JP4897149B2 - シリコーン組成物およびそれから製造されるシリコーン接着剤 - Google Patents

シリコーン組成物およびそれから製造されるシリコーン接着剤 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコーン組成物に関し、より詳細には、導電性充填剤および特定の濃度のオルガノポリシロキサン樹脂を含む付加硬化性シリコーン組成物に関する。本発明は、また、そのような組成物から製造される導電性シリコーン接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーン接着剤は、高い熱安定性、良好な耐湿性、優れた可撓性、高いイオン純度、少ないα粒子放出量および様々な基材に対する良好な接着性等のそれらの他に類のない特性のために、様々な用途で有用である。例えば、シリコーン接着剤は、自動車部品、玩具、電子回路およびキーボードの組み立てにおいて幅広く使用されている。
【0003】
ポリジオルガノシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、導電性充填剤およびヒドロシリル化触媒を含んで成る付加硬化性シリコーン組成物は当該技術分野で知られている。例えば、Cole等の米国特許第5,075,038号明細書には、(A)5%超のケイ素原子にフェニル基が結合しているか、5モル%超のビニル基を有するか、または合計5モル%超のフェニル基とビニル基を有し、白金触媒の存在下に水素化ケイ素との付加反応を通して硬化することのできるシリコーンポリマーと、(B)全組成物の12.5〜50体積%の銀粒子または銀の外表面を有する粒子とを含んで成る導電性シリコーン組成物が開示されている。この組成物は、カーボンブラックを含まず、1×10-2オーム・センチメートル(Ω・cm)未満の電気抵抗率を有し、その電気抵抗率は熱老化に対して安定である。しかしながら、Cole等は、オルガノポリシロキサン樹脂と本発明のポリマーとの特定の組み合わせを教示していない。
【0004】
Cole等の米国特許第5,227,093号明細書には、硬化した形態で導電性を示す改良された硬化性オルガノシロキサン組成物が教示されている。この組成物は、1分子当たり少なくとも2個のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサンを、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノハイドロジェンシロキサンと、硬化した材料に導電性を付与するのに十分な量の微粉状銀粒子と、白金含有触媒と均質になるまでブレンドすることにより得られる生成物を含み、その改良点は、前記銀粒子の表面に少なくとも1種のエステル化脂肪酸のコーティングが存在することにある。しかしながら、Cole等は、オルガノポリシロキサン樹脂と本発明のポリマーの特定の組み合わせを教示していない。
【0005】
Mine等のヨーロッパ特許出願明細書第0653463号(例1)には、450質量部の銀粉末と;1)ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサンと、2)(CH33SiO1/2単位、(CH2=CH)(CH32SiO1/2単位およびSiO4/2単位から実質的になるシリコーン樹脂とを含む混合物100質量部;1質量部のトリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンシロキサン;10質量部の疎水性ヒュームドシリカ;組成物の全質量に基づいて500ppmのフェニルブチノール;硬化触媒;ならびに7質量部の接着促進性の有機ケイ素化合物を均質になるまでブレンドすることにより調製される導電性シリコーンゴム組成物が開示されている。しかしながら、Mine等は本発明のオルガノポリシロキサン樹脂の特定の濃度は教示していない。
【0006】
Okamiの米国特許第5,384,075号明細書には、(A)その分子内に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ、25℃での粘度が100〜200,000cStであるオルガノポリシロキサン、(B)その分子内に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属触媒、(D)その分子内に少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有し、かつ、エポキシ基含有有機基およびアルコキシ基から成る群から選ばれる少なくとも1種の基がケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物、並びに(E)導電性充填剤を含んで成る、体積抵抗率が107Ω・cm以下であるオルガノポリシロキサン組成物が開示されている。また、Okamiは、オルガノポリシロキサン樹脂を任意成分として開示している。しかしながら、Okamiは、本発明のオルガノポリシロキサン樹脂の特定の濃度は教示していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記組成物から製造されるシリコーン接着剤は広範な電気的特性を示すが、電気的性能が改良されたシリコーン接着剤が依然として必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、導電性充填剤と特定の濃度のオルガノポリシロキサン樹脂を含むシリコーン組成物が硬化すると、予想外に優れた電気的特性、接触抵抗および体積抵抗率を有する接着剤を形成することを見いだした。特に、本発明は、
(A)10〜50質量部の、下記式:
【0009】
【化4】
Figure 0004897149
【0010】
(式中、各R1は独立に一価の脂肪族炭化水素基または一価のハロゲン化脂肪族炭化水素基であり、nは、このポリジオルガノシロキサンが25℃で0.1〜200Pa・sの粘度を有するような値である)
により表される、1分子当たり平均して少なくとも2個のアルケニル基を含むポリジオルガノシロキサン;
(B)50〜90質量部の、R2 3SiO1/2シロキサン単位およびSiO4/2シロキサン単位(各R2は独立にアルキルまたはアルケニルである)からなり、SiO4/2シロキサン単位に対するR2 3SiO1/2シロキサン単位のモル比が0.65〜1.9であり、平均して3〜30モル%のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂(前記成分(A)と(B)の合計量が100質量部である);
(C)組成物を硬化させるのに十分な量の、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;
(D)組成物に導電性を付与するのに十分な量の、銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金から成る群から選ばれる金属の外表面を少なくとも有する粒子を含む導電性充填剤;並びに
(E)触媒量のヒドロシリル化触媒;
を含んで成るシリコーン組成物に関する。
【0011】
本発明は、また、上記組成物の反応生成物を含んでなる導電性シリコーン接着剤に関する。
本発明は、さらに、成分(A)〜(E)を2つ以上の部分(part)に含み、成分(A)も成分(B)も同一部分で成分(C)および(E)と共に存在しない多液型(multi-part)シリコーン組成物に関する。
【0012】
本発明のシリコーン組成物は、良好な流動性、低い揮発性有機化合物(VOC)含有量、および調節可能な硬化等の多くの利点を有する。さらに、本発明のシリコーン組成物は硬化すると、良好な接着性および予想外の優れた電気的特性を有するシリコーン接着剤を形成する。
【0013】
本発明のシリコーン組成物は、導電性シリコーン接着剤を製造するのに有用である。本発明のシリコーン接着剤には、ダイ取付け用接着剤、はんだ代替品、並びに導電性コーティングおよびガスケット等の多くの用途がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書において「ポリマー」ともいう本発明の成分(A)は下記式:
【0015】
【化5】
Figure 0004897149
【0016】
(式中、各R1は独立に一価の脂肪族炭化水素基または一価のハロゲン化脂肪族炭化水素基であり、nは、このポリジオルガノシロキサンが25℃で0.1〜200Pa・sの粘度を有するような値である)
により表される少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンである。このポリジオルガノシロキサンは、1分子当たり平均して少なくとも2個のアルケニル基を含む。このポリジオルガノシロキサンの構造は典型的には線状であるが、3官能性シロキサン単位の存在に帰因して幾つかの枝分かれを含んでいてもよい。
【0017】
1により表されるアルケニル基は典型的には炭素原子数2〜10、好ましくは炭素原子数2〜6である。好ましくは、このアルケニル基はビニルである。ポリジオルガノシロキサン中のアルケニル基は、末端、側鎖、または末端と側鎖の両方に位置していてもよい。R1により表される一価の脂肪族炭化水素基および一価の脂肪族ハロゲン化炭化水素基(アルケニルを除く)は典型的には炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜10である。炭素原子数少なくとも3の非環式の脂肪族炭化水素およびハロゲン化炭化水素基は枝分かれのあるまたは枝分かれのない構造を有する。
【0018】
一価の脂肪族炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシル等のアルキル;シクロヘキシル等のシクロアルキル;並びにビニル、アリル、ブテニルおよびヘキセニル等のアルケニルが挙げられる。一価の脂肪族ハロゲン化炭化水素基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピルおよび3−クロロプロピルが挙げられる。R1により表される有機基の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%はメチルである。
【0019】
25℃での前記ポリジオルガノシロキサンの粘度は、その分子量および構造に応じて変わるが、典型的には0.1〜200Pa・sであり、好ましくは1〜100Pa・sである。
本発明において有用なポリジオルガノシロキサンの例としては、
ViMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2Vi,
ViMe2SiO(Me2SiO)0.98n(MeViSiO)0.02nSiMe2Vi,および
Me3SiO(Me2SiO)0.95n(MeViSiO)0.05nSiMe3
(上記式中、MeおよびViはそれぞれメチルおよびビニルを表し、nは先に定義した通りである)
が挙げられる。好ましいポリジオルガノシロキサンはジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。好ましいポリジオルガノシロキサンの具体例は、25℃で45〜65Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。
【0020】
成分(A)は1種のポリジオルガノシロキサンであっても、次の特徴:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位および配列のうちの少なくとも1つが異なる2種以上のポリジオルガノシロキサンからなる混合物であってもよい。
本発明のシリコーン組成物における成分(A)の濃度は、組み合わせた成分(A)および成分(B)の100質量部当たり典型的には10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部である。
【0021】
オルガノハロシランの加水分解および縮合または環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化等の本発明のポリジオルガノシロキサンの製造方法は当該技術分野でよく知られている。
【0022】
本明細書において「樹脂」ともいう本発明の成分(B)は、R2 3SiO1/2シロキサン単位およびSiO4/2シロキサン単位からなる少なくとも1種のオルガノポリシロキサン樹脂である。ここで、各R2は独立にアルキルまたはアルケニルである。さらに、オルガノポリシロキサン樹脂は、少量のモノオルガノシロキサン単位およびジオルガノシロキサン単位を含んでよい。R2により表されるアルキル基は典型的には炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3である。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルが挙げられる。R2により表されるアルケニル基は典型的には炭素原子数2〜6である。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、ブテニルおよびヘキセニルが挙げられる。好ましくは、アルキル基はメチルであり、アルケニル基はビニルである。
【0023】
前記オルガノポリシロキサン樹脂におけるSiO4/2単位(Q単位)に対するR2 3SiO1/2単位(M単位)のモル比は、29Si核磁気共鳴(29Si−NMR)分光分析法により求めた場合に、典型的には0.65〜1.9であり、好ましくは0.9〜1.8である。このM/Q比は、前記オルガノポリシロキサン樹脂におけるQ単位の総数に対するM単位の総数を表し、以下で述べる存在するあらゆるネオペンタマーからの寄与を含む。
【0024】
成分(B)はHOSiO3/2単位(TOH単位)を含み、このHOSiO3/2単位はオルガノポリシロキサン樹脂のケイ素結合ヒドロキシルの含有量をもたらす。成分(B)のケイ素結合ヒドロキシルの含有量は、29Si−NMR分光分析法により求めた場合に、樹脂の全質量に基づいて、典型的には2質量%未満、好ましくは1質量%未満である。
【0025】
成分(B)は、式:(R2SiO)4Siにより表されるネオペンタマーオルガノポリシロキサンから実質的になる低分子量物質を少量含んでもよい。このネオペンタマーオルガノポリシロキサンは、以下で述べるDaudt等の方法に従う樹脂の製造における副生成物である。
【0026】
前記オルガノポリシロキサン樹脂は典型的には平均して3〜30モル%、好ましくは5〜15モル%のアルケニル基を含む。この樹脂におけるアルケニル基のモル%は、本明細書において、樹脂中のシロキサン単位の全モル数に対するアルケニル含有シロキサン単位のモル数の比に100を乗じたものと定義する。樹脂中のシロキサン単位の全モル数は、上記のM単位、Q単位およびTOH単位を含む。樹脂が3モル%未満のアルケニル基を含む場合には、シリコーン接着剤は柔らかく、かつ、粘着性になる傾向がある。樹脂が30モル%よりも多くのアルケニル基を含む場合には、シリコーン接着剤は硬く、かつ、脆くなる傾向がある。さらに、この樹脂におけるアルケニル基のモル%が先に述べた範囲から外れる場合に、接着剤の電気的特性、接触抵抗および体積抵抗率は熱サイクルの間に著しく劣化する。
【0027】
好ましいオルガノポリシロキサン樹脂は、CH2=CH(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなる樹脂である。ここで、SiO4/2単位に対するCH2=CH(CH32SiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位との合計のモル比は1.8であり、この樹脂は25℃で2.1×10-42/sの粘度を有し、そしてこの樹脂は15モル%(5.6質量%)のビニル基を含む。
【0028】
成分(B)は1種のオルガノポリシロキサン樹脂であっても、次の特徴:単官能性(M)シロキサン単位、M/Q比、平均分子量、ヒドロキシル含有量およびアルケニル含有量のうちの少なくとも1つが異なる2種以上のオルガノポリシロキサン樹脂からなる混合物であってもよい。
【0029】
本発明のシリコーン組成物における成分(B)の濃度は、硬化したシリコーン接着剤の特性、特に接触抵抗および体積抵抗率の観点から重要である。成分(B)の濃度は、組み合わせた成分(A)および成分(B)の100質量部当たり50〜90質量部、好ましくは55〜80質量部である。成分(B)の濃度が50質量部未満である場合には、シリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率は比較的高い。成分(B)の濃度が90質量部を超える場合には、シリコーン接着剤は硬く、かつ、脆くなる傾向があるとともに熱サイクルに対する抵抗性が不十分である。後者の場合に、熱サイクルの間の接着層破壊が、機械的破壊および/または絶縁破壊をもたらす。さらに、オルガノポリシロキサン樹脂のM/Q比を0.65〜1.9の範囲内で減少させる場合に、この樹脂の濃度を先に述べた範囲内で減少させて熱サイクルに対して十分な抵抗性を有するシリコーン接着剤を得ることが必要な場合があることが理解されよう。
【0030】
本発明のオルガノポリシロキサン樹脂は、当該技術分野で良く知られた方法によって製造できる。Daudt等のシリカヒドロゾルキャッピング方法により生成する樹脂コポリマーを少なくともアルケニル含有末端ブロック化剤(endblocking agent)で処理することによって、この樹脂を製造することが好ましい。Daudt等の方法は米国特許第2,676,182号明細書に開示されている。
【0031】
簡単に説明すると、Daudt等の方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシラン等の加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、またはそれらの混合物と反応させ、そしてM単位およびQ単位を有するコポリマーを回収することを伴う。得られるコポリマーは概して2〜5質量%のヒドロキシル基を含む。
【0032】
典型的にはケイ素結合ヒドロキシル基を2質量%未満含む本発明の樹脂は、Daudt等の生成物を、最終生成物における3〜30モル%のアルケニル基を与えるのに十分な量のアルケニル含有末端ブロック化剤またはアルケニル含有末端ブロック化剤と脂肪族不飽和を含まない末端ブロック化剤との混合物と反応させることにより製造できる。末端ブロック化剤の例としては、シラザン類、シロキサン類およびシラン類が挙げられるが、これらに限定されない。好適な末端ブロック化剤は当該技術分野で知られており、米国特許第4,584,355号、第4,591,622号および第4,585,836号の各明細書に記載されているものにより例示される。本発明のオルガノポリシロキサン樹脂を製造するのに、1種の末端ブロック化剤またはそのような末端ブロック化剤の混合物を使用できる。
【0033】
本明細書において「架橋剤」ともいう本発明の成分(C)は、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子とケイ素原子1個当たり平均して1個未満のケイ素結合水素原子を有する少なくとも1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。一般的に、成分(A)および(B)における1分子当たりのアルケニル基の平均数と成分(C)におけるケイ素結合水素原子の平均数の和が4を超える場合に、架橋が起こると理解される。オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素結合水素原子は、末端、側鎖、または末端と側鎖の両方の位置に存在してよい。
【0034】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンはホモポリマーまたはコポリマーであることができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造は線状、分岐状または環状であることができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサン中に存在していてよいシロキサン単位の例としては、HR3 2SiO1/2単位,HSiO3 /2単位,R3 3SiO1/2単位,HR3SiO2/2単位,R3 2SiO2/2単位,R3SiO3/2単位およびSiO4/2単位が挙げられる。これらの式において、各R3は独立に、成分(A)について先に定義および例示したような一価の脂肪族炭化水素基または脂肪族不飽和を含まない一価のハロゲン化炭化水素基である。好ましくは、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の有機基の少なくとも50%はメチルである。
【0035】
好ましいオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、H(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、約1.0質量%のケイ素結合水素原子を含み、かつ、2.4×10-52/sの粘度を有するものである。
【0036】
成分(C)は1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであっても、次の特徴:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位および配列のうちの少なくとも1つが異なる2種以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる混合物であってもよい。
本発明のシリコーン組成物における成分(C)の濃度は、シリコーン組成物を硬化させるのに十分なものである。成分(C)の正確な量は所望の硬化度に依存する。硬化度は、成分(A)および(B)中に存在するアルケニル基の全モル数に対する成分(C)中のケイ素結合水素原子のモル数の比が増加するにつれて概して増加する。典型的には、成分(C)の濃度は、成分(A)および(B)中の全アルケニル基1個当たり0.5〜3個のケイ素結合水素原子を与えるのに十分なものである。好ましくは、成分(C)の濃度は、成分(A)および(B)中の全アルケニル基1個当たり1〜2個のケイ素結合水素原子を与えるのに十分なものである。
【0037】
適切なオルガノハロシランの加水分解および縮合等の本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの製造方法は当該技術分野で良く知られている。
上記成分(A),(B)および(C)が混和するように、各成分中の主な有機基が同じであることが好ましい。主な有機基がメチルであることが好ましい。
【0038】
本発明の成分(D)は、銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金から成る群から選ばれる金属の外表面を少なくとも有する粒子を含む少なくとも1種の導電性充填剤である。銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金からなる粒子を含む充填剤は典型的には平均粒度0.5〜20μmの粉末またはフレークの形態を有する。銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金からなる外表面のみを有する粒子を含む充填剤の平均粒度は典型的には15〜100μmである。そのような粒子のコアは、上記金属からなる表面を支持し、かつ、シリコーン接着剤の電気的特性に悪影響を及ぼさないいかなる材料、導電体または電気絶縁体であってもよい。そのような材料の例としては、銅、中実ガラス、中空ガラス、マイカ、ニッケル、およびセラミック繊維が挙げられる。
【0039】
フレークの形態を有する金属粒子を含む導電性充填剤の場合には、粒子の表面は、滑剤、例えば脂肪酸または脂肪酸エステルで被覆されていてもよい。粉末が冷間圧接するのを防止するためまたは粉末が大きな集合体を形成するのを防止するために、そのような滑剤は、典型的には、金属粉末からフレークを製造するために使用される粉砕工程の間に導入される。粉砕後にフレークが溶剤で洗浄される場合であっても、若干の滑剤が金属の表面に化学吸着されたまま残ることがある。
本発明の導電性充填剤には、上記粒子の表面を少なくとも1種の有機ケイ素化合物で処理することにより製造される充填剤も包含される。好適な有機ケイ素化合物としては、オルガノクロロシラン、オルガノシロキサン、オルガノジシラザン、オルガノアルコキシシラン等の、シリカ充填剤を処理するために一般的に使用されるものが挙げられる。
【0040】
成分(D)は、1種の先に述べたような導電性充填剤であっても、次の特性:組成、表面積、表面処理、粒度および粒子形状のうちの少なくとも1つにおいて異なる2種以上のそのような充填剤の混合物であってもよい。
本発明の導電性充填剤は、好ましくは銀から成る粒子、より好ましくはフレークの形態を有する銀から成る粒子を含む。特に好ましい導電性充填剤は、Chemet CorporationによりRA-127の名称で販売されている銀フレークである。この充填剤は、3.9μmの平均粒度、0.87m2/gの表面積、1.55g/cm3の見掛密度および2.8g/cm3のタップ密度を有する。
【0041】
本発明のシリコーン組成物における成分(D)の濃度は、シリコーン組成物に導電性を付与するのに十分なものである。典型的には、成分(D)の濃度は、シリコーン組成物が1Ω・cm未満の体積抵抗率を有するようなものである。成分(D)の正確な量は、所望の電気的特性、充填剤の表面積、充填剤の密度、充填剤粒子の形状、充填剤の表面処理、およびシリコーン組成物中のその他の成分の性質に依存する。成分(D)の濃度は、シリコーン組成物の全体積に基づいて、典型的には15〜100体積%、好ましくは15〜50体積%である。成分(D)の濃度が15体積%未満では、シリコーン接着剤は有意な導電性を示さない。成分(D)の濃度が100体積%を超える場合には、シリコーン組成物は実質的に改良された導電性を示さない。
【0042】
本発明のシリコーン組成物において使用するのに好適な導電性充填剤の製造方法は当該技術分野で良く知られており、それらの充填剤の多くは市販されている。例えば、銀、金、白金もしくはパラジウムまたはそれらの合金の粉末は、典型的には、化学沈降、電解析出または凝結により製造される。また、上記金属のフレークは、典型的には、脂肪酸または脂肪酸エステル等の滑剤の存在下で金属粉末を磨砕または粉砕することにより製造される。少なくとも1種の上記金属の外表面のみを有する粒子は、典型的には、電解析出、無電解析出または真空蒸着等の方法を使用して好適なコア材料を金属化することにより製造される。
【0043】
先に述べたように、本発明の導電性充填剤は、上記粒子の表面を少なくとも1種の有機ケイ素化合物で処理することにより製造される充填剤であることができる。この場合に、シリコーン組成物のその他の成分と混合するのに先だって粒子を処理しても、またはシリコーン組成物の製造の間に現場(in situ)で粒子を処理しても良い。
【0044】
本発明の成分(E)は、成分(A)および(B)と成分(C)の付加反応を促進するヒドロシリル化触媒である。このヒドロシリル化触媒は、白金族金属を含む公知のヒドロシリル化触媒、白金族金属を含む化合物、またはミクロカプセル化された白金族金属含有触媒のうちのいずれかである。白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウムが挙げられる。白金族金属は、ヒドロシリル化反応におけるその高い活性に基づいて、白金であることが好ましい。
【0045】
好ましいヒドロシリル化触媒としては、Willingの米国特許第3,419,593号明細書に開示されているクロロ白金酸と特定のビニル含有オルガノシロキサンの錯体が挙げられる。この種類に属する好ましい触媒は、クロロ白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0046】
特に好ましいヒドロシリル化触媒は、熱可塑性樹脂中にミクロカプセル化された白金族金属を含むミクロカプセル化白金族金属含有触媒である。ミクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含む組成物は、周囲条件下で長期間、典型的には数ヶ月またはそれ以上の期間安定であり、さらに、熱可塑性樹脂の融点または軟化点を超える温度で比較的急速に硬化する。
【0047】
前記熱可塑性樹脂は、前記白金族金属含有触媒に不溶性かつ前記白金族金属含有触媒に対して不浸透性であり、またシリコーン組成物に不溶性であるいかなる樹脂であってもよい。この熱可塑性樹脂は、典型的には、約40〜約250℃の軟化点を有する。
【0048】
本明細書において、「不溶性」および「不浸透性」なる用語は、触媒および/またはシリコーン組成物に溶解する熱可塑性樹脂の量ならびに貯蔵中に熱可塑性樹脂封入剤中を拡散する触媒の量が、シリコーン組成物の硬化を引き起こすには不十分であることを意味する。
【0049】
好適な熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、および塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー等のビニルポリマー;ポリメタクリレート等のポリアクリレート;セルロースエーテル、セルロースエステルおよびセルロースエーテルエステル等のセルロース誘導体;ポリアミド;ポリエステル;シリコーン樹脂;ならびにポリシランが挙げられる。シリコーン樹脂が本発明の好ましい熱可塑性樹脂である。
【0050】
ミクロカプセル化ヒドロシリル化触媒の製造に好ましい触媒は、クロロ白金酸、アルコール変性クロロ白金酸、白金/オレフィン錯体、白金/ケトン錯体、および白金/ビニルシロキサン錯体等の白金触媒である。
【0051】
ミクロカプセル化触媒の平均粒度は、典型的には1〜500μm、好ましくは1〜100μmである。ミクロカプセル化触媒は典型的には少なくとも0.01質量%の白金族金属含有触媒を含む。
好ましいミクロカプセル化ヒドロシリル化触媒は、78モル%のモノフェニルシロキサン単位と22モル%のジメチルシロキサン単位からなるガラス転移温度60℃および軟化温度90℃のシリコーン樹脂中に封入された1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含む。ミクロカプセル化された触媒は1.8μmの平均粒度および0.4質量%の白金含有率を有する。
【0052】
ミクロカプセル化ヒドロシリル化触媒の製造方法は当該技術分野で良く知られている。そのような方法の例として、界面重合および現場(in situ)重合等の化学的方法;コアセルベーションおよび乳化/懸濁硬化等の物理化学的方法;ならびに噴霧乾燥等の物理機械的方法が挙げられる。
ミクロカプセル化ヒドロシリル化触媒およびそれらの製造法は米国特許第4,766,176号明細書およびその中で引用されている文献ならびに米国特許第5,017,654号明細書にさらに記載されている。
【0053】
成分(E)の濃度は、成分(A)および(B)と成分(C)の付加反応を触媒するのに十分なものである。典型的には、成分(E)の濃度は、成分(A)、(B)および(C)の合計質量に基づいて、0.1〜1000ppm、好ましくは1〜500ppm、より好ましくは5〜150ppmの白金族金属を与えるのに十分なものである。白金族金属が0.1ppm未満では、硬化速度は非常に遅い。1000ppmを超える量の白金族金属を使用しても、硬化速度の識別可能な増加はもたらされないため、経済的でない。
【0054】
上記成分(A),(B),(C),(D)および(E)の混合物は、周囲温度で硬化し始めることができる。より長い可使時間または「ポットライフ」を得るために、好適な抑制剤を本発明のシリコーン組成物に添加することにより周囲条件下での触媒の活性を低下または抑制することができる。白金触媒抑制剤は、周囲条件での本発明のシリコーン組成物の硬化を遅延するが、高温で本発明のシリコーン組成物が硬化することを妨げない。好適な白金触媒抑制剤としては、3−メチル−3−ペンテン−1−インおよび3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等の種々の「エン−イン」系;3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールおよび2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアセチレン系アルコール;公知のジアルキルフマレートおよびマレエート、ジアルケニルフマレートおよびマレエート、およびジアルコキシアルキルフマレートおよびマレエート等のマレエート類およびフマレート類;並びにシクロビニルシロキサンが挙げられる。
【0055】
アセチレン系アルコールは、本発明のシリコーン組成物において好ましい種類の抑制剤である。特に、2−フェニル−3−ブチン−2−オールは本発明に係る好ましい抑制剤である。これらの抑制剤を含む組成物は、概して、実際的な速度で硬化させるのに、70℃以上での加熱を必要とする。
本発明のシリコーン組成物における白金触媒抑制剤の濃度は、高温での硬化を妨げたり過度に延ばしたりせずに、周囲温度での組成物の硬化を遅延するのに十分なものである。この濃度は、使用される個々の抑制剤、ヒドロシリル化触媒の性質および濃度、並びにオルガノハイドロジェンポリシロキサンの性質に応じて広範囲に変わる。
【0056】
白金族金属1モル当たり抑制剤1モル程度の低い抑制剤濃度が、ある場合に、十分満足のいく貯蔵安定性および硬化速度をもたらす。他の場合において、白金族金属1モル当たり500モル以下またはそれ以上の抑制剤濃度が必要なことがある。所定のシリコーン組成物における個々の抑制剤についての最適濃度は、常套的な実験により容易に求めることができる。
【0057】
好ましくは、本発明のシリコーン組成物は、電子装置の構造体に通常使用される基材、例えばシリコン;パッシベーションコーティング、例えば二酸化ケイ素および窒化ケイ素;ガラス;金属、例えば銅および金;セラミック;並びに有機樹脂、例えばポリイミドへのシリコーン組成物の下塗りなしの強固な接着性を発揮する接着促進剤をさらに含む。この接着促進剤は、シリコーン接着剤の物理的特性、特に接触抵抗および体積抵抗率に悪影響を及ぼさない限り、シリコーン組成物中に一般的に使用されるいかなる接着促進剤であってもよい。この接着促進剤は、ただ1種の接着促進剤であっても2種以上の異なる接着促進剤の混合物であってもよい。
【0058】
本発明の組成物における接着促進剤の濃度は、先に述べたような基材に対する組成物の接着性を生じさせるのに十分なものである。この濃度は、接着促進剤の性質、基材の種類、および所望の接着層強度に応じて広い範囲で変わりうる。接着促進剤の濃度は、概して、組成物の全質量に基づいて、0.01〜10質量%である。しかしながら、接着促進剤の最適濃度は、常套的な実験により容易に求められる。
【0059】
本発明に係る好ましい接着促進剤は、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基および少なくとも1個のケイ素結合ヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリシロキサンと少なくとも1種のエポキシ含有アルコキシシランとを混合することにより製造される接着促進剤である。前記ポリシロキサンは1分子当たり典型的には15個未満のケイ素原子、好ましくは1分子当たり3〜15個のケイ素原子を有する。ポリシロキサン中のアルケニル基は典型的には炭素原子数2〜6である。アルケニル基の例としては、ビニル、アリルおよびヘキセニルが挙げられる。アルケニル基がビニルであることが好ましい。ポリシロキサン中の残りのケイ素結合有機基は、アルキルおよびフェニルから独立に選ばれる。前記アルキル基は典型的には炭素原子数7未満である。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルにより例示される。このアルキル基がメチルであることが好ましい。
【0060】
ポリシロキサン中のケイ素結合ヒドロキシル基およびケイ素結合アルケニル基は、末端、側鎖、または末端と側鎖の両方の位置に存在してよい。ポリシロキサンはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。ポリシロキサンの構造は典型的には線状または分岐状である。ポリシロキサン中のシロキサン単位には、CH2=CHSiO3/2,C65SiO3/2,R4(CH2=CH)SiO2/2,R4(C65)SiO2/2,(C652SiO2/2,(C65)(CH2=CH)SiO2/2,(HO)R4 2SiO1/2,(CH2=CH)R4 2SiO1/2および(HO)(C65)R4SiO1/2(式中、R4は先に例示したような炭素原子数7未満のアルキル基である)が含まれうる。ポリシロキサンが、メチルビニルシロキサン単位を含むヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。そのようなポリシロキサンおよびそれらの製造方法は当該技術分野で良く知られている。
【0061】
エポキシ含有アルコキシシランは少なくとも1個のエポキシ含有有機基および少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を含む。エポキシ含有アルコキシシランの構造は典型的には線状または分岐状である。エポキシ含有アルコキシシラン中のアルコキシ基は典型的には炭素原子数5未満のものであり、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシにより例示される。メトキシが好ましいアルコキシ基である。好ましくはエポキシ含有有機基は下記式:
【0062】
【化6】
Figure 0004897149
【0063】
【化7】
Figure 0004897149
【0064】
(式中、各Yは独立に炭素原子数1または2のアルキル基であり、aは0,1または2であり、bおよびcはそれぞれ0または1であり、R5は炭素原子数12以下の二価の炭化水素基である)
により表される。好ましくは、R5は、飽和脂肪族炭化水素基、アリーレン基、および式:
【0065】
【化8】
Figure 0004897149
【0066】
(式中、R6は炭素原子数1〜6の二価の飽和脂肪族炭化水素基であり、dは0〜8の値である)
により表される二価の基からなる群から選ばれる。
【0067】
エポキシ含有アルコキシシラン中の残りのケイ素結合有機基は炭素原子数7未満の一価の炭化水素基および炭素原子数7未満のフッ素化アルキル基から独立に選ばれる。一価の炭化水素基は、メチル、エチル、プロピルおよびヘキシル等のアルキル;ビニルおよびアリル等のアルケニル;ならびにフェニル等のアリールにより例示される。好適なフッ素化アルキル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、β−(ペルフルオロエチル)エチルおよびβ−(ペルフルオロプロピル)エチルが挙げられる。
【0068】
エポキシ含有アルコキシシランがモノエポキシトリアルコキシシランであることが好ましい。好ましいエポキシ含有アルコキシシランの具体例はグリシドキシプロピルトリメトキシシランである。そのようなシランの製造方法は当該技術分野で良く知られている。
【0069】
上記接着促進剤の2つの成分を、直接混合し、次いで本発明の組成物に添加しても、または本発明の組成物に別々に添加しても良い。典型的には、ポリシロキサンとシランの相対量は、ポリシロキサン中のシラノール基1モル当たりシランが約1モルとなるように調節される。先に述べた種類の接着促進剤は米国特許第4,087,585号明細書に開示されている。
【0070】
ポリシロキサンとエポキシ含有アルコキシシランをまず混合し、次に本発明の組成物に添加することが好ましい。ポリシロキサンとシランを高温で反応させることがより好ましい。シラノール含有オルガノシロキサンとアルコキシシランを反応させる公知の方法を使用してオルガノポリシロキサンとシランを反応させる。この反応は、典型的には、塩基性触媒の存在下で行われる。好適な触媒の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、およびアルカリ金属シラノエートが挙げられる。この反応は、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合ヒドロキシル基1モル当たり約1モルのシランを使用して行われることが好ましい。稀釈剤の存在下またはトルエン等の不活性な有機溶剤の存在下でオルガノポリシロキサンとシランを反応させることができる。この反応は、80〜150℃の高温で行うことが好ましい。
【0071】
本発明に係る特に好ましい接着促進剤は、下記式:
【0072】
【化9】
Figure 0004897149
【0073】
(式中、Aは水素または脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、R7はアルキルであり、eは2〜4の整数である)
により表されるオルガノペンタシロキサンである。
【0074】
Aにより表される脂肪族不飽和一価炭化水素基の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニルおよびイソプロペニルが挙げられる。出発原料の入手容易性および費用に基づいて、Aが水素原子またはビニル基であることが好ましい。R7により表されるアルキル基は典型的には炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3である。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。少なくとも3個の炭素原子を含むアルキル基は枝分かれ構造を有していても枝分かれのない構造を有していても良い。出発原料の入手容易性および費用に基づいて、R7がメチルまたはエチルであることが好ましい。
【0075】
オルガノペンタシロキサンは、まず、ヘキサメチルシクロトリシロキサンと、式:AMe2SiXにより表されるオルガノシランを反応させて式:AMe2Si(OMe2Si)3Xにより表されるテトラシロキサンを生成させることにより製造できる。ここで、Aは先に定義したとおりであり、Xはハロゲンである。次に、このテトラシロキサンを加水分解して、式:AMe2Si(OMe2Si)3OH(式中、Aは先に定義したとおりである)により表されるα−ヒドロキシテトラシロキサンを生成させる。このα−ヒドロキシテトラシロキサンを式:R7 4-eSi(OR7e(式中、R7およびeは先に定義したとおりである)により表されるオルガノシロキサンと反応させる。
【0076】
本発明に係るオルガノペンタシロキサンの具体例は、式:ViMe2SiO(Me2SiO)3Si(OMe)3(式中、Viはビニルであり、Meはメチルである)により表される1−ビニル−9,9,9−トリメトキシオクタメチルペンタシロキサンである。このオルガノペンタシロキサンは、ミクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒を含む本発明のシリコーン組成物において特に好ましい。オルガノペンタシロキサンが周囲条件下でミクロカプセル化された触媒においてシリコーン樹脂の溶解を生じさせないことが重要である。また、前記オルガノペンタシロキサンは、電子装置の製造に一般的に使用される金属に対して優れた接着性を示す。先に述べた種類の接着促進剤は米国特許第5,194,649号明細書に開示されている。
【0077】
本発明のシリコーン組成物は、組成物の粘度を低下させるため並びにその製造、取り扱いおよび組成物の適用を容易にするため、適切な量の溶剤をさらに含む。好適な溶剤の例としては、炭素原子数1〜20の飽和炭化水素;キシレン類等の芳香族炭化水素;ミネラルスピリット;ハロヒドロカーボン;エステル;ケトン;線状、分岐および環状のポリジメチルシロキサン等のシリコーン流体;ならびにそのような溶剤の混合物が挙げられる。本発明のシリコーン組成物における個々の溶剤の最適濃度は、常套的な実験により容易に求められる。
【0078】
概して、本発明のシリコーン組成物は、酸化防止剤、顔料、安定剤、予備硬化したシリコーンゴム粉末および充填剤等の追加の添加剤を少量含んでも良い。ただし、添加剤が、シリコーン接着剤の物理的特性、特に接触抵抗および体積抵抗率に悪影響を及ぼさないことを条件とする。
【0079】
本発明のシリコーン組成物は、成分(A)〜(E)を1つの部分に含む1液型(one-part)組成物であるか、または代わりに成分(A)も成分(B)も同一部分で成分(C)および(E)と共に存在しないことを条件として成分(A)〜(E)を2つ以上の部分に含む多液型(multi-part)組成物であることができる。例えば、シリコーン接着剤を調製するための多液型シリコーン組成物は、成分(A)の一部、成分(B)の一部、成分(D)の一部および成分(E)の全てを含む第1部分と、成分(A)、(B)および(D)の残りおよび成分(C)の全てを含む第2部分とを含んで成ることができる。
【0080】
本発明の1液型シリコーン組成物は、典型的には、先に述べた溶剤の助けによってまたは助けなしに、周囲温度で上記割合で成分(A)〜(E)および任意成分を組み合わせることにより調製される。シリコーン組成物がすぐに使用される場合には種々の成分の添加順序は重要でないが、組成物の早期硬化を防止するために30℃未満の温度でヒドロシリル化触媒を最後に添加することが好ましい。また、本発明の多液型シリコーン組成物は、各部分に振り分けられた個々の成分を組み合わせることによって調製できる。
【0081】
混合は、回分式または連続式で、混練、ブレンドおよび攪拌等の当該技術分野で知られている技術のいずれによっても達成できる。個々の装置は、各成分の粘度および最終的なシリコーン組成物の粘度に応じて決定される。
【0082】
本発明のシリコーン組成物は、空気および湿気への暴露を防止するため、密閉容器内に貯蔵されるべきである。本発明の1液型シリコーン組成物は、硬化したシリコーン接着剤製品の特性に変化を生じずに室温で数週間貯蔵できる。しかしながら、本発明の1液型シリコーン組成物の貯蔵寿命は、その混合物を0℃未満、好ましくは−30℃〜−20℃の温度で貯蔵することにより数ヶ月に延ばすことができる。上記多液型シリコーン組成物の個々の密封包装品は、それらの混合によって生じる組成物の性能を劣化させずに周囲条件で6ヶ月以上貯蔵できる。
【0083】
本発明のシリコーン組成物は、様々な固体基材、例えばアルミニウム、金、銀、銅および鉄並びにそれらの合金等の金属;シリコン;ポリテトラフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニル等のフルオロカーボンポリマー;ナイロン(Nylon)等のポリアミド;ポリイミド;ポリエステル;セラミック;並びにガラス等に適用できる。さらに、本発明のシリコーン組成物は、噴霧、シリンジ小出し、スクリーンもしくはステンシル印刷;またはインクジェット印刷等の好適な手段によって基材に適用できる。
【0084】
本発明に係るシリコーン接着剤は、上記成分(A)〜(E)を含むシリコーン組成物の反応生成物を含んで成る。本発明のシリコーン組成物は、室温で、または200℃以下の温度、好ましくは70〜200℃の温度、より好ましくは125〜175℃の温度で、好適な時間加熱することによって、硬化させることができる。例えば、本発明のシリコーン組成物は、150℃で2時間未満の時間で硬化する。
【0085】
本発明のシリコーン組成物は、良好な流動性、低い揮発性有機化合物(VOC)含有率および調節可能な硬化等の多くの長所を有する。さらに、本発明のシリコーン組成物は、硬化すると、良好な接着性および予想外の優れた電気的特性を有するシリコーン接着剤を形成する。
流動性に関し、本発明のシリコーン組成物は、多くの用途で要求されるレオロジー特性を有するとともに、標準的な装置を使用して容易に小出しおよび適用される。
【0086】
さらに、多くの用途に対して溶剤を必要としない本発明のシリコーン組成物は、非常に低いVOC含有率を有する。従って、本発明のシリコーン組成物は、溶剤型シリコーン組成物に関わる健康上、安全上および環境上の危害を回避する。さらに、本発明の無溶剤組成物は、典型的には、溶剤型シリコーン組成物よりも硬化中の収縮が少ない。
【0087】
本発明のシリコーン組成物は、検出可能な副生成物を形成せずに、やや高温で急速に硬化する。本発明のシリコーン組成物の硬化速度は、触媒および/または任意の抑制剤の濃度を調節することにより都合良く調節できる。
【0088】
さらに、本発明のシリコーン組成物は、硬化すると、金属、ガラス、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、ポリエステルおよびポリイミド等の様々な基材に対して良好な接着性を有するシリコーン接着剤を形成する。
本発明のシリコーン接着剤が硬化して、より低い濃度のオルガノポリシロキサン樹脂を含む同様なシリコーン組成物と比較して、予想外の優れた電気的特性、初期接触抵抗および体積抵抗率を有するシリコーン接着剤を形成することは重要である。さらに、このシリコーン接着剤は、概して、熱サイクルでこれらの電気的特性の優れた保留性を示す。
【0089】
本発明のシリコーン組成物は、導電性シリコーン接着剤を調製するのに有用である。本発明のシリコーン接着剤には、ダイ取付け用接着剤、はんだ代替品、並びに導電性コーティングおよびガスケット等の多くの用途がある。
【0090】
特に断らない限り、実施例に記載されている全ての部および百分率は質量で表されている。実施例において以下の方法および材料を使用した。
シリコーン接着剤の接触抵抗は、バネ荷重式の金めっきされたのみの刃状の先端を有する4極プローブを備えたKeithley Instruments Model 580マイクロオーム計を使用して求めた。接触抵抗接合部は、まず、2本の断面が正方形の銅棒材(0.254cm×0.254cm×2.032cm)をニッケルフラッシュでメッキし、次にタイプII、グレードCの硬質の金で最低厚さ0.00013cmにメッキすることにより作製した。少量のシリコーン接着剤を片方の棒のほぼ中心(長手方向)に適用した。次に、もう一つの棒を、各棒の中心(長手方向)が互いに向かい合い、シリコーン組成物がそれら2本の棒の間に界面を形成するようにして第1の棒と垂直に配置した。最後に、この十字(+)形に取りつけたものを強制通風炉内で150℃で2時間硬化させた。試料を室温に放冷し、接合部の初期接触抵抗を測定した。この集成体を、以下で述べるような1週間および6週間の連続温度サイクルにかけた後にさらなる接触抵抗測定値を求めた。ミリオーム単位で表した接触抵抗についての報告値は、同様に作製した試験片についてそれぞれ行って得た3つの測定値の平均値を表す。
【0091】
シリコーン接着剤の体積抵抗率は、バネ荷重式の金めっきされた球状の先端を有する4極プローブを備えたKeithley Instruments Model 580マイクロオーム計を使用して求めた。試験片は、まず、1枚の顕微鏡ガラススライド上に、ガラススライドの長手方向に延びる溝が形成されるように0.25cm離して2枚の3Mスコッチテープ(Scotch Tape)のストリップを載せることにより作製した。分取したシリコーン組成物をガラススライドの片側で溝を横切るように置いた。次に、45°の角度で剃刀の刃でシリコーン組成物を溝の表面に撫で付けることにより溝全体にシリコーン組成物を広げた。テープストリップを剥がし、そして試験片を強制通風炉内で150℃で2時間硬化させた。試料を室温に放冷した後、適切な電流で2つの内部プローブ先端間の電圧降下を測定し、ミリオーム単位で抵抗値を得た。次に、下記式を用いて接着剤の初期体積抵抗率を計算した:
【0092】
【数1】
Figure 0004897149
【0093】
上式中、Vはミリオーム・センチメートル単位での体積抵抗率であり、Rは2.54cm離れた2つの内部プローブ先端間で測定された接着剤の抵抗(ミリオーム)であり、Wはセンチメートル単位での接着剤層の幅であり、Tはセンチメートル単位での接着剤層の厚さであり、Lはセンチメートル単位での内部プローブ間の接着剤層の長さ(2.54cm)である。典型的には約0.005cmであった接着剤層の厚さは、Ames Model P3-500厚み計を使用して求めた。シリコーン接着剤の体積抵抗率を、以下で述べるように1週間および6週間の連続温度サイクル後にも求めた。ミリオーム・センチメートル単位で表した体積抵抗率についての報告値は、同様に作製した試験片についてそれぞれ行って得た3つの測定値の平均値を表す。
【0094】
シリコーン接着剤の試料を、Thermotron HPS-16温度試験チャンバーを使用して連続温度サイクルにかけた。各サイクルの間、試験片を−50℃に10分間保ち、30分間で−50℃から150℃に加熱し、150℃に10分間保ち、そして30分間で150℃から−50℃に冷却した。
ポリマーA:25℃で45〜65Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン。
樹脂A:CH2=CH(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位に対するCH2=CH(CH32SiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位の合計量のモル比が1.8であり、25℃で2.1×10-42/sの粘度を有し、15モル%(5.6質量%)のビニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂。
樹脂B:CH2=CH(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位に対するCH2=CH(CH32SiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位の合計量のモル比が0.9であり、重量平均分子量が5,000であり、多分散度が2であり、約7モル%(2.7質量%)のビニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂の73.1質量%キシレン溶液。
【0095】
樹脂C:CH2=CH(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位に対するCH2=CH(CH32SiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位の合計量のモル比が0.7であり、重量平均分子量が22,000であり、多分散度が5であり、5.5モル%(1.8質量%)のビニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂の70.0質量%キシレン溶液。
架橋剤:H(CH32SiO1/2単位、(CH33SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなり、1.0質量%のケイ素結合水素原子を含み、2.4×10-52/sの粘度を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
接着促進剤:式:ViMe2SiO(Me2SiO)3Si(OMe)3により表されるオルガノペンタシロキサン。
接着促進剤/抑制剤ブレンド:97質量%のViMe2SiO(Me2SiO)3Si(OMe)3および3質量%の2−フェニル−3−ブチン−2−オールからなる混合物。
充填剤:Chemet CorporationによりRA-127の名称で販売されている銀フレーク。この充填剤は、3.9μmの平均粒度、0.87m2/sの表面積、1.55g/cm3の見掛密度および2.8g/cm3のタップ密度を有する。
【0096】
触媒A:78モル%のモノフェニルシロキサン単位と22モル%のジメチルシロキサン単位からなる軟化点80〜90℃の熱可塑性シリコーン樹脂中に分散された白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体40質量%と、ポリマーB、すなわち25℃での粘度が2Pa・sおよびビニル含有量が0.2質量%であるジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン55質量%と、ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームドシリカ5質量%からなる混合物。
触媒B:樹脂A中の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金錯体の分散体であって、0.54質量%の白金を含むもの。
【0097】
【実施例】
例1
1オンスプラスチックカップ内で、8.10部の触媒A、38.22部のポリマー、5.11部の接着促進剤/抑制剤ブレンド、7.29部の接着促進剤、57.33部の樹脂A、および583.52部(28体積%)の充填剤を組み合わせることによりシリコーン組成物を調製した。AM-501 Hauschildデンタルミキサーを使用して構成成分を26秒間ブレンドした。次に、カップを水浴中に約5分間浸すことにより混合物を室温に冷却した。混合物に架橋剤(29.83部)を添加し、先に述べた混合および冷却操作を2回繰り返した。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表1に示す。
【0098】
例2
例1の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:8.60部の触媒A、19.05部のポリマー、5.42部の接着促進剤/抑制剤ブレンド、7.75部の接着促進剤、76.22部の樹脂A、619.67部(28体積%)の充填剤および37.88部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表1に示す。
【0099】
比較例1
樹脂Aを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例1の方法を使用してシリコーン組成物を調製した:6.57部の触媒A、96.39部のポリマー、4.14部の接着促進剤/抑制剤ブレンド、5.92部の接着促進剤、473.37部(28体積%)の充填剤および5.33部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表1に示す。
【0100】
比較例2
例1の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:7.59部の触媒A、57.51部のポリマー、4.78部の接着促進剤/抑制剤ブレンド、6.83部の接着促進剤、38.32部の樹脂A、546.45部(28体積%)の充填剤および21.58部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表1に示す。
【0101】
比較例3
ポリマーAを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例1の方法を使用してシリコーン組成物を調製した:9.09部の触媒A、5.73部の接着促進剤/抑制剤ブレンド、8.19部の接着促進剤、95.00部の樹脂A、655.20部(28体積%)の充填剤および45.78部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表1に示す。
【0102】
【表1】
Figure 0004897149
【0103】
例3
1オンスプラスチックカップ内で、2.13部の触媒B、39.17部のポリマー、80.35部の樹脂B、12.13部のキシレン、518.81部の充填剤(23.2体積%)の充填剤および11.28部の接着促進剤/抑制剤ブレンドを組み合わせることによりシリコーン組成物を調製した。AM-501 Hauschildデンタルミキサーを使用して構成成分を約26秒間ブレンドした。次に、カップを水浴中に約5分間浸すことにより混合物を室温に冷却した。混合物に架橋剤(18.35部)を添加し、先に述べた混合および冷却操作を繰り返した。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表2に示す。
【0104】
例4
例3の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:2.20部の触媒B、19.58部のポリマー、107.04部の樹脂B、6.04部のキシレン、536.55部(23.2体積%)の充填剤、11.67部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび22.40部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表2に示す。
【0105】
比較例4
樹脂Bを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例3の方法を使用して本発明の範囲外のシリコーン組成物を調製した:1.91部の触媒B、98.13部のポリマー、30.32部のキシレン、466.47部(23.2体積%)の充填剤、10.14部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび6.41部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表2に示す。
【0106】
比較例5
例3の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:2.06部の触媒B、58.84部のポリマー、53.58部の樹脂B、18.19部のキシレン、501.88部(23.2体積%)の充填剤、10.91部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび14.43部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表2に示す。
【0107】
比較例6
ポリマーAと追加のキシレンを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例3の方法を使用してシリコーン組成物を調製した:2.27部の触媒B、133.79部の樹脂B、554.02部(23.2体積%)の充填剤、12.05部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび26.39部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表2に示す。
【0108】
【表2】
Figure 0004897149
【0109】
例5
1オンスプラスチックカップ内で、2.05部の触媒B、39.20部のポリマー、84.03部の樹脂C、14.90部のキシレン、500.94部(22.4体積%)の充填剤および10.89部の接着促進剤/抑制剤ブレンドを組み合わせることによりシリコーン組成物を調製した。AM-501 Hauschildデンタルミキサーを使用して構成成分を約26秒間ブレンドした。次に、カップを水浴中に約5分間浸すことにより混合物を室温に冷却した。混合物に架橋剤(14.28部)を添加し、先に述べた混合および冷却操作を繰り返した。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表3に示す。
【0110】
例6
例5の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:2.10部の触媒B、19.58部のポリマー、111.96部の樹脂C、7.29部のキシレン、511.84部(22.4体積%)の充填剤、11.13部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび16.76部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表3に示す。
【0111】
比較例7
樹脂Cを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例5の方法を使用してシリコーン組成物を調製した:1.91部の触媒B、98.13部のポリマー、30.32部のキシレン、466.47部(23.2体積%)の充填剤、10.14部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび6.41部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表3に示す。
【0112】
比較例8
例5の方法と、下記濃度の成分を使用してシリコーン組成物を調製した:2.00部の触媒B、58.84部のポリマー、56.02部の樹脂C、22.39部のキシレン、489.30部(22.4体積%)の充填剤、10.65部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび11.62部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表3に示す。
【0113】
比較例9
ポリマーAと追加のキシレンを省き、そして下記濃度の成分を使用したことを除き、例5の方法を使用してシリコーン組成物を調製した:2.15部の触媒B、139.88部の樹脂C、523.90部(22.4体積%)の充填剤、11.40部の接着促進剤/抑制剤ブレンドおよび19.52部の架橋剤。硬化したシリコーン接着剤の接触抵抗および体積抵抗率を表3に示す。
【0114】
【表3】
Figure 0004897149

Claims (7)

  1. (A)10〜50質量部の、下記式:
    Figure 0004897149
    (式中、各R1は独立に一価の脂肪族炭化水素基または一価のハロゲン化脂肪族炭化水素基であり、nは、このポリジオルガノシロキサンが25℃で0.1〜200Pa・sの粘度を有するような値である)により表される、1分子当たり平均して少なくとも2個のアルケニル基を含むポリジオルガノシロキサン;
    (B)50〜90質量部の、R2 3SiO1/2シロキサン単位およびSiO4/2シロキサン単位(各R2は独立にアルキルまたはアルケニルである)からなり、SiO4/2シロキサン単位に対するR2 3SiO1/2シロキサン単位のモル比が0.65〜1.9であり、平均して3〜30モル%のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂(前記成分(A)と成分(B)の合計量が100質量部である);
    (C)組成物を硬化させるのに十分な量の、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;
    (D)組成物に導電性を付与するのに十分な量の、銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金から成る群から選ばれる金属の外表面を少なくとも有する粒子を含む導電性充填剤;並びに
    (E)触媒量のヒドロシリル化触媒;を含んで成るシリコーン組成物。
  2. 前記オルガノポリシロキサン樹脂の濃度が、組み合わせた成分(A)および(B)100質量部当たり55〜80質量部である、請求項1記載のシリコーン組成物。
  3. 前記充填剤がフレークの形態を有する銀の粒子を含む請求項1記載のシリコーン組成物。
  4. 前記組成物が、下記式:
    Figure 0004897149
    (式中、Aは水素または脂肪族不飽和一価炭化水素であり、R7はアルキルであり、eは2〜4の整数である)により表される接着促進剤をさらに含む請求項1記載のシリコーン組成物。
  5. 請求項1記載の組成物の反応組成物を含んで成るシリコーン接着剤。
  6. 請求項3記載の組成物の反応生成物を含んで成るシリコーン接着剤。
  7. 成分(A)も成分(B)も同一部分で成分(C)および成分(E)と共に存在しないことを条件として、
    (A)10〜50質量部の、下記式:
    Figure 0004897149
    (式中、各R1は独立に一価の脂肪族炭化水素基または一価のハロゲン化脂肪族炭化水素基であり、nは、このポリジオルガノシロキサンが25℃で0.1〜200Pa・sの粘度を有するような値である)により表される、1分子当たり平均して少なくとも2個のアルケニル基を含むポリジオルガノシロキサン;
    (B)50〜90質量部の、R2 3SiO1/2シロキサン単位およびSiO4/2シロキサン単位(各R2は独立にアルキルまたはアルケニルである)からなり、SiO4/2シロキサン単位に対するR2 3SiO1/2シロキサン単位のモル比が0.65〜1.9であり、平均して3〜30モル%のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂(前記成分(A)と成分(B)の合計量が100質量部である);
    (C)組成物を硬化させるのに十分な量の、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;
    (D)組成物に導電性を付与するのに十分な量の、銀、金、白金、パラジウムおよびそれらの合金から成る群から選ばれる金属の外表面を少なくとも有する粒子を含む導電性充填剤;並びに
    (E)触媒量のヒドロシリル化触媒;を含んで成る、多液型シリコーン組成物。
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