、投入位置にある。この段階で、図3に示すように、投入位置にある試料ホルダ34Bおよびホルダ受け本体62Bの下方から、交換軸95と一体となったホルダ台96およびホルダ受け台97が上昇してきて、試料ホルダ34Bおよびホルダ受け本体62Bを載置して押し上げ、ホルダ受け本体62Bの上端が、交換筒91の段部91aの下面に当接する。その結果、蓋体92および交換筒91の内部でホルダ受け本体62Bおよびホルダ受け台97よりも上側の空間SU は、チャンバ39内と連通しない密閉空間となる。
【0023】
そこで、この上側空間SU に空気が導入され大気圧にされるとともに、図4に示すように、試料ホルダ34Bを載置したホルダ台96および交換軸95が、コイルばね100の伸長力に打ち勝って、さらに上昇する。そして、爪94a,94bを開いて待機していた把持部94(図3)が、爪94a,94bを閉じて試料ホルダ34Bの上側段部に係合させ、試料ホルダ34Bを把持する。把持部94が試料ホルダ34Bを把持した状態で、蓋体92が移動機構により上下方向および水平方向に移動され、把持部94の爪94a,94bが開くことにより、試料ホルダ34Bは、もともと待機していた位置(図示せず)に戻される。
【0024】
さらに、試料ホルダ34Bを待機位置に戻したのと逆の手順によって、現在照射位置にある試料3A(図1)の次に分析すべき試料3Cを装着した試料ホルダ34Cが、待機位置から図3の試料ホルダ34Bの位置まで移動される。その際、蓋体92が交換筒91の上部を密閉した後、上側空間SU が真空引きされる。
【0025】
さて、以上の試料交換作業の間、チャンバ39内の真空は維持されており、また、ステージ45は、輪状歯車61Bが交換軸95およびばね止め98に干渉しない範囲で、前記円周方向rに回転できる。つまり、投入位置で試料交換をしながら、並行して以下のように照射位置で分析ができる。まず、図1の制御手段111が、r駆動手段37のr駆動モータ40およびθ駆動手段38のθ駆動モータ50を適切に回転させ、試料3Aの指定された測定部分(測定部分の指定については後述する)にX線源1から1次X線2が照射されそこから発生した2次X線5が検出手段6に入射するように、測定部分を前記円周方向rおよびθA 方向に位置決めする。そして、その測定部分に1次X線2が照射され発生する2次X線5の強度が検出手段6で測定され、蛍光X線分析がなされる。複数の測定部分が指定された場合は、位置決めおよび強度測定が順次行われ、分布分析がなされる。
【0026】
また、試料3Aにおける不均一性の問題を回避して平均化したデータを得たい場合には、上述のような位置決めを行わずに、θ駆動手段38のいわゆるスピン機能を利用して、照射位置で試料ホルダ34Aを連続回転させながら測定することにより、円状または輪状の広い測定部分について分析することもできる。なお、θ駆動軸53を回転させることにより照射位置でホルダ受け48Aを回転させると、同時に図3に示すような状態で投入位置側の輪状歯車61Bが空回りするが、問題はない。
【0027】
試料3Aについての強度測定がすべて終了すると、図1の制御手段111が、r駆動手段37のr駆動モータ40を適切に回転させ、試料ホルダ34Aを、位置決め前の位置、つまり照射位置のうちの前記所定の基準となる位置に戻す。これにより、図3に示すように、輪状歯車61Bが、厳密に試料ホルダ34Cおよびホルダ受け本体62Bの直下に位置する。そして、試料ホルダ34Cおよびホルダ受け本体62Bを載置したホルダ台96、ホルダ受け台97および交換軸95が下降し、試料ホルダ34Cは、図1に示す投入位置にくる。これで、投入位置における試料3Bから試料3Cへの交換作業が完了する。
【0028】
次に、制御手段111が、r駆動手段37のr駆動モータ40を適切に(この実施形態の装置では上から見て左回りに90度)回転させ、投入位置の試料ホルダ34Cを指定位置に移動させると、撮像手段110(図2)で撮像された試料3Cの表面の画像が、CRTなどの表示手段112の画面112aに表示される。このとき、試料3C表面の中心が画面112aの中心にくるように、撮像手段110(図2)が設置されている。
【0029】
そして、操作者により、表示手段112の画面112aに表示された試料3C表面の画像に基づいて、試料3Cの測定部分(複数でもよい)が指定される。この指定は、制御手段111含まれる指定手段113を用いて、例えばマウス113aで画面上112aのポインタ113bを所望の測定すべき部分まで移動させ、そこでクリックすることにより行われる。指定された測定部分のデータは、試料3C表面の中心(画面112aの中心でもある)を原点とする座標値(rθ座標値やXY座標値)として指定手段113に記憶される。
【0030】
試料3Cについて操作者による測定部分の指定が終了すると、その測定のため、制御手段111が、r駆動手段37のr駆動モータ40を適切に(この実施形態の装置では上から見て左回りに90度)回転させ、指定位置の試料ホルダ34Cを照射位置に移動させる。さて、このように試料ホルダ34Cがr駆動軸43まわりに搬送されて公転する際、前述したように、従来は、試料ホルダが搬送の回転角と同じだけ、同時に自転もして(図7)、指定位置と照射位置とで試料の方向が変わってしまうという問題があった。
【0031】
この実施形態の装置においても、もし、搬送の際、θ軸駆動53を回転させずにr駆動軸43のみを回転させると、静止したθ駆動軸53まわりに、ステージ45とともにホルダ受け48A,48Bも回転し、ホルダ受け48A,48Bの輪状歯車61A,61Bは、θ駆動軸53の下端部外周に設けられた歯車に噛み合っているので、ホルダ受け48A,48Bとそこに載置された試料ホルダ34A,34Cは、自転することになる。例えば、この実施形態の装置において輪状歯車61A,61Bとθ駆動軸53の歯車の直径、歯数が共通であるとすると、搬送の回転角の2倍分、試料ホルダ34が自転することになる。ステージ45の回転で搬送される試料ホルダ34における試料3の方向3dを、試料3の上面に矢印を付すことにより、搬送の回転角90度ごとに例示すると、図6のようになる。このように従来よりも大きい角速度で自転すると、自転の慣性力により、図1の試料ホルダ34がホルダ受け48に対してスリップして、その分さらに指定位置と照射位置とで試料の方向が変わってしまうなどのおそれも生じる。
【0032】
そこで、本発明の装置においては、制御手段111により、試料ホルダ34がr駆動手段37により搬送されてr駆動軸43まわりに公転する際に自転しないように、θ駆動軸53を回転させる。例えば、この実施形態の装置では、搬送の回転角の2倍分、θ駆動手段38のθ駆動モータ50をr駆動モータ40とは逆向きに回転させて、試料ホルダ34の自転運動を打ち消す。この動作は、搬送経路全体においてなされる。ステージ45の回転で搬送される試料ホルダ34における試料3の方向3dを、試料3の上面に矢印を付すことにより、搬送の回転角90度ごとに例示すると、図5のようになる。本発明においては、搬送経路のどこにおいても、試料の方向は変わらない。
【0033】
このようにして、図1の制御手段111は、試料3Cの測定のため、r駆動手段37のr駆動モータ40およびθ駆動手段38のθ駆動モータ50を適切に回転させ、指定位置の試料ホルダ34Cを自転させずに照射位置に移動させる。したがって、この実施形態の装置によれば、試料ホルダ34Cがr駆動軸43まわりに搬送される際、試料3Cの方向が維持され、照射位置および指定位置における試料3Cの方向の初期化を不要にできる。
【0034】
指定位置の試料ホルダ34Cを照射位置に移動させると同時に、もう一方の試料ホルダ34Aを投入位置に移動させ、以上の手順を繰り返す。続けて分析する試料3Cがない場合には、分析済みの試料3Aを装着した試料ホルダ34Aを、前述したように待機位置に戻して、分析作業を終了する。
【0035】
なお、指定位置はステージ45の回転による搬送経路外でもよい。例えば、蛍光X線分析装置本体の外に撮像手段110を設置し、前述したのと同様に試料ホルダ34に装着した試料3について測定部分を指定した後、試料ホルダ34をそれぞれの前記待機位置に載置し(載置にあたり、操作者から見た試料3の方向を指定時と同じ向きにする)、前記試料交換手段90による待機位置から投入位置までの移動において、操作者から見た試料3の方向を維持するようにしておけば、投入位置以降のステージ45の回転による搬送経路においては、前述したように試料3の方向は維持されるので、やはり、照射位置および指定位置における試料3の方向の初期化を不要にできる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の蛍光X線分析装置によれば、試料ホルダがr駆動軸まわりに搬送されて公転する際に自転しないように、制御手段がθ駆動軸を適切に回転させるので、試料の方向が維持され、照射位置および指定位置における試料の方向の初期化を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である下面照射型蛍光X線分析装置を示す縦断面図である。
【図2】同装置のチャンバを除去した斜視図である。
【図3】同装置の試料交換機構を示す縦断面図である。
【図4】同装置の試料交換機構の別の状態を示す縦断面図である。
【図5】同装置においてステージの回転で搬送される試料の方向を、搬送の回転角90度ごとに例示した図である。
【図6】同装置において仮にθ軸駆動を停止したままでステージを回転させた場合に搬送される試料の方向を、搬送の回転角90度ごとに例示した図である。
【図7】従来の蛍光X線分析装置においてターレットの回転で搬送される試料の方向を、搬送の回転角90度ごとに例示した図である。
【符号の説明】
2…1次X線、3…試料、5…2次X線、34…試料ホルダ、37…r駆動手段、38…θ駆動手段、43…r駆動軸、53…θ駆動軸、111…制御手段、C…試料ホルダの中心軸、r…円周方向、θ…中心軸まわり。
Claims (1)
- 試料に1次X線を照射して発生する2次X線の強度を測定する蛍光X線分析装置であって、
試料ホルダに装着された試料に1次X線が照射される照射位置と、試料ホルダの交換が行われる投入位置との間で、r駆動軸を回転させることにより試料ホルダを前記r駆動軸を中心とする円周方向に搬送し、かつ、前記照射位置で前記r駆動軸を回転させることにより試料の測定部分を前記円周方向に位置決めするr駆動手段と、
θ駆動軸を回転させることにより試料ホルダをその中心軸まわりに回転させる機能を有して、前記照射位置で前記θ駆動軸を回転させることにより試料の測定部分を前記中心軸まわりに位置決めするθ駆動手段とを備え、
前記r駆動軸およびθ駆動軸が同心の2重軸を構成し、
試料の測定部分の指定が行われる指定位置が前記照射位置とは異なる位置であり、
試料ホルダが前記r駆動手段により搬送されてr駆動軸まわりに公転する際に自転しないように、前記θ駆動軸を回転させる制御手段を備えた蛍光X線分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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