JP3677671B2 - シリコーンゴム用銀粉末の製造方法 - Google Patents

シリコーンゴム用銀粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ケイ素化合物により表面処理してなるシリコーンゴム用銀粉末の製造方法に関し、詳しくは、銀粉末をシリコーンゴム組成物に配合した場合、該組成物との親和性が優れ、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗や体積抵抗率の経時変化が小さく、特に、該銀粉末を付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に配合した場合、該組成物の硬化性の経時変化が小さいシリコーンゴム用銀粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀粉末は電気伝導度が大きいため、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物、縮合反応硬化型シリコーンゴム組成物、ラジカル反応硬化型シリコーンゴム組成物等のシリコーンゴム組成物の導電性充填剤として利用されている。銀粉末を配合したシリコーンゴム組成物は、硬化して高導電性のシリコーンゴムを形成するため、耐熱性、耐屈曲性および導電性が要求される特殊な分野で利用されている。通常、シリコーンゴム組成物に配合される銀粉末は、硝酸銀水溶液をヒドラジン、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸等の還元剤により還元して得られた還元銀粉末、硝酸銀水溶液を電気分解により陰極上に析出して得られた電解銀粉末、1000℃以上に加熱溶融した溶融銀を、水中または不活性ガス中に噴霧して得られたアトマイズ銀粉末に分けられる。これらの銀粉末の形状は粒状、樹枝状、フレーク状、不定形状に分けられ、特に、高導電性のシリコーンゴムを形成することができることから、フレーク状の銀粉末が主に利用されている。
【0003】
しかし、これらの銀粉末を配合したシリコーンゴム組成物を長時間貯蔵しておくと、該組成物から銀粉末が層分離してしまうという問題があった。さらに、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率が経時的に変化するという問題があった。また、特に、これらの銀粉末を配合した付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を長時間貯蔵しておくと、該組成物の硬化性が経時的に低下し、やがては該組成物が硬化しなくなるという問題があった。
【0004】
特に、高導電性のシリコーンゴムを形成するために利用されるフレーク状の銀粉末は、銀粉末を粉砕する際に用いた、ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,アラキン酸,ベヘン酸等の飽和または不飽和の高級脂肪酸;ラウリン酸アルミニウム,ステアリン酸アルミニウム,ラウリン酸亜鉛,ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸;ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール;高級脂肪族アルコールのエステル;ステアリルアミン等の高級脂肪族アミン;高級脂肪族アミドおよびポリエチレンワックスの一種もしくは二種以上の混合物からなる潤滑剤が、得られたフレーク状の銀粉末の表面に残存するため、これを付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に配合した場合には、該組成物から銀粉末が層分離してしまい、さらに該組成物の硬化性の経時変化が著しいという問題があった。
【0005】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、銀粉末をシリコーンゴム組成物に配合した場合、該組成物との親和性が優れ、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗や体積抵抗率の経時変化が小さく、特に、該銀粉末を付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に配合した場合、該組成物の硬化性の経時変化が小さいシリコーンゴム用銀粉末の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、銀粉末を、シロキサンオリゴマー、オルガノポリシロキサン、シリコーンレジン、またはこれらの2種以上の組み合わせからなる有機ケイ素化合物または該有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を潤滑剤としてフレーク状に粉砕することを特徴とする、有機ケイ素化合物により表面処理してなるシリコーンゴム用銀粉末の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の銀粉末の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法で使用することができる銀粉末は特に限定されず、例えば、還元銀粉末、電解銀粉末、アトマイズ銀粉末が挙げられる。還元銀粉末は、硝酸銀水溶液をヒドラジン、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸等の還元剤により還元して粒状に調製したものであり、銀粉末に含まれるNH4 +の含有量が10ppm以下であり、かつSO4 2-の含有量が5ppm以下である還元銀粉末を使用することが好ましい。また、電解銀粉末は、硝酸銀水溶液を電気分解により陰極上で樹枝状に析出したものであり、銀粉末の純度等の特性は電解条件を選択することによって調節することができるが、銀粉末に含まれるNH4 +の含有量が10ppm以下であり、かつSO4 2-の含有量が5ppm以下である電解銀粉末を使用することが好ましい。また、アトマイズ銀粉末は、1000℃以上に加熱溶融した溶融銀を、水中または不活性ガス中に噴霧することにより、粒状または不定形状に調製したものである。これらの銀粉末の粒径は特に限定されず、例えば、平均粒径が0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。また銀粉末の形状は特に限定されず、例えば、粒状、樹枝状、フレーク状、不定形状が挙げられ、これらいずれの形状であってもよく、またこれらの形状を有する銀粉末の混合物であってもよい。
【0008】
本発明の製造方法で使用する有機ケイ素化合物としては、例えば、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー,分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体オリゴマー,分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマー,分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルシロキサンオリゴマー,1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン,1,3,5,7,9−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン,分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン,分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等の低粘度からガム状までのオルガノポリシロキサン;R3SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるシリコーンレジン,RSiO3/2単位からなるシリコーンレジン,R2SiO2/ 2単位とRSiO3/2単位からなるシリコーンレジン,R2SiO2/2単位とRSiO3/2単位とSiO4/2単位からなるシリコーンレジン等のシリコーンレジンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記シリコーンレジンの単位式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基等のアルキル基;ビニル基,アリル基,ブテニル基,ペンテニル基,ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基,3,3,3−トリフロロプロピル基等の置換アルキル基が例示される。また、本発明の製造方法において、有機ケイ素化合物として上記シリコーンレジンを用いた場合には、該シリコーンレジンは室温より高い温度で軟化する固形状のものが好ましく、その好ましい軟化点は50〜150℃の範囲である。また、本発明の製造方法において、これらの有機ケイ素化合物の配合量は特に限定されず、一般的には、銀粉末100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の製造方法では、これらの有機ケイ素化合物の粘度が比較的高い場合は、銀粉末表面に薄い有機ケイ素化合物の被膜を形成するために、有機溶剤溶液として使用することが好ましい。使用することができる有機溶剤の種類は特に限定されず、例えば、メタノール,エタノール,イソプロパノール等のアルコール系有機溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系有機溶剤;シクロヘキサン、シクロオクタン等の環状脂肪族系有機溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸カルビトール等のエステル系有機溶剤が挙げられる。
【0010】
本発明の製造方法では、銀粉末を、有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を潤滑剤として、銀粉末をフレーク状に粉砕することを特徴とする。本発明の製造方法では、銀粉末の粉砕と共に活性化されたフレーク状の銀粉末の表面に、上記有機ケイ素化合物が吸着して、フレーク状の銀粉末の凝集を防止し、銀粉末の鱗片化を促進する働きがあり、さらに、銀粉末の表面処理剤として作用し、得られたフレーク状の銀粉末に好ましい結果をもたらすことができる。銀粉末を粉砕する装置は特に限定されず、例えば、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ローラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。また、還元銀,アトマイズ銀,電解銀またはこれら2種以上の混合物からなる銀粉末を圧延する条件は特に限定されず、使用する銀粉末の粒径や形状により選択する必要がある。また、銀粉末を粉砕する際に発熱を伴うため、粉砕装置を冷却しながら行うことが好ましい。このようにして得られる銀粉末の形状はフレーク状であり、その粒径は特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μmの範囲である。
【0011】
また、本発明の製造方法では、有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を潤滑剤として銀粉末を粉砕する条件は特に限定されず、室温から100℃の温度範囲で、さらには50℃以上の温度で、24〜150時間処理することが好ましい。このようにして有機ケイ素化合物により表面処理した銀粉末は、その後の該銀粉末の乾燥を容易にし、さらに該銀粉末表面に付着する過剰の有機ケイ素化合物を取り除くため、前記有機溶剤で洗浄した後、室温〜105℃の温度範囲で、24時間以上乾燥することが好ましい。
【0012】
本発明の製造方法により得られたシリコーンゴム用銀粉末は、導電性に優れ、シリコーンゴム組成物に対する親和性が良好であるので、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物、縮合反応硬化型シリコーンゴム組成物、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物等のシリコーンゴム組成物に配合することができる。このようにして得られたシリコーンゴム組成物は、その貯蔵安定性が優れ、また特に、フレーク状の銀粉末を配合して得られるシリコーンゴム組成物は、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの体積抵抗率が0.1Ω・cm以下であり、さらに好ましくは1×10-3Ω・cm以下であるので、該組成物を導電性接着剤,導電性ダイボンディング剤,放熱性ダイボンディング剤,電磁波シールド剤等として使用することができる。
【0013】
【実施例】
本発明の銀粉末の製造方法を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中、粘度の値は25℃において測定した値である。また、銀粉末のシリコーンゴム組成物に対する親和性、銀粉末の付加反応硬化性シリコーンゴム組成物に対する硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化は次のようにして測定した。
【0014】
○銀粉末のシリコーンゴム組成物に対する親和性
銀粉末を配合した付加反応硬化性シリコーンゴム組成物を調製後、該組成物を透明ガラス瓶で冷蔵保管して、調製直後(初期)、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の該組成物の外観を観察した。
【0015】
○銀粉末を配合した付加反応硬化性シリコーンゴム組成物の硬化性の経時変化
銀粉末を配合した付加反応硬化性シリコーンゴム組成物を調製後、該組成物を、冷蔵保管して、調製直後(初期)、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の該組成物を150℃で30分間加熱して得られたシリコーンゴムの硬度をJIS K 6301に記載されたJIS A硬度計により測定した。
【0016】
○シリコーンゴムの接触抵抗
銀粉末を配合した付加反応硬化性シリコーンゴム組成物を回路基板上に塗布した後、これを150℃で30分加熱してシリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの接触抵抗を四探針法により測定した(初期)。また、このシリコーンゴムの接触抵抗の経時変化を測定するため、このシリコーンゴムで被覆した回路基板を150℃のオーブン中で100時間、500時間および1000時間放置した後、このシリコーンゴムの接触抵抗を上記と同様にして測定した。
【0017】
○シリコーンゴムの体積抵抗率
銀粉末を配合した付加反応硬化性シリコーンゴム組成物を150℃で30分間加熱して、厚さ1mm以上のシリコーンゴムシートを得た。このシリコーンゴムシートの体積抵抗率を体積抵抗率測定装置[有限会社共和理研製、K−705RL]により測定した。また、このシリコーンゴムの体積抵抗率の経時変化を測定するため、このシリコーンゴムシートを150℃のオーブン中で100時間、500時間および1000時間放置した後、このシリコーンゴムシートの体積抵抗率を上記と同様にして測定した。
【0018】
[比較例1]
20gの硝酸銀を40ミリリットルの水に溶解し、次いで、これに46%水酸化ナトリウム水溶液を加えて粒状の酸化銀を沈澱させた。この粒状の酸化銀をホルマリンにより還元した後、洗浄、濾過を繰り返し行い、平均粒径が1μmである粒状の銀粉末を調製した。
【0019】
この銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0020】
[実施例1]
20gの硝酸銀を40ミリリットルの水に溶解し、次いで、これに46%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、粒状の酸化銀を沈澱させた。この粒状の酸化銀をホルマリンにより還元した後、洗浄、濾過を繰り返して、平均粒径が1μmである粒状の還元銀粉末を調製した。次いで、軟化点が90℃であり、平均単位式:
【化1】
Figure 0003677671
で表されるメチルフェニルシリコーンレジンの酢酸カルビトール溶液を潤滑剤として、この還元銀粉末をボールミル中で粉砕した後、上記メチルフェニルシリコーンレジンにより表面処理してなる銀粉末をキシレンにより洗浄して、平均粒径が8μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0021】
このフレーク状の銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0022】
[比較例2]
20gの硝酸銀を40ミリリットルの水に溶解し、次いで、これに46%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、粒状の酸化銀を沈澱させた。この粒状の酸化銀をホルマリンにより還元した後、洗浄、濾過を繰り返して、平均粒径が1μmである粒状の還元銀粉末を調製した。次いで、ステアリン酸の酢酸カルビトール溶液を潤滑剤として、この還元銀粉末をボールミル中で粉砕した後、ステアリン酸により表面処理してなる銀粉末をメタノールにより洗浄して、平均粒径が8μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0023】
このフレーク状の銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0024】
[実施例2]
水アトマイズ法で得られた粒状のアトマイズ銀粉末を、粘度100センチポイズの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサンのキシレン溶液を潤滑剤として、ボールミル中で粉砕した後、上記ジメチルポリシロキサンにより表面処理してなる銀粉末をキシレンにより洗浄して、平均粒径が10μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0025】
このフレーク状の銀粉末960重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0026】
[実施例3]
20gの硝酸銀を40ミリリットルの水に溶解し、次いで、これに46%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、粒状の酸化銀を沈澱させた。この粒状の酸化銀をホルマリンにより還元した後、洗浄、濾過を繰り返して、平均粒径が3μmである粒状の還元銀粉末を調製した。次いで、粘度100センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンの酢酸カルビトール溶液を潤滑剤として、この還元銀粉末をボールミル中で粉砕した後、上記ジメチルポリシロキサンにより表面処理してなる銀粉末を酢酸カルビトールにより洗浄して、平均粒径が4μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0027】
このフレーク状の銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0028】
[比較例3]
20gの硝酸銀を40ミリリットルの水に溶解し、次いで、これに46%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、粒状の酸化銀を沈澱させた。この粒状の酸化銀をホルマリンにより還元した後、洗浄、濾過を繰り返して、平均粒径が3μmである粒状の還元銀粉末を調製した。次いで、ステアリン酸を潤滑剤として、この還元銀粉末をボールミル中で粉砕した後、ステアリン酸により表面処理してなる銀粉末をキシレンにより洗浄して、平均粒径が4μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0029】
このフレーク状の銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0030】
[実施例
軟化点が90℃であり、平均単位式:
【化2】
Figure 0003677671
で表されるメチルフェニルシリコーンレジンの酢酸カルビトール溶液を潤滑剤として、平均粒径が10μmである樹枝状の電解銀粉末をボールミル中で粉砕した後、上記メチルフェニルシリコーンレジンにより表面処理してなる銀粉末をキシレンにより洗浄して、平均粒径が12μmであるフレーク状の銀粉末を調製した。
【0031】
上記メチルフェニルシリコーンレジンにより表面処理してなる銀粉末400重量部、粘度2000センチポイズの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100重量部、粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7重量部、塩化白金酸とオレフィンの錯体(本組成物において、錯体中の白金金属が5ppmとなる量である。)、フェニルブチノール(本組成物において、300ppmとなる量である。)を均一に混合して付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対する上記銀粉末の親和性、該組成物の硬化性の経時変化、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗および体積抵抗率の経時変化を測定した。これらの結果を表1に記載した。
【0032】
【表1】
Figure 0003677671
【0033】
【発明の効果】
本発明のシリコーンゴム用銀粉末の製造方法によると、シリコーンゴム組成物との親和性が優れ、該組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの接触抵抗や体積抵抗率の経時変化が小さく、特に、該銀粉末を付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に配合した場合、該組成物の硬化性の経時変化が小さいという特徴を有するシリコーンゴム用銀粉末を生産性よく製造することができる。

Claims (1)

  1. 銀粉末を、シロキサンオリゴマー、オルガノポリシロキサン、シリコーンレジン、またはこれらの2種以上の組み合わせからなる有機ケイ素化合物または該有機ケイ素化合物の有機溶剤溶液を潤滑剤としてフレーク状に粉砕することを特徴とする、有機ケイ素化合物により表面処理してなるシリコーンゴム用銀粉末の製造方法。
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