JP2004300451A - ガス拡散電極、その製造方法、及び電解方法 - Google Patents

ガス拡散電極、その製造方法、及び電解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価で簡便に製造でき、電極特性及び耐久性に優れるガス拡散電極、その製造方法、及びそれを使用する電解方法を提供する。
【解決手段】ガス拡散電極は疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、親水性カーボン又は親水性カーボンと触媒を含まず、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなる。水酸化アルカリ金属を製造するイオン交換膜法塩化アルカリ水溶液の電解槽の酸素陰極として配備した場合に、反応層とガス供給層の2層からなるガス拡散電極に較べ、電解時間の増大に連れて電極特性が向上する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化アルカリ金属水溶液の電解や燃料電池における電極として好適に使用可能な新規なガス拡散電極、その製造方法、及び、該ガス拡散電極を用いた塩化アルカリ金属水溶液の電解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス拡散電極を塩化アルカリ金属水溶液(例えば、塩化ナトリウム水溶液)の電解の陰極として用いた場合、水素発生型の通常の電解方法に比べて、極めて低い電圧で反応を進行させることが可能になり大きな省エネルギー効果が期待できることは公知(例えば、特許文献1)である。該電解におけるガス拡散電極からなる陰極では次の酸素還元反応(1)が進行する。
1/4O+1/2HO+e→OH・・・・(1)
反応(1)を容易に進行させるためにガス拡散電極にガス状態である酸素と液状態である水を遅滞なく補給する必要があり、ガス拡散電極に関し従来数多くの提案が成されてきた。
【0003】
従来のガス拡散電極は、基板材料、触媒及び疎水性物質から製造される。触媒は貴金属、ラネー銀、ペロブスカイト型イオン結晶、金属フタロシアニン等で疎水性物質はフッ素樹脂等である(例えば、特許文献1)。基板材料は主に電極の強度向上を担い、触媒は主としてカーボンに坦持され反応場を提供し、疎水性物質は電極内部へのガス拡散経路を形成する。
【0004】
また、従来、ガス拡散電極に使用する触媒はカルボン酸の銀塩等から混練熱分解して製造する等の種々の工夫が必要である(例えば、特許文献2)。これは、触媒をガス拡散電極中に均一に分散化し、触媒の比表面積を増大するためである。しかし、上記の提案で製造されるガス拡散電極は性能及び耐久性の点でなお課題を有していた。
【0005】
一方、電極反応を行う反応層と該反応層へのガス供給を行うガス供給層の2層で構成されたガス拡散電極が提案されている(例えば、特許文献3)。これは、反応層が疎水性カーボン、親水性カーボン、フッ素樹脂及び触媒からなり、ガス供給層が疎水性カーボン及びフッ素樹脂からなり、それまでのものに比べて性能及び耐久性に優れるガス拡散電極である。反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極の出現により、塩化アルカリ水溶液電解の電解電圧を比較的長期間安定に低減することが可能となった。
【0006】
しかし、反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極は、高価な貴金属等を触媒として坦持することがなお必須である上に、反応層とガス供給層を個別に製造し積層する等の多くの製造工程が必要である。更に、疎水性と親水性の2種類のカーボンとフッ素樹脂の混合比率や分散状態で性能や耐久性が変化し、所定性能のガス拡散電極を製造する為には多くの工程管理が必要であった。このため、高性能のガス拡散電極は極めて高価なものとなり、高性能かつ安価なガス拡散電極が待望されてきた。
【0007】
近年、反応層とガス供給層の2層で構成されるガス拡散電極の製造工程の簡略化を目的に種々の検討がなされ、導電性多孔体又はメッシュの空隙部にガス供給層形成材料を充填してガス供給層を形成し、その上に反応層形成材料を塗布して反応層を形成したガス拡散電極が提案された(例えば、特許文献4)。
【0008】
その結果、導電性多孔体又はメッシュとガス供給層と反応層との3つの構成からなるガス拡散電極(特許文献4の第4頁、第5欄、上から13行目から同47行目)、及び、導電性多孔体又はメッシュと反応層との2つの構成からなるガス拡散電極(特許文献4の第4頁、第6欄、下から16行目から第5頁、第7欄、上から2行目)が提供されるに至った。しかし、依然として親水性カーボンや触媒の使用は必須である上に、特許文献5に記載されるように、このガス拡散電極の初期特性は優れるものの、使用中に電極特性が劣化し耐久性に課題を有している。これは、ガス拡散電極の反応層に接するガス供給層の表面が親水化してしまい、電極に充分な酸素が供給されないためと説明されている。
【0009】
更に、最近、電極特性の耐久性の問題を解決するために、ガス拡散電極のガス供給層に上記親水化を防ぐ触媒を含有することが提案されている(特許文献5)。この特許文献5には、更に、ガス拡散電極における反応層をガス供給層の表面を親水化処理し反応層化する、製造工程を簡略化したガス拡散電極も提供されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のガス拡散電極では、酸素還元能を有する触媒を含む反応層の存在は必須とされ、また、電極特性の耐久性には特殊な触媒の使用を必要としていた。この場合には、高価な触媒を用いるために原料費が多大であるばかりでなく、電極中は触媒を均一に分散するために製造管理に多大な費用と労力が必要であり、なおかつ電極特性の耐久性も課題を有するものであった。
【0011】
本発明は、この現状に鑑み、安価で簡便に製造することができ、また、電極特性上も耐久性に優れるガス拡散電極、その製造方法、及び該ガス拡散電極を使用する塩化アルカリ金属水溶液の電解方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記目的を達成することに成功した。即ち、本発明者らの研究によると、意外なことに、従来必須とされていたガス拡散電極を構成する反応層とガス供給層とのうち、反応層の存在は電極性能の維持にとってむしろこれを阻害することが見出された。そして、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなるガス拡散電極は、これを水酸化アルカリ金属を製造する塩化アルカリ金属水溶液の電解に使用した場合には、初期性能こそ遜色があるものの、電解使用時間の増大につれて電極特性は急激に向上し、維持できることが判明した。
【0013】
また、上記疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成される多孔質体シートからなるガス拡散電極は、後記するような特定の酸素還元反応処理をすることにより電極特性は大幅に向上することも見出された。従って、この場合には、電極をいずれのガス拡散電極に使用しても、当初から優れた電極特性を有し、かつ長期間使用した場合も優れた特性を維持できるガス拡散電極が提供できることになる。
【0014】
本発明において、上記の特定の多孔質体シートからなるガス拡散電極が何故に上記のような優れた電極特性を示し、かつ、酸素還元反応処理により、何故に優れた性能を有するガス拡散電極を得ることができるかは必ずしも明らかではない。しかし、酸素還元反応処理の場合には特許文献5に記載されている水素発生を伴なう活性化処理と同様な効果を上記多孔質体シートにもたらすものと思われる。
【0015】
かくして、本発明は下記の要旨を特徴とするものである。
(1)疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなることを特徴とするガス拡散電極。
(2)多孔質体シートが、親水性カーボン、又は親水性カーボンと触媒を含まない上記(1)に記載のガス拡散電極。
(3)疎水性カーボンが、導電性シートを具備する上記(1)又は(2)に記載のガス拡散電極。
(4)32重量%で88℃の水酸化ナトリウム水溶液に片面を接触させ、他方の面に酸素含有ガスを供給させ、ガス拡散電極に水酸化ナトリウム水溶液が接する面積を基準とした電流密度が3kA/mの条件で酸素還元反応をさせた場合に、電気抵抗を補正した電位が0.2V vs RHE以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガス拡散電極。
(5)疎水性カーボン及びフッ素樹脂を含み、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートに対して、その一方の面に水酸化アルカリ金属水溶液を接触させ、かつ他方の面に酸素を含有するガスを接触させて通電処理を行う請求項4に記載のガス拡散電極の製造方法。
(6)水酸化アルカリ金属水溶液の濃度が10〜40重量%であり、酸素を含有するガス中の酸素の濃度が20〜100体積%であり、かつ電流密度が1〜7KA/mである上記(5)に記載のガス拡散電極の製造方法。
(7)上記(5)又は(6)に記載の製造方法で製造されたガス拡散電極を使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽において、水酸化アルカリ金属水溶液に接触していたガス拡散電極の面を塩化アルカリ水溶液電解槽の陽極に面するように使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽
(8)陽極とガス拡散陰極との間にイオン交換膜を配置して陽極室と陰極室とを形成した電解槽を使用し、陽極室に塩化アルカリ水溶液を供給し、ガス拡散電極に酸素含有ガスを供給して通電して陰極室に水酸化アルカリを製造する塩化アルカリ水溶液の電解方法において、上記ガス拡散陰極が、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなることを特徴とする塩化アルカリ水溶液の電解方法。
【0016】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明のガス拡散電極は疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成された多孔質体シートからなる。該多孔質体シートは、従来のガス拡散電極におけるガス供給層と同じく、気体は透過するが液体は漏洩しない性質を有することが必要である。このために、本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートには、親水性カーボンを含有してはしてはならず、また、好ましくは、親水性カーボンとともにまたは触媒を含有しないことが好適である。
【0017】
本発明のガス拡散電極に親水性カーボンが含有される場合、初期には優れた性能が得られるものの、比較的短期間で失活、電解液の漏洩等が発生し、耐久性が著しく劣るばかりではなく、親水性カーボンの配合割合や均一分散化等が必要となり、製造コストが悪化する。
【0018】
本発明では、ガス拡散電極に親水性カーボンが不純物として含有される場合は許容される。不純物として含まれる場合とは、例えば、ガス拡散電極を製造するに際し、原料に用いる疎水性カーボン及び/又はフッ素樹脂に親水性カーボンが不純物として含まれる場合に、これを除く必要は特にないことを意味する。また、給電体シートを具備する場合も給電体シートに親水性カーボンが不純物として含まれていてもこれを除く必要はない。かくして、本発明では、ガス拡散電極中の親水性カーボンの含有量は好ましくは0.1重量%以下、特には0.01重量%以下であるのが好適である。
【0019】
また、本発明のガス拡散電極には親水性カーボンとともに触媒を含まないことが好ましい。触媒を含まない場合には、ガス拡散電極を安価に製造できる。触媒とは、例えば、白金、銀、ペロブスカイト系酸化物等の酸素ガス還元能を有する触媒機能物質や、銀、白金族、コバルト、マンガン等の、過酸化水素分解能を有する触媒機能物質を意味する。これらの触媒が親水性カーボンとともにガス拡散電極に含有される場合は、上記した親水性カーボンが含有される場合の耐久性への悪影響が加速される。
【0020】
本発明では、ガス拡散電極に触媒が不純物として含有される場合は許容される。不純物として含有される場合とは、本発明のガス拡散電極を製造するに際し、原料に用いる疎水性カーボン及び/又はフッ素樹脂に触媒が不純物として含まれる場合、これを除く必要は特にないことを意味する。また、給電体シートを具備する場合、給電体シートに触媒が不純物として含まれていてもこれを除く必要はない。
【0021】
本発明のガス拡散電極に使用する疎水性カーボンは、電気伝導性を有し、かつ表面に親水を有しないなら他の限定は特にない。従来のガス拡散電極で使用されてきた疎水性カーボンブラックが好適に使用できる。特に、アセチレンブラック等の黒鉛化度の高くない疎水性カーボンブラックを用いると本発明の効果が容易に得られるため好ましい。逆に、黒鉛化カーボンブラック等の黒鉛化度が高い疎水性カーボンブラックでは、本発明で得られる電圧削減効果に比較的大きくない。本発明で、使用される疎水性カーボンは、平均粒子径が好ましくは0.01〜 10μm、特には0.1〜2μmであるのが好適である。
【0022】
本発明のガス拡散電極に使用するフッ素樹脂は、水酸化アルカリ金属水溶液に耐食性を有し、通常、バインダーとして使用されるものが使用できる。好ましい例は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサプロピレンなどの含フッ素ポリマーの微粒子や微細繊維等である。
【0023】
本発明のガス拡散電極は、多孔質体シートの形状をなすが、シート形状は、通常、シートと認識されるものであればその形状・サイズは限定がない。例えば、投影形状が円形、楕円形、多角形等のあらゆる形状が好適に採用可能であり、使用するセルの形状に合わせて製作すればよい。電極のサイズもセルの大きさにあわせて製作すればよい。本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートは、平均細孔径が好ましくは0.01〜30μm、特に好ましくは0.02〜2mを有し、また、空気透過係数が好ましくは10−4〜10−1モル/cm・cmHg・分、特に好ましくは 10−2〜10−1モル/cm・cmHg・分を有するのが好適である。
【0024】
本発明のガス拡散電極を形成する多孔質体シートの厚みは特に限定はない。ハンドリングに問題がなく、また、電解槽などにおける陽極や膜と干渉しなければ良い。しかし、薄すぎると折れ曲がりやゆがみが発生し易くなりセルへの装着作業が困難となる。また、厚すぎると陽極や膜に過度の圧力がかかり、場合によっては陽極、膜が壊れる。従って、通常は、0.1〜10mmから選択でき、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0025】
本発明のガス拡散電極には、導電性多孔体を具備させることができる。導電性多孔体を具備させる場合には、ガス拡散電極の電気抵抗がより低くなり、電解電圧の削減効果がより一層高くなるため好ましい。導電性多孔体の材料は、電気抵抗が小さく、使用環境において耐食性を有する材質が使用される。例えば、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル等が好適に使用可能である。また、鉄や銅等の耐食性に乏しいが電気抵抗が小さい材質の表面を耐食性が高い銀、金等で被覆したものを使用できる。無論、白金、ニッケル等を銀、金等で被覆しても良い。導電性多孔体の少なくとも表面は銀や金の耐食性に優れ接触抵抗が著しく小さい物を用いれば、本発明の効果がより一層高くなる。なお、銀や金で鉄、銅、ニッケル等の表面を被覆する方法は、電解めっき、無電解めっき、積層圧延処理、溶射、熱分解による焼結、イオンプレーティング、CVD等の種々の方法が一般に知られており、その中の少なくとも1つを適時選択すればよい。
【0026】
本発明のガス拡散電極に導電性多孔体を具備させた場合、電極内部のガス拡散を阻害されにくいため好ましい。多孔体としては、パンチドメタル、エキスパンドメタル、網、メッシュ、金属発泡体等が広くしようできる。導電性多孔体は通常シート状に形成されて電極に具備されるが、その場合シートは、一枚でも良いし複数でもよく、数に限定はない。また、電極中の一部分のみに配置しても良いし、その有効面全体に配置してもよい。導電性多孔体のシートを電極有効面全体に配置すると電極の機械的強度が向上しハンドリングが容易になる、有効面全体に亘り電気抵抗が低く均一となり有効面全面が均一に作用するなど、特に好ましい。
【0027】
導電性多孔質体シートを電極中に具備させる位置は特に限定されない。ガス拡散電極の厚み方向の中心付近に配置してもよいし、いずれか一方の面に偏った位置に配置してもよいし、また、いずれか一方の表面に積層するように配置しても良い。また、複数の導電性多孔質体シートを種々の位置に配置してもよい。なかでも、ガス拡散電極のいずれか一方の表面に導電性多孔質体シートが一部埋め込まれるように具備させると製造上も性能上も特に好ましい。
【0028】
本発明のガス拡散電極は、上記のように、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成されるが、これらの材料を使用し、好ましくは導電性多孔体を具備させて本発明のガス拡散電極を製造する方法は以下のような既知の方法が使用できる。即ち、疎水性カーボン粒子、及びフッ素樹脂粉末を好ましくは界面活性剤を使用し、これらをジェットミルなどにより高速で攪拌混合して水中に均一に分散させたスラリーを形成する。このスラリーにアルコールなどを添加して凝集させ、そのまま、又は必要により濾過、乾燥して粉末とする。かかる凝集物又は粉末を含む粘調物をシート状に成形してガス拡散電極を得る。また、導電性多孔体を使用する場合には、凝集物又は粉末を含む粘調物をシート状の導電性多孔体に塗り込みや圧入して充填し、成形することにより製造される。
【0029】
上記のようして製造される、本発明のガス拡散電極は、これを32重量%で88℃の水酸化ナトリウム水溶液に片面を接触させ、他方の面に酸素を含有するガスを供給させ、ガス拡散電極に水酸化ナトリウム水溶液が接した幾何面積を基準とした電流密度が3kA/mの条件で酸素還元反応をさせた場合に、電気抵抗を補正した電位が0.2V vs RHE以上、好ましくは、0.65V vs RHE以上、更に好ましくは0.7Vvs RHE以上の特性を有することができる。かかる電極特性が、従来、必須とされていた反応層を有しないガス拡散電極によって達成されることは全くの驚きである。
【0030】
本発明で上記のガス拡散電極特性は、本発明で得られた多孔質体シートを、例えば、水酸化アルカリ金属を製造する、イオン交換膜法塩化アルカリ水溶液の電解槽の酸素陰極として配備して使用した場合に、電解時間間の増大に連れて電極特性が向上して達成されることが見出された。電解開始からどの程度の電解時間で達成されるかは電解条件にもよるが、通常 、 〜1ヶ月間で達成されることが判明した。その達成は急激におこり、以降は少なくとも1年以上の長期間にわたって継続する。
【0031】
しかし、使用開始から1ヶ月程度、電解電圧が高い状態での運転を余儀なくされた場合、運転に使用する整流器を該電解電圧を基準に設計・製作せざるを得ない。このため、電圧が低下した後の長期間の運転では整流器が過剰能力となり過剰分の費用が無駄になるばかりではなく、場合によっては、交流/直流変換能力が悪化し電解電圧が低下した割には省エネルギー率が小さくなる。例えば、陽極及び陽イオン交換膜及びガス拡散電極の25対で複極式電解槽を構成し、該複極式電解槽を4槽を直列で配して単一の整流器で塩化アルカリ金属水溶液の電解をなす場合において、使用開始の電解電圧が3.0V/対で使用開始から1ヶ月後の電圧が2.0V/対まで低下し、その後電解電圧が2.0乃至2.3V/対で推移する場合を例に説明する。
【0032】
整流器には、当初、少なくとも、3.0V/対×100対=300Vの直流電圧が必要であるが、その後の5年間は200〜230Vしか整流器負荷がない。整流器は出力負荷の大小で設備費が上下するため、最初の1ヶ月程度のために整流器設備が過大となることは好ましくない。また、通常、整流器の直流/交流変換効率は整流器の出力負荷でことなるため、場合によっては直流/交流変換効率が悪化し本来の省エネルギー効果が十分に得られない。
【0033】
本発明では、ガス拡散電極の特性の発揮を極めて効率よく実施できる方法が見出された。即ち、上記の多孔質体シートを、その片面に水酸化アルカリ金属水溶液を、他面に酸素を含有するガスを接触させて通電処理する(以下、本発明では酸素還元反応処理といこともある)ことにより、極めて短時間にて上記特性に到達できることが見出された。
【0034】
上記酸素還元反応処理は、陽極の存在が必須であり、陽極での反応を利用するものである。陽極の反応は特に限定はなく、例えば、以下の(2)〜(5)の反応から適宜選択される。
OH→1/4O+1/2HO+e・・・・(2)
1/2HO→1/4O+H+e・・・・(3)
OH+H→HO+e・・・・(4)
1/2H→H+e・・・・(5)
2Cl→Cl+2e・・・・(6)
【0035】
酸素還元反応処理に用いる陽極は、上記陽極反応により適宜選択する。例えば、前記(2)の反応を行う場合はニッケルやニッケル基合金の多孔体電極、前記(3)の反応の場合は少なくとも表面が白金族触媒を有する多孔体電極、前記(4)又は(5)では水素ガス拡散電極から選択すれば良い。また、前記(6)の場合には、塩化アルカリ金属水溶液の電解と同一の陽極を選択すればよい。
【0036】
図4は、酸素還元反応処理を実施する装置の一例を示すもので酸素還元反応槽14と呼ぶ。酸素還元反応槽14は、陽極15を具備し、陽極15により電解液室17とガス室20とに区画される。陽極15の反応の種類によってはイオン交換膜で電解液室と陽極室を区画する必要があるが、陽極15で前記(2)の反応を行う場合には区画する必要ないので有利である。
【0037】
電解液室17に水酸化アルカリ金属水溶液を満たすことにより、処理される多孔質体シート16の片面の少なくとも一部が水酸化アルカリ金属水溶液に接する。多孔質体シート16の全面積に対して水酸化アルカリ金属水溶液に接する面積比率は特に限定は無いが、高いほど良い。好ましくは、50%以上で、更に好ましくは、70%以上である。該面積比率が小さいと処理の効果が十分に発揮されない。また、多孔質体シート16の水酸化アルカリ金属水溶液に接する面の一部が酸素を含有するガスに接触しても何らの問題は無い。
【0038】
また、ガス室20に酸素含有ガスを供給することで多孔質体シート16の上記とは反対面の少なくとも一部が酸素を含有するガスと接触する。多孔質体シート16の全面積に対して酸素含有ガスに接する面積比率は特に限定は無いが、高いほど良い。好ましくは、50%以上で、更に好ましくは、70%以上である。該面積比率が小さいと処理の効果が十分に発揮されない。また、多孔質体シート16の酸素含有ガスに接する面の一部が水蒸気が結露して生じるなどの水に接触しても何らの問題は無い。
【0039】
なお、処理される多孔質体シート16の片面の水酸化アルカリ金属水溶液に接する部位と、他方の面にける酸素含有ガスが接する部位は、できるだけ対面させることが好ましい。上記両者の部位が互いに大きくずれると、酸素還元反応処理の効果が十分に発揮されない。
【0040】
電解液室17に満たす水酸化アルカリ金属水溶液の濃度や温度に特に限定はない。通常、水酸化アルカリ水溶液の濃度は10〜40重量%が使用され、温度は20〜100℃である。
【0041】
陽極15は前記(2)の反応により水酸基イオンが消費され酸素が発生するが、水酸基イオンの消費量と酸素発生量は、成形体シート14の反応(1)による水酸基イオンの発生量と酸素の消費量と同一である。そのため原理的には、電解液室17に水酸化アルカリ金属や水を補給する必要はない。しかし、水蒸気が酸素ガスと同伴し系外に排出される為、水を補給することが望ましい。また、水酸化アルカリ金属水溶液を循環すると、酸素還元反応槽14内の温度の均一化、酸素ガスの円滑な排出が達成され、電解電圧が低減する等の好ましい効果を発揮する。
【0042】
ガス室20に供給するガスは酸素を含有することが必須であり、その他の限定は特にない。しかし、供給するガスが炭酸ガスを含有している場合、多孔質体シート16から電解液室17に漏洩した炭酸ガスが水酸化アルカリ金属水溶液に吸収され水酸化アルカリ金属塩が消費される等が生じるため、ガス室に供給する前に炭酸ガスを除くことが望ましい。また、油分や固形物が含有していると多孔質体シート16の表面及び/又は内部に吸着し性能が低下する場合があるので、通常は、フィルターを通過させ該油分及び/又は該固形物を除去した後にガス室20に供給する。
【0043】
ガス室20に供給する酸素供給量が理論反応量より少ないと多孔質体シート16で水素ガスが発生しガス室内で爆鳴気が形成されたり、成形体シート16の全面に亀裂が発生し処理が不充分な場合がある。従って、酸素ガス供給量は理論反応量以上を供給することが好ましい。酸素ガス供給量の上限は特にないが、供給量が多いと経済的に不利になるため、通常、理論反応量の1.1倍〜4倍、より好ましくは、1.2倍〜2倍に設定される。
【0044】
多孔質体シートに接触させるガス中の酸素濃度は、還元処理に際して水素ガスを発生しない限り特に限定はないが、通常、乾燥濃度で、20〜100体積%が好ましい。酸素濃度が20体積%未満の場合、多孔体から水素ガスが発生しガス室内で爆鳴気が形成される恐れがあり、また、多孔体の全面に亀裂が発生する場合がある。酸素濃度は、好ましくは、35〜100体積%、更に好ましくは60〜100体積%である。なお、陽極15で、反応(2)を行わせる場合には、陽極15で発生した酸素ガスの全量又は一部をガス室20に供給すると系外から供給する酸素の必要量が著しく減るので好ましい。陽極20から発生した酸素ガス中には水蒸気が存在するが、水蒸気を除いても除かなくても処理効果は何ら変わらない。
【0045】
酸素還元反応処理の電流密度は特に限定されない。通常、処理される多孔質体シート16の通電面積に対する電流密度換算で、好ましくは1〜7kA/mであり、特には好ましくは2〜4kA/mである。電流密度が低すぎると製造時間が長くなるので好ましくない。逆に高すぎると電力消費が増えたり、場合によっては水素が発生するので好ましくない。
【0046】
上記の酸素還元反応処理を行うことにより、多孔質体シート16の酸素ガス還元過電圧が急激に低下(IR補正電位が急激に上昇)する。かくして、多孔質体シート16の電解面積当たりの電流密度が3kA/m以上でかつ過電圧が1.0V以下(IR補正電位が0.2V vs RHE以上)を示した時点で処理は終了する。なかでも、好ましくは、電流密度が3kA/m以上でかつ過電圧が0.55V以下(IR補正電位が0.65V vs RHE以上)を示した時点、更に好ましくは電流密度が3kA/mの過電圧が0.5V以下(IR補正電位が0.7V vs RHE以上)を示すまで処理を継続すると処理の効果が一層発揮できる。
【0047】
上記酸素還元反応処理したガス拡散電極を使用して、陽極と陰極の間にイオン交換膜を有する電解槽に配備する場合、酸素還元反応処理で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を電解槽の陽極面に対面させることが好ましい。例えば、陽イオン交換膜と陰極とによって陽極室と陰極液室とガス室とに区画された構造を有する電解槽にガス拡散電極を配備する場合、酸素還元反応工程で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を電解槽の陰極液室に向ける事が好ましい。
【0048】
また、例えば、陽イオン交換膜により陽極室と陰極室との2室に区画された電解槽の陰極室内にガス拡散電極を配備する場合、酸素還元反応工程で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した面を陽イオン交換膜側に向け陽極と対面させることが好ましい。上記と逆向きに該ガス拡散電極を配備することも可能であるが、この場合は本発明の効果が十分に発揮されない。また、酸素還元反応処理で電解液室17に向け水酸化アルカリ金属水溶液に接した部位が電解槽の電解面と一致するように配備すると本発明の効果が最大限に発揮される。
【0049】
上記の酸素還元反応処理において、陽極14で前記(2)の反応を行わせる場合、陽極室と区画するための隔膜が不要であり酸素還元反応処理槽14が極めて単純な構造となる。また、多孔シート16で行う、(1)の反応と陽極14の(2)の反応は逆反応の関係にあるため、装置内で電解液の濃度変化が実質上無いこと、理論分解電圧が0Vで極めて低電力で処理が可能であること、陽極で発生した酸素ガスを用いると消費する酸素のほぼ全量が賄えることなどから、極めて好ましい実施形態の1つである。
【0050】
更に、陽極及び陽イオン交換膜及び該ガス拡散電極の25対で構成した複極式電解槽を4槽を直列で配列して単一の整流器で塩化アルカリ金属水溶液の電解を行う場合において、上記酸素還元反応処理をしないでガス拡散電極を陰極に用いた場合(使用開始時電解電圧が3.0V/対)と、一方、上記酸素還元反応処理したガス拡散電極を陰極に用いた場合(使用開始時電解電圧が2.0V/対の場合)とを例にして、酸素ガス還元反応処理を実施した場合の効果を以下に説明する。
【0051】
酸素還元反応処理を実施すること無く製造されたガス拡散電極を陰極に用いた電解槽のみで運転を開始する場合には、運転開始当初に整流器の出力電圧が300Vと、過大な能力が必要となり、種々の弊害が発生することは前記の通りである。
【0052】
一方、該酸素還元反応処理を実施したガス拡散電極を陰極に用いた電解槽のみで運転を開始する場合には、運転開始当初の整流器の出力電圧は200Vですみ、その後、長期間に亘り200〜230Vの整流器出力電圧となり、適正な整流設備で電解が実施可能となる。
【0053】
また、例えば、酸素還元反応処理をしないガス拡散電極で電解槽を構成した電解槽3つで運転を開始した場合、整流器の出力電圧は230V未満ですむ。さらに、通常、稼動から1ヶ月後以内で電圧が下降する。従って、整流器の出力電圧が180V(2.4V/対)を示した時点で酸素還元反応処理したガス拡散電極を用いた電解槽を1槽系列に付加すれば、整流器の出力電圧が230Vに維持され、適正な整流器能力で常時運転が可能である。
【0054】
このように、酸素還元反応処理しないガス拡散電極と酸素還元反応処理したガス拡散電極の使用数や稼動時期を組合せることで、常に整流器を最適負荷で稼動することが可能となり、ガス拡散電極による省エネルギー効果が最大限に発揮される。
【0055】
更に、酸素還元反応処理において、陽極15で前記(2)の反応以外を用いる場合の例を説明する。陽極15で前記(3)を行わせる場合にはイオン交換膜で陽極室と陰極室を区分する。この時に使用するイオン交換膜は陽イオン交換膜でも陰イオン交換膜でもバイポーラー膜でも良く、フッ素系でも炭化水素系でも良く、市販の膜をそのまま適用可能である。
【0056】
陽極15で前記(4)又は(5)を行う場合は、酸素還元反応槽14は酸素−水素型の燃料電池と実質的に同一の構成となるため、従来の燃料電池をそのまま適用すればよい。この場合、本発明の酸素ガス拡散電極を製造しながら発電が可能であり、好ましい実施形態の1つである。
【0057】
また、陽極15で前記(6)を行う場合には酸素還元反応槽14は塩化アルカリ金属水溶液電解と実質的に同一の構成となるため、従来の塩化アルカリ金属水溶液用の電解槽と同一構造でよい。この場合、塩化アルカリ金属水溶液電解設備の整流器能力で運転が可能な電圧に低下するまで酸素還元反応処理を行えばよく、該陽極15から発生する塩素ガスは製品となるため好ましい実施形態の1つである。
【0058】
さらに、陽極14で前記(6)の反応を行い酸素還元反応処理を実施した場合は、処理の終了と同時に、酸素還元反応槽14を解体することく電解設備に移動し設置すれば、直ちに塩化アルカリ水溶液電解に供することが可能である。
なお、本発明が提供するガス拡散電極が燃料電池用の電極として好適に使用可能であることは、当業者らには自明である。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例で「%」は特に断りのない限り、「重量%」を意味する。
【0060】
実施例1
疎水性カーボンブラック50g(AB6、平均粒径500オングストローム、電気化学工業社製)を界面活性剤(20%TRITON X−100)を4%含む水500mlに分散させ、ジェットミルで2回分散操作を行い、カーボンブラックの平均粒径を0.6μm以下にした。これにPTFE40%となるようにPTFEディスパージョンを添加、混合した分散液にエチルアルコールを添加して凝集させた。次いで、濾過、乾燥してガス拡散電極原料粉末を得た。この粉末にソルベントナフサを加え、餅状にし、0.5mm厚のシートにロール成形し、界面活性剤除去、乾燥してガス拡散電極用シートを得た。
【0061】
ガス拡散電極用シートと50メッシュ、0.19mm厚の銀網を380℃、50kg/cmの圧力で60秒間ホットプレスすることで成形体シートを製造し、該成形体シートをガス拡散電極とした。
【0062】
該ガス拡散電極を図1に示した小型試験電解槽1に装着し、イオン交換膜法食塩電解試験を実施した。小型試験槽1は、DSA(登録商標)と呼ばれる陽極2、フッ素系陽イオン交換膜6、ガス拡散電極10を使用して構成した。陽極2とフッ素系陽イオン交換膜6は密着し、フッ素系陽イオン交換膜6とガス拡散電極10間の距離は6mmとし、電解電圧は記録計で自動記録した。
【0063】
陽極2、フッ素系陽イオン交換膜6、ガス拡散電極10の電解面は56mm×60mmの長方形で、電解電流は10.1A(3kA/m)の一定とした。陽極室3には310g/リットルの精製食塩水を供給し200g/リットルで排出されるように流量を調整した。陰極液室7(イオン交換膜と陰極の間)へは水酸化ナトリウム水溶液を循環供給し、陰極室出口の水酸化ナトリウム水溶液濃度が32重量%となるように循環液に純水を添加した。陽極室3及び陰極液室7は、内部ヒーター(図示せず)で88℃に調整した。ガス室11へはPSA方式で空気を精製したガス(酸素純度:93体積%)を理論酸素消費量の2倍等量供給した。
【0064】
電解試験開始直後の電解電圧は2.8V、ガス拡散電極の過電圧は1.0V(IR補正電位が0.2V vs RHE)を示した。電解(該ガス拡散電極の酸素還元反応)時間の経過と共にガス拡散電極の過電圧が急激に低下し電解電圧が急激に低下した。電解開始から20日間後の電解電圧は2.3V、ガス拡散電極の過電圧は0.5V(IR補正電位が0.7V vs RHE)を示した。この時点で電解(該ガス拡散電極の酸素還元反応)試験を一旦終了し、ガス拡散電極を観察したが表面は何ら変化していなかった。
【0065】
ガス拡散電極を上記と同じ電解槽に装着し、上記と同一の条件で電解試験を再度開始した所、電解電圧は2.2〜2.3Vで700日間(試験を実施した20日間を含む)に亘り低電圧を維持した。この間の該ガス拡散電極の過電圧は0.4〜0.5V(IR補正電位が0.7〜0.8V vs RHE)を示した。この間の電解電圧変化を、最初の電解試験開始日を0日として図.2の○印で示した。
電解試験終了後に電極を試験電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。
【0066】
また、使用したガス拡散電極に含まれる疎水性カーボンブラックをX回転対陰極形X線回折装置(理学電機社製)でX線解析パターンを測定した結果を図3に示す。疎水性カーボンブラックは、25.5度を中心としたブロードなピークを示した。
【0067】
実施例2
実施例1で製造したガス拡散電極の成形体シートを酸素還元反応処理した。酸素還元反応処理は、図4に示した酸素還元槽14に上記成形体シート16を装着し、電解液室17には32重量%の水酸化ナトリウム水溶液を循環供給し、内部ヒーター(図示せず)で88℃に調整した。ガス室17へはPSA方式で空気を精製したガス(酸素純度:93体積%)を理論酸素消費量と等量供給し、加えて、陽極15で発生した酸素ガスを全量供給した。なお、該水酸化ナトリウム水溶液に接触する部位と該酸素ガス含有ガスに接触する部位は何れも56mm×60mmの長方形でほぼ完全に対面させた。電流密度は10.1A(3kA/m)の一定で成形体シート16の酸素還元反応処理を実施した。
【0068】
処理開始直後の成形体シートの酸素還元過電圧は1.1Vを示したが処理を継続すると過電圧が急激に低下した。過電圧が0.5V(IR補正電位が0.65V vs RHE)を示した時点で処理を終了した。なお、ガス拡散電極の表面に何ら変化は無かった。
【0069】
得られたガス拡散電極を実施例1と同様にして電解試験を実施した。この時、ガス拡散電極の酸素還元槽14の電解液室17に向けた面を、電解槽1の陰極液室7側に向け、酸素還元反応処理で水酸化ナトリウムと接した部位が電解面となるように装着した。電解直後から700日間に亘り、電解電圧は2.2〜2.3Vの低電圧を維持した。電解電圧の経時変化を図.2の●印で示した。
電解試験終了後に電極を電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。
【0070】
実施例3
黒鉛化度の高い疎水性カーボンブラック(昭和電工社製、商品名UFG−10)を使用した以外は実施例2と同様にガス拡散電極を製造した。この場合、酸素還元反応処理を1ヶ月間継続しても過電圧は0.9V(IR補正電位が0.3Vvs RHE)を示したのでこの時点で酸素還元反応処理を終了した。
処理したガス拡散電極を実施例1と同様にして電解試験を1ヶ月間実施した。電解電圧は電解開始当初から2.6〜2.7Vで推移した。
電解試験終了後に電極を試験電解槽から取り外したが、表面は何ら変化していなかった。実施例2で製造したガス拡散電極に比較すると性能は若干良くなかった。
【0071】
また、実施例3で使用した疎水性カーボンブラックを実施例2と同様にしてX回転対陰極形X線回折装置でX線解析パターンを測定した結果を図5に示す。疎水性カーボンブラックは、25.9度付近と26.6度付近にシャープなピークを示し、黒鉛化度が高いことが確認された。この結果より、黒鉛化度の高くない疎水性カーボンブラックを用いることが好ましいと判明した。
【0072】
実施例4
ガス室17にPSAで得られた酸素ガスに乾燥窒素を加えた濃度5%の酸素ガスを供給し該成形体シートで30分間水素発生を行わせた以外は実施例2と同様にシートを得た。本シートを装置から取り外した所、表面に多数の亀裂が発生し部分的に亀裂は貫通していた為、ガス拡散電極を製造することは出来なかった。
【0073】
比較例1
実施例1と同様にしてガス拡散電極用シートを製造した。銀触媒を重量比で20%坦持した親水性カーボンブラック(電気化学工業社製、AB−12)5部、疎水性カーボンブラック(電気化学工業社製、AB−6)2部、PTFE3部からなる反応層原料粉末10gに界面活性剤(20%TRITON X−100)10mlとテレピン油5mlを加えたスラリー状にして、上記ガス拡散電極用シートの片面に上塗りした。一方、シートの反対の面に0.19mm厚の銀網を配備し、界面活性剤を抽出装置で除去し、乾燥後、350℃の温度、50kgf/cm の圧力、60secの条件でホットプレスを行い、ガス拡散電極を製造した。
【0074】
このガス拡散電極を実施例1と同様にして電解試験を実施した。電解試験直後は電解電圧は2.2V未満であったが、その後電解電圧が徐々に上昇し、300日後には実施例1及び2の電解電圧を超えた。更に電解試験を継続すると、400日目頃からガス室への電解液漏洩が始まり440日目に停止を余儀なくされた。電解電圧の経時変化を図2の△印で示した。
【0075】
電解試験終了後にガス拡散電極を電解槽から取り外したが、ガス室側の表面全体が水酸化アルカリ金属水溶液で塗れており、電極のガス透過能が著しく阻害されていることが判明した。
【0076】
【発明の効果】
本発明が提供するガス拡散電極は、従来のガス拡散電極に比較して製造に要する工程数・管理項目が著しく少なく、かつ、高価な酸素還元反応を促進する触媒も不要であり、極めて安価で簡便に製作できる。しかも、本発明のガス拡散電極は、例えば、塩化アルカリ金属水溶液の電解に用いると長期間に亘り低い電解電圧で実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用される試験電解槽の模式的断面図を示す。
【図2】実施例及び比較例にける電解試験の電圧推移を示す。
【図3】実施例1で使用した疎水性カーボンブラックのX線回折パターンを示す。
【図4】本発明の酸素還元反応処理に使用される1例の酸化還元槽の模式的断面図を示す。
【図5】実施例3で使用した疎水性カーボンブラックのX線回折パターンを示す。
【符号の説明】
1 電解槽
2 陽極
3 陽極室
4 塩水入口
5 塩素ガス出口
6 イオン交換膜
7 陰極液室
8 水酸化ナトリウム水溶液出口
9 水酸化ナトリウム水溶液入口
10 ガス拡散電極
11 ガス室
12 酸素入口
13 酸素出口
14 予備処理槽
15 陽極
16 ガス拡散電極
17 電解液室
18 水酸化ナトリウム入口
19 水酸化ナトリウム出口
20 ガス室
21 ガス入口
22 ガス出口
23 酸素ガス出口

Claims (8)

  1. 疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなることを特徴とするガス拡散電極。
  2. 多孔質体シートが、親水性カーボン、又は親水性カーボンと触媒を含まない請求項1に記載のガス拡散電極
  3. 多孔質体シートが、導電性シートを具備する請求項1又は2に記載のガス拡散電極。
  4. 32重量%で88℃の水酸化ナトリウム水溶液に片面を接触させ、他方の面に酸素含有ガスを供給させ、ガス拡散電極に水酸化ナトリウム水溶液が接する面積を基準とした電流密度が3kA/mの条件で酸素還元反応をさせた場合に、電気抵抗を補正した電位が0.2V vs RHE以上である請求項1〜3のいずれかに記載のガス拡散電極。
  5. 疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートに対して、その一方の面に水酸化アルカリ金属水溶液を接触させ、他方の面に酸素含有ガスを接触させて通電する酸素還元反応処理を行う請求項4に記載のガス拡散電極の製造方法。
  6. 水酸化アルカリ金属水溶液の濃度が10〜40重量%であり、酸素を含有するガス中の酸素の濃度が20〜100体積%であり、かつ電流密度が1〜7KA/mである請求項5に記載のガス拡散電極の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の製造方法で製造されたガス拡散電極を使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽において、水酸化アルカリ金属水溶液に接触していたガス拡散電極の面を塩化アルカリ水溶液電解槽の陽極に面するように使用する塩化アルカリ水溶液の電解槽。
  8. 陽極とガス拡散陰極との間にイオン交換膜を配置して陽極室と陰極室とを形成した電解槽を使用し、陽極室に塩化アルカリ水溶液を供給し、ガス拡散電極に酸素含有ガスを供給して通電して陰極室に水酸化アルカリを製造する塩化アルカリ水溶液の電解方法において、上記ガス拡散陰極が、疎水性カーボン及びフッ素樹脂から形成され、気体は透過するが液体は漏洩しない多孔質体シートからなることを特徴とする塩化アルカリ水溶液の電解方法。
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