JP3677400B2 - サーメット工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削工具として使用されるTiの炭化物、窒化物、炭窒化物からなるTi基サーメット(以下サーメット)からなるサーメット工具に関し、特に耐熱衝撃性に優れ湿式切削に適したサーメット工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より切削工具用の材料としてサーメットとWC基超硬がよく知られている。
【0003】
このうちサーメットはWC基超硬と比較して耐熱衝撃性が低い。そのため、湿式切削加工において刃先の欠損を起こしやすいという不具合があった。そこで、このようなサーメットの耐熱衝撃性を改善するため、窒素添加、微粒化、表面の圧縮残留応力の付与、TiN 基サーメットなどが開発されたが、このようなサーメットでもWC基超硬工具が用いられてきた湿式切削領域において刃先の欠損が顕著にみられ、上記課題を効果的に改善するに至っていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意研究を続け、従来は好ましくないとされていたη相を積極的に析出させ、かつ、η相の特性を効果的に制御することにより前記課題を著しく改善することができることを見出し、本発明に到ったものである。
【0005】
すなわち、本発明は、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物と周期律表4A、5A、6A族の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物の1種以上を主体とする硬質相と、鉄族金属を結合相とするサーメットにおいて、低炭素合金とすることで熱伝導率の高いW 、Moなどと結合相との化合物のη相を析出させ、合金の耐熱衝撃性を高めるものであり、このような特性を最大限有効に発揮させるべく、TiCNの最も大きいX 線回折強度を100 とした場合、炭化物のX 線回折強度が2 〜30とする。
【0006】
例えば、X 線回折から、TiCNの(111 )(200 )面の高い方の強度を100 とした場合、η相の炭化物の最も大きな強度、たとえばW6Co6Cでは(422 )(511 )(440 )面のうち最も高い強度、W3Co3 C では(331 )(422 )(440 )面のうち最も高い強度を2 〜30の範囲とする。そして、このようなサーメットで切削工具を構成することを特徴とする。
【0007】
また、上記の如きη相析出サーメットを得る方法としては、製造工程において炭素添加量を少なめに調整する方法がある。さらには、焼成過程のある時間帯に焼成雰囲気としてHe、N2、Ar、CO、CO2 のいずれか1 種または2 種以上を導入することで、炉内圧力、構成比率、ガス種を変化させる等して良好な焼結体を得るよう工夫することができる。
【0008】
【作用】
本発明のη相析出サーメットは、前記X線回析の強度比が2〜30の範囲にあることにより熱的特性の優れるW,Mo等が、η相が析出していない場合よりも結合相中に多く固溶し、合金の熱的特性を改善する。
【0009】
しかし、η相は脆性であるため、前記強度比が30を越えると合金の靱性を低下させる恐れがある。
【0010】
他方、前記強度比が2未満であるとη相の析出による熱的特性の改善の効果が見られない傾向がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0012】
本発明はサーメットから構成されるもので、且つ、そのサーメットはTiの炭化物、窒化物、炭窒化物と周期律表4A、5A、6A族の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物の1種以上を主体とする硬質相(50〜95wt% )と、残部が鉄族金属を結合相とするサーメットにおいてη相(W6Co6C,W3Co3C,W4Co2C,W9Co3C4 等の低級炭化物を含む)を有するサーメットであり、TiCNの最も大きいX 線回折強度を100 とした場合、炭化物のX 線回折強度が2 〜30の範囲にあるようにすることを特徴とする。
【0013】
例として、得られた燒結体のX 線回折から、TiCNの(111 )(200 )面のいずれか高い方の強度を100 とした場合、η相の強度が、たとえばW6Co6Cでは(422 )(511 )(4 40)面のうちいずれか最も高い強度が、W3Co3Cでは(331 )(422 )(440 )面のうちいずれか最も高い強度が、それぞれ2 〜30の範囲にあるようにする。特に、このX線回析強度比としては5〜15の範囲にあることがより好ましい。
【0014】
本発明のサーメットを製造する方法として、たとえば、Ti、W 、Ta、Nb、Mo等の炭化物、窒化物、炭窒化物の粉末と鉄族金属粉末を所望の割合になるように秤量混合する。
【0015】
化学的な組成に対して市販の原料は若干多めの炭素を含んでいるが、粉砕等の段階で炭素が減少する。その為、カーボンブラックや金属粉末を適量、添加しながら化学的組成に合わせて調整するが、本発明においては、その際に、η層が発生しない為の公知の健全領域範囲より0.2%以上少なめの炭素含有量となるようにする。このようにすることにより、効果的に前記η層を析出させることができる。
【0016】
その後、パラフィンワックス等を添加した後にプレス成形し焼成する。焼成は、真空中あるいはN2、He、Arガス等の雰囲気中で温度が1400〜1600℃で行う。
【0017】
雰囲気調整は、焼結中の任意の温度において、N2 、He、Ar等のガスを0〜760Torrで導入して雰囲気調整を行うことが特に好ましい。
【0018】
さらに安定した焼結体を得るために1200〜1450℃の範囲で0.5〜5時間の中間保持を行うこともある。
【0019】
このように、ガスによる雰囲気は導入のタイミング、圧力、ガス種などを適宜調整することが重要である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0021】
原料粉末としてTiCN、TiN 、TiC 、WC、TaC 、Mo2C、NbC 、Ni、Coの各粉末を用い、表1の割合になるように秤量、混合しパラフィンワックス添加後CNMG120408の旋削用工具形状にプレス成形し1400〜1600℃の温度で真空、またはN2、He雰囲気で1 〜6 時間焼成した。
【0022】
【表1】
【0023】
焼成後、下記に示す切削条件で熱衝撃を与える切削試験を行い耐熱衝撃性の確認を行った。
【0024】
(熱衝撃切削試験)
切削速度 250m/min
切り込み 2mm
送り0.3mm/rev 湿式
被削材 SCM435
1 パス 20mm
切削試験結果を表1に示す。
【0025】
表1から明らかなように試料番号6番は前記X線回析強度比が0、すなわちη相が析出しなかったので湿式切削には全く不向きであった。また、試料番号7番はη相は析出したがX線回析強度比が30より大きく、その結果湿式切削には不向きの結果となった。
【0026】
試料番号8、試料番号9もともに前記X線回析強度比が0、すなわちη相が析出しなかったので湿式切削には不向きであった。また、試料番号10は前記X線回析強度比が1であり、熱的特性の改善が少なく、耐久性が不十分であった。
【0027】
これに対して本発明の範囲内にある試料番号1乃至5は、熱的特性が大幅に改善され、耐久性が著しく向上していた。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のサーメット工具は、TiCNの最も大きいX 線回折強度を100 とした場合、炭化物のX 線回折強度が2 〜30の範囲にあるη層を備えてなるので、熱伝導率の高いW 、Moなどと結合相との化合物のη相のもつ優れた耐熱衝撃性が発揮される。これにより、従来サーメットが適用できなかった湿式切削領域において切削可能なサーメットを提供することができる。
Claims (1)
- TiCNを必須として、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物と周期律表4A、5A、6A族の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物の1種以上を主体とする硬質相を50〜95wt%と、残部が鉄族金属を結合相とするとともに、前記TiCNの最も大きいX線回折強度を100とした場合、最も大きいX線回折強度が2〜30の範囲にあるη相の炭化物を備えてなるサーメット工具。
Priority Applications (1)
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JP31024498A JP3677400B2 (ja) | 1998-10-30 | 1998-10-30 | サーメット工具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000135606A JP2000135606A (ja) | 2000-05-16 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP3677400B2 (ja) |
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1998
- 1998-10-30 JP JP31024498A patent/JP3677400B2/ja not_active Expired - Fee Related
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