JP3913807B2 - 超電導回転電機の回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、超電導回転電機の回転子に関し、特に回転子内部に設けられる配管の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は例えば実開昭56−169770号公報に示された従来の超電導回転電機の回転子の断面図である。図において、1は駆動側端部軸、2はこの駆動側端部軸1に対向する反駆動側端部軸、3は端部軸1,2間に設けられている常温ダンパ、4は常温ダンパ3の内側でトルクチューブ5を介して端部軸1,2間に固定されている円筒状の巻線取付軸、6は巻線取付軸4に支持されている超電導界磁巻線、7は巻線取付軸4の外周部に設けられている冷媒外筒、8は巻線取付軸4の軸方向両端部に固定されている一対の端板、9は巻線取付軸4,冷媒外筒7及び端板8により構成され、例えばヘリウムなどの冷媒を貯液する貯液槽であり、図示はしないが、巻線取付軸4には冷媒の流通路が確保されている。10は貯液槽9内と回転子外部とを連通する配管である。
【0003】
図8は図7の配管10を示す説明図である。図において、配管10は、端板8に接続され貯液槽9内に開口しているとともに回転軸中心に平行に延びる端板接続部10a、回転軸中心に平行に延び回転子外部に連通する外部連通部10b、及び端板接続部10aと外部連通部10bとを連結する連結部10cを有している。
【0004】
上記のような超電導回転電機の回転子においては、回転時の遠心力により冷媒液が貯液槽9内の径方向外側に移動し、超電導界磁巻線6が冷媒液に浸漬されて冷却される。また、配管10は、例えば計測データ(超電導界磁巻線6や貯液槽9の温度、歪み、磁束密度など)を取り出す計測リード管、冷媒の圧力上昇時に作動する放圧管、圧力計測に用いる導圧管等として用いられ、その用途に応じて必要な本数設けられる。
【0005】
さらに、配管10を電流リード配管として使用する場合、図9に示すように、配管10の貯液槽9内への開口部を、冷媒の液面よりも径方向外側に設け、冷媒液を配管10の一部に流入させる。この場合、電流リード(図示せず)は、超電導界磁巻線6から回転子外部まで配線されており、電流リードからの侵入熱により連結部10c付近の冷媒液が蒸発する。そして、蒸発した気体により電流リードが冷却される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された従来の超電導回転電機の回転子においては、回転時の遠心力により、図8に示すように、配管10内に2次流れが発生し、極低温の貯液槽9内と室温の回転子外部とで熱交換が行われ、冷媒の蒸発量が過大になるという問題点があった。
【0007】
また、図9に示すように、液面半径RLが外部連通部10bの回転軸中心からの距離(半径位置)ROよりも小さくなると、冷媒液が外部に流出するため、配管10が液面半径を小さくする上での制約となる。図10は貯液槽の温度分布を示す関係図であり、液面半径が100mmから150mmに増大すると、冷媒温度が約0.2K上昇する。これにより、超電導界磁巻線6の温度が0.2K上昇すると、臨界電流が約10%低下してしまう。以上のように、冷媒蒸発量の過大、冷媒温度の上昇が生じると、超電導回転電機の運転を維持できなくなることがあり、例えば発電機の場合には電力供給停止に至る恐れがあった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、配管からの侵入熱を抑制することができ、液面半径を小さくして冷媒温度を低くすることができる超電導回転電機の回転子を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る超電導回転電機の回転子は、軸方向端部に設けられている端板を有し、超電導巻線を冷却するための冷媒を貯液する貯液槽と、端板に接続され貯液槽内に開口しているとともに回転軸中心に平行に延びる端板接続部、回転軸中心に平行に延び回転子外部に連通する外部連通部、及び回転時に内部の流体に作用する遠心力が両端部で反対向きになるように配置され端板接続部と外部連通部とを連結する連結部を有し、電流リード管、計測リード管、放圧管及び導圧管のいずれか1つとして用いられる配管と、回転子外部から貯液槽への冷媒の供給路である冷媒供給管とを備えたものである。
【0010】
請求項2の発明に係る超電導回転電機の回転子は、回転軸中心を通るように連結部を配置したものである。
【0011】
請求項3の発明に係る超電導回転電機の回転子は、複数本の配管のそれぞれの連結部を、回転軸の軸方向に互いにずらして配置したものである。
【0012】
請求項4の発明に係る超電導回転電機の回転子は、端板接続部と外部連通部とを、回転軸に対して円周方向に互いに90゜以上の間隔をおいて配置し、連結部は、回転軸を中心、端板接続部及び外部連通部を半径とする円内に配置したものである。
【0013】
請求項5の発明に係る超電導回転電機の回転子は、端板接続部の貯液槽内への開口部を、貯液槽の液面半径よりも径方向外側に配置したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による超電導回転電機の回転子の断面図である。図において、1は駆動側端部軸、2はこの駆動側端部軸1に対向する反駆動側端部軸、3は端部軸1,2間に設けられている常温ダンパ、4は常温ダンパ3の内側でトルクチューブ5を介して端部軸1,2間に固定されている円筒状の巻線取付軸、6は巻線取付軸4に支持されている超電導界磁巻線、7は巻線取付軸4の外周部に設けられている冷媒外筒、8は巻線取付軸4の軸方向両端部に固定されている一対の端板、9は巻線取付軸4,冷媒外筒7及び端板8により構成され、例えばヘリウムなどの冷媒を貯液する貯液槽であり、図示はしないが、巻線取付軸4には冷媒の流通路が確保されている。11は貯液槽9内と回転子外部とを連通する配管である。
【0015】
図2は図1の配管11を示す説明図である。図において、配管11は、端板8に接続され貯液槽9内に開口しているとともに回転軸中心に平行に延びる端板接続部11a、回転軸中心に平行に延び回転子外部に連通する外部連通部11b、及び端板接続部11aと外部連通部11bとを連結する連結部11cを有している。また、連結部11cは、回転子の径方向に延び、回転軸中心を通るように配置されている。
【0016】
このような配管11では、連結部11cが回転軸中心を横切って配置されているため、連結部11c内の流体に作用する遠心力の方向が回転軸中心を境界として両端部で反対向きになる。即ち、端板接続部11aに近い側では図の下向き、外部連通部11bに近い側では図の上向きに遠心力が作用し、回転軸中心付近では遠心力が発生しない。このため、配管11内の2次流れも、回転軸中心付近では発生しなくなる。これにより、極低温の貯液槽9と室温の回転子外部とが2次流れによって直接結ばれることがなくなり、熱交換が大幅に減少し、冷媒の蒸発量を低減することができる。
【0017】
実施の形態2.
なお、上記の例では1本の配管11のみ示したが、超電導回転電機の回転子では、用途に応じて複数本の配管11を設けることがある。しかも、回転バランスを考慮して軸対称の位置に配管11を配置する場合が多い。このような場合、図3に示すように、それぞれの連結部11cを回転軸の軸方向に互いにずらすようにして配管11を配置すればよい。これにより、連結部11c相互の干渉を避け、全ての配置11の連結部11cが回転軸中心を通るように配置することができ、侵入熱を大幅に低減することができる。
【0018】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による配管の配置状態を示す構成図、図5は図4の矢印A方向から見た配管の配置状態を示す構成図である。この例では、回転子の回転軸中心上に冷媒供給管12が配置されている。このため、配管11は、冷媒供給管12を避けて配置されている。即ち、端板接続部11aと外部連通部11bとは、回転軸に対して円周方向に互いに90゜以上の間隔をおいて配置され(θ≧90゜)、連結部11cは、回転軸を中心、端板接続部11a及び外部連通部11bを半径とする円内に配置されている。
【0019】
このような構成により、回転軸中心上に冷媒供給管12等の構造物が配置されている場合にも、回転時に内部の流体に作用する遠心力が両端部で反対向きになるように連結部11cを配置することができる。即ち、遠心力の方向は正確には正反対ではないが、遠心力を受けた流体の流れる方向が両端部で逆向きになるため、配管11内の2次流れは、回転軸中心付近では発生しなくなり、冷媒の蒸発量を低減することができる。
【0020】
実施の形態4.
次に、図6はこの発明の実施の形態4による配管の配置状態を示す構成図である。上記実施の形態1〜3では、配管11の貯液槽9内への開口部を、冷媒の液面よりも径方向内側に設けた例を示したが、この例では、開口部が液面よりも径方向外側に位置しており、冷媒液が配管11の一部に流入している。また、連結部11cは、回転軸中心を通るように配置されている。
【0021】
この例では、連結部11c内の冷媒液が受ける遠心力が回転軸中心を境に逆向きであるため、冷媒液が外部連通部11b側へ流れるのが防止される。従って、配管11を電流リード配管等として用いる場合でも、冷媒の液面半径を小さくすることが可能となり、冷媒温度を低く保つことができる。このため、超電導安定性の高い回転子が得られる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の超電導回転電機の回転子は、配管の連結部を、回転時に内部の流体に作用する遠心力が両端部で反対向きになるように配置したので、2次流れによる侵入熱を低減することができ、冷媒温度を低くすることができる。
【0023】
請求項2の発明の超電導回転電機の回転子は、回転軸中心を通るように連結部を配置したので、回転バランスが良好に保ち、より確実に2次流れによる侵入熱を低減することができる。
【0024】
請求項3の発明の超電導回転電機の回転子は、複数本の配管のそれぞれの連結部を、回転軸の軸方向に互いにずらして配置したので、配管相互の干渉を避けてそれぞれからの侵入熱を低減することができる。
【0025】
請求項4の発明の超電導回転電機の回転子は、端板接続部と外部連通部とを、回転軸に対して円周方向に互いに90゜以上の間隔をおいて配置し、連結部は、回転軸を中心、端板接続部及び外部連通部を半径とする円内に配置したので、冷媒供給管等の構造物が回転軸中心上に配置されている場合にも、2次流れによる侵入熱を低減することができ、冷媒温度を低くすることができる。
【0026】
請求項5の発明の超電導回転電機の回転子は、端板接続部の貯液槽内への開口部を、貯液槽の液面半径よりも径方向外側に配置したので、液面半径を小さくして冷媒温度を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による超電導回転電機の回転子の断面図である。
【図2】 図1の配管を示す説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態2による配管の配置状態を示す構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態3による配管の配置状態を示す構成図である。
【図5】 図4の矢印A方向から見た配管の配置状態を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態4による配管の配置状態を示す構成図である。
【図7】 従来の超電導回転電機の回転子の一例を示す断面図である。
【図8】 図7の配管を示す説明図である。
【図9】 図8の配管の一部に冷媒液が流入する場合の説明図である。
【図10】 貯液槽の温度分布を示す関係図である。
【符号の説明】
6 超電導界磁巻線、8 端板、9 貯液槽、11 配管、11a 端板接続部、11b 外部連通部、11c 連結部。
Claims (5)
- 軸方向端部に設けられている端板を有し、超電導巻線を冷却するための冷媒を貯液する貯液槽と、
上記端板に接続され上記貯液槽内に開口しているとともに回転軸中心に平行に延びる端板接続部、上記回転軸中心に平行に延び回転子外部に連通する外部連通部、及び回転時に内部の流体に作用する遠心力が両端部で反対向きになるように配置され上記端板接続部と上記外部連通部とを連結する連結部を有し、電流リード管、計測リード管、放圧管及び導圧管のいずれか1つとして用いられる配管と、
回転子外部から上記貯液槽への上記冷媒の供給路である冷媒供給管と
を備えていることを特徴とする超電導回転電機の回転子。 - 連結部は、回転軸中心を通るように配置されていることを特徴とする請求項1記載の超電導回転電機の回転子。
- 配管が複数本設けられており、それぞれの連結部が回転軸の軸方向に互いにずらして配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超電導回転電機の回転子。
- 端板接続部と外部連通部とは、回転軸に対して円周方向に互いに90゜以上の間隔をおいて配置され、連結部は、上記回転軸を中心、上記端板接続部及び上記外部連通部を半径とする円内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の超電導回転電機の回転子。
- 端板接続部の貯液槽内への開口部が、上記貯液槽の液面半径よりも径方向外側に位置していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超電導回転電機の回転子。
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JPH104671A JPH104671A (ja) | 1998-01-06 |
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