JP3676559B2 - 超電導回転電機の回転子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は超電導回転電機の回転子、詳しくはこの回転子の電流リードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は例えば特許公報第2588641号に示された従来の超電導回転電機の回転子の断面図である。
図において、1は中空円筒の一対のトルクチューブ、2、3はトルクチューブ1の各外側端部に結合された第1及び第2の端部軸、4は両端部がトルクチューブ1で固定されトルクチューブ1で支持された中空の巻線取付軸、5は巻線取付軸4に超電導線が巻回され固定された超電導界磁巻線、6はこの巻線取付軸4の外周部に超電導界磁巻線5を囲って設けられたベッセル、7は巻線取付軸4の両端部に固定されベッセル6とともに冷媒であるヘリウムを溜める液溜部8を形成した端板、9は両端部が端部軸2、3で固定され、支持された円筒状の常温ダンパ、10はベッセル6と常温ダンパ9との間に配置され両端がトルクチューブ1に固定された円筒状の低温ダンパ、14はトルクチューブ1内、ベッセル6と低温ダンパ10との間、及び低温ダンパ10と常温ダンパ9との間に形成された断熱真空部である。
【0003】
15は反駆動側の第2の端部軸3の外周部に設けられた界磁電流供給用のスリップリング、16は超電導界磁巻線5とスリップリング15とを電気的に接続した電流リード、17は反駆動側の第2の端部軸3の端部に連結されたヘリウム給排装置、18は液溜部8とヘリウム給排装置17とを連通しヘリウム給排装置17から液溜部8に液体ヘリウムを供給するヘリウム供給管、19は液溜部8とトルクチューブ1とを連通し液留部8内のヘリウムガスをトルクチューブ1に導くガスヘリウム配管、20はトルクチューブ1とヘリウム給排装置17とを連通し液溜部8内のヘリウムガスをヘリウム給排装置17に導くガスヘリウム排出管、21は電流リード16とヘリウム給排装置17とを連通し電流リード16内のヘリウムガスをヘリウム給排装置17に導くガスヘリウム排出管である。
【0004】
図10は図9の電流リード16の断面図であり、この電流リード16は、超電導界磁巻線5とスリップリング15とを電気的に接続し外周部に冷媒通路16bが形成されたリード導体16aと、リード導体16aを被覆した絶縁物16cと、リード導体16a及び絶縁物16cを収納した金属製のパイプ16dとを備えている。
【0005】
上記構成の超電導回転電機の回転子では、スリップリング15から電流リード16を通じて超電導界磁巻線5に界磁電流が供給され、超電導界磁巻線5は励磁される。超電導界磁巻線5は、電気抵抗が零、従って励磁損失が零の状態で強力な磁界を出し、回転子の外側に設けられた固定子(図示せず)に交流電力を生じさせる。
ところで、液体ヘリウムはヘリウム給排装置17からヘリウム供給管18を通じて液溜部8に供給されており、超電導界磁巻線5は、液体ヘリウムで極低温に冷却され、電気抵抗が零である超電導状態になっている。液溜部8の液体ヘリウムは、トルクチューブ1からの熱伝導により侵入する熱及び低温ダンパ10からの輻射熱等により蒸発する。ガス化したヘリウムは、ガスヘリウム配管19を通じてトルクチューブ1に導かれ、常温である端部軸3からトルクチューブ1に伝導する熱の大部分を吸収する。その後、このガスヘリウムはガスヘリウム排出管20を通ってヘリウム給排装置17から機外に排出される。
【0006】
また、液溜部8からの液体ヘリウムは電流リード16の冷媒通路16bを通ってリード導体16aを冷却する。電流リード16はスリップリング15との接続箇所で常温部である第2の端部軸3に接しており、またリード導体16aの通電によるジュール熱が発生することから、冷媒通路16bを通過する液体ヘリウムは通過途中で蒸発し、そのガスヘリウムは、引き続きリード導体16aを冷却しながら、ガスヘリウム排出管21を経由してヘリウム給排装置17から機外に排出される。
【0007】
次に、電流リード16のパイプ16d内での冷媒であるヘリウムの挙動について図11に基づき説明する。
回転子の回転中では、液溜部8内は回転子の遠心力により、円筒状の液体ヘリウムの液面が半径rbの位置に形成され、内径側はガス、外径側は液体と区分けされている。電流リード16の開口部22から液体ヘリウムは電流リード16のパイプ16d内に入るが、パイプ16d内の圧力バランスのためにパイプ16dの半径方向部23内で液面を形成する。即ち、ヘリウム給排装置17までのパイプ16d内に圧力損失Δrが生じると、パイプ16d内の液体ヘリウムの液面半径raは
ra=rb+HΔr
となる。なお、HΔrは圧力損失Δrに相当する液柱高さである。そして、リード導体16aに流れる電流が増大すると、ジュール熱によるリード導体16aの発生熱量も増大し、パイプ16d内のガスヘリウム量も増大し、その結果冷媒通路16cを流れるガスヘリウムの流れ抵抗が増大し、圧力損失Δrも増加する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超電導回転電機の回転子は以上のように構成されているので、運転中に液溜部8の液面半径rbが上昇する場合、あるいは電流リード16のリード導体16aの通電電流の増大によるガスヘリウム流量の増大または冷媒通路16bの部分的な閉塞により電流リード16の圧力損失Δrが増大する場合には、図11における電流リード16のパイプ16d内の液面半径raが増大し、ついには開口部22の液面半径rcを越えてしまうおそれがあった。
このような事態になると、パイプ16d内には液体ヘリウムが供給されず、電流リード16の冷媒通路16bにはガスヘリウムが安定して流れなくなり、電流リード16の冷却不良から過大な熱が液留部8内に侵入して液留部8内の液体ヘリウムの貯液が困難になるという問題点があった。さらに、電流リード16の過熱、焼損に至る危険性があり、いずれにしても超電導回転電機の運転を継続することが不可能となり、発電機として電力供給停止に至るおそれがあるという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、種々の運転条件においても電流リードの超電導界磁巻線側では液体冷媒に浸漬されており、電流リード内にガス冷媒を安定して流すことができる超電導回転電機の回転子を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の超電導回転電機の回転子は、中空円筒形状の一対のトルクチューブと、これらのトルクチューブの外側にそれぞれ設けられた端部軸と、前記トルクチューブに連結された中空の巻線取付軸と、この巻線取付軸に超電導線が巻回された超電導界磁巻線と、この超電導界磁巻線を囲って設けられたベッセルと、前記巻線取付軸の両端部にそれぞれ設けられ前記ベッセルとともに冷媒を液溜めする液溜部を形成した端板と、前記超電導界磁巻線と前記端部軸に設けられたスリップリングとを接続するとともに前記冷媒が前記液溜部から外部に向けて流通する冷媒通路を有する電流リードとを備え、前記電流リードは、前記液溜部の外側に設けられ前記冷媒を半径方向外側に迂回する冷媒迂回手段を有し、前記冷媒迂回手段は、Uの字形状で周囲に冷媒通路が形成されたリード導体と、このリード導体を覆うパイプとから構成された屈曲部であり、また、前記屈曲部の最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えている
【0012】
また、屈曲部は、半径方向外側に延びた第1のリード導体と、半径方向内側に延びた第2のリード導体とが絶縁物を介して一体化されているものである。
【0015】
また、冷媒加熱手段は、リード導体、または第1のリード導体及び第2のリード導体の断面積を小さくして電気抵抗を大きくしたものである。
【0016】
この発明の超電導回転電機の回転子は、中空円筒形状の一対のトルクチューブと、これらのトルクチューブの外側にそれぞれ設けられた端部軸と、前記トルクチューブに連結された中空の巻線取付軸と、この巻線取付軸に超電導線が巻回された超電導界磁巻線と、この超電導界磁巻線を囲って設けられたベッセルと、前記巻線取付軸の両端部にそれぞれ設けられ前記ベッセルとともに冷媒を液溜めする液溜部を形成した端板と、前記超電導界磁巻線と前記端部軸に設けられたスリップリングとを接続するとともに前記冷媒が前記液溜部から外部に向けて流通する冷媒通路を有する電流リードとを備え、前記電流リードは、前記液溜部の外側に設けられ前記冷媒を半径方向外側に迂回させる冷媒迂回手段を有し、前記冷媒迂回手段は、冷媒通路を形成したUの字形状の迂回パイプであり、また、前記迂回パイプの最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えている。
【0017】
また、 冷媒加熱手段は、屈曲部とトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体である。
【0018】
また、冷媒加熱手段は、迂回パイプとトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体である。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1の超電導回転電機の回転子の側断面図、図2は図1の回転子の要部拡大図である。
図において、1は中空円筒の一対のトルクチューブ、2、3はトルクチューブ1の各外側端部に結合された第1及び第2の端部軸、4は両端部がトルクチューブ1で固定されトルクチューブ1で支持された中空の巻線取付軸、5は巻線取付軸4に超電導線が巻回され固定された超電導界磁巻線、6はこの巻線取付軸4の外周部に超電導界磁巻線5を囲って設けられたベッセル、7は巻線取付軸4の両端部に固定されベッセル6とともに冷媒である液体ヘリウムを溜める液溜部8を形成した端板、9は両端部が端部軸2、3で固定され、支持された円筒状の常温ダンパ、10はベッセル6と常温ダンパ9との間に配置され両端がトルクチューブ1で支持される円筒状の低温ダンパ、14はトルクチューブ1内、ベッセル6と低温ダンパ10との間、及び低温ダンパ10と常温ダンパ9との間に形成された断熱真空部である。
【0020】
15は反駆動側の第2の端部軸3の外周部に設けられた界磁電流供給用のスリップリング、24は超電導界磁巻線5とスリップリング15とを接続した電流リード、17は反駆動側の第2の端部軸3の端部に連結されたヘリウム給排装置、18は液溜部8とヘリウム給排装置17とを連通しヘリウム給排装置17から液溜部8に液体ヘリウムを供給するヘリウム供給管、19は液溜部8とトルクチューブ1とを連通し液留部8内のガスヘリウムをトルクチューブ1に導くガスヘリウム配管、20はトルクチューブ1とヘリウム給排装置17とを連通し液溜部8内のガスヘリウムをヘリウム給排装置17に導くガスヘリウム排出管、21は電流リード24とヘリウム給排装置17とを連通し電流リード24内のヘリウムガスをヘリウム給排装置17に導くガスヘリウム排出管である。
【0021】
電流リード24は、金属製のパイプ25内に、超電導界磁巻線5とスリップリング15とを電気的に接続し外周部に図10に示した冷媒通路と同様の冷媒通路が形成されたリード導体26と、リード導体26を被覆した絶縁物27とが収納されている。電流リード24は端板7を途中貫通しており、また半径外側方向に屈曲したU字形状の屈曲部28を有している。
冷媒迂回手段である屈曲部28は、半径方向に延びているとともに端板7側にある第1の半径部28aと、半径方向に延びているとともに第2の端部軸3側にある第2の半径部28cと、第1の半径部28aと第2の半径部28cとを接続する最外径部28bとから構成されている。また、最外径部28bの半径rdは電流リード24の開口部22の半径rcより大きい、つまり、最外径部28bは開口部22よりも半径方向外側に位置している。
なお、電流リード24は電流入力用と電流出力用とがあり、その構造は同じである。
【0022】
上記構成の超電導回転電機の回転子では、液溜部8内の液体ヘリウムは電流リード24の開口部22から流入し、サイフォン作用により第2の半径部28cまで至る。ヘリウム給排装置17に至る冷媒通路の圧力損失Δrに相当する液柱高さHΔr、液溜部8の液面半径rbとすると、図2に示すとおり屈曲部28での液面半径raは
ra=rb+HΔr
となる。そして、何らかの原因により液溜部8の液面半径rbが増大したり、圧力損失が増大して、液面半径raが増大して屈曲部28の最外径部28bの半径rdまで液面が上昇しても、電流リード24のパイプ25内には開口部22から液体ヘリウムが流入し、電流リード24の超電導界磁巻線5側は液体ヘリウムで浸漬される。
即ち、液体ヘリウムの液面半径の許容範囲は
ra<rd
の関係にある。
このように、電流リード24に冷媒迂回手段である屈曲部28を形成することにより、(rd−rc(開口部22の半径))だけ液体ヘリウムの液面の裕度が増大することになり、電流リード24には液体冷媒を安定して供給することが可能となり、電流リード24は冷媒により確実に冷却され、信頼性の高い超電導界磁巻線の回転子を得ることができる。
【0023】
実施の形態2.
図3は実施の形態2の超電導回転電機の回転子の要部断面図であり、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図である。
この実施の形態では、電流リード30の途中において形成された屈曲部31の構造が実施の形態1と異なり、他の構成は同じである。この屈曲部31では、端板7側にあり周囲に冷媒通路32cが形成された第1のリード導体32aと第2の端部軸3側にあり周囲に冷媒通路32cが形成された第2のリード導体32bとが絶縁物33で一体化されており、また絶縁物33の外周部は金属製のパイプ34で覆われている。
この実施の形態では、電流リード30の屈曲部31では第1のリード導体32aと第2のリード導体32bとが絶縁物33で一体化されており、屈曲部31での剛性、耐振動性が実施の形態1と比較して向上し、より高速度回転下で回転子を使用することができる。
【0024】
実施の形態3.
図5は実施の形態3の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
この実施の形態では、電流リード40の途中において仕切り部42で仕切られてUの字形状の冷媒通路43を形成した金属製の迂回パイプ41が設けられている。リード導体44はUの字形状に屈曲することなくスリップリング15に向かって延びている。他の構成は実施の形態1と同様である。
実施の形態1では、電流リード24自体をUの字形状にして冷媒迂回手段を構成したが、この実施の形態では迂回パイプ41のみで冷媒迂回手段を構成しており、リード導体をUの字形状に形成するといった面倒な作業が不要となり、超電導回転電機の回転子の製作が簡単である。
【0025】
実施の形態4.
図6は実施の形態4の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
この実施の形態の回転子は、電流リード24の屈曲部28の最外径部28bの近傍に最外径部28bに流れるガスヘリウムを加熱する冷媒加熱手段である加熱装置50が設けられている点が実施の形態1と異なる。
【0026】
この実施の形態では、最外径部28bを流れるガスヘリウムは加熱装置50からの熱で加熱され、最外径部28bの入口での温度Tが出口では温度Tに上昇するとともに密度がρからρに減少する。ここで、遠心力下において気体に加わる圧力はその密度と角速度に比例する関係があるので、これにより所謂セルフポンプ効果が最外径部28bの内部で生じ、ΔPのポンプ圧力が発生する。図6によると、超電導界磁巻線5から半径外側方向に延びた電流リード部24aでの液面半径raは
ra=rb+HΔrーHΔp
となる。ここで、rbは液留部8の液面半径、HΔrは冷媒通路の圧力損失に相当する液柱高さ、HΔPはポンプ圧力に相当する液柱高さである。
【0027】
何らかの原因により液溜部8の液面半径rbが半径方向外側に変位したり、冷媒通路の圧力損失が増大して液面半径raが半径方向外側に変位することがあっても、ポンプ圧力ΔPは開口部22の半径rcより半径内側方向に液面を変位させるように作用する、即ち、本構造によりポンプ圧力ΔPだけ液面半径の裕度が増大することになる。
以上により、液溜部8内の液体ヘリウムは開口部22から電流リード24の内部に安定して供給することが可能となり、信頼性の高い回転子を得ることができる。
また、実施の形態1と比較して屈曲部28の最外径部28bの最外径寸法を増大させなくても、同様の電流リード24内の液面の安定性を確保できるため、実施の形態1と比べ回転子の製作が容易となる。
なお、Uの字形状で冷媒通路を形成した迂回パイプの最外径部の近傍に加熱装置を設けるようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0028】
実施の形態5.
図7は実施の形態5の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
この実施の形態では、冷媒を加熱する冷媒加熱手段として最外径部28bのリード導体26dの断面積を他の箇所のリード導体よりも減少させるようにしたものである。
【0029】
この実施の形態5では、リード導体26d自身のジュール発熱を利用して最外径部28bの冷媒を加熱しており、最外径部28bに新たな冷媒加熱手段を設ける必要性が無くなり、実施の形態4と比較して回転子の製作が容易となる。
【0030】
実施の形態6.
図8は実施の形態6の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
この実施の形態では、最外径部28bとトルクチューブ1とは冷媒加熱手段である銅製の熱伝導体60で熱的に接続されている。
【0031】
この実施の形態では、最外径部28bにはトルクチューブ1からの熱が熱伝導体60を通じて伝達されており、屈曲部28の機械的な支持機能を熱伝導体60が兼用しており、高遠心力下での屈曲部28の剛性、耐振動性が向上する。
なお、Uの字形状で冷媒通路を形成した迂回パイプの最外径部とトルクチューブとを熱伝導体で熱的に接続するようにしてもよい。
また、各実施の形態では冷媒迂回手段は何れもUの字形状であったが、勿論この形状に限定されるものではない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の超電導回転電機の回転子によれば、中空円筒形状の一対のトルクチューブと、これらのトルクチューブの外側にそれぞれ設けられた端部軸と、前記トルクチューブに連結された中空の巻線取付軸と、この巻線取付軸に超電導線が巻回された超電導界磁巻線と、この超電導界磁巻線を囲って設けられたベッセルと、前記巻線取付軸の両端部にそれぞれ設けられ前記ベッセルとともに冷媒を液溜めする液溜部を形成した端板と、前記超電導界磁巻線と前記端部軸に設けられたスリップリングとを接続するとともに前記冷媒が前記液溜部から外部に向けて流通する冷媒通路を有する電流リードとを備え、前記電流リードは、前記液溜部の外側に設けられ前記冷媒を半径方向外側に迂回する冷媒迂回手段を有しているので、サイフォン作用により、液溜部内の冷媒は、電流リード内に安定して流入し、電流リードはより確実に冷却され、超電導回転電機の回転子の信頼性が向上する。
また、屈曲部はUの字形状で周囲に冷媒通路が形成されたリード導体と、このリード導体を覆うパイプとから構成された簡単な構造であり、超電導回転電機の回転子は容易に製造される。
また、屈曲部の最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えたので、所謂セルフポンプ作用により、液溜部内の冷媒は、電流リード内に安定して流入し、電流リードはより確実に冷却され、超電導回転電機の回転子の信頼性が向上する。
【0034】
また、屈曲部は半径方向外側に延びた第1のリード導体と、半径方向内側に延びた第2のリード導体とが絶縁物を介して一体化されているので、高遠心力下での屈曲部の剛性及び耐振動性が向上する。
【0037】
また、冷媒加熱手段は、リード導体、または第1のリード導体及び第2のリード導体の断面積を小さくして電気抵抗を大きくしたものであるので、新たな冷媒加熱手段を用意する必要性がなく、超電導回転電機は回転子は容易に製造されるとともに、低コストで回転子を製造することができる。
【0038】
また、この発明の超電導回転電機の回転子によれば、迂回パイプの最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えたので、所謂セルフポンプ作用により、液溜部内の冷媒は、電流リード内に安定して流入し、電流リードはより確実に冷却され、超電導回転電機の回転子の信頼性が向上する。
また、迂回パイプは冷媒通路を形成したUの字形状の簡単な構造であり、超電導回転電機の回転子は容易に製造される。
【0039】
また、冷媒加熱手段は、屈曲部とトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体であるので、屈曲部の機械的な支持機能を熱伝導体が兼用しており、高遠心力下での屈曲部の剛性、耐振動性が向上する。
【0040】
また、冷媒加熱手段は、迂回パイプとトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体であるので、迂回パイプの機械的な支持機能を熱伝導体が兼用しており、高遠心力下での迂回パイプの剛性、耐振動性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の超電導回転電機の回転子の概略断面図である。
【図2】 図1の超電導回転電機の回転子の要部拡大断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態2の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
【図4】 図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態3の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態4の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態5のリード導体の部分断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態6の超電導回転電機の回転子の要部断面図である。
【図9】 従来の超電導回転電機の回転子の概略断面図である。
【図10】 従来の超電導回転電機の回転子の電流リードの断面図である。
【図11】 図9の超電導回転電機の回転子の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 トルクチューブ、2 第1の端部軸、3 第2の端部軸、4 巻線取付軸、5 超電導界磁巻線、6 ベッセル、7 端板、8 液溜部、15 スリップリング、24 電流リード、25 パイプ、26 リード導体、26d リード導体、27 絶縁物、28 屈曲部、28b 最外径部、30 電流リード、31 屈曲部、32a、第1のリード導体、32b 第2のリード導体、33 絶縁物、34 パイプ、40 電流リード、41 迂回パイプ、43 冷媒通路、44 リード導体、60 熱伝導体。

Claims (6)

  1. 中空円筒形状の一対のトルクチューブと、これらのトルクチューブの外側にそれぞれ設けられた端部軸と、前記トルクチューブに連結された中空の巻線取付軸と、この巻線取付軸に超電導線が巻回された超電導界磁巻線と、この超電導界磁巻線を囲って設けられたベッセルと、前記巻線取付軸の両端部にそれぞれ設けられ前記ベッセルとともに冷媒を液溜めする液溜部を形成した端板と、前記超電導界磁巻線と前記端部軸に設けられたスリップリングとを接続するとともに前記冷媒が前記液溜部から外部に向けて流通する冷媒通路を有する電流リードとを備え、前記電流リードは、前記液溜部の外側に設けられ前記冷媒を半径方向外側に迂回させる冷媒迂回手段を有し、
    前記冷媒迂回手段は、Uの字形状で周囲に冷媒通路が形成されたリード導体と、このリード導体を覆うパイプとから構成された屈曲部であり、
    また、前記屈曲部の最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えた超電導回転電機の回転子。
  2. 屈曲部は、半径方向外側に延びた第1のリード導体と、半径方向内側に延びた第2のリード導体とが絶縁物を介して一体化されている請求項に記載の超電導回転電機の回転子。
  3. 冷媒加熱手段は、リード導体、または第1のリード導体及び第2のリード導体の断面積を小さくして電気抵抗を大きくしたものである請求項1または2記載の超電導回転電機の回転子。
  4. 中空円筒形状の一対のトルクチューブと、これらのトルクチューブの外側にそれぞれ設けられた端部軸と、前記トルクチューブに連結された中空の巻線取付軸と、この巻線取付軸に超電導線が巻回された超電導界磁巻線と、この超電導界磁巻線を囲って設けられたベッセルと、前記巻線取付軸の両端部にそれぞれ設けられ前記ベッセルとともに冷媒を液溜めする液溜部を形成した端板と、前記超電導界磁巻線と前記端部軸に設けられたスリップリングとを接続するとともに前記冷媒が前記液溜部から外部に向けて流通する冷媒通路を有する電流リードとを備え、前記電流リードは、前記液溜部の外側に設けられ前記冷媒を半径方向外側に迂回させる冷媒迂回手段を有し、
    前記冷媒迂回手段は、冷媒通路を形成したUの字形状の迂回パイプであり、
    また、前記迂回パイプの最外径部の冷媒を加熱する冷媒加熱手段を備えている超電導回転電機の回転子。
  5. 冷媒加熱手段は、屈曲部とトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体である請求項1〜3の何れか1項記載の超電導回転電機の回転子。
  6. 冷媒加熱手段は、迂回パイプとトルクチューブとを熱的に接続した熱伝導体である請求項記載の超電導回転電機の回転子。
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