JP3635338B2 - X線分析用試料ホルダおよびx線分析装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微少量の試料を複数個保持できる試料支持具を有し、蛍光X線分析装置のようなX線分析装置にセットすることができる試料ホルダおよびX線分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光X線分析装置は、試料に一次X線のような放射線を照射して、試料から発生した蛍光X線を測定することにより、試料の元素分析を行なう装置である。この分析装置においては、通常、一次X線の照射位置に試料を正しくセットするために、試料ホルダを用いる。この試料ホルダに微少量の試料をセットする場合には、粘着剤、粘着テープで試料台に固定したりするのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粘着剤、粘着テープ等で固定する方法は、試料を汚染し、試料の固定位置が一定しない。
【0004】
本発明は、このような課題を解決して、簡便に微少量の試料を正確な位置に保持することができるX線分析用試料ホルダおよびこの試料ホルダを備えたX線分析装置を提供することを目的としている。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の試料ホルダは、X線分析装置によって分析される試料を保持するためのX線分析用試料ホルダであって、試料を支持する試料支持具が試料ホルダに着脱自在に取り付けられており、前記試料支持具は、試料挿入孔を1つ以上有する板状の本体と、この本体の片面を覆って他の面を開放し、前記挿入孔に滴下された液体試料が乾燥されて前記挿入孔に面した裏面に付着されるフィルムとを備えている。
この構成によれば、試料は挿入孔のフィルムに滴下・乾燥によって支持されるので支持位置が一定となる。また、試料の保持に粘着剤や粘着テープなどを使用しないので試料を汚染せず、分析後の試料の回収も可能である。さらに、試料支持具の接着剤等による汚染の心配もなく、フィルムを交換するだけで、何度でも試料支持具を使用することができる。
【0006】
また、本発明の好ましい実施形態では、前記試料支持具の本体の外周に試料ホルダに対する周方向の位置決めを行なうための係合部が設けられている。
この構成によれば、X線の照射方向の位置決めが容易である。
【0007】
さらに、本発明のX線分析装置は、前記X線分析用試料ホルダを二次元的に駆動するテーブルにセットし、前記試料ホルダに保持された試料のX線分析を行なうX線分析装置であって、前記試料ホルダの回転方向の位置を検出するセンサを有し、前記テーブルにセットされる前に、前記試料ホルダを回転駆動して前記センサからの検出信号に基づいて試料ホルダの回転方向の位置決めを行なう試料回転方向位置決め機構を備えたことを特徴としている。
この構成によれば、X線分析装置に対する試料ホルダの位置を容易に定めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
まず、蛍光X線分析装置の概略について説明する。図11において、X線管(放射線源)50は、一次X線(放射線)B1を出射して、試料ホルダ8内の試料支持具1に保持された粉末の微少量の固形試料である試料Sに、一次X線B1を照射する。試料Sに照射された一次X線B1は、試料Sの元素を励起して、その元素固有の蛍光X線B2を発生させる。試料Sからの蛍光X線B2は、視野制限スリット51および第1のソーラスリット52を通過し、分光結晶53に入射角θで入射し、ブラッグの式を満足する所定の波長の蛍光X線B2のみが、入射角θと同一の回折角θで回折される。回折された蛍光X線B2は、第2のソーラスリット54を通過したあと、X線検出器55に入射して検出される。この検出値に基づいて試料Sの元素分析がなされる。試料ホルダ8は、一方向の直線移動と回転を行なうRθテーブル56上に載置され、Rθテーブル56の駆動により、試料Sを照射位置に移動させてX線を照射させる。
【0009】
本発明に含まれない第1の参考例の試料支持具1は、図1に示すように、試料S1を先端面に載置する棒状の支持部材2と、有底筒形状の本体(以下、「サンプルカップ」という)3と、本体3の開口部3dに張着されるフィルム4とを備えており、試料S1は、棒状の支持部材2の先端面2aとフィルム4との間に挟み込まれて保持される。
【0010】
棒状の支持部材2は、試料S1を載せる先端面2aを形成する細長い円柱部2bと、その円柱部2bの根元に設けられた雄ねじ部2cとからなり、雄ねじ部2cの外径は、円柱部2bの外径よりも大きく形成され、雄ねじ部2cの裏面2eには、ドライバー等で操作可能なように溝2dが刻設されている。一方、サンプルカップ3の底壁3aの中心には、雌ねじ部3bが形成されており、支持部材2は、底壁3aの下側から筒内に挿入され、底壁3aにドライバー等でねじ込まれてサンプルカップ3の中央に立設される。この支持部材2は、ポリプロピレンのような樹脂によって形成されている。
【0011】
この棒状の支持部材2の外径は小さく、図2に示されるように、支持部材2の先端面2aは試料S1によってほぼ完全に覆われる。したがって、試料S1は、中空に保持されることになり、試料S1の周辺の部材から発生する散乱線の量が少なくなり、分析精度が高まる。また、これにより、支持部材2の製造に当たって、目的の成分を含まない材料を考慮する必要性が少なくなる。そこで、成形のし易さなどの観点から前述の樹脂により形成することができる。
【0012】
図1に示すサンプルカップ3は、外周に環状の溝3cが形成されており、スナップリング7をこの溝3cに嵌め込んで、フィルム4が適当なテンションで開口部3dを覆うようにフィルム4を支持する。このスナップリング7でフィルム4を支持することにより、フィルム4の着脱が容易になり、簡単に新しいものに交換することができる。しかし、本発明では、これに限定されず、例えば、フィルム4は、接着剤などでサンプルカップ3に貼着するようにしてもよい。また、サンプルカップ3の底壁3aには、内部を真空に引く場合などのために、空気孔10が設けられている。
【0013】
前記フィルム4は、ポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂からなるものである。
【0014】
前記試料支持具1は、図2に示されるように、試料ホルダ8に着脱自在に取り付けられて使用される。試料ホルダ8は、有底筒形状のケース8cと、サンプルカップ3の開口端3eを押さえる環状の押え板8bと、押え板8bをケース8cに押さえつけるようにケース8cに螺着される環状のキャップ8aとからなる。ケース8cの底には、試料支持具1を押圧固定するための弾性体であるスポンジ9が挿入され、スポンジ9の上に試料支持具1を載せて、サンプルカップ3の開口部3dと押え板8bの開口部8dとを同心に保持しながら、キャップ8aを回してケース8cに固定する。スポンジ9の他に、コイルスプリング等の弾性体を用いてもよい。試料ホルダ8は、ステンレスやアルミニウムなどによって形成される。
【0015】
図3および図4に示されるように、支持部材2の先端面2aに、試料S1を収納するための凹所5、6を設けてもよい。図3の凹所5は、軸方向に円形に座ぐりを入れたものであり、図4の凹所6は、すり鉢状に彫り下げたものである。このような凹所5、6によって、とくに、粉末などの極微小の試料S1が先端面2aからこぼれないように保持することができ、高価な試料を分析する場合などに、分析後に試料S1を完全に回収することができる。
【0016】
さらに、図5および図6に基づいて、本発明に含まれない第2の参考例を説明する。図5は、試料支持具1の斜視図であり、図6は、図5の試料支持具1を試料ホルダ8に収納した状態の横断面の説明図である。
【0017】
図5において、サンプルカップ13は、複数の支持部材2を有している。支持部材2は、図1〜図4に示されたものと同様の棒状のものであり、図6に示されるように、サンプルカップ13の底壁13aに形成された複数の雌ねじ部13bに螺合されて固定される。支持部材2の数および位置は、特に限定されない。また、底壁13aに空気孔20を適宜設けてもよい。
【0018】
さらに、図5において、サンプルカップ13の外周には、径方向に突出して軸方向に延びる三角形状の突起からなる係合部11が設けられている。一方、図6に示されるように、サンプルカップ13を収納する試料ホルダ8の内周に、サンプルカップ13の係合部11と係合する三角形状の凹所からなる被係合部19が軸方向に延設されている。これにより、試料ホルダ8内にサンプルカップ13を収納するときの周方向の位置決めを行なうことができる。
【0019】
他方、試料ホルダ8の図11に示すRθテーブル56に対する位置決めは、次のようになされる。すなわち、試料ホルダ8は、X線分析装置の外部から、X線分析装置の試料投入口62に運ばれて、この投入口62に設けた試料回転方向位置決め機構65の回転台64の上に載置され、駆動モータ63の駆動によって回転台64とともに回転する。この試料回転方向位置決め機構65は、投入口62の周縁部に固定されたセンサ60を有しており、図6に示す試料ホルダ8の外周面に設けられた被検出部61を、センサ60で検出させ、駆動モータ63を止め、試料ホルダ8を定められた回転位置にする。試料ホルダ8の回転位置が定まったら、試料ホルダ8は、搬送機構66により昇降および平行移動し、Rθテーブル56上に搬送される。こうして、試料ホルダ8のRθテーブル56に対する位置が決まるので、複数の支持部材2のそれぞれの径方向(R方向)および回転方向(θ方向)の位置座標が決まる。したがって、Rθテーブル56の駆動により、座標を用いて複数の支持部材2の先端面2aを照射位置に設定し、試料S1に正確にX線を照射させることができる。
なお、被検出部61は、図示例では、図6および図10に示されるように、軸方向に長く延びた溝であるが、センサ60によって検出しうるものであれば、例えば、突起でもよい。また、Rθテーブルのかわりに、直行する2方向に移動可能なXYテーブルなど、二次元的に駆動されるテーブルを適宜用いることができる。
【0020】
なお、図1および図2に示される本発明に含まれない第1の参考例のような、1本の支持部材2のみを有するサンプルカップ3についても、図5および図6に示されるような、試料ホルダ8に対する位置決めが行なえる構成にしてもよい。いうまでもなく、試料ホルダ8側に突起を設けて、サンプルカップ13側に凹所を設けるようにしてもよい。
【0021】
また、図6に示されるように、試料回転方向位置決め機構65にセンサ60が設けられているので試料ホルダ8の回転方向(矢印a方向)の位置決めを行なうことができる。本発明では、図11に示したセンサ60には、光センサを用いることができ、試料ホルダ8の外周に設けられた凹部(凸部でもよい)のような被検出部61での反射波の強度変化から位置を検出する。
【0022】
さらに、図7において、本発明に含まれない第3の参考例を説明する。この試料支持具21は、サンプルカップ23に、図1と同様の棒状の支持部材2を螺合させて高さ調節自在としたものであり、微小な粒状の固形試料S2を支持部材2の先端、つまり、一定の位置に支持することができる。試料S2は、例えば、支持部材2の先端に粘着剤で保持されており、図1に示されているようなフィルムは割愛されている。これにより、宇宙の石粒のほか、虫の卵などもX線分析装置に容易にセットすることができる。
【0023】
次に、図8〜図10に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図9は、図8の縦断面説明図であり、図10は、図8および図9の試料支持具31を試料ホルダ8に取り付け、X線分析装置の試料ホルダ回転方向位置決め機構65にセットした状態での縦断面説明図である。
【0024】
図8に示すように、この試料支持具31の本体33は、板状を呈しており、試料S3は、図9に示す片面に張られたフィルム34に、滴下、乾燥により保持される。本体33は、複数の挿入孔32を有しており、フィルム34は、接着剤により本体33に貼着されている。フィルム34を固定したら、本体33を裏返し、挿入孔32に液体試料を滴下し、乾燥させて、フィルム34の裏面に試料を付着させる。この本体33も、外周に突起からなる係合部30(図8参照)を設けて、図11に示すように、試料ホルダ8内に着脱自在に取り付けられる。試料ホルダ8は、図2に示されるものと同様に、ケース8c、押え板8bおよびキャップ8aからなる。ケース8cの内部には、弾性体としてのスポンジ9と中空カップ35のような保持台が順次挿入されて、中空カップ35の開口端部の上に試料支持具31が載置され、押え板8bとの間に把持される。試料S3に照射されたX線はS3を通過したのち中空カップ35の中空部にはいるので中空カップ35からの散乱線が少なくなる利点がある。
【0025】
図10において、この試料ホルダ8にも、図6と同様に、被検出部61が設けられており、試料回転方向位置決め機構65に設けられたセンサ60により、周方向の位置決めを行なうことができるので、その後に載置されるRθテーブル56(図11参照)の駆動により、試料支持具31の所定の挿入孔32を照射位置に移動し、試料S3に正確にX線を照射することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のX線分析用試料ホルダおよびX線分析装置によれば、簡便に微少量の固形試料を支持して、X線分析装置の所定の位置に容易にセットすることができ、分析精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に含まれない第1の参考例である試料ホルダに取り付けられる試料支持具の一部切欠斜視図である。
【図2】前記試料支持具を試料ホルダに取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図3】支持部材の変形例を示す縦断面図である。
【図4】支持部材のさらに他の変形例を示す縦断面図である。
【図5】本発明に含まれない第2の参考例における試料支持具を示す斜視図である。
【図6】図5の試料支持具を試料ホルダに取り付けた状態を示す横断面図である。
【図7】本発明に含まれない第3の参考例における試料支持具を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における試料支持具の板状の本体の斜視図である。
【図9】図8の縦断面図である。
【図10】図8の板状の本体を試料ホルダに取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明に係る蛍光X線分析装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1、21、31…試料支持具、2…支持部材、2a…先端面、2c…雄ねじ部、3、13、23…サンプルカップ(有底筒形状の本体)、3a、13a…底壁、3b、13b…雌ねじ部、3d…開口部、4…フィルム、5、6…凹所、8…試料ホルダ、11…係合部、32…挿入孔、33…板状の本体、34…フィルム、60…センサ、S、S1、S2、S3…試料
【発明の属する技術分野】
本発明は、微少量の試料を複数個保持できる試料支持具を有し、蛍光X線分析装置のようなX線分析装置にセットすることができる試料ホルダおよびX線分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光X線分析装置は、試料に一次X線のような放射線を照射して、試料から発生した蛍光X線を測定することにより、試料の元素分析を行なう装置である。この分析装置においては、通常、一次X線の照射位置に試料を正しくセットするために、試料ホルダを用いる。この試料ホルダに微少量の試料をセットする場合には、粘着剤、粘着テープで試料台に固定したりするのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粘着剤、粘着テープ等で固定する方法は、試料を汚染し、試料の固定位置が一定しない。
【0004】
本発明は、このような課題を解決して、簡便に微少量の試料を正確な位置に保持することができるX線分析用試料ホルダおよびこの試料ホルダを備えたX線分析装置を提供することを目的としている。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の試料ホルダは、X線分析装置によって分析される試料を保持するためのX線分析用試料ホルダであって、試料を支持する試料支持具が試料ホルダに着脱自在に取り付けられており、前記試料支持具は、試料挿入孔を1つ以上有する板状の本体と、この本体の片面を覆って他の面を開放し、前記挿入孔に滴下された液体試料が乾燥されて前記挿入孔に面した裏面に付着されるフィルムとを備えている。
この構成によれば、試料は挿入孔のフィルムに滴下・乾燥によって支持されるので支持位置が一定となる。また、試料の保持に粘着剤や粘着テープなどを使用しないので試料を汚染せず、分析後の試料の回収も可能である。さらに、試料支持具の接着剤等による汚染の心配もなく、フィルムを交換するだけで、何度でも試料支持具を使用することができる。
【0006】
また、本発明の好ましい実施形態では、前記試料支持具の本体の外周に試料ホルダに対する周方向の位置決めを行なうための係合部が設けられている。
この構成によれば、X線の照射方向の位置決めが容易である。
【0007】
さらに、本発明のX線分析装置は、前記X線分析用試料ホルダを二次元的に駆動するテーブルにセットし、前記試料ホルダに保持された試料のX線分析を行なうX線分析装置であって、前記試料ホルダの回転方向の位置を検出するセンサを有し、前記テーブルにセットされる前に、前記試料ホルダを回転駆動して前記センサからの検出信号に基づいて試料ホルダの回転方向の位置決めを行なう試料回転方向位置決め機構を備えたことを特徴としている。
この構成によれば、X線分析装置に対する試料ホルダの位置を容易に定めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
まず、蛍光X線分析装置の概略について説明する。図11において、X線管(放射線源)50は、一次X線(放射線)B1を出射して、試料ホルダ8内の試料支持具1に保持された粉末の微少量の固形試料である試料Sに、一次X線B1を照射する。試料Sに照射された一次X線B1は、試料Sの元素を励起して、その元素固有の蛍光X線B2を発生させる。試料Sからの蛍光X線B2は、視野制限スリット51および第1のソーラスリット52を通過し、分光結晶53に入射角θで入射し、ブラッグの式を満足する所定の波長の蛍光X線B2のみが、入射角θと同一の回折角θで回折される。回折された蛍光X線B2は、第2のソーラスリット54を通過したあと、X線検出器55に入射して検出される。この検出値に基づいて試料Sの元素分析がなされる。試料ホルダ8は、一方向の直線移動と回転を行なうRθテーブル56上に載置され、Rθテーブル56の駆動により、試料Sを照射位置に移動させてX線を照射させる。
【0009】
本発明に含まれない第1の参考例の試料支持具1は、図1に示すように、試料S1を先端面に載置する棒状の支持部材2と、有底筒形状の本体(以下、「サンプルカップ」という)3と、本体3の開口部3dに張着されるフィルム4とを備えており、試料S1は、棒状の支持部材2の先端面2aとフィルム4との間に挟み込まれて保持される。
【0010】
棒状の支持部材2は、試料S1を載せる先端面2aを形成する細長い円柱部2bと、その円柱部2bの根元に設けられた雄ねじ部2cとからなり、雄ねじ部2cの外径は、円柱部2bの外径よりも大きく形成され、雄ねじ部2cの裏面2eには、ドライバー等で操作可能なように溝2dが刻設されている。一方、サンプルカップ3の底壁3aの中心には、雌ねじ部3bが形成されており、支持部材2は、底壁3aの下側から筒内に挿入され、底壁3aにドライバー等でねじ込まれてサンプルカップ3の中央に立設される。この支持部材2は、ポリプロピレンのような樹脂によって形成されている。
【0011】
この棒状の支持部材2の外径は小さく、図2に示されるように、支持部材2の先端面2aは試料S1によってほぼ完全に覆われる。したがって、試料S1は、中空に保持されることになり、試料S1の周辺の部材から発生する散乱線の量が少なくなり、分析精度が高まる。また、これにより、支持部材2の製造に当たって、目的の成分を含まない材料を考慮する必要性が少なくなる。そこで、成形のし易さなどの観点から前述の樹脂により形成することができる。
【0012】
図1に示すサンプルカップ3は、外周に環状の溝3cが形成されており、スナップリング7をこの溝3cに嵌め込んで、フィルム4が適当なテンションで開口部3dを覆うようにフィルム4を支持する。このスナップリング7でフィルム4を支持することにより、フィルム4の着脱が容易になり、簡単に新しいものに交換することができる。しかし、本発明では、これに限定されず、例えば、フィルム4は、接着剤などでサンプルカップ3に貼着するようにしてもよい。また、サンプルカップ3の底壁3aには、内部を真空に引く場合などのために、空気孔10が設けられている。
【0013】
前記フィルム4は、ポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂からなるものである。
【0014】
前記試料支持具1は、図2に示されるように、試料ホルダ8に着脱自在に取り付けられて使用される。試料ホルダ8は、有底筒形状のケース8cと、サンプルカップ3の開口端3eを押さえる環状の押え板8bと、押え板8bをケース8cに押さえつけるようにケース8cに螺着される環状のキャップ8aとからなる。ケース8cの底には、試料支持具1を押圧固定するための弾性体であるスポンジ9が挿入され、スポンジ9の上に試料支持具1を載せて、サンプルカップ3の開口部3dと押え板8bの開口部8dとを同心に保持しながら、キャップ8aを回してケース8cに固定する。スポンジ9の他に、コイルスプリング等の弾性体を用いてもよい。試料ホルダ8は、ステンレスやアルミニウムなどによって形成される。
【0015】
図3および図4に示されるように、支持部材2の先端面2aに、試料S1を収納するための凹所5、6を設けてもよい。図3の凹所5は、軸方向に円形に座ぐりを入れたものであり、図4の凹所6は、すり鉢状に彫り下げたものである。このような凹所5、6によって、とくに、粉末などの極微小の試料S1が先端面2aからこぼれないように保持することができ、高価な試料を分析する場合などに、分析後に試料S1を完全に回収することができる。
【0016】
さらに、図5および図6に基づいて、本発明に含まれない第2の参考例を説明する。図5は、試料支持具1の斜視図であり、図6は、図5の試料支持具1を試料ホルダ8に収納した状態の横断面の説明図である。
【0017】
図5において、サンプルカップ13は、複数の支持部材2を有している。支持部材2は、図1〜図4に示されたものと同様の棒状のものであり、図6に示されるように、サンプルカップ13の底壁13aに形成された複数の雌ねじ部13bに螺合されて固定される。支持部材2の数および位置は、特に限定されない。また、底壁13aに空気孔20を適宜設けてもよい。
【0018】
さらに、図5において、サンプルカップ13の外周には、径方向に突出して軸方向に延びる三角形状の突起からなる係合部11が設けられている。一方、図6に示されるように、サンプルカップ13を収納する試料ホルダ8の内周に、サンプルカップ13の係合部11と係合する三角形状の凹所からなる被係合部19が軸方向に延設されている。これにより、試料ホルダ8内にサンプルカップ13を収納するときの周方向の位置決めを行なうことができる。
【0019】
他方、試料ホルダ8の図11に示すRθテーブル56に対する位置決めは、次のようになされる。すなわち、試料ホルダ8は、X線分析装置の外部から、X線分析装置の試料投入口62に運ばれて、この投入口62に設けた試料回転方向位置決め機構65の回転台64の上に載置され、駆動モータ63の駆動によって回転台64とともに回転する。この試料回転方向位置決め機構65は、投入口62の周縁部に固定されたセンサ60を有しており、図6に示す試料ホルダ8の外周面に設けられた被検出部61を、センサ60で検出させ、駆動モータ63を止め、試料ホルダ8を定められた回転位置にする。試料ホルダ8の回転位置が定まったら、試料ホルダ8は、搬送機構66により昇降および平行移動し、Rθテーブル56上に搬送される。こうして、試料ホルダ8のRθテーブル56に対する位置が決まるので、複数の支持部材2のそれぞれの径方向(R方向)および回転方向(θ方向)の位置座標が決まる。したがって、Rθテーブル56の駆動により、座標を用いて複数の支持部材2の先端面2aを照射位置に設定し、試料S1に正確にX線を照射させることができる。
なお、被検出部61は、図示例では、図6および図10に示されるように、軸方向に長く延びた溝であるが、センサ60によって検出しうるものであれば、例えば、突起でもよい。また、Rθテーブルのかわりに、直行する2方向に移動可能なXYテーブルなど、二次元的に駆動されるテーブルを適宜用いることができる。
【0020】
なお、図1および図2に示される本発明に含まれない第1の参考例のような、1本の支持部材2のみを有するサンプルカップ3についても、図5および図6に示されるような、試料ホルダ8に対する位置決めが行なえる構成にしてもよい。いうまでもなく、試料ホルダ8側に突起を設けて、サンプルカップ13側に凹所を設けるようにしてもよい。
【0021】
また、図6に示されるように、試料回転方向位置決め機構65にセンサ60が設けられているので試料ホルダ8の回転方向(矢印a方向)の位置決めを行なうことができる。本発明では、図11に示したセンサ60には、光センサを用いることができ、試料ホルダ8の外周に設けられた凹部(凸部でもよい)のような被検出部61での反射波の強度変化から位置を検出する。
【0022】
さらに、図7において、本発明に含まれない第3の参考例を説明する。この試料支持具21は、サンプルカップ23に、図1と同様の棒状の支持部材2を螺合させて高さ調節自在としたものであり、微小な粒状の固形試料S2を支持部材2の先端、つまり、一定の位置に支持することができる。試料S2は、例えば、支持部材2の先端に粘着剤で保持されており、図1に示されているようなフィルムは割愛されている。これにより、宇宙の石粒のほか、虫の卵などもX線分析装置に容易にセットすることができる。
【0023】
次に、図8〜図10に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図9は、図8の縦断面説明図であり、図10は、図8および図9の試料支持具31を試料ホルダ8に取り付け、X線分析装置の試料ホルダ回転方向位置決め機構65にセットした状態での縦断面説明図である。
【0024】
図8に示すように、この試料支持具31の本体33は、板状を呈しており、試料S3は、図9に示す片面に張られたフィルム34に、滴下、乾燥により保持される。本体33は、複数の挿入孔32を有しており、フィルム34は、接着剤により本体33に貼着されている。フィルム34を固定したら、本体33を裏返し、挿入孔32に液体試料を滴下し、乾燥させて、フィルム34の裏面に試料を付着させる。この本体33も、外周に突起からなる係合部30(図8参照)を設けて、図11に示すように、試料ホルダ8内に着脱自在に取り付けられる。試料ホルダ8は、図2に示されるものと同様に、ケース8c、押え板8bおよびキャップ8aからなる。ケース8cの内部には、弾性体としてのスポンジ9と中空カップ35のような保持台が順次挿入されて、中空カップ35の開口端部の上に試料支持具31が載置され、押え板8bとの間に把持される。試料S3に照射されたX線はS3を通過したのち中空カップ35の中空部にはいるので中空カップ35からの散乱線が少なくなる利点がある。
【0025】
図10において、この試料ホルダ8にも、図6と同様に、被検出部61が設けられており、試料回転方向位置決め機構65に設けられたセンサ60により、周方向の位置決めを行なうことができるので、その後に載置されるRθテーブル56(図11参照)の駆動により、試料支持具31の所定の挿入孔32を照射位置に移動し、試料S3に正確にX線を照射することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のX線分析用試料ホルダおよびX線分析装置によれば、簡便に微少量の固形試料を支持して、X線分析装置の所定の位置に容易にセットすることができ、分析精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に含まれない第1の参考例である試料ホルダに取り付けられる試料支持具の一部切欠斜視図である。
【図2】前記試料支持具を試料ホルダに取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図3】支持部材の変形例を示す縦断面図である。
【図4】支持部材のさらに他の変形例を示す縦断面図である。
【図5】本発明に含まれない第2の参考例における試料支持具を示す斜視図である。
【図6】図5の試料支持具を試料ホルダに取り付けた状態を示す横断面図である。
【図7】本発明に含まれない第3の参考例における試料支持具を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における試料支持具の板状の本体の斜視図である。
【図9】図8の縦断面図である。
【図10】図8の板状の本体を試料ホルダに取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明に係る蛍光X線分析装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1、21、31…試料支持具、2…支持部材、2a…先端面、2c…雄ねじ部、3、13、23…サンプルカップ(有底筒形状の本体)、3a、13a…底壁、3b、13b…雌ねじ部、3d…開口部、4…フィルム、5、6…凹所、8…試料ホルダ、11…係合部、32…挿入孔、33…板状の本体、34…フィルム、60…センサ、S、S1、S2、S3…試料
Claims (3)
- X線分析装置によって分析される試料を保持するためのX線分析用試料ホルダであって、試料を支持する試料支持具が試料ホルダに着脱自在に取り付けられており、前記試料支持具は、試料挿入孔を1つ以上有する板状の本体と、この本体の片面を覆って他の面を開放し、前記挿入孔に滴下された液体試料が乾燥されて前記挿入孔に面した裏面に付着されるフィルムとを備えているX線分析用試料ホルダ。
- 請求項1において、さらに、前記試料支持具の本体の外周に試料ホルダに対する周方向の位置決めを行なうための係合部が設けられているX線分析用試料ホルダ。
- 請求項1または2に記載のX線分析用試料ホルダを二次元的に駆動するテーブルにセットし、前記試料ホルダに保持された試料のX線分析を行なうX線分析装置であって、
前記試料ホルダの回転方向の位置を検出するセンサを有し、前記テーブルにセットされる前に、前記試料ホルダを回転駆動して前記センサからの検出信号に基づいて試料ホルダの回転方向の位置決めを行なう試料回転方向位置決め機構を備えたことを特徴とするX線分析装置。
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