JP3677086B2 - 電解方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガス拡散陰極を使用する電解方法に関し、より詳細には該ガス拡散陰極に供給する酸素含有ガスとして吸着剤を使用して製造した酸素富化空気を使用する電解方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
苛性アルカリ電解を代表とする工業電解は素材産業として重要な役割を果たしているが、電解に掛かるエネルギーが大きく、我が国のようにエネルギーコストが高いと、電解における省エネルギー化が重要問題となる。苛性アルカリ電解では環境問題の改善も含めて初期の水銀法から隔膜法を経てイオン交換膜法へと転換され、この転換により約40%の省エネルギーが達成された。しかしこの省エネルギー化でも依然として不十分であり、電力コストが全製造費の50%を占めているが、現在の電解技術に依存する限り、より以上のエネルギー節約は不可能なところまで来ている。
【0003】
このより以上の省エネルギー化のために、主として燃料電池を代表とする電池分野で研究開発されてきたガス拡散電極の使用が試みられている。このガス拡散電極を、現在のところ最も省エネルギー化の進んだイオン交換膜型食塩電解に適用すると、下記式に示す如く理論的に約50%以上の省エネルギーが可能になる。従ってこのガス拡散電極の実用化に向けて種々の検討がなされている。
2NaCl+2H2 O → Cl2 +2NaOH+H2 0 =2.21V 2NaCl+1/2 O2 +H2 O → Cl2 +2NaOH E0 =0.96V
【0004】
苛性アルカリ電解に使用するガス拡散電極の構造は所謂半疎水(撥水)型と称されるもので、親水性の反応層と疎水性のガス拡散層を張り合わせた構造となっている。反応層及びガス拡散層とも炭素を主原料としバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を使用している。PTFE樹脂は疎水性でありその性質を利用し、ガス拡散層では樹脂の割合を多くし、反応層では少なくすることにより、その特性を出している。更に苛性アルカリ電解では前記ガス拡散電極は高濃度苛性アルカリ水溶液中で使用されるため、疎水材であるPTFE樹脂もこのような雰囲気下では親水性化して疎水性を失うことがあり、これを防止し疎水性を保持するためにガス拡散層のガス室側に薄い多孔性のPTFEシートを設置した電極もある。反応層の表面には白金等の触媒が担持され、あるいは該反応層を構成する炭素表面に触媒を担持させる。
【0005】
これらの電極はいずれもバインダーとしてフッ素樹脂を用い電極物質を担持した炭素粉末とともに加熱固化し、これをチタン、ニッケル、ステンレス等の基材に担持しているが、所謂PTFE等のように強固なシートになるまで三次元的にしっかりした骨格が形成されない代わりに、その作製が容易であるという特徴を有している。このガス拡散電極は、仮にフッ素樹脂の架橋が不十分であっても、陰極として酸素含有ガスを送り込み酸素の減極を行なうために使用される場合、担持された電極物質が安定に存在し得るため、使用開始時は十分に満足できる性能で安定な運転条件で使用できる。しかしアルカリ中では炭素粉末は勿論フッ素樹脂も必ずしも安定ではない。
【0006】
ガス拡散陰極を使用する食塩電解の際には前記ガス拡散陰極に酸素含有ガスを供給して生成する水素イオンを酸素と反応させることにより消費エネルギーの低減が図られている。この食塩電解では使用する酸素含有ガスの質により電解性能が大きく左右されることが知られている。例えば前記酸素含有ガスとして純酸素を使用すると理論量の10%程度過剰の酸素を供給すれば十分低い過電圧で安定な電解を継続できるが、空気を使用すると理論量の少なくても3倍、望ましくは5倍程度のガスを供給する必要があるとされている。空気中の酸素の体積比は全体の約1/5 であり純酸素に対して約15〜25倍量のガスが必要となる。しかもこれだけ過剰の空気を供給しても電極過電圧は純酸素と比較して200mV 程度高いことが知られている。
【0007】
従って食塩電解にガス拡散陰極を使用する場合は供給ガスとして純酸素を使用することが望ましいが、純酸素は極めて高価であること、又極めて危険で酸化性が強いため取扱いが困難であるという問題点がある。一方空気の場合は原料費が殆どゼロであるが純酸素と比較して20倍以上のガスを供給するためその送気ポンプが大型になり多量の電気を消費するという問題点がある。更に前述の通り過電圧が高く省電力効果が小さいという欠点もある。
【0008】
更に空気を使用する場合にはその中に含有される炭酸ガスによる悪影響がある。即ち供給空気中の炭酸ガスがガス拡散陰極中で苛性ソーダと接触すると炭酸ソーダ(Na2CO3) として沈澱しガス拡散陰極のガス拡散層を閉塞したり反応層の触媒を覆って性能低下を来すことがある。更に炭酸ソーダは親水性であるため電極表面に沈澱すると電極の疎水部分を親水化して、この面からの電極性能の低下も指摘されている。従って空気をガス拡散陰極への供給ガスとして使用する場合には、予め空気中の炭酸ガスを除去することが必要で、従来の検討では1ppm 程度とすることが望ましいことが指摘されている。このように供給ガスとして空気を使用する場合には供給ガス量が多量になるとともに予め空気中の炭酸ガスを除去することが必要になり、大型のガス供給装置と炭酸ガス除去装置が必須となり設備が大型化してコスト増となるという欠点がある。
【0009】
酸素富化法として酸素富化膜を装着した酸素富化装置を使用する方法があるが、電解への応用は報告がなく、しかも通常は40〜60%程度の酸素濃度が限界であり、過電圧も十分に低くできないと推測できる。更に送気ガスの圧力を高くする必要があるとともに前述の炭酸ガス除去装置を別に必要とする問題点が依然として解決されない。このような状況下では研究室レベルの小型の電解槽を実用に近いレベルまで大型化する際に、ガス拡散陰極自体は満足できる性能を有しても付帯設備が性能的又は経済的に実用レベルに達せず、このため実用化が阻害されることが多い。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、前述の従来技術の問題点、つまりガス拡散陰極を使用する食塩電解において酸素含有ガスとして空気を使用する際の装置の大型化と十分に過電圧が低下しないという問題点を解決し、小型の付帯設備を使用しかつ低過電圧で安定した食塩電解を行ない得るガス拡散陰極を使用する電解方法を提供することを目的とする。
【0011】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、ガス拡散陰極を有する陰極室に酸素含有ガスを、陽極室に食塩水をそれぞれ供給しながら電解を行ない、陰極室で苛性ソーダ水溶液を、陽極室で塩素をそれぞれ製造する電解方法において、吸着剤としてゼオライトを使用し、圧力を昇降させて空気中の窒素の吸脱着を行なって製造した酸素富化空気を前記酸素含有ガスとして使用することを特徴とする電解方法である。
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明による食塩水の電解方法では、ガス拡散陰極に供給する酸素含有ガスとして吸着剤により濃縮された酸素富化空気を使用する。前述した通り、ガス拡散陰極を使用する食塩電解では該ガス拡散陰極に供給する酸素含有ガスの酸素濃度は高いほどつまり純酸素に近いほど好ましい。本発明者らは安全で必要な時に所望濃度の酸素富化空気が得られる方法を種々検討した結果、空気を窒素に対する窒素能の高い吸着剤で処理して酸素濃縮を行なうことにより生成する酸素富化空気を食塩電解に適用することが最善であるとの結論に達した。
【0013】
ガス拡散陰極を使用する食塩電解では、該ガス拡散陰極へ供給する酸素含有ガスの酸素濃度が85%以上では条件によるが純酸素と同程度の過電圧で電解が行なうことができ、85%未満では過電圧が上昇し十分な電極性能が得られないことが知られている。吸着剤を使用する空気濃縮では吸着剤の種類にもよるが、通常は90%程度の酸素濃度の酸素富化空気が得られ、ガス拡散陰極へ供給する酸素含有ガスとして十分な濃度を有している。吸着剤としては酸素に対して窒素を選択的に吸着する吸着剤を制限なく使用でき、換言すると通常の空気濃縮に使用される任意の吸着剤を使用できるが、特に加圧時に窒素吸着選択性が高く、常圧下では吸着した窒素を脱着する吸着剤を使用することが好ましい。これは長期間に亘って使用するためには吸着した窒素の脱着を容易に行なえることが必要であり、圧力調節による窒素の吸脱着を自在に行なえる吸着剤が最適だからである。
【0014】
実用化のためには圧力変化による吸着剤の劣化が殆どないこと及び安価で入手が容易であること等の条件に合致する吸着剤の使用が更に望ましい。本発明者らはこれらの条件を有する吸着剤を各種検討し、合成ゼオライトが最適であるとの結論に達した
オライトはその構造中の特定の孔径部分がガス分子の吸着に選択的に使用され、特に窒素ガスに対する吸着選択性が高い。そしてこの吸着は窒素ガスがゼオライトの構成元素間とで化学結合を形成しない吸着つまり物理吸着であるとされている。物理吸着であれば、供給ガスの圧力上昇に伴って吸着ガス量が増加し、逆に圧力を低下させると吸着したガスの脱着が生ずると考えられる。従って本発明方法では空気を、ゼオライトを吸着剤とする所謂PSA方式により濃縮して生成する酸素富化空気を使用することが望ましく、ゼオライト以外の吸着剤としては、活性アルミナ及びシリカゲル等が使用できる。
【0015】
PSA(Pressure Swing Adsorption)方式と総称されるガス濃縮方法は、加圧によるガス中の特定成分を吸着する工程と、圧力を常圧に戻して該吸着成分を脱着する工程を繰り返して行なうことによりガス濃縮を行なう方式であり、空気中の窒素の選択的をPSA方式で吸着剤に吸着させることにより酸素富化空気が得られる。このPSA方式によると窒素の吸着及び脱着を常温で行なえるため操作が容易であるとともに、加熱を必要としないため加熱によるゼオライト等の吸着剤の劣化を防止できるという利点を有する。更に圧力の昇降のみで窒素吸着による酸素富化空気の製造を行なえるため、連続して大量の空気を処理でき、かつ酸素富化に要するエネルギーが僅かであるという利点を有している。PSA方式により製造される酸素富化空気の電力コストは約1kWH/m3 (純酸素換算)であり、これは理論量の15%余分にガス供給を行なうと仮定して、苛性ソーダ1トン当り約150 m3 の酸素供給となるので、これは15kWHの電力消費となる。これを槽電圧に換算すると約0.2 Vに相当するのみである。これは空気を十分に供給する場合の過電圧を純酸素供給の場合の過電圧と比較した場合の過電圧上昇とほぼ同じであり、送気のための動力分だけ電力を節約できることになる。
【0016】
更にPSA方式はスイッチのオンオフのみでガス供給をコントロールでき、非常時でも爆発等の災害が生ずる危険が殆どない極めて安全な操作であり、純酸素供給と比較してコスト的にも操作上でも有利になり、工業的に特に望ましい設備条件を備えている。又空気中の炭酸ガスの除去に関しては使用する吸着剤の種類に依存するが、吸着剤としてゼオライトを使用すると比較的良好に炭酸ガスが除去でき、得られる酸素富化空気中の炭酸ガス濃度は0.1 〜0.5 ppm 程度となり、ガス拡散陰極に要求される1ppm より低く、特別な炭酸ガス除去装置を必要とすることなく、酸素富化空気製造と同時に炭酸ガス除去を行なうことができ、十分に実用化可能である。この合成ゼオライトによる炭酸ガス除去効果の理由は明確ではないが、炭酸ガスは直鎖状の分子でその短径が1.15Åで窒素のそれと比較的近似するからであると推測できる。
【0017】
【実施例】
次に本発明に係わる電解方法の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例1】
粒径5μm程度の合成ゼオライト(触媒化成株式会社製)約5kgを充填した容積約5リットルの酸素富化装置に約50リットル/分の割合で空気を供給し、酸素濃度が95%である酸素富化空気を2リットル/分で得た。一方幅5cm、高さ25cmの小型の実験用イオン交換膜型電解槽を使用して電解実験を行なった。陽極としてチタン製のエクスパンドメッシュにルテニウムとチタンの複合酸化物を被覆した不溶性陽極を使用し、陽極室内にイオン交換膜と密着するように装着した。
【0018】
陰極として、線径0.2 mmの銀線を編んで作製したメッシュ上にカーボンブラックとPTFE樹脂から成る層を設け、その表面に塩化白金酸を塗布しかつ水素気流中で還元して白金を担持したガス拡散陰極を使用した。なお該ガス拡散陰極のガス室側には厚さ0.1 mmのPTFEシートを焼き付けて保護層とした。イオン交換膜としてデュポン社製の商品名ナフィオン90209 を使用し、該イオン交換膜と前記ガス拡散陰極との距離を5mmとして、食塩電解槽を構成した。この電解槽の陽極室に濃度200 g/リットルの食塩水を供給し、陰極室に濃度32%の苛性ソーダ水溶液を循環しかつ陰極室に10.0リットル/時の割合(理論量の10%増し)で前記酸素富化空気を供給しながら温度85℃及び電流密度30A/dm2で500 時間電解を行なった。食塩生成の電流効率は本実施例及び後述の実施例及び比較例とも94〜96%であった。電解初期の槽電圧は2.44V、過電圧は490 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は510 mVで、電極表面には変化が見られなかった。
【0019】
【比較例1】
酸素富化空気として酸素ボンベ中の純酸素を使用し、該純酸素を8.6 リットル/時の割合で電解槽に供給したこと以外は実施例1と同一条件で食塩水の電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.42V、過電圧は480 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は510 mVで、電極表面には変化が見られなかった。実施例1と比較例1を比較すると、初期電圧が僅かに純酸素を使用した場合の方が低かったが、両者の性能には殆ど差異がないことが判った。
【0020】
【実施例2】
酸素富化空気の供給量を10.4リットル/時(理論量の15%増し)としたこと以外は実施例1と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.43V、過電圧は480 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は515 mVで、電極表面には変化が見られなかった。実施例1と比較すると電解初期の槽電圧及び過電圧が低下し、比較例1の純酸素を使用した場合に匹敵する値が得られたことが判った。
【0021】
【実施例3】
酸素富化装置内のゼオライト充填量を実施例1より減少させて酸素濃度が89%である酸素富化空気を製造した。この酸素富化空気を11.1リットル/時の割合(理論量の15%増し)で実施例1の電解槽に供給して実施例1と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.45V、過電圧は500 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は520 mVで、電極表面には変化が見られなかった。実施例1と比較すると電解初期及び500 時間経過後とも過電圧が僅かに上昇したが実用上は問題ないことが判った。
【0022】
【実施例4】
酸素濃度が85%である酸素富化空気を12.2リットル/時の割合(理論量の20%増し)で供給しながら実施例1と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.47V、過電圧は520 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は545 mVで、電極表面には変化が見られなかった。実施例1と比較すると電解初期及び500 時間経過後とも過電圧が上昇した。
【0023】
【実施例5】
酸素富化空気の供給量を13.2リットル/時(理論量の30%増し)としたこと以外は実施例4と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.45V、過電圧は510 mVであった。又500 時間経過後の過電圧は540 mVで、電極表面には変化が見られなかった。実施例4と比較して10mV程度の過電圧の低下が見られた。
【0024】
【比較例2】
酸素含有ガスとして空気を使用し、この空気を10%水酸化ナトリウム水溶液と接触させて炭酸ガス濃度を1〜1.2 ppm に低下させた。この空気の供給量を86.0リットル/時(理論量の2倍)としたこと以外は実施例1と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.65V、過電圧は710 mVであり、この過電圧は比較例1の純酸素の場合と比較して230 mV、実施例1の酸素富化空気の場合と比較して220mV高かった。又500 時間経過後の過電圧は770 mVで、炭酸ナトリウムと思われる沈澱が電極表面に付着し電極表面が親水化していた。
【0025】
【比較例3】
空気の供給量を220.0 リットル/時(理論量の5倍)としたこと以外は比較例2と同一条件で電解を行なった。電解初期の槽電圧は2.62V、過電圧は680 mVであり、比較例2の槽電圧及び過電圧よりは低下したが実施例1と比較して過電圧が190 mV高かった。又比較例2と同様に表面が親水化していた。前記実施例及び比較例のデータを纏めると下記の表1のようになる。
【0026】
【表1】
Figure 0003677086
【0027】
【発明の効果】
本発明は、ガス拡散陰極を有する陰極室に酸素含有ガスを、陽極室に食塩水をそれぞれ供給しながら電解を行ない、陰極室で苛性ソーダ水溶液を、陽極室で塩素をそれぞれ製造する電解方法において、吸着剤としてゼオライトを使用し、圧力を昇降させて空気中の窒素の吸脱着を行なって製造した酸素富化空気を前記酸素含有ガスとして使用することを特徴とする電解方法である。
この電解方法では、ガス拡散陰極へ供給する酸素含有ガスとして、窒素に対する選択吸着能を有する吸着剤を使用して製造された酸素富化空気を使用している。このようにして製造された酸素富化空気は90%程度の酸素濃度を有し、この酸素富化空気を使用して本発明により食塩電解を行なうと純酸素の場合より僅かに劣る程度の低い過電圧で効率的な電解を行なうことができる。
【0028】
吸着剤を使用して製造される酸素富化空気はバルブの操作のみで製造できるため純酸素と比較して安全であり、又安価に製造できるため、本発明方法によると、空気を使用する場合より遙かに低い過電圧で、更に純酸素を使用する場合と比較して低コストでほぼ同等の過電圧で電解を行なうことができる。前記酸素富化空気を理論量に対して10〜20%増で供給すると過電圧は純酸素の場合とほぼ等しくなり、実質的に純酸素を使用する場合と同等の効率で食塩電解を行なうことができる。
【0029】
又吸着剤として、加圧状態で窒素の吸着量が大きく常圧下では吸着量が小さくなる吸着剤であるゼオライトを使用するため、圧力を調節することのみで空気中の窒素を空気中から除去して空気中の酸素を濃縮して酸素富化空気を製造できる。更に加圧状態から常圧に戻すのみで吸着剤から窒素が脱着するので、長期間に亘って繰り返し酸素富化空気製造に使用でき、又加熱の必要もないため吸着剤の劣化が殆どなく、ガス拡散陰極に供給する酸素富化空気を効率的かつ永続的に製造できる。又ゼオライトは炭酸ガスの吸着能があり、酸素富化空気の製造と同時に原料である空気中の炭酸ガスを除去できガス拡散陰極に供給される酸素富化空気中に炭酸ガスが含有されないため、ガス拡散陰極に供給される酸素富化空気がナトリウムイオンと接触しても炭酸ソーダを生成して沈澱を生ずることがなく、従ってガス拡散層を閉塞したり反応層の触媒を覆ったりして電極性能の低下を来すことがない。

Claims (1)

  1. ガス拡散陰極を有する陰極室に酸素含有ガスを、陽極室に食塩水をそれぞれ供給しながら電解を行ない、陰極室で苛性ソーダ水溶液を、陽極室で塩素をそれぞれ製造する電解方法において、吸着剤としてゼオライトを使用し、圧力を昇降させて空気中の窒素の吸脱着を行なって製造した酸素富化空気を前記酸素含有ガスとして使用することを特徴とする電解方法。
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